富士山噴火想定の避難計画 対象地域の住民は80万人 中間報告
2022年3月30日 19時35分
富士山の噴火を想定した新しい避難計画の中間報告がまとまり、噴石や溶岩流によって避難の対象となる地域に住む人は静岡・山梨・神奈川の合わせて80万人余りに上ると推計されました。自動車でいっせいに移動すると深刻な渋滞が発生するおそれがあることから、市街地では原則、徒歩で避難する必要があるとしています。
新しい避難計画は、富士山の噴火を想定したハザードマップが去年改定されたことを受けて、静岡・山梨・神奈川の3県と国、有識者などでつくる火山防災対策協議会が見直しを進めてきたもので、30日、中間報告が示されました。
それによりますと噴火によって避難が必要となる地域を6段階に分け、対象となる地域に住む人は静岡・山梨・神奈川の3県の27市町村で合わせて80万5600人に上ると推計されています。
このうち火砕流や大きな噴石が及んだり溶岩流が3時間以内に到達したりする地域に住む人は静岡と山梨の10の市町村で11万6000人余りと、これまでの推計の7倍に達すると想定されています。
これらの地域の人は火山性地震や地殻変動が観測されるなどして大規模な噴火の前に警戒レベルが引き上げられた場合や、噴火直後には速やかに危険な区域から避難する必要があると指摘しています。
また、住民の避難にかかる時間をシミュレーションしたところ、市街地では住民が自動車でいっせいに移動すると深刻な渋滞が発生し、避難が間に合わないおそれがあることがわかりました。
溶岩流は壊滅的な被害をもたらすものの、傾斜の緩い場所では流れる速度が比較的遅いことから、渋滞が予想される市街地では障害者や高齢者など車で避難する必要がある人をのぞいて「原則、徒歩で避難する」という新しい方針も示されました。
「広域避難」は段階的に・火山現象ごとの対応を
中間報告では噴火の影響が広範囲に及んだ場合に周辺の自治体へ避難する「広域避難」の考え方についても示されました。
これまでは車での避難を広く呼びかけてきましたが、溶岩流は流れる速度が比較的遅いこともあり、住民の避難について徒歩を原則とする方針を示しました。
シミュレーションをしたところ市街地で深刻な渋滞が発生し、逃げ遅れが起きるおそれが明らかになったことも要因です。
渋滞を防ぐことで、新たな避難計画が重視している高齢者や障害者など徒歩での移動が困難な人の車での優先的な避難につなげるのがねらいです。
さらに、これまでは遠くへの避難が想定されていましたが、今回の中間報告では、噴火後、火口の位置から影響が出そうな地域が分かるため、必ずしも遠くに避難しなくても安全は確保できるとしています。
住民の避難先は、
1 まずはその時にいる市町村の安全な場所
2 近隣の市町村
3 離れた市町村へと、
段階的に拡大することが望ましいとしています。
山梨県などは、今後、広範囲での影響が懸念される火山灰への対応などについて最終的な検討を進めることにしていて、新しい避難計画は2022年度の早い時期に完成する見通しです。
【溶岩流 数十キロ先まで流下】
今回の避難計画のもととなっているのは「富士山火山防災対策協議会」が去年3月に公表した「ハザードマップ」です。特徴的なのは広域に及ぶ溶岩流です。大規模な噴火が起きた場合に流れ出す溶岩の量は従来想定のおよそ2倍の13億立方メートルに達すると推計され、火口周辺の山梨県富士吉田市や静岡県御殿場市だけでなく、北東に40キロ以上離れた山梨県上野原市や相模原市、南東側の神奈川県小田原市、南側の静岡市清水区など、3つの県の7市5町に到達するとしています。
火砕流
また、高温の岩石や火山灰、それに火山ガスなどが一体となって斜面を高速で流れ下る「火砕流」については、富士吉田市の方面と静岡県富士宮市の方面に流れ下り、一部の場所では従来の想定より噴出量が大幅に増えたことで火口からより遠くまで到達するおそれがあるとされました。避難路としても検討されている自動車専用道路の東富士五湖道路にも影響するおそれがあると推計され、人の移動や物流などに影響が及ぶ可能性があります。
融雪型火山泥流
積もった雪が火砕流でとけ、その水が土砂を巻き込みながら流れ下る「融雪型火山泥流」は、沢や河川などを通じて最大で10キロ以上におよぶと推計されています。
人頭大以上 大きな噴石
噴火で飛ばされるおおむね20センチから30センチ以上の大きな噴石については、過去の事例をもとに想定される火口から最大で4キロに達するとしています。協議会ではこれらはいずれも噴火による影響がおよぶ地域を重ねたもので、一度の噴火ですべての範囲に被害が出るわけではないとしています。
2022年3月30日 19時35分
富士山の噴火を想定した新しい避難計画の中間報告がまとまり、噴石や溶岩流によって避難の対象となる地域に住む人は静岡・山梨・神奈川の合わせて80万人余りに上ると推計されました。自動車でいっせいに移動すると深刻な渋滞が発生するおそれがあることから、市街地では原則、徒歩で避難する必要があるとしています。
新しい避難計画は、富士山の噴火を想定したハザードマップが去年改定されたことを受けて、静岡・山梨・神奈川の3県と国、有識者などでつくる火山防災対策協議会が見直しを進めてきたもので、30日、中間報告が示されました。
それによりますと噴火によって避難が必要となる地域を6段階に分け、対象となる地域に住む人は静岡・山梨・神奈川の3県の27市町村で合わせて80万5600人に上ると推計されています。
このうち火砕流や大きな噴石が及んだり溶岩流が3時間以内に到達したりする地域に住む人は静岡と山梨の10の市町村で11万6000人余りと、これまでの推計の7倍に達すると想定されています。
これらの地域の人は火山性地震や地殻変動が観測されるなどして大規模な噴火の前に警戒レベルが引き上げられた場合や、噴火直後には速やかに危険な区域から避難する必要があると指摘しています。
また、住民の避難にかかる時間をシミュレーションしたところ、市街地では住民が自動車でいっせいに移動すると深刻な渋滞が発生し、避難が間に合わないおそれがあることがわかりました。
溶岩流は壊滅的な被害をもたらすものの、傾斜の緩い場所では流れる速度が比較的遅いことから、渋滞が予想される市街地では障害者や高齢者など車で避難する必要がある人をのぞいて「原則、徒歩で避難する」という新しい方針も示されました。
「広域避難」は段階的に・火山現象ごとの対応を
中間報告では噴火の影響が広範囲に及んだ場合に周辺の自治体へ避難する「広域避難」の考え方についても示されました。
これまでは車での避難を広く呼びかけてきましたが、溶岩流は流れる速度が比較的遅いこともあり、住民の避難について徒歩を原則とする方針を示しました。
シミュレーションをしたところ市街地で深刻な渋滞が発生し、逃げ遅れが起きるおそれが明らかになったことも要因です。
渋滞を防ぐことで、新たな避難計画が重視している高齢者や障害者など徒歩での移動が困難な人の車での優先的な避難につなげるのがねらいです。
さらに、これまでは遠くへの避難が想定されていましたが、今回の中間報告では、噴火後、火口の位置から影響が出そうな地域が分かるため、必ずしも遠くに避難しなくても安全は確保できるとしています。
住民の避難先は、
1 まずはその時にいる市町村の安全な場所
2 近隣の市町村
3 離れた市町村へと、
段階的に拡大することが望ましいとしています。
山梨県などは、今後、広範囲での影響が懸念される火山灰への対応などについて最終的な検討を進めることにしていて、新しい避難計画は2022年度の早い時期に完成する見通しです。
【溶岩流 数十キロ先まで流下】
今回の避難計画のもととなっているのは「富士山火山防災対策協議会」が去年3月に公表した「ハザードマップ」です。特徴的なのは広域に及ぶ溶岩流です。大規模な噴火が起きた場合に流れ出す溶岩の量は従来想定のおよそ2倍の13億立方メートルに達すると推計され、火口周辺の山梨県富士吉田市や静岡県御殿場市だけでなく、北東に40キロ以上離れた山梨県上野原市や相模原市、南東側の神奈川県小田原市、南側の静岡市清水区など、3つの県の7市5町に到達するとしています。
火砕流
また、高温の岩石や火山灰、それに火山ガスなどが一体となって斜面を高速で流れ下る「火砕流」については、富士吉田市の方面と静岡県富士宮市の方面に流れ下り、一部の場所では従来の想定より噴出量が大幅に増えたことで火口からより遠くまで到達するおそれがあるとされました。避難路としても検討されている自動車専用道路の東富士五湖道路にも影響するおそれがあると推計され、人の移動や物流などに影響が及ぶ可能性があります。
融雪型火山泥流
積もった雪が火砕流でとけ、その水が土砂を巻き込みながら流れ下る「融雪型火山泥流」は、沢や河川などを通じて最大で10キロ以上におよぶと推計されています。
人頭大以上 大きな噴石
噴火で飛ばされるおおむね20センチから30センチ以上の大きな噴石については、過去の事例をもとに想定される火口から最大で4キロに達するとしています。協議会ではこれらはいずれも噴火による影響がおよぶ地域を重ねたもので、一度の噴火ですべての範囲に被害が出るわけではないとしています。
【中村屋酒店の兄弟】
たった1行のセリフに隠された感情 藤原季節が23歳新人監督から気付かされたこと
昨年、「くれなずめ」「明日の食卓」「空白」「のさりの島」など映画に出演、ドラマでも活躍する藤原季節(29)。本作の映画「中村屋酒店の兄弟」(白磯大知監督)は第30回東京学生映画祭でグランプリなどを受賞し、撮影から3年たっての劇場公開が決まった。監督からオファーを受けた当初、「出演をお断りした」と明かす。そのワケは?
映画「中村屋酒店の兄弟」、オファー当初は「出演をお断りした」
昨年、「くれなずめ」「明日の食卓」「空白」「のさりの島」など映画に出演、ドラマでも活躍する藤原季節(29)。本作の映画「中村屋酒店の兄弟」(白磯大知監督)は第30回東京学生映画祭でグランプリなどを受賞し、撮影から3年たっての劇場公開が決まった。監督からオファーを受けた当初、「出演をお断りした」と明かす。そのワケは?(取材・文=平辻哲也)
同作は昨今、なくなりつつある酒店を舞台に、親からの店を継いだ兄・弘文(長尾卓磨)と東京からワケあって帰ってきた弟・和馬(藤原)を描く45分の中編。兄弟の近くて遠い距離感を絶妙に描き、第13回田辺・弁慶映画祭TBSラジオ賞、第30回東京学生映画祭グランプリ、第11回下北沢映画祭観客賞などを受賞。この快挙に、W主演の長尾が劇場公開へと動き、3月4日、東京・シネクイントでのレイトショー先行公開、同18日からの全国17館での順次公開が決まった。
「長尾さんをはじめとしたみなさんの努力の積み重ねですね。今だからこそ、誰かの心に届くかもしれない。その可能性を感じてくれた人が積み重なって全国まで行けたんだと思います」
しかし、3年前は劇場公開など思いもよらないことだった。監督は17歳から俳優活動し、独学で脚本を学んだという当時23歳の白磯大知。スタッフも映画未経験という自主映画だった。
「共通の知人を介してオファーを頂きました。最初は『この作品の面白さを理解することができません』とお断りしました。この脚本は、何も激しいことは起こらない。当時は何を撮りたいかつかめなかったんですよ。今思えば、安易な考えだったし、監督の白磯君に敬意をちゃんと払っていなかったんですよね。自分の未熟さですけども」
その後、一度も会わずに断ったことが脳裏に引っかかり、改めて渋谷のカフェで監督との時間を作ってもらった。「そこで白磯君がどういうことを描きたいかっていうことを丁寧に教えてくれたんですが、人となりがとても魅力的だった。『兄弟の距離感を描きたい』という言葉を聞いて、その場でもう一度読み直しました。そうしたら、たった1行のセリフにたくさんの語られてない感情が隠れているんだと気づき、僕にとってチャレンジになるのでやらせてください、とお願いしたんです」。
北海道札幌市出身、19歳で上京「最初から俳優をやるつもりで東京に出てきた」
劇中では、微妙なすれ違いの感情が描かれる。「トークイベントのゲストに来てくれた村上虹郎君が『褒めてばかりでもつまらないので、思ったことを言います。兄弟が楽しすぎる気がした』と言ってくれたんですね。その事をずっと考えました。それで分かったのは、楽しんでいるんじゃなくて、楽しんでいるふりをしているんだな、ということ。その裏にはきっと語られてない感情がたくさんあって、家族や兄弟としゃべっている時の自分も、何かを演じているんだなってことです。そんなことがちょっとずつ見えてきました」。
妹と姉がいるそうで、和馬の気持ちには「自分にも思い当たる節がありますね。気恥ずかしさだったり、東京で好き勝手やっていることの後ろめたさ、それをカモフラージュするためにちょっと明るく話してみたり……」。
自身は北海道札幌市出身。実家を飛び出したことも共通点。19歳の時に大学進学を機に上京したのだ。「最初から俳優をやるつもりで東京に出てきたんです。正確には大学には入学しているんですけど、3か月も通っていませんね……。なので、親には入学金の無駄遣いをさせてしまいました。泣いてましたね。だから、東京と実家で安息の地を探している和馬の気持ちは分かる部分もありました。実家に帰っても、どこかで何かを演じなきゃならない。自分の居場所を彼も探していたんだと思います」。
2013年に本格的に俳優活動をスタートし、以降、映画、ドラマ、舞台でキャリアを積み上げてきた。20年に第42回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を、21年には、第13回TAMA映画賞最優秀新進男優賞を授賞した。
今は、居場所を見つけられたのではないか。「確かに、カメラの前での居場所はできたように思えます。でも、僕ら俳優は、現実に帰ってこなきゃいけないですから。現実の世の中で生活をして生きていかなきゃいけないわけで、その居場所は自分自身でもう1回見つけないといけないと思っています」。
「中村屋酒店の兄弟」はいろんな気付きを与えてくれた作品になった。特に教えてくれたのは兄役の長尾だ。「スタッフは映画が初めての人が多く、不慣れな部分もあったんですけども、長尾さんは最後まで一つも文句を言わなかったんです。だから、僕も何も言わないようにしたんです。そうしたら、3日目から、スタッフが“段取りファースト”から“お芝居ファースト”に変わっていった。それは、僕たちの意識が伝わったんだと思います。はっきり伝えるっていうのは、自分の気持ちを伝えたいだけで、コミュニケーションって、そういうことだけではないんだと思いました」。
出演後は新たな関係性も生まれている。「長尾さんとは全然似ていないんですけど、映画を見ていると、兄弟に見えてくるから不思議ですね。日常生活でも、長男・長尾さん、次男・僕、三男・白磯君の三兄弟みたいな感じなんです。頻繁に連絡を取ったり、お酒を飲んだりするわけじゃないけど、久々に会うことができたら、みんなで近況報告を恥じらいながらする。そんな関係ができあがりました」。
コロナ禍となり自宅で映画鑑賞「インディーズ、メジャーに関わらず必要なもの」
映画は自身の原点だ。「(コロナ禍で)自宅での時間が増えると、大作ばかり観ていました。大好きなアル・パチーノの出演作とかを見ていましたが、先日は、インディーズ映画を見て、衝撃を受けました。『フタリノセカイ』(公開中)というトランスジェンダーの男性とシスジェンダーの女性カップルの話で、2人には子供が作れない。そこである決断をするシーンがあるんですけども、幸せにはあらゆるカタチがあっていいんだという希望の描き方に感動しました。そんな体験をすると、インディーズ、メジャーに関わらず、映画体験は必要なものだと改めて実感しました」。
藤原もそんな体験を与えられるような新しい映画との出会いを求めている。「新しい何かに出会うときって、自分を解体しないと出会えないんじゃないかな、と思っています。常に自分を疑ってみたり、自分は間違っているかもしれないと考え続けて、誰かが書いたセリフを言ってみた時に出会えるような気がします。そんな破壊と再生の旅を続けたいと思っています」。
「中村屋酒店の兄弟」は佳作というべき小作だが、藤原にとってはターニングポイントになったようだ。
たった1行のセリフに隠された感情 藤原季節が23歳新人監督から気付かされたこと
昨年、「くれなずめ」「明日の食卓」「空白」「のさりの島」など映画に出演、ドラマでも活躍する藤原季節(29)。本作の映画「中村屋酒店の兄弟」(白磯大知監督)は第30回東京学生映画祭でグランプリなどを受賞し、撮影から3年たっての劇場公開が決まった。監督からオファーを受けた当初、「出演をお断りした」と明かす。そのワケは?
映画「中村屋酒店の兄弟」、オファー当初は「出演をお断りした」
昨年、「くれなずめ」「明日の食卓」「空白」「のさりの島」など映画に出演、ドラマでも活躍する藤原季節(29)。本作の映画「中村屋酒店の兄弟」(白磯大知監督)は第30回東京学生映画祭でグランプリなどを受賞し、撮影から3年たっての劇場公開が決まった。監督からオファーを受けた当初、「出演をお断りした」と明かす。そのワケは?(取材・文=平辻哲也)
同作は昨今、なくなりつつある酒店を舞台に、親からの店を継いだ兄・弘文(長尾卓磨)と東京からワケあって帰ってきた弟・和馬(藤原)を描く45分の中編。兄弟の近くて遠い距離感を絶妙に描き、第13回田辺・弁慶映画祭TBSラジオ賞、第30回東京学生映画祭グランプリ、第11回下北沢映画祭観客賞などを受賞。この快挙に、W主演の長尾が劇場公開へと動き、3月4日、東京・シネクイントでのレイトショー先行公開、同18日からの全国17館での順次公開が決まった。
「長尾さんをはじめとしたみなさんの努力の積み重ねですね。今だからこそ、誰かの心に届くかもしれない。その可能性を感じてくれた人が積み重なって全国まで行けたんだと思います」
しかし、3年前は劇場公開など思いもよらないことだった。監督は17歳から俳優活動し、独学で脚本を学んだという当時23歳の白磯大知。スタッフも映画未経験という自主映画だった。
「共通の知人を介してオファーを頂きました。最初は『この作品の面白さを理解することができません』とお断りしました。この脚本は、何も激しいことは起こらない。当時は何を撮りたいかつかめなかったんですよ。今思えば、安易な考えだったし、監督の白磯君に敬意をちゃんと払っていなかったんですよね。自分の未熟さですけども」
その後、一度も会わずに断ったことが脳裏に引っかかり、改めて渋谷のカフェで監督との時間を作ってもらった。「そこで白磯君がどういうことを描きたいかっていうことを丁寧に教えてくれたんですが、人となりがとても魅力的だった。『兄弟の距離感を描きたい』という言葉を聞いて、その場でもう一度読み直しました。そうしたら、たった1行のセリフにたくさんの語られてない感情が隠れているんだと気づき、僕にとってチャレンジになるのでやらせてください、とお願いしたんです」。
北海道札幌市出身、19歳で上京「最初から俳優をやるつもりで東京に出てきた」
劇中では、微妙なすれ違いの感情が描かれる。「トークイベントのゲストに来てくれた村上虹郎君が『褒めてばかりでもつまらないので、思ったことを言います。兄弟が楽しすぎる気がした』と言ってくれたんですね。その事をずっと考えました。それで分かったのは、楽しんでいるんじゃなくて、楽しんでいるふりをしているんだな、ということ。その裏にはきっと語られてない感情がたくさんあって、家族や兄弟としゃべっている時の自分も、何かを演じているんだなってことです。そんなことがちょっとずつ見えてきました」。
妹と姉がいるそうで、和馬の気持ちには「自分にも思い当たる節がありますね。気恥ずかしさだったり、東京で好き勝手やっていることの後ろめたさ、それをカモフラージュするためにちょっと明るく話してみたり……」。
自身は北海道札幌市出身。実家を飛び出したことも共通点。19歳の時に大学進学を機に上京したのだ。「最初から俳優をやるつもりで東京に出てきたんです。正確には大学には入学しているんですけど、3か月も通っていませんね……。なので、親には入学金の無駄遣いをさせてしまいました。泣いてましたね。だから、東京と実家で安息の地を探している和馬の気持ちは分かる部分もありました。実家に帰っても、どこかで何かを演じなきゃならない。自分の居場所を彼も探していたんだと思います」。
2013年に本格的に俳優活動をスタートし、以降、映画、ドラマ、舞台でキャリアを積み上げてきた。20年に第42回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を、21年には、第13回TAMA映画賞最優秀新進男優賞を授賞した。
今は、居場所を見つけられたのではないか。「確かに、カメラの前での居場所はできたように思えます。でも、僕ら俳優は、現実に帰ってこなきゃいけないですから。現実の世の中で生活をして生きていかなきゃいけないわけで、その居場所は自分自身でもう1回見つけないといけないと思っています」。
「中村屋酒店の兄弟」はいろんな気付きを与えてくれた作品になった。特に教えてくれたのは兄役の長尾だ。「スタッフは映画が初めての人が多く、不慣れな部分もあったんですけども、長尾さんは最後まで一つも文句を言わなかったんです。だから、僕も何も言わないようにしたんです。そうしたら、3日目から、スタッフが“段取りファースト”から“お芝居ファースト”に変わっていった。それは、僕たちの意識が伝わったんだと思います。はっきり伝えるっていうのは、自分の気持ちを伝えたいだけで、コミュニケーションって、そういうことだけではないんだと思いました」。
出演後は新たな関係性も生まれている。「長尾さんとは全然似ていないんですけど、映画を見ていると、兄弟に見えてくるから不思議ですね。日常生活でも、長男・長尾さん、次男・僕、三男・白磯君の三兄弟みたいな感じなんです。頻繁に連絡を取ったり、お酒を飲んだりするわけじゃないけど、久々に会うことができたら、みんなで近況報告を恥じらいながらする。そんな関係ができあがりました」。
コロナ禍となり自宅で映画鑑賞「インディーズ、メジャーに関わらず必要なもの」
映画は自身の原点だ。「(コロナ禍で)自宅での時間が増えると、大作ばかり観ていました。大好きなアル・パチーノの出演作とかを見ていましたが、先日は、インディーズ映画を見て、衝撃を受けました。『フタリノセカイ』(公開中)というトランスジェンダーの男性とシスジェンダーの女性カップルの話で、2人には子供が作れない。そこである決断をするシーンがあるんですけども、幸せにはあらゆるカタチがあっていいんだという希望の描き方に感動しました。そんな体験をすると、インディーズ、メジャーに関わらず、映画体験は必要なものだと改めて実感しました」。
藤原もそんな体験を与えられるような新しい映画との出会いを求めている。「新しい何かに出会うときって、自分を解体しないと出会えないんじゃないかな、と思っています。常に自分を疑ってみたり、自分は間違っているかもしれないと考え続けて、誰かが書いたセリフを言ってみた時に出会えるような気がします。そんな破壊と再生の旅を続けたいと思っています」。
「中村屋酒店の兄弟」は佳作というべき小作だが、藤原にとってはターニングポイントになったようだ。
新型コロナ感染者数 北海道で徐々に増加 専門家「今後に注視を」
2021年11月20日 16時19分
新型コロナの感染者数は、全国的にはことしに入って最も少ないレベルですが、その中で北海道では今月に入って徐々に増加してきています。北海道では、気温が低い時期には各地に先行して感染が広がる傾向があり、専門家は、感染拡大の第6波につながらないか、注視する必要があると指摘しています。
新型コロナの新規感染者数は、全国では感染拡大の第5波の最中だったことし8月下旬から、12週連続で減少し、ことしに入って最も少ない水準となっています。
北海道でも、8月18日の595人をピークに先月下旬までは減少傾向で、1週間平均で1日当たりの新規感染者数はおよそ8人でしたが、今月に入って前の週を上回る傾向となり、19日の時点ではおよそ20人となっています。
北海道では、気温が低い時期には各地に先行して感染が拡大する傾向が見られ、去年2月下旬には国内で最初に感染拡大し、その後、3月中旬以降、東京都で感染が拡大しました。
また、去年冬の感染拡大の「第3波」では、北海道では10月下旬から感染者数の増加が始まり、東京都では11月中旬以降、増加が始まりました。
専門家は、この冬はワクチン接種が進み、一定程度、感染拡大が抑えられるとみられる一方、密閉された室内で過ごす時間が長くなると感染リスクが高まるため、感染拡大の「第6波」につながらないか、北海道での感染状況を注視する必要があるとしています。
新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は「全国で見ると、順調に感染者数のコントロールができているが、北海道はここ2週間、増加傾向が続き、リバウンドの兆候が見え出したような状況がある。ここから1週間、2週間、感染状況がどう動くのか、非常に注意しないといけない」と話しています。
【北海道 全国に先行し感染が拡大する傾向】
去年冬の感染拡大「第3波」の際には、北海道では、全国や東京都などに比べ2週間ほど先行して感染が拡大する傾向が見られました。
北海道では、去年10月下旬から1週間平均の新規感染者数が前の週との比較で増え始め、10月19日には1日の新規感染者数が17人だったのが、11月20日には304人となりことし2月上旬まで100人前後の日が続きました。
一方、東京都では去年11月上旬には1日の新規感染者数は100人前後でしたが、11月中旬には前の週との比較で増加が見え始めるようになり、さらに12月中旬には増加傾向が明確になって、ことし1月7日には1日で2520人とそれまでで最も多い感染者数となりました。
全国で見ても、増加が顕著になったのは去年11月中旬以降で、去年11月上旬までは1日の新規感染者数は1000人未満だったのが、11月下旬に2000人、12月末には4000人となり、ことし1月8日には8000人近くにまで上りました。
また、去年2月下旬に国内で最初に感染が広がったのも北海道で、2月28日には独自の緊急事態宣言を出して外出の自粛を呼びかけました。
このときも東京都で感染が拡大したのは、3週間余りのちの3月下旬以降で、その後、4月上旬には初めての緊急事態宣言が出されました。
「密閉・密集・密接」を避け、換気含めた対策を
新型コロナウイルスは、空気がよどみやすい閉めきった環境で感染しやすいことが分かっていて、気温が低い冬は換気の機会が少なくなり、感染リスクが高まりやすいと指摘されています。
閉めきった環境で感染しやすいことが最初に分かったのは、去年2月の「さっぽろ雪まつり」のときで、閉めきった休憩所で暖を取っていて感染が広がったケースなどがあったことを受けて、専門家が分析した結果、密閉された空間で一定の時間、ウイルスが含まれたごく小さな飛まつがしばらく漂い、それを吸い込むことで感染することが分かりました。
しかし、気温が下がる冬は室内での活動が増え、年末に向けて忘年会やクリスマス、正月休みなどで人と人との接触の機会が増えるため、感染リスクが高まるおそれがあるとして、厚生労働省の専門家会合は換気を含めた基本的な対策を徹底するよう呼びかけています。
ことしの冬はワクチン接種が進み、2回の接種を終えた人は全国で75%を超え、一定程度感染拡大が抑えられるとみられる一方、接種していない人での感染や接種を終えた人でも感染する「ブレイクスルー感染」が一部で起きることから、専門家会合は接種を終えた人を含めて引き続き、対策をとることが必要だとしています。
北海道内の感染状況について、道の新型コロナウイルス感染症対策本部は「クラスターの発生が感染者を増やしている」としたうえで「市中で広がっている状況にはなく、一気に感染が拡大するような兆候は今のところ見られない」との認識を示しました。
2021年11月20日 16時19分
新型コロナの感染者数は、全国的にはことしに入って最も少ないレベルですが、その中で北海道では今月に入って徐々に増加してきています。北海道では、気温が低い時期には各地に先行して感染が広がる傾向があり、専門家は、感染拡大の第6波につながらないか、注視する必要があると指摘しています。
新型コロナの新規感染者数は、全国では感染拡大の第5波の最中だったことし8月下旬から、12週連続で減少し、ことしに入って最も少ない水準となっています。
北海道でも、8月18日の595人をピークに先月下旬までは減少傾向で、1週間平均で1日当たりの新規感染者数はおよそ8人でしたが、今月に入って前の週を上回る傾向となり、19日の時点ではおよそ20人となっています。
北海道では、気温が低い時期には各地に先行して感染が拡大する傾向が見られ、去年2月下旬には国内で最初に感染拡大し、その後、3月中旬以降、東京都で感染が拡大しました。
また、去年冬の感染拡大の「第3波」では、北海道では10月下旬から感染者数の増加が始まり、東京都では11月中旬以降、増加が始まりました。
専門家は、この冬はワクチン接種が進み、一定程度、感染拡大が抑えられるとみられる一方、密閉された室内で過ごす時間が長くなると感染リスクが高まるため、感染拡大の「第6波」につながらないか、北海道での感染状況を注視する必要があるとしています。
新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は「全国で見ると、順調に感染者数のコントロールができているが、北海道はここ2週間、増加傾向が続き、リバウンドの兆候が見え出したような状況がある。ここから1週間、2週間、感染状況がどう動くのか、非常に注意しないといけない」と話しています。
【北海道 全国に先行し感染が拡大する傾向】
去年冬の感染拡大「第3波」の際には、北海道では、全国や東京都などに比べ2週間ほど先行して感染が拡大する傾向が見られました。
北海道では、去年10月下旬から1週間平均の新規感染者数が前の週との比較で増え始め、10月19日には1日の新規感染者数が17人だったのが、11月20日には304人となりことし2月上旬まで100人前後の日が続きました。
一方、東京都では去年11月上旬には1日の新規感染者数は100人前後でしたが、11月中旬には前の週との比較で増加が見え始めるようになり、さらに12月中旬には増加傾向が明確になって、ことし1月7日には1日で2520人とそれまでで最も多い感染者数となりました。
全国で見ても、増加が顕著になったのは去年11月中旬以降で、去年11月上旬までは1日の新規感染者数は1000人未満だったのが、11月下旬に2000人、12月末には4000人となり、ことし1月8日には8000人近くにまで上りました。
また、去年2月下旬に国内で最初に感染が広がったのも北海道で、2月28日には独自の緊急事態宣言を出して外出の自粛を呼びかけました。
このときも東京都で感染が拡大したのは、3週間余りのちの3月下旬以降で、その後、4月上旬には初めての緊急事態宣言が出されました。
「密閉・密集・密接」を避け、換気含めた対策を
新型コロナウイルスは、空気がよどみやすい閉めきった環境で感染しやすいことが分かっていて、気温が低い冬は換気の機会が少なくなり、感染リスクが高まりやすいと指摘されています。
閉めきった環境で感染しやすいことが最初に分かったのは、去年2月の「さっぽろ雪まつり」のときで、閉めきった休憩所で暖を取っていて感染が広がったケースなどがあったことを受けて、専門家が分析した結果、密閉された空間で一定の時間、ウイルスが含まれたごく小さな飛まつがしばらく漂い、それを吸い込むことで感染することが分かりました。
しかし、気温が下がる冬は室内での活動が増え、年末に向けて忘年会やクリスマス、正月休みなどで人と人との接触の機会が増えるため、感染リスクが高まるおそれがあるとして、厚生労働省の専門家会合は換気を含めた基本的な対策を徹底するよう呼びかけています。
ことしの冬はワクチン接種が進み、2回の接種を終えた人は全国で75%を超え、一定程度感染拡大が抑えられるとみられる一方、接種していない人での感染や接種を終えた人でも感染する「ブレイクスルー感染」が一部で起きることから、専門家会合は接種を終えた人を含めて引き続き、対策をとることが必要だとしています。
北海道内の感染状況について、道の新型コロナウイルス感染症対策本部は「クラスターの発生が感染者を増やしている」としたうえで「市中で広がっている状況にはなく、一気に感染が拡大するような兆候は今のところ見られない」との認識を示しました。
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