《黄帝摄政》
黄帝摄政,有蚩尤兄弟八十一人,并兽身人语,铜头铁额,食沙、石子,造立兵仗刀戟大弩,威震天下,诛杀、无道,不仁不慈。万民欲令黄帝行天子事,黄帝以仁义,不能禁止蚩尤,遂不敌。乃仰天而叹,天遣玄女,下授黄帝兵信神符,制伏蚩尤,以制八方。蚩尤殁后,复扰乱不宁。黄帝遂画蚩尤形象,以威天下,天下咸谓蚩尤不死,八方万邦皆为殄伏。
黄帝摄政,有蚩尤兄弟八十一人,并兽身人语,铜头铁额,食沙、石子,造立兵仗刀戟大弩,威震天下,诛杀、无道,不仁不慈。万民欲令黄帝行天子事,黄帝以仁义,不能禁止蚩尤,遂不敌。乃仰天而叹,天遣玄女,下授黄帝兵信神符,制伏蚩尤,以制八方。蚩尤殁后,复扰乱不宁。黄帝遂画蚩尤形象,以威天下,天下咸谓蚩尤不死,八方万邦皆为殄伏。
人生百病的百药对治法
《大藏治病药》是唐代高僧释灵澈所著,选取了一百种人们心理、思想方面的疾病表现,又融合佛、儒二道,提出了一百种对治的方法。体现心病心药医的思想,对当前的人们自我修养有一定的参考价值。
【大藏经曰:救灾解难,不如防之为易。疗疾治病,不如避之为吉。今人见左,不务防之而务救之,不务避之而务药之。譬之有君者,不思励治以求安。有身者,不惜保养以全寿。是以圣人求福于未兆,绝祸于未萌。盖灾生于稍稍,病起于微微。人以小善为无益而不为,以小恶为无损而不改。孰知小善不起,灾难立成;小恶不止,大祸立至。故太上特指心病要目百行,以为病者之鉴。人能静坐持照察病有无,心病心医,治以心药。奚伺卢扁,以疗厥疾。无使病积于中。倾溃莫遏,萧墙祸起,恐非金石草木可攻。所为长年,因无病故,智者勉焉。
喜怒偏执是一病,亡义取利是一病,
好色坏德是一病,专心系爱是一病,
憎欲无理是一病,纵贪蔽过是一病,
毁人自誉是一病,擅变自可是一病,
轻口喜言是一病,快意遂非是一病,
以智轻人是一病,乘权纵横是一病,
非人自是是一病,侮易孤寡是一病,
以力胜人是一病,威势自协是一病,
语欲胜人是一病,贷不念偿是一病,
曲人自直是一病,以直伤人是一病,
与恶人交是一病,喜怒自伐是一病,
愚人自贤是一病,以功自矜是一病,
诽议名贤是一病,以劳自怨是一病,
以虚为实是一病,喜说人过是一病,
以富骄人是一病,以贱讪贵是一病,
谗人求媚是一病,以德自显是一病,
以贵轻人是一病,以贫妒富是一病,
败人成功是一病,以私乱公是一病,
好自掩饰是一病,危人自安是一病,
阴阳嫉妒是一病,激厉旁悖是一病,
多憎少爱是一病,坚执争斗是一病,
推负著人是一病,文拒钩锡是一病,
持人长短是一病,假人自信是一病,
施人望报是一病,无施责人是一病,
与人追悔是一病,好自怨憎是一病,
好杀虫畜是一病,蛊道厌人是一病,
毁訾高才是一病,憎人胜己是一病,
毒药鸩饮是一病,心不平等是一病,
以贤唝嗃是一病,追念旧恶是一病,
不受谏谕是一病,内疏外亲是一病,
投书败人是一病,笑愚痴人是一病,
烦苛轻躁是一病,擿捶无理是一病,
好自作正是一病,多疑少信是一病,
笑颠狂人是一病,蹲踞无礼是一病,
丑言恶语是一病,轻慢老少是一病,
恶态丑对是一病,了戾自用是一病,
好喜嗜笑是一病,当权任性是一病,
诡谲谀谄是一病,嗜得怀诈是一病,
两舌无信是一病,乘酒凶横是一病,
骂詈风雨是一病,恶言好杀是一病,
教人堕胎是一病,干预人事是一病,
钻穴窥人是一病,不借怀怨是一病,
负债逃走是一病,背向异词是一病,
喜抵捍戾是一病,调戏必固是一病,
故迷误人是一病,探巢破卵是一病,
惊胎损形是一病,水火败伤是一病,
笑盲聋哑是一病,乱人嫁娶是一病,
教人捶擿是一病,教人作恶是一病,
含祸离爱是一病,唱祸道非是一病,
见货欲得是一病,强夺人物是一病。
此为百病也。人能一念,除此百病。日逐检点,使一病不作,决无灾害痛苦,烦恼凶危。不惟自己保命延年,子孙百世,永受其福矣。
大藏经曰:古之圣人,其为善也,无小而不崇。其于恶也,无微而不改。改恶崇善,是药饵也。录所谓百药以治之:
思无邪僻是一药,行宽心和是一药,
动静有礼是一药,起居有度是一药,
近德远色是一药,清心寡欲是一药,
推分引义是一药,不取非分是一药,
虽憎犹爱是一药,心无嫉妒是一药,
教化愚顽是一药,谏正邪乱是一药,
戒敕恶仆是一药,开导迷误是一药,
扶接老幼是一药,心无狡诈是一药,
拔祸济难是一药,常行方便是一药,
怜孤恤寡是一药,矜贫救厄是一药,
位高下士是一药,语言谦逊是一药,
不负宿债是一药,愍慰笃信是一药,
敬爱卑微是一药,语言端悫是一药,
推直引曲是一药,不争是非是一药,
逢侵不鄙是一药,受辱能忍是一药,
扬善隐恶是一药,推好取丑是一药,
与多取少是一药,称叹贤良是一药,
见贤内省是一药,不自夸彰是一药,
推功引善是一药,不自伐善是一药,
不掩人功是一药,劳苦不恨是一药,
怀诚抱信是一药,覆蔽阴恶是一药,
崇尚胜己是一药,安贫自乐是一药,
不自尊大是一药,好成人功是一药,
不好阴谋是一药,得失不形是一药,
积德树恩是一药,生不骂詈是一药,
不评论人是一药,甜言美语是一药,
灾病自咎是一药,恶不归人是一药,
施不望报是一药,不杀生命是一药,
心平气和是一药,不忌人美是一药,
心静意定是一药,不念旧恶是一药,
匡邪弼恶是一药,听教伏善是一药,
忿怒能制是一药,不干求人是一药,
无思无虑是一药,尊奉高年是一药,
对人恭肃是一药,内修孝悌是一药,
恬静守分是一药,和悦妻孥是一药,
以食饮人是一药,助修善事是一药,
乐天知命是一药,远嫌避疑是一药,
宽舒大度是一药,敬信经典是一药,
息心抱道是一药,为善不倦是一药,
济度贫穷是一药,舍药救疾是一药,
信礼神佛是一药,知机知足是一药,
清闲无欲是一药,仁慈谦让是一药,
好生恶杀是一药,不宝厚藏是一药,
不犯禁忌是一药,节俭守中是一药,
谦己下人是一药,随事不慢是一药,
喜谈人德是一药,不造妄语是一药,
贵能援人是一药,富能救人是一药,
不尚争斗是一药,不淫妓眚是一药,
不生奸盗是一药,不怀咒厌是一药,
不乐词讼是一药,扶老挈幼是一药。
此为百药也。人有疾病,皆因过恶阴掩不见,故应以疾病,因缘饮食、风寒、恶气而起。由人犯违圣教,以致魂迷魄丧,不在形中,肌体空虚,神气不守,故风寒恶气得以中之。
是以有德者,虽处幽暗,不敢为非;虽居荣禄,不敢为恶。量体而衣,随分而食,虽富且贵,不敢恣欲;虽贫且贱,不敢为非。是以外无残暴,内无疾病也。吾人可不 以百病自究,以百药自治,养吾天和,一吾心志,作耆年颐寿之地也哉!”
《大藏治病药》是唐代高僧释灵澈所著,选取了一百种人们心理、思想方面的疾病表现,又融合佛、儒二道,提出了一百种对治的方法。体现心病心药医的思想,对当前的人们自我修养有一定的参考价值。
【大藏经曰:救灾解难,不如防之为易。疗疾治病,不如避之为吉。今人见左,不务防之而务救之,不务避之而务药之。譬之有君者,不思励治以求安。有身者,不惜保养以全寿。是以圣人求福于未兆,绝祸于未萌。盖灾生于稍稍,病起于微微。人以小善为无益而不为,以小恶为无损而不改。孰知小善不起,灾难立成;小恶不止,大祸立至。故太上特指心病要目百行,以为病者之鉴。人能静坐持照察病有无,心病心医,治以心药。奚伺卢扁,以疗厥疾。无使病积于中。倾溃莫遏,萧墙祸起,恐非金石草木可攻。所为长年,因无病故,智者勉焉。
喜怒偏执是一病,亡义取利是一病,
好色坏德是一病,专心系爱是一病,
憎欲无理是一病,纵贪蔽过是一病,
毁人自誉是一病,擅变自可是一病,
轻口喜言是一病,快意遂非是一病,
以智轻人是一病,乘权纵横是一病,
非人自是是一病,侮易孤寡是一病,
以力胜人是一病,威势自协是一病,
语欲胜人是一病,贷不念偿是一病,
曲人自直是一病,以直伤人是一病,
与恶人交是一病,喜怒自伐是一病,
愚人自贤是一病,以功自矜是一病,
诽议名贤是一病,以劳自怨是一病,
以虚为实是一病,喜说人过是一病,
以富骄人是一病,以贱讪贵是一病,
谗人求媚是一病,以德自显是一病,
以贵轻人是一病,以贫妒富是一病,
败人成功是一病,以私乱公是一病,
好自掩饰是一病,危人自安是一病,
阴阳嫉妒是一病,激厉旁悖是一病,
多憎少爱是一病,坚执争斗是一病,
推负著人是一病,文拒钩锡是一病,
持人长短是一病,假人自信是一病,
施人望报是一病,无施责人是一病,
与人追悔是一病,好自怨憎是一病,
好杀虫畜是一病,蛊道厌人是一病,
毁訾高才是一病,憎人胜己是一病,
毒药鸩饮是一病,心不平等是一病,
以贤唝嗃是一病,追念旧恶是一病,
不受谏谕是一病,内疏外亲是一病,
投书败人是一病,笑愚痴人是一病,
烦苛轻躁是一病,擿捶无理是一病,
好自作正是一病,多疑少信是一病,
笑颠狂人是一病,蹲踞无礼是一病,
丑言恶语是一病,轻慢老少是一病,
恶态丑对是一病,了戾自用是一病,
好喜嗜笑是一病,当权任性是一病,
诡谲谀谄是一病,嗜得怀诈是一病,
两舌无信是一病,乘酒凶横是一病,
骂詈风雨是一病,恶言好杀是一病,
教人堕胎是一病,干预人事是一病,
钻穴窥人是一病,不借怀怨是一病,
负债逃走是一病,背向异词是一病,
喜抵捍戾是一病,调戏必固是一病,
故迷误人是一病,探巢破卵是一病,
惊胎损形是一病,水火败伤是一病,
笑盲聋哑是一病,乱人嫁娶是一病,
教人捶擿是一病,教人作恶是一病,
含祸离爱是一病,唱祸道非是一病,
见货欲得是一病,强夺人物是一病。
此为百病也。人能一念,除此百病。日逐检点,使一病不作,决无灾害痛苦,烦恼凶危。不惟自己保命延年,子孙百世,永受其福矣。
大藏经曰:古之圣人,其为善也,无小而不崇。其于恶也,无微而不改。改恶崇善,是药饵也。录所谓百药以治之:
思无邪僻是一药,行宽心和是一药,
动静有礼是一药,起居有度是一药,
近德远色是一药,清心寡欲是一药,
推分引义是一药,不取非分是一药,
虽憎犹爱是一药,心无嫉妒是一药,
教化愚顽是一药,谏正邪乱是一药,
戒敕恶仆是一药,开导迷误是一药,
扶接老幼是一药,心无狡诈是一药,
拔祸济难是一药,常行方便是一药,
怜孤恤寡是一药,矜贫救厄是一药,
位高下士是一药,语言谦逊是一药,
不负宿债是一药,愍慰笃信是一药,
敬爱卑微是一药,语言端悫是一药,
推直引曲是一药,不争是非是一药,
逢侵不鄙是一药,受辱能忍是一药,
扬善隐恶是一药,推好取丑是一药,
与多取少是一药,称叹贤良是一药,
见贤内省是一药,不自夸彰是一药,
推功引善是一药,不自伐善是一药,
不掩人功是一药,劳苦不恨是一药,
怀诚抱信是一药,覆蔽阴恶是一药,
崇尚胜己是一药,安贫自乐是一药,
不自尊大是一药,好成人功是一药,
不好阴谋是一药,得失不形是一药,
积德树恩是一药,生不骂詈是一药,
不评论人是一药,甜言美语是一药,
灾病自咎是一药,恶不归人是一药,
施不望报是一药,不杀生命是一药,
心平气和是一药,不忌人美是一药,
心静意定是一药,不念旧恶是一药,
匡邪弼恶是一药,听教伏善是一药,
忿怒能制是一药,不干求人是一药,
无思无虑是一药,尊奉高年是一药,
对人恭肃是一药,内修孝悌是一药,
恬静守分是一药,和悦妻孥是一药,
以食饮人是一药,助修善事是一药,
乐天知命是一药,远嫌避疑是一药,
宽舒大度是一药,敬信经典是一药,
息心抱道是一药,为善不倦是一药,
济度贫穷是一药,舍药救疾是一药,
信礼神佛是一药,知机知足是一药,
清闲无欲是一药,仁慈谦让是一药,
好生恶杀是一药,不宝厚藏是一药,
不犯禁忌是一药,节俭守中是一药,
谦己下人是一药,随事不慢是一药,
喜谈人德是一药,不造妄语是一药,
贵能援人是一药,富能救人是一药,
不尚争斗是一药,不淫妓眚是一药,
不生奸盗是一药,不怀咒厌是一药,
不乐词讼是一药,扶老挈幼是一药。
此为百药也。人有疾病,皆因过恶阴掩不见,故应以疾病,因缘饮食、风寒、恶气而起。由人犯违圣教,以致魂迷魄丧,不在形中,肌体空虚,神气不守,故风寒恶气得以中之。
是以有德者,虽处幽暗,不敢为非;虽居荣禄,不敢为恶。量体而衣,随分而食,虽富且贵,不敢恣欲;虽贫且贱,不敢为非。是以外无残暴,内无疾病也。吾人可不 以百病自究,以百药自治,养吾天和,一吾心志,作耆年颐寿之地也哉!”
【わたし達はおとな】
インタビュー:藤原季節と木竜麻生「1割が嫌う」かつてない恋愛映画 「わたし達はおとな」
「新たな恋愛映画」とは使い古された言葉だが、あえてそう言う。演劇界で今、最も注目を浴びている若手劇作家・演出家、加藤拓也のオリジナル脚本による長編映画監督デビュー作。生々しさと切迫感、リアリズムに徹した描写力に息をのむ。「菊とギロチン」の木竜麻生と「空白」の藤原季節と、若手実力派俳優2人が恋愛の危うさを体現。これまでの恋愛映画の限界をやすやすと超えた。
同せい中の大学生、妊娠が発覚して……
優実(木竜麻生)はデザインを学んでいる大学生。知人の演劇サークルのチラシ作りをきっかけに知り合った直哉(藤原季節)という恋人がいて、2人は半ば一緒に暮らしている。ある日、優実は自分が妊娠していることに気づくが、父親が直哉だと確信できずにいた。その事実を打ち明けられた直哉は現実を受け入れようとするが、2人の関係はしだいにきしみ、やがて崩れていく。
木竜が脚本を読んだときに感じたのは「知っている人がいっぱい(脚本の中に)いる。こういう人たちを知っている」という感覚だ。「セリフが、最初から最後までずっと面白い。こういう会話をさせるんだ」と感心し、できあがった作品を見て「良さが一段と際立っている。(セリフに)匂いがする」と独特の言葉で表現した。
藤原は23歳で加藤に出会ってから、作・演出の舞台の常連だが「初の長編映画が恋愛なんだー」と思ったという。加藤はこれまでの作品でも「父親や母親という呼び名が付く人たちの〝一つ前〟をずっと描いている」と説明する。
リハーサルにカメラも入れてしっかり時間をかける手法も加藤流で、現場に入ったら撮影は「一瞬で終わるほど」と2人は口をそろえる。アドリブはなし。「加藤さんは描きたいものを100%自分で決めているので、俳優に選択肢を与えることはほとんどない。現場で監督と話すことはわずか」と藤原が言えば、加藤演出は初めての木竜も「相手に集中するとか、役者本来のことをすれば帳尻が合う」と次第に慣れていった。
「この作品は、いつもとちがう」
優実から妊娠を告げられた直哉は、現実を理解したように取り繕うが本音は異なる。多くの女性は直哉の言葉や向き合い方に嫌悪感を募らせるだろう。
「自分たちの臆病さからあいまいな関係性を持続する、という人は多いかもしれない。ただ、役者としては女性から『何て男なのか』と大いに言われたい」と藤原は役柄に徹している。木竜も「分かることも分からないことも、どっちも面白い。100人見て100人面白いものより、10人は嫌い、という方が豊かだと思う」
藤原の役へのスタンスが個性的だ。「(役を)理解できないとテンションが上がるし、キャラクターとか十分に解釈できなくてもそのまま演じてしまう。演じながら少し理解する時もある」。不安はあるが「『分からないものは分からないままのほうがいい』というセリフが過去の加藤作品にあった。ある意味、理解しないまま現場に立つことを許容するようにしている。理解してもなお不安。フリをするのも怖いし、書かれてあることをまず言ってみる」と明快だ。
木竜の本作でのアプローチは「どうして今こういう流れになっているか、この脚本はそれがちゃんと落ちてくる」。2人は声をそろえるように語った。「この作品は、いつも(の作品)と違う」
あいまいな関係性が今っぽい
今の若者の多彩な面が矢継ぎ早に描かれているのも魅力の一つだ。藤原が解説してくれた。
「2人があいまいな関係に逃げ込んでしまうのは、あまり言いたくないが、今っぽい。他者への責任を恐れて、人と深く関わらない人は実際に多い。誰かと深く関わることは、本音で話したり傷つけ合ったりすること。でも、本音をぶちまける場所は、匿名のネットなどたくさんある。デモに行かなくても戦争反対の声はあげられるように。友人といても本音で話さなくていいし、意見のぶつかり合いも避けようとする」。恋愛もストレートに「僕とお付き合いしてください」と言わず、「あいまいに続けていくこともできる」。
優実と3人の女友達の関係性もそれに近い。「優実は話すことを1回のみこんでから言葉を発する。本音を言わずに話を合わせたほうが楽」と木竜も理解する。彼ら、彼女らの〝今っぽい〟距離感が垣間見える。「それでも連絡が来たらうれしいし、デートの約束にそわそわする」と木竜が口にすると、「だから、みんなメチャクチャさみしいんだと思う」と藤原が続ける。木竜もすかさず「その通り」と応じた。
優実と直哉は避妊についての会話もする。「コンドームをつける」とか「ピルを飲む」といった言葉も普通に出てくる。木竜が言う。「一瞬ドキッとするかもしれないが、そうした事実をちゃんと分かるように描いている」。脚本からは、大人になりきれない男女に対して、性についてきちんと向き合うべきだという主張が伝わってくる。
見る側、演じる側 双方に集中力
終盤の2人の演技は格闘技のような迫力だ。それでいて、別れる間際の駆け引きをする男女の会話が、リアリティーを持って、だらだらぐだぐだとスクリーンからあふれてくる。一連のやりとりは本作の白眉(はくび)だ。木竜は「カメラがあったことを覚えていない」と言い、藤原も「存在すら全く忘れていた。そんな状態になるのはめったにない」と語った。
「見る側も集中力がいる作品」と藤原が言えば、「演じる側の私も集中力が必要だった」と木竜。藤原は撮影を振り返って「青春ができる職業って最高です」と満足げに言い放った。ただ、今回は「役に入り込んでいいのは木竜さんで、僕は客観的にシーンを見ていることがあった。僕は入り込む役割ではない。意識的に半分は役に入り込んで、半分は冷静だった」。
木竜が反応する。「藤原さんは今まで共演したことのない(タイプの)役者さん。冷静さや距離感に、こっちが引いてしまうことがない。芝居の流れに乗っかっているのは、絶えず感じられる。初めて共演させてもらって体感した」。「ほめ言葉です」とにやり。
藤原が呼応する。「ラストの優実がご飯を食べているシーンとか、木竜さんは繊細さと強さを併せ持っている。優実が生きていこうとする姿がきっちり映っていた。これまでの作品もすごかったけど、今回さらにすごい。稀有(けう)な女優さんだ」
東京・新宿武蔵野館ほかで公開。
インタビュー:藤原季節と木竜麻生「1割が嫌う」かつてない恋愛映画 「わたし達はおとな」
「新たな恋愛映画」とは使い古された言葉だが、あえてそう言う。演劇界で今、最も注目を浴びている若手劇作家・演出家、加藤拓也のオリジナル脚本による長編映画監督デビュー作。生々しさと切迫感、リアリズムに徹した描写力に息をのむ。「菊とギロチン」の木竜麻生と「空白」の藤原季節と、若手実力派俳優2人が恋愛の危うさを体現。これまでの恋愛映画の限界をやすやすと超えた。
同せい中の大学生、妊娠が発覚して……
優実(木竜麻生)はデザインを学んでいる大学生。知人の演劇サークルのチラシ作りをきっかけに知り合った直哉(藤原季節)という恋人がいて、2人は半ば一緒に暮らしている。ある日、優実は自分が妊娠していることに気づくが、父親が直哉だと確信できずにいた。その事実を打ち明けられた直哉は現実を受け入れようとするが、2人の関係はしだいにきしみ、やがて崩れていく。
木竜が脚本を読んだときに感じたのは「知っている人がいっぱい(脚本の中に)いる。こういう人たちを知っている」という感覚だ。「セリフが、最初から最後までずっと面白い。こういう会話をさせるんだ」と感心し、できあがった作品を見て「良さが一段と際立っている。(セリフに)匂いがする」と独特の言葉で表現した。
藤原は23歳で加藤に出会ってから、作・演出の舞台の常連だが「初の長編映画が恋愛なんだー」と思ったという。加藤はこれまでの作品でも「父親や母親という呼び名が付く人たちの〝一つ前〟をずっと描いている」と説明する。
リハーサルにカメラも入れてしっかり時間をかける手法も加藤流で、現場に入ったら撮影は「一瞬で終わるほど」と2人は口をそろえる。アドリブはなし。「加藤さんは描きたいものを100%自分で決めているので、俳優に選択肢を与えることはほとんどない。現場で監督と話すことはわずか」と藤原が言えば、加藤演出は初めての木竜も「相手に集中するとか、役者本来のことをすれば帳尻が合う」と次第に慣れていった。
「この作品は、いつもとちがう」
優実から妊娠を告げられた直哉は、現実を理解したように取り繕うが本音は異なる。多くの女性は直哉の言葉や向き合い方に嫌悪感を募らせるだろう。
「自分たちの臆病さからあいまいな関係性を持続する、という人は多いかもしれない。ただ、役者としては女性から『何て男なのか』と大いに言われたい」と藤原は役柄に徹している。木竜も「分かることも分からないことも、どっちも面白い。100人見て100人面白いものより、10人は嫌い、という方が豊かだと思う」
藤原の役へのスタンスが個性的だ。「(役を)理解できないとテンションが上がるし、キャラクターとか十分に解釈できなくてもそのまま演じてしまう。演じながら少し理解する時もある」。不安はあるが「『分からないものは分からないままのほうがいい』というセリフが過去の加藤作品にあった。ある意味、理解しないまま現場に立つことを許容するようにしている。理解してもなお不安。フリをするのも怖いし、書かれてあることをまず言ってみる」と明快だ。
木竜の本作でのアプローチは「どうして今こういう流れになっているか、この脚本はそれがちゃんと落ちてくる」。2人は声をそろえるように語った。「この作品は、いつも(の作品)と違う」
あいまいな関係性が今っぽい
今の若者の多彩な面が矢継ぎ早に描かれているのも魅力の一つだ。藤原が解説してくれた。
「2人があいまいな関係に逃げ込んでしまうのは、あまり言いたくないが、今っぽい。他者への責任を恐れて、人と深く関わらない人は実際に多い。誰かと深く関わることは、本音で話したり傷つけ合ったりすること。でも、本音をぶちまける場所は、匿名のネットなどたくさんある。デモに行かなくても戦争反対の声はあげられるように。友人といても本音で話さなくていいし、意見のぶつかり合いも避けようとする」。恋愛もストレートに「僕とお付き合いしてください」と言わず、「あいまいに続けていくこともできる」。
優実と3人の女友達の関係性もそれに近い。「優実は話すことを1回のみこんでから言葉を発する。本音を言わずに話を合わせたほうが楽」と木竜も理解する。彼ら、彼女らの〝今っぽい〟距離感が垣間見える。「それでも連絡が来たらうれしいし、デートの約束にそわそわする」と木竜が口にすると、「だから、みんなメチャクチャさみしいんだと思う」と藤原が続ける。木竜もすかさず「その通り」と応じた。
優実と直哉は避妊についての会話もする。「コンドームをつける」とか「ピルを飲む」といった言葉も普通に出てくる。木竜が言う。「一瞬ドキッとするかもしれないが、そうした事実をちゃんと分かるように描いている」。脚本からは、大人になりきれない男女に対して、性についてきちんと向き合うべきだという主張が伝わってくる。
見る側、演じる側 双方に集中力
終盤の2人の演技は格闘技のような迫力だ。それでいて、別れる間際の駆け引きをする男女の会話が、リアリティーを持って、だらだらぐだぐだとスクリーンからあふれてくる。一連のやりとりは本作の白眉(はくび)だ。木竜は「カメラがあったことを覚えていない」と言い、藤原も「存在すら全く忘れていた。そんな状態になるのはめったにない」と語った。
「見る側も集中力がいる作品」と藤原が言えば、「演じる側の私も集中力が必要だった」と木竜。藤原は撮影を振り返って「青春ができる職業って最高です」と満足げに言い放った。ただ、今回は「役に入り込んでいいのは木竜さんで、僕は客観的にシーンを見ていることがあった。僕は入り込む役割ではない。意識的に半分は役に入り込んで、半分は冷静だった」。
木竜が反応する。「藤原さんは今まで共演したことのない(タイプの)役者さん。冷静さや距離感に、こっちが引いてしまうことがない。芝居の流れに乗っかっているのは、絶えず感じられる。初めて共演させてもらって体感した」。「ほめ言葉です」とにやり。
藤原が呼応する。「ラストの優実がご飯を食べているシーンとか、木竜さんは繊細さと強さを併せ持っている。優実が生きていこうとする姿がきっちり映っていた。これまでの作品もすごかったけど、今回さらにすごい。稀有(けう)な女優さんだ」
東京・新宿武蔵野館ほかで公開。
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