「屋内の閉鎖空間 急速拡大も」国の専門家会議見解【全文】
2020年3月2日
新型コロナウイルス対策の専門家会議は感染した人が最も多い北海道などのデータを分析したうえでの見解をまとめました。この中では、感染しても症状の軽い若い世代が気付かないうちに感染を広げてしまっていると考えられるとして、軽いかぜの症状でも外出を控え、風通しの悪い空間でのイベントにできるだけ行かないよう呼びかけています。
「新型コロナウイルス感染症対策の見解」(全文)
この見解は、新型コロナウイルス厚生労働省対策本部クラスター対策班が分析した内容に基づき、 専門家会議において検討した結果をまとめた見解です。
現在までに明らかになってきた情報をもとに、我々がどのように現状を分析し、どのような考え を持っているのかについて、市民に直接お伝えすることが専門家としての責務だと考え、この見解 をとりまとめました。
なお、この内容はあくまでも現時点の見解であり、随時、変更される可能性があります。
1.この一両日で明らかになったこと
(1)症状の軽い人からの感染拡大
これまでは症状の軽い人からも感染する可能性があると考えられていましたが、この一両日中に 北海道などのデータの分析から明らかになってきたことは、症状の軽い人も、気がつかないうちに、 感染拡大に重要な役割を果たしてしまっていると考えられることです。なかでも、若年層は重症化 する割合が非常に低く、感染拡大の状況が見えないため、結果として多くの中高年層に感染が及ん でいると考えられます。
(2)一定条件を満たす場所からの感染拡大
これまでに国内で感染が確認された方のうち重症・軽症に関わらず約80%の方は、他の人に感染させていません。
一方で、一定条件を満たす場所において、一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されています。具体的には、ライブハウス、スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、 スキーのゲストハウス、密閉された仮設テント等です。このことから、屋内の閉鎖的な空間で、人と 人とが至近距離で、一定時間以上交わることによって、患者集団(クラスター)が発生する可能性が 示唆されます。そして、患者集団(クラスター)が次の集団(クラスター)を生むことが、感染の急 速な拡大を招くと考えられます。
(3)重症化する患者さんについて
これまでにわかってきたデータでは、感染が確認された症状のある人の約80%が軽症、14%が重症、6%が重篤となっています。しかし、重症化した人も、約半数は回復しています。
重症化する患者さんも、最初は普通の風邪症状(微熱、咽頭痛、咳など)から始まっており、その段階では重症化するかどうかの区別がつきにくいです。 重症化する患者さんは、普通の風邪症状が出てから約5~7日程度で、症状が急速に悪化し、肺炎に至っています。
2.現在の北海道の感染状況
推定される発症者数は、日毎に急速に増加していると考えられます。しかし、この1-2週間の 間に、人と人との接触を可能な限り控えるなど、積極的な対応を行えば、感染拡大を急速に収束さ せることが可能です。しかし、そうした対策を実施しないと、急速に北海道全体に感染者が拡大す る恐れがあります。
3.なぜこのような感染状況に至っているか
(1)北海道における地域的特徴
都市部には、人口が多く、社会・経済活動の活発な若年層が集中していますが、他の圏域には重症 化のおそれのある高齢者が多く住んでいるという特徴があります。また、北海道の6圏域間の人の 移動は、都市部と他の圏域との間での流動が多い状況です。
(2)北海道における感染の特徴
北海道には中国からの旅行者が多く、そうした人々から感染が広がったと考えられます。北海道 全体をすべて覆うほどの感染状況にはなっていませんが、北海道全域に感染者が点在している状況 です。また、人口比率で考えると、圧倒的に遠隔地で感染者の報告数が多い状況です。
(3)現状に至った理由
都市部においては、社会・経済活動が活発な人々が、感染のリスクが高い場所に多く集まりやす く、気づかないうちに感染していたと考えられます。なかでも、若年層に、症状の軽い人が多いと考 えられ、そうした人々の一部の人が他の圏域に移動することで、北海道の複数の地域に感染が拡大 し、感染した高齢者のなかから症状が出たことが報告されたことによって、感染の拡大状況がはじ めて把握できたと考えられます。
4.北海道で実施すべき対策
感染を急速に収束の方向に向かわせるためには、人と人との接触を最大限に避けることが必須で す。これを、いま集中して実施すべきです。
もし、こうした対策が行われず、人々が何も行動を変化させない場合、感染者数が急増し(赤い上 昇線)、一定の潜伏期間後に発症者数も急増することが予想されます(青い上昇線)。その一部の方々は、重症化する可能性があります。こうした事態に至ると、多くの人々に健康被害をもたらすほか、 医療提供体制に甚大な悪影響を及ぼす事態を招きます。
しかし、現時点で、人々が急速な感染拡大を抑制するために適切な行動へ切り替えれば、新規の 感染者数は急速に減少していくと見込まれます(赤い点線)。これがうまくいけば、今後、患者数が 急激に増えることはありません(青い点線)。ただし、潜伏期間があるため、患者数の減少が確認で きるまでにはタイムラグがありますので、人々の行動が大きく変わってから2週間ほど経過しない と、その効果を評価することはできません。
なお、感染症のなかには、大多数の人々が感染することによって、感染の連鎖が断ち切られ、感染 していない人を保護する仕組みが機能できるものもあります(集団免疫の獲得)。しかし、現在の感 染状況は集団免疫を期待できるレベルではありません。
また、一度感染した人が再び感染するかどうかは、まだわかっていません。
6.北海道の皆様ができること
武漢では、社会機能を停止させることによって感染拡大の収束に向かっていますが、現時点では、 日本では社会機能を可能な限り維持しつつ、感染拡大を最大限に抑制することが求められています。 そのためには、できる限り多くの人々に、次のような行動をとっていただきたいと考えています。
①軽い風邪症状(のどの痛みだけ、咳だけ、発熱だけなど)でも外出を控えること
② 規模の大小に関わらず、風通しの悪い空間で人と人が至近距離で会話する場所やイベントにで きるだけ行かないこと(例えば、ライブハウス、カラオケボックス、クラブ、立食パーティー、 自宅での大人数での飲み会など)
ただし、症状のない方にとって、屋外での活動や、人との接触が少ない活動をすること(例えば、散歩、ジョギング、買い物、美術鑑賞など)、手を伸ばして相手に届かない程度の距離をとって会話 をすることなどは、感染のリスクが低い活動です。
北海道の事業者の方へのお願い
上述したように、症状が軽く、経済・社会活動が活発な人々を介して、感染が静かに拡大している ことが、今回、明らかになってきました。したがって、事業所等における活動も、テレワーク、リモ ートワーク、オンライン会議など、人と人が接触しない形態を大いに活用してください。出張も最 低限に抑制して下さい。
ただし、社会機能の維持に関わる事業者や医療機関においては、事業や診療の継続が必要です。 国民生活に影響を及ぼさないように、感染防御に十分注意して事業や診療を行ってください。
6.全国の若者の皆さんへのお願い
10 代、20代、30代の皆さん。
若者世代は、新型コロナウイルス感染による重症化リスクは低いです。
でも、このウイルスの特徴のせいで、こうした症状の軽い人が、
重症化するリスクの高い人に感染を広めてしまう可能性があります。
皆さんが、人が集まる風通しが悪い場所を避けるだけで、
多くの人々の重症化を食い止め、命を救えます。
2020年3月2日
新型コロナウイルス対策の専門家会議は感染した人が最も多い北海道などのデータを分析したうえでの見解をまとめました。この中では、感染しても症状の軽い若い世代が気付かないうちに感染を広げてしまっていると考えられるとして、軽いかぜの症状でも外出を控え、風通しの悪い空間でのイベントにできるだけ行かないよう呼びかけています。
「新型コロナウイルス感染症対策の見解」(全文)
この見解は、新型コロナウイルス厚生労働省対策本部クラスター対策班が分析した内容に基づき、 専門家会議において検討した結果をまとめた見解です。
現在までに明らかになってきた情報をもとに、我々がどのように現状を分析し、どのような考え を持っているのかについて、市民に直接お伝えすることが専門家としての責務だと考え、この見解 をとりまとめました。
なお、この内容はあくまでも現時点の見解であり、随時、変更される可能性があります。
1.この一両日で明らかになったこと
(1)症状の軽い人からの感染拡大
これまでは症状の軽い人からも感染する可能性があると考えられていましたが、この一両日中に 北海道などのデータの分析から明らかになってきたことは、症状の軽い人も、気がつかないうちに、 感染拡大に重要な役割を果たしてしまっていると考えられることです。なかでも、若年層は重症化 する割合が非常に低く、感染拡大の状況が見えないため、結果として多くの中高年層に感染が及ん でいると考えられます。
(2)一定条件を満たす場所からの感染拡大
これまでに国内で感染が確認された方のうち重症・軽症に関わらず約80%の方は、他の人に感染させていません。
一方で、一定条件を満たす場所において、一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されています。具体的には、ライブハウス、スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、 スキーのゲストハウス、密閉された仮設テント等です。このことから、屋内の閉鎖的な空間で、人と 人とが至近距離で、一定時間以上交わることによって、患者集団(クラスター)が発生する可能性が 示唆されます。そして、患者集団(クラスター)が次の集団(クラスター)を生むことが、感染の急 速な拡大を招くと考えられます。
(3)重症化する患者さんについて
これまでにわかってきたデータでは、感染が確認された症状のある人の約80%が軽症、14%が重症、6%が重篤となっています。しかし、重症化した人も、約半数は回復しています。
重症化する患者さんも、最初は普通の風邪症状(微熱、咽頭痛、咳など)から始まっており、その段階では重症化するかどうかの区別がつきにくいです。 重症化する患者さんは、普通の風邪症状が出てから約5~7日程度で、症状が急速に悪化し、肺炎に至っています。
2.現在の北海道の感染状況
推定される発症者数は、日毎に急速に増加していると考えられます。しかし、この1-2週間の 間に、人と人との接触を可能な限り控えるなど、積極的な対応を行えば、感染拡大を急速に収束さ せることが可能です。しかし、そうした対策を実施しないと、急速に北海道全体に感染者が拡大す る恐れがあります。
3.なぜこのような感染状況に至っているか
(1)北海道における地域的特徴
都市部には、人口が多く、社会・経済活動の活発な若年層が集中していますが、他の圏域には重症 化のおそれのある高齢者が多く住んでいるという特徴があります。また、北海道の6圏域間の人の 移動は、都市部と他の圏域との間での流動が多い状況です。
(2)北海道における感染の特徴
北海道には中国からの旅行者が多く、そうした人々から感染が広がったと考えられます。北海道 全体をすべて覆うほどの感染状況にはなっていませんが、北海道全域に感染者が点在している状況 です。また、人口比率で考えると、圧倒的に遠隔地で感染者の報告数が多い状況です。
(3)現状に至った理由
都市部においては、社会・経済活動が活発な人々が、感染のリスクが高い場所に多く集まりやす く、気づかないうちに感染していたと考えられます。なかでも、若年層に、症状の軽い人が多いと考 えられ、そうした人々の一部の人が他の圏域に移動することで、北海道の複数の地域に感染が拡大 し、感染した高齢者のなかから症状が出たことが報告されたことによって、感染の拡大状況がはじ めて把握できたと考えられます。
4.北海道で実施すべき対策
感染を急速に収束の方向に向かわせるためには、人と人との接触を最大限に避けることが必須で す。これを、いま集中して実施すべきです。
もし、こうした対策が行われず、人々が何も行動を変化させない場合、感染者数が急増し(赤い上 昇線)、一定の潜伏期間後に発症者数も急増することが予想されます(青い上昇線)。その一部の方々は、重症化する可能性があります。こうした事態に至ると、多くの人々に健康被害をもたらすほか、 医療提供体制に甚大な悪影響を及ぼす事態を招きます。
しかし、現時点で、人々が急速な感染拡大を抑制するために適切な行動へ切り替えれば、新規の 感染者数は急速に減少していくと見込まれます(赤い点線)。これがうまくいけば、今後、患者数が 急激に増えることはありません(青い点線)。ただし、潜伏期間があるため、患者数の減少が確認で きるまでにはタイムラグがありますので、人々の行動が大きく変わってから2週間ほど経過しない と、その効果を評価することはできません。
なお、感染症のなかには、大多数の人々が感染することによって、感染の連鎖が断ち切られ、感染 していない人を保護する仕組みが機能できるものもあります(集団免疫の獲得)。しかし、現在の感 染状況は集団免疫を期待できるレベルではありません。
また、一度感染した人が再び感染するかどうかは、まだわかっていません。
6.北海道の皆様ができること
武漢では、社会機能を停止させることによって感染拡大の収束に向かっていますが、現時点では、 日本では社会機能を可能な限り維持しつつ、感染拡大を最大限に抑制することが求められています。 そのためには、できる限り多くの人々に、次のような行動をとっていただきたいと考えています。
①軽い風邪症状(のどの痛みだけ、咳だけ、発熱だけなど)でも外出を控えること
② 規模の大小に関わらず、風通しの悪い空間で人と人が至近距離で会話する場所やイベントにで きるだけ行かないこと(例えば、ライブハウス、カラオケボックス、クラブ、立食パーティー、 自宅での大人数での飲み会など)
ただし、症状のない方にとって、屋外での活動や、人との接触が少ない活動をすること(例えば、散歩、ジョギング、買い物、美術鑑賞など)、手を伸ばして相手に届かない程度の距離をとって会話 をすることなどは、感染のリスクが低い活動です。
北海道の事業者の方へのお願い
上述したように、症状が軽く、経済・社会活動が活発な人々を介して、感染が静かに拡大している ことが、今回、明らかになってきました。したがって、事業所等における活動も、テレワーク、リモ ートワーク、オンライン会議など、人と人が接触しない形態を大いに活用してください。出張も最 低限に抑制して下さい。
ただし、社会機能の維持に関わる事業者や医療機関においては、事業や診療の継続が必要です。 国民生活に影響を及ぼさないように、感染防御に十分注意して事業や診療を行ってください。
6.全国の若者の皆さんへのお願い
10 代、20代、30代の皆さん。
若者世代は、新型コロナウイルス感染による重症化リスクは低いです。
でも、このウイルスの特徴のせいで、こうした症状の軽い人が、
重症化するリスクの高い人に感染を広めてしまう可能性があります。
皆さんが、人が集まる風通しが悪い場所を避けるだけで、
多くの人々の重症化を食い止め、命を救えます。
相手の中に映る「予想外の自分」を
どう受け入れるか
大切な人が自分の思っていた姿と異なる面を持っていた時、また、相手から見えている自分が予想外の姿だった時、そのギャップに戸惑ってしまい、どう対応してよいか迷ってしまった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
家族、友人、仕事相手、恋人。私たちは、それぞれの関係性の中で、いくつもの異なる顔を持っています。映画『影裏』(2月14日公開)は、そんな人の多面性や、誰もが持っている「影」の部分やそのまた「裏」の姿を描いた作品です。今作で松田龍平さんは、主人公が見知らぬ土地で心を許したただ一人の友人でありながら、ある日突然姿を消してしまう、ミステリアスで謎の多い男・日浅を演じました。
松田さんは、「自分が思う」自分の姿と、「相手から見えている」自分の姿にギャップを感じた時、そのギャップを埋めたり否定したりするのではなく、「それをどう受け入れるか」を考えるのだそうです。ひとつのことに固執せず、流れに身を任せるという松田さんの言葉からは、どんな作品にでも自然体で佇むことのできる、その理由が見えてきました。
自分にも相手にも固執しないことで、
その先にある可能性を見つける
——『影裏』での第2回海南島国際映画祭ベストアクター(最優秀俳優賞)受賞おめでとうございます! 綾野剛さん、大友啓史監督と出席されていましたが、現地の雰囲気はいかがでしたか?
松田 観客の皆様が温かく迎え入れてくれましたね。会場には5000人近くの方が集まっていたと聞いていますが、その熱気も感じました。
——受賞が発表された時、驚いてキョトンとされていたように感じました。
松田 そうですね、セレモニーを観ていて、つい自分もいち観客のような気分になってしまっていたので、本当に驚きました。
——いろんな意味でびっくりされたと(笑)。
松田 まさか自分が賞をいただけるとは思ってもいなかったので。
——受賞スピーチでは「何の言葉も用意していなくて」とおっしゃっていました。
松田 そうですね、今思い返しても、あの時は驚いていて余裕がなかったですね。
——映画祭で、一緒に登壇された綾野剛さんは「龍平君との時間が長かったので彼との時間をすごく大切にしました」とおっしゃっていましたね。綾野さんが演じた主人公・今野と日浅の関係性が、盛岡の自然に重ねられながら描かれた今作で何度も登場する“釣りのシーン”は、二人が関係を深めていく場面として印象深かったです。
松田 最初に台本を読んだ時、釣りが上手いという設定なんですが、これまでまともに魚を触ったこともなかったので、「大丈夫かな」とまず思いました(笑)。
——(笑)。
松田 でも、その釣りのシーンが、日浅と今野の感情が行き交う大切なシーンでもあったので、撮影前に実際に盛岡に行って渓流釣りのレッスンを受けたんです。
——今作では「川」や「雨」など、“水”が重要なモチーフとなっています。日浅の行動と、水の変容が並行して進んでいきましたが、それは松田さんの演技に触発された表現だと大友さんがおっしゃっていました。
松田 この映画の中で僕が演じた日浅というキャラクターは、今野から見えている側面と、家族や同僚など他の視点から語られる側面と、様々な目線から描かれているんですよね。いろんな人の目線から語られる人って実態がつかめないじゃないですか。かといって、自分で「ミステリアスだ」と意識して演じるのもおかしいし。
だから、今野を演じる綾野君と、会話をキャッチボールしていく中で見えてくる日浅を大事にしていました。始めは戸惑いもありましたけど。
——映画祭で綾野さんは、「まずは演じるというよりもその人物を生きるという感覚が強いです。映画の中でちゃんと生活するということを心掛けました」ともおっしゃっていましたが、松田さんもご自身の感覚を大切にされていたと。
松田 シーンを積み重ねていくことで、つかんでいくことが多かったかもしれないです。そうやって現場で感じたことから、役の可能性を広げていくのが楽しかったですね。
こうやって色々話していたら、結構楽しんで演じていたことを思い出しました(笑)。
——楽しかったんですね(笑)。
松田 大友監督は、セリフが終わってもカットをかけずに撮り続けることが多かったんですが、それも楽しかったです。
——大友監督は松田さんについて、「一人の等身大の人物として、日浅の足を地につけさせようとする姿に刺激を受けた」と現場での印象を語っています。
松田 日浅に限らず、人って誰しもいろんな側面を持っているんじゃないかなと思っていました。自分が思う自分自身と、人から見えている自分の姿って違うこともあるじゃないですか。それは家族だったり親友だったりと、相手との関係性によっても変わるし、そういう、人から見えている自分の姿を知ることで、「自分ってこういう人間なんだな」と形作られていく。
今回の『影裏』というタイトルにもあるように、人は誰でもそういう多面性を持っていると思うんです。だから、日浅も普通に生きているだけで、彼だけが何か特別なわけではないと捉えていました。
——松田さんも、自分が思う自身の姿と、人から見えている印象にギャップを感じることはありますか?
松田 「自分ではそんなつもりじゃなかったのに、そんな風に捉えられていたんだ」と、後から思うことはありますね。
——そういう時は、そのギャップを埋めようとしますか?
松田 ネガティブに受け止められていたら、誤解をときたいとは思いますね。 でも、相手の中にある自分の姿、というのはコントロールできないことだと僕は思うので、ある程度は仕方ないと割り切っています。それよりも、相手が見ている「自分」をどう受け入れるのか、ということじゃないかなって。
——今作の中でも、日浅が、今野の中に映っていた予想外の自分の姿に、戸惑う場面がありますよね。
松田 そうですね。日浅は「え、お前そんな風に俺のこと見てたの?」という驚きがあって一度は拒絶するんですが、その後、二人で夜釣りに行くキャンプの焚き火のシーンで、日浅は今野が見ていた「予想外の自分の姿」を、少し受け入れようとしたんじゃないかと思って演じていました。
——ネタバレになるので詳しくは語れませんが、今野が見ていた「予想外の自分の姿」を日浅が受け入れるということは、相当柔軟に「他人の自分像」を受け入れないといけない気がします。
松田 僕自身も人が自分に対してどう思っているかということをコントロールしたいというよりは、そこに対してどう対応していくか、ということを考える方かもしれません。そういう意味では、日浅の人との付き合い方に似ているかもしれないですね。
「心が動く瞬間」を逃さないように
——綾野さんと松田さん演じる今野と日浅は、釣りをしたりお酒を酌み交わしたりすることで意気投合していきますが、松田さん自身は、どういう時間を重ねると人と距離が縮まっていきますか?
松田 食事を一緒にしたからとか、長い時間話したからとか、特にこれというきっかけはないかもしれないですね。一緒に過ごして楽しかったとは思うけど、一生の友だちになれるかどうかはまた別というか。
そういう意味では、僕は人との付き合いも、自分で選んでいるようで選んでいない、わりと流れに身を任せるようなところがあって。
——日浅は、あれだけ同じ時間を共にした今野の元も、あっさり去ってしまいますよね。その行動も、共感できる部分はありますか?
松田 ひとつのことに固執しない感じは、僕もわかります。きっと日浅は、自分が当たり障りなく誰とでも付き合える性格だから、物静かで内向的な今野に対して、興味を持ったと思うんです。どんな奴か知りたい、と思ったんでしょうね。
でもそれで仲良くなっても、その後、他に優先することや心の動くことがあったら、流れに身を任せていくのかなと。自分の興味主体で、正直に生きているのが日浅なのかなと思います。
——松田さんが固執しないというのは、人間関係でもお仕事の中でも同じでしょうか?
松田 ひとつの考えに固執しないことが多いですね。映画の現場も、今回は役のイメージをあまり固めずに撮影に行ったんですが、作品によってはもっと作り込んでいくこともあります。
こだわりとか固執することで、大事な瞬間を逃すんじゃないかなという気がしていて。自分の気持ちが動いた時にちゃんと行動できるような人間でいたい、と思います。それは仕事でも、普段の人付き合いでも、同じですね。
——お忙しいと思うのですが、映画館には最近行かれていますか?
松田 そうですね、最近だと『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)を観に行きましたね。
——1969年のハリウッドを舞台に、かつて西部劇のスターであった落ち目の俳優と、彼の付き人の専属スタントマン、二人の姿を描いた作品ですね。レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの初共演作としても、話題になりました。
松田 役者としての生き様を見せつけられました。自分に重ねるつもりはなくても、仕事柄、おのずと重ねて観てしまいますよね。
どう受け入れるか
大切な人が自分の思っていた姿と異なる面を持っていた時、また、相手から見えている自分が予想外の姿だった時、そのギャップに戸惑ってしまい、どう対応してよいか迷ってしまった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
家族、友人、仕事相手、恋人。私たちは、それぞれの関係性の中で、いくつもの異なる顔を持っています。映画『影裏』(2月14日公開)は、そんな人の多面性や、誰もが持っている「影」の部分やそのまた「裏」の姿を描いた作品です。今作で松田龍平さんは、主人公が見知らぬ土地で心を許したただ一人の友人でありながら、ある日突然姿を消してしまう、ミステリアスで謎の多い男・日浅を演じました。
松田さんは、「自分が思う」自分の姿と、「相手から見えている」自分の姿にギャップを感じた時、そのギャップを埋めたり否定したりするのではなく、「それをどう受け入れるか」を考えるのだそうです。ひとつのことに固執せず、流れに身を任せるという松田さんの言葉からは、どんな作品にでも自然体で佇むことのできる、その理由が見えてきました。
自分にも相手にも固執しないことで、
その先にある可能性を見つける
——『影裏』での第2回海南島国際映画祭ベストアクター(最優秀俳優賞)受賞おめでとうございます! 綾野剛さん、大友啓史監督と出席されていましたが、現地の雰囲気はいかがでしたか?
松田 観客の皆様が温かく迎え入れてくれましたね。会場には5000人近くの方が集まっていたと聞いていますが、その熱気も感じました。
——受賞が発表された時、驚いてキョトンとされていたように感じました。
松田 そうですね、セレモニーを観ていて、つい自分もいち観客のような気分になってしまっていたので、本当に驚きました。
——いろんな意味でびっくりされたと(笑)。
松田 まさか自分が賞をいただけるとは思ってもいなかったので。
——受賞スピーチでは「何の言葉も用意していなくて」とおっしゃっていました。
松田 そうですね、今思い返しても、あの時は驚いていて余裕がなかったですね。
——映画祭で、一緒に登壇された綾野剛さんは「龍平君との時間が長かったので彼との時間をすごく大切にしました」とおっしゃっていましたね。綾野さんが演じた主人公・今野と日浅の関係性が、盛岡の自然に重ねられながら描かれた今作で何度も登場する“釣りのシーン”は、二人が関係を深めていく場面として印象深かったです。
松田 最初に台本を読んだ時、釣りが上手いという設定なんですが、これまでまともに魚を触ったこともなかったので、「大丈夫かな」とまず思いました(笑)。
——(笑)。
松田 でも、その釣りのシーンが、日浅と今野の感情が行き交う大切なシーンでもあったので、撮影前に実際に盛岡に行って渓流釣りのレッスンを受けたんです。
——今作では「川」や「雨」など、“水”が重要なモチーフとなっています。日浅の行動と、水の変容が並行して進んでいきましたが、それは松田さんの演技に触発された表現だと大友さんがおっしゃっていました。
松田 この映画の中で僕が演じた日浅というキャラクターは、今野から見えている側面と、家族や同僚など他の視点から語られる側面と、様々な目線から描かれているんですよね。いろんな人の目線から語られる人って実態がつかめないじゃないですか。かといって、自分で「ミステリアスだ」と意識して演じるのもおかしいし。
だから、今野を演じる綾野君と、会話をキャッチボールしていく中で見えてくる日浅を大事にしていました。始めは戸惑いもありましたけど。
——映画祭で綾野さんは、「まずは演じるというよりもその人物を生きるという感覚が強いです。映画の中でちゃんと生活するということを心掛けました」ともおっしゃっていましたが、松田さんもご自身の感覚を大切にされていたと。
松田 シーンを積み重ねていくことで、つかんでいくことが多かったかもしれないです。そうやって現場で感じたことから、役の可能性を広げていくのが楽しかったですね。
こうやって色々話していたら、結構楽しんで演じていたことを思い出しました(笑)。
——楽しかったんですね(笑)。
松田 大友監督は、セリフが終わってもカットをかけずに撮り続けることが多かったんですが、それも楽しかったです。
——大友監督は松田さんについて、「一人の等身大の人物として、日浅の足を地につけさせようとする姿に刺激を受けた」と現場での印象を語っています。
松田 日浅に限らず、人って誰しもいろんな側面を持っているんじゃないかなと思っていました。自分が思う自分自身と、人から見えている自分の姿って違うこともあるじゃないですか。それは家族だったり親友だったりと、相手との関係性によっても変わるし、そういう、人から見えている自分の姿を知ることで、「自分ってこういう人間なんだな」と形作られていく。
今回の『影裏』というタイトルにもあるように、人は誰でもそういう多面性を持っていると思うんです。だから、日浅も普通に生きているだけで、彼だけが何か特別なわけではないと捉えていました。
——松田さんも、自分が思う自身の姿と、人から見えている印象にギャップを感じることはありますか?
松田 「自分ではそんなつもりじゃなかったのに、そんな風に捉えられていたんだ」と、後から思うことはありますね。
——そういう時は、そのギャップを埋めようとしますか?
松田 ネガティブに受け止められていたら、誤解をときたいとは思いますね。 でも、相手の中にある自分の姿、というのはコントロールできないことだと僕は思うので、ある程度は仕方ないと割り切っています。それよりも、相手が見ている「自分」をどう受け入れるのか、ということじゃないかなって。
——今作の中でも、日浅が、今野の中に映っていた予想外の自分の姿に、戸惑う場面がありますよね。
松田 そうですね。日浅は「え、お前そんな風に俺のこと見てたの?」という驚きがあって一度は拒絶するんですが、その後、二人で夜釣りに行くキャンプの焚き火のシーンで、日浅は今野が見ていた「予想外の自分の姿」を、少し受け入れようとしたんじゃないかと思って演じていました。
——ネタバレになるので詳しくは語れませんが、今野が見ていた「予想外の自分の姿」を日浅が受け入れるということは、相当柔軟に「他人の自分像」を受け入れないといけない気がします。
松田 僕自身も人が自分に対してどう思っているかということをコントロールしたいというよりは、そこに対してどう対応していくか、ということを考える方かもしれません。そういう意味では、日浅の人との付き合い方に似ているかもしれないですね。
「心が動く瞬間」を逃さないように
——綾野さんと松田さん演じる今野と日浅は、釣りをしたりお酒を酌み交わしたりすることで意気投合していきますが、松田さん自身は、どういう時間を重ねると人と距離が縮まっていきますか?
松田 食事を一緒にしたからとか、長い時間話したからとか、特にこれというきっかけはないかもしれないですね。一緒に過ごして楽しかったとは思うけど、一生の友だちになれるかどうかはまた別というか。
そういう意味では、僕は人との付き合いも、自分で選んでいるようで選んでいない、わりと流れに身を任せるようなところがあって。
——日浅は、あれだけ同じ時間を共にした今野の元も、あっさり去ってしまいますよね。その行動も、共感できる部分はありますか?
松田 ひとつのことに固執しない感じは、僕もわかります。きっと日浅は、自分が当たり障りなく誰とでも付き合える性格だから、物静かで内向的な今野に対して、興味を持ったと思うんです。どんな奴か知りたい、と思ったんでしょうね。
でもそれで仲良くなっても、その後、他に優先することや心の動くことがあったら、流れに身を任せていくのかなと。自分の興味主体で、正直に生きているのが日浅なのかなと思います。
——松田さんが固執しないというのは、人間関係でもお仕事の中でも同じでしょうか?
松田 ひとつの考えに固執しないことが多いですね。映画の現場も、今回は役のイメージをあまり固めずに撮影に行ったんですが、作品によってはもっと作り込んでいくこともあります。
こだわりとか固執することで、大事な瞬間を逃すんじゃないかなという気がしていて。自分の気持ちが動いた時にちゃんと行動できるような人間でいたい、と思います。それは仕事でも、普段の人付き合いでも、同じですね。
——お忙しいと思うのですが、映画館には最近行かれていますか?
松田 そうですね、最近だと『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)を観に行きましたね。
——1969年のハリウッドを舞台に、かつて西部劇のスターであった落ち目の俳優と、彼の付き人の専属スタントマン、二人の姿を描いた作品ですね。レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの初共演作としても、話題になりました。
松田 役者としての生き様を見せつけられました。自分に重ねるつもりはなくても、仕事柄、おのずと重ねて観てしまいますよね。
原创TV动画《前说!》新视觉图公布,2020年放送。该作是由《幸运星》作者美水镜担任原案的新“美水镜剧场”动画。
作品讲述四位19岁的少女追逐成为搞笑艺人的梦想的青春故事。
【CAST】
【とこなつ】
北風ふぶき:大西亜玖璃
凩まふゆ:大空直美
【R凸】
新谷りん:五十嵐裕美
朝生祇なゆた:中村桜
【つんどら】
凩まなつ:高田憂希
金成かなえ:古木のぞみ
【JKクール】
草葉える:相田あすか
藁猪野あらし:清水彩香
【ふりいくっ!】
富田純基:富田純基
うぶのハツナ:うぶのハツナ
【BANBANBAN】
山本正剛:山本正剛
鮫島一六三:鮫島一六三
中間はじめ(朝生祇なゆたの姉):村井理沙子
男爵邸店長(誠実な人):荻野晴朗
男爵邸カーロス・アリ(ダンディ):利根健太郎
男爵邸けいこおばちゃん(実はいい人):下田レイ
【STAFF】
原作:むげんだい∞
原作イラスト:美水かがみ
监督:信田悠
系列构成:待田堂子
脚本:待田堂子、梧桐翔大、ジョー伊藤
角色设计:平田雄三
总作画监督:小关雅、山内尚树
衣装设计:早川加寿子
道具设计:コレサワシゲユキ(デジタルノイズ)、灯梦(デジタルノイズ)
色彩设计:松山爱子
美术监督:松本浩树
背景:アトリエPlatz
摄影监督:林コージロー
摄影:Graphinica
编集:武宫むつみ
音响监督:鹤冈阳太
音乐:神前晓・MONACA
音乐Producer:斋藤滋
アニメーションProducer:富冈哲也
企画Producer:伊藤敦・加藤刚
ネタ监修:天津向
ネタ制作:待田堂子・梧桐翔大
企画协力:吉本兴業
动画制作:Studio五组/AXsiZ
制作:ファームクラス
作品讲述四位19岁的少女追逐成为搞笑艺人的梦想的青春故事。
【CAST】
【とこなつ】
北風ふぶき:大西亜玖璃
凩まふゆ:大空直美
【R凸】
新谷りん:五十嵐裕美
朝生祇なゆた:中村桜
【つんどら】
凩まなつ:高田憂希
金成かなえ:古木のぞみ
【JKクール】
草葉える:相田あすか
藁猪野あらし:清水彩香
【ふりいくっ!】
富田純基:富田純基
うぶのハツナ:うぶのハツナ
【BANBANBAN】
山本正剛:山本正剛
鮫島一六三:鮫島一六三
中間はじめ(朝生祇なゆたの姉):村井理沙子
男爵邸店長(誠実な人):荻野晴朗
男爵邸カーロス・アリ(ダンディ):利根健太郎
男爵邸けいこおばちゃん(実はいい人):下田レイ
【STAFF】
原作:むげんだい∞
原作イラスト:美水かがみ
监督:信田悠
系列构成:待田堂子
脚本:待田堂子、梧桐翔大、ジョー伊藤
角色设计:平田雄三
总作画监督:小关雅、山内尚树
衣装设计:早川加寿子
道具设计:コレサワシゲユキ(デジタルノイズ)、灯梦(デジタルノイズ)
色彩设计:松山爱子
美术监督:松本浩树
背景:アトリエPlatz
摄影监督:林コージロー
摄影:Graphinica
编集:武宫むつみ
音响监督:鹤冈阳太
音乐:神前晓・MONACA
音乐Producer:斋藤滋
アニメーションProducer:富冈哲也
企画Producer:伊藤敦・加藤刚
ネタ监修:天津向
ネタ制作:待田堂子・梧桐翔大
企画协力:吉本兴業
动画制作:Studio五组/AXsiZ
制作:ファームクラス
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