28周岁生日感言:风激万窍,顺逆有时
今天我28岁了,此时此刻我走在新街口大街上,看着步履匆匆的行人,当然,我亦是行人。
古人说“三十而立”,很遗憾,28岁的我暂时没能完全立住:学业上,我拼死拼活勉强拿了个硕士学位;经济上,我只有微薄积蓄,因为恐惧风险,我给自己买了商业医保;精神上,我做到了人格健全和独立,深信爱自己是终身浪漫的开始。为什么说没完全立住?因为我所拥有的这些东西按照社会上的主流成功标准来看明显不值一提。
在这里我要为自己说句公道话,我花了28年已经成为了能力范围内最好的我了,我也承认我终将成为一个非常平庸的人,泯然众人矣。
28岁以前我有过很喜欢的人,但所有的喜欢都有尽头,人生的美景也不止一处,我的才华有限,当时的心情只能通过音乐才能表达一二。
28岁以前我有过人生的“高光时刻”,参加了各种比赛,还有幸拿了几个奖项,如今年近中年,为了生计每日奔波,恐怖没什么“高光时刻”可剩。
28岁以前我有过梦想,读研时希望做个好翻译,于是毕业后我去了一家翻译公司,在那里日子很是快乐,一个人能够从事自己喜欢的工作怎能不欣喜呢?后来我转行了,不复从事翻译工作,至此翻译梦碎。
如此罗列不免产生一种“人生的最后尽是道别”这样的感悟,但这并非我的本意,道别一旦被我们刻意忽略,生命中的“得到”也就无从谈起了。
好在有些东西是我到28岁依然深信不疑的,比如我相信人最宝贵的不是时间,而是注意力;我相信活在当下能够带来最高的价值感和幸福感;相信人生需要保持清醒,因为我们很可能真就活在楚门的世界或者活在柏拉图提出的“洞穴隐喻”当中;相信需要不时审视和回顾过去。
还有的东西是我到28岁以后才体会到的:这个社会阶级已经固化,因而读研其实很难改变一个人的命运;又如与自己对话固然重要,但更重要的是能够停止这种自我对话,去真正观察和感受正在发生的一切。
前段时间和同事一起去爬栖霞山,当时正值深秋,山上枫叶姹紫嫣红开遍。深秋的南京风大,拾级而上时,能够听到风吹树叶发出沙沙的声响,当时我突然想到了《庄子·齐物论》中的“风激万窍”。这四个字是说风穿过山洞发出的各种声响,人近中年的我愈发觉得这个世界本来就是多姿多彩的,存在形形色色的人,也会发生各种吊诡的事情,不但如此,我甚至相信人生的各个阶段也是风激万窍,顺逆有时的。
人活于世需要大量的理由,最后想借这篇甚至谈不上通顺的文章感谢那些给我理由继续努力的每个人:感谢我的父母,是你们给了我生命和无条件的爱;感谢时常关注我的几位学姐、学弟和学妹,你们给了我很多鼓励和关心;感谢包容和支持我的同事,非常荣幸可以认识优秀的你们;感谢那位在我微博下评论“故事相似,心性不同”的网友;最后感谢我的好友们,你们总是在我需要帮助时愿意拉我一把,尤其是小李同学,你是我的友情之光。 https://t.cn/A6IEo1K9
今天我28岁了,此时此刻我走在新街口大街上,看着步履匆匆的行人,当然,我亦是行人。
古人说“三十而立”,很遗憾,28岁的我暂时没能完全立住:学业上,我拼死拼活勉强拿了个硕士学位;经济上,我只有微薄积蓄,因为恐惧风险,我给自己买了商业医保;精神上,我做到了人格健全和独立,深信爱自己是终身浪漫的开始。为什么说没完全立住?因为我所拥有的这些东西按照社会上的主流成功标准来看明显不值一提。
在这里我要为自己说句公道话,我花了28年已经成为了能力范围内最好的我了,我也承认我终将成为一个非常平庸的人,泯然众人矣。
28岁以前我有过很喜欢的人,但所有的喜欢都有尽头,人生的美景也不止一处,我的才华有限,当时的心情只能通过音乐才能表达一二。
28岁以前我有过人生的“高光时刻”,参加了各种比赛,还有幸拿了几个奖项,如今年近中年,为了生计每日奔波,恐怖没什么“高光时刻”可剩。
28岁以前我有过梦想,读研时希望做个好翻译,于是毕业后我去了一家翻译公司,在那里日子很是快乐,一个人能够从事自己喜欢的工作怎能不欣喜呢?后来我转行了,不复从事翻译工作,至此翻译梦碎。
如此罗列不免产生一种“人生的最后尽是道别”这样的感悟,但这并非我的本意,道别一旦被我们刻意忽略,生命中的“得到”也就无从谈起了。
好在有些东西是我到28岁依然深信不疑的,比如我相信人最宝贵的不是时间,而是注意力;我相信活在当下能够带来最高的价值感和幸福感;相信人生需要保持清醒,因为我们很可能真就活在楚门的世界或者活在柏拉图提出的“洞穴隐喻”当中;相信需要不时审视和回顾过去。
还有的东西是我到28岁以后才体会到的:这个社会阶级已经固化,因而读研其实很难改变一个人的命运;又如与自己对话固然重要,但更重要的是能够停止这种自我对话,去真正观察和感受正在发生的一切。
前段时间和同事一起去爬栖霞山,当时正值深秋,山上枫叶姹紫嫣红开遍。深秋的南京风大,拾级而上时,能够听到风吹树叶发出沙沙的声响,当时我突然想到了《庄子·齐物论》中的“风激万窍”。这四个字是说风穿过山洞发出的各种声响,人近中年的我愈发觉得这个世界本来就是多姿多彩的,存在形形色色的人,也会发生各种吊诡的事情,不但如此,我甚至相信人生的各个阶段也是风激万窍,顺逆有时的。
人活于世需要大量的理由,最后想借这篇甚至谈不上通顺的文章感谢那些给我理由继续努力的每个人:感谢我的父母,是你们给了我生命和无条件的爱;感谢时常关注我的几位学姐、学弟和学妹,你们给了我很多鼓励和关心;感谢包容和支持我的同事,非常荣幸可以认识优秀的你们;感谢那位在我微博下评论“故事相似,心性不同”的网友;最后感谢我的好友们,你们总是在我需要帮助时愿意拉我一把,尤其是小李同学,你是我的友情之光。 https://t.cn/A6IEo1K9
【最新资讯】以SNS、YouTube、niconico动画为活动中心,神秘且具有高超唱功的男性歌手“rib”。将于11月24日同时发行精选专辑《MYLIST》和原声翻唱专辑《PLAYLIST》。精选专辑《MYLIST》中包含了首次收录10首歌曲在内,共收录33首。翻唱专辑《PLAYLIST》新增了《廻廻奇譚 (作詞/作曲:Eve)》《YELLOW (作詞/作曲:神山羊)》,共计收录8首歌曲。
#LisAni# #rib# #日本音乐#
------
发售情报
RIB BEST ALBUM
「MYLIST」
11月24日发售
Jacket Illustration:uki
【完全限定盘】
价格:¥5,500(税込)
品番:VTZL-193
【通常盘】
价格:¥3,300(税込)
品番:VTCL-60551~60552
<BD>
・りぶ・スタジオセッションライブ「りぶスタ」映像
・「ドラマツルギー(unplugged ver.)」MV
(Vo:りぶ・Pf:事務員G・Gt:三代・Ba:二村学・Dr:ゆーまお(ヒトリエ))
・「りぶが歌う明治チョコレートのテーマ」MV
・「りぶが歌う明治チョコレートのテーマ」MAKING映像
<DISC1>
01.Marygold -ribive- | Music & Lyrics:buzzG
02.エンヴィキャットウォーク| Music & Lyrics:トーマ
03.サリシノハラ| Music & Lyrics:みきとP
04.気まぐれスターダム| Music & Lyrics:TOKOTOKO
05.ピエロ| Music & Lyrics:KEI
06.ヨンジュウナナ | Music & Lyrics:みきとP
07.秘密遊戯 | Music & Lyrics:Task
08.聖槍爆裂ボーイ | Music & Lyrics:れるりり&大柴広己(もじゃ)
09.ロベリア / Lobelia | Music:sequel Lyrics:ユミソラ
10.人生は吠える | Music & Lyrics:Neru
11.スタートアウト・リピートショー | Music:TOKOTOKO Lyrics:りぶ、TOKOTOKO
12.月陽 -ツキアカリ- | Music & Lyrics:みきとP
13.不可侵領域デストロイヤー | Music & Lyrics:大石昌良
14.朝焼けの狙撃手 | Music & Lyrics:沖井礼二
15.夜もすがら君想ふ | Music & Lyrics:TOKOTOKO
16.Calc. | Music & Lyrics:ジミーサムP
17.手紙と迷路 | Music & Lyrics:くじら
<DISC2>
01.フラストレーション | Music & Lyrics:すりぃ
02.乙女解剖 | Music & Lyrics:DECO*27
03.アカイト | Music & Lyrics:みきとP
04.センチメントリバース | Music & Lyrics:TOKOTOKO
05.プラスティックレィディ| Music & Lyrics:フルカワユタカ
06.ドラマツルギー | Music & Lyrics:Eve
07.夏は雨晒し | Music & Lyrics:須田景凪
08.生命の名前 | Music & Lyrics:TOKOTOKO
09.Princess | Music & Lyrics:清 竜人
10.カナリユラレテル | Music & Lyrics:Q-MHz
11.リア | Music & Lyrics:Eve
12.エンヴィーベイビー | Music & Lyrics:Kanaria
13.unforever | Music & Lyrics:TK(凛として時雨)
14.singing | Music & Lyrics:りぶ
15.fossil | Music & Lyrics:りぶ
16.mylist | Music & Lyrics:りぶ
------
「PLAYLIST」
【初回限定盘】
价格:¥4,180(税込)
品番:VTZL-194
【通常盘】
价格:¥2,530(税込)
品番:VTCL-60553
<BD>
未公開弾き語り動画
「痛いよ」「別の人の彼女になったよ」
・PLAYLISTステッカー(ランダムで直筆サイン入り)封入
・スリーブケース仕様
<CD>
01.香水 (作詞/作曲:8s)
02.廻廻奇譚 (作詞/作曲:Eve)
03.痛いよ (作詞/作曲:清 竜人)
04.不可幸力 (作詞/作曲:Vaundy)
05.YELLOW (作詞/作曲:神山羊)
06.別の人の彼女になったよ (作詞/作曲:橋口洋平)
07.夜に駆ける (作詞/作曲:Ayase)
08.115万キロのフィルム (作詞/作曲:藤原 聡)
#LisAni# #rib# #日本音乐#
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发售情报
RIB BEST ALBUM
「MYLIST」
11月24日发售
Jacket Illustration:uki
【完全限定盘】
价格:¥5,500(税込)
品番:VTZL-193
【通常盘】
价格:¥3,300(税込)
品番:VTCL-60551~60552
<BD>
・りぶ・スタジオセッションライブ「りぶスタ」映像
・「ドラマツルギー(unplugged ver.)」MV
(Vo:りぶ・Pf:事務員G・Gt:三代・Ba:二村学・Dr:ゆーまお(ヒトリエ))
・「りぶが歌う明治チョコレートのテーマ」MV
・「りぶが歌う明治チョコレートのテーマ」MAKING映像
<DISC1>
01.Marygold -ribive- | Music & Lyrics:buzzG
02.エンヴィキャットウォーク| Music & Lyrics:トーマ
03.サリシノハラ| Music & Lyrics:みきとP
04.気まぐれスターダム| Music & Lyrics:TOKOTOKO
05.ピエロ| Music & Lyrics:KEI
06.ヨンジュウナナ | Music & Lyrics:みきとP
07.秘密遊戯 | Music & Lyrics:Task
08.聖槍爆裂ボーイ | Music & Lyrics:れるりり&大柴広己(もじゃ)
09.ロベリア / Lobelia | Music:sequel Lyrics:ユミソラ
10.人生は吠える | Music & Lyrics:Neru
11.スタートアウト・リピートショー | Music:TOKOTOKO Lyrics:りぶ、TOKOTOKO
12.月陽 -ツキアカリ- | Music & Lyrics:みきとP
13.不可侵領域デストロイヤー | Music & Lyrics:大石昌良
14.朝焼けの狙撃手 | Music & Lyrics:沖井礼二
15.夜もすがら君想ふ | Music & Lyrics:TOKOTOKO
16.Calc. | Music & Lyrics:ジミーサムP
17.手紙と迷路 | Music & Lyrics:くじら
<DISC2>
01.フラストレーション | Music & Lyrics:すりぃ
02.乙女解剖 | Music & Lyrics:DECO*27
03.アカイト | Music & Lyrics:みきとP
04.センチメントリバース | Music & Lyrics:TOKOTOKO
05.プラスティックレィディ| Music & Lyrics:フルカワユタカ
06.ドラマツルギー | Music & Lyrics:Eve
07.夏は雨晒し | Music & Lyrics:須田景凪
08.生命の名前 | Music & Lyrics:TOKOTOKO
09.Princess | Music & Lyrics:清 竜人
10.カナリユラレテル | Music & Lyrics:Q-MHz
11.リア | Music & Lyrics:Eve
12.エンヴィーベイビー | Music & Lyrics:Kanaria
13.unforever | Music & Lyrics:TK(凛として時雨)
14.singing | Music & Lyrics:りぶ
15.fossil | Music & Lyrics:りぶ
16.mylist | Music & Lyrics:りぶ
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「PLAYLIST」
【初回限定盘】
价格:¥4,180(税込)
品番:VTZL-194
【通常盘】
价格:¥2,530(税込)
品番:VTCL-60553
<BD>
未公開弾き語り動画
「痛いよ」「別の人の彼女になったよ」
・PLAYLISTステッカー(ランダムで直筆サイン入り)封入
・スリーブケース仕様
<CD>
01.香水 (作詞/作曲:8s)
02.廻廻奇譚 (作詞/作曲:Eve)
03.痛いよ (作詞/作曲:清 竜人)
04.不可幸力 (作詞/作曲:Vaundy)
05.YELLOW (作詞/作曲:神山羊)
06.別の人の彼女になったよ (作詞/作曲:橋口洋平)
07.夜に駆ける (作詞/作曲:Ayase)
08.115万キロのフィルム (作詞/作曲:藤原 聡)
【DIVOC-12】Interview 1/2
チャンスは自分から作っていくしかない 藤原季節
歩の年表を埋めたり衣装を着て生活することで余白をひとつひとつ埋めていった
――今作に参加されたきっかけを教えてください。
藤原 僕がW主演を務めた短編映画『中村屋酒店の兄弟』(20)が、「東京学生映画祭」というコンテストでグランプリをいただいたんですが、そのときの審査員が三島有紀子監督で、そこでご挨拶させて頂いたことがありました。いつか三島監督の作品に出演したいと思っていたので、この作品のお話をいただいたときはうれしかったですね。
――実際に作品をご覧になって、いかがでしたか?
藤原 この作品は世界の片隅で誰にも知られず生きている人たちが出会う物語だなと思っています。その人たちを取り巻く環境は閉塞しているけど、こういった状況を出会いという物語で打ち倒すんだという気概というか、気持ちにあふれた映画になっていて。現実を厳しく見つめながらも、物語にロマンを持っている三島監督だからこそ撮れた作品だと思いました。他の『DIVOC-12』の作品とはいい意味で全然似ていなくて、この作品に出演できて本当に幸せです。
――短編だけに余白が多く、説明されない部分も多かったと思います。
藤原 台本から読み取れることは本当に少なかったです。三島さんと初めて打ち合わせをしたときに、主人公の歩という人物に何があったのかが書かれた年表みたいなものをもらって、「どんどん自分で埋めていっていいから」と言われて。衣装が決まってからは普段から歩の衣装を着て生活させてもらって、歩という人物を自分の中に馴染ませていきました。最初に本を読んだ段階では余白の部分が多くて、「なぜこのセリフになってるんだろう」と簡単には結びつかなかったので、三島さんと相談しながら一つ一つ埋めていった感じです。
――それを演技で伝える難しさはありましたか?
藤原 画面の向こう側にどう届けるかというのは、監督や見てくださるお客さんにゆだねた部分は大きいです。自分自身がリアリティーを感じ、それを信じることが大切だと思いました。一つ一つ、目に見えないものを埋めていくことでようやく信じる気持ちが強くなっていくというか。自分の中でそういうものが弱いと、自分の存在は正解なのだろうかみたいな気持ちになって、立っているだけで不安になるような気がします。それを埋めていくことで初めて、現場に立っても怖くなくなるのかなと思っています。
――改めて三島監督の印象をお聞かせください。
藤原 現場でも、われ先に行くというか、誰よりも率先して傷つきにいく姿を見せてくださいます。三島さんが撮った『ぶどうのなみだ』(14)という映画は、大泉洋さん演じるアオがもがき苦しみながらやっと一本のワインを誕生させるという物語なんですけど、その主人公を地で体現している監督というか。10分の映画を撮るためにここまで魂を削っているんだなというのを間近で見せて頂きましたね。感受性が豊かな方ってたくさんいらっしゃると思うんですけど、三島さんは感受性がせき止められずにあふれ出ちゃっている感じです。
――共演した富司純子さんに対する印象を教えてください。
藤原 去年の緊急事態宣言中に、家でずっと高倉健さんの映画を見ていたんです。その中で富司さんが主演を務められている作品もあって、「この女優さん素晴らしいな」と思っていた矢先のことだったので、体が震えました。そんな伝説の方とご一緒できるんだ、と思って。でも実際にお会いするとすごく優しい方でした。完成した映画を見たときに一番驚いたのは、富司さんがあまりに軽やかに演じられていたことです。懸命さやひたむきさという分かりやすいことはさておき、もっともっとリアリティーを持って生活されていて。必死に生きていて、辛くて辛くてという人が何かを変えようとする映画じゃなくて、たくましく生きているけど「焼肉食べたい、ハーゲンダッツ食べたい」と思ったときに、人生を変えようとするっていうのはこの作品っぽいなと思いました。
一つの作品を通過するたびに大切な出会いが増えている
――富司さん演じる冬海さんと出会ったことで、歩が生き生きしてきたように思えました。
藤原 お金だとか目に見えるもの……、そういうものでしか大切なことを語れなくなっちゃっていたんだろうなと思います。僕もこの1年間でそうなってしまいそうだったんですけど、そのたびにこういう作品が人間らしいところに引き戻してくれている感じがしました。だから多分、歩にとっては冬海さんがまさにそういう存在だったのかな。大切なものはそれだけじゃないんだよと、心というものを取り戻すきっかけになったんだと思います。
――出演が発表されたときに、「この作品のことを思い出そうとすると頭が真っ白になります」とコメントされていたのも印象的です。
藤原 この作品のタイトルが入る場面を撮ったときに、余計なことは何も考えられなくなりました。自分自身がこの物語にすごく救われているんだなと思ったんです。それまで悶々とした生活を送っていて、携帯とかテレビから入ってくるいろいろな情報に自分自身が踊らされて、アタフタして暮らしていたんです。でも、あの海に立った瞬間だけは冬海さんの姿しか見えなかったので、そこに向かって駆け出していくときは、開放感に満ち溢れていました。三島さんが泥だらけになりながらそういう環境を与えてくださって、本当に頭が真っ白になるような感覚でしたね。たった2日間の撮影であそこまでひとつの役に入れ込んだことは初めてかもしれないですし、仮に撮影期間の長い作品であっても、現場に入る前に10日間役として生活するというのはやったことがなかったので、不思議な体験でした。この作品に自分自身が何かを懸けて臨んでいたな、と思います。
――『よろこびのうた』が伝えたいテーマは何だと思いますか?
藤原 言葉にするとちょっと簡単に聞こえてしまうかもしれないんですけど、不安や喜びを分かち合うということ。生きていると、一緒にいることでより悲しくなったりとか、よりうれしくなったりすることもありますよね。この人と出会わなければこんな苦しい思いをせずに済んだのにと思いつつ、この人と過ごしたから自分は豊かさを知ることができたなという。豊かさを知るのは痛みを伴うことだと思うんですけど、それがまさに歩にとって冬海さんと経験したことで、その後のカラオケのシーンでは涙が止まらなくなる。知らなくてもよかったかもしれないんですけど、僕は歩にとって必要な時間だったのかなと思いました。実はあのカラオケのシーン、ザ・ブルーハーツを歌っているんですよ。三島さんと一緒に決めたんです。
――歩が冬海さんに出会ったように、今までの人生で藤原さんにとって印象的な出会いはありますか?
藤原 たくさんありましたね。この映画でいえば冬海さん、三島監督との出会い、あと『DIVOC-12』には12本の映画が集まっていて、同世代の俳優や新しい監督たちともたくさん出会うことができました。僕の人生でいえば、二十歳のときの松田美由紀さんとの出会い、『his』(20)という映画で宮沢氷魚という男に出会ったこと、『佐々木、イン、マイマイン』(20)の細川岳。一つの作品を通過するたびに大切な出会いがどんどん増えている感じがします。逆にそれがあるから続けていられるのかもしれません。
――具体的にお名前があがった松田さんと宮沢さんとの出会いは、藤原さんにとってどんな出来事だったのでしょうか。
藤原 最近『his』を見直したんですけど、宮沢くんは一滴の涙も流さずに悲しみを表現していたんだなと思ったんです。なんて正々堂々と演技する人だろう、とすごい発見でした。一方の僕は、すべてのシーンでめそめそ泣きそうな感じで芝居していたんですけど、それを包むように宮沢くんは演技してくれたんだなと思って。撮影が終わって数年経って、こんなに支えてもらっていたんだなと彼の優しさに改めて気づきました。あんな俳優になりたいという意味でもすごく尊敬しています。高倉健さんの映画にハマっているときは、彼の家の前に「高倉健さんの映画観て」と置き手紙したこともありました(笑)。美由紀さんは僕にとって、唯一怒ってくれる存在。僕が熊本の天草で撮影していた「のさりの島」という映画の現場に会いに来てくれたこともあります。言葉では尽くせない恩がありますね。
https://t.cn/A6M6b0Pd
チャンスは自分から作っていくしかない 藤原季節
歩の年表を埋めたり衣装を着て生活することで余白をひとつひとつ埋めていった
――今作に参加されたきっかけを教えてください。
藤原 僕がW主演を務めた短編映画『中村屋酒店の兄弟』(20)が、「東京学生映画祭」というコンテストでグランプリをいただいたんですが、そのときの審査員が三島有紀子監督で、そこでご挨拶させて頂いたことがありました。いつか三島監督の作品に出演したいと思っていたので、この作品のお話をいただいたときはうれしかったですね。
――実際に作品をご覧になって、いかがでしたか?
藤原 この作品は世界の片隅で誰にも知られず生きている人たちが出会う物語だなと思っています。その人たちを取り巻く環境は閉塞しているけど、こういった状況を出会いという物語で打ち倒すんだという気概というか、気持ちにあふれた映画になっていて。現実を厳しく見つめながらも、物語にロマンを持っている三島監督だからこそ撮れた作品だと思いました。他の『DIVOC-12』の作品とはいい意味で全然似ていなくて、この作品に出演できて本当に幸せです。
――短編だけに余白が多く、説明されない部分も多かったと思います。
藤原 台本から読み取れることは本当に少なかったです。三島さんと初めて打ち合わせをしたときに、主人公の歩という人物に何があったのかが書かれた年表みたいなものをもらって、「どんどん自分で埋めていっていいから」と言われて。衣装が決まってからは普段から歩の衣装を着て生活させてもらって、歩という人物を自分の中に馴染ませていきました。最初に本を読んだ段階では余白の部分が多くて、「なぜこのセリフになってるんだろう」と簡単には結びつかなかったので、三島さんと相談しながら一つ一つ埋めていった感じです。
――それを演技で伝える難しさはありましたか?
藤原 画面の向こう側にどう届けるかというのは、監督や見てくださるお客さんにゆだねた部分は大きいです。自分自身がリアリティーを感じ、それを信じることが大切だと思いました。一つ一つ、目に見えないものを埋めていくことでようやく信じる気持ちが強くなっていくというか。自分の中でそういうものが弱いと、自分の存在は正解なのだろうかみたいな気持ちになって、立っているだけで不安になるような気がします。それを埋めていくことで初めて、現場に立っても怖くなくなるのかなと思っています。
――改めて三島監督の印象をお聞かせください。
藤原 現場でも、われ先に行くというか、誰よりも率先して傷つきにいく姿を見せてくださいます。三島さんが撮った『ぶどうのなみだ』(14)という映画は、大泉洋さん演じるアオがもがき苦しみながらやっと一本のワインを誕生させるという物語なんですけど、その主人公を地で体現している監督というか。10分の映画を撮るためにここまで魂を削っているんだなというのを間近で見せて頂きましたね。感受性が豊かな方ってたくさんいらっしゃると思うんですけど、三島さんは感受性がせき止められずにあふれ出ちゃっている感じです。
――共演した富司純子さんに対する印象を教えてください。
藤原 去年の緊急事態宣言中に、家でずっと高倉健さんの映画を見ていたんです。その中で富司さんが主演を務められている作品もあって、「この女優さん素晴らしいな」と思っていた矢先のことだったので、体が震えました。そんな伝説の方とご一緒できるんだ、と思って。でも実際にお会いするとすごく優しい方でした。完成した映画を見たときに一番驚いたのは、富司さんがあまりに軽やかに演じられていたことです。懸命さやひたむきさという分かりやすいことはさておき、もっともっとリアリティーを持って生活されていて。必死に生きていて、辛くて辛くてという人が何かを変えようとする映画じゃなくて、たくましく生きているけど「焼肉食べたい、ハーゲンダッツ食べたい」と思ったときに、人生を変えようとするっていうのはこの作品っぽいなと思いました。
一つの作品を通過するたびに大切な出会いが増えている
――富司さん演じる冬海さんと出会ったことで、歩が生き生きしてきたように思えました。
藤原 お金だとか目に見えるもの……、そういうものでしか大切なことを語れなくなっちゃっていたんだろうなと思います。僕もこの1年間でそうなってしまいそうだったんですけど、そのたびにこういう作品が人間らしいところに引き戻してくれている感じがしました。だから多分、歩にとっては冬海さんがまさにそういう存在だったのかな。大切なものはそれだけじゃないんだよと、心というものを取り戻すきっかけになったんだと思います。
――出演が発表されたときに、「この作品のことを思い出そうとすると頭が真っ白になります」とコメントされていたのも印象的です。
藤原 この作品のタイトルが入る場面を撮ったときに、余計なことは何も考えられなくなりました。自分自身がこの物語にすごく救われているんだなと思ったんです。それまで悶々とした生活を送っていて、携帯とかテレビから入ってくるいろいろな情報に自分自身が踊らされて、アタフタして暮らしていたんです。でも、あの海に立った瞬間だけは冬海さんの姿しか見えなかったので、そこに向かって駆け出していくときは、開放感に満ち溢れていました。三島さんが泥だらけになりながらそういう環境を与えてくださって、本当に頭が真っ白になるような感覚でしたね。たった2日間の撮影であそこまでひとつの役に入れ込んだことは初めてかもしれないですし、仮に撮影期間の長い作品であっても、現場に入る前に10日間役として生活するというのはやったことがなかったので、不思議な体験でした。この作品に自分自身が何かを懸けて臨んでいたな、と思います。
――『よろこびのうた』が伝えたいテーマは何だと思いますか?
藤原 言葉にするとちょっと簡単に聞こえてしまうかもしれないんですけど、不安や喜びを分かち合うということ。生きていると、一緒にいることでより悲しくなったりとか、よりうれしくなったりすることもありますよね。この人と出会わなければこんな苦しい思いをせずに済んだのにと思いつつ、この人と過ごしたから自分は豊かさを知ることができたなという。豊かさを知るのは痛みを伴うことだと思うんですけど、それがまさに歩にとって冬海さんと経験したことで、その後のカラオケのシーンでは涙が止まらなくなる。知らなくてもよかったかもしれないんですけど、僕は歩にとって必要な時間だったのかなと思いました。実はあのカラオケのシーン、ザ・ブルーハーツを歌っているんですよ。三島さんと一緒に決めたんです。
――歩が冬海さんに出会ったように、今までの人生で藤原さんにとって印象的な出会いはありますか?
藤原 たくさんありましたね。この映画でいえば冬海さん、三島監督との出会い、あと『DIVOC-12』には12本の映画が集まっていて、同世代の俳優や新しい監督たちともたくさん出会うことができました。僕の人生でいえば、二十歳のときの松田美由紀さんとの出会い、『his』(20)という映画で宮沢氷魚という男に出会ったこと、『佐々木、イン、マイマイン』(20)の細川岳。一つの作品を通過するたびに大切な出会いがどんどん増えている感じがします。逆にそれがあるから続けていられるのかもしれません。
――具体的にお名前があがった松田さんと宮沢さんとの出会いは、藤原さんにとってどんな出来事だったのでしょうか。
藤原 最近『his』を見直したんですけど、宮沢くんは一滴の涙も流さずに悲しみを表現していたんだなと思ったんです。なんて正々堂々と演技する人だろう、とすごい発見でした。一方の僕は、すべてのシーンでめそめそ泣きそうな感じで芝居していたんですけど、それを包むように宮沢くんは演技してくれたんだなと思って。撮影が終わって数年経って、こんなに支えてもらっていたんだなと彼の優しさに改めて気づきました。あんな俳優になりたいという意味でもすごく尊敬しています。高倉健さんの映画にハマっているときは、彼の家の前に「高倉健さんの映画観て」と置き手紙したこともありました(笑)。美由紀さんは僕にとって、唯一怒ってくれる存在。僕が熊本の天草で撮影していた「のさりの島」という映画の現場に会いに来てくれたこともあります。言葉では尽くせない恩がありますね。
https://t.cn/A6M6b0Pd
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