【blog】2022.09.03

ドードーの落下日誌(前編)

稽古中の日誌です。
観に行くか迷っている人や、劇のことをもっと知りたい人の助けになればと、日誌を書いてみました。
劇の内容に触れている箇所などあります。
「ドードーが落下する」を観に行く予定の方で、まだ読みたくない、読まずに観たいという方がいたらまだ読まないでくださいね。

稽古初日
本読み。
反省しかない。
加藤さんの言葉で「理解し合えない二人が友達でいれるのか」という言葉が印象に残る。
それから、信也(僕)が夏目(平原テツ)をどう受け取っていくかが大事と言われる。おそらくこの劇で最も大切なのがそれで、僕はそれが丁寧にできていなかった。
稽古終、取材。この劇について聞かれ、まだぼんやりしている中で答える。加藤さんがこの劇を立ち上げるということがどういうことか、信也がその瞬間や過去のことをどう見つめていたか、そういうことが全部つながっている。信也の心にはあの頃のことが刻まれている。忘れられない。忘れたくない。そんな劇を立ち上げたい。

稽古二日目
座組のみんながリラックスしていて本読みも昨日よりは良い感じ。加藤さんの、脚本や役柄の説明が入りながら全員で認識のすり合わせをして、ひたすら本読みをする。帰りの電車、加藤さんと二人きり。俺喋りっぱなし。浮かれてるなあ。
鶏肉を焼く。映画ムーンライトシャドウを見ながら眠る。

稽古三日目
加藤さんが「ドードーが落下する」について話してくれる時間がめっちゃ楽しいと気づく。何より本人が一番楽しそう。でも思えば劇団た組の公演の時、加藤さんはいつも楽しそうだ。緊張感もあるけど。三日目だけどとても疲労している。どうしてだろう。この脚本の持つ魔力、ポテンシャルを読めば読むほど感じる。ラストシーンについて少しだけヒントをもらう。この感覚懐かしい。加藤さんがくれるわずかなヒントを手繰り寄せて、深淵に辿り着きたい。
生姜焼きを作る。

稽古四日目
稽古場の待合室でする雑談が幸せ。初めて劇団た組に出演した時の稽古場に比べると目に見えて美しく贅沢な稽古場。でもあの頃の稽古場も少し恋しい。今日から立ち稽古が始まる。疲労はするけど楽しい。ドードーが落下するが立ち上がる。落下しながら立ち上がる。夏目さんの台詞を聞きながら思うことがある。この戯曲を読んだ人たちは、それぞれの夏目さんを語る。「引きずられる」「負の感情」そんな色々な言葉も聞いた。僕は劇中にも登場するようなその言葉を聞きながら信也の気持ちを想像する。周囲の人が夏目さんを語った時、彼は何を思っていたんだろう。理解し合えない人たちは友人でいられるのか。僕はこの劇で答えを追ってみたい。
頭の中でずっと台詞が聞こえて深夜まで眠れない。

稽古5日目
昼、あんかけ焼きそばを作る。
稽古場に向かう。Wikipediaでドードーを検索する。
のろますぎて絶滅した動物と出てくる。
人類によって絶滅した動物。
ポルトガル語でのろま。
アメリカ英語でdodoは滅びてしまった存在の代名詞。
警戒心が薄く人間が近づいても逃げないため素手で捕まえられたそう。
空を飛べない。

ドードーが落下する。
それは、捕まえられるのかな。

帰り道、訳もわからず寂しい。みんなとご飯に行きたい。信也についてアドバイスをくれた求一郎の言葉。
「信也、難しいよね。
寄り添い切るわけでもなく、
突き放し切るでもなく、
笑い物にし切るわけでもなく」

この劇の稽古に入ってから、一人の時間が耐え難く寂しい。

稽古6日目
書き忘れる。カルボナーラを作る。

稽古7日目
けっこうガッツリ稽古をして疲れる。加藤さんの脚本は台詞のニュアンスが曖昧なところへ向かうほど面白い。何度も体験している演出なのに劇団た組に参加する頃にはいつもそれを忘れている。つい一つの感情で台詞を表現しがちになってしまう。その度にこの場所に引き戻してもらってる。破壊と再生。
帰りの車内、古田新太さんのインタビューを読む。喫煙や飲酒によるコミュニケーションが減ったと。それが良い悪いの話ではなく、良い悪いの中間地点の話、つまり余白が大事だと。その余白を良くないからと切り捨てるのはどうかと。なるほど。
そう考えるとこの稽古場には、稽古場の外に休憩スペースのソファやらがあって、そこで皆が雑談できるのがありがたい。これは余白か。でもやっぱりまだ発言しづらい人もいるんだろうな。僕はそういうことを忘れがち。共演者の声を聞きたい。稽古終わりのご飯があればいいのに。きっとこの芝居は座組のコミュニケーションが深まるほど、良くなる、気がする。かぼちゃの煮物つくる。

稽古8日目
けっこう夏目さんの台詞が俺に侵食してくるなあ。
「ちょっと死にます」と電話をかけたくなる夏目の気持ちを想像してしまう。世界とのズレね。埋まらない孤独ね。どうして自分はこんなに孤独なんだろう?という純粋な疑問が襲ってくる夜ね。信也を演じながらずっと夏目さんの台詞聞いてるからなあ。
そっかあ。そう考えると、こんなとき夏目が電話をかけられるのは信也なのか。
肉豆腐つくる。夜、台詞にうなされて眠れない。明け方、クエンティンタランティーノに太極拳を教える夢を見る。

稽古9日目
帰りの電車。加藤さんと秋元と求一郎と。この電車の時間もいいよなあ。昨日、一昨日と一人で帰ってみて、やっぱり一緒に帰りたいなと。
今日は「ドードーが落下する」のあらすじを。
たくさんの人に見て欲しいな。
9月21日が初日なんだけど、その日はちょうど9年前に僕がオフィス作のオーディションを受けた日。松田美由紀さんと出会った日。僕にとっては忘れられない日なんだけど、その日に10年目の初日を迎えられることが嬉しい。
かぼちゃ煮物の残りでクリームパスタつくる。

「見えなかったら大丈夫と思ってたのに。実は価値が無いものは見えない方が世間はすごく良くなるんですよ。だから僕をそうしてもらったんですね、こいつに 」
イベント制作会社に勤める信也(藤原季節)と芸人の庄田(秋元龍太朗)は芸人仲間である夏目(平原テツ)からの電話に胸騒ぎを覚える。三年前、夏目は信也や友人達に飛び降りると電話をかけ、その後に失踪していた。しかしその二年後、再び信也に夏目から連絡がある。夏目は「とある事情」が原因で警察病院に入院していたそうで、その「とある事情」を説明する。それから信也達と夏目は再び集まるようになったものの、その「とある事情」は夏目と友人達の関係を変えてしまっていた。信也達と夏目との三年間を巡る青春失踪劇。


稽古10日目。書き忘れる。
湖で泳ぐ夢を見る。湖の底に落ちているビーサンを潜って取ろうとするけど取れない。

稽古11日目。書き忘れる。
体力の限界まで稽古をして、翌日は稽古やすみ。

稽古12日目。
台本を開くのが辛い。劇団た組の稽古をしていると確かにこの時間を通過する。膨大な台詞の反復と稽古場での台詞忘れを繰り返し続けていると、やがて夢に出てきてうなされるようになる。電車の中で台本を握りしめるけれどページを開くことが出来ない。
いよいよラストシーンの稽古が始まった。テツさんに圧倒されて台詞が出てこなくなる。悔しいし情けない。今まで演じた役の中で最も複雑な演技を求められている気がする。難しい。明日は頑張ろうという言葉すら出てこない。稽古場で諦めにも近い感情になったのは初めてのこと。稽古はいつもより早く17時半に終わる。
横浜駅まで歩いて帰ろうとしたら何人かがついてきてくれる。駅まで喋りながら帰る。楽しかった。みんなドードーがとにかく面白いと言っていて、それぞれの物語を語り合う。求一郎が通りがかった公園でいきなり鉄棒をし始める。誰も触れない。誰も観ていないところでポケットからスマホが落ちて画面が割れたらしい。
夜眠れないだろうなと思っていたらやっぱり全然眠れない。映画をかけてみたら最後まで観てしまう。毎日みんなと一緒にいるのに孤独を感じる。物語の持つ力せいか、演劇の持つ力のせいか。これまでもこんなに苦しかった?思い出せない。ただ、加藤拓也が書く物語の魔力、のようなものは確実に増していると思う。

稽古13日目。
細かい演出とシーンの反復が始まる。何度も何度も繰り返して細かい台詞のニュアンスや空白を詰めていく。20時近くまでみっちり稽古。加藤さんには珍しく長い時間稽古をしている。楽しくて時間が過ぎるのが早い。最後はみんながハイになって笑いが止まらなくなって、終了。
帰りの電車で加藤さんと話す。ラストに向かっていくヒントをもらう。少しずつ。
今週末に予定している通し稽古で何が見えるか。
夜はプリズムの放送。余韻を引きずりながら布団に入る。明日も稽古頑張ろう。

稽古14日目
後半の通し稽古。演じていてたまらなくなる。どうしようもない。楽しくて苦しい。
そのあと休憩を入れて返し稽古をするも疲れで全く台詞が出てこなくなる。
自分の体力のなさにショック。
今は夜中の3時。頭がハイになって眠れない日々が続く。演劇ってこんなに大変だったか?明日やれるのか自分。笑うしかない。

稽古15日目
今日から9月が始まった。
少し朦朧とした頭のまま、全力で返し稽古。
後半のシーンを繰り返し詰めていく。まだまだやることは沢山あるなあ。それでも少しずつ物語や関係性の輪郭が見えてきた気がする。輪郭が見えたらあとは中身を詰めていくだけ。
共演者とのコミュニケーションが深まってきた気がする。山脇辰哉がインスタで劇のことを書いていて嬉しくなる。みんなそれぞれドードーに対する思いがあるんだな。そう考えると、演じる底力が沸いてくる。
明日は初の全編、通し稽古。スタッフさんが来てくれるらしい。がんばろう。

稽古16日目
映画も見ない。本も読まない。ご飯も作らない。
芝居のことだけ考えて、だんだん無欲になっていく自分がいる。稽古終わり、加藤さんに連れられて足ツボマッサージに行く。足ツボを押されながら、そういえば新しい靴が欲しいなあとか、明日は日用品を買わなきゃとか、色んなことを思い出していく。
今日の通し稽古は大失敗だった。言われたことできてないし、早口だし、力んでるし。でも、まあ、失敗しておいて良かった。とにかく身も心もリラックスしてフラットな状態で挑む大切さを知ることが出来た。おやすみ。

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  1、落红不是⽆情物,化作春泥更护花。龚⾃珍《⼰亥杂诗》
  2、天不⽼,情难绝。⼼似双丝⽹,中有千千结。张先《千秋岁》
  3、似此星⾠⾮昨夜,为谁风露⽴中宵。黄景仁《绮怀诗⼆⾸其⼀》
  4、直道相思了⽆益,未妨惆怅是清狂。李商隐《⽆题六⾸其三》
  5、深知⾝在情长在,怅望江头江⽔声。李商隐《暮秋独游曲江》
  6、尊前拟把归期说,未语春容先惨咽。欧阳修《⽟楼春》
  7、⼈⽣⾃是有情痴,此恨不关风与⽉。欧阳修《⽟楼春》
  8、落花⼈独⽴,微⾬燕双飞。晏⼏道《临江仙⼆⾸其⼆》
  9、可怜⽆定河边⾻,犹是春闺梦⾥⼈。陈陶《陇西⾏》
  10、愿我如星君如⽉,夜夜流光相皎洁。范成⼤《车遥遥篇》
  11、鱼沈雁杳天涯路,始信⼈间别离苦。戴叔伦《相思曲》
  12、执⼿相看泪眼,竟⽆语凝噎。柳永《⾬霖铃》
  13、可怜⽆定河边⾻,犹是春闺梦裏⼈。陈陶《陇西⾏》
  14、千⾦纵买相如赋,脉脉此情谁诉。⾟弃疾《摸鱼⼉》
  15、梧桐树,三更⾬,不道离情正苦。⼀叶叶,⼀声声,空阶滴到明。温庭筠《更漏⼦三⾸其三》
  16、结发为夫妻,恩爱两不疑。苏武《结发为夫妻》
  17、寻好梦,梦难成。况谁知我此时情。枕前泪共帘前⾬,隔个窗⼉滴到明。聂胜琼《鹧鸪天》
  18、⼀场寂寞凭谁诉。算前⾔,总轻负。柳永《昼夜乐》
  19、换我⼼,为你⼼,始知相忆深。顾敻《诉衷情》
  20、忆君⼼似西江⽔,⽇夜东流⽆歇时。鱼⽞机《江陵愁望有寄》
  21、春⼼莫共花争发,⼀⼨相思⼀⼨灰。李商隐《⽆题六⾸其六》
  22、相思似海深,旧事如天远。乐婉《⼘算⼦》
  23、相恨不如潮有信,相思始觉海⾮深。⽩居易《浪淘沙》
  24、忍把千⾦酬⼀笑?毕竟相思,不似相逢好。邵瑞彭《蝶恋花》
  25、天涯地⾓有穷时,只有相思⽆尽处。晏殊《⽟楼春》
  26、⼈如风后⼊江云,情似⾬馀黏地絮。周邦彦《⽟楼春》
  27、滴不尽相思⾎泪抛红⾖,开不完春柳春花满画楼。曹雪芹《红⾖词》
  28、泪眼问花花不语,乱红飞过秋千去。欧阳修《蝶恋花⼆⾸其⼀》
  29、瘦影⾃怜秋⽔照,卿须怜我我怜卿。冯⼩青《怨》
  30、多情只有春庭⽉,犹为离⼈照落花。张泌《寄⼈》
  31、花红易衰似郎意,⽔流⽆限似侬愁。刘禹锡《⽵枝词四⾸其⼆》
  32、若有知⾳见采,不辞遍唱阳春。晏殊《⼭亭柳·赠歌者》
  33、明⽉楼⾼休独倚,酒⼊愁肠,化作相思泪。范仲淹《苏幕遮》
  34、思君如明烛,煎⼼且衔泪。陈叔达《⾃君之出矣》
  35、⽣当复来归,死当长相思。苏武《结发为夫妻》
  36、休⾔半纸⽆多重,万斛离愁尽耐担。陈蓬姐《寄外⼆⾸其⼆》
  37、妾似胥⼭长在眼,郎如⽯佛本⽆⼼。朱彝尊《鸳鸯湖棹歌》
  38、不知魂已断,空有梦相随。除却天边⽉,没⼈知。韦庄《⼥冠⼦⼆⾸其⼀》
  39、同⼼⽽离居,忧伤以终⽼。佚名《涉江采芙蓉》
  40、夜⽉⼀帘幽梦,春风⼗⾥柔情。秦观《⼋六⼦》
  41、玲珑骰⼦安红⾖,⼊⾻相思知不知?温庭筠《杨柳枝》
  42、怕相思,已思相,轮到相思没处辞,眉间露⼀丝。——俞彦
  43、青青园中葵,朝露待⽇晞。——佚名《长歌⾏》
  44、⽆⽥似我犹欣舞,何况⽥间望岁⼼。——曾⼏《苏秀道中》
  45、⽗耕原上⽥,⼦劚⼭下荒。——聂夷中《⽥家》
  46、都道是⾦⽟良缘,俺只念⽊⽯前盟。空对著,⼭中⾼⼠晶莹雪;终不忘,世外仙姝寂寞林。曹雪芹《终⾝误》
  47、晨兴理荒秽,带⽉荷锄归。——陶渊明《归园⽥居·其三》
  48、数丛沙草群鸥散,万顷江⽥⼀鹭飞。——温庭筠《利州南渡》
  49、故⼈具鸡⿉,邀我⾄⽥家。——孟浩然《过故⼈庄》
  50、稻花⾹⾥说丰年。听取蛙声⼀⽚。——⾟弃疾《西江⽉·夜⾏黄沙道中》
  51、锺情怕到相思路。盼长堤,草尽红⼼。动愁吟,碧落黄泉,两处难寻。朱彝尊《⾼阳台》
  52、若问闲情都⼏许?⼀川烟草,满城风絮,梅⼦黄时⾬。贺铸《横塘路》

你曾是我义无反顾撞过的南墙,也是我黄粱一梦的空欢喜一场,本想与卿度余生,奈何世俗绊人心。
红尘来去一场梦,梦到尽头终是空。
三生有幸遇到一位先生,一谢不珍不惜;二谢权衡利弊;再谢不娶之恩
最后:
1.祝你前程似锦与她人白头偕老
2.感谢你曾经真诚待我,我真心爱你也很快乐
3.祭从此世上依旧有你有我但再无我们
愿你岁岁平安,即使生生不见 https://t.cn/R2WxOwH


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