JAPAN最新号】ONE OK ROCK、絶対的王者が最強のロックとともに再び世界を駆け抜ける! 3年ぶり無敵の10thアルバム『Luxury Disease』のすべて
もうこれを逃したらロックのムーブメントを作り上げることはできないっていう確信があった
現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』10月号表紙巻頭にONE OK ROCKが登場!
絶対的王者が最強のロックとともに再び世界を駆け抜ける! 3年ぶり無敵の10thアルバム『Luxury Disease』のすべて
インタビュー=徳山弘基 撮影=岡田貴之
実に約3年半ぶりとなるアルバム『Luxury Disease』が遂にリリースされる。事前にTakaが予告していた通り、本作は完全なるロックアルバムとなった。意識的に「脱ロック化」を目指し、アメリカの最先端ポップミュージックを吸収した前作『Eye of the Storm』から一転、今作で「ONE OK ROCKが再びロックに戻ってくる」と感じるのは当然であるし、事実その期待に応えられる最高にして最強のアルバムが完成した。ただし、この「ONE OK ROCKがロックに戻った」という表現は半分正しく、半分は間違っている。
2021年4月に行ったインタビューで「必ずロックが帰ってくる気がしている」と予感していたTaka。実際にこの頃からワールドワイドな視点でもロック復活の兆候が見え始めていて、彼の強気な発言にはきちんとした裏付けもあったのだ。この発言に呼応する形で新曲“Renegades”がリリース。ギターサウンドが全開し、むき出しのボーカルが強調されたこの一曲を聴いて、次作がロックアルバムになるのではという期待は確信へと変わった。
しかし問題はどんなロックアルバムになるのか、ということである。それこそ『Ambitions』期のハイパーなミクスチャーロック、あるいはそれ以前のメロコア、ポップパンクに戻るのだろうか。もちろん、そうはならなかった。つまり『Luxury Disease』は、過去の彼らのスタイルに回帰したアルバムではない。ロックフィールドに戻ってきたONE OK ROCKのロックは、超絶な進化を遂げたのである。ほとんどあと処理が施されていないドライでストレートなボーカル。何層にも重ね合わされたヘビーでグリッターなギター。さらにパンクとマーチングバンドを掛け合わせた壮大なビートが飛び出したかと思えば、どこかシアトリカルでオペラ調な曲も存在する。彼らの音楽で感じることができる熱狂や興奮をそのままパッケージングしながらも、そのアウトプットはとにかく新鮮で、驚きの連続だ。このアルバムで得られる体験こそが、まさにロックだと言ってよい。予定調和などあり得ない。そう、ONE OK ROCKは挑戦を選択し、最終的にその勝負に勝ったのである。
正直言って、この域に達することができる日本のバンドは稀有だと思う。どこかロックを対象化するのと同時に、ロックの本質とは何かを徹底的に考え抜かなければ、このレベルのアルバムを作ることはできない。自分たちは絶対にここまで到達できるという盲目的なロマンと、今自分たちに必要な仕事と役割を正しく認識できるクールさが同居しなければ、この『Luxury Disease』は絶対に誕生しなかっただろう。
予定していた90分をフルに使いTakaに話を聞いた。彼の言葉からも、このアルバムができたのはまさに必然であることがわかる。俺たちのONE OK ROCKが再びロックに戻ってきたのだ。今までのスタイルを完璧に更新した最高傑作を引っ提げて。
もうこれを逃したらロックのムーブメントを作り上げることはできないっていう確信があった
現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』10月号表紙巻頭にONE OK ROCKが登場!
絶対的王者が最強のロックとともに再び世界を駆け抜ける! 3年ぶり無敵の10thアルバム『Luxury Disease』のすべて
インタビュー=徳山弘基 撮影=岡田貴之
実に約3年半ぶりとなるアルバム『Luxury Disease』が遂にリリースされる。事前にTakaが予告していた通り、本作は完全なるロックアルバムとなった。意識的に「脱ロック化」を目指し、アメリカの最先端ポップミュージックを吸収した前作『Eye of the Storm』から一転、今作で「ONE OK ROCKが再びロックに戻ってくる」と感じるのは当然であるし、事実その期待に応えられる最高にして最強のアルバムが完成した。ただし、この「ONE OK ROCKがロックに戻った」という表現は半分正しく、半分は間違っている。
2021年4月に行ったインタビューで「必ずロックが帰ってくる気がしている」と予感していたTaka。実際にこの頃からワールドワイドな視点でもロック復活の兆候が見え始めていて、彼の強気な発言にはきちんとした裏付けもあったのだ。この発言に呼応する形で新曲“Renegades”がリリース。ギターサウンドが全開し、むき出しのボーカルが強調されたこの一曲を聴いて、次作がロックアルバムになるのではという期待は確信へと変わった。
しかし問題はどんなロックアルバムになるのか、ということである。それこそ『Ambitions』期のハイパーなミクスチャーロック、あるいはそれ以前のメロコア、ポップパンクに戻るのだろうか。もちろん、そうはならなかった。つまり『Luxury Disease』は、過去の彼らのスタイルに回帰したアルバムではない。ロックフィールドに戻ってきたONE OK ROCKのロックは、超絶な進化を遂げたのである。ほとんどあと処理が施されていないドライでストレートなボーカル。何層にも重ね合わされたヘビーでグリッターなギター。さらにパンクとマーチングバンドを掛け合わせた壮大なビートが飛び出したかと思えば、どこかシアトリカルでオペラ調な曲も存在する。彼らの音楽で感じることができる熱狂や興奮をそのままパッケージングしながらも、そのアウトプットはとにかく新鮮で、驚きの連続だ。このアルバムで得られる体験こそが、まさにロックだと言ってよい。予定調和などあり得ない。そう、ONE OK ROCKは挑戦を選択し、最終的にその勝負に勝ったのである。
正直言って、この域に達することができる日本のバンドは稀有だと思う。どこかロックを対象化するのと同時に、ロックの本質とは何かを徹底的に考え抜かなければ、このレベルのアルバムを作ることはできない。自分たちは絶対にここまで到達できるという盲目的なロマンと、今自分たちに必要な仕事と役割を正しく認識できるクールさが同居しなければ、この『Luxury Disease』は絶対に誕生しなかっただろう。
予定していた90分をフルに使いTakaに話を聞いた。彼の言葉からも、このアルバムができたのはまさに必然であることがわかる。俺たちのONE OK ROCKが再びロックに戻ってきたのだ。今までのスタイルを完璧に更新した最高傑作を引っ提げて。
田中哲司×松田龍平が挑む伝説の舞台。ふた組の恋が今に何を響かせるか 『近松心中物語』キャストインタビュー【前編:忠兵衛&与兵衛】
初演は、42年前の1979年。戦後を代表する劇作家・秋元松代が、近松門左衛門の『冥途の飛脚』をベースに創作し、蜷川幸雄の演出で千回を超える上演が重ねられて、演劇界の金字塔と評された。その『近松心中物語』が、長塚圭史の演出で新たに立ち上がる。描かれるのは、境遇の違うふた組の男女の、心中へと追い詰められていく恋物語だ。今回はまず、その男側のふたりが登場。遊女・梅川を愛する忠兵衛役の田中哲司と、心中に憧れる妻・お亀に寄り添う与平衛役の松田龍平が、男の胸の内や、名作に挑む思いを語った。
哲司さんとの共演は「逆に警戒しています(笑)」(松田)
──舞台では、長塚圭史さん演出の『冒した者』(2013年)で共演経験のあるおふたりですが、お互いにどんな印象をお持ちですか。
田中 これはあくまでも僕の感覚なんですけど、役とか芝居へのアプローチの仕方が、僕とは全然違うところからくるなと思ったんです。芝居で絡んでみて気づいたのですが、独特のものがあってとても刺激になります。なので当時、ふたりで向かい合って座って長いセリフのやりとりをしたのが、すごく楽しかったんですよ。僕はあまりしゃべってなかったです(笑)。ほぼ龍平くんがしゃべってました。だから今回は、忠兵衛が与平衛に、梅川の身請けの手付金を借りに行くシーンでふたりでしゃべるので、そこが楽しみですね。
松田 『冒した者』ほんと楽しかったなぁ。あの舞台は今も自分の中に大きく残ってますね。哲司さんの佇まいとか、雰囲気に救われていました。実は、最後の通し稽古の途中、ふたりで向かいあってるシーンで、セリフが飛んじゃったんですけど、その時もめちゃくちゃスムーズに助けてもらって。
田中 そんなことあった? ちゃんと助けられた?
松田 はい(笑)。サラッと助けてもらったのを覚えてます。だから今回もまた助けてもらえるという安心感で、逆に、またセリフが出てこないみたいなことが起きるんじゃないかと思って、警戒してます(笑)。
「与平衛が龍平くんなので安心」(田中)
──前回共演されたのが三好十郎さんの戯曲で日本の名作でしたが、今回も伝説の舞台と言われているような名作ですね。
田中 この『近松心中物語』は、ニナガワカンパニーにいた僕にとっては、本当に敷居が高い作品です。本番の舞台を観たことはないのですが、やっぱり大きな存在なんですよね。しかも、その忠兵衛役をやるので、心して挑まねばならないなと思っています。ただ、与平衛が龍平くんなので安心であったりもします。ちょっと気弱な遊び人で、人に流される与平衛っていうのがすでに見えてくるので。今は、「よし、そっちは大丈夫だ、あとはこっちが頑張ればいい」という感じになれています。
松田 たくさんの人に愛されてる作品ですから、プレッシャーはありますが、面白くなるに違いないという期待を胸に、これから皆さんと作っていけたらと思っています。ただ、哲司さんが演じる忠兵衛の年齢が20代だって聞いて、大丈夫かなって、さっき話していたんですけど(笑)。
田中 (笑)。それを圭史くんに聞いて、そうか、若いから心中できるんだよな、若い命が散っていくから悲しいんだよなと思えるんです。当初それが頭になかったから、このまま稽古に入ってたら危ないところでした。だから、若さゆえっていうところを、動きとか感情の揺れで、ちゃんと出さなきゃいけないなと思いますね。それこそ歌舞伎でも有名な“封印切”のシーンなんかは、はっちゃけてウワーッと。
松田 オジサンが無理しちゃってる感じに見えないようにしないと(笑)。
田中 心中へ追い詰められる悲壮感にちゃんとつながるように演じなければと思っています。片や龍平くんの与平衛とお亀には、本当に笑える面白いシーンもあるよね。
松田 与平衛とお亀では温度差が面白いですよね。お亀は、与兵衛のことが好きで仕方ないと言う感じで、与兵衛は色々うんざりしちゃって、乞食にでもなって、自由に暮らすのも良いかもと思っていて。ふたりが心中に向かっていくところも、お亀のロマンチックモードに、なんとかついていってる感じで(笑)。 与平衛は心優しい真っ直ぐな男なんですけど、後先考えず「わかった」と言ってしまうんです。与兵衛は間違ったことはしていないように思うんだけど、なんか、ずれちゃってて。その感じがすごく魅力的なんですよ。
──ちなみに、それぞれのお相手となる、梅川役の笹本玲奈さん、お亀役の石橋静河さんの印象は?
田中 笹本さんは『ピーターパン』の主演でデビューされていて芸歴が長いですし。ミュージカル畑の方だから、どういう感じの芝居でこられるのか、ワクワクしてます。やっぱり思わぬものがきたほうが、予定調和よりも全然楽しいですからね。ふたりでどんなものが作れるか、本当に楽しみにしています。
松田 僕は石橋さんのことは、親の繋がりもあって小さい頃から知ってるんです。お亀と与兵衛も幼なじみなので、繋がるところがあるのは面白いですし、お芝居するのが楽しみです。
描かれていることは、今の時代とまったく変わらない(田中)
──身請けのお金が工面できない忠兵衛と、忠兵衛にお金を貸せる与平衛。この物語にはそうした境遇の違いが様々にあって、それを今の格差や貧富の問題につながるものとして描きたいと長塚さんはおっしゃっています。おふたりは、今にどんなものが届く芝居になると思われますか。
田中 ここに描かれていることは、今の時代とまったく変わらないですよね。忠兵衛は、何百両何千両のお金を扱う仕事をしていながら給料は少なくて、女のために使い込みを働いてしまう。だから、若さもそうですけど、遊女になるしかなかった梅川も含め、貧しいっていうことは強調して出していかないといけないなと思いますね。
松田 でも、現代で「心中」っていう言葉を聞くと、家族で無理心中。みたいなイメージがありますけど、この時代に、自由に恋愛をすることが出来なかった男女にとって「心中」は最後のチャンスだったのかもしれないですね。心中にポジティブ、みたいな(笑)。哲司さんは「心中」どうですか?
田中 絶対できない。だから、与平衛の感じはすごくわかります。お客さんも与平衛に共感する人が多いんじゃないかな。でも、龍平くんは、お亀の心臓を突かないといけない。そんなの一発で上手くいかないよね。
松田 なかなか死ねないみたいな(笑)。それ、芝居でやってみますか?
田中 稽古でやってみる価値はあるかも。笑いにならない程度に。
松田 圭史さんにすぐ「それいらないな」って言われそう(笑)。
──その長塚さんの演出は、いかがですか。
田中 厳しくもありやさしくもあり。
松田 圭史さんは鋭いんですよね、芝居してる時の気持ちが全部バレちゃう感じで。そうなると油断できないし、遅刻も出来ないし、話を聞いてないと怒られるからなー。
田中 そりゃそうでしょ(笑)。
松田 でも、今回嬉しいですね。これまで圭史さんとやった2作は、セットが椅子ばかりだったから(笑)。『冒した者』は音楽もなくて、すごい緊張感の中で芝居してたし。『イーハトーボの劇列車』は汽車の音を役者が奏でたり。今回はみんなで楽器で盛り上がったり、色々装置もあって。
田中 音楽もあるよ。それもスチャダラパーさんが作ってくれる音楽が。
松田 もうね、本当にありがたいです(笑)。
圭史さんの舞台をやると、また一歩踏み出すきっかけをもらえる(松田)
──松田さんにとって舞台出演は今回が5作目で、そのうちの3作が長塚さん演出の作品になりますが、舞台に出るときは何か決め手となるポイントがあるんでしょうか。
松田 舞台は大変ですよね。稽古を重ねて、本番が始まったら何があっても最後まで止まらないし。ちゃんとやり切れるのか、ビビっちゃいますね(笑)。でも、なんだかんだ、これはやらないと勿体ないぞっていう、そういう絶妙なタイミングで、いつも長塚さんに声をかけてもらってる気がしてます。
田中 しかも龍平くん、圭史くんの中でも大変な作品ばかりやってるよね。
松田 そうなんですね(笑)。でも、ほんと、稽古から本番にかけて、夢中になって。舞台を終えると、なんだか一歩踏み出せるような感じがあって。
──一方田中さんは、数え切れないほど舞台に出ておられます。その中でも、この作品はどんな存在になりそうでしょうか。
田中 僕も龍平くんと似たような、「これキツイなぁ。でもやるしかないよな」みたいなところはあります。
松田 ありますね。
田中 特に圭史くんは、大変な作品をやるときに声をかけてくれるので、ちょっと追い込まれる感じになるんですよね。『浮標』(2011年、12年、16年)も『冒した者』もそうでしたけど、その都度、この年齢になってもこういうことをクリアしなきゃいけないのかっていう気持ちになる。でも、これでまた大きくなれたらいいな、自信になればいいなと思ってやっています。だから今回も、あの忠兵衛をやれたんだ、55歳で20代の忠兵衛をやれたんだって(笑)、また自信になったらいいなと思っています。
初演は、42年前の1979年。戦後を代表する劇作家・秋元松代が、近松門左衛門の『冥途の飛脚』をベースに創作し、蜷川幸雄の演出で千回を超える上演が重ねられて、演劇界の金字塔と評された。その『近松心中物語』が、長塚圭史の演出で新たに立ち上がる。描かれるのは、境遇の違うふた組の男女の、心中へと追い詰められていく恋物語だ。今回はまず、その男側のふたりが登場。遊女・梅川を愛する忠兵衛役の田中哲司と、心中に憧れる妻・お亀に寄り添う与平衛役の松田龍平が、男の胸の内や、名作に挑む思いを語った。
哲司さんとの共演は「逆に警戒しています(笑)」(松田)
──舞台では、長塚圭史さん演出の『冒した者』(2013年)で共演経験のあるおふたりですが、お互いにどんな印象をお持ちですか。
田中 これはあくまでも僕の感覚なんですけど、役とか芝居へのアプローチの仕方が、僕とは全然違うところからくるなと思ったんです。芝居で絡んでみて気づいたのですが、独特のものがあってとても刺激になります。なので当時、ふたりで向かい合って座って長いセリフのやりとりをしたのが、すごく楽しかったんですよ。僕はあまりしゃべってなかったです(笑)。ほぼ龍平くんがしゃべってました。だから今回は、忠兵衛が与平衛に、梅川の身請けの手付金を借りに行くシーンでふたりでしゃべるので、そこが楽しみですね。
松田 『冒した者』ほんと楽しかったなぁ。あの舞台は今も自分の中に大きく残ってますね。哲司さんの佇まいとか、雰囲気に救われていました。実は、最後の通し稽古の途中、ふたりで向かいあってるシーンで、セリフが飛んじゃったんですけど、その時もめちゃくちゃスムーズに助けてもらって。
田中 そんなことあった? ちゃんと助けられた?
松田 はい(笑)。サラッと助けてもらったのを覚えてます。だから今回もまた助けてもらえるという安心感で、逆に、またセリフが出てこないみたいなことが起きるんじゃないかと思って、警戒してます(笑)。
「与平衛が龍平くんなので安心」(田中)
──前回共演されたのが三好十郎さんの戯曲で日本の名作でしたが、今回も伝説の舞台と言われているような名作ですね。
田中 この『近松心中物語』は、ニナガワカンパニーにいた僕にとっては、本当に敷居が高い作品です。本番の舞台を観たことはないのですが、やっぱり大きな存在なんですよね。しかも、その忠兵衛役をやるので、心して挑まねばならないなと思っています。ただ、与平衛が龍平くんなので安心であったりもします。ちょっと気弱な遊び人で、人に流される与平衛っていうのがすでに見えてくるので。今は、「よし、そっちは大丈夫だ、あとはこっちが頑張ればいい」という感じになれています。
松田 たくさんの人に愛されてる作品ですから、プレッシャーはありますが、面白くなるに違いないという期待を胸に、これから皆さんと作っていけたらと思っています。ただ、哲司さんが演じる忠兵衛の年齢が20代だって聞いて、大丈夫かなって、さっき話していたんですけど(笑)。
田中 (笑)。それを圭史くんに聞いて、そうか、若いから心中できるんだよな、若い命が散っていくから悲しいんだよなと思えるんです。当初それが頭になかったから、このまま稽古に入ってたら危ないところでした。だから、若さゆえっていうところを、動きとか感情の揺れで、ちゃんと出さなきゃいけないなと思いますね。それこそ歌舞伎でも有名な“封印切”のシーンなんかは、はっちゃけてウワーッと。
松田 オジサンが無理しちゃってる感じに見えないようにしないと(笑)。
田中 心中へ追い詰められる悲壮感にちゃんとつながるように演じなければと思っています。片や龍平くんの与平衛とお亀には、本当に笑える面白いシーンもあるよね。
松田 与平衛とお亀では温度差が面白いですよね。お亀は、与兵衛のことが好きで仕方ないと言う感じで、与兵衛は色々うんざりしちゃって、乞食にでもなって、自由に暮らすのも良いかもと思っていて。ふたりが心中に向かっていくところも、お亀のロマンチックモードに、なんとかついていってる感じで(笑)。 与平衛は心優しい真っ直ぐな男なんですけど、後先考えず「わかった」と言ってしまうんです。与兵衛は間違ったことはしていないように思うんだけど、なんか、ずれちゃってて。その感じがすごく魅力的なんですよ。
──ちなみに、それぞれのお相手となる、梅川役の笹本玲奈さん、お亀役の石橋静河さんの印象は?
田中 笹本さんは『ピーターパン』の主演でデビューされていて芸歴が長いですし。ミュージカル畑の方だから、どういう感じの芝居でこられるのか、ワクワクしてます。やっぱり思わぬものがきたほうが、予定調和よりも全然楽しいですからね。ふたりでどんなものが作れるか、本当に楽しみにしています。
松田 僕は石橋さんのことは、親の繋がりもあって小さい頃から知ってるんです。お亀と与兵衛も幼なじみなので、繋がるところがあるのは面白いですし、お芝居するのが楽しみです。
描かれていることは、今の時代とまったく変わらない(田中)
──身請けのお金が工面できない忠兵衛と、忠兵衛にお金を貸せる与平衛。この物語にはそうした境遇の違いが様々にあって、それを今の格差や貧富の問題につながるものとして描きたいと長塚さんはおっしゃっています。おふたりは、今にどんなものが届く芝居になると思われますか。
田中 ここに描かれていることは、今の時代とまったく変わらないですよね。忠兵衛は、何百両何千両のお金を扱う仕事をしていながら給料は少なくて、女のために使い込みを働いてしまう。だから、若さもそうですけど、遊女になるしかなかった梅川も含め、貧しいっていうことは強調して出していかないといけないなと思いますね。
松田 でも、現代で「心中」っていう言葉を聞くと、家族で無理心中。みたいなイメージがありますけど、この時代に、自由に恋愛をすることが出来なかった男女にとって「心中」は最後のチャンスだったのかもしれないですね。心中にポジティブ、みたいな(笑)。哲司さんは「心中」どうですか?
田中 絶対できない。だから、与平衛の感じはすごくわかります。お客さんも与平衛に共感する人が多いんじゃないかな。でも、龍平くんは、お亀の心臓を突かないといけない。そんなの一発で上手くいかないよね。
松田 なかなか死ねないみたいな(笑)。それ、芝居でやってみますか?
田中 稽古でやってみる価値はあるかも。笑いにならない程度に。
松田 圭史さんにすぐ「それいらないな」って言われそう(笑)。
──その長塚さんの演出は、いかがですか。
田中 厳しくもありやさしくもあり。
松田 圭史さんは鋭いんですよね、芝居してる時の気持ちが全部バレちゃう感じで。そうなると油断できないし、遅刻も出来ないし、話を聞いてないと怒られるからなー。
田中 そりゃそうでしょ(笑)。
松田 でも、今回嬉しいですね。これまで圭史さんとやった2作は、セットが椅子ばかりだったから(笑)。『冒した者』は音楽もなくて、すごい緊張感の中で芝居してたし。『イーハトーボの劇列車』は汽車の音を役者が奏でたり。今回はみんなで楽器で盛り上がったり、色々装置もあって。
田中 音楽もあるよ。それもスチャダラパーさんが作ってくれる音楽が。
松田 もうね、本当にありがたいです(笑)。
圭史さんの舞台をやると、また一歩踏み出すきっかけをもらえる(松田)
──松田さんにとって舞台出演は今回が5作目で、そのうちの3作が長塚さん演出の作品になりますが、舞台に出るときは何か決め手となるポイントがあるんでしょうか。
松田 舞台は大変ですよね。稽古を重ねて、本番が始まったら何があっても最後まで止まらないし。ちゃんとやり切れるのか、ビビっちゃいますね(笑)。でも、なんだかんだ、これはやらないと勿体ないぞっていう、そういう絶妙なタイミングで、いつも長塚さんに声をかけてもらってる気がしてます。
田中 しかも龍平くん、圭史くんの中でも大変な作品ばかりやってるよね。
松田 そうなんですね(笑)。でも、ほんと、稽古から本番にかけて、夢中になって。舞台を終えると、なんだか一歩踏み出せるような感じがあって。
──一方田中さんは、数え切れないほど舞台に出ておられます。その中でも、この作品はどんな存在になりそうでしょうか。
田中 僕も龍平くんと似たような、「これキツイなぁ。でもやるしかないよな」みたいなところはあります。
松田 ありますね。
田中 特に圭史くんは、大変な作品をやるときに声をかけてくれるので、ちょっと追い込まれる感じになるんですよね。『浮標』(2011年、12年、16年)も『冒した者』もそうでしたけど、その都度、この年齢になってもこういうことをクリアしなきゃいけないのかっていう気持ちになる。でも、これでまた大きくなれたらいいな、自信になればいいなと思ってやっています。だから今回も、あの忠兵衛をやれたんだ、55歳で20代の忠兵衛をやれたんだって(笑)、また自信になったらいいなと思っています。
ジェイドの嫌いのこと改めて見るとさ「予定調和」なのはなかなか興味深くて思わず深掘りしたくなるなぁ
私が思うには、恐らく深海の魚群のような集団行動もその一種でしょうね、事流れ主義ともいいますか…稚魚時代からずっと目にしてるその生態行為もうんざりされてるでしょうし…好奇心旺盛で、自ら未知領域への渇望(主に山(キノコと読みます)が随所見えるジェイドだからこそ、自由気満々で気分屋で常に未知数のフロイドが好きでしょうな[awsl]生まれた時から一緒なのに、未だに掴めないところがあるとかジェイドにとってそれはそれは魅力的なのが間違えないでしょう
当然、フロイドにとってのジェイドも然りだね、片割れというモノは奇妙だわ
あぁ、あまりにも尊い関係性でオタクの脳へのダメージがデカい!アズール、魔法薬くだしゃい!!
私が思うには、恐らく深海の魚群のような集団行動もその一種でしょうね、事流れ主義ともいいますか…稚魚時代からずっと目にしてるその生態行為もうんざりされてるでしょうし…好奇心旺盛で、自ら未知領域への渇望(主に山(キノコと読みます)が随所見えるジェイドだからこそ、自由気満々で気分屋で常に未知数のフロイドが好きでしょうな[awsl]生まれた時から一緒なのに、未だに掴めないところがあるとかジェイドにとってそれはそれは魅力的なのが間違えないでしょう
当然、フロイドにとってのジェイドも然りだね、片割れというモノは奇妙だわ
あぁ、あまりにも尊い関係性でオタクの脳へのダメージがデカい!アズール、魔法薬くだしゃい!!
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