エキドナ#艾姬多娜#:
「君が持つ特性、『死に戻り』はすさまじい権能だ。
その有用さが、君は本当の意味で理解できていない。
自分の望まない終わりを許容しない、何度でもやり直す、未来へ何度でも手を伸ばせる— —それは、探究者にとって究極に近い理想だ。
だって、そうだろう?本来、ある物事への結果というものは、一つの結果が出てしまったらそこから動かせないんだ。
結果が出るまでの過程でならば、その結果がどうなるかについての仮説は様々なものが立てられる。
こういったアプローチをすれば、あるいはこういう条件にしてみれば、様々な仮説や検証は可能だ。
けれど、実際にその結果を出そうと実験に臨むとなれば、結果も試せる仮説も検証も、一つに集約されざるを得ない。
まったく、本当の意味でまったく同じ条件を作り出すことは不可能なんだ。
どんなに条件を整えたとしても、その時点とまったく同じ条件は絶対に作り出せない。
あのとき、別のやり方をしていたらどんな結果が出ていたのか――それは、ボクたち探究者にとっては決して手を届かせることのできない、理想のその先にある夢想でしかない。
『世界の記憶』を持つボクには、その答えを『知る』手段は確かにあるさ、あるとも。
あるけれど、それを使うことを、用いることをボクはよしとしない。
ボクは『知りたい』んであって、『知っていたい』わけじゃない。ひどく矛盾を生む、ボクにとっては忌むべき物体であるといえるね。
話がそれそうだから本題に戻すけれど……
そう、そんなボクたち、あるべき結果を一つのものとしか受け入れられない、観測手段を一つしか持たないボクたちからすれば、君という存在は、その権能は喉から手が出るほど欲しいものなんだ。
『同じ条件』で、『違う検証』ができ、『本来の結果』とは『別の結果』を見ることができる、究極的な権能— —これを、欲さずにいられるだろうか。
これを目の前にして、あらゆることを試さずにいられるだろうか。
もちろん、ボクとしても決して君にそれを強要するつもりなんてない。
あくまで、君は君の目的のために、その『死に戻り』を大いに利用するべきだ。ボクもまた、君が求める未来へ辿り着くために最善を尽くそう。
そして、その過程でできるならボク自身の好奇心を満たすことにも大いに貢献してもらいたい。
これぐらいは望んでも罰は当たらないはずだ。
君は答えを見られる。
ボクは好奇心を満たせる。
互いの利害は一致している。
ボクだって答えを知っているわけではないから、わざと間違った選択肢に君を誘導して、その上で惨たらしい結末を迎えるような真似はできるはずもない。
直面する問題に対して、最初から正しい答えを持たないという意味ではボクと君はあくまで対等だ。
共に同じ問題に悩み、足掻き、答えを出そうともがくという意味では正しく同志であるというべきだろう。
そのことについてはボクは恥じることなくはっきりと断言できる。
検証する手段が増える、という意味でボクは君をとても好意的に思っているから、君を無碍にするような真似は絶対にしないと誓おう。
もちろん、答えが出ない問題に直面して、ボクの協力があったとしても簡単には乗り越えられない事態も当然あり得るだろう。
知識の面で力を貸すことができても、ボクは決して現実に干渉できるわけではない。
立ちはだかる障害が肉体的な、物理的な力を必要とする問題だった場合、ボクは君の助けになることはできない。
幾度も幾度も、あるいは数百、数千と君は心と体を砕かれるかもしれない。
もしもそうなったとしても、ボクは君の心のケアを行っていきたいと本心から思っている。
そこには君という有用な存在を失いたくないという探究心からなる感情が一片も混じらないとは断言できない。
けれど、君という存在を好ましく思って、君の力になりたいとそう思う気持ちがあるのも本当なんだ。
だから悪いようには思ってもらいたくない。
繰り返しになってしまうが、ボクは君の目的に対して有用な存在だと胸を張れる。
そう、ボクがボクの好奇心といった強欲を満たすために、君の存在をある意味では利用しようと考えるのと同じように、君もまたボクという存在を君の『最善の未来へ至る』という目的のために利用したらいい。
そうやって都合のいい女として、君に扱われるのもボクとしては本望だ。
それで君がやる気になってくれるというのなら、ボクは喜んでボクという存在を捧げよう。
貧相な体ですでに死者であるこの身を、君が望んでくれるかは別としてだけどね。
おっと、こんなことを言っては君の思い人に悪いかな。
君の思い人— —銀色のハーフエルフ、そして青い髪の鬼の少女。
そう君が必ず助け出すと、守ってみせると、心で誓い行動で示している少女たちだ。
二人に対して、そんな強い感情を抱く君の心のありように対するボクの考えはこの場では述べないこととして、しかし純粋に君の前に立ちはだかる壁の高さは想像を絶するものであると断言しよう。
現状、すでにわかっている障害だけでどれだけ君の手に負えないものが乱立していることか。
それらを一人で乗り越えようとする君の覚悟は貴く、そしてあまりにも悲愴なものだ。
ボクがそんな君の道筋の力になりたい、なれればと思う気持ちにも決して偽りはない。
そして、君はボクのそんな気持ちを利用するべきなんだ。
君は、君が持ちえる全てを、君が利用できる全てを利用して、それだけのことをして絆を結んだ人々を助けなくてはならない。
それが君が君自身に誓った誓いで、必要なことであると苦痛の道のりの上で割り切った信念じゃないか。
だからボクは君に問う、君に重ねる、君を想おう。君が自分の命を使い捨てて、それで歩いてきた道のりのことは皮肉にもつい今、第二の『試練』という形で証明された。
あるいはあの『試練』は、君にこれまで歩いてきた道のりを理解させるためにあったんじゃないかとすら錯覚させるほど、必要なものにすら思える。確かに必要のない、自覚することで心がすり減る類の光景であったことは事実だ。
でも、知らなかった状態と知っている状態ならば、ボクはどんな悲劇的な事実であったとしても後者の方を尊く思いたい。
君はこれまで、そしてこれからも、自分の命を『死に戻り』の対価として差し出し、そして未来を引き寄せる必要があるんだ。
そのために犠牲になるものが、世界が、こういった形で『あるのかもしれない』と心に留め置くことは必要なことだったんだ。
いずれ、自分の命を支払うことに何ら感傷を抱かなくなり、人間的な感情が希薄になって、大切な人たちの『死』にすら心を動かさなくなり、無感動で無感情で無気力な日々に沈み、最善の未来へ辿り着いたとしても、そこに君という存在が欠けた状態で辿り着く— —
そんな、徒労感だけが残る未来へ辿り着かないためにも、必要なことだったんだ。
そう、世界の全てに無駄なことなんてものはなく、全ては必要な道行、必要なパズルのピ— —スなんだ。
それを理解するために『試練』はあった。
君が今、こうして足を止めてしまっている理由に、原因にもっともらしい意味をつけて割り切ることが必要なら、こう考えるといい。そして、ボクは君のその考えを肯定する。
君が前へ進むために必要な力を、ボクが言葉で与えられるのならどんな言葉でもかけよう。
それが慰めでも、発破をかけるのでも、愛を囁くのでも、憎悪を掻き立てるものであっても、それが君の力になるのであればボクは躊躇うことなくそれを行使できる。
君はそれを厭うかもしれないが、君のこれからの歩みには必ずボクのような存在の力が必要なんだ。
君がこれから、傷付くことを避けられない孤独の道を歩んでゆくというのなら、その道のりを目を背けることなく一緒に歩ける存在が必ず必要なんだ。
そしてその役割をボクならば、他の誰でもなく、このボクならば何の問題もなく一緒に歩いていくことができる。
繰り返そう、重ねよう、何度だって君に届くように伝えよう。
君には、ボクが必要なはずだ。そして、ボクには君が必要なんだ。
君の存在が、必要なんだ。ボクの好奇心はもはや、君という存在をなくしては決して満たされない。
君という存在だけが、ボクを満たしてくれる。
ボクに、ボクの決して満たされることのない『強欲』に、きっと満足を与えてくれる。
君の存在はもはやボクの、この閉ざされた世界に住まうボクにとっては欠かせない。
君が誰かの希望でありたいと、世界を切り開くために力を行使するのであれば、ボクという哀れな存在にそのおこぼれをいただくことはできないだろうか。
ボクは君がその温情をボクに傾けてくれるというのなら、この身を、知識を、魂を、捧げることを何ら躊躇いはしない。
だからお願いだ。
ボクを信じてほしい。
こうしてこれまで本心を伝えようとしなかったのは、決して君を騙そうとしたりだとか、隠し立てをしようとしていたわけじゃない。
時期を見計らっていただけだ。今、この瞬間に本心の欠片を訴えかけていたとしたら、きっと君はボクから離れてしまったことだろう。
ボクにとってそれは耐え難い損失なんだ。もちろん、それは君にとっても、求める未来を遠ざけるという意味で正しく損失というべきだろう。
いずれ、君は『死に戻り』という特性上、きっと求める未来へ辿り着くことだろう。
けれど、その辿り着ける未来に対し、君が支払う代償は少ない方がいいに決まっている。
ボクは、ボクならばそれを軽減することが可能だ。
最終的に求める結果に辿り着ければいい、などと大目的を理由に小目的を蔑ろにするような、人でなしな考えをするとは誤解しないでほしいんだ。
確かに誘惑に駆られて、こうした場合の結果を見たいがために、最善の道行きに必要な要素に気付いていながら言葉にしない— —というような行いを絶対にしないと断言できるほど、ボクはボクの欲望を抑制できていない。そのことは認めよう。
けれど、誤魔化しはしない。もし仮にそんな信頼に背くような行いに手を染めるようなことがあれば、それを隠すようなことだけは絶対にしない。
必ず打ち明ける。
そして、失った信頼に応えられるよう、何度でも君のために力を尽くそう。
どんなことがあっても、必ずボクは君を君が望む最善の未来へ送り出す。
絶対に、絶対にだ。だからそのために必要な手段であると割り切って、ボクを選んではくれないだろうか。
ボクが君に望み、君に求める要求は契約の際に述べたこと通りだ。
あとは君が、君自身が、欲しいと欲する願いに対してどこまで身を切れるか、という話になってくる。
ボクの覚悟は今述べた通りだ。
あとは、君の覚悟を聞きたい。
君の方こそ、ボクとの契約を交わし、ボクの協力を得て、その上で必ず未来へ辿り着くのだと、その気概があるのだとボクに証明してみせてほしい。
それができてこそ初めて、君は第二の『試練』に打ち勝ったと胸を張って言えるんだ。
第三の『試練』に進み、そしてそれを乗り越えて『聖域』の解放を果たす。
今後、『聖域』と君の思い人、そして大切な人々に降りかかる災厄を思えば、これは越えなくてはならない正しく『試練』なんだ。それを乗り越える力が、覚悟が君にあるのだと、ボクに教えてほしい。
そしてその上で、ボクを奪って、ボクの知識を利用して、その先にあるものを得ていこう。
ボクが君に望み、君に求め、そして代わりに君に差し出せるものは以上だ。
ボクは真摯に、正直に、全てを打ち明けたつもりだ。
その上で、君がどういった判断をするのか— —それを、ボクに教えてほしい。ボクという存在の、好奇心の一端を満たすためにも、ね」
動畫只有1/4的量,原作4000字的超長超硬台詞!
「君が持つ特性、『死に戻り』はすさまじい権能だ。
その有用さが、君は本当の意味で理解できていない。
自分の望まない終わりを許容しない、何度でもやり直す、未来へ何度でも手を伸ばせる— —それは、探究者にとって究極に近い理想だ。
だって、そうだろう?本来、ある物事への結果というものは、一つの結果が出てしまったらそこから動かせないんだ。
結果が出るまでの過程でならば、その結果がどうなるかについての仮説は様々なものが立てられる。
こういったアプローチをすれば、あるいはこういう条件にしてみれば、様々な仮説や検証は可能だ。
けれど、実際にその結果を出そうと実験に臨むとなれば、結果も試せる仮説も検証も、一つに集約されざるを得ない。
まったく、本当の意味でまったく同じ条件を作り出すことは不可能なんだ。
どんなに条件を整えたとしても、その時点とまったく同じ条件は絶対に作り出せない。
あのとき、別のやり方をしていたらどんな結果が出ていたのか――それは、ボクたち探究者にとっては決して手を届かせることのできない、理想のその先にある夢想でしかない。
『世界の記憶』を持つボクには、その答えを『知る』手段は確かにあるさ、あるとも。
あるけれど、それを使うことを、用いることをボクはよしとしない。
ボクは『知りたい』んであって、『知っていたい』わけじゃない。ひどく矛盾を生む、ボクにとっては忌むべき物体であるといえるね。
話がそれそうだから本題に戻すけれど……
そう、そんなボクたち、あるべき結果を一つのものとしか受け入れられない、観測手段を一つしか持たないボクたちからすれば、君という存在は、その権能は喉から手が出るほど欲しいものなんだ。
『同じ条件』で、『違う検証』ができ、『本来の結果』とは『別の結果』を見ることができる、究極的な権能— —これを、欲さずにいられるだろうか。
これを目の前にして、あらゆることを試さずにいられるだろうか。
もちろん、ボクとしても決して君にそれを強要するつもりなんてない。
あくまで、君は君の目的のために、その『死に戻り』を大いに利用するべきだ。ボクもまた、君が求める未来へ辿り着くために最善を尽くそう。
そして、その過程でできるならボク自身の好奇心を満たすことにも大いに貢献してもらいたい。
これぐらいは望んでも罰は当たらないはずだ。
君は答えを見られる。
ボクは好奇心を満たせる。
互いの利害は一致している。
ボクだって答えを知っているわけではないから、わざと間違った選択肢に君を誘導して、その上で惨たらしい結末を迎えるような真似はできるはずもない。
直面する問題に対して、最初から正しい答えを持たないという意味ではボクと君はあくまで対等だ。
共に同じ問題に悩み、足掻き、答えを出そうともがくという意味では正しく同志であるというべきだろう。
そのことについてはボクは恥じることなくはっきりと断言できる。
検証する手段が増える、という意味でボクは君をとても好意的に思っているから、君を無碍にするような真似は絶対にしないと誓おう。
もちろん、答えが出ない問題に直面して、ボクの協力があったとしても簡単には乗り越えられない事態も当然あり得るだろう。
知識の面で力を貸すことができても、ボクは決して現実に干渉できるわけではない。
立ちはだかる障害が肉体的な、物理的な力を必要とする問題だった場合、ボクは君の助けになることはできない。
幾度も幾度も、あるいは数百、数千と君は心と体を砕かれるかもしれない。
もしもそうなったとしても、ボクは君の心のケアを行っていきたいと本心から思っている。
そこには君という有用な存在を失いたくないという探究心からなる感情が一片も混じらないとは断言できない。
けれど、君という存在を好ましく思って、君の力になりたいとそう思う気持ちがあるのも本当なんだ。
だから悪いようには思ってもらいたくない。
繰り返しになってしまうが、ボクは君の目的に対して有用な存在だと胸を張れる。
そう、ボクがボクの好奇心といった強欲を満たすために、君の存在をある意味では利用しようと考えるのと同じように、君もまたボクという存在を君の『最善の未来へ至る』という目的のために利用したらいい。
そうやって都合のいい女として、君に扱われるのもボクとしては本望だ。
それで君がやる気になってくれるというのなら、ボクは喜んでボクという存在を捧げよう。
貧相な体ですでに死者であるこの身を、君が望んでくれるかは別としてだけどね。
おっと、こんなことを言っては君の思い人に悪いかな。
君の思い人— —銀色のハーフエルフ、そして青い髪の鬼の少女。
そう君が必ず助け出すと、守ってみせると、心で誓い行動で示している少女たちだ。
二人に対して、そんな強い感情を抱く君の心のありように対するボクの考えはこの場では述べないこととして、しかし純粋に君の前に立ちはだかる壁の高さは想像を絶するものであると断言しよう。
現状、すでにわかっている障害だけでどれだけ君の手に負えないものが乱立していることか。
それらを一人で乗り越えようとする君の覚悟は貴く、そしてあまりにも悲愴なものだ。
ボクがそんな君の道筋の力になりたい、なれればと思う気持ちにも決して偽りはない。
そして、君はボクのそんな気持ちを利用するべきなんだ。
君は、君が持ちえる全てを、君が利用できる全てを利用して、それだけのことをして絆を結んだ人々を助けなくてはならない。
それが君が君自身に誓った誓いで、必要なことであると苦痛の道のりの上で割り切った信念じゃないか。
だからボクは君に問う、君に重ねる、君を想おう。君が自分の命を使い捨てて、それで歩いてきた道のりのことは皮肉にもつい今、第二の『試練』という形で証明された。
あるいはあの『試練』は、君にこれまで歩いてきた道のりを理解させるためにあったんじゃないかとすら錯覚させるほど、必要なものにすら思える。確かに必要のない、自覚することで心がすり減る類の光景であったことは事実だ。
でも、知らなかった状態と知っている状態ならば、ボクはどんな悲劇的な事実であったとしても後者の方を尊く思いたい。
君はこれまで、そしてこれからも、自分の命を『死に戻り』の対価として差し出し、そして未来を引き寄せる必要があるんだ。
そのために犠牲になるものが、世界が、こういった形で『あるのかもしれない』と心に留め置くことは必要なことだったんだ。
いずれ、自分の命を支払うことに何ら感傷を抱かなくなり、人間的な感情が希薄になって、大切な人たちの『死』にすら心を動かさなくなり、無感動で無感情で無気力な日々に沈み、最善の未来へ辿り着いたとしても、そこに君という存在が欠けた状態で辿り着く— —
そんな、徒労感だけが残る未来へ辿り着かないためにも、必要なことだったんだ。
そう、世界の全てに無駄なことなんてものはなく、全ては必要な道行、必要なパズルのピ— —スなんだ。
それを理解するために『試練』はあった。
君が今、こうして足を止めてしまっている理由に、原因にもっともらしい意味をつけて割り切ることが必要なら、こう考えるといい。そして、ボクは君のその考えを肯定する。
君が前へ進むために必要な力を、ボクが言葉で与えられるのならどんな言葉でもかけよう。
それが慰めでも、発破をかけるのでも、愛を囁くのでも、憎悪を掻き立てるものであっても、それが君の力になるのであればボクは躊躇うことなくそれを行使できる。
君はそれを厭うかもしれないが、君のこれからの歩みには必ずボクのような存在の力が必要なんだ。
君がこれから、傷付くことを避けられない孤独の道を歩んでゆくというのなら、その道のりを目を背けることなく一緒に歩ける存在が必ず必要なんだ。
そしてその役割をボクならば、他の誰でもなく、このボクならば何の問題もなく一緒に歩いていくことができる。
繰り返そう、重ねよう、何度だって君に届くように伝えよう。
君には、ボクが必要なはずだ。そして、ボクには君が必要なんだ。
君の存在が、必要なんだ。ボクの好奇心はもはや、君という存在をなくしては決して満たされない。
君という存在だけが、ボクを満たしてくれる。
ボクに、ボクの決して満たされることのない『強欲』に、きっと満足を与えてくれる。
君の存在はもはやボクの、この閉ざされた世界に住まうボクにとっては欠かせない。
君が誰かの希望でありたいと、世界を切り開くために力を行使するのであれば、ボクという哀れな存在にそのおこぼれをいただくことはできないだろうか。
ボクは君がその温情をボクに傾けてくれるというのなら、この身を、知識を、魂を、捧げることを何ら躊躇いはしない。
だからお願いだ。
ボクを信じてほしい。
こうしてこれまで本心を伝えようとしなかったのは、決して君を騙そうとしたりだとか、隠し立てをしようとしていたわけじゃない。
時期を見計らっていただけだ。今、この瞬間に本心の欠片を訴えかけていたとしたら、きっと君はボクから離れてしまったことだろう。
ボクにとってそれは耐え難い損失なんだ。もちろん、それは君にとっても、求める未来を遠ざけるという意味で正しく損失というべきだろう。
いずれ、君は『死に戻り』という特性上、きっと求める未来へ辿り着くことだろう。
けれど、その辿り着ける未来に対し、君が支払う代償は少ない方がいいに決まっている。
ボクは、ボクならばそれを軽減することが可能だ。
最終的に求める結果に辿り着ければいい、などと大目的を理由に小目的を蔑ろにするような、人でなしな考えをするとは誤解しないでほしいんだ。
確かに誘惑に駆られて、こうした場合の結果を見たいがために、最善の道行きに必要な要素に気付いていながら言葉にしない— —というような行いを絶対にしないと断言できるほど、ボクはボクの欲望を抑制できていない。そのことは認めよう。
けれど、誤魔化しはしない。もし仮にそんな信頼に背くような行いに手を染めるようなことがあれば、それを隠すようなことだけは絶対にしない。
必ず打ち明ける。
そして、失った信頼に応えられるよう、何度でも君のために力を尽くそう。
どんなことがあっても、必ずボクは君を君が望む最善の未来へ送り出す。
絶対に、絶対にだ。だからそのために必要な手段であると割り切って、ボクを選んではくれないだろうか。
ボクが君に望み、君に求める要求は契約の際に述べたこと通りだ。
あとは君が、君自身が、欲しいと欲する願いに対してどこまで身を切れるか、という話になってくる。
ボクの覚悟は今述べた通りだ。
あとは、君の覚悟を聞きたい。
君の方こそ、ボクとの契約を交わし、ボクの協力を得て、その上で必ず未来へ辿り着くのだと、その気概があるのだとボクに証明してみせてほしい。
それができてこそ初めて、君は第二の『試練』に打ち勝ったと胸を張って言えるんだ。
第三の『試練』に進み、そしてそれを乗り越えて『聖域』の解放を果たす。
今後、『聖域』と君の思い人、そして大切な人々に降りかかる災厄を思えば、これは越えなくてはならない正しく『試練』なんだ。それを乗り越える力が、覚悟が君にあるのだと、ボクに教えてほしい。
そしてその上で、ボクを奪って、ボクの知識を利用して、その先にあるものを得ていこう。
ボクが君に望み、君に求め、そして代わりに君に差し出せるものは以上だ。
ボクは真摯に、正直に、全てを打ち明けたつもりだ。
その上で、君がどういった判断をするのか— —それを、ボクに教えてほしい。ボクという存在の、好奇心の一端を満たすためにも、ね」
動畫只有1/4的量,原作4000字的超長超硬台詞!
星稜・山下智将監督代行3年ぶり聖地導き涙 父智茂さん「よう我慢した。頑張ったな」感謝/石川
<高校野球石川大会:星稜4-3小松大谷>◇25日◇決勝◇石川県立野球場
山下智茂名誉監督(77)の長男で、5月末から監督代行を務める星稜・山下智将部長(40)が涙の優勝を勝ち取り、3年ぶり21度目の甲子園に導いた。
◇ ◇ ◇
1点リードも一打同点の9回2死二塁。左前打で同点を狙った走者を星稜の津沢泰成外野手(3年)が本塁好返球で刺した。劇的な幕切れに星稜ナインは喜びを爆発。山下監督代行はベンチの奥で泣いていた。「ホッとしています。本当によく粘った。我慢して、よくまとまってくれた。感謝したい」。今までとはひと味違う優勝をかみしめた。
先発マーガード真偉輝(まいき)キアン投手(3年)が2回までに3失点。だが、2回に犠打をはさむ5連打で追いつき、3回に津沢の左前打で勝ち越した。エース右腕は立ち直り、7回途中から武内涼太投手(2年)が好救援で締めた。
センバツまで指揮を執った林和成氏(47)に代わり、4月に就任した田中辰治監督(45)が5月下旬から体調不良で休養。山下部長が監督代行で緊急登板した。19年春も監督代行で北信越を制した経験があるが、今回はチームに与えた動揺も大きかった。「足を引っ張らないよう、選手のいいところを伸ばそうと」。一方で「今の3年生をずっと見てきた」自負もあった。
父智茂さんからは毎試合後、短いメールが届いた。球場で優勝を見届けてくれた父から「よう我慢した。頑張ったな。ありがとう」と感謝された。関係者によると、甲子園大会までは指揮を執ることが濃厚だ。
19年夏に全国準優勝したが、20年は甲子園大会が中止され、21年は石川大会を涙の途中辞退…。主将の佐々木優太捕手(3年)は言った。「僕らの代は先輩の思いも背負っていた」。8強入りしたセンバツとはひと味違う星稜が、甲子園に帰ってくる。【柏原誠】
◆山下智将(やました・としまさ)1981年(昭56)8月17日、金沢市生まれ。星稜では2年夏に控えの内野手で甲子園に出場。3年時は主将。専大では準硬式でプレーし、卒業後は専大付(東京)でコーチ。金沢星稜大の事務職員を経て11年に星稜に教員として戻った。13年から野球部部長。保健体育教諭。既婚。
▽星稜・津沢(3回に決勝の左前打。9回2死の守備では本塁への好返球で勝利を決める捕殺) 前の回に自分が本塁でアウトになっていたので、飛んできたら絶対刺してやると思っていました。
○…小松大谷が因縁対決に敗れた。1点を追う9回1死から4番吉田創登(そうと)内野手(3年)が二塁打。2死後、井上蒼太内野手(3年)の左前打で本塁に飛び込んだが、間一髪アウトで2年連続甲子園の夢が散った。吉田は「惜しくても負けは負け。勝ち切れなかった」と号泣。星稜には14年夏の決勝で9回に8点差を大逆転されてサヨナラ負け。翌15年夏の準々決勝は9回に4得点で逆転サヨナラでリベンジ。だが19年夏の決勝は同点の9回表に満塁弾を浴びて敗れた。毎回劇的なライバル物語。新チームで借りを返しにいく。
<高校野球石川大会:星稜4-3小松大谷>◇25日◇決勝◇石川県立野球場
山下智茂名誉監督(77)の長男で、5月末から監督代行を務める星稜・山下智将部長(40)が涙の優勝を勝ち取り、3年ぶり21度目の甲子園に導いた。
◇ ◇ ◇
1点リードも一打同点の9回2死二塁。左前打で同点を狙った走者を星稜の津沢泰成外野手(3年)が本塁好返球で刺した。劇的な幕切れに星稜ナインは喜びを爆発。山下監督代行はベンチの奥で泣いていた。「ホッとしています。本当によく粘った。我慢して、よくまとまってくれた。感謝したい」。今までとはひと味違う優勝をかみしめた。
先発マーガード真偉輝(まいき)キアン投手(3年)が2回までに3失点。だが、2回に犠打をはさむ5連打で追いつき、3回に津沢の左前打で勝ち越した。エース右腕は立ち直り、7回途中から武内涼太投手(2年)が好救援で締めた。
センバツまで指揮を執った林和成氏(47)に代わり、4月に就任した田中辰治監督(45)が5月下旬から体調不良で休養。山下部長が監督代行で緊急登板した。19年春も監督代行で北信越を制した経験があるが、今回はチームに与えた動揺も大きかった。「足を引っ張らないよう、選手のいいところを伸ばそうと」。一方で「今の3年生をずっと見てきた」自負もあった。
父智茂さんからは毎試合後、短いメールが届いた。球場で優勝を見届けてくれた父から「よう我慢した。頑張ったな。ありがとう」と感謝された。関係者によると、甲子園大会までは指揮を執ることが濃厚だ。
19年夏に全国準優勝したが、20年は甲子園大会が中止され、21年は石川大会を涙の途中辞退…。主将の佐々木優太捕手(3年)は言った。「僕らの代は先輩の思いも背負っていた」。8強入りしたセンバツとはひと味違う星稜が、甲子園に帰ってくる。【柏原誠】
◆山下智将(やました・としまさ)1981年(昭56)8月17日、金沢市生まれ。星稜では2年夏に控えの内野手で甲子園に出場。3年時は主将。専大では準硬式でプレーし、卒業後は専大付(東京)でコーチ。金沢星稜大の事務職員を経て11年に星稜に教員として戻った。13年から野球部部長。保健体育教諭。既婚。
▽星稜・津沢(3回に決勝の左前打。9回2死の守備では本塁への好返球で勝利を決める捕殺) 前の回に自分が本塁でアウトになっていたので、飛んできたら絶対刺してやると思っていました。
○…小松大谷が因縁対決に敗れた。1点を追う9回1死から4番吉田創登(そうと)内野手(3年)が二塁打。2死後、井上蒼太内野手(3年)の左前打で本塁に飛び込んだが、間一髪アウトで2年連続甲子園の夢が散った。吉田は「惜しくても負けは負け。勝ち切れなかった」と号泣。星稜には14年夏の決勝で9回に8点差を大逆転されてサヨナラ負け。翌15年夏の準々決勝は9回に4得点で逆転サヨナラでリベンジ。だが19年夏の決勝は同点の9回表に満塁弾を浴びて敗れた。毎回劇的なライバル物語。新チームで借りを返しにいく。
星稜3年ぶり21度目V、山下監督代行涙「本当によく粘った」ピンチ連続も1点差守りきる/石川
<高校野球石川大会:星稜4-3小松大谷>◇25日◇決勝◇石川県立野球場
星稜が接戦を制し、3年ぶり21度目の優勝を果たした。
小松大谷に2回までに3点を先取されたが、2回に犠打をはさむ5連打ですぐさま3-3とした。3回には津沢泰成外野手(3年)の左前打で4-3と勝ち越した。
序盤は乱打戦の様相だったが、星稜は先発のマーガード真偉輝(まいき)キアン投手(3年)は3回以降を無失点。7回途中からは武内涼太投手(2年)が1点を守った。ただ、9イニングすべて走者を許す、ピンチの連続だった。
とくに9回は2死二塁から井上蒼太内野手(3年)に左前打されたが、同点を狙って本塁突入の吉田颯汰内野手(3年)をタッチアウト。歓声と悲鳴の幕切れだった。
苦難を乗り越えた。センバツまで指揮を執った林和成氏(47)に代わって4月に就任した田中辰治監督(45)が、5月下旬から体調不良で療養。山下智将(としまさ)部長(40)が監督代行(40)として今大会の指揮を執った。
山下監督代行は試合終了の瞬間、歓喜の選手たちを見つめながら静かに涙を流した。「うれしいのはもちろん、生徒の頑張りにホッとしています。こういう展開は予想していたけど、本当に投手と野手がよく粘った。私は経験が少ないが、とにかく足を引っ張らないように、選手のいいところを伸ばそうと思った。選手は我慢してよくまとまってくれた。感謝したいです」と冷静に話した。
元監督で星稜を強豪にした山下智茂氏(77)の長男。19年春の大会でも林監督の代行として県大会、北信越を制していた。
学校関係者によると、甲子園までは指揮をとることが濃厚になっている。
星稜は19年夏に奥川恭伸投手(ヤクルト)を擁して甲子園で準優勝。翌20年は甲子園大会が中止になり、さらに21年は新型コロナウイルスの感染拡大により、石川大会の準々決勝を前に出場を辞退した。先輩たちの無念を見てきた3年生が意地を見せ、3年ぶりに夏の甲子園に名乗りを上げた。
<高校野球石川大会:星稜4-3小松大谷>◇25日◇決勝◇石川県立野球場
星稜が接戦を制し、3年ぶり21度目の優勝を果たした。
小松大谷に2回までに3点を先取されたが、2回に犠打をはさむ5連打ですぐさま3-3とした。3回には津沢泰成外野手(3年)の左前打で4-3と勝ち越した。
序盤は乱打戦の様相だったが、星稜は先発のマーガード真偉輝(まいき)キアン投手(3年)は3回以降を無失点。7回途中からは武内涼太投手(2年)が1点を守った。ただ、9イニングすべて走者を許す、ピンチの連続だった。
とくに9回は2死二塁から井上蒼太内野手(3年)に左前打されたが、同点を狙って本塁突入の吉田颯汰内野手(3年)をタッチアウト。歓声と悲鳴の幕切れだった。
苦難を乗り越えた。センバツまで指揮を執った林和成氏(47)に代わって4月に就任した田中辰治監督(45)が、5月下旬から体調不良で療養。山下智将(としまさ)部長(40)が監督代行(40)として今大会の指揮を執った。
山下監督代行は試合終了の瞬間、歓喜の選手たちを見つめながら静かに涙を流した。「うれしいのはもちろん、生徒の頑張りにホッとしています。こういう展開は予想していたけど、本当に投手と野手がよく粘った。私は経験が少ないが、とにかく足を引っ張らないように、選手のいいところを伸ばそうと思った。選手は我慢してよくまとまってくれた。感謝したいです」と冷静に話した。
元監督で星稜を強豪にした山下智茂氏(77)の長男。19年春の大会でも林監督の代行として県大会、北信越を制していた。
学校関係者によると、甲子園までは指揮をとることが濃厚になっている。
星稜は19年夏に奥川恭伸投手(ヤクルト)を擁して甲子園で準優勝。翌20年は甲子園大会が中止になり、さらに21年は新型コロナウイルスの感染拡大により、石川大会の準々決勝を前に出場を辞退した。先輩たちの無念を見てきた3年生が意地を見せ、3年ぶりに夏の甲子園に名乗りを上げた。
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