『ピオフィオーレの晩鐘 -Episodio1926-』官网更新了短篇故事。
Prequel6:Dante Falzone
遅くまで続いた会食を終え、屋敷に帰り着いた頃には日付が変わっていた。
正直に言えば、議員連中と牽制し合うより、屋敷で彼女と食事するほうがずっと楽しい。
許されるなら彼女の部屋を訪ね、寝顔だけでも見たいところだが――
(……今夜はまだ休めそうにないな)
執務室の机には、書類が山と積まれていた。
(うちのアンダーボスは有能だ。
俺が直接確認する必要のないものは、先に処理しているはず)
彼は俺の倍近い物量をこなしているのではないか。
「…………」
そう考えると、弱音を吐かずに書類に向き合うべきなのは理解できた。
たとえ、ちらりと見えた契約書の文面が、英語で埋め尽くされていたとしても、だ。
(……長引くかもしれないな……)
空が白む前には終わらせたい。
溜め息を吐きながら執務机に向かうと、不意にドアがノックされた。
もしかして、と微かな期待に胸が高鳴る。
だが、それも一瞬のこと。
入室の許可を求める声もなく、そして俺が何か言うより早くドアが開いた。
……彼女ならそんなことはしない。
というか。
非常時はともかく、このファルツォーネでそんな真似をする人間はひとりしかいない。
「お疲れ様、ダンテ。今日は遅かったね」
ニコラ・フランチェスカ。
ファルツォーネ・ファミリーのアンダーボスであり、カポの右腕。
俺にとっては兄のような存在。
(……当然だ。彼女はとっくに寝ているだろう)
無言の俺を見返し、ニコラはくすくすと笑った。
「ああ、ごめんね? 君が見たかったのは、僕の顔じゃないよね」
「……何も言っていないだろう、俺は」
昔から『冷徹』『鉄面皮』と評されることもある俺は、心情が表に出にくい人間だと思う。
だが、幼い頃からの付き合いだからか、ニコラにはこうして簡単に顔色を読まれてしまう。
「本題に入るけど、新しい法案の草稿を手に入れた。
近々議会に提出される」
「……またか」
差し出された文書を受け取り、さっと目を通す。
このところファシスト党は次々と、自らに都合のいい法律を作っている。
今回も同じだ。
「……これで、またマフィアが生きにくい世の中になるな」
呆れ混じりに呟くと、ニコラが苦笑した。
「シチリアが可哀想になるよ。すっかり目の敵にされている。
大衆は知事の味方だしね」
現政権は国民の支持を得ており、不満を持つ者はごく一部に限られる。
パレルモ知事など、もはやドゥーチェ――ムッソリーニに次ぐ人気っぷりだ。
「次の標的は間違いなくここだろうな。
引き続き、政府の動きには注視してくれ」
「了解。まあ、政府が本格的に仕掛けてくる前に、
地盤を安定させられたのは良かったよ」
「……確かにな」
去年――1925年のあの事件の最中に。
もし政府が本格的なブルローネマフィア撲滅に乗り出していたら。
今頃、ファルツォーネの血は途絶えていたかもしれない。
涼しい顔をしている従兄を見据え、俺は続ける。
「幸い、頭を失った老鼠は息をしていないに等しい。
うちとヴィスコンティの関係も良好だ」
ギルバートとは頻繁に情報交換を行っている。
顔を合わせるのは主にカジノの特別室。
あのディレットーレが姿を消して以来、多少使い勝手は悪くなったが、
内密の会合には今も適した場所だ。
「血の粛清以降、久々にブルローネが安定期を迎えたとも言える」
「5年、いや、もう6年前か……。あっという間だったね」
先代――俺の父が死に、俺がカポを継いだ。
ブルローネマフィアの三竦みの構図ができたのは、ちょうどあの頃だ。
それからは安定とは程遠い、緊張の日々を送ってきた。
「あ、そうそう。これ、届いていたよ」
ニコラがついでのように差し出してきたのは、一通の手紙。
ナイフで封を切り、その場で中身を確かめる。
「……なるほど」
「招待状?」
「ああ。市長の再選を祝うパーティーを開くらしい。
マウロの招待なら行かないわけにはいかないな」
ブルローネ市長、アレッサンドロ・マウロ。
彼はマフィアに好意的な政治家のひとりだ。
俺たちファミリーの存在がこの街にどう作用しているか、その重要性をよく理解している。
(……彼女を誘ってみよう)
パートナー同伴での出席が望ましい催し。
市長主催なら身元の確かな者が集まるだろうし、何より明るい話題の場だ。
そこまで堅苦しく思わず、楽しんでもらえるかもしれない。
(せっかくだから、新しいドレスを贈るのはどうだろう。
仕立て屋を呼んで……)
今回は柔らかい生地にしてもらおう。
流行りのデザインを取り入れるにしても、彼女に似合うものにしたい。
そう、たとえば、踊るとふわりとなびくような――
「ダンテ?」
「! ……し、仕事に戻る」
「それがいいよ。楽しみは後に取っておいて」
表情には出していないはずだが、何故かまた見透かされた気がする。
(明日の朝、彼女を誘おう)
ドレスを用意すると言えば、喜んでくれるだろうか?
(……そうだといい)
彼女の笑顔を思い浮かべると、深夜の執務さえ苦にはならない。
Prequel6:Dante Falzone
遅くまで続いた会食を終え、屋敷に帰り着いた頃には日付が変わっていた。
正直に言えば、議員連中と牽制し合うより、屋敷で彼女と食事するほうがずっと楽しい。
許されるなら彼女の部屋を訪ね、寝顔だけでも見たいところだが――
(……今夜はまだ休めそうにないな)
執務室の机には、書類が山と積まれていた。
(うちのアンダーボスは有能だ。
俺が直接確認する必要のないものは、先に処理しているはず)
彼は俺の倍近い物量をこなしているのではないか。
「…………」
そう考えると、弱音を吐かずに書類に向き合うべきなのは理解できた。
たとえ、ちらりと見えた契約書の文面が、英語で埋め尽くされていたとしても、だ。
(……長引くかもしれないな……)
空が白む前には終わらせたい。
溜め息を吐きながら執務机に向かうと、不意にドアがノックされた。
もしかして、と微かな期待に胸が高鳴る。
だが、それも一瞬のこと。
入室の許可を求める声もなく、そして俺が何か言うより早くドアが開いた。
……彼女ならそんなことはしない。
というか。
非常時はともかく、このファルツォーネでそんな真似をする人間はひとりしかいない。
「お疲れ様、ダンテ。今日は遅かったね」
ニコラ・フランチェスカ。
ファルツォーネ・ファミリーのアンダーボスであり、カポの右腕。
俺にとっては兄のような存在。
(……当然だ。彼女はとっくに寝ているだろう)
無言の俺を見返し、ニコラはくすくすと笑った。
「ああ、ごめんね? 君が見たかったのは、僕の顔じゃないよね」
「……何も言っていないだろう、俺は」
昔から『冷徹』『鉄面皮』と評されることもある俺は、心情が表に出にくい人間だと思う。
だが、幼い頃からの付き合いだからか、ニコラにはこうして簡単に顔色を読まれてしまう。
「本題に入るけど、新しい法案の草稿を手に入れた。
近々議会に提出される」
「……またか」
差し出された文書を受け取り、さっと目を通す。
このところファシスト党は次々と、自らに都合のいい法律を作っている。
今回も同じだ。
「……これで、またマフィアが生きにくい世の中になるな」
呆れ混じりに呟くと、ニコラが苦笑した。
「シチリアが可哀想になるよ。すっかり目の敵にされている。
大衆は知事の味方だしね」
現政権は国民の支持を得ており、不満を持つ者はごく一部に限られる。
パレルモ知事など、もはやドゥーチェ――ムッソリーニに次ぐ人気っぷりだ。
「次の標的は間違いなくここだろうな。
引き続き、政府の動きには注視してくれ」
「了解。まあ、政府が本格的に仕掛けてくる前に、
地盤を安定させられたのは良かったよ」
「……確かにな」
去年――1925年のあの事件の最中に。
もし政府が本格的なブルローネマフィア撲滅に乗り出していたら。
今頃、ファルツォーネの血は途絶えていたかもしれない。
涼しい顔をしている従兄を見据え、俺は続ける。
「幸い、頭を失った老鼠は息をしていないに等しい。
うちとヴィスコンティの関係も良好だ」
ギルバートとは頻繁に情報交換を行っている。
顔を合わせるのは主にカジノの特別室。
あのディレットーレが姿を消して以来、多少使い勝手は悪くなったが、
内密の会合には今も適した場所だ。
「血の粛清以降、久々にブルローネが安定期を迎えたとも言える」
「5年、いや、もう6年前か……。あっという間だったね」
先代――俺の父が死に、俺がカポを継いだ。
ブルローネマフィアの三竦みの構図ができたのは、ちょうどあの頃だ。
それからは安定とは程遠い、緊張の日々を送ってきた。
「あ、そうそう。これ、届いていたよ」
ニコラがついでのように差し出してきたのは、一通の手紙。
ナイフで封を切り、その場で中身を確かめる。
「……なるほど」
「招待状?」
「ああ。市長の再選を祝うパーティーを開くらしい。
マウロの招待なら行かないわけにはいかないな」
ブルローネ市長、アレッサンドロ・マウロ。
彼はマフィアに好意的な政治家のひとりだ。
俺たちファミリーの存在がこの街にどう作用しているか、その重要性をよく理解している。
(……彼女を誘ってみよう)
パートナー同伴での出席が望ましい催し。
市長主催なら身元の確かな者が集まるだろうし、何より明るい話題の場だ。
そこまで堅苦しく思わず、楽しんでもらえるかもしれない。
(せっかくだから、新しいドレスを贈るのはどうだろう。
仕立て屋を呼んで……)
今回は柔らかい生地にしてもらおう。
流行りのデザインを取り入れるにしても、彼女に似合うものにしたい。
そう、たとえば、踊るとふわりとなびくような――
「ダンテ?」
「! ……し、仕事に戻る」
「それがいいよ。楽しみは後に取っておいて」
表情には出していないはずだが、何故かまた見透かされた気がする。
(明日の朝、彼女を誘おう)
ドレスを用意すると言えば、喜んでくれるだろうか?
(……そうだといい)
彼女の笑顔を思い浮かべると、深夜の執務さえ苦にはならない。
SNS联动型角色歌企划「Clock over ORQUESTA(クロック・オーバー・オルケスタ)」始动。阵容太豪华了吧[可怜],官网:https://t.cn/A6GJeV1F
CAST
朱鷺燈 一夜
山下大輝 / 田村睦心
桜小路 二香
森川智之 / 皆川純子
小豆沢 三斗
服部想之介 / 白石涼子
栗花落 四麻
置鮎龍太郎 / 三瓶由布子
音葉 五百助
野田てつろう / 伊瀬茉莉也
天馬 六華
村瀬歩 / 金田朋子
天馬 七星
日野聡 / 井上麻里奈
榊 八色
堀内賢雄 / 朴璐美
九重 九日
立花慎之介 / 佐藤利奈
不破 十紀人
鳥海浩輔 / 竹内順子
春海 一十
山路和弘 / 久川綾
朱鷺燈 零士
緑川光 / 緒方恵美
角色设计
めふぃすと/トミダトモミ/漣ミサ
京一/白皙/黒裄/北島あずま
jin8pati/唐々煙/烏間ル
有坂あこ/ヤスダスズヒト/冬臣/しきみ
乐曲
40mP/164/すこっぷ
John/ピノキオピー/梨本うい
れるりり/湊 貴大(流星P)
keeno/Nem/YASUHIRO(康寛)/asakure.UK
CAST
朱鷺燈 一夜
山下大輝 / 田村睦心
桜小路 二香
森川智之 / 皆川純子
小豆沢 三斗
服部想之介 / 白石涼子
栗花落 四麻
置鮎龍太郎 / 三瓶由布子
音葉 五百助
野田てつろう / 伊瀬茉莉也
天馬 六華
村瀬歩 / 金田朋子
天馬 七星
日野聡 / 井上麻里奈
榊 八色
堀内賢雄 / 朴璐美
九重 九日
立花慎之介 / 佐藤利奈
不破 十紀人
鳥海浩輔 / 竹内順子
春海 一十
山路和弘 / 久川綾
朱鷺燈 零士
緑川光 / 緒方恵美
角色设计
めふぃすと/トミダトモミ/漣ミサ
京一/白皙/黒裄/北島あずま
jin8pati/唐々煙/烏間ル
有坂あこ/ヤスダスズヒト/冬臣/しきみ
乐曲
40mP/164/すこっぷ
John/ピノキオピー/梨本うい
れるりり/湊 貴大(流星P)
keeno/Nem/YASUHIRO(康寛)/asakure.UK
#高桥文哉[超话]#
*撮影オフショット*
日差しが照りつける夏☀️
目の前には大きなプール、バックには海と、最高のロケーション!
そんな中で撮影スタートすると、「写真集の撮影っぽい!!」とテンションが上がる高橋さん
プールに入った後は、
気持ちよさそうに泳いでいました
#高橋文哉
#架け橋
#ファースト写真集
#オフショット
*撮影オフショット*
日差しが照りつける夏☀️
目の前には大きなプール、バックには海と、最高のロケーション!
そんな中で撮影スタートすると、「写真集の撮影っぽい!!」とテンションが上がる高橋さん
プールに入った後は、
気持ちよさそうに泳いでいました
#高橋文哉
#架け橋
#ファースト写真集
#オフショット
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