#健康身体 健康地球 健康生活# もっと知りたい葉物野菜
冬もおいしい葉物野菜 もっと知りたい葉物野菜
寒さが厳しい冬に旬を迎える品目が多い葉物野菜。サラダから炒め物、鍋まで、料理に葉物野菜は欠かせません。今回は、6品目の葉物野菜について、その歴史や選ぶ際のポイントなどの基礎知識を紹介します。
監 修 | 藤田智 恵泉女学園大学人間社会学部教授
消費量ナンバーワンの葉物野菜 キャベツ
西ヨーロッパ原産で、ケール、ブロッコリー、カリフラワーなどはみんな同じ原種の植物から生まれた親戚です。紀元前6世紀ごろからケルト人によって栽培が行われ、古代のギリシアやローマでは胃腸の調子を整える薬草として食べられていました。日本に伝わったのは江戸時代ですが、当初は鑑賞用の植物扱いで、そこからハボタンが生まれました。明治時代から食用としての栽培が始まり、戦後になってから洋食文化の広まりとともに本格的に普及しました。
キャベツは春(4月から6月)に収穫する春キャベツ(春玉)、群馬県や長野県の高原地帯や北海道、東北の寒冷地で作られ、夏(7月から10月)に収穫される夏秋キャベツ、冬(11月から3月ごろ)に収穫する冬キャベツ(寒玉)の3つに大きく分類できます。かつては形が扁平で葉の巻きが固く、加熱調理向きの冬キャベツが主流でしたが、つけ合わせやサラダなど生食の需要が増した結果、巻きがゆるやかで葉が柔らかい春キャベツの生産量が増加しています。また両者の中間的な品種も増えています。
キャベツのバリエーション
紫キャベツ
(レッドキャベツ)
赤紫色はアントシアニンという色素によるもの。一般的なキャベツよりも少し小ぶりで、葉は肉厚で固くしっかりと巻いています。サラダやピクルスなどによく用いられます。
芽キャベツ
ベルギー原産の栽培品種で、子持ちキャベツとも呼ばれています。葉の付け根に出てくる脇芽が結球したもので、60センチメートルから80センチメートルほどに伸びた茎に50個から60個ほどがびっしりとつきます。炒め物や煮込み料理に向いています。
縮緬(ちりめん)
キャベツ
フランスのサボイ地方を起源とすることからサボイキャベツと呼ばれ、ヨーロッパではポピュラーな品種です。濃い緑色の縮れた葉は肉厚で硬く、煮込み料理に向いています。
シュークリームはキャベツがモデル
キャベツはフランス語で「chou(シュー)」。フランスを代表するお菓子、シュークリームの正式な呼び方は「シュー・ア・ラ・クレーム(chou à la crème)」で、これは直訳すると「クリームが詰まったキャベツ」という意味になります。形が似ていることからこのネーミングになったといわれています。
冬野菜の代表格 はくさい
中国北東部の原産で、チンゲンサイや山東菜などの仲間です。日本に伝わったのは江戸時代後期で、明治時代から本格的な栽培が開始されました。以来、日本の食文化には欠かせない野菜となっていて、葉物野菜としてはキャベツに次ぐ生産量を誇ります。そして国内供給のほとんどが国内生産でまかなわれています。
はくさいは大きく分けると結球、半結球、非結球の3タイプがありますが、現在日本で流通しているのはほとんどが結球タイプ。ひと玉3キログラムから4キログラムの大型のものが主流ですが、近年は小型のものも流通しています。また結球タイプは葉が頭部までしっかりと重なって結球する円筒形(包被型)と、葉が頭部で重ならず先が尖っている砲弾形(包合型)の2種に分けられます。芯が白い砲弾形は主に漬物用で、一般的に出回っているのは芯が黄色くてカットした際の見た目が美しい円筒形です。はくさいは産地を変えながら通年で出荷されていますが、晩秋から冬にかけて寒さが増すごとに甘味が増しておいしくなります。
東京都発祥の特産野菜 こまつな
江戸時代から栽培されてきた東京都の特産品。昭和中期までは秋冬期のみに栽培され、年末年始に出回るものを「冬菜」や「雪菜」、初春に出回るものを「鶯菜(うぐいすな)」とも呼んでいました。東京発祥の野菜とあって関東地方での生産が盛んです。
こまつなには近縁種が多く、新潟県新潟市女池地区の「女池菜」、新潟県南魚沼市大崎の「大崎菜」、福島県福島市渡利地区の「信夫菜」など、日本全国にさまざまな土着の地方品種があります。またチンゲンサイとかけ合わせるなどの品種改良も盛んで、40種を超える品種があります。通年で出荷されていますが、12月から2月にかけて霜が降りた後のほうがあくが抜けて甘味が増し、葉も厚く柔らかくなっておいしくなります。
名付け親は将軍様?
こまつなの名前の由来は諸説ありますが、そのひとつが江戸幕府8代将軍、徳川吉宗がつけたというもの。1719年、鷹狩りで小松川を訪れた際に、香取神社に立ち寄って昼食をとった吉宗公。そこで食べたすまし汁に入っていた青菜をいたく気に入り、その名前を尋ねましたが、神主の答えは「名前はありません」。ならば、と神社のある地名にちなんで小松菜と命名したところ、将軍命名の青菜ということで全国的な知名度を持つようになったといわれています。
サラダには欠かせません レタス
原産地は地中海沿岸地方から中近東にかけて。紀元前6世紀ごろには栽培が始められていました。日本には平安時代に中国から伝わり「ちしゃ」と呼ばれるようになりました。このちしゃは、今では「掻きぢしゃ」と呼ばれるリーフレタスの仲間でした。結球したいわゆる玉レタスが入ってきたのは明治時代以降で、さらに本格的に普及するようになったのは食の西洋化が進んだ戦後になってから。「レタス」はラテン語で「乳」を意味する語で、ちしゃも「乳草」が転じた語とされています。共に収穫の際に根元を切ると白い液が出てくることからつけられました。
ひと口にレタスといってもさまざまな種類がありますが、大きく分けて結球性のヘッドレタス、リーフレタス、立ちレタス、ステムレタスの4タイプに分類できます。日本で主に流通しているのはヘッドレタスとリーフレタスです。またヘッドレタスのうち、シャキシャキした歯触りのものをクリスプヘッド型と呼びます。玉レタスとも呼び、日本でただ「レタス」という場合はこのタイプを指します。一方、同じ結球性レタスでも葉が柔らかくて巻きがゆるいものをバターヘッド型と呼び、日本ではサラダ菜の名前でも知られています。レタスは産地をリレーしながら通年出回っていますが、主にサラダ向きの野菜とあってとくに夏から秋にかけて多く消費されています。
レタスのバリエーション
立ちレタス
(立ちちしゃ)
結球性ですが、葉はほとんど巻かずに上方は開いています。代表的な品種にシーザーサラダによく使われるロメインレタス(コスレタス)があります。
ステムレタス
(茎レタス、茎ぢしゃ)
主に葉ではなく茎を食べるタイプのレタス。細く裂いて乾燥したものは山クラゲと呼ばれます。
鍋料理の定番野菜 しゅんぎく
名前の通りに菊の仲間で、原産地は地中海沿岸です。欧米では花が咲くまで育てて観賞用にしていますが、東アジア諸国では若い茎葉を食用にしています。日本には室町時代に伝わったと考えられていて、一般的に菊の花が秋に咲くのに対し、春に花が咲くのでこの名前がつきました。また関西などでは「菊菜(きくな)」と呼ばれています。
しゅんぎくは葉の大きさや形によって大葉種、中葉種、小葉種に大別され、葉の切れ込みが深いもののほうが独特の香りやえぐみが強い傾向にあります。日本で主に流通しているのは中葉種で、さらに関東地方を中心に出回っている「株立ち中葉」と、主に関西地方で出回っている「株張り中葉」に分けることができます。
しゅんぎくのバリエーション
株立ち中葉
立ち上がった茎が分岐するタイプ。伸びた茎を摘み取って丈を揃え、まとめた状態で出荷されます。摘み取り後も脇芽が伸びるため繰り返し収穫できます。
株張り中葉
茎が立ち上がらずに株が根元から横に張って伸びるタイプ。根付きのままか、根元から切り取って出荷されます。
サラダにもできる
大葉春菊
九州地方を中心に出回っている大葉種は葉の切れ込みが浅く、葉先が丸いのが特徴。えぐみが少ないためサラダにも利用されます。
緑黄色野菜の王様 ほうれんそう
原種は発見されていませんが、原産地は西アジアのイラン近辺という説が有力です。そこから東西に分かれて伝播したため、大きく分けて東洋種と西洋種の2種類があります。日本には江戸時代の初めごろに東洋種が伝わりました。その後明治時代にアメリカから西洋種も入ってきましたが、あまり普及しませんでした。ただし現在市場に出回っているもののほとんどは東洋種と西洋種の一代雑種で、味のよい東洋種と病気に強い西洋種の長所を残しています。
緑黄色野菜の中でも高い栄養価があり、特にビタミンK、葉酸、鉄分が豊富です。さまざまな品種が地域を変えながら収穫され通年市場に出回っていますが、11月から1月にかけての時期は甘味が増しておいしくなります。
ほうれんそうのバリエーション
東洋種
剣葉といって、葉は肉が薄く深い切れ込みがあり、根元の赤みが濃い。あくが少なくて歯触りがよいので、お浸しになどに向いています。
西洋種
葉は切れ込みがなく丸みを帯びていて、少し厚みがあり、根元の赤みは薄い。あくが強いので炒め物に向いています。
甘くて栄養豊富な
ちぢみほうれんそう
甘くておいしいほうれんそうということで近年人気なのが、冬に出回るちぢみほうれんそう。寒締めほうれんそうとも呼ばれます。厳冬期にあえて冷たい外気にさらすことで糖度を上げたもので、縮れた葉が特徴です。
今週のまとめ
寒い冬に旬を迎える品目が多い葉物野菜は
品種のバリエーションが豊富で地域ごとに特色があるのも魅力。
寒さによって甘味を増した葉物野菜をぜひ食べてみましょう。
冬もおいしい葉物野菜 もっと知りたい葉物野菜
寒さが厳しい冬に旬を迎える品目が多い葉物野菜。サラダから炒め物、鍋まで、料理に葉物野菜は欠かせません。今回は、6品目の葉物野菜について、その歴史や選ぶ際のポイントなどの基礎知識を紹介します。
監 修 | 藤田智 恵泉女学園大学人間社会学部教授
消費量ナンバーワンの葉物野菜 キャベツ
西ヨーロッパ原産で、ケール、ブロッコリー、カリフラワーなどはみんな同じ原種の植物から生まれた親戚です。紀元前6世紀ごろからケルト人によって栽培が行われ、古代のギリシアやローマでは胃腸の調子を整える薬草として食べられていました。日本に伝わったのは江戸時代ですが、当初は鑑賞用の植物扱いで、そこからハボタンが生まれました。明治時代から食用としての栽培が始まり、戦後になってから洋食文化の広まりとともに本格的に普及しました。
キャベツは春(4月から6月)に収穫する春キャベツ(春玉)、群馬県や長野県の高原地帯や北海道、東北の寒冷地で作られ、夏(7月から10月)に収穫される夏秋キャベツ、冬(11月から3月ごろ)に収穫する冬キャベツ(寒玉)の3つに大きく分類できます。かつては形が扁平で葉の巻きが固く、加熱調理向きの冬キャベツが主流でしたが、つけ合わせやサラダなど生食の需要が増した結果、巻きがゆるやかで葉が柔らかい春キャベツの生産量が増加しています。また両者の中間的な品種も増えています。
キャベツのバリエーション
紫キャベツ
(レッドキャベツ)
赤紫色はアントシアニンという色素によるもの。一般的なキャベツよりも少し小ぶりで、葉は肉厚で固くしっかりと巻いています。サラダやピクルスなどによく用いられます。
芽キャベツ
ベルギー原産の栽培品種で、子持ちキャベツとも呼ばれています。葉の付け根に出てくる脇芽が結球したもので、60センチメートルから80センチメートルほどに伸びた茎に50個から60個ほどがびっしりとつきます。炒め物や煮込み料理に向いています。
縮緬(ちりめん)
キャベツ
フランスのサボイ地方を起源とすることからサボイキャベツと呼ばれ、ヨーロッパではポピュラーな品種です。濃い緑色の縮れた葉は肉厚で硬く、煮込み料理に向いています。
シュークリームはキャベツがモデル
キャベツはフランス語で「chou(シュー)」。フランスを代表するお菓子、シュークリームの正式な呼び方は「シュー・ア・ラ・クレーム(chou à la crème)」で、これは直訳すると「クリームが詰まったキャベツ」という意味になります。形が似ていることからこのネーミングになったといわれています。
冬野菜の代表格 はくさい
中国北東部の原産で、チンゲンサイや山東菜などの仲間です。日本に伝わったのは江戸時代後期で、明治時代から本格的な栽培が開始されました。以来、日本の食文化には欠かせない野菜となっていて、葉物野菜としてはキャベツに次ぐ生産量を誇ります。そして国内供給のほとんどが国内生産でまかなわれています。
はくさいは大きく分けると結球、半結球、非結球の3タイプがありますが、現在日本で流通しているのはほとんどが結球タイプ。ひと玉3キログラムから4キログラムの大型のものが主流ですが、近年は小型のものも流通しています。また結球タイプは葉が頭部までしっかりと重なって結球する円筒形(包被型)と、葉が頭部で重ならず先が尖っている砲弾形(包合型)の2種に分けられます。芯が白い砲弾形は主に漬物用で、一般的に出回っているのは芯が黄色くてカットした際の見た目が美しい円筒形です。はくさいは産地を変えながら通年で出荷されていますが、晩秋から冬にかけて寒さが増すごとに甘味が増しておいしくなります。
東京都発祥の特産野菜 こまつな
江戸時代から栽培されてきた東京都の特産品。昭和中期までは秋冬期のみに栽培され、年末年始に出回るものを「冬菜」や「雪菜」、初春に出回るものを「鶯菜(うぐいすな)」とも呼んでいました。東京発祥の野菜とあって関東地方での生産が盛んです。
こまつなには近縁種が多く、新潟県新潟市女池地区の「女池菜」、新潟県南魚沼市大崎の「大崎菜」、福島県福島市渡利地区の「信夫菜」など、日本全国にさまざまな土着の地方品種があります。またチンゲンサイとかけ合わせるなどの品種改良も盛んで、40種を超える品種があります。通年で出荷されていますが、12月から2月にかけて霜が降りた後のほうがあくが抜けて甘味が増し、葉も厚く柔らかくなっておいしくなります。
名付け親は将軍様?
こまつなの名前の由来は諸説ありますが、そのひとつが江戸幕府8代将軍、徳川吉宗がつけたというもの。1719年、鷹狩りで小松川を訪れた際に、香取神社に立ち寄って昼食をとった吉宗公。そこで食べたすまし汁に入っていた青菜をいたく気に入り、その名前を尋ねましたが、神主の答えは「名前はありません」。ならば、と神社のある地名にちなんで小松菜と命名したところ、将軍命名の青菜ということで全国的な知名度を持つようになったといわれています。
サラダには欠かせません レタス
原産地は地中海沿岸地方から中近東にかけて。紀元前6世紀ごろには栽培が始められていました。日本には平安時代に中国から伝わり「ちしゃ」と呼ばれるようになりました。このちしゃは、今では「掻きぢしゃ」と呼ばれるリーフレタスの仲間でした。結球したいわゆる玉レタスが入ってきたのは明治時代以降で、さらに本格的に普及するようになったのは食の西洋化が進んだ戦後になってから。「レタス」はラテン語で「乳」を意味する語で、ちしゃも「乳草」が転じた語とされています。共に収穫の際に根元を切ると白い液が出てくることからつけられました。
ひと口にレタスといってもさまざまな種類がありますが、大きく分けて結球性のヘッドレタス、リーフレタス、立ちレタス、ステムレタスの4タイプに分類できます。日本で主に流通しているのはヘッドレタスとリーフレタスです。またヘッドレタスのうち、シャキシャキした歯触りのものをクリスプヘッド型と呼びます。玉レタスとも呼び、日本でただ「レタス」という場合はこのタイプを指します。一方、同じ結球性レタスでも葉が柔らかくて巻きがゆるいものをバターヘッド型と呼び、日本ではサラダ菜の名前でも知られています。レタスは産地をリレーしながら通年出回っていますが、主にサラダ向きの野菜とあってとくに夏から秋にかけて多く消費されています。
レタスのバリエーション
立ちレタス
(立ちちしゃ)
結球性ですが、葉はほとんど巻かずに上方は開いています。代表的な品種にシーザーサラダによく使われるロメインレタス(コスレタス)があります。
ステムレタス
(茎レタス、茎ぢしゃ)
主に葉ではなく茎を食べるタイプのレタス。細く裂いて乾燥したものは山クラゲと呼ばれます。
鍋料理の定番野菜 しゅんぎく
名前の通りに菊の仲間で、原産地は地中海沿岸です。欧米では花が咲くまで育てて観賞用にしていますが、東アジア諸国では若い茎葉を食用にしています。日本には室町時代に伝わったと考えられていて、一般的に菊の花が秋に咲くのに対し、春に花が咲くのでこの名前がつきました。また関西などでは「菊菜(きくな)」と呼ばれています。
しゅんぎくは葉の大きさや形によって大葉種、中葉種、小葉種に大別され、葉の切れ込みが深いもののほうが独特の香りやえぐみが強い傾向にあります。日本で主に流通しているのは中葉種で、さらに関東地方を中心に出回っている「株立ち中葉」と、主に関西地方で出回っている「株張り中葉」に分けることができます。
しゅんぎくのバリエーション
株立ち中葉
立ち上がった茎が分岐するタイプ。伸びた茎を摘み取って丈を揃え、まとめた状態で出荷されます。摘み取り後も脇芽が伸びるため繰り返し収穫できます。
株張り中葉
茎が立ち上がらずに株が根元から横に張って伸びるタイプ。根付きのままか、根元から切り取って出荷されます。
サラダにもできる
大葉春菊
九州地方を中心に出回っている大葉種は葉の切れ込みが浅く、葉先が丸いのが特徴。えぐみが少ないためサラダにも利用されます。
緑黄色野菜の王様 ほうれんそう
原種は発見されていませんが、原産地は西アジアのイラン近辺という説が有力です。そこから東西に分かれて伝播したため、大きく分けて東洋種と西洋種の2種類があります。日本には江戸時代の初めごろに東洋種が伝わりました。その後明治時代にアメリカから西洋種も入ってきましたが、あまり普及しませんでした。ただし現在市場に出回っているもののほとんどは東洋種と西洋種の一代雑種で、味のよい東洋種と病気に強い西洋種の長所を残しています。
緑黄色野菜の中でも高い栄養価があり、特にビタミンK、葉酸、鉄分が豊富です。さまざまな品種が地域を変えながら収穫され通年市場に出回っていますが、11月から1月にかけての時期は甘味が増しておいしくなります。
ほうれんそうのバリエーション
東洋種
剣葉といって、葉は肉が薄く深い切れ込みがあり、根元の赤みが濃い。あくが少なくて歯触りがよいので、お浸しになどに向いています。
西洋種
葉は切れ込みがなく丸みを帯びていて、少し厚みがあり、根元の赤みは薄い。あくが強いので炒め物に向いています。
甘くて栄養豊富な
ちぢみほうれんそう
甘くておいしいほうれんそうということで近年人気なのが、冬に出回るちぢみほうれんそう。寒締めほうれんそうとも呼ばれます。厳冬期にあえて冷たい外気にさらすことで糖度を上げたもので、縮れた葉が特徴です。
今週のまとめ
寒い冬に旬を迎える品目が多い葉物野菜は
品種のバリエーションが豊富で地域ごとに特色があるのも魅力。
寒さによって甘味を増した葉物野菜をぜひ食べてみましょう。
#健康身体 健康地球 健康生活#
宇宙の課題解決をミドリムシで。
2019年6月7日生物とサステナビリティインタビュー, ユーグレナ
今注目される宇宙開発。
その中でも宇宙食に関することにはさまざまな企業が参入し、活性化している分野です。
2040年には月面に1000人が住むとも言われ、「宇宙で人がどんな食事をとれるのか?」は気になるテーマです。
そんな宇宙での食事の未来について、農学博士/医学博士の鈴木がミドリムシを用いた宇宙食の可能性について語ります!
宇宙とミドリムシの関係は古い?
―ミドリムシと宇宙があまり結びつくイメージがないのですがいかがでしょうか?
鈴木:そうですか?ミドリムシを宇宙で培養することについては、実はこれまでに多く研究されています。1970年代からNASAでは、宇宙におけるミドリムシ培養の研究を行っていましたし、日本国内でも大阪府立大学名誉教授の中野長久先生が、宇宙空間を想定した環境でミドリムシの培養研究を行うなどしています。
―NASAも研究をしていたのですね。なぜ、みんなミドリムシを宇宙で培養することに興味を持つのでしょうか?
鈴木:理由は主に2つあります。
1つは、無重力で細胞分裂はどのように行われるのかという、生物学的な問いがあり、それを調査するのにミドリムシが適しているということがあげられます。
もうひとつは、人類が宇宙で生活するとなったときに、人間の食事を支えるプレイヤーとしても注目されているということがあげられます。
ミドリムシが宇宙食3.0を実現する
―人間の食事を支えるというと野菜やお肉をイメージしますが、なぜミドリムシなのですか?
鈴木:それは、ミドリムシは植物性と動物性の59種類の栄養素を持っているで、バランスの良い栄養素を一気に摂取できるのでということ、そして他の植物や動物と比べてスペース当たりの生産性が高いからです、生産性というのは、同じ面積で必要量×n人のn数が多いということですね。
また、宇宙では宇宙線と呼ばれる放射線が降り注いでいますがミドリムシは宇宙線に対する耐性がある※1のです。
※1:日本原子力研究所や放射線医学総合研究所の研究により、ユーグレナには放射線抵抗性があり、最も致死効果の高い放射線でも生育に影響がないことが分かっている。
―確かに、植物や動物を大きく育てようと思うと、多くの時間と水などの資源がたくさん必要となりますね。
鈴木:そうなんです。ミドリムシを含む藻類は、光と水と二酸化炭素と窒素やリンなどの栄養素により光合成をして育つのですが、茎や幹がないことから一般的な野菜などの植物と比べてスペース当たりの生産性の観点から優れています。それにミドリムシは環境が整えば1日で2倍になるという成長スピードの速さも特徴です。
光合成をして育つといいましたが、ということは二酸化炭素を吸収して酸素を生産するということで、人間が生きるのに必要な酸素の供給源にももちろんなります。
宇宙食3.0?
―ちなみに宇宙食というと、ゼリー飲料みたいな入れ物などにパッキングされたものをイメージしますが、ミドリムシも地球から持っていくのですか?
鈴木:いまJAXAは、宇宙食3.0という考え方を提唱しています。これは、宇宙で食物を生産し消費するという、宇宙における地産地消です。これまでの宇宙食は、質問のとおり地球から調理された食物をもっていく、いわゆる「宇宙食1.0」が中心でした。これからは、地球から食材を持っていき宇宙で調理する宇宙食2.0や、宇宙での地産地消を実現する宇宙食3.0が必要だということです。
なので、ミドリムシも最小限の株を宇宙に持っていって、宇宙で育てることを目指してます。
ミドリムシと人間を中心にした食物循環の実現
―宇宙でミドリムシの地産地消となると、ミドリムシだけ宇宙にもっていけばよいのですか?
鈴木:いえいえ、ミドリムシを育てるには水は必要になります。どこの星で育てるかにもよりますが、水がないのならば地球から持っていく必要がありますね。だいたい、人間1人分のミドリムシを作るには400ℓ、ドラム缶2本分程度の水が毎日必要です。
―月や火星には水があるかもしれないというニュースを見たことがあります。
鈴木:月や火星に水があればその水を活用できると思います。 2040年には月に1000人が住むともいわれていて、月の水と太陽光が利用できるとすれば、あとは人間が排出する二酸化炭素と排泄物を活用することで、ミドリムシを培養することができるかなと。
Space Food X!
―3月からJAXA×リアルテックファンドの「Space Food X」に参画していますが、何をしていくんでしょうか?
鈴木:まず、ミドリムシで宇宙食を楽しく健康なものにしたいなと。その想いも背景にしてなのですが、今までお話したようなミドリムシの生育をベースにした人間との循環環境づくりにくわえて、他の食材とのコラボレーションしながらミドリムシを使った宇宙食をより楽しくしていくことを検討していく予定です。
食事のエンターテインメントという観点からミドリムシ宇宙食のバリエーションを作っていきたいと考えています。
19年3月に「Space Food X」で披露した、ユーグレナやクロレラを利用した培養肉のメリメロステーキ(左)、藻類のグリーンスープ(右)
―おいしく楽しく宇宙でミドリムシ、楽しみです。
鈴木:はい、月への旅行とともに楽しみにしていただければと思います。
19年3月「Space Food X」の様子(前列右から2番目が鈴木)
宇宙の課題解決をミドリムシで。
2019年6月7日生物とサステナビリティインタビュー, ユーグレナ
今注目される宇宙開発。
その中でも宇宙食に関することにはさまざまな企業が参入し、活性化している分野です。
2040年には月面に1000人が住むとも言われ、「宇宙で人がどんな食事をとれるのか?」は気になるテーマです。
そんな宇宙での食事の未来について、農学博士/医学博士の鈴木がミドリムシを用いた宇宙食の可能性について語ります!
宇宙とミドリムシの関係は古い?
―ミドリムシと宇宙があまり結びつくイメージがないのですがいかがでしょうか?
鈴木:そうですか?ミドリムシを宇宙で培養することについては、実はこれまでに多く研究されています。1970年代からNASAでは、宇宙におけるミドリムシ培養の研究を行っていましたし、日本国内でも大阪府立大学名誉教授の中野長久先生が、宇宙空間を想定した環境でミドリムシの培養研究を行うなどしています。
―NASAも研究をしていたのですね。なぜ、みんなミドリムシを宇宙で培養することに興味を持つのでしょうか?
鈴木:理由は主に2つあります。
1つは、無重力で細胞分裂はどのように行われるのかという、生物学的な問いがあり、それを調査するのにミドリムシが適しているということがあげられます。
もうひとつは、人類が宇宙で生活するとなったときに、人間の食事を支えるプレイヤーとしても注目されているということがあげられます。
ミドリムシが宇宙食3.0を実現する
―人間の食事を支えるというと野菜やお肉をイメージしますが、なぜミドリムシなのですか?
鈴木:それは、ミドリムシは植物性と動物性の59種類の栄養素を持っているで、バランスの良い栄養素を一気に摂取できるのでということ、そして他の植物や動物と比べてスペース当たりの生産性が高いからです、生産性というのは、同じ面積で必要量×n人のn数が多いということですね。
また、宇宙では宇宙線と呼ばれる放射線が降り注いでいますがミドリムシは宇宙線に対する耐性がある※1のです。
※1:日本原子力研究所や放射線医学総合研究所の研究により、ユーグレナには放射線抵抗性があり、最も致死効果の高い放射線でも生育に影響がないことが分かっている。
―確かに、植物や動物を大きく育てようと思うと、多くの時間と水などの資源がたくさん必要となりますね。
鈴木:そうなんです。ミドリムシを含む藻類は、光と水と二酸化炭素と窒素やリンなどの栄養素により光合成をして育つのですが、茎や幹がないことから一般的な野菜などの植物と比べてスペース当たりの生産性の観点から優れています。それにミドリムシは環境が整えば1日で2倍になるという成長スピードの速さも特徴です。
光合成をして育つといいましたが、ということは二酸化炭素を吸収して酸素を生産するということで、人間が生きるのに必要な酸素の供給源にももちろんなります。
宇宙食3.0?
―ちなみに宇宙食というと、ゼリー飲料みたいな入れ物などにパッキングされたものをイメージしますが、ミドリムシも地球から持っていくのですか?
鈴木:いまJAXAは、宇宙食3.0という考え方を提唱しています。これは、宇宙で食物を生産し消費するという、宇宙における地産地消です。これまでの宇宙食は、質問のとおり地球から調理された食物をもっていく、いわゆる「宇宙食1.0」が中心でした。これからは、地球から食材を持っていき宇宙で調理する宇宙食2.0や、宇宙での地産地消を実現する宇宙食3.0が必要だということです。
なので、ミドリムシも最小限の株を宇宙に持っていって、宇宙で育てることを目指してます。
ミドリムシと人間を中心にした食物循環の実現
―宇宙でミドリムシの地産地消となると、ミドリムシだけ宇宙にもっていけばよいのですか?
鈴木:いえいえ、ミドリムシを育てるには水は必要になります。どこの星で育てるかにもよりますが、水がないのならば地球から持っていく必要がありますね。だいたい、人間1人分のミドリムシを作るには400ℓ、ドラム缶2本分程度の水が毎日必要です。
―月や火星には水があるかもしれないというニュースを見たことがあります。
鈴木:月や火星に水があればその水を活用できると思います。 2040年には月に1000人が住むともいわれていて、月の水と太陽光が利用できるとすれば、あとは人間が排出する二酸化炭素と排泄物を活用することで、ミドリムシを培養することができるかなと。
Space Food X!
―3月からJAXA×リアルテックファンドの「Space Food X」に参画していますが、何をしていくんでしょうか?
鈴木:まず、ミドリムシで宇宙食を楽しく健康なものにしたいなと。その想いも背景にしてなのですが、今までお話したようなミドリムシの生育をベースにした人間との循環環境づくりにくわえて、他の食材とのコラボレーションしながらミドリムシを使った宇宙食をより楽しくしていくことを検討していく予定です。
食事のエンターテインメントという観点からミドリムシ宇宙食のバリエーションを作っていきたいと考えています。
19年3月に「Space Food X」で披露した、ユーグレナやクロレラを利用した培養肉のメリメロステーキ(左)、藻類のグリーンスープ(右)
―おいしく楽しく宇宙でミドリムシ、楽しみです。
鈴木:はい、月への旅行とともに楽しみにしていただければと思います。
19年3月「Space Food X」の様子(前列右から2番目が鈴木)
#健康身体 健康地球 健康生活#
国際女性デー コーヒー産業に欠かせない5人の女性たち
By Michael Ko • March 01, 2023
<こちらの文書は、2022年3月3日に公開された英語原文記事を翻訳し、編集しました。>
国際女性デーに合わせ、コーヒー産業で活躍する世界の5人の女性のストーリーをお届けします。「最初の10フィート」である生産地から「最後の10フィート」である店舗までの道のりで、生産者、アグロノミスト(農学者)、バイヤー(コーヒーを調達する人)、ロースター(焙煎士)、そしてディストリクトマネージャー(地区担当マネージャー)のこの5人のような女性たちは、私たちに欠かせない役割を担っています。
ブラジル、コーヒー生産者 ワルキリア ペイショット コレアさん
ワルキリアさんはコーヒー生産者になるつもりはありませんでした。
故郷を離れ進学した彼女は教員になるつもりでした。しかし父親が体調を崩し、彼女は父親が1980年代に始めた家業のコーヒー農園を手伝うために故郷に戻りました。
農園に戻った彼女は、自分の能力を周りに認めてもらうことから始めなければなりませんでした。コーヒー産業は従来男性が中心に運営してきたもので、ブラジルでも女性が所有・経営する農園はわずかしかありませんでした。父親が亡くなった6年前、彼女は事業を継ぎましたが、女性の指示で動いてくれる人が見つかるまで数年かかりました。
「私が都会の大学を卒業した女性だからということで、なかなか皆に受け入れられず大変でした。相手を思い、たくさん語りかけ、優しさをもって接することで乗り越えました。」
現在、栽培するコーヒーの品質の高さや農園の運営方針が評価され、ワルキリアさんは地域のパイオニアとなっています。彼女は農薬や化学肥料に頼らず有機肥料を与え、太陽光発電を導入し、コーヒー豆の洗浄や乾燥で用いる水などの資源を節約・再利用し、自生植物を植樹し、土地の自然な水流を保護し、敬意をもって労働者をとりまとめています。
現在は、今でもほとんどの機械を操作するという73歳の母親とともに農園を切り盛りしています。二人でおよそ76,000本のコーヒーの木を育てています。
彼女のコーヒーは、ミナス・ジェライス州の生産者・輸出組合Cooxupéの品質格付けで、最も高いスコアまであと数ポイントという高さです。CooxupéはC.A.F.E. プラクティス認証を取得した彼女のコーヒーをスターバックスに販売しています。
「コーヒーの花の香り、黄色や赤に色づいた果実、そしてコーヒーの成長する姿を見ることはとてもすばらしいこと。コーヒーは心を温めてくれます。私たちはコーヒーが大好きです。」
「ここは私のオフィスです。自然の美しさが感じられるでしょ?ここが私の人生・・・湧き水や小川を守り、自然はこうやって守るものだと他の生産者にも伝えることが、この農園における私の願いです。」
「私には子どもはいませんが、より良い世界のために守り、大切にすることを未来の世代に伝えたいと思います。そして母と共に長生きして、楽しみ、より良い未来を見たいと願っています。」
タンザニア、アグロノミスト(農学者) バハティ・ミィウィロさん
「子どものころの夢は、人に教える仕事をすることでした。コーヒーのことをたくさん学びましたが、今もまだ勉強中です。この知識を自分だけの中にとどめたまま死にたくはありません。」
タンザニアにあるスターバックスのファーマーサポートセンターのアグロノミストであるバハティさんは、4,000~5,000の小規模農園の人々に可能な限り多くのことを伝えるという役割を担っています。ここでは生産者は収入と自給のためのコーヒーを栽培するのが一般的。ワークショップの開催や農園への訪問などを通じて、C.A.F.E プラクティスの実践やコーヒーの品質・作付けの向上の方法の指導や、持続可能性という視野で長期的な栽培を促すなどの取り組みを行っています。
バハティさんは農業大学でフードサイエンス・テクノロジーを学んだ後、地元の大学で経営学、イタリアの大学でコーヒーの経済とサイエンスと2つの修士号を取得。11年程前に国際NPOの品質アドバイザーとしてコーヒー業界での仕事を始め、タンザニア初の女性のコーヒーグレーダー(国際基準のコーヒー鑑定士)となりました。6年前にアグロノミストとしてスターバックスに入社し、教育を十分に受けていない人が多い地域を支えています。
「例えばトウモロコシやバナナ、豆などは数か月で収穫でき、すぐに収入につながるのに対し、コーヒーの木1本が熟すまでは3、4年かかります。 コーヒーはきちんと取り組めは収入をもたらしますが、より多くのリソースの投資、節水やコスト削減に関する技術・ビジネストレーニングに加え、市場価格の変動や悪天候などに対する忍耐力も必要です。」
今では長期的な視野を持ってくれる生産者が増えてきたとバハティさんは言います。彼女はそのような人が他の人の模範になってくれることを願っています。「自分がしたことが生産者に前向きな影響を与えているところを現場で見られることが一番楽しいです。目に見える成果が出ると、みんなも変わってくれるのです。」
「これまで男性が行ってきた仕事を女性たちが始めるきっかけを作りたいと思います。自分たちにもできるんだと、女性たちに実感してほしいです。」
バハティさんは、国際コーヒー女性連盟(International Women’s Coffee Alliance)のタンザニア支部代表も務めており、コーヒー産業で女性の仕事がもっと認められるようにすることが彼女の目標です。女性が農園や土地を所有し、主に男性の仕事である品質管理や輸出、調達などの分野でも女性が活躍できるようになるきっかけを作りたいと考えています。
「コーヒーのバリューチェーンにあるたくさんの機会を女性たちには見てほしいと思います。つながり、力を与えあい、学びあってほしいと思います。」
スイス、コーヒーバイヤー アン・トローマンさん
スターバックスのリザーブコーヒー調達プログラムの責任者だった頃、アンさんはパプアニューギニアで高品質のコーヒーを栽培する女性と出会いました。アンさんは品質の対価として彼女にC.A.F.E. プラクティスによるプレミアム価格が支払われるようにしただけでなく、地域の人々が何時間もかかる水汲みの必要がなくなるよう、浄水装置を作る資金を募る支援を行いました。
「倫理、社会、環境におけるコーヒーバイヤー責任は大きくなっています。おいしいコーヒーを栽培する地域を支援する責任が私たちにはあります。」
「商品のそばに身を置き、コーヒーがどのように栽培されているか、生産者がどんな問題を抱えていたか、収穫の様子やコーヒーの取引や輸出の過程を理解することが私にとって大切だったのです。多くを学びましたし、私に与えられたチャンスの大きさ、その難しさを知りました。生産者の分け前が一番少ないことも理解しました。」
天候に左右されやすく、そして市場の力によって影響を受けるとして、コーヒーはすでに特有の課題に直面しています。これに加え、政治や地理、インフラの不足などによって、アンさんの仕事はさらに難しいものとなります。彼女が今コーヒーを調達している国の一つであるエチオピアは内戦の真っただ中にあります。世界でも最高品質のコーヒーを栽培している地域ではありますが、道路などの整備も十分ではないため、輸出は簡単ではありません。
「ビジネスとコーヒー生産地の人々の双方にとって最良の解決法を探すことはいつも難しいですが、スターバックスのような大きな会社が行動しなければ、一体誰がするというのでしょうか?」
「決して簡単な道のりではありませんし、まっすぐな道でもありません。しかし、私たちには大きなことができるのです。大きな影響を与えることができるという夢を信じていかなければなりません。」
日本、ロースター 河内山さん
「ああいう風に、コーヒーを語ってみたい」
私をコーヒーの世界に引き込んでくれたのが、コーヒーセミナーを開催するスターバックスのバリスタでした。2008年にアルバイトで入社してからコーヒーの勉強を続けていくなかで、焙煎の情報が多くないことに気づき、日本で焙煎の機会があるんだったらその景色をみてみたいと挑戦。2年ほど前からロースターとして勤務しています。
「私はコーヒーという興味がある仕事にバリスタから始め、ブラックエプロンであるコーヒーマスター、コーヒーアンバサダーになることもできました。そして現在はロースターという役割に就くことができ、焙煎の景色を日々目の当たりにすることができています。スターバックスは誰にでも、私のようにお母さんであっても同じチャンスを与えてくれます。」
「これから先も仲間の女性パートナーたちが様々なライフステージを迎えながらも、『さらにチャレンジしたい!』と思うことができ、それが実現できる環境を自分も作って行きたいです。そして、バリスタパートナーたちも焙煎に詳しく、焙煎された豆を理解して抽出できるバリスタパートナーの育成に携わって行きたいと思います。また遠い未来、リタイアした後でも、海外のロースタリーやハシエンダアルサシアでエプロンを着けたいと思っています。」
「スターバックスのコーヒー焙煎の50年の歴史の重みを感じながら、この先50年、次の世代にどう伝え残していくか。毎日ワクワクとドキドキの連続です。」
「我慢することなく、私はこれが好きです、興味があります、これが得意ですと言えて、また受け入れてくれる環境がここにはあります。そして、周囲が自分を知ろうとしてくれています。チャレンジする機会を繋げてくださり、今の自分がここにいます。自分の興味があることや好きなことも自信を持って伝えていいと思います。そして、環境を拡げていきどんどんチャレンジをしてみてください。」
日本、ディストリクトマネージャー 壱岐さん
「お客様やパートナー、スターバックスに関わる人々への感謝の気持ちを考えると、悩んでいる暇がない。どちらかというと行動に落とすことの方が多くて、だから悩んでいる時間が短い。感謝の気持ちが湧いてくる仲間とお客様に、自分は恵まれている。」
21年前に北海道の新店オープンの際に採用してもらいました。既に医学部外科の医局秘書をやっていたものの、カフェ業界への憧れがあり、たまたま目にしたスターバックスの求人を見ると応募最終日。「なんかお告げかもしれない」。それで思い切ってチャレンジしてみようと。
スターバックス初日から秘書職とバリスタには共通点を感じながら、そのまま4年ほどダブルワークの形態を選んで仕事をしていました。どちらも多様な働き方を推奨してくれたことは大きかったですが、業種は違っても、「誰かのサードプレイスをつくる」という大切にしている想いを表現できる場所であったからだと思います。入社してから私は、いちバリスタとして働いていた時間がとても長く、それは目の前の一人のお客様に最高のスターバックス体験を作り出し喜んでもらうにはどうしたらいいかを考える時間が長かったということ。そしてそれが自分の喜びだと信じていました。
今はディストリクトマネージャーとして、ストアマネージャー(店長)ほか店舗のパートナーたちを輝かせるのが仕事となった今も、その喜びは変わらない。「1人1人が生き生きと働けるように、1人1人のお客様に活力を与えられるように、チームで考えてより大きな波及効果を生んでいくことが役割だと思っています。」
「来てくださったお客様がパートナーとお話してドリンクを受け取り、笑顔で帰って下さる瞬間を見るのが、やっぱり嬉しい。日々ストアマネージャーとお店の機会点やお客様のニーズを察するというディスカッションをするんですけど、そのディスカッションの結果が店内で生きていると感じたり、実際にお客様から良いお声を頂けるときに喜びを感じます。」
「スターバックスに居る限り、この会社が大切にしている想いをお客様に伝える“アンカー”の役割を店舗パートナーと担っていく。社会課題への取り組みや店舗からの情報発信でリーダーシップを発揮していきたい。」
国際女性デー コーヒー産業に欠かせない5人の女性たち
By Michael Ko • March 01, 2023
<こちらの文書は、2022年3月3日に公開された英語原文記事を翻訳し、編集しました。>
国際女性デーに合わせ、コーヒー産業で活躍する世界の5人の女性のストーリーをお届けします。「最初の10フィート」である生産地から「最後の10フィート」である店舗までの道のりで、生産者、アグロノミスト(農学者)、バイヤー(コーヒーを調達する人)、ロースター(焙煎士)、そしてディストリクトマネージャー(地区担当マネージャー)のこの5人のような女性たちは、私たちに欠かせない役割を担っています。
ブラジル、コーヒー生産者 ワルキリア ペイショット コレアさん
ワルキリアさんはコーヒー生産者になるつもりはありませんでした。
故郷を離れ進学した彼女は教員になるつもりでした。しかし父親が体調を崩し、彼女は父親が1980年代に始めた家業のコーヒー農園を手伝うために故郷に戻りました。
農園に戻った彼女は、自分の能力を周りに認めてもらうことから始めなければなりませんでした。コーヒー産業は従来男性が中心に運営してきたもので、ブラジルでも女性が所有・経営する農園はわずかしかありませんでした。父親が亡くなった6年前、彼女は事業を継ぎましたが、女性の指示で動いてくれる人が見つかるまで数年かかりました。
「私が都会の大学を卒業した女性だからということで、なかなか皆に受け入れられず大変でした。相手を思い、たくさん語りかけ、優しさをもって接することで乗り越えました。」
現在、栽培するコーヒーの品質の高さや農園の運営方針が評価され、ワルキリアさんは地域のパイオニアとなっています。彼女は農薬や化学肥料に頼らず有機肥料を与え、太陽光発電を導入し、コーヒー豆の洗浄や乾燥で用いる水などの資源を節約・再利用し、自生植物を植樹し、土地の自然な水流を保護し、敬意をもって労働者をとりまとめています。
現在は、今でもほとんどの機械を操作するという73歳の母親とともに農園を切り盛りしています。二人でおよそ76,000本のコーヒーの木を育てています。
彼女のコーヒーは、ミナス・ジェライス州の生産者・輸出組合Cooxupéの品質格付けで、最も高いスコアまであと数ポイントという高さです。CooxupéはC.A.F.E. プラクティス認証を取得した彼女のコーヒーをスターバックスに販売しています。
「コーヒーの花の香り、黄色や赤に色づいた果実、そしてコーヒーの成長する姿を見ることはとてもすばらしいこと。コーヒーは心を温めてくれます。私たちはコーヒーが大好きです。」
「ここは私のオフィスです。自然の美しさが感じられるでしょ?ここが私の人生・・・湧き水や小川を守り、自然はこうやって守るものだと他の生産者にも伝えることが、この農園における私の願いです。」
「私には子どもはいませんが、より良い世界のために守り、大切にすることを未来の世代に伝えたいと思います。そして母と共に長生きして、楽しみ、より良い未来を見たいと願っています。」
タンザニア、アグロノミスト(農学者) バハティ・ミィウィロさん
「子どものころの夢は、人に教える仕事をすることでした。コーヒーのことをたくさん学びましたが、今もまだ勉強中です。この知識を自分だけの中にとどめたまま死にたくはありません。」
タンザニアにあるスターバックスのファーマーサポートセンターのアグロノミストであるバハティさんは、4,000~5,000の小規模農園の人々に可能な限り多くのことを伝えるという役割を担っています。ここでは生産者は収入と自給のためのコーヒーを栽培するのが一般的。ワークショップの開催や農園への訪問などを通じて、C.A.F.E プラクティスの実践やコーヒーの品質・作付けの向上の方法の指導や、持続可能性という視野で長期的な栽培を促すなどの取り組みを行っています。
バハティさんは農業大学でフードサイエンス・テクノロジーを学んだ後、地元の大学で経営学、イタリアの大学でコーヒーの経済とサイエンスと2つの修士号を取得。11年程前に国際NPOの品質アドバイザーとしてコーヒー業界での仕事を始め、タンザニア初の女性のコーヒーグレーダー(国際基準のコーヒー鑑定士)となりました。6年前にアグロノミストとしてスターバックスに入社し、教育を十分に受けていない人が多い地域を支えています。
「例えばトウモロコシやバナナ、豆などは数か月で収穫でき、すぐに収入につながるのに対し、コーヒーの木1本が熟すまでは3、4年かかります。 コーヒーはきちんと取り組めは収入をもたらしますが、より多くのリソースの投資、節水やコスト削減に関する技術・ビジネストレーニングに加え、市場価格の変動や悪天候などに対する忍耐力も必要です。」
今では長期的な視野を持ってくれる生産者が増えてきたとバハティさんは言います。彼女はそのような人が他の人の模範になってくれることを願っています。「自分がしたことが生産者に前向きな影響を与えているところを現場で見られることが一番楽しいです。目に見える成果が出ると、みんなも変わってくれるのです。」
「これまで男性が行ってきた仕事を女性たちが始めるきっかけを作りたいと思います。自分たちにもできるんだと、女性たちに実感してほしいです。」
バハティさんは、国際コーヒー女性連盟(International Women’s Coffee Alliance)のタンザニア支部代表も務めており、コーヒー産業で女性の仕事がもっと認められるようにすることが彼女の目標です。女性が農園や土地を所有し、主に男性の仕事である品質管理や輸出、調達などの分野でも女性が活躍できるようになるきっかけを作りたいと考えています。
「コーヒーのバリューチェーンにあるたくさんの機会を女性たちには見てほしいと思います。つながり、力を与えあい、学びあってほしいと思います。」
スイス、コーヒーバイヤー アン・トローマンさん
スターバックスのリザーブコーヒー調達プログラムの責任者だった頃、アンさんはパプアニューギニアで高品質のコーヒーを栽培する女性と出会いました。アンさんは品質の対価として彼女にC.A.F.E. プラクティスによるプレミアム価格が支払われるようにしただけでなく、地域の人々が何時間もかかる水汲みの必要がなくなるよう、浄水装置を作る資金を募る支援を行いました。
「倫理、社会、環境におけるコーヒーバイヤー責任は大きくなっています。おいしいコーヒーを栽培する地域を支援する責任が私たちにはあります。」
「商品のそばに身を置き、コーヒーがどのように栽培されているか、生産者がどんな問題を抱えていたか、収穫の様子やコーヒーの取引や輸出の過程を理解することが私にとって大切だったのです。多くを学びましたし、私に与えられたチャンスの大きさ、その難しさを知りました。生産者の分け前が一番少ないことも理解しました。」
天候に左右されやすく、そして市場の力によって影響を受けるとして、コーヒーはすでに特有の課題に直面しています。これに加え、政治や地理、インフラの不足などによって、アンさんの仕事はさらに難しいものとなります。彼女が今コーヒーを調達している国の一つであるエチオピアは内戦の真っただ中にあります。世界でも最高品質のコーヒーを栽培している地域ではありますが、道路などの整備も十分ではないため、輸出は簡単ではありません。
「ビジネスとコーヒー生産地の人々の双方にとって最良の解決法を探すことはいつも難しいですが、スターバックスのような大きな会社が行動しなければ、一体誰がするというのでしょうか?」
「決して簡単な道のりではありませんし、まっすぐな道でもありません。しかし、私たちには大きなことができるのです。大きな影響を与えることができるという夢を信じていかなければなりません。」
日本、ロースター 河内山さん
「ああいう風に、コーヒーを語ってみたい」
私をコーヒーの世界に引き込んでくれたのが、コーヒーセミナーを開催するスターバックスのバリスタでした。2008年にアルバイトで入社してからコーヒーの勉強を続けていくなかで、焙煎の情報が多くないことに気づき、日本で焙煎の機会があるんだったらその景色をみてみたいと挑戦。2年ほど前からロースターとして勤務しています。
「私はコーヒーという興味がある仕事にバリスタから始め、ブラックエプロンであるコーヒーマスター、コーヒーアンバサダーになることもできました。そして現在はロースターという役割に就くことができ、焙煎の景色を日々目の当たりにすることができています。スターバックスは誰にでも、私のようにお母さんであっても同じチャンスを与えてくれます。」
「これから先も仲間の女性パートナーたちが様々なライフステージを迎えながらも、『さらにチャレンジしたい!』と思うことができ、それが実現できる環境を自分も作って行きたいです。そして、バリスタパートナーたちも焙煎に詳しく、焙煎された豆を理解して抽出できるバリスタパートナーの育成に携わって行きたいと思います。また遠い未来、リタイアした後でも、海外のロースタリーやハシエンダアルサシアでエプロンを着けたいと思っています。」
「スターバックスのコーヒー焙煎の50年の歴史の重みを感じながら、この先50年、次の世代にどう伝え残していくか。毎日ワクワクとドキドキの連続です。」
「我慢することなく、私はこれが好きです、興味があります、これが得意ですと言えて、また受け入れてくれる環境がここにはあります。そして、周囲が自分を知ろうとしてくれています。チャレンジする機会を繋げてくださり、今の自分がここにいます。自分の興味があることや好きなことも自信を持って伝えていいと思います。そして、環境を拡げていきどんどんチャレンジをしてみてください。」
日本、ディストリクトマネージャー 壱岐さん
「お客様やパートナー、スターバックスに関わる人々への感謝の気持ちを考えると、悩んでいる暇がない。どちらかというと行動に落とすことの方が多くて、だから悩んでいる時間が短い。感謝の気持ちが湧いてくる仲間とお客様に、自分は恵まれている。」
21年前に北海道の新店オープンの際に採用してもらいました。既に医学部外科の医局秘書をやっていたものの、カフェ業界への憧れがあり、たまたま目にしたスターバックスの求人を見ると応募最終日。「なんかお告げかもしれない」。それで思い切ってチャレンジしてみようと。
スターバックス初日から秘書職とバリスタには共通点を感じながら、そのまま4年ほどダブルワークの形態を選んで仕事をしていました。どちらも多様な働き方を推奨してくれたことは大きかったですが、業種は違っても、「誰かのサードプレイスをつくる」という大切にしている想いを表現できる場所であったからだと思います。入社してから私は、いちバリスタとして働いていた時間がとても長く、それは目の前の一人のお客様に最高のスターバックス体験を作り出し喜んでもらうにはどうしたらいいかを考える時間が長かったということ。そしてそれが自分の喜びだと信じていました。
今はディストリクトマネージャーとして、ストアマネージャー(店長)ほか店舗のパートナーたちを輝かせるのが仕事となった今も、その喜びは変わらない。「1人1人が生き生きと働けるように、1人1人のお客様に活力を与えられるように、チームで考えてより大きな波及効果を生んでいくことが役割だと思っています。」
「来てくださったお客様がパートナーとお話してドリンクを受け取り、笑顔で帰って下さる瞬間を見るのが、やっぱり嬉しい。日々ストアマネージャーとお店の機会点やお客様のニーズを察するというディスカッションをするんですけど、そのディスカッションの結果が店内で生きていると感じたり、実際にお客様から良いお声を頂けるときに喜びを感じます。」
「スターバックスに居る限り、この会社が大切にしている想いをお客様に伝える“アンカー”の役割を店舗パートナーと担っていく。社会課題への取り組みや店舗からの情報発信でリーダーシップを発揮していきたい。」
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