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トマトまるごとまるわかり!
もっと食べたくなるトマト トマトまるごとまるわかり!
私たちにとって、もっとも身近な野菜のひとつである、トマト。しかし、意外に知らないこともたくさんありそうです。今回は、トマトの種類や歴史などの基礎知識を学んでいきましょう。
監 修 | 千葉大学特任教授 中野明正
プロが教えます。トマトの最新トレンド
Profile
2002年、東京シティ青果(株)入社。事務職を経てせり人となり、関東近県のこだわり野菜の担当を約8年間務める。6年前からは営業推進部で企画開発などに携わる。
東京シティ青果(株)
公式サイトはこちら
外部リンク
ミニトマトが増加傾向
「近年のトマトのトレンドに関して一番大きなトピックと言えば、ミニトマトがトマトの主流になったことでしょうね」と語るのは、豊洲市場の青果卸売を担う東京シティ青果(株)の吉野智子さん。昔はトマトと言えば大玉トマトでしたが、1980年代にミニトマトが登場すると、切らずに食べられる手軽さや見た目のかわいらしさが受け、お弁当の彩りなどに使われて消費が伸びていきました。「それでも15年ぐらい前は、市場の取扱額は大玉7に対しミニ3といった割合だったのですが、そこから急激に伸びて、今は大玉4.5のミニ5.5。ついに大玉を逆転しました」
北海道の長万部町と東京理科大学が協力して栽培するブランドミニトマト「エンリッチミニトマト」。「高糖度ミニと呼ばれるタイプの、ミニのなかでも美味しいトマトです」(吉野さん)
人気が高いフルーツトマト
新しい品種が次々に登場しているトマト。「味だけでなく、割れにくさや育てやすさなど、さまざまな観点で改良されています。ただ甘いものが比較的喜ばれるので、基本的には糖度を上げる傾向がありますね」。そのため、栽培方法の工夫で果物並みに糖度を高めたフルーツトマトは人気が高いそうです。「また一時的にヒットしたことで記憶に新しいのは、黄色や緑などのトマト。5年ほど前にミニトマトのビュッフェが流行した時、赤色以外の彩りもほしいということで、カラフルなトマトの需要が高まりました」
茨城県筑西市のKEKグループ(協和施設園芸協同組合)が手がける「スーパーフルーツトマト」。「フルーツトマトは中玉トマトが多いが、これは大玉品種でフルーツトマトに挑戦したものです」(吉野さん)
品種よりも旬の産地を選ぼう
しかしおいしいトマトを食べたいなら、「品種よりも産地で選んだほうがよい」と吉野さんは語ります。「トマトに限らず、野菜は旬の時期の、鮮度のよいものに勝るものはありません。出始めから少し経ったころが一番おいしく、出荷時期の終わりごろになると味も落ちてきます。例外はありますが、基本的にトマトの産地は桜前線のように南から北へ移動していきます。時期に応じてその時、旬の産地のものを選ぶようにすれば、間違いないですよ」
愛知県豊橋市のブランドミニトマト「あまえぎみ」。写真のクレアオレンジを始め、グリーン、チョコなど7種類ある。「カラフルなトマトは彩り重視のものが多いのですが、ここのトマトはおいしさも両立しています」(吉野さん)
火を入れることでもっとおいしくなる
今後トマトの世界はどう変わっていくのでしょうか。「品種ではなく食べ方の話になりますが、トマトの加熱調理がもっと広まれば、もっとトマトを食べてもらえるようになると思います。世界的に見ると、トマトを生で食べるのはむしろ少数派。また火を入れたほうが断然おいしい。これは調理用トマトはもちろん、現在生食用として売られているトマトでも同じです。トマトはサラダだけじゃないということをアピールしていきたいですね」
いろいろあります。トマトの種類
トマトの分類法
私たちがトマトと聞いて思い浮かべるのは、ぽってり丸く、赤系の色をしたトマト。しかし世界中には細長いもの、深いひだを持つものなど、さまざまなトマトがあります。その数はなんと1万種類以上!日本で品種登録されているものだけでも300種類を超えますが、大きく分類すると、大きさ(重さ)と色でそれぞれ3タイプに分けることができます。ただしトマトの大きさは栽培方法によって変わるので、厳密な規格はなく、おおよその目安です。
大きさによる分類
大玉トマト
100グラム以上のもの。日本では桃色系の色が一般的で、代表的な品種として「桃太郎」「麗容」「りんか409」などがあります。
中玉(ミディ)トマト
30グラムから60グラム程度のもの。大玉トマトとミニトマトの中間の、食べきりサイズのトマトです。「フルティカ」「ルネッサンス」などが有名。
ミニトマト
10グラムから30グラム程度のもの。チェリートマトとも呼ばれます。「千果(ちか)」「アイコ」などが有名。また果実の大きさが直径1センチほどの超小粒の品種は、さらにマイクロトマトに分類されます。
色による分類
桃色(ピンク)系トマト:果皮が比較的薄く透明なため、桃色に見えるもの。甘味に富み、酸味やトマト臭が少なく、サラダなどの生食用に利用されるタイプ。
赤色系トマト:果皮が比較的厚く赤色なため、濃く鮮やかな赤色に見えるもの。酸味と甘味が強く、主に加工用としてジュースやケチャップ、缶詰用に使われることが多い。
その他:桃色系、赤色系以外の色のトマトです。黄色やオレンジの他、熟しても緑色のままのものも。また2色のまだら模様が入ったものもあります。
その他の分類
加工用トマト
生食用トマトに対し、ジュースやケチャップの他、ホールトマトなどの缶詰に使用される赤色系トマトのこと。果皮が固く、果肉が厚めで水分が少ないため貯蔵性に優れ、ヘタがきれいに取れる点も加工向きとされます。酸味が強いため生食には向きませんが、加熱することで甘味やうま味が引き立ちます。また生食用トマトよりリコピン(リコペン)を始めとする栄養を多く含んでいます。
加工用トマト/生食用トマト
フルーツトマト
品種に関わらず、与える水や肥料を抑えたり、塩分の多い土壌を活かすなどの工夫によって甘味を引き出したトマト。普通のトマトの糖度が3度から5度なのに対し、フルーツトマトの糖度は8度から9度以上と果物並みの高さがあります。群馬県のブリックスナイン、静岡県を中心としたアメーラ、高知県の徳谷トマトなど、ブランド化されているものも多いです。
おしり部分から放射状に延びる白い線は「スターマーク」といって、甘くおいしいトマトの目印。フルーツトマトはスターマークがくっきりと現れています。
近年再評価されつつある「ファーストトマト」
1980年代まで日本のトマトの主流だった桃色系大玉トマト。先が尖っていて、果皮が薄いのが特徴ですが、そのために傷みやすい面もあります。「桃太郎」など、丸くて日持ちがよく、育てやすい品種が登場すると、主役の座を奪われてしまいました。しかしほのかな酸味と甘味に根強い人気があり、近年はその味わいが見直されています。
子室数が多く、種のまわりのゼリー状部分が少ないため、果肉部分がしっかりしています。
トマトの主要産地Best5
トマトの栽培に適した温度は昼間が25度から30度、夜は10度から15度で、強い日光と大きな昼夜温度差を好みます。代表的な夏野菜で、露地栽培のみだった昔は夏しか収穫できませんでしたが、現在はハウス栽培の普及によって周年出荷が可能になっています。周年出荷されるトマトは、冬春トマト(12月から6月にかけて)と夏秋トマト(7月から11月にかけて)に大きく分けることができます。冬春トマトは熊本県、愛知県、栃木県、夏秋トマトは北海道や茨城県、福島県などを中心に生産されています。熊本県が生産量ナンバーワンの理由は、1年を通じて温暖で日射量が多く、かつ海沿いの平野部から阿蘇の高原まで地形が多彩で、1年を通じて安定的に出荷できるからだと考えられます。
トマトまるごとまるわかり!
もっと食べたくなるトマト トマトまるごとまるわかり!
私たちにとって、もっとも身近な野菜のひとつである、トマト。しかし、意外に知らないこともたくさんありそうです。今回は、トマトの種類や歴史などの基礎知識を学んでいきましょう。
監 修 | 千葉大学特任教授 中野明正
プロが教えます。トマトの最新トレンド
Profile
2002年、東京シティ青果(株)入社。事務職を経てせり人となり、関東近県のこだわり野菜の担当を約8年間務める。6年前からは営業推進部で企画開発などに携わる。
東京シティ青果(株)
公式サイトはこちら
外部リンク
ミニトマトが増加傾向
「近年のトマトのトレンドに関して一番大きなトピックと言えば、ミニトマトがトマトの主流になったことでしょうね」と語るのは、豊洲市場の青果卸売を担う東京シティ青果(株)の吉野智子さん。昔はトマトと言えば大玉トマトでしたが、1980年代にミニトマトが登場すると、切らずに食べられる手軽さや見た目のかわいらしさが受け、お弁当の彩りなどに使われて消費が伸びていきました。「それでも15年ぐらい前は、市場の取扱額は大玉7に対しミニ3といった割合だったのですが、そこから急激に伸びて、今は大玉4.5のミニ5.5。ついに大玉を逆転しました」
北海道の長万部町と東京理科大学が協力して栽培するブランドミニトマト「エンリッチミニトマト」。「高糖度ミニと呼ばれるタイプの、ミニのなかでも美味しいトマトです」(吉野さん)
人気が高いフルーツトマト
新しい品種が次々に登場しているトマト。「味だけでなく、割れにくさや育てやすさなど、さまざまな観点で改良されています。ただ甘いものが比較的喜ばれるので、基本的には糖度を上げる傾向がありますね」。そのため、栽培方法の工夫で果物並みに糖度を高めたフルーツトマトは人気が高いそうです。「また一時的にヒットしたことで記憶に新しいのは、黄色や緑などのトマト。5年ほど前にミニトマトのビュッフェが流行した時、赤色以外の彩りもほしいということで、カラフルなトマトの需要が高まりました」
茨城県筑西市のKEKグループ(協和施設園芸協同組合)が手がける「スーパーフルーツトマト」。「フルーツトマトは中玉トマトが多いが、これは大玉品種でフルーツトマトに挑戦したものです」(吉野さん)
品種よりも旬の産地を選ぼう
しかしおいしいトマトを食べたいなら、「品種よりも産地で選んだほうがよい」と吉野さんは語ります。「トマトに限らず、野菜は旬の時期の、鮮度のよいものに勝るものはありません。出始めから少し経ったころが一番おいしく、出荷時期の終わりごろになると味も落ちてきます。例外はありますが、基本的にトマトの産地は桜前線のように南から北へ移動していきます。時期に応じてその時、旬の産地のものを選ぶようにすれば、間違いないですよ」
愛知県豊橋市のブランドミニトマト「あまえぎみ」。写真のクレアオレンジを始め、グリーン、チョコなど7種類ある。「カラフルなトマトは彩り重視のものが多いのですが、ここのトマトはおいしさも両立しています」(吉野さん)
火を入れることでもっとおいしくなる
今後トマトの世界はどう変わっていくのでしょうか。「品種ではなく食べ方の話になりますが、トマトの加熱調理がもっと広まれば、もっとトマトを食べてもらえるようになると思います。世界的に見ると、トマトを生で食べるのはむしろ少数派。また火を入れたほうが断然おいしい。これは調理用トマトはもちろん、現在生食用として売られているトマトでも同じです。トマトはサラダだけじゃないということをアピールしていきたいですね」
いろいろあります。トマトの種類
トマトの分類法
私たちがトマトと聞いて思い浮かべるのは、ぽってり丸く、赤系の色をしたトマト。しかし世界中には細長いもの、深いひだを持つものなど、さまざまなトマトがあります。その数はなんと1万種類以上!日本で品種登録されているものだけでも300種類を超えますが、大きく分類すると、大きさ(重さ)と色でそれぞれ3タイプに分けることができます。ただしトマトの大きさは栽培方法によって変わるので、厳密な規格はなく、おおよその目安です。
大きさによる分類
大玉トマト
100グラム以上のもの。日本では桃色系の色が一般的で、代表的な品種として「桃太郎」「麗容」「りんか409」などがあります。
中玉(ミディ)トマト
30グラムから60グラム程度のもの。大玉トマトとミニトマトの中間の、食べきりサイズのトマトです。「フルティカ」「ルネッサンス」などが有名。
ミニトマト
10グラムから30グラム程度のもの。チェリートマトとも呼ばれます。「千果(ちか)」「アイコ」などが有名。また果実の大きさが直径1センチほどの超小粒の品種は、さらにマイクロトマトに分類されます。
色による分類
桃色(ピンク)系トマト:果皮が比較的薄く透明なため、桃色に見えるもの。甘味に富み、酸味やトマト臭が少なく、サラダなどの生食用に利用されるタイプ。
赤色系トマト:果皮が比較的厚く赤色なため、濃く鮮やかな赤色に見えるもの。酸味と甘味が強く、主に加工用としてジュースやケチャップ、缶詰用に使われることが多い。
その他:桃色系、赤色系以外の色のトマトです。黄色やオレンジの他、熟しても緑色のままのものも。また2色のまだら模様が入ったものもあります。
その他の分類
加工用トマト
生食用トマトに対し、ジュースやケチャップの他、ホールトマトなどの缶詰に使用される赤色系トマトのこと。果皮が固く、果肉が厚めで水分が少ないため貯蔵性に優れ、ヘタがきれいに取れる点も加工向きとされます。酸味が強いため生食には向きませんが、加熱することで甘味やうま味が引き立ちます。また生食用トマトよりリコピン(リコペン)を始めとする栄養を多く含んでいます。
加工用トマト/生食用トマト
フルーツトマト
品種に関わらず、与える水や肥料を抑えたり、塩分の多い土壌を活かすなどの工夫によって甘味を引き出したトマト。普通のトマトの糖度が3度から5度なのに対し、フルーツトマトの糖度は8度から9度以上と果物並みの高さがあります。群馬県のブリックスナイン、静岡県を中心としたアメーラ、高知県の徳谷トマトなど、ブランド化されているものも多いです。
おしり部分から放射状に延びる白い線は「スターマーク」といって、甘くおいしいトマトの目印。フルーツトマトはスターマークがくっきりと現れています。
近年再評価されつつある「ファーストトマト」
1980年代まで日本のトマトの主流だった桃色系大玉トマト。先が尖っていて、果皮が薄いのが特徴ですが、そのために傷みやすい面もあります。「桃太郎」など、丸くて日持ちがよく、育てやすい品種が登場すると、主役の座を奪われてしまいました。しかしほのかな酸味と甘味に根強い人気があり、近年はその味わいが見直されています。
子室数が多く、種のまわりのゼリー状部分が少ないため、果肉部分がしっかりしています。
トマトの主要産地Best5
トマトの栽培に適した温度は昼間が25度から30度、夜は10度から15度で、強い日光と大きな昼夜温度差を好みます。代表的な夏野菜で、露地栽培のみだった昔は夏しか収穫できませんでしたが、現在はハウス栽培の普及によって周年出荷が可能になっています。周年出荷されるトマトは、冬春トマト(12月から6月にかけて)と夏秋トマト(7月から11月にかけて)に大きく分けることができます。冬春トマトは熊本県、愛知県、栃木県、夏秋トマトは北海道や茨城県、福島県などを中心に生産されています。熊本県が生産量ナンバーワンの理由は、1年を通じて温暖で日射量が多く、かつ海沿いの平野部から阿蘇の高原まで地形が多彩で、1年を通じて安定的に出荷できるからだと考えられます。
★甲子園優勝メンバー「7人」残るも…仙台育英はなぜ“エースを先発させなかった”? 須江航監督が明かした「采配の真意」と「1つの後悔」
7/18。
仙台育英はベンチ入りメンバー18人のうち、7人が昨夏の全国制覇を経験していた。
「140キロクインテット」と呼ばれ、優勝を支えた豪華投手陣では現エースの高橋煌稀、湯田統真、仁田陽翔が残り、野手も現キャプテンの山田脩也ら4人が主力だった。
【うちは12番目くらいだと思っていた】
今年のセンバツ。なかば当然のように「優勝候補」に挙げられていたタレント集団は、ベスト8で敗退した。
監督の須江航は、この結果を出来過ぎと言わんばかりに受け止めている。
「これは本当に謙遜ではなく、優勝なんて簡単に考えられませんでしたから」
世間が抱く“錯覚”を訂正するように、須江が「優勝できなかった」背景を説明する。
「ありがたいことに夏春連覇の権利を持っていたのはうちだけでしたから、センバツの優勝というのは大目標として掲げたいものではありましたけど、まだまだ全然。出場校の戦力を冷静に分析した時に、うちは12番目くらいだと思っていましたから」
昨年の秋、仙台育英は東北大会を制し、各地区の優勝校だけが揃う明治神宮大会では1勝。この大会を制した大阪桐蔭に敗れはしたが4-5と接戦を演じた。
このチームを支えているのが、2割7分9厘だった昨秋のチーム打率を補った仙台育英のストロングポイント、投手陣だ。
【エースを先発させなかった理由】
昨秋のチーム防御率1.79のディフェンス力は、このセンバツでどのチームと対戦しても、何があっても自滅しないかどうか?
それは、須江にとっても挑戦だった。
「普通の起用なら、チームで一番、失点率の少ないエースが先発しますよね。そこから継投していって耐えて勝っていくものですが、それをしていては春に得られるものは何もないと思ったんです」
PL学園時代に甲子園で歴代トップの13ホームランを記録した清原和博の次男、勝児が注目される初戦の慶應戦で、延長10回を戦い1失点。甲子園の地元である近畿勢との対戦となった龍谷大平安戦で1失点、報徳学園との準々決勝では5失点だった。
このセンバツでの仙台育英は、言うなれば全試合がアウェーのような雰囲気で、慶應戦と報徳学園戦は延長戦だった。そんな接戦続きの大会で、経験豊富な3人だけでなく、甲子園初登板となる左腕の田中優飛と2年生右腕の佐々木広太郎を投入。秋に続きエースの高橋を全て救援で登板させた。
須江が投手陣を総括する。
「全員をしかるべき場面で投げさせることがチャレンジだったし、そこを通らない限りは夏の連覇も見えてこないと考えていました。2年生の佐々木は龍谷大平安戦でマウンドを経験できましたし、その試合でも投げた田中は報徳学園戦の最後に打たれましたけど、現時点ではよく投げてくれたと思います」
【スクイズすれば…報徳学園戦の悔い】
大会を通じて1失点だったエースの高橋、無失点に抑えた湯田が昨夏の経験値を生かした一方で、2試合に先発した最速147キロ左腕の仁田は2回1/3で3失点と、本来の力を発揮できなかった。とはいえ、監督の須江はこれを「課題」に挙げていない。それは、センバツでの取材で「本番で振るわなかっただけで、それ以外では持っている力を出してくれている」と、回答している通りである。
挑戦は一定の手応えを掴めたと言えるのかもしれないが、須江は敗戦の原因を「監督の采配」だと言い切った。
大きなところでそれは、攻撃面だった。
チーム打率がセンバツ出場校中31番目だったように、攻撃が売りではないと監督自身も理解している。アウェーにも似た空気感のなか慶應戦をサヨナラでものにし、龍谷大平安戦では12安打したことに「現時点ではよくやった」と、目じりを下げるくらいだ。
惜しむらくは報徳学園戦である。
ノーアウト一、二塁から攻撃が始まるタイブレークに突入した同点の延長10回表。送りバントとヒットで1点を勝ち越し、なおも1アウト一、三塁の場面で打席に立ったピッチャーの田中にスクイズをさせなかった――。
この判断を、須江は悔やんでいる。
「大会前から『強者に勝つにはタイブレークしかない』と思っていましたから。その展開に持ち込めたら確実に2点を取らなければいけなかったのに、結果的にやらなかった」
あの場面、須江は報徳学園のマウンドに立っていた今朝丸裕喜の球質やスタミナを分析してきた上で、「フォアボールになるだろう」と睨んでいた。しかし、結果は見逃し三振。続くバッターも三振に倒れ、仙台育英は1点しか取れずに終わった。その裏に相手が2点を取り逆転サヨナラで敗れたことが、須江に悔恨を残したわけである。
【「甲子園優勝」直後に語っていたこと】
敗戦後も今も、須江は自ら責任を負う。偽らざる本心には同時に、チームへの思慮深さも垣間見えるように思えた。
東北勢初の偉業を経験する者が多く残る。「だから強い」と周囲は額面だけでチーム力を捉えがちだが、実情はそうではないのだ。
優勝直後に須江は、すでに暗示していた。
「今年(2022年夏)の優勝を成功体験にしてしまうと、そこからの1年が重くなるじゃないですか。過去と比較してしまうと、いろんな歪みが生まれたりして、勝つための推進力を失いかねないというか、彼らをとても不幸な1年にしてしまうので。そういう思いだけはさせたくないんですよ」
そして、今年のセンバツを振り返る須江は、チームの現在地をこのように明示している。
「まだまだ発展途上です。明確な成長をできるチームですから」
全国制覇した「成功体験」などなく、センバツを戦えたことが「成長体験」となる。
これが、2023年春の仙台育英だった。
7/18。
仙台育英はベンチ入りメンバー18人のうち、7人が昨夏の全国制覇を経験していた。
「140キロクインテット」と呼ばれ、優勝を支えた豪華投手陣では現エースの高橋煌稀、湯田統真、仁田陽翔が残り、野手も現キャプテンの山田脩也ら4人が主力だった。
【うちは12番目くらいだと思っていた】
今年のセンバツ。なかば当然のように「優勝候補」に挙げられていたタレント集団は、ベスト8で敗退した。
監督の須江航は、この結果を出来過ぎと言わんばかりに受け止めている。
「これは本当に謙遜ではなく、優勝なんて簡単に考えられませんでしたから」
世間が抱く“錯覚”を訂正するように、須江が「優勝できなかった」背景を説明する。
「ありがたいことに夏春連覇の権利を持っていたのはうちだけでしたから、センバツの優勝というのは大目標として掲げたいものではありましたけど、まだまだ全然。出場校の戦力を冷静に分析した時に、うちは12番目くらいだと思っていましたから」
昨年の秋、仙台育英は東北大会を制し、各地区の優勝校だけが揃う明治神宮大会では1勝。この大会を制した大阪桐蔭に敗れはしたが4-5と接戦を演じた。
このチームを支えているのが、2割7分9厘だった昨秋のチーム打率を補った仙台育英のストロングポイント、投手陣だ。
【エースを先発させなかった理由】
昨秋のチーム防御率1.79のディフェンス力は、このセンバツでどのチームと対戦しても、何があっても自滅しないかどうか?
それは、須江にとっても挑戦だった。
「普通の起用なら、チームで一番、失点率の少ないエースが先発しますよね。そこから継投していって耐えて勝っていくものですが、それをしていては春に得られるものは何もないと思ったんです」
PL学園時代に甲子園で歴代トップの13ホームランを記録した清原和博の次男、勝児が注目される初戦の慶應戦で、延長10回を戦い1失点。甲子園の地元である近畿勢との対戦となった龍谷大平安戦で1失点、報徳学園との準々決勝では5失点だった。
このセンバツでの仙台育英は、言うなれば全試合がアウェーのような雰囲気で、慶應戦と報徳学園戦は延長戦だった。そんな接戦続きの大会で、経験豊富な3人だけでなく、甲子園初登板となる左腕の田中優飛と2年生右腕の佐々木広太郎を投入。秋に続きエースの高橋を全て救援で登板させた。
須江が投手陣を総括する。
「全員をしかるべき場面で投げさせることがチャレンジだったし、そこを通らない限りは夏の連覇も見えてこないと考えていました。2年生の佐々木は龍谷大平安戦でマウンドを経験できましたし、その試合でも投げた田中は報徳学園戦の最後に打たれましたけど、現時点ではよく投げてくれたと思います」
【スクイズすれば…報徳学園戦の悔い】
大会を通じて1失点だったエースの高橋、無失点に抑えた湯田が昨夏の経験値を生かした一方で、2試合に先発した最速147キロ左腕の仁田は2回1/3で3失点と、本来の力を発揮できなかった。とはいえ、監督の須江はこれを「課題」に挙げていない。それは、センバツでの取材で「本番で振るわなかっただけで、それ以外では持っている力を出してくれている」と、回答している通りである。
挑戦は一定の手応えを掴めたと言えるのかもしれないが、須江は敗戦の原因を「監督の采配」だと言い切った。
大きなところでそれは、攻撃面だった。
チーム打率がセンバツ出場校中31番目だったように、攻撃が売りではないと監督自身も理解している。アウェーにも似た空気感のなか慶應戦をサヨナラでものにし、龍谷大平安戦では12安打したことに「現時点ではよくやった」と、目じりを下げるくらいだ。
惜しむらくは報徳学園戦である。
ノーアウト一、二塁から攻撃が始まるタイブレークに突入した同点の延長10回表。送りバントとヒットで1点を勝ち越し、なおも1アウト一、三塁の場面で打席に立ったピッチャーの田中にスクイズをさせなかった――。
この判断を、須江は悔やんでいる。
「大会前から『強者に勝つにはタイブレークしかない』と思っていましたから。その展開に持ち込めたら確実に2点を取らなければいけなかったのに、結果的にやらなかった」
あの場面、須江は報徳学園のマウンドに立っていた今朝丸裕喜の球質やスタミナを分析してきた上で、「フォアボールになるだろう」と睨んでいた。しかし、結果は見逃し三振。続くバッターも三振に倒れ、仙台育英は1点しか取れずに終わった。その裏に相手が2点を取り逆転サヨナラで敗れたことが、須江に悔恨を残したわけである。
【「甲子園優勝」直後に語っていたこと】
敗戦後も今も、須江は自ら責任を負う。偽らざる本心には同時に、チームへの思慮深さも垣間見えるように思えた。
東北勢初の偉業を経験する者が多く残る。「だから強い」と周囲は額面だけでチーム力を捉えがちだが、実情はそうではないのだ。
優勝直後に須江は、すでに暗示していた。
「今年(2022年夏)の優勝を成功体験にしてしまうと、そこからの1年が重くなるじゃないですか。過去と比較してしまうと、いろんな歪みが生まれたりして、勝つための推進力を失いかねないというか、彼らをとても不幸な1年にしてしまうので。そういう思いだけはさせたくないんですよ」
そして、今年のセンバツを振り返る須江は、チームの現在地をこのように明示している。
「まだまだ発展途上です。明確な成長をできるチームですから」
全国制覇した「成功体験」などなく、センバツを戦えたことが「成長体験」となる。
これが、2023年春の仙台育英だった。
【新体制特集/新入生インタビュー】バレーボール部 舛本颯真・春高の顔から大学バレーの顔へ
◇舛本・颯真(ますもと・そうま)◇
学部:総合政策学部
平成16年11月4日生(天蝎座[收到])
身長・体重:180㌢・70㌔(他不是182吗[疑问])
出身高校:鎮西高校
座右の銘 当たり前のことを当たり前に
趣味 ネットフリックスを見ること
昨年、今年と2年連続春の高校バレーで準優勝を果たした鎮西高の舛本颯真(総1)が白門をたたく。「ザ・エース」と呼ばれ、闘志あふれるプレーでチームをけん引し続けた逸材は中大入学前に何を語るのか。(聞き手、構成:守屋七菜、関拓斗)
──どうして中大を選びましたか
「最初は他大への進学を決めていたんですけど、試合を重ねていくうちにコーチとか親と相談して、もっと上に行ったほうがいいって言ってくださったので、全国でトップの中大を選びました」
──中大のイメージを教えてください
「試合をしているときは本当にのびのびと楽しそうにやっているのが1番の印象です」
──大学4年間で伸ばしたいところはなんですか
「技術もそうなのですけど、まずは人間性というところを1番心掛けて、まだ中大には入っていないんですけど、入った時には自分が1番積極的に行動したり、人間性を高めたりしていければいいかなと思います」
──大学経て、将来の展望はありますか
「1番は全日本のバレーボール選手になることですし、Vリーグに入って働きながら、金銭面で親にこの4年間迷惑かけると思うので恩返しできたらと思います」
──チームではどのような立ち回りをしたいですか
「最初の1年間はとりあえず足を引っ張らないように、自分ができることを探してやっていくのと、3、4年生になった時にはスタメンに入って活躍できればと思います」
──のちのちキャプテンをやりたいという思いはありますか
「そうですね、キャプテンじゃなくてもエースとかそういう立場で引っ張っていきたいと思います」
──中大で尊敬する先輩はいますか
「今イタリアに行っている柿崎さんは本当にレセプションもうまくて、スパイクも器用にこなすという部分でほんとに尊敬しています」
──中大以外で尊敬する選手はいますか
「早稲田大学の水町選手です」
──水町選手は鎮西高の先輩ですが、何か教えてもらったりしましたか
「最後の一歩を大きく踏み込んで、高い位置でボールをとらえるのと、落ち際じゃなくて跳んでいる最中にブロックが完成する前に打つっていうのを教えてもらったので、そこを意識して頑張っていきたいと思います」
──1個上に鎮西の先輩がいますがエピソードなどありますか
「エピソードは特にないんですけど、ほんとに頼もしい先輩方で、いつでも頼れるし、優しいのですぐ甘えてしまっています」
──自身の強みはなんですか
「1番はバックアタックだと思います」
──鎮西高のキャプテンという肩書にプレッシャーはありましたか
「重圧とかプレッシャーも結構あったんですけど、(キャプテンに)なるのが当たり前じゃないし、できているのも当たり前じゃないし、伝統の鎮西のキャプテンとしてできたことがいちばんの誇りだと思っています」
──膝の怪我について
「高校1年生の時から膝痛くて、そこから手術しないといけないと病院の先生から話があったんですけど、手術をしない方向で、ほかのヒアルロン酸の注射とかリハビリとかしながら3年間耐えるっていうので手術はしなかったです」
──春高について
「自分たちの代の決勝で負けた時は、やりきったなっていうことしか、去年の時はほんとに悔しくて、なんかほんとに迷惑かけたなっていうのが一番ですね」
──これからの寮生活に不安や意気込みなどありますか
「先輩方との、絡みっていうかコミュニケーションがまだ取れてないんで、そこが不安です。入ったら自分から話しかけていきたいです」
──今後の目標
「まだ大学1年生なので、まず慣れて、あとは足を引っ張らないようにしたいです」
◇舛本・颯真(ますもと・そうま)◇
学部:総合政策学部
平成16年11月4日生(天蝎座[收到])
身長・体重:180㌢・70㌔(他不是182吗[疑问])
出身高校:鎮西高校
座右の銘 当たり前のことを当たり前に
趣味 ネットフリックスを見ること
昨年、今年と2年連続春の高校バレーで準優勝を果たした鎮西高の舛本颯真(総1)が白門をたたく。「ザ・エース」と呼ばれ、闘志あふれるプレーでチームをけん引し続けた逸材は中大入学前に何を語るのか。(聞き手、構成:守屋七菜、関拓斗)
──どうして中大を選びましたか
「最初は他大への進学を決めていたんですけど、試合を重ねていくうちにコーチとか親と相談して、もっと上に行ったほうがいいって言ってくださったので、全国でトップの中大を選びました」
──中大のイメージを教えてください
「試合をしているときは本当にのびのびと楽しそうにやっているのが1番の印象です」
──大学4年間で伸ばしたいところはなんですか
「技術もそうなのですけど、まずは人間性というところを1番心掛けて、まだ中大には入っていないんですけど、入った時には自分が1番積極的に行動したり、人間性を高めたりしていければいいかなと思います」
──大学経て、将来の展望はありますか
「1番は全日本のバレーボール選手になることですし、Vリーグに入って働きながら、金銭面で親にこの4年間迷惑かけると思うので恩返しできたらと思います」
──チームではどのような立ち回りをしたいですか
「最初の1年間はとりあえず足を引っ張らないように、自分ができることを探してやっていくのと、3、4年生になった時にはスタメンに入って活躍できればと思います」
──のちのちキャプテンをやりたいという思いはありますか
「そうですね、キャプテンじゃなくてもエースとかそういう立場で引っ張っていきたいと思います」
──中大で尊敬する先輩はいますか
「今イタリアに行っている柿崎さんは本当にレセプションもうまくて、スパイクも器用にこなすという部分でほんとに尊敬しています」
──中大以外で尊敬する選手はいますか
「早稲田大学の水町選手です」
──水町選手は鎮西高の先輩ですが、何か教えてもらったりしましたか
「最後の一歩を大きく踏み込んで、高い位置でボールをとらえるのと、落ち際じゃなくて跳んでいる最中にブロックが完成する前に打つっていうのを教えてもらったので、そこを意識して頑張っていきたいと思います」
──1個上に鎮西の先輩がいますがエピソードなどありますか
「エピソードは特にないんですけど、ほんとに頼もしい先輩方で、いつでも頼れるし、優しいのですぐ甘えてしまっています」
──自身の強みはなんですか
「1番はバックアタックだと思います」
──鎮西高のキャプテンという肩書にプレッシャーはありましたか
「重圧とかプレッシャーも結構あったんですけど、(キャプテンに)なるのが当たり前じゃないし、できているのも当たり前じゃないし、伝統の鎮西のキャプテンとしてできたことがいちばんの誇りだと思っています」
──膝の怪我について
「高校1年生の時から膝痛くて、そこから手術しないといけないと病院の先生から話があったんですけど、手術をしない方向で、ほかのヒアルロン酸の注射とかリハビリとかしながら3年間耐えるっていうので手術はしなかったです」
──春高について
「自分たちの代の決勝で負けた時は、やりきったなっていうことしか、去年の時はほんとに悔しくて、なんかほんとに迷惑かけたなっていうのが一番ですね」
──これからの寮生活に不安や意気込みなどありますか
「先輩方との、絡みっていうかコミュニケーションがまだ取れてないんで、そこが不安です。入ったら自分から話しかけていきたいです」
──今後の目標
「まだ大学1年生なので、まず慣れて、あとは足を引っ張らないようにしたいです」
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