#健康身体 健康地球 健康生活#
いつか、寿司が食べられなくなる。
そんな未来にしないために。
地球温暖化によって、
海洋生態系の破壊が生じています。
ユーグレナは、有識者とともに
寿司屋から日本近海のネタが消滅する未来を予測。
それはつまり、寿司屋で「最後の予約」が取れる日。
銀座久兵衛にご協力いただき、実際に予約を受付けています。
寿司を通じて、地球の未来のこと、考えてみませんか。
いかなご
夏が長くなることで、
エサと生息地が確保できず消滅。
いかなごは、エサが不足する夏季に、砂の中で眠って夏を越える(夏眠)。
地球温暖化によって海水温度が上昇すると、夏眠の期間が増え、またその開始も早くなることから、十分なエサが確保できず、冬期の産卵ができなくなることが予想される。
また、底質が比較的粗い砂泥でないと生息できないことから、水温変化が生じた際に移動できる場所が制限されてしまう。
予約申し込み
しゃこ
水温上昇と、
降雨量増加に伴う海水塩分低下で消滅。
東京湾のシャコは、水温が高く、北風が強く、河川流量が多いほど減少するという研究データがある。
また、シャコ幼生は低塩分な海水環境に対して耐性が低い。
地球温暖化によって東京湾内での極端な降雨が増えると、短期的かつ大規模な出水により、湾外への幼生流出や海水塩分低下によりさらなる減少が予想される。
さけ・いくら
生息地が北へ追いやられ、
やがて国産ネタは消滅。
成長に適した水温が低めであるシロザケは、地球温暖化によって海水温度が上昇することで分布域が北へと追いやられ、21世紀末には日本周辺への回遊が困難になることが予測される。
つまり、国産のさけ、いくらといったネタが消滅する危険性がある。
一方で、水温が現在より高かった時代にもシロザケが生育していたというデータも残っており、不確実性が残るところではあるが、水温の影響を強く受ける魚として挙げることができる。
ほたて
帆立
水温上昇による生理障害と、
免疫力低下により消滅。
ホタテガイは、23℃を越えると生理的に障害が起こることが知られている。
海水が高温になると、貝同士がぶつかり、傷を追った際に傷が治りにくいことも確認されている。
さらに、海洋酸性化の影響により、幼生が貝殻の形成を行うのに現在よりも多くのエネルギーを必要とし、生育が困難になる可能性がある。
うに
雲丹
エサの減少と、
殻形成の困難により消滅。
キタムラサキウニの高水温期(8月)の限界水温は25℃であり、海水温の上昇に弱い。
また、生育に必要な海藻類も同様の水温帯を適水温とするため、生息地そのものが消滅することが予想される。
さらに、海洋酸性化の影響により、幼生にとって殻の形成が困難になる可能性も示されている。
あわび
鮑
水温上昇に伴う海藻類の減少により、
生息地が減り消滅。
エゾアワビやクロアワビの成貝の高水温期(8月)の限界水温は28℃、稚貝は25℃、24℃であり、海水温の上昇に弱い。
また、アワビの生育に必要な海藻類も同様の水温帯を適水温とするため、生息地そのものが消滅することが予想される。
さらに、海洋酸性化の影響により、幼生にとって貝殻の形成が困難になる可能性も示されている。
ひらめ
平目
水温上昇で生息地が北へ追いやられ、
瀬戸内海、東京湾産は消滅。
ヒラメは、低水温期(2月)には5 ℃以上、高水温期(8月)には27.5 ℃以下に分布するというデータがある。
海水温が上昇することで、分布の南限が鹿児島県付近から近畿地方に、やがて21世紀末には関東北部に移動することが示されている。
よって、21世紀中頃から21世紀末にかけて、瀬戸内海、東京湾でのヒラメの成育が困難になることが予想される。
まだい
真鯛
分布域が北へ追いやられ減少し、
やがて国産は消滅。
マダイは、低水温期(2月)には5 ℃以上、高水温期(8月)には27.5 ℃以下に分布するというデータがある。
海水温が上昇することで、分布の南限が北部に移動することが示されている。
よって、21世紀中頃から21世紀末にかけて、瀬戸内海、東京湾でのマダイの生育が困難になることが予想される。
ずわいがに
生息水深が限定され、
また殻の形成が困難になり消滅。
ズワイガニの高水温期(8月)の限界水温は17℃とされている。
ズワイガニは深い水深に生息するため、水温の影響は大きくはないと考えられがちだが、表層が暖かくなることで成層が強くなり、亜表層の溶存酸素濃度が低下することでて生息水深が限定される恐れがある。
また、海洋酸性化の影響により、殻をつくるエネルギーが現在よりも多く必要となる危険性もある。
いつか、寿司が食べられなくなる。
そんな未来にしないために。
地球温暖化によって、
海洋生態系の破壊が生じています。
ユーグレナは、有識者とともに
寿司屋から日本近海のネタが消滅する未来を予測。
それはつまり、寿司屋で「最後の予約」が取れる日。
銀座久兵衛にご協力いただき、実際に予約を受付けています。
寿司を通じて、地球の未来のこと、考えてみませんか。
いかなご
夏が長くなることで、
エサと生息地が確保できず消滅。
いかなごは、エサが不足する夏季に、砂の中で眠って夏を越える(夏眠)。
地球温暖化によって海水温度が上昇すると、夏眠の期間が増え、またその開始も早くなることから、十分なエサが確保できず、冬期の産卵ができなくなることが予想される。
また、底質が比較的粗い砂泥でないと生息できないことから、水温変化が生じた際に移動できる場所が制限されてしまう。
予約申し込み
しゃこ
水温上昇と、
降雨量増加に伴う海水塩分低下で消滅。
東京湾のシャコは、水温が高く、北風が強く、河川流量が多いほど減少するという研究データがある。
また、シャコ幼生は低塩分な海水環境に対して耐性が低い。
地球温暖化によって東京湾内での極端な降雨が増えると、短期的かつ大規模な出水により、湾外への幼生流出や海水塩分低下によりさらなる減少が予想される。
さけ・いくら
生息地が北へ追いやられ、
やがて国産ネタは消滅。
成長に適した水温が低めであるシロザケは、地球温暖化によって海水温度が上昇することで分布域が北へと追いやられ、21世紀末には日本周辺への回遊が困難になることが予測される。
つまり、国産のさけ、いくらといったネタが消滅する危険性がある。
一方で、水温が現在より高かった時代にもシロザケが生育していたというデータも残っており、不確実性が残るところではあるが、水温の影響を強く受ける魚として挙げることができる。
ほたて
帆立
水温上昇による生理障害と、
免疫力低下により消滅。
ホタテガイは、23℃を越えると生理的に障害が起こることが知られている。
海水が高温になると、貝同士がぶつかり、傷を追った際に傷が治りにくいことも確認されている。
さらに、海洋酸性化の影響により、幼生が貝殻の形成を行うのに現在よりも多くのエネルギーを必要とし、生育が困難になる可能性がある。
うに
雲丹
エサの減少と、
殻形成の困難により消滅。
キタムラサキウニの高水温期(8月)の限界水温は25℃であり、海水温の上昇に弱い。
また、生育に必要な海藻類も同様の水温帯を適水温とするため、生息地そのものが消滅することが予想される。
さらに、海洋酸性化の影響により、幼生にとって殻の形成が困難になる可能性も示されている。
あわび
鮑
水温上昇に伴う海藻類の減少により、
生息地が減り消滅。
エゾアワビやクロアワビの成貝の高水温期(8月)の限界水温は28℃、稚貝は25℃、24℃であり、海水温の上昇に弱い。
また、アワビの生育に必要な海藻類も同様の水温帯を適水温とするため、生息地そのものが消滅することが予想される。
さらに、海洋酸性化の影響により、幼生にとって貝殻の形成が困難になる可能性も示されている。
ひらめ
平目
水温上昇で生息地が北へ追いやられ、
瀬戸内海、東京湾産は消滅。
ヒラメは、低水温期(2月)には5 ℃以上、高水温期(8月)には27.5 ℃以下に分布するというデータがある。
海水温が上昇することで、分布の南限が鹿児島県付近から近畿地方に、やがて21世紀末には関東北部に移動することが示されている。
よって、21世紀中頃から21世紀末にかけて、瀬戸内海、東京湾でのヒラメの成育が困難になることが予想される。
まだい
真鯛
分布域が北へ追いやられ減少し、
やがて国産は消滅。
マダイは、低水温期(2月)には5 ℃以上、高水温期(8月)には27.5 ℃以下に分布するというデータがある。
海水温が上昇することで、分布の南限が北部に移動することが示されている。
よって、21世紀中頃から21世紀末にかけて、瀬戸内海、東京湾でのマダイの生育が困難になることが予想される。
ずわいがに
生息水深が限定され、
また殻の形成が困難になり消滅。
ズワイガニの高水温期(8月)の限界水温は17℃とされている。
ズワイガニは深い水深に生息するため、水温の影響は大きくはないと考えられがちだが、表層が暖かくなることで成層が強くなり、亜表層の溶存酸素濃度が低下することでて生息水深が限定される恐れがある。
また、海洋酸性化の影響により、殻をつくるエネルギーが現在よりも多く必要となる危険性もある。
言葉はまるで雪の結晶
话语如同片片雪花
君にプレゼントしたくても
想要赠予给你
夢中になればなるほどに
我越是忘情投入
形は崩れ落ちて溶けていって 消えてしまうけど
它反而会失去形状 融化后消失不见
でも僕が選ぶ言葉が
但我还会坚持挑选合适的话语
そこに託された想いが
并将蕴藏其中的心意
君の胸を震わすのを 諦められない
撼动你的心灵 比起亲口说出我爱你
愛してるよりも愛が届くまで
直到将我内心的爱意传达给你之前
话语如同片片雪花
君にプレゼントしたくても
想要赠予给你
夢中になればなるほどに
我越是忘情投入
形は崩れ落ちて溶けていって 消えてしまうけど
它反而会失去形状 融化后消失不见
でも僕が選ぶ言葉が
但我还会坚持挑选合适的话语
そこに託された想いが
并将蕴藏其中的心意
君の胸を震わすのを 諦められない
撼动你的心灵 比起亲口说出我爱你
愛してるよりも愛が届くまで
直到将我内心的爱意传达给你之前
#天空 地球 身體 生活#
大学の農系学部が研究・開発した製品と、その製品化までの道のりを紹介します。
第11回
廃棄されていたカニ殻を再利用!
⿃取⼤学の「キチンナノファイバー」
カニといえば冬のご馳走ですが、食べる際に硬い殻は邪魔者扱いされがちです。しかし、鳥取大学の伊福教授がカニ殻由来の新素材“キチンナノファイバー”を開発し、カニ殻の有効活用に向けた研究を行なっています。
“キチンナノファイバー”とは、乾燥させたカニ殼などの甲殻類の外皮から抽出したキチンという物質を粉砕し、直径約10ナノメートル(髪の毛の太さの約1万分の1)というサイズまで微細化したものです。
研究が進められたのは、ベニズワイガニの水揚げ日本一の鳥取県。食品加工後に大量に発生するカニ殼を、膨大な廃棄コストをかけることなく有効に利用できるキチンナノファイバーは、幅広い分野に応用できる可能性があると同教授は語ります。
鳥取県ならではの地域資源を活用
キチンナノファイバーの顕微鏡写真。
鳥取大学の伊福伸介教授は、鳥取大学に赴任する際に「蟹取県」と言われるほどカニで有名な鳥取県ならではの研究をしたいと考え、キチンナノファイバーの研究開発をはじめました。
教授は同大学に赴任する前、木材のセルロースによるナノファイバーの研究をしていました。
セルロースとキチンは構造が非常に似ているため、それまでの経験を生かして、今度はカニ殻からキチンナノファイバーを抽出しようと考えたそうです。
研究の結果、キチンナノファイバーにはたくさんの特徴があることが判明しました。それまで再利用方法が少なく大量に廃棄されていたカニ殻が有効活用できることがわかり、「鳥取県ならでは」の新しい産業開発がスタートしました。
カニ殻の主成分「キチン」とは?
キチンの化学構造式。
キチンとは、カニやエビのような甲殻類の殻だけでなく、昆虫のような節足動物の外皮、貝殻、そしてきのこにも含まれている天然の素材です。
地球上で合成される量は1年間で10の10乗から11乗トンにもなると推測されているなど、豊富に存在する生物資源です。しかし、キチンは水に溶けずにすぐに沈殿してしまうため非常に加工しづらく、利用方法が限られており、これまでほとんど産業利用されてきませんでした。
ナノファイバーにすることで応用性UP!
加工前のカニ殻(左)とキチンを抽出したカニ殻(右)。
粉砕したカニ殻。
そこで伊福教授は、セルロースナノファイバーの研究で得た経験を活かして、カニ殻からナノファイバーを製造することに取り組み、以下のような製造工程で、キチンからナノファイバーという極細繊維として抽出することに成功しました。
製造工程
1
乾燥したカニ殻を特殊な製法で煮る
カニ殻からカルシウム、タンパク質、脂質、色素を取り除くため、薬品の入った釜で煮て高純度のキチンを抽出。
2
機械処理でキチンを微細化
抽出したキチンを湿式粉砕器に通し、ナノサイズの極限まで微細化して完了。
こうして生み出されたキチンナノファイバーは水との馴染みがよく、液体に混ぜてジェル状にしたり、塗料のように他の素材に塗ったりすることもできるため、汎用性が大幅に向上しました。
ジェル状にしたキチンナノファイバー。
加工しやすくなるだけでなく、さまざまな実験を行えるようになったことも、ナノファイバーの大きな特徴です。そのことが、キチンナノファイバーの利用に向けた研究が進むきっかけになりました。
\学生の声!/
プロフィール画像
鳥取大学大学院
持続性社会創生科学研究科
有機材料化学研究室
船越 遥香 さん
私は止血材を志向したキチンナノファイバースポンジの研究に取り組んでいます。カニ殻由来の新素材「キチンナノファイバー」の優れた機械的特性や生理機能を踏まえ、高強度のキチンナノファイバースポンジを作製し、血液の凝固能や抗菌性評価を進めています。研究活動を通してさまざまな分野でカニ殻が有効利用できることを学びました。将来は天然資源がもつ可能性を見出し、新たな製品の開発に繋げていきたいと考えています。
キチンナノファイバーの効果と展開
キチンナノファイバーの開発成功から13年。伊福教授は医療や食品の分野でさまざまな効果を確認してきましたが、さまざまな研究者との共同研究や他業種との協働を続ける中で、他にもいろいろな効果があることがわかってきたといいます。そこで、伊福教授は鳥取大学発のベンチャー企業(株)マリンナノファイバーを立ち上げ、キチンナノファイバーのさまざまな分野への発展を目指しています。
「キチンナノファイバーには保湿作用や角質層を補修してバリア機能を強化する効果が期待できるため、スキンケアジェルやリップクリームに配合することで肌にすっと馴染んで潤いをもたらし、刺激から守ってくれます。また、まだ実用化には至っていませんが、キチンナノファイバーの機能から、植物の成長促進や病害抵抗性の向上、小麦生地の強化といった農業や食品への応用も期待できます。」と同教授はいいます。
スキンケア「カニダノミシリーズ」。
植物の成長促進や病害抵抗性の向上
写真は、小松菜におけるキチンナノファイバーの成長促進効果を確かめる実験の様子です。鳥取大学の研究では、植物にキチンナノファイバーを肥料として与えると、成長が促進されることや、あらかじめキチンナノファイバーを植物に散布しておくと、病害抵抗性が誘導され、立ち枯れを抑制できることが確認されています。
小麦生地の強化
キチンナノファイバーは食品添加物としての活用も検討されています。例えば、強力粉200グラムにあらかじめキチンナノファイバーを添加しておくと、強力粉250グラムを使用した場合と同程度の体積のパンが得られることが実験から明らかになっており、パン製造の分野で製パン性の向上に役立つことが期待されているそうです。
これからの展望について
伊福教授は今後の目標について、「キチンナノファイバーは化粧品だけでなく、医薬品、健康食品、農薬、肥料など幅広い分野で活用できるということがわかっていますが、まだまだ未知の潜在的な機能もあると想定されています。
今後この新素材の開発・普及においては、まずは鳥取県の産業を活性化していくことを目標としており、いずれ鳥取県をモデルケースとして、石川県や新潟県などカニ漁がさかんな地域に広げていくことを目指しています。
そしてさらにはバングラデシュやタイなど、エビの養殖がさかんな海外までこのキチンナノファイバーの有効性が広がることで、新しい産業を生みだし、世界各国のさまざまな課題の解決に貢献していきたいと考えています。」と語ります。
今回紹介した鳥取大学の取り組みの一部は、農林水産省が平成28年に設立した『「知」の集積と活用の場』の研究開発プラットフォームから生み出された研究成果です。
『「知」の集積と活用の場』とは、農林水産・食品分野に異分野の知識・技術等を導入して、革新的な技術シーズを生み出すとともに、それらの技術シーズをスピード感をもって商品化・事業化に導き、国産農林水産物のバリューチェーンの構築に結び付ける新たな産学官連携研究を推進する取り組みです。
画像:大学外観
鳥取大学
鳥取県鳥取市湖山町南4丁目101
0857-31-5007
https://t.cn/A6Nhi2fF
|今回 教えてくれたのは・・・|
プロフィール画像
鳥取大学
工学研究科化学・生物応用工学専攻
伊福 伸介 教授
農学博士。専門は生物材料化学。2008年に鳥取大学に着任したことをきっかけに、カニ殻の主成分であるキチンのナノファイバーに関する研究を開始。異分野融合研究によりキチンナノファイバーの多様な機能を明らかにしている。2016年に大学発ベンチャー「(株)マリンナノファイバー」を設立。キチンナノファイバーを機能性原料として販売し、その普及に努めている。50種類以上のナノファイバー配合製品が誕生している。
大学の農系学部が研究・開発した製品と、その製品化までの道のりを紹介します。
第11回
廃棄されていたカニ殻を再利用!
⿃取⼤学の「キチンナノファイバー」
カニといえば冬のご馳走ですが、食べる際に硬い殻は邪魔者扱いされがちです。しかし、鳥取大学の伊福教授がカニ殻由来の新素材“キチンナノファイバー”を開発し、カニ殻の有効活用に向けた研究を行なっています。
“キチンナノファイバー”とは、乾燥させたカニ殼などの甲殻類の外皮から抽出したキチンという物質を粉砕し、直径約10ナノメートル(髪の毛の太さの約1万分の1)というサイズまで微細化したものです。
研究が進められたのは、ベニズワイガニの水揚げ日本一の鳥取県。食品加工後に大量に発生するカニ殼を、膨大な廃棄コストをかけることなく有効に利用できるキチンナノファイバーは、幅広い分野に応用できる可能性があると同教授は語ります。
鳥取県ならではの地域資源を活用
キチンナノファイバーの顕微鏡写真。
鳥取大学の伊福伸介教授は、鳥取大学に赴任する際に「蟹取県」と言われるほどカニで有名な鳥取県ならではの研究をしたいと考え、キチンナノファイバーの研究開発をはじめました。
教授は同大学に赴任する前、木材のセルロースによるナノファイバーの研究をしていました。
セルロースとキチンは構造が非常に似ているため、それまでの経験を生かして、今度はカニ殻からキチンナノファイバーを抽出しようと考えたそうです。
研究の結果、キチンナノファイバーにはたくさんの特徴があることが判明しました。それまで再利用方法が少なく大量に廃棄されていたカニ殻が有効活用できることがわかり、「鳥取県ならでは」の新しい産業開発がスタートしました。
カニ殻の主成分「キチン」とは?
キチンの化学構造式。
キチンとは、カニやエビのような甲殻類の殻だけでなく、昆虫のような節足動物の外皮、貝殻、そしてきのこにも含まれている天然の素材です。
地球上で合成される量は1年間で10の10乗から11乗トンにもなると推測されているなど、豊富に存在する生物資源です。しかし、キチンは水に溶けずにすぐに沈殿してしまうため非常に加工しづらく、利用方法が限られており、これまでほとんど産業利用されてきませんでした。
ナノファイバーにすることで応用性UP!
加工前のカニ殻(左)とキチンを抽出したカニ殻(右)。
粉砕したカニ殻。
そこで伊福教授は、セルロースナノファイバーの研究で得た経験を活かして、カニ殻からナノファイバーを製造することに取り組み、以下のような製造工程で、キチンからナノファイバーという極細繊維として抽出することに成功しました。
製造工程
1
乾燥したカニ殻を特殊な製法で煮る
カニ殻からカルシウム、タンパク質、脂質、色素を取り除くため、薬品の入った釜で煮て高純度のキチンを抽出。
2
機械処理でキチンを微細化
抽出したキチンを湿式粉砕器に通し、ナノサイズの極限まで微細化して完了。
こうして生み出されたキチンナノファイバーは水との馴染みがよく、液体に混ぜてジェル状にしたり、塗料のように他の素材に塗ったりすることもできるため、汎用性が大幅に向上しました。
ジェル状にしたキチンナノファイバー。
加工しやすくなるだけでなく、さまざまな実験を行えるようになったことも、ナノファイバーの大きな特徴です。そのことが、キチンナノファイバーの利用に向けた研究が進むきっかけになりました。
\学生の声!/
プロフィール画像
鳥取大学大学院
持続性社会創生科学研究科
有機材料化学研究室
船越 遥香 さん
私は止血材を志向したキチンナノファイバースポンジの研究に取り組んでいます。カニ殻由来の新素材「キチンナノファイバー」の優れた機械的特性や生理機能を踏まえ、高強度のキチンナノファイバースポンジを作製し、血液の凝固能や抗菌性評価を進めています。研究活動を通してさまざまな分野でカニ殻が有効利用できることを学びました。将来は天然資源がもつ可能性を見出し、新たな製品の開発に繋げていきたいと考えています。
キチンナノファイバーの効果と展開
キチンナノファイバーの開発成功から13年。伊福教授は医療や食品の分野でさまざまな効果を確認してきましたが、さまざまな研究者との共同研究や他業種との協働を続ける中で、他にもいろいろな効果があることがわかってきたといいます。そこで、伊福教授は鳥取大学発のベンチャー企業(株)マリンナノファイバーを立ち上げ、キチンナノファイバーのさまざまな分野への発展を目指しています。
「キチンナノファイバーには保湿作用や角質層を補修してバリア機能を強化する効果が期待できるため、スキンケアジェルやリップクリームに配合することで肌にすっと馴染んで潤いをもたらし、刺激から守ってくれます。また、まだ実用化には至っていませんが、キチンナノファイバーの機能から、植物の成長促進や病害抵抗性の向上、小麦生地の強化といった農業や食品への応用も期待できます。」と同教授はいいます。
スキンケア「カニダノミシリーズ」。
植物の成長促進や病害抵抗性の向上
写真は、小松菜におけるキチンナノファイバーの成長促進効果を確かめる実験の様子です。鳥取大学の研究では、植物にキチンナノファイバーを肥料として与えると、成長が促進されることや、あらかじめキチンナノファイバーを植物に散布しておくと、病害抵抗性が誘導され、立ち枯れを抑制できることが確認されています。
小麦生地の強化
キチンナノファイバーは食品添加物としての活用も検討されています。例えば、強力粉200グラムにあらかじめキチンナノファイバーを添加しておくと、強力粉250グラムを使用した場合と同程度の体積のパンが得られることが実験から明らかになっており、パン製造の分野で製パン性の向上に役立つことが期待されているそうです。
これからの展望について
伊福教授は今後の目標について、「キチンナノファイバーは化粧品だけでなく、医薬品、健康食品、農薬、肥料など幅広い分野で活用できるということがわかっていますが、まだまだ未知の潜在的な機能もあると想定されています。
今後この新素材の開発・普及においては、まずは鳥取県の産業を活性化していくことを目標としており、いずれ鳥取県をモデルケースとして、石川県や新潟県などカニ漁がさかんな地域に広げていくことを目指しています。
そしてさらにはバングラデシュやタイなど、エビの養殖がさかんな海外までこのキチンナノファイバーの有効性が広がることで、新しい産業を生みだし、世界各国のさまざまな課題の解決に貢献していきたいと考えています。」と語ります。
今回紹介した鳥取大学の取り組みの一部は、農林水産省が平成28年に設立した『「知」の集積と活用の場』の研究開発プラットフォームから生み出された研究成果です。
『「知」の集積と活用の場』とは、農林水産・食品分野に異分野の知識・技術等を導入して、革新的な技術シーズを生み出すとともに、それらの技術シーズをスピード感をもって商品化・事業化に導き、国産農林水産物のバリューチェーンの構築に結び付ける新たな産学官連携研究を推進する取り組みです。
画像:大学外観
鳥取大学
鳥取県鳥取市湖山町南4丁目101
0857-31-5007
https://t.cn/A6Nhi2fF
|今回 教えてくれたのは・・・|
プロフィール画像
鳥取大学
工学研究科化学・生物応用工学専攻
伊福 伸介 教授
農学博士。専門は生物材料化学。2008年に鳥取大学に着任したことをきっかけに、カニ殻の主成分であるキチンのナノファイバーに関する研究を開始。異分野融合研究によりキチンナノファイバーの多様な機能を明らかにしている。2016年に大学発ベンチャー「(株)マリンナノファイバー」を設立。キチンナノファイバーを機能性原料として販売し、その普及に努めている。50種類以上のナノファイバー配合製品が誕生している。
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