九州北部で記録的大雨 川の氾濫や土砂災害に引き続き警戒を
2023年7月11日 6時56分
九州北部では10日、線状降水帯が発生して記録的な大雨となり、川の氾濫や土砂災害が相次ぎました。九州北部では今も地盤が緩み、少しの雨でも災害につながるおそれがあり、土砂災害などに警戒し、危険な場所には近づかないようにしてください。
気象庁によりますと10日、前線の活動が活発になった影響で、九州北部では線状降水帯が相次いで発生し、福岡県と大分県に一時大雨の特別警報が発表されました。
今月6日の降り始めからの雨の量は、福岡県の英彦山で600ミリを超えるなど各地で記録的な大雨となりました。
前線は対馬海峡付近に停滞していて、午前6時までの1時間には長崎県が対馬市に設置した雨量計で58ミリの非常に激しい雨を観測しました。
また、前線の影響で、東北でも局地的に雨雲が発達しています。これまでの雨で九州北部では、地盤が緩んでいたり川の堤防や護岸が損傷したりしているところがあり災害のリスクが高い状態が続いています。
土砂災害の危険性が高い状態が続いていて、佐賀県では土砂災害警戒情報が発表されている地域があります。
前線北上も大気不安定続く
今後、前線は徐々に北上する見込みですが11日も西日本から北日本の広い範囲で大気が不安定な状態が続く見込みです。
特に関東甲信では局地的に雷を伴って1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降るおそれがあります。
大雨となった地域では、ふだんより少ない雨でも土砂災害や川の氾濫などの災害の危険度が急激に高まるおそれがあります。土砂災害や低い土地の浸水、川の氾濫に警戒し、川や山の斜面など危険な場所には近づかないようにしてください。
また、東北の日本海側でも13日にかけて大雨のおそれがあります。今後の情報に注意してください。
国交省会見「局地的に大雨が降れば一気に状況が変わる」
大雨の特別警報の警報への切り替えに先立ち、気象庁と国土交通省は10日午後5時ごろ合同で会見を開きました。
この中で国土交通省の豊口佳之河川環境課長は、「筑後川などでは高い水位が継続していて大雨警報に切り替わったからといって災害の危険がなくなったわけではない。広域的、集中的に長時間降るような状況は見込まれないかもしれないが、局地的に大雨が降れば一気に状況が変わる可能性がある。当面は川に近づくことなどを避け避難情報に従って身の安全を確保してほしい」と呼びかけました。
また「これまでの雨で流域は湿潤状態にあるほかダムは、多くの水がたまっているため余力があまり無い。今後、大雨が発生すると河川の氾濫の危険性が高まる。今後の大雨の状況には注意してほしい」と話しています。
11日にかけ前線停滞 西~北日本で激しい雨のおそれ
今後の見通しです。
前線は11日にかけてほとんど位置を変えずに停滞する見込みで、西日本から北日本の広い範囲で雷を伴った激しい雨が降り、局地的には非常に激しい雨が降るおそれがあります。
夜のうちは川や山沿いの渓流斜面などからは離れ、引き続き、安全を確保するようにしてください。
また、東北の日本海側でも13日ごろにかけて大雨のおそれがあります。今後の情報に注意してください。
一方、関東甲信では湿った空気の影響で局地的に雨雲が発達し、午後10時までの1時間には埼玉県鴻巣市で36ミリの激しい雨が降りました。関東甲信は11日の午後も大気の状態が不安定になる見込みで、急な激しい雨や落雷、竜巻などの激しい突風、ひょうなどに十分な注意が必要です。
大雨特別警報を警報に切り替え 引き続き厳重警戒を
福岡県と大分県では大雨の特別警報が警報に切り替えられましたが、引き続き土砂災害や川の氾濫に厳重に警戒してください。
気象庁によりますと、過去には雨が弱まったりやんだりしてから数時間たって土砂災害が発生し、犠牲者が出たケースや、大雨の特別警報が解除されたあとに川の氾濫が発生して大きな被害となったケースがあります。
土の中の“タンク”には大量の水が
2018年の西日本豪雨では、天気が回復し復旧作業が進む中で広島県府中町を流れる榎川の上流で土石流が発生し、住宅に土砂が流れ込みました。
また1997年には鹿児島県出水市で雨がやんだおよそ4時間後に大規模な土石流が発生し、21人が死亡しました。
線状降水帯が発生するなど記録的な大雨となった九州を中心に、土砂災害の危険度の指標となる「土壌雨量指数」が高くなっている地域があり、今後の雨で土砂災害の危険度が急激に高まるおそれがあります。
「土壌雨量指数」は降った雨がどれくらい土の中にたまっているか、水分量を示す指標です。気象庁の大雨警報や土砂災害警戒情報はこのデータをもとに発表されています。九州では線状降水帯が発生した10日の明け方から朝にかけて「土壌雨量指数」が高くなり、夕方になってもふだんよりも高い状態となっています。
土砂災害に詳しい専門家によると、一般的に雨がやんで1日や2日では土の中の水分はほとんど抜けず、地質の違いを考慮しても、ある程度の水分が残ったままの状態が続くということです。つまり、土の中の“タンク”は水がたまった状態で抜けきっていないため、今後、少しの雨で土砂災害が発生したり、規模の大きな災害につながる危険性があります。
気象庁の土砂災害警戒情報や自治体からの避難の情報などに注意してすぐに避難できるよう準備をしておいてください。
前兆現象が起きることも
また、土砂災害が発生する前には「前兆現象」が起きることがあります。
例えば、
▽斜面から小石が落ちてくる、
▽斜面に亀裂ができる、
▽斜面から突然水が湧き出したり 川の水が急に少なくなったりするほか、
▽「山鳴り」や「地響き」がするといったものです。
土砂災害警戒情報や避難の情報が出ていなかったとしても、こうした、いつもと異なる現象に気付いた場合は、すぐに崖や斜面から離れて安全な場所に避難してください。※土砂災害の前に必ず前兆が見られるわけではないことに留意してください※
特別警報解除後に氾濫 大河川の水位すぐに下がらず
2019年の台風19号では、大雨の特別警報が解除されたあと、長野県の千曲川や宮城県の吉田川など複数の河川で氾濫が発生しました。
長野市では大雨特別警報が解除されたあと避難所から自宅へ戻り、その後、川の氾濫によって自宅が浸水したという人もいました。
九州の雨は弱まっていますが、福岡県では筑後川上中流部で避難指示の発令の目安となる「氾濫危険情報」が発表されているほか、現在も水位が高い状態が続いている川があります。
山あいの広い範囲に降った雨が大きな川に流れ込むまでには時間がかかるため、雨がやんだり降り方が弱まったりしても時間差で水位が上昇するおそれがあります。
増水した川には近づかず、自治体の情報などをもとに引き続き安全な場所で避難を続けてください。
2023年7月11日 6時56分
九州北部では10日、線状降水帯が発生して記録的な大雨となり、川の氾濫や土砂災害が相次ぎました。九州北部では今も地盤が緩み、少しの雨でも災害につながるおそれがあり、土砂災害などに警戒し、危険な場所には近づかないようにしてください。
気象庁によりますと10日、前線の活動が活発になった影響で、九州北部では線状降水帯が相次いで発生し、福岡県と大分県に一時大雨の特別警報が発表されました。
今月6日の降り始めからの雨の量は、福岡県の英彦山で600ミリを超えるなど各地で記録的な大雨となりました。
前線は対馬海峡付近に停滞していて、午前6時までの1時間には長崎県が対馬市に設置した雨量計で58ミリの非常に激しい雨を観測しました。
また、前線の影響で、東北でも局地的に雨雲が発達しています。これまでの雨で九州北部では、地盤が緩んでいたり川の堤防や護岸が損傷したりしているところがあり災害のリスクが高い状態が続いています。
土砂災害の危険性が高い状態が続いていて、佐賀県では土砂災害警戒情報が発表されている地域があります。
前線北上も大気不安定続く
今後、前線は徐々に北上する見込みですが11日も西日本から北日本の広い範囲で大気が不安定な状態が続く見込みです。
特に関東甲信では局地的に雷を伴って1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降るおそれがあります。
大雨となった地域では、ふだんより少ない雨でも土砂災害や川の氾濫などの災害の危険度が急激に高まるおそれがあります。土砂災害や低い土地の浸水、川の氾濫に警戒し、川や山の斜面など危険な場所には近づかないようにしてください。
また、東北の日本海側でも13日にかけて大雨のおそれがあります。今後の情報に注意してください。
国交省会見「局地的に大雨が降れば一気に状況が変わる」
大雨の特別警報の警報への切り替えに先立ち、気象庁と国土交通省は10日午後5時ごろ合同で会見を開きました。
この中で国土交通省の豊口佳之河川環境課長は、「筑後川などでは高い水位が継続していて大雨警報に切り替わったからといって災害の危険がなくなったわけではない。広域的、集中的に長時間降るような状況は見込まれないかもしれないが、局地的に大雨が降れば一気に状況が変わる可能性がある。当面は川に近づくことなどを避け避難情報に従って身の安全を確保してほしい」と呼びかけました。
また「これまでの雨で流域は湿潤状態にあるほかダムは、多くの水がたまっているため余力があまり無い。今後、大雨が発生すると河川の氾濫の危険性が高まる。今後の大雨の状況には注意してほしい」と話しています。
11日にかけ前線停滞 西~北日本で激しい雨のおそれ
今後の見通しです。
前線は11日にかけてほとんど位置を変えずに停滞する見込みで、西日本から北日本の広い範囲で雷を伴った激しい雨が降り、局地的には非常に激しい雨が降るおそれがあります。
夜のうちは川や山沿いの渓流斜面などからは離れ、引き続き、安全を確保するようにしてください。
また、東北の日本海側でも13日ごろにかけて大雨のおそれがあります。今後の情報に注意してください。
一方、関東甲信では湿った空気の影響で局地的に雨雲が発達し、午後10時までの1時間には埼玉県鴻巣市で36ミリの激しい雨が降りました。関東甲信は11日の午後も大気の状態が不安定になる見込みで、急な激しい雨や落雷、竜巻などの激しい突風、ひょうなどに十分な注意が必要です。
大雨特別警報を警報に切り替え 引き続き厳重警戒を
福岡県と大分県では大雨の特別警報が警報に切り替えられましたが、引き続き土砂災害や川の氾濫に厳重に警戒してください。
気象庁によりますと、過去には雨が弱まったりやんだりしてから数時間たって土砂災害が発生し、犠牲者が出たケースや、大雨の特別警報が解除されたあとに川の氾濫が発生して大きな被害となったケースがあります。
土の中の“タンク”には大量の水が
2018年の西日本豪雨では、天気が回復し復旧作業が進む中で広島県府中町を流れる榎川の上流で土石流が発生し、住宅に土砂が流れ込みました。
また1997年には鹿児島県出水市で雨がやんだおよそ4時間後に大規模な土石流が発生し、21人が死亡しました。
線状降水帯が発生するなど記録的な大雨となった九州を中心に、土砂災害の危険度の指標となる「土壌雨量指数」が高くなっている地域があり、今後の雨で土砂災害の危険度が急激に高まるおそれがあります。
「土壌雨量指数」は降った雨がどれくらい土の中にたまっているか、水分量を示す指標です。気象庁の大雨警報や土砂災害警戒情報はこのデータをもとに発表されています。九州では線状降水帯が発生した10日の明け方から朝にかけて「土壌雨量指数」が高くなり、夕方になってもふだんよりも高い状態となっています。
土砂災害に詳しい専門家によると、一般的に雨がやんで1日や2日では土の中の水分はほとんど抜けず、地質の違いを考慮しても、ある程度の水分が残ったままの状態が続くということです。つまり、土の中の“タンク”は水がたまった状態で抜けきっていないため、今後、少しの雨で土砂災害が発生したり、規模の大きな災害につながる危険性があります。
気象庁の土砂災害警戒情報や自治体からの避難の情報などに注意してすぐに避難できるよう準備をしておいてください。
前兆現象が起きることも
また、土砂災害が発生する前には「前兆現象」が起きることがあります。
例えば、
▽斜面から小石が落ちてくる、
▽斜面に亀裂ができる、
▽斜面から突然水が湧き出したり 川の水が急に少なくなったりするほか、
▽「山鳴り」や「地響き」がするといったものです。
土砂災害警戒情報や避難の情報が出ていなかったとしても、こうした、いつもと異なる現象に気付いた場合は、すぐに崖や斜面から離れて安全な場所に避難してください。※土砂災害の前に必ず前兆が見られるわけではないことに留意してください※
特別警報解除後に氾濫 大河川の水位すぐに下がらず
2019年の台風19号では、大雨の特別警報が解除されたあと、長野県の千曲川や宮城県の吉田川など複数の河川で氾濫が発生しました。
長野市では大雨特別警報が解除されたあと避難所から自宅へ戻り、その後、川の氾濫によって自宅が浸水したという人もいました。
九州の雨は弱まっていますが、福岡県では筑後川上中流部で避難指示の発令の目安となる「氾濫危険情報」が発表されているほか、現在も水位が高い状態が続いている川があります。
山あいの広い範囲に降った雨が大きな川に流れ込むまでには時間がかかるため、雨がやんだり降り方が弱まったりしても時間差で水位が上昇するおそれがあります。
増水した川には近づかず、自治体の情報などをもとに引き続き安全な場所で避難を続けてください。
【大雨被害状況】各地で土砂崩れや土石流 安否不明も
2023年7月10日 19時11分
佐賀 唐津の住宅2棟に土砂流れ込む 3人と連絡とれず
消防によりますと10日朝6時15分ごろ、佐賀県唐津市浜玉町の平原地区の住民から「山が崩れた」と通報がありました。土砂は、近くの住宅2棟に流れ込みこのうち1棟に住む50代の男性と70代の男性、もう1棟に住む70代の女性のあわせて男女3人と連絡がとれなくなっているということです。
土砂崩れに巻き込まれた住宅の1階部分には土砂が流れ込み壁が壊された状態となっていて、現場では、消防隊員が行方がわからなくなっている住民を捜索していました。
土砂崩れが起きた山は大きくえぐられるように削られ、住宅の周辺には、山から流れてきた岩や折れた木が散乱していました。
また、近くを流れる川は茶色く濁った水が流れていました。
近くに住む70代の男性は「朝5時ごろ、雨も少し小降りになり、川の流れる量も少なくなったので落ち着いたかと思っていた。今になると上の方でせき止められていたのだと思う。そのあと一気に土砂や木が流れてきて、家も埋もれてしまった」と話していました。
また、60代の男性は「この辺はみんな顔見知りで、土砂に巻き込まれた家も知り合いなので安否がわからないと聞いて不安に思っている。朝方から急に降りだして、そこで崩れたのだと思う」と話していました。
別の60代の男性は「4年前の大雨の時も今回崩れた場所よりもっと上の方で土砂崩れがあったが、今回の方がひどい。これ以上ひどくならないでほしい」と話していました。
佐賀 唐津 女性1人救助も心肺停止
警察によりますと住宅2棟が土砂崩れに巻き込まれた佐賀県唐津市浜玉町で土砂の中から女性1人が見つかりその後、救助されましたが、心肺停止の状態だということです。
この住宅2棟では、住人の70代の男女と50代の男性のあわせて3人と連絡がとれなくなっていて、警察が現場で見つかった女性の身元の確認を進め、消防とともにほかの2人の捜索を続けています。
現場や周辺は「土砂災害警戒区域」内か 国交省
国土交通省などによりますと3人と連絡が取れなくなっている佐賀県唐津市浜玉町の現場やその周辺は、土砂災害による被害で命に危険がおよぶおそれがあるとして、都道府県が指定した「土砂災害警戒区域」内だとみられるということです。
「土砂災害警戒区域」には▽土石流、▽地すべり、▽崖崩れの、3つの種類があり、浜玉町の現場は「土石流」の警戒区域内だとみられるということです。
専門家「現場付近は崩れやすい“真砂土”か」
佐賀県唐津市で起きた土砂災害について、東京農工大学の石川芳治名誉教授は「現場付近は地下のマグマが冷え固まってできる「花こう岩」かその1種の「花崗閃緑岩」が広く分布している。これらは雨や風にさらされて風化すると「真砂土」となり、水がしみこむと崩れやすい。ここ数日降り続いた雨によって地盤が緩んだところに、けさ線状降水帯が発生するなど雨が強まったことで一気に崩壊した可能性がある」と指摘し、「真砂土」は九州北部や中国地方などにも広く分布していて、過去には2014年の広島市の土砂災害や2017年の九州北部豪雨の土砂災害の現場などでも確認されています。
石川名誉教授は「佐賀県以外でも大きな土砂災害が起きてもおかしくない雨の降り方になっている。山の斜面に絶対に近づかず、安全な場所で過ごしてほしい」と話していました。
佐賀県 自衛隊に災害派遣を要請
佐賀県唐津市で大規模な土砂崩れが起きたことを受けて、佐賀県は10日、救助活動を迅速に進めるため、自衛隊に災害派遣を要請しました。
唐津市浜玉町では10日朝早く、土砂崩れが発生して住宅に土砂が流れ込み、消防によりますと70代の男女と50代の男性のあわせて3人と連絡がとれなくなっていて、警察や消防が捜索活動を続けています。
これを受けて、佐賀県は10日午後、救助活動を迅速に進めるため、陸上自衛隊に災害派遣を要請したことを明らかにしました。
2023年7月10日 19時11分
佐賀 唐津の住宅2棟に土砂流れ込む 3人と連絡とれず
消防によりますと10日朝6時15分ごろ、佐賀県唐津市浜玉町の平原地区の住民から「山が崩れた」と通報がありました。土砂は、近くの住宅2棟に流れ込みこのうち1棟に住む50代の男性と70代の男性、もう1棟に住む70代の女性のあわせて男女3人と連絡がとれなくなっているということです。
土砂崩れに巻き込まれた住宅の1階部分には土砂が流れ込み壁が壊された状態となっていて、現場では、消防隊員が行方がわからなくなっている住民を捜索していました。
土砂崩れが起きた山は大きくえぐられるように削られ、住宅の周辺には、山から流れてきた岩や折れた木が散乱していました。
また、近くを流れる川は茶色く濁った水が流れていました。
近くに住む70代の男性は「朝5時ごろ、雨も少し小降りになり、川の流れる量も少なくなったので落ち着いたかと思っていた。今になると上の方でせき止められていたのだと思う。そのあと一気に土砂や木が流れてきて、家も埋もれてしまった」と話していました。
また、60代の男性は「この辺はみんな顔見知りで、土砂に巻き込まれた家も知り合いなので安否がわからないと聞いて不安に思っている。朝方から急に降りだして、そこで崩れたのだと思う」と話していました。
別の60代の男性は「4年前の大雨の時も今回崩れた場所よりもっと上の方で土砂崩れがあったが、今回の方がひどい。これ以上ひどくならないでほしい」と話していました。
佐賀 唐津 女性1人救助も心肺停止
警察によりますと住宅2棟が土砂崩れに巻き込まれた佐賀県唐津市浜玉町で土砂の中から女性1人が見つかりその後、救助されましたが、心肺停止の状態だということです。
この住宅2棟では、住人の70代の男女と50代の男性のあわせて3人と連絡がとれなくなっていて、警察が現場で見つかった女性の身元の確認を進め、消防とともにほかの2人の捜索を続けています。
現場や周辺は「土砂災害警戒区域」内か 国交省
国土交通省などによりますと3人と連絡が取れなくなっている佐賀県唐津市浜玉町の現場やその周辺は、土砂災害による被害で命に危険がおよぶおそれがあるとして、都道府県が指定した「土砂災害警戒区域」内だとみられるということです。
「土砂災害警戒区域」には▽土石流、▽地すべり、▽崖崩れの、3つの種類があり、浜玉町の現場は「土石流」の警戒区域内だとみられるということです。
専門家「現場付近は崩れやすい“真砂土”か」
佐賀県唐津市で起きた土砂災害について、東京農工大学の石川芳治名誉教授は「現場付近は地下のマグマが冷え固まってできる「花こう岩」かその1種の「花崗閃緑岩」が広く分布している。これらは雨や風にさらされて風化すると「真砂土」となり、水がしみこむと崩れやすい。ここ数日降り続いた雨によって地盤が緩んだところに、けさ線状降水帯が発生するなど雨が強まったことで一気に崩壊した可能性がある」と指摘し、「真砂土」は九州北部や中国地方などにも広く分布していて、過去には2014年の広島市の土砂災害や2017年の九州北部豪雨の土砂災害の現場などでも確認されています。
石川名誉教授は「佐賀県以外でも大きな土砂災害が起きてもおかしくない雨の降り方になっている。山の斜面に絶対に近づかず、安全な場所で過ごしてほしい」と話していました。
佐賀県 自衛隊に災害派遣を要請
佐賀県唐津市で大規模な土砂崩れが起きたことを受けて、佐賀県は10日、救助活動を迅速に進めるため、自衛隊に災害派遣を要請しました。
唐津市浜玉町では10日朝早く、土砂崩れが発生して住宅に土砂が流れ込み、消防によりますと70代の男女と50代の男性のあわせて3人と連絡がとれなくなっていて、警察や消防が捜索活動を続けています。
これを受けて、佐賀県は10日午後、救助活動を迅速に進めるため、陸上自衛隊に災害派遣を要請したことを明らかにしました。
大雨特別警報を警報に切り替え 引き続き厳重警戒を
福岡県と大分県では大雨の特別警報が警報に切り替えられましたが、引き続き土砂災害や川の氾濫に厳重に警戒してください。
気象庁によりますと、過去には雨が弱まったりやんだりしてから数時間たって土砂災害が発生し、犠牲者が出たケースや、大雨の特別警報が解除されたあとに川の氾濫が発生して大きな被害となったケースがあります。
土の中の“タンク”には大量の水が
2018年の西日本豪雨では、天気が回復し復旧作業が進む中で広島県府中町を流れる榎川の上流で土石流が発生し、住宅に土砂が流れ込みました。
また1997年には鹿児島県出水市で雨がやんだおよそ4時間後に大規模な土石流が発生し、21人が死亡しました。
線状降水帯が発生するなど記録的な大雨となった九州を中心に、土砂災害の危険度の指標となる「土壌雨量指数」が高くなっている地域があり、今後の雨で土砂災害の危険度が急激に高まるおそれがあります。
「土壌雨量指数」は降った雨がどれくらい土の中にたまっているか、水分量を示す指標です。気象庁の大雨警報や土砂災害警戒情報はこのデータをもとに発表されています。九州では線状降水帯が発生した10日の明け方から朝にかけて「土壌雨量指数」が高くなり、夕方になってもふだんよりも高い状態となっています。
土砂災害に詳しい専門家によると、一般的に雨がやんで1日や2日では土の中の水分はほとんど抜けず、地質の違いを考慮しても、ある程度の水分が残ったままの状態が続くということです。つまり、土の中の“タンク”は水がたまった状態で抜けきっていないため、今後、少しの雨で土砂災害が発生したり、規模の大きな災害につながる危険性があります。
気象庁の土砂災害警戒情報や自治体からの避難の情報などに注意してすぐに避難できるよう準備をしておいてください。
前兆現象が起きることも
また、土砂災害が発生する前には「前兆現象」が起きることがあります。
例えば、
▽斜面から小石が落ちてくる、
▽斜面に亀裂ができる、
▽斜面から突然水が湧き出したり 川の水が急に少なくなったりするほか、
▽「山鳴り」や「地響き」がするといったものです。
土砂災害警戒情報や避難の情報が出ていなかったとしても、こうした、いつもと異なる現象に気づいた場合は、すぐに崖や斜面から離れて安全な場所に避難してください。※土砂災害の前に必ず前兆が見られるわけではないことに留意してください※
特別警報解除後に氾濫 大河川の水位すぐに下がらず
2019年の台風19号では、大雨の特別警報が解除されたあと、長野県の千曲川や宮城県の吉田川など複数の河川で氾濫が発生しました。
長野市では大雨特別警報が解除されたあと避難所から自宅へ戻り、その後、川の氾濫によって自宅が浸水したという人もいました。
九州の雨は弱まっていますが、福岡県では筑後川上中流部で避難指示の発令の目安となる「氾濫危険情報」が発表されているほか、現在も水位が高い状態が続いている川があります。
山あいの広い範囲に降った雨が大きな川に流れ込むまでには時間がかかるため、雨がやんだり降り方が弱まったりしても時間差で水位が上昇するおそれがあります。
増水した川には近づかず、自治体の情報などをもとに引き続き安全な場所で避難を続けて下さい。
福岡県と大分県では大雨の特別警報が警報に切り替えられましたが、引き続き土砂災害や川の氾濫に厳重に警戒してください。
気象庁によりますと、過去には雨が弱まったりやんだりしてから数時間たって土砂災害が発生し、犠牲者が出たケースや、大雨の特別警報が解除されたあとに川の氾濫が発生して大きな被害となったケースがあります。
土の中の“タンク”には大量の水が
2018年の西日本豪雨では、天気が回復し復旧作業が進む中で広島県府中町を流れる榎川の上流で土石流が発生し、住宅に土砂が流れ込みました。
また1997年には鹿児島県出水市で雨がやんだおよそ4時間後に大規模な土石流が発生し、21人が死亡しました。
線状降水帯が発生するなど記録的な大雨となった九州を中心に、土砂災害の危険度の指標となる「土壌雨量指数」が高くなっている地域があり、今後の雨で土砂災害の危険度が急激に高まるおそれがあります。
「土壌雨量指数」は降った雨がどれくらい土の中にたまっているか、水分量を示す指標です。気象庁の大雨警報や土砂災害警戒情報はこのデータをもとに発表されています。九州では線状降水帯が発生した10日の明け方から朝にかけて「土壌雨量指数」が高くなり、夕方になってもふだんよりも高い状態となっています。
土砂災害に詳しい専門家によると、一般的に雨がやんで1日や2日では土の中の水分はほとんど抜けず、地質の違いを考慮しても、ある程度の水分が残ったままの状態が続くということです。つまり、土の中の“タンク”は水がたまった状態で抜けきっていないため、今後、少しの雨で土砂災害が発生したり、規模の大きな災害につながる危険性があります。
気象庁の土砂災害警戒情報や自治体からの避難の情報などに注意してすぐに避難できるよう準備をしておいてください。
前兆現象が起きることも
また、土砂災害が発生する前には「前兆現象」が起きることがあります。
例えば、
▽斜面から小石が落ちてくる、
▽斜面に亀裂ができる、
▽斜面から突然水が湧き出したり 川の水が急に少なくなったりするほか、
▽「山鳴り」や「地響き」がするといったものです。
土砂災害警戒情報や避難の情報が出ていなかったとしても、こうした、いつもと異なる現象に気づいた場合は、すぐに崖や斜面から離れて安全な場所に避難してください。※土砂災害の前に必ず前兆が見られるわけではないことに留意してください※
特別警報解除後に氾濫 大河川の水位すぐに下がらず
2019年の台風19号では、大雨の特別警報が解除されたあと、長野県の千曲川や宮城県の吉田川など複数の河川で氾濫が発生しました。
長野市では大雨特別警報が解除されたあと避難所から自宅へ戻り、その後、川の氾濫によって自宅が浸水したという人もいました。
九州の雨は弱まっていますが、福岡県では筑後川上中流部で避難指示の発令の目安となる「氾濫危険情報」が発表されているほか、現在も水位が高い状態が続いている川があります。
山あいの広い範囲に降った雨が大きな川に流れ込むまでには時間がかかるため、雨がやんだり降り方が弱まったりしても時間差で水位が上昇するおそれがあります。
増水した川には近づかず、自治体の情報などをもとに引き続き安全な場所で避難を続けて下さい。
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