#健康要有文化素養 & 哲學頭腦#
産業界の立場から人生100年時代を考える
渡辺 捷昭(わたなべ かつあき)
公益財団法人長寿科学振興財団会長

人生100年時代の人生設計3つの変革が課題
 私は、根っからの産業人です。トヨタ自動車の経営、経団連での活動、政府、経済産業省の委員などを務めてきました。医療の専門家ではありませんが、産業界からの立場としてお話しさせていただきます。これからの人生100年時代を迎えるに当たり、皆さまにお役に立つお話ができれば幸いです。

 長寿国のトップを走る日本が世界に注目される中、日本老年学会・日本老年医学会が発表した高齢者の新たな定義の提言は非常に意義のあることです。私にとっても、新鮮に感じました。

 平均寿命が延び、健康寿命も延びて元気な高齢者が増えてきました。そのような高齢者の活躍の場をつくることがますます重要になってきます。能力や経験や知識を持っている人が何歳になってもそれをフルに発揮できるような社会を、国を挙げて構築していく必要があります。まさに人生100年時代の人生設計・社会設計といえます。

 年齢に捉われることなく多様な1人ひとりが活躍できる社会を構築するためには3つの課題があります。大変大きな課題ではありますが、次への大きな飛躍のチャンスとして捉えています。

 3つの課題とは、「1人ひとりの意識改革」、「社会環境と社会制度の変革」、「産業界の変革」です。

 まず第1に「1人ひとりの意識改革」が重要な課題です。かつては人生50年時代、人生80年時代といわれてきました。これからの人生100年時代を迎える本人の覚悟と意欲がなければいけません。昭和の時代、多くの企業では55歳定年制度を採用していました。「50歳はもう老人だ」と思われていました。それが今は60歳定年制度が導入され、希望すれば65歳まで継続して働くことが可能になっています。さらに、70歳も視野に入っています。

 また、医学の発達などにより高齢者の健康度や体力が以前と比べて相当上がってきています。そのような中、高齢者が活躍する場所、働く場所をどのようにつくるかが大切になってきます。それは収入に結びつかないボランティア活動なども含めてです。ただし、すべて本人の意識・意欲と体力がなければできません。したがって、まずは「1人ひとりのその気になる意識改革」が大切といえます。

 2つ目は、「社会環境と社会制度の変革」です。社会にはいろいろな人がいて、いろいろな仕事があります。その人の持っている意欲、能力、経験を総合的に勘案して対応しなくてはいけません。たとえば後継者育成の高い技能を持っていればそれを若手に伝承する場を設けるなど、活躍の場をつくっていくことです。そういうことが社会の環境整備につながるのです。

 社会制度の変革で考えると、産業界でいえば「働き方改革」です。知的労働であればある程度年を重ねてもできますが、年とともに体力が衰えることは避けられません。肉体的な制限がある労働には一律に定年延長はそぐわないでしょう。その企業の風土や成り立ちによって、働く人の個人の能力と意欲によって定年は変わってきてもよいと思います。

 3つ目は「産業界の変革」です。人生100年時代、少子高齢社会に、産業界は何を期待され、何をすべきでしょうか。それは多様な高齢者に寄り添った、高齢社会の課題に対応するモノ、サービス、情報、システムの提供です。そのためにイノベーションを起こし、新しい産業を創出し、高齢者向けの市場を生み出すことにより、活力のある社会の実現に貢献することです。

 めざましい技術の進歩があり、ビッグデータ、IoT、AI、ロボティクスを駆使して経営していく時代になりました。そういった技術の進歩・イノベーションと人の働き方は常に相関関係にあります。年齢という軸で考えたときに、労働適応年齢が上がっていくことは間違いありません。たとえば肉体労働の分野でもロボットを操作する仕事であれば、70歳を超えても幅広い年齢で操作ができます。ですから労働年齢は変化するのです。そこは常に見ておかなくてはいけません。同時に男女の垣根もなくなるといっていいでしょう。

 「1人ひとりの意識改革」、「社会環境と社会制度の変革」、「産業界の変革」と大きく3つの課題を挙げました。それぞれが複雑に関連していて、解決には産官学の連携と強いリーダーシップが求められます。つまり、オールジャパンとしての取り組みを一層強化する必要があります。

経営者の視座から人生100年時代の課題への対応
 ここからは私の経営者としての視座に触れさせていただきます。先に指摘した人生100年時代の課題解決の一助になれば幸いです。

 それは5つあります。1つ目は、「世界の中の」という視座です。「世界の中の日本」「世界の技術と日本の技術」など、常に世界との関わりを視野に入れておくことです。世界の先頭を走り、世界からベンチマークされる日本の超高齢社会問題についても、その視座が必要でしょう。

 2つ目は、社会のお役に立つ、お客様に喜んでいただく商品、サービスを徹底的に考え、開発することです。

 車でいえば、開発の軸は「環境、エネルギー、安心、安全、快適」です。これらにおけるマイナス要素を最小限にし、プラス要素を最大限にするということです。

 高齢社会のメリット、高齢社会のデメリットは何か、それを最大限、最小限にしなければなりません。

 3つ目は、人材育成です。事業の継承、発展のために必要なことは、人材育成、後継者の育成です。「モノづくりは人づくり」「教え教えられる組織」という言葉があります。モノは人がつくる、よいアイディアも人から生まれます。先輩は後輩に寄り添って現場で徹底的に教え込み、謙虚に後輩の発言に耳を傾けるということです。知識、技術を伝承することが大切なのです。すべては人づくりからで、医療の現場でもそうでしょう。

 4つ目は、人生100年時代における仕事の環境づくりです。「明るく、楽しく、元気よく」が私の信条です。「明るく」はプラス思考ということです。プラス思考は絶対的に明るく、マイナス思考では暗くなります。「楽しく」は主体性を持つということです。人に言われてやるのはあまり楽しくありません。人から言われたことでも、それがいいと同感・共感して自分のものとして行えば、主体性があって楽しくなります。「元気よく」は、「いいと思ったらすぐにやる」ということです。それが元気のよさだと思います。「明るく、楽しく、元気よく」は、あらゆる活動に通じるでしょう。

 5つ目は「全体最適」と「部分最適」です。部分最適を積み重ねていっても、必ずしも全体最適にはなるとは限りません。部分最適が全体最適だと思い込んでいる人に全体最適を言ってもなかなかわかりません。リーダーはどこにウェイトをかけるべきか、全体最適の視点を常に持ち、組織を変革する必要があります。それには、高い見識とリーダーシップが求められます。高齢者の問題は、医療、看護、介護、経済、さらに心の問題など多岐にわたっています。さらに社会制度の問題も含めて、全体として最適化する発想が重要です。

高齢社会のあるべき姿を追い求め産官学民一体で取り組む
 日本は少子高齢化の典型的な先進国であり、その対応は世界のベンチマークとなりえます。産官学の連携と言いましたが、まずは産産、官官、学学です。その上で、産官学一体となってこの問題に取り組まねばなりません。

 今の情報通信技術やロボティクス、AIなどを駆使すれば、社会も産業も変わり、働き方も変わっていきます。それを支えるアカデミアの「学」がさらに深化した研究を進めていただきたい。それを実現できるように、「官」には「学」や「産」を引っ張っていく役割があり、さらに「民」が加わって、やがて国策となります。産官学民の一体的な連携が大事になるのです。

 そして大切なのは、これからの超高齢社会のあるべき姿に向けて、リーダーは「夢を語り」、「全体最適」の視点で、皆と「明るく楽しく元気よく」課題に取り組んでいくことでしょう。

筆者
筆者_渡辺会長
渡辺 捷昭(わたなべ かつあき)
公益財団法人長寿科学振興財団会長
略歴
慶應義塾大学経済学部卒業後、1964年:トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社。1992年:取締役、1997年:常務、1999年:専務、2001年:副社長を経て、2005年:社長、2009年:副会長、2011年:相談役、2015年から顧問を務めた。2009年から日本経済団体連合会副会長を務め、2012年から首都高速株式会社取締役会長を務めた。2010年より現職。2009年:藍綬褒章受章、2018年:旭日大綬章受章

#健康身体 健康地球 健康生活#
大学農系学部に潜入! 発掘!
大学の農系学部が研究・開発した製品と、その製品化までの道のりを紹介します。

第16回
未知の可能性を探究し続ける
大量生産を実現した香川大学の希少糖

画像:
香川県では江戸時代より、さとうきびの栽培や砂糖の製造が行われるようになり、綿、塩とともに「讃岐三白」として讃岐地方の特産物として知られるようになりました。讃岐の「和三盆糖」は、高級和菓子の原料として現在でもその伝統が継承されています。このように、同県は古くから砂糖とのかかわりが深く、香川大学農学部でも、糖の活発な研究が行われてきました。そのひとつが「希少糖」の研究。同大学の何森健名誉教授が希少糖の大量生産を可能とする酵素を発見したことをきっかけとして、さまざまな食品の開発にも利用されるようになり、同県の新しい特産品にもなりつつあります。
今回は、30年以上もの歴史があり、現在もさらに発展を続ける同大学の希少糖の研究と希少糖を使用した商品の開発について紹介します。

未知の希少糖研究のはじまり
希少糖とは、どんな種類の糖なのでしょうか?国際希少糖学会は、「希少糖とは自然界に微量もしくは全く存在しない単糖(糖質の最小単位)およびその誘導体」と定義しています。自然界では、糖の多くは、単糖が多数結合した「多糖」として存在しますが、これらを構成する単糖としてはブドウ糖(D-グルコース)が最も多く、これを含めた7種類の単糖が自然界に多く存在しています。このほかの約50種類の単糖は自然界での存在量が極めて少なく、「希少糖」と呼ばれています。“希少糖”と名付けたのは、希少糖研究の第一人者である何森名誉教授で、現在までに、50種類以上ある希少糖のすべてが香川大学で生産できるようになっています。

香川大学希少糖生産ステーション

同名誉教授が希少糖の研究をスタートしたのは、1980年台半ば。当時は、生物のエネルギー源として欠かすことができないブドウ糖(D-グルコース)や果糖(D-フルクトース)の研究は盛んに行われていましたが、希少糖は自然界に存在量が少ないうえ、エネルギー源としての役割やその他の機能性もないと考えられていたことから、注目されることはあまりありませんでした。そのため、世界でも希少糖に関する研究はほとんど見受けられなかったといいます。
しかし、「微量とはいえ、地球上に存在するのには何か理由があるのではないか?」。同名誉教授はこのような疑問を持ち、これまで誰も挑戦したことがない希少糖研究ははじまりました。

香川大学農学部キャンパス内にある希少糖モニュメント

しかし、希少糖はその名の通り、自然界に微量にしか存在しないため、研究材料となる希少糖を大量に手に入れることが非常に困難でした。そのため、同名誉教授は希少糖に変換する酵素を持つ微生物を探し求めました。
そして1991年、遂に果糖を希少糖の一種であるD-プシコース(D-アルロース)に変換する酵素を生産する微生物を、香川大学農学部のキャンパス内で採取した土壌から発見します。これを機に、希少糖(D-プシコース)を人工的に生産することが可能となり、大量生産への道を切り拓きました。

大量生産技術の確立へ

擬似移動層方式のクロマトグラフィー分離装置

当初、実験室レベル(グラムレベル)の希少糖生産は可能でしたが、すぐに大量生産が実現できたわけではありません。同名誉教授が発見した微生物を培養し、この微生物が産生する酵素を利用して果糖を希少糖に転換させます。その後、反応液から希少糖の分離を行うのですが、構造が極めて類似している果糖と希少糖を、大量の反応液から効率的に分離することが特に困難だったといいます。しかし、物質を分離するクロマトグラフィーという手法を効率的に行うことができる、産業用の疑似移動層方式のクロマトグラフィー分離装置を導入したことで、短時間で大量の反応液を処理することが可能となり、年間100キログラムレベルの希少糖の生産が実現したといいます。
そしてこれにより希少糖研究が大きく進展し、現在のようにさまざまな企業との食品開発をはじめとした、多分野の研究への応用につながりました。

D-プシコースはどんな希少糖?
画像:D-プシコースのイメージ
香川大学が大量生産技術を確立したD-プシコースは、砂糖の7割程度の甘さですっきりとした甘みを持ちますが、カロリーはほとんどありません。また、食後の血糖値の上昇抑制作用や脂肪の燃焼促進などによる抗肥満効果といった機能性も報告されています。

希少糖を利用した「レアシュガースウィート」
画像:「レアシュガースウィート」
希少糖を用いた食品のひとつに、香川大学発のベンチャー企業(株)レアスウィートが販売する「レアシュガースウィート」があります。
「レアシュガースウィート」は、ブドウ糖果糖液糖を原料に、D-プシコース、D-アロース、D-タガトース、D-ソルボースといった複数の希少糖を含有させたシロップです。甘みは砂糖の90パーセントであり、砂糖よりも摂取後の血糖値の上昇が緩やかになることがわかっています。

希少糖を世界へ誇れる財産に
「かがわ希少糖ホワイトバレー」プロジェクト

希少糖戦略会議の様子

香川県では、これまで香川大学と企業の産学連携による成果を活かし、研究開発から生産、販売に至るまで総合的に推進する「かがわ希少糖ホワイトバレー」プロジェクトを2013年に発足しました。
世界に通じる「香川の希少糖」ブランドを確立し、一大産業へ成長させることを目的としています。
例えばその活動のひとつに、地域の過疎化した山村で、希少糖を生産する「希少糖の木」(商標登録済)・ズイナの栽培に関する産学官連携の取り組みがあります。ズイナは、希少糖D-プシコースを多く含むことが確認されている世界でただひとつの植物です。2017年にはその活動が評価され、ふるさと名品オブ・ザ・イヤーで政策奨励賞を受賞しました。

ズイナクローンの栽培と着花

そういったプロジェクトのさまざまな取り組みが功を奏し、現在では香川県内における「希少糖」の認知度は90パーセントを超え、重要な成長戦略材料となっているそうです。

今後の活動について
画像:研究の様子
香川大学には、何森名誉教授が考案した約50種類の希少糖を生産する設計図となる「イズモリング」がありますが、D-プシコース以外の希少糖の展開はこれからはじまります。現在、そのための基礎研究に取り組んでいるのが、同名誉教授の研究室出身の吉原明秀准教授です。
さまざまな希少糖は全て異なる顔(機能や特性)を持っており、その用途は食品にとどまることなく、農薬資材・医薬資材・工学資材などへと広がりを見せています。この研究の拡大に対応するため、同大学は国際希少糖研究教育機構という新組織を設置、全学部の壁を越えて71名の教授陣が、“コンクリートから製薬まで”を掲げて、50研究課題以上の事業化に向けて取り組んでいます。
「このように学部を超えて、大学が研究に取り組む例は全国的に見てもとても稀なことです」と、農学部長の秋光和也教授は話します。 希少糖が秘める未知数の可能性が解き明かされるのは、まだまだこれからです。

\学生の声/

香川大学 農学部
酵素利用学研究室
高松 陽太 さん

希少糖に転換できる酵素や微生物を選抜し、その性質やそれらを用いた希少糖の生産について研究をしています。現在、自然界には存在しない希少七炭糖が生産できるようになり、この希少七炭糖や酵素に関して特に研究を進めています。
研究を通して実験の進め方や実験に関する論文や先行研究に関するデータを集めるなどの事前の準備の大切さを知りました。また、仮説を立てて実験を行い、得られたデータを分析・考察して、仮説を立証していくことを学びました。将来は企業の研究開発職につきたいと考えており、研究で学んだ姿勢や考え方を役立てていきたいです。

画像:
香川大学農学部
香川県木田郡三木町池戸2393
087-891-3008

https://t.cn/A6C3qV31

|今回 教えてくれたのは・・・|
プロフィール画像
香川大学 国際希少糖研究教育機構
副機構長 農学部長
秋光 和也 教授

Ph.D.(米国ミシガン州立大学)。専門は植物病理学および希少糖学。病原性糸状菌の生産する宿主特異的毒素レセプター研究で博士号取得。2005年頃から香川大学・何森 健(いずもり けん)名誉教授らと希少糖の植物・植物病原菌に対する作用を研究。生物系特定産業技術研究支援センターの新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業や、文部科学省エコシステム形成プログラムで当該希少糖研究を牽引。

プロフィール画像
香川大学 国際希少糖研究教育機構
機構長補佐
吉原 明秀 准教授

博士(農学)。専門は酵素利用学および微生物利用学。微生物やその酵素を用いた希少糖の生産で博士号取得。2003年から香川大学・何森 健名誉教授の研究室に所属し、希少糖の生産研究を行う。2009年に香川大学農学部に着任し、微生物由来の希少糖生産関連酵素の研究を行い、希少糖の生産を進めている。

#健康身体 健康地球 健康生活#
石垣島ユーグレナの魅力を伝えるキャラクターを企画せよ。
ユーグレナ社公式キャラクター「ゆーぐりん」誕生秘話

石垣島ユーグレナの魅力を知ってもらいたい
「ユーグレナを屋外大量培養し、商品化している会社は現状ではユーグレナ社だけかもしれない。でも、ゆくゆくは競合も現れるはず。石垣島ユーグレナをより親しみやすくブランディングし、魅力を知ってもらう必要がある」

マーケティングを担当していた村花が、営業担当の取締役であった福本拓元(現執行役員)とそんな会話を交わしていたのは、2010年のことだった。

2005年に代表取締役の出雲と出会い、創業メンバーを除く最初の社員の1人としてユーグレナ社に入った村花。石垣島でユーグレナの屋外大量培養に初めて成功したシーンにも立ち会い、資金調達や総務、経理、広報などさまざまな役割を歴任してきた。

そんな村花がマーケティングに軸足を移したのは2009年。
2005年に屋外大量培養に成功したものの、石垣島ユーグレナの認知度の低さが課題となって現れていた。
その課題を解決するために出てきた施策の1つが「公式キャラクター」だ。より親しみを持って石垣島ユーグレナのことを知ってほしい、またユーグレナ社を支えてくれている石垣島の方々に恩返ししたいという気持ちからだった。

東京大学発ベンチャー企業として起業した当初、ユーグレナの屋外大量培養研究に挑むための自社プールを持つことは資金的に厳しかった。そんな時に、石垣島でクロレラを生産していた八重山殖産(現在はユーグレナ社のグループ会社)にユーグレナを培養するためのプールを無償で貸してもらったのだ。成功するかどうかわからない研究のために、大きなリスクをとってくれた八重山殖産には、感謝してもしきれない。

この思いはユーグレナ社が成長した後も続き、さらに広がっていった。八重山殖産だけでなく、同社が立地する石垣島に貢献していくことが持続的な企業運営には不可欠と考えるようになったのだ。2010年には、石垣島の商店街の命名権を獲得し、『ユーグレナモール』と名付けさせてもらった。その際に、ユーグレナモールのロゴを募集し、それに合わせて公式キャラクターの募集も実施する流れとなった

入社後の村花

石垣島への感謝をキャラクターで伝えたい
公式キャラクターの募集は、芸術系の大学・学部に通う大学生を中心に進められた。

背景にあったのは若い世代の感性を生かして、「長く親しまれるキャラクターをつくりたい」という願いからだった。

同時に、リスクを取ってでもユーグレナ社と共に歩んでくれた八重山殖産、ひいては石垣島への感謝の気持ちを表現したいという気持ちもあった。

「ユーグレナの売れ行きがよくないときにも、八重山殖産は見捨てずに一緒にやってくれた。その感謝が石垣島へ貢献したいという思いにつながっていった」

2週間の公募期間には、100件を超える応募が集まったという。会議室に応募作品を並べ、役員だけでなく社員も加わって何度も話し合い、選定していった。

最終的に選んだのは武蔵野美術大学の学生の作品。こうして、公式キャラクター「ゆーぐりん」が誕生した。

「最後の決め手は、ユーグレナのことを本気で考えてくれていることが伝わったから。キャラクターの頭についている『鞭毛(べんもう)』をはじめとして、生物としてのユーグレナのさまざまな特徴や動きをとらえて作られている。アニメーションへの展開など、活用シーンがふくらむという評価もあった」

ゆーぐりんカード

ゆーぐりんはただのキャラクターではない、
象徴としての存在
2010年に中途入社した相馬は、村花のもとでBtoC事業の立ち上げ、商品企画開発、マーケティングを担当し、試行錯誤しながら「ゆーぐりん」の活用方法を考えていったメンバーの1人だ。

キャラクターが生まれたからといって、すぐに活躍してもらえるわけではなかった。社内には「ユーグレナ社のお客さまには年配の方が多い中で、キャラクターは効果的なのか?」という疑問の声もあった。

「マーケティング担当としては、石垣島ユーグレナそのものを表すキャラクターを、販売の場に登場させることで『ものを売りつける』キャラクターにはしたくないと考えていた。ゆーぐりんという新しい仲間の未来を奪わないよう、販売サイトには載せないなどのルールを徐々に整備していった」

相馬は当時をそう振り返る。

ゆーぐりんが活躍できる場所はどこか?相馬をはじめとしたマーケティングメンバーは、イベント出演に活路を見出す。

「ゆーぐりんの着ぐるみを作り、いろいろなイベントに出演した。石垣島で開かれるユーグレナ社の催しには必ずといっていいほど登場し、『ユーグレナは栄養満点なこと、自然豊かな石垣島で育っている』ということなどを子どもたちに伝えていった」

理科実験教室(石垣島の小学校にて)

「人と地球を健康にする」を
体現する存在として
現在では、石垣島でのバスケットボールのプロリーグであるBリーグの試合に参加したり、島内の小中学校向けに実施した理科実験教室に登場するなど、ゆーぐりんの登場機会も格段と増えている。

「地元の子どもから手書きのイラストを送ってもらうこともある。イベントに登場した際のリアクションでも喜んでもらえていることを感じる。石垣島の子どもたちは、ほぼみんながゆーぐりんのことを知ってくれているのではないか」

村花は手応えを語る。

また、2013年からは、自由が丘で毎年開催されている「自由が丘スイーツフェスタ」、「自由が丘女神まつり」にもゆーぐりんが登場し、来場者の注目を集め、石垣島以外での活動範囲も広げている。

自由が丘スイーツフェスタにて(左) ・ 自由が丘女神まつりにて(右)

「これまでは、石垣島ユーグレナそのものを知ってもらうために活動してきた。今後はゆーぐりんをきっかけにして、環境問題や食料問題などの未来への課題に関心を持って欲しい」

思いは相馬も同様だ。

誕生から10年を経て、ゆーぐりんはユーグレナ社が掲げる経営理念「人と地球を健康にする」を体現する存在になりつつある。

ユーグレナモールの看板

2020年8月掲出

euglena Data
~ゆーぐりんプロフィール~

正体
微細藻類ユーグレナそのもの(日本ではミドリムシと呼ばれている)
出身地
沖縄県石垣島
性別
秘密
好物
水と二酸化炭素と太陽光
特技
分身(1ヶ月で10億倍に!)
チャームポイント
美しい瞳
年齢
5億歳
大きさ
100ミクロン(=0.1mm)
登場人物
ヘルスケアカンパニー 営業部 素材・海外営業一課
B2Bカスタマーサクセスマネージャー
村花 宏史

2006年1月入社。
当初は、事業計画の策定から資金調達、法務、総務、経理など、多岐にわたる業務の責任者として遂行。
その後、上場準備にて体制整備に注力後、広報を兼務しながら営業に軸足を移し、直販や流通事業の立ち上げに従事。
石垣島のユーグレナガーデンや八重山推進チームを担当した時期もあった。
現在は、B2Bのカスタマーサクセスの立ち上げ、体制構築を担う。

「明るい未来を子どもたちに届けたいという想いで、ゆーぐりんが幅広い年齢に親しまれることを願っています。」

ヘルスケアカンパニー リーディングブランド部
係長
相馬 美欧

2010年4月入社。
入社後商品開発やEC事業立ち上げ、マーケティングに従事。
自由が丘や石垣島の連携をリードし、ユーグレナの認知度向上に貢献。
現在は、ユーグレナ社基幹食品商品の企画開発に従事。

「ゆーぐりんというキャラクターの存在によって、石垣島ユーグレナをより身近に感じることができます。ユーグレナそのものはもちろん、育っている自然豊かな石垣島の魅力もお客様にお伝えできたら嬉しく思います。」


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