#金泽亚美#
久しぶりにテレビを見た気がする、
2023.12.16
こんばんは
金澤亜美です
昨日今日は暖かかったみたいですが
昨日と今日はずっと建物の中で撮影をしていて、
朝と夜しか外に出ていなかったので
暖かいことに気づかず
最近本当に寒いな〜と思っていました、笑
昼間は暖かくてもやっぱり朝と夜は冷え込むので
温かくして寝てくださいね
寒暖差も激しくて体調を崩しやすいと思うので
気をつけてお過ごしください
ななちゃんから送られてきました
1枚目が元の写真
さすががまさんだわー!ってつい送ってしまいました
今日はお仕事のときに
テレビでプリキュアがやっていて
ゆあちゃんが、大人プリキュアかも!!!!!
とテンションが上がっていたので
マネージャーさんも含めてみんなで見ていました
大人プリキュア、、、?ってなったのですが
私が小さい頃に好きだったキャラもいて
驚きました!!
わたしは黄色の子が好きでしたᵔ֊ᵔ
懐かしいな〜
あとね、
お仕事の合間にとあるオーディション番組を
みんなでわー!きゃー!いいながらテレビで見ていました
そう、みうなさんも見てるやつですよ笑
感動もあり、ここなちゃんとえれんはうるうる涙しながら見ていました(笑)
充実した一日でした
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
YouTubeに
「僕が見たかった青空の10問10答」が公開されています
ゆずちゃん、あおいちゃん、ゆあちゃんと4人で
10問10答に挑戦しました!
ぜひチェックしてみてください
https://t.cn/A6lxzd9L
ワンマンライブまで後3日です、わーわくわく!
僕が観たかったワンマンライブvol.0まであと3日です、
わー!わくわく!
ライブではグッズ、撮って出し生写真を販売します
ペンライトー!
良かったらライブで振って欲しいな〜
チェックしてみてください▶️
https://t.cn/A6lxzd9b
明日は
第75回全日本大学バスケットボール選手権大会
「男子決勝戦」でハーフタイムショーに出演させていただきます!
会場を盛り上げられるように
パフォーマンスさせていただきます
来られる方はお気をつけて来てください!
一緒に応援しましょう〜
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日はどんな一日でしたか?
読んで下さりありがとうございました
またね〜
#かなざわあみのつぶやき #158
久しぶりにテレビを見た気がする、
2023.12.16
こんばんは
金澤亜美です
昨日今日は暖かかったみたいですが
昨日と今日はずっと建物の中で撮影をしていて、
朝と夜しか外に出ていなかったので
暖かいことに気づかず
最近本当に寒いな〜と思っていました、笑
昼間は暖かくてもやっぱり朝と夜は冷え込むので
温かくして寝てくださいね
寒暖差も激しくて体調を崩しやすいと思うので
気をつけてお過ごしください
ななちゃんから送られてきました
1枚目が元の写真
さすががまさんだわー!ってつい送ってしまいました
今日はお仕事のときに
テレビでプリキュアがやっていて
ゆあちゃんが、大人プリキュアかも!!!!!
とテンションが上がっていたので
マネージャーさんも含めてみんなで見ていました
大人プリキュア、、、?ってなったのですが
私が小さい頃に好きだったキャラもいて
驚きました!!
わたしは黄色の子が好きでしたᵔ֊ᵔ
懐かしいな〜
あとね、
お仕事の合間にとあるオーディション番組を
みんなでわー!きゃー!いいながらテレビで見ていました
そう、みうなさんも見てるやつですよ笑
感動もあり、ここなちゃんとえれんはうるうる涙しながら見ていました(笑)
充実した一日でした
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YouTubeに
「僕が見たかった青空の10問10答」が公開されています
ゆずちゃん、あおいちゃん、ゆあちゃんと4人で
10問10答に挑戦しました!
ぜひチェックしてみてください
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ワンマンライブまで後3日です、わーわくわく!
僕が観たかったワンマンライブvol.0まであと3日です、
わー!わくわく!
ライブではグッズ、撮って出し生写真を販売します
ペンライトー!
良かったらライブで振って欲しいな〜
チェックしてみてください▶️
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明日は
第75回全日本大学バスケットボール選手権大会
「男子決勝戦」でハーフタイムショーに出演させていただきます!
会場を盛り上げられるように
パフォーマンスさせていただきます
来られる方はお気をつけて来てください!
一緒に応援しましょう〜
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日はどんな一日でしたか?
読んで下さりありがとうございました
またね〜
#かなざわあみのつぶやき #158
《椿姫》上
19世紀半ば、パリの裏社交界では、若さと美しさを武器に男から金を吸い上げる高級娼婦たちが騒々しく派手な生活を送っていた。いつも椿の花で身を飾っているマルグリット・ゴーチェはその中で最も美しく金使いの荒い女のうちの一人として有名だったが、肺を患っており、自分の命がそんなに長くない事を知っていた。罪深い女としての惨めな末路が見えて来たマルグリットは、心の救いを求めながらも得られず、放埓な生活で死の不安を紛らわせ、病状を悪化させて行った。
そこへアルマン・デュヴァールという青年が現れ、マルグリットの身体を心配し、心からの愛を告白した。マルグリットは心を動かされ、アルマンを商売抜きの愛人にした。世間知らずで純粋なアルマンの愛は、男と嘘と金銭トラブルでまみれたマルグリットの生活と摩擦を起こしたが、マルグリットは次第に彼の一途な愛に心を奪われるようになった。パリでの贅沢な生活は意味を失い、マルグリットはパトロンたちとも高級娼婦としての生業とも縁を切った。そして静かな郊外でアルマンとのつつましく清らかな愛の生活に残された人生のすべてを賭けるようになった。
しかし二人の仲はアルマンの父親の知るところとなり、父親はマルグリットを訪れ、「たとえ二人の愛が本物であり、あなたが改心したと言っても、一度道を踏み外した女を世間は許さない。息子を本当に愛しているのなら、今のうちに別れて欲しい。」と説得した。父親の説得に現実に帰ったマルグリットは、アルマンの将来を守るために、唯一の希望である愛の生活をあきらめて身を引く決心をした。パリに戻ったマルグリットは、心ならずも新しいパトロンを作り、高級娼婦稼業に戻った。事情を知らないアルマンは裏切られたと思い込み、彼女をさいなむ事に激しい情熱を傾けた挙句、傷ついた心を抱いて外国へ旅立った。
身も心も深く傷ついたマルグリットの病状はどんどんと悪化し、ついに死の床についた。世間からは全く忘れ去られ、誰からも見捨てられてしまったが、心の中はアルマンへの愛に満たされていた。いつかアルマンが別れの本当の理由を知る事を願って、事の顛末を手記に書き記し、自分の死後アルマンに渡してくれるように、と友人に託した。アルマンはマルグリットの危篤を知り、急いでパリへ向かったが、間に合わず、マルグリットは最後までアルマンへの愛を唯一の希望として、孤独のうちにその短い生涯を終えた。
1847年の春のことである。作家修行中の「私」は、クルチザンヌ(高級娼婦)として名高かったマルグリット・ゴーチェの遺品を処分する競売に出かけて行き、「マノンをマルグリットに贈る。つつましやかなれ。」という書き入れに興味を惹かれて、「マノン・レスコー」の本を高額で競り落とした。しばらくすると、金髪で背の高い青年が「私」を訪ねて来て、「マノン・レスコー」を譲ってくれと申し入れた。ひどく取り乱したその青年はアルマン・デュヴァールと言い、マルグリットに「マノン・レスコー」を贈った本人であった。「私」は「マノン・レスコー」を無償で贈呈し、どうやら込み入った事情があるらしいが、よければその事情を話してくれないか、と頼んだ。今はまだ混乱していて話せる状況ではないが、もう少し落ち着いたらお話しましょう、とアルマンは約束した。
※「マノン・レスコー」…アベ・プレヴォーの小説(1731年)。名門に生まれた騎士デ・グリューは享楽的な美少女マノン・レスコーに一目惚れし、名誉も幸せもすべて失いながらも、どこまでもマノンに誠実な愛を捧げ続ける。
アルマンはマルグリットが死んだ事をまだ納得する事ができず、どうしても一目会いたい、変わり果てた姿でも見なければ想いを断ち切る事ができない、という気違いじみた熱情につき動かされ、永久墓地に埋葬し直すという口実の下、マルグリットの遺体を掘り起こす事にした。アルマンに頼まれた「私」は墓を掘り返すのに立ち会うが、変わり果てたマルグリットの姿にアルマンは発狂寸前となり、脳膜炎で倒れてしまった。「私」は15日間、看病を続け、アルマンはやっと回復し始めた。そして自分の胸の中の想いを吐き出すように、「私」にマルグリットとの物語を語り始めた。以下は「私」がアルマンから聞いたものを脚色せずにそのまま書き記したものである。
マルグリット・ゴーチェはクルチザンヌと呼ばれる高級娼婦の中でも一際目立つ美しい女で、いつも椿の花束で身を飾っていたため、椿姫というあだ名がついていた。彼女は並外れた贅沢ぶりでも有名で、彼女のために破産させられた男は数え切れないとも言われていた。そのくせ、他の女たちにはないような情があり、田舎から家出して来てこのような稼業に足を踏み入れた女とはとても思えない気品を感じさせる女でもあった。
アルマン・デュヴァールは少しは遊びも覚え始めた年頃の青年で、普通に暮らす分には余裕はあっても、マルグリットのような女を囲うだけの財力のある男ではなかった。しかし彼は初めてマルグリットを見かけた折に一目惚れしてしまった。その際には世慣れない態度を笑いものにされ、頭に血がのぼってそれきりになったが、マルグリットの印象は彼の心の奥に深く刻み込まれた。その後、マルグリットは肺の病気になって湯治に出かけてしまい、しばらくは姿を見る事もなかった。
2年後、ヴァリエテ座という劇場でマルグリットを見かけたアルマンは、再び心が燃え上がるのを感じた。そしてマルグリットの隣に住み、男たちとの仲介役をしているプリュダンス・デュヴェルノワという中年女の仲立ちでマルグリットに近づき、家に招き入れられた。マルグリットは気に入らないN伯爵を侮辱して追い出した後、夜中まで陽気に騒いでいたが、突然咳き込んだかと思うと自室へ逃げ込んで喀血した。マルグリットは不治の病に犯されており、その不安を紛らせようと享楽的な生活を送った結果、病状はどんどんと悪化して行ったのであった。数多くいたパトロンも、病身の彼女から遠ざかり、今や彼女を支えるのは昔なじみのG伯爵と、退屈で年老いた公爵のほぼ二人だけになっていた。
アルマンは後を追って行き、自分が彼女の事でどれだけ心を痛めているか、もっと身体を大切にして欲しい、と涙ながらに訴えた。マルグリットはアルマンが自分に惚れているのに気がつき、自分のような女とは適当に付き合った方がいい、と忠告した。しかしアルマンは引き下がらず、粘り強く彼女への想いを訴え続けた。マルグリットは情を動かされ、「信じる、おとなしく言う事をきく、でしゃばらない」を条件として、アルマンを商売抜きの愛人として受け入れる事にした。
最初こそ天にも昇る心地だったアルマンであるが、マルグリットが老公爵からの金が予定通りに入るかどうかを気にして上の空になったり、G伯爵と会うために嘘をついて逢瀬の約束を反古にしたりする事態に直面し、驚くと同時に早くも我慢ができなくなってきた。高級娼婦の舞台裏を知るプリュダンスは、こういう女に本気になっても仕方がない、お金がないくせに彼女とつきあいたいのならば、今の立場に甘んじるしかない。それがいやならば別れなさい、とアルマンに説教した。プリュダンスの言う事がもっともなのはわかるだのが、若く潔癖なアルマンは嫉妬や独占欲、プライド、そして自身の潔癖な理想を捨て去る事はできなかった。
マルグリットもそんなアルマンの気持ちを尊重し、夏には郊外に家を借りて、稼業を少し休んでアルマンと二人で暮らそうと計画をたてた。しかしそれもまた金銭なしには立ち行かない事柄だった。この計画のためにG伯爵から金を引き出そうとしたマルグリットはアルマンに嘘をついて伯爵の相手を努めたが、アルマンはそれがまた我慢ができず、もはや二人の仲もこれまでだ、とマルグリットの家の鍵に別れの手紙を添えて突っ返した。しかしそんな感情的な事をすればするほど、マルグリットへの想いがいかに断ち切り難いものであるかを悟ったアルマンは、プリュダンスに再び仲を取り持ってもらい、泣いてマルグリットに謝った。
アルマンは自分の勝手な行動を許してくれたマルグリットへの想いを一層深めて行き、、死の影に脅えながらも、自分との愛に最後の夢を見出そうとするマルグリットに、最大の愛を持って報いようと決心した。もはやG伯爵に嫉妬する事もなくなり、「マノン・レスコー」を贈ったのもこの時であった。しかし高級娼婦の愛人という立場を受け入れたアルマンは、マルグリットとの遊行費を捻出するために賭博に手を出し、堅気とは思われぬ放埓な生活にふけるようになった。そして父親や妹の待つ故郷への帰省も怠るようになった。
マルグリットとアルマンは、夏をパリの郊外にあるブージヴァールという静かな町で過ごす事にした。ブージヴァールでの生活に必要な金銭は年老いた公爵から出ていたが、遊びに来た賑やかな若い友人たちが公爵をからかった事から、公爵はへそを曲げ、マルグリットから手を退いてしまった。そして誰も郊外の家には寄り付かなくなったのだが、それがアルマンには幸いし、彼はマルグリットと水入らずの生活を心ゆくまで楽しむ事ができた。のんびりした自然の中で贅沢を捨て去ったマルグリットは実に清らかで、高級娼婦の面影は消えていた。もはやマルグリットにとってパリでの騒々しい贅沢な暮らしは意味を持たず、ブージヴァールでのつつましいアルマンとの愛の暮らしに残された命をすべてを捧げようとしていた。
マルグリットは高級娼婦としての生活からはきっぱりと足を洗う決心をし、復縁を迫る公爵の申し出も断り、今までの借金を払うために、プリュダンスに頼んで馬車や豪華な宝石類、衣類を処分した。それを知ったアルマンはマルグリットのために何かしてやりたいと思い、公証人の下に出向いて母の遺産をマルグリットに譲り渡す手続きをとった。それが父親のデュヴァール氏の知るところとなり、デュヴァール氏は話があるからパリで待っている、と手紙をよこした。
パリでアルマンを待っていたデュヴァール氏は、お前の悪い噂のせいで妹の縁談が破談になりかかっている、今すぐマルグリットと縁を切るように、と言い渡した。しかしアルマンは何があってもマルグリットとは別れない、と言って父親を怒らせてしまった。
アルマンの決心は固かったが、デュヴァール氏の登場はマルグリットの心の平和をかき乱した。マルグリットの様子は日に日におかしくなり、ある日、アルマンがパリから帰って来ると、マルグリットはいなくなっていた。夜中まで待っても帰らないのを心配したアルマンは暗闇の中を徒歩でパリまで戻ったが、そこで見たのは、豪華な衣装を纏ったマルグリットの姿であった。マルグリットはあれほど嫌っていたN伯爵を新しいパトロンにして、元の高級娼婦としての派手な生活に舞い戻っていたのだった。
19世紀半ば、パリの裏社交界では、若さと美しさを武器に男から金を吸い上げる高級娼婦たちが騒々しく派手な生活を送っていた。いつも椿の花で身を飾っているマルグリット・ゴーチェはその中で最も美しく金使いの荒い女のうちの一人として有名だったが、肺を患っており、自分の命がそんなに長くない事を知っていた。罪深い女としての惨めな末路が見えて来たマルグリットは、心の救いを求めながらも得られず、放埓な生活で死の不安を紛らわせ、病状を悪化させて行った。
そこへアルマン・デュヴァールという青年が現れ、マルグリットの身体を心配し、心からの愛を告白した。マルグリットは心を動かされ、アルマンを商売抜きの愛人にした。世間知らずで純粋なアルマンの愛は、男と嘘と金銭トラブルでまみれたマルグリットの生活と摩擦を起こしたが、マルグリットは次第に彼の一途な愛に心を奪われるようになった。パリでの贅沢な生活は意味を失い、マルグリットはパトロンたちとも高級娼婦としての生業とも縁を切った。そして静かな郊外でアルマンとのつつましく清らかな愛の生活に残された人生のすべてを賭けるようになった。
しかし二人の仲はアルマンの父親の知るところとなり、父親はマルグリットを訪れ、「たとえ二人の愛が本物であり、あなたが改心したと言っても、一度道を踏み外した女を世間は許さない。息子を本当に愛しているのなら、今のうちに別れて欲しい。」と説得した。父親の説得に現実に帰ったマルグリットは、アルマンの将来を守るために、唯一の希望である愛の生活をあきらめて身を引く決心をした。パリに戻ったマルグリットは、心ならずも新しいパトロンを作り、高級娼婦稼業に戻った。事情を知らないアルマンは裏切られたと思い込み、彼女をさいなむ事に激しい情熱を傾けた挙句、傷ついた心を抱いて外国へ旅立った。
身も心も深く傷ついたマルグリットの病状はどんどんと悪化し、ついに死の床についた。世間からは全く忘れ去られ、誰からも見捨てられてしまったが、心の中はアルマンへの愛に満たされていた。いつかアルマンが別れの本当の理由を知る事を願って、事の顛末を手記に書き記し、自分の死後アルマンに渡してくれるように、と友人に託した。アルマンはマルグリットの危篤を知り、急いでパリへ向かったが、間に合わず、マルグリットは最後までアルマンへの愛を唯一の希望として、孤独のうちにその短い生涯を終えた。
1847年の春のことである。作家修行中の「私」は、クルチザンヌ(高級娼婦)として名高かったマルグリット・ゴーチェの遺品を処分する競売に出かけて行き、「マノンをマルグリットに贈る。つつましやかなれ。」という書き入れに興味を惹かれて、「マノン・レスコー」の本を高額で競り落とした。しばらくすると、金髪で背の高い青年が「私」を訪ねて来て、「マノン・レスコー」を譲ってくれと申し入れた。ひどく取り乱したその青年はアルマン・デュヴァールと言い、マルグリットに「マノン・レスコー」を贈った本人であった。「私」は「マノン・レスコー」を無償で贈呈し、どうやら込み入った事情があるらしいが、よければその事情を話してくれないか、と頼んだ。今はまだ混乱していて話せる状況ではないが、もう少し落ち着いたらお話しましょう、とアルマンは約束した。
※「マノン・レスコー」…アベ・プレヴォーの小説(1731年)。名門に生まれた騎士デ・グリューは享楽的な美少女マノン・レスコーに一目惚れし、名誉も幸せもすべて失いながらも、どこまでもマノンに誠実な愛を捧げ続ける。
アルマンはマルグリットが死んだ事をまだ納得する事ができず、どうしても一目会いたい、変わり果てた姿でも見なければ想いを断ち切る事ができない、という気違いじみた熱情につき動かされ、永久墓地に埋葬し直すという口実の下、マルグリットの遺体を掘り起こす事にした。アルマンに頼まれた「私」は墓を掘り返すのに立ち会うが、変わり果てたマルグリットの姿にアルマンは発狂寸前となり、脳膜炎で倒れてしまった。「私」は15日間、看病を続け、アルマンはやっと回復し始めた。そして自分の胸の中の想いを吐き出すように、「私」にマルグリットとの物語を語り始めた。以下は「私」がアルマンから聞いたものを脚色せずにそのまま書き記したものである。
マルグリット・ゴーチェはクルチザンヌと呼ばれる高級娼婦の中でも一際目立つ美しい女で、いつも椿の花束で身を飾っていたため、椿姫というあだ名がついていた。彼女は並外れた贅沢ぶりでも有名で、彼女のために破産させられた男は数え切れないとも言われていた。そのくせ、他の女たちにはないような情があり、田舎から家出して来てこのような稼業に足を踏み入れた女とはとても思えない気品を感じさせる女でもあった。
アルマン・デュヴァールは少しは遊びも覚え始めた年頃の青年で、普通に暮らす分には余裕はあっても、マルグリットのような女を囲うだけの財力のある男ではなかった。しかし彼は初めてマルグリットを見かけた折に一目惚れしてしまった。その際には世慣れない態度を笑いものにされ、頭に血がのぼってそれきりになったが、マルグリットの印象は彼の心の奥に深く刻み込まれた。その後、マルグリットは肺の病気になって湯治に出かけてしまい、しばらくは姿を見る事もなかった。
2年後、ヴァリエテ座という劇場でマルグリットを見かけたアルマンは、再び心が燃え上がるのを感じた。そしてマルグリットの隣に住み、男たちとの仲介役をしているプリュダンス・デュヴェルノワという中年女の仲立ちでマルグリットに近づき、家に招き入れられた。マルグリットは気に入らないN伯爵を侮辱して追い出した後、夜中まで陽気に騒いでいたが、突然咳き込んだかと思うと自室へ逃げ込んで喀血した。マルグリットは不治の病に犯されており、その不安を紛らせようと享楽的な生活を送った結果、病状はどんどんと悪化して行ったのであった。数多くいたパトロンも、病身の彼女から遠ざかり、今や彼女を支えるのは昔なじみのG伯爵と、退屈で年老いた公爵のほぼ二人だけになっていた。
アルマンは後を追って行き、自分が彼女の事でどれだけ心を痛めているか、もっと身体を大切にして欲しい、と涙ながらに訴えた。マルグリットはアルマンが自分に惚れているのに気がつき、自分のような女とは適当に付き合った方がいい、と忠告した。しかしアルマンは引き下がらず、粘り強く彼女への想いを訴え続けた。マルグリットは情を動かされ、「信じる、おとなしく言う事をきく、でしゃばらない」を条件として、アルマンを商売抜きの愛人として受け入れる事にした。
最初こそ天にも昇る心地だったアルマンであるが、マルグリットが老公爵からの金が予定通りに入るかどうかを気にして上の空になったり、G伯爵と会うために嘘をついて逢瀬の約束を反古にしたりする事態に直面し、驚くと同時に早くも我慢ができなくなってきた。高級娼婦の舞台裏を知るプリュダンスは、こういう女に本気になっても仕方がない、お金がないくせに彼女とつきあいたいのならば、今の立場に甘んじるしかない。それがいやならば別れなさい、とアルマンに説教した。プリュダンスの言う事がもっともなのはわかるだのが、若く潔癖なアルマンは嫉妬や独占欲、プライド、そして自身の潔癖な理想を捨て去る事はできなかった。
マルグリットもそんなアルマンの気持ちを尊重し、夏には郊外に家を借りて、稼業を少し休んでアルマンと二人で暮らそうと計画をたてた。しかしそれもまた金銭なしには立ち行かない事柄だった。この計画のためにG伯爵から金を引き出そうとしたマルグリットはアルマンに嘘をついて伯爵の相手を努めたが、アルマンはそれがまた我慢ができず、もはや二人の仲もこれまでだ、とマルグリットの家の鍵に別れの手紙を添えて突っ返した。しかしそんな感情的な事をすればするほど、マルグリットへの想いがいかに断ち切り難いものであるかを悟ったアルマンは、プリュダンスに再び仲を取り持ってもらい、泣いてマルグリットに謝った。
アルマンは自分の勝手な行動を許してくれたマルグリットへの想いを一層深めて行き、、死の影に脅えながらも、自分との愛に最後の夢を見出そうとするマルグリットに、最大の愛を持って報いようと決心した。もはやG伯爵に嫉妬する事もなくなり、「マノン・レスコー」を贈ったのもこの時であった。しかし高級娼婦の愛人という立場を受け入れたアルマンは、マルグリットとの遊行費を捻出するために賭博に手を出し、堅気とは思われぬ放埓な生活にふけるようになった。そして父親や妹の待つ故郷への帰省も怠るようになった。
マルグリットとアルマンは、夏をパリの郊外にあるブージヴァールという静かな町で過ごす事にした。ブージヴァールでの生活に必要な金銭は年老いた公爵から出ていたが、遊びに来た賑やかな若い友人たちが公爵をからかった事から、公爵はへそを曲げ、マルグリットから手を退いてしまった。そして誰も郊外の家には寄り付かなくなったのだが、それがアルマンには幸いし、彼はマルグリットと水入らずの生活を心ゆくまで楽しむ事ができた。のんびりした自然の中で贅沢を捨て去ったマルグリットは実に清らかで、高級娼婦の面影は消えていた。もはやマルグリットにとってパリでの騒々しい贅沢な暮らしは意味を持たず、ブージヴァールでのつつましいアルマンとの愛の暮らしに残された命をすべてを捧げようとしていた。
マルグリットは高級娼婦としての生活からはきっぱりと足を洗う決心をし、復縁を迫る公爵の申し出も断り、今までの借金を払うために、プリュダンスに頼んで馬車や豪華な宝石類、衣類を処分した。それを知ったアルマンはマルグリットのために何かしてやりたいと思い、公証人の下に出向いて母の遺産をマルグリットに譲り渡す手続きをとった。それが父親のデュヴァール氏の知るところとなり、デュヴァール氏は話があるからパリで待っている、と手紙をよこした。
パリでアルマンを待っていたデュヴァール氏は、お前の悪い噂のせいで妹の縁談が破談になりかかっている、今すぐマルグリットと縁を切るように、と言い渡した。しかしアルマンは何があってもマルグリットとは別れない、と言って父親を怒らせてしまった。
アルマンの決心は固かったが、デュヴァール氏の登場はマルグリットの心の平和をかき乱した。マルグリットの様子は日に日におかしくなり、ある日、アルマンがパリから帰って来ると、マルグリットはいなくなっていた。夜中まで待っても帰らないのを心配したアルマンは暗闇の中を徒歩でパリまで戻ったが、そこで見たのは、豪華な衣装を纏ったマルグリットの姿であった。マルグリットはあれほど嫌っていたN伯爵を新しいパトロンにして、元の高級娼婦としての派手な生活に舞い戻っていたのだった。
伊豆の踊子
日本人に親しまれている名作でもあり、今までに6回映画化され、ヒロインである踊子・薫は田中絹代から吉永小百合、山口百恵まで当時のアイドル的な女優が演じている。
2022年(令和4年)時点で、新潮文庫版だけでも約338万部を売り上げている。
あらすじ
20歳の一高生の「私」は、自分の性質が孤児根性で歪んでいると厳しい反省を重ね、その息苦しい憂鬱に堪え切れず、1人伊豆への旅に出る。「私」は、湯ヶ島の道中で出会った旅芸人一座の1人の踊子に惹かれ、天城峠のトンネルを抜けた後、彼らと一緒に下田まで旅することになった。一行を率いているのは踊子の兄で、大島から来た彼らは家族で旅芸人をしていた。
天城峠の茶屋の老婆から聞いていた旅芸人を見下げた話から、夜、湯ヶ野の宿で踊子が男客に汚されるのかと「私」は心配して眠れなかったが、翌朝、朝湯につかっている「私」に向って、川向うの湯殿から無邪気な裸身を見せて大きく手をふる踊子の幼い姿に、「私」の悩みはいっぺんに吹き飛び、「子供なんだ」と自然に喜びで笑いがこぼれた。
「私」は、旅芸人一行と素性の違いを気にすることなく生身の人間同士の交流をし、人の温かさを肌で感じた。そして、踊子が「私」に寄せる無垢で純情な心からも、「私」は悩んでいた孤児根性から抜け出せると感じた。
下田へ着き、「私」は踊子とその兄嫁らを活動(映画)に連れて行こうとするが、踊子だけしか都合がつかなくなると、母親(兄嫁の母)は踊子の懇願をふりきり、活動行きを反対した。次の日に東京へ帰らなければならない「私」は、夜1人だけで活動に行った。暗い町で遠くから微かに踊子の叩く太鼓の音が聞えてくるようで、わけもなく涙がぽたぽた落ちた。
別れの旅立ちの日、昨晩遅く寝た女たちを置いて、踊子の兄だけが「私」を下田港の乗船場まで送りに来た。乗船場へ近づくと、海際に踊子がうずくまって「私」を待っていた。2人だけになった間、踊子はただ「私」の言葉にうなずくばかりで一言もなかった。「私」が船に乗り込もうと振り返った時、踊子はさよならを言おうとしたようだが、もう一度うなずいて見せただけだった。
船がずっと遠ざかってから、踊子が艀で白いものを振り始めた。伊豆半島の南端が後方に消えてゆくまで、一心に沖の大島を眺めていた「私」は、船室の横にいた少年の親切を自然に受け入れ、泣いているのを見られても平気だった。「私」の頭は「澄んだ水」のようになり、流れるままの涙がぽろぽろと零れて、後には「何も残らないような甘い快さ」だった。
登場人物
年齢は数え年
私
20歳。一高の学生。
学校の制帽で、紺飛白の着物に袴をはき、学生鞄を肩にかけた格好で伊豆の一人旅をしている。湯川橋の近くで旅芸人の一行に出会う。再び天城七里の山道で出会い下田まで一緒に旅する。
湯ヶ野で鳥打帽を買い、制帽は鞄にしまう。歯並びが悪い。東京では寄宿舎に住む。
踊子(薫)
14歳。当初「私」には17歳くらいに見える。旅芸人一座の一員。古風に結った髪に卵形の凛々しい小さい顔の初々しい乙女。
若桐のように足のよく伸びた白い裸身で湯殿から無邪気に手をふる。五目並べが強い。美しい黒髪。前髪に桃色の櫛を挿している。美しく光る黒眼がちの大きい眼。花のように笑う。尋常小学校2年までは甲府にいたが、家族と大島に引っ越す。小犬を旅に同行させている。
男(栄吉)
24歳。踊子の兄で旅芸人。旅芸人たちは大島の波浮港からやって来た。
栄吉は東京で、ある新派役者の群に加わっていたことがある。実家は甲府にあり、家の後目は栄吉の兄が継いでいる。幼い妹にまで旅芸人をさせなければならない事情があり、心を痛めている。大島には小さな家を2つ持っていて、山の方の家には爺さんが住んでいる。
上の娘(千代子)
19歳。栄吉の妻。
流産と早産で2度子供を亡くした。2度目の子は旅の空で早産し、子は1週間で死去。下田の地でその子の四十九日を迎える。
40女(おふくろ)
40代くらい。千代子の母。栄吉の義母。
薫に三味線を教えているが、薫は声がわりの最中なので、高い声で歌わせない。生娘の薫に、男が触るのを嫌がる。国の甲府市には民次という尋常5年生の息子もいる。
中の娘(百合子)
17歳。雇われている芸人。大島生れ。はにかみ盛り。
茶屋の婆
天城七里の山道の茶店の婆さん。
一高の制帽の「私」を旦那さまと呼び、旅芸人を「あんな者」と軽蔑を含んだ口調で話す。
茶屋の爺
婆さんの夫。
長年中風を患い、全身が不随になっている。水死人のようにむくみ、瞳は黄色く濁っている。この老人には、川端が『十六歳の日記』で描いた病身の祖父の心象が投影されていることがしばしば指摘されている。
紙屋
宿で「私」と碁を打つ。紙類を卸して廻る行商人。60歳近い爺さん。
鳥屋
40歳前後の男。旅芸人一行が泊まっている木賃宿の間を借りて鳥屋をしている。
踊子たちに鳥鍋を御馳走する。「水戸黄門漫遊記」の続きを読んでくれと踊子にせがまれるが立ち去り、「私」が代りにそれを読んで踊子に聞かせる。
土方風の男
鉱夫。
帰りの霊岸島行きの下田港の乗船場で、「私」に声をかけ、水戸へ帰る老婆を上野駅まで連れてやってほしいと頼む。
老婆
蓮台寺の銀山で働いていた倅とその嫁をスペイン風邪で亡くす。残された孫3人と故郷の水戸へ帰えるため、乗船場まで鉱夫たちに付添われている。
少年
河津の工場主の息子。東京へ帰る船で「私」と出会う。
一高入学準備のために東京に向っていた。泣いている「私」に海苔巻きすしをくれ、着ている学生マントへもぐり込ませ温めてくれる。
日本人に親しまれている名作でもあり、今までに6回映画化され、ヒロインである踊子・薫は田中絹代から吉永小百合、山口百恵まで当時のアイドル的な女優が演じている。
2022年(令和4年)時点で、新潮文庫版だけでも約338万部を売り上げている。
あらすじ
20歳の一高生の「私」は、自分の性質が孤児根性で歪んでいると厳しい反省を重ね、その息苦しい憂鬱に堪え切れず、1人伊豆への旅に出る。「私」は、湯ヶ島の道中で出会った旅芸人一座の1人の踊子に惹かれ、天城峠のトンネルを抜けた後、彼らと一緒に下田まで旅することになった。一行を率いているのは踊子の兄で、大島から来た彼らは家族で旅芸人をしていた。
天城峠の茶屋の老婆から聞いていた旅芸人を見下げた話から、夜、湯ヶ野の宿で踊子が男客に汚されるのかと「私」は心配して眠れなかったが、翌朝、朝湯につかっている「私」に向って、川向うの湯殿から無邪気な裸身を見せて大きく手をふる踊子の幼い姿に、「私」の悩みはいっぺんに吹き飛び、「子供なんだ」と自然に喜びで笑いがこぼれた。
「私」は、旅芸人一行と素性の違いを気にすることなく生身の人間同士の交流をし、人の温かさを肌で感じた。そして、踊子が「私」に寄せる無垢で純情な心からも、「私」は悩んでいた孤児根性から抜け出せると感じた。
下田へ着き、「私」は踊子とその兄嫁らを活動(映画)に連れて行こうとするが、踊子だけしか都合がつかなくなると、母親(兄嫁の母)は踊子の懇願をふりきり、活動行きを反対した。次の日に東京へ帰らなければならない「私」は、夜1人だけで活動に行った。暗い町で遠くから微かに踊子の叩く太鼓の音が聞えてくるようで、わけもなく涙がぽたぽた落ちた。
別れの旅立ちの日、昨晩遅く寝た女たちを置いて、踊子の兄だけが「私」を下田港の乗船場まで送りに来た。乗船場へ近づくと、海際に踊子がうずくまって「私」を待っていた。2人だけになった間、踊子はただ「私」の言葉にうなずくばかりで一言もなかった。「私」が船に乗り込もうと振り返った時、踊子はさよならを言おうとしたようだが、もう一度うなずいて見せただけだった。
船がずっと遠ざかってから、踊子が艀で白いものを振り始めた。伊豆半島の南端が後方に消えてゆくまで、一心に沖の大島を眺めていた「私」は、船室の横にいた少年の親切を自然に受け入れ、泣いているのを見られても平気だった。「私」の頭は「澄んだ水」のようになり、流れるままの涙がぽろぽろと零れて、後には「何も残らないような甘い快さ」だった。
登場人物
年齢は数え年
私
20歳。一高の学生。
学校の制帽で、紺飛白の着物に袴をはき、学生鞄を肩にかけた格好で伊豆の一人旅をしている。湯川橋の近くで旅芸人の一行に出会う。再び天城七里の山道で出会い下田まで一緒に旅する。
湯ヶ野で鳥打帽を買い、制帽は鞄にしまう。歯並びが悪い。東京では寄宿舎に住む。
踊子(薫)
14歳。当初「私」には17歳くらいに見える。旅芸人一座の一員。古風に結った髪に卵形の凛々しい小さい顔の初々しい乙女。
若桐のように足のよく伸びた白い裸身で湯殿から無邪気に手をふる。五目並べが強い。美しい黒髪。前髪に桃色の櫛を挿している。美しく光る黒眼がちの大きい眼。花のように笑う。尋常小学校2年までは甲府にいたが、家族と大島に引っ越す。小犬を旅に同行させている。
男(栄吉)
24歳。踊子の兄で旅芸人。旅芸人たちは大島の波浮港からやって来た。
栄吉は東京で、ある新派役者の群に加わっていたことがある。実家は甲府にあり、家の後目は栄吉の兄が継いでいる。幼い妹にまで旅芸人をさせなければならない事情があり、心を痛めている。大島には小さな家を2つ持っていて、山の方の家には爺さんが住んでいる。
上の娘(千代子)
19歳。栄吉の妻。
流産と早産で2度子供を亡くした。2度目の子は旅の空で早産し、子は1週間で死去。下田の地でその子の四十九日を迎える。
40女(おふくろ)
40代くらい。千代子の母。栄吉の義母。
薫に三味線を教えているが、薫は声がわりの最中なので、高い声で歌わせない。生娘の薫に、男が触るのを嫌がる。国の甲府市には民次という尋常5年生の息子もいる。
中の娘(百合子)
17歳。雇われている芸人。大島生れ。はにかみ盛り。
茶屋の婆
天城七里の山道の茶店の婆さん。
一高の制帽の「私」を旦那さまと呼び、旅芸人を「あんな者」と軽蔑を含んだ口調で話す。
茶屋の爺
婆さんの夫。
長年中風を患い、全身が不随になっている。水死人のようにむくみ、瞳は黄色く濁っている。この老人には、川端が『十六歳の日記』で描いた病身の祖父の心象が投影されていることがしばしば指摘されている。
紙屋
宿で「私」と碁を打つ。紙類を卸して廻る行商人。60歳近い爺さん。
鳥屋
40歳前後の男。旅芸人一行が泊まっている木賃宿の間を借りて鳥屋をしている。
踊子たちに鳥鍋を御馳走する。「水戸黄門漫遊記」の続きを読んでくれと踊子にせがまれるが立ち去り、「私」が代りにそれを読んで踊子に聞かせる。
土方風の男
鉱夫。
帰りの霊岸島行きの下田港の乗船場で、「私」に声をかけ、水戸へ帰る老婆を上野駅まで連れてやってほしいと頼む。
老婆
蓮台寺の銀山で働いていた倅とその嫁をスペイン風邪で亡くす。残された孫3人と故郷の水戸へ帰えるため、乗船場まで鉱夫たちに付添われている。
少年
河津の工場主の息子。東京へ帰る船で「私」と出会う。
一高入学準備のために東京に向っていた。泣いている「私」に海苔巻きすしをくれ、着ている学生マントへもぐり込ませ温めてくれる。
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