GRANRODEO・KISHOW「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」に衝撃を受ける「俺の音楽の原体験はこれかも」
https://t.cn/A6G0FsGI
放送翌日となる11月11日(水)は「ベースの日」。数字の1が4つならぶ様子を4本のベースの弦に見立てて、2014年に制定されたそうです。そんなベースの日にちなんで、恒例の選曲企画「ハートに火がつく、プレイリスト!」のテーマは「重低音」。ベースにフォーカスを当てた楽曲をセレクトしました。
【KISHOWが選ぶ“重低音”を感じる1曲】
「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」(ダウン・タウン・ブギウギ・バンド)
みんなが知っているベースが印象的なメジャーな曲というと、「レッド・ホット・チリ・ペッパーズの『Give It Away』も浮かんだ」というKISHOWですが、さらに子ども時代を思い出す1曲がありました。
KISHOW:選びました。いろいろあったなかで、もっともキャッチーで俺ら世代の曲を。幼少期ですけど。
e-ZUKA:うん。
KISHOW:親戚のおばちゃん家に行くカーステレオから「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」が聴こえてきてびっくりしたんです。だから、俺の音楽の本当の原体験はこれかも。よく(取材で)聴かれるじゃないですか、“音楽のファーストインパクトは何でしたか?”って。(今までは)シブがき隊とかボン・ジョヴィとかって答えてきたけど、ほんとはこの曲かもしれないんですよね。
e-ZUKA:僕なんてバリバリのリアルタイムですからね。
KISHOW:そうですよね、8歳か9歳か。リーゼントだったんですか? 8歳のe-ZUKA少年は(笑)。
e-ZUKA:いやいや(笑)。“この曲、いつ次の展開に入るのかな?”と思って聴いていましたね。和田静男さんのギターソロがまたうまいんですよ。
KISHOW:このベースラインも忘れられないですよね。それこそ(GRANRODEOのサポートベーシストの)瀧田イサムさんが横須賀出身ですね。
e-ZUKA:そうなんですよね~。
KISHOW:横須賀のイメージというと、“革ジャン”“サングラス”“リーゼント”みたいなね。“不良の音楽=ロック”なイメージ。僕は幼少期で物心がつくかつかないかくらいのときにこの曲を聴いて“あー、カッコいいな!”と思ったものでございます。
【e-ZUKAが選ぶ“重低音”を感じる1曲】
「Teen Town」(ウェザー・リポート)
e-ZUKAが最初にベースを意識したのは、小学生時代にテレビでライブを観て憧れたバンド、KISS(キッス)のジーン・シモンズですが、好きなベースのフレーズといえばリズム&ブルース系やファンク系になるそう。ダニー・ハサウェイのバンドに在籍し、ライブアルバム『ライヴ』で数々の名演を披露したウィリー・ウィークスなど、モータウン系のベーシストも好きなのだとか。でもやはり、ベースといえばこの人!
e-ZUKA:やっぱりね、ジャコ・パストリアスが好きなんです。あの人はフレットレスベースで有名じゃないですか。フレットがないから(ベースの代わりにギターで、真似をしながら弾くと……)こう、音が揺れる。ハーモニクスして……(音が)延びたりするんですけども(※ジャコ・パストリアスは、ハーモニクス・グリッサンド奏法も有名)。
僕が好きなのは、ジャコがいたウェザー・リポートの「Teen Town」という曲ですね。前に瀧田さんと一緒にセッションバンドをやったんですけど、そこでも“俺が好きだから”ということで、カバーをしたんですよ。とにかくカッコいいんです! この曲は聴くもんじゃないね、演奏するもんだね(笑)。
KISHOW:あ、そう(笑)。
e-ZUKA:(曲中で)ベースが弾いていたリフというかメロディーというか。これを、ギターとベースでユニゾンするのがとっても楽しいんですよ。もう亡くなっちゃいましたけど、ハイラム・ブロックというギタリストがいて。ジャコも亡くなってるんですが、(ハイラムとジャコの「Teen Town」のセッションは2人とも)バッキバキに弾くので、すごく合うんですよね。そして、ジャコが弾いているのがフレットレスベースだから、ちょっと独特な音がする。
KISHOW:うんうん。
e-ZUKA:“どぅるどぅる♪”“ぼぉぉ~ん♪”みたいな。ビブラートも独特で。
KISHOW:なるほど。フレットがないんですよね。
e-ZUKA:そうなんです。瀧田さんもね、これみよがしにフレットレスベースをよく使うんですよ。
KISHOW:これみよがしに(笑)。
e-ZUKA:GRANRODEOでいうと、フレットレスベースを最初に使ったのは「ネジレタユガミ」。
KISHOW:あったね~。
e-ZUKA:たまに(GRANRODEOのレコーディングで瀧田さんが)「この曲はフレットレスベースで弾きたいな」なんて言うこともあります。
番組ではこのほか、GRANRODEOの楽器レコーディング前にデモ音源を作る際、作曲・編曲のe-ZUKAはベースラインを決め込まず、あえてコード進行とベースのルート音だけを指定しておき、細かいフレージングは瀧田さんにお任せする、という話もありました。30年以上の付き合いになるというe-ZUKAと瀧田さんの信頼関係が、GRANRODEOのサウンド作りにいかされているようです。
https://t.cn/A6G0FsGI
放送翌日となる11月11日(水)は「ベースの日」。数字の1が4つならぶ様子を4本のベースの弦に見立てて、2014年に制定されたそうです。そんなベースの日にちなんで、恒例の選曲企画「ハートに火がつく、プレイリスト!」のテーマは「重低音」。ベースにフォーカスを当てた楽曲をセレクトしました。
【KISHOWが選ぶ“重低音”を感じる1曲】
「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」(ダウン・タウン・ブギウギ・バンド)
みんなが知っているベースが印象的なメジャーな曲というと、「レッド・ホット・チリ・ペッパーズの『Give It Away』も浮かんだ」というKISHOWですが、さらに子ども時代を思い出す1曲がありました。
KISHOW:選びました。いろいろあったなかで、もっともキャッチーで俺ら世代の曲を。幼少期ですけど。
e-ZUKA:うん。
KISHOW:親戚のおばちゃん家に行くカーステレオから「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」が聴こえてきてびっくりしたんです。だから、俺の音楽の本当の原体験はこれかも。よく(取材で)聴かれるじゃないですか、“音楽のファーストインパクトは何でしたか?”って。(今までは)シブがき隊とかボン・ジョヴィとかって答えてきたけど、ほんとはこの曲かもしれないんですよね。
e-ZUKA:僕なんてバリバリのリアルタイムですからね。
KISHOW:そうですよね、8歳か9歳か。リーゼントだったんですか? 8歳のe-ZUKA少年は(笑)。
e-ZUKA:いやいや(笑)。“この曲、いつ次の展開に入るのかな?”と思って聴いていましたね。和田静男さんのギターソロがまたうまいんですよ。
KISHOW:このベースラインも忘れられないですよね。それこそ(GRANRODEOのサポートベーシストの)瀧田イサムさんが横須賀出身ですね。
e-ZUKA:そうなんですよね~。
KISHOW:横須賀のイメージというと、“革ジャン”“サングラス”“リーゼント”みたいなね。“不良の音楽=ロック”なイメージ。僕は幼少期で物心がつくかつかないかくらいのときにこの曲を聴いて“あー、カッコいいな!”と思ったものでございます。
【e-ZUKAが選ぶ“重低音”を感じる1曲】
「Teen Town」(ウェザー・リポート)
e-ZUKAが最初にベースを意識したのは、小学生時代にテレビでライブを観て憧れたバンド、KISS(キッス)のジーン・シモンズですが、好きなベースのフレーズといえばリズム&ブルース系やファンク系になるそう。ダニー・ハサウェイのバンドに在籍し、ライブアルバム『ライヴ』で数々の名演を披露したウィリー・ウィークスなど、モータウン系のベーシストも好きなのだとか。でもやはり、ベースといえばこの人!
e-ZUKA:やっぱりね、ジャコ・パストリアスが好きなんです。あの人はフレットレスベースで有名じゃないですか。フレットがないから(ベースの代わりにギターで、真似をしながら弾くと……)こう、音が揺れる。ハーモニクスして……(音が)延びたりするんですけども(※ジャコ・パストリアスは、ハーモニクス・グリッサンド奏法も有名)。
僕が好きなのは、ジャコがいたウェザー・リポートの「Teen Town」という曲ですね。前に瀧田さんと一緒にセッションバンドをやったんですけど、そこでも“俺が好きだから”ということで、カバーをしたんですよ。とにかくカッコいいんです! この曲は聴くもんじゃないね、演奏するもんだね(笑)。
KISHOW:あ、そう(笑)。
e-ZUKA:(曲中で)ベースが弾いていたリフというかメロディーというか。これを、ギターとベースでユニゾンするのがとっても楽しいんですよ。もう亡くなっちゃいましたけど、ハイラム・ブロックというギタリストがいて。ジャコも亡くなってるんですが、(ハイラムとジャコの「Teen Town」のセッションは2人とも)バッキバキに弾くので、すごく合うんですよね。そして、ジャコが弾いているのがフレットレスベースだから、ちょっと独特な音がする。
KISHOW:うんうん。
e-ZUKA:“どぅるどぅる♪”“ぼぉぉ~ん♪”みたいな。ビブラートも独特で。
KISHOW:なるほど。フレットがないんですよね。
e-ZUKA:そうなんです。瀧田さんもね、これみよがしにフレットレスベースをよく使うんですよ。
KISHOW:これみよがしに(笑)。
e-ZUKA:GRANRODEOでいうと、フレットレスベースを最初に使ったのは「ネジレタユガミ」。
KISHOW:あったね~。
e-ZUKA:たまに(GRANRODEOのレコーディングで瀧田さんが)「この曲はフレットレスベースで弾きたいな」なんて言うこともあります。
番組ではこのほか、GRANRODEOの楽器レコーディング前にデモ音源を作る際、作曲・編曲のe-ZUKAはベースラインを決め込まず、あえてコード進行とベースのルート音だけを指定しておき、細かいフレージングは瀧田さんにお任せする、という話もありました。30年以上の付き合いになるというe-ZUKAと瀧田さんの信頼関係が、GRANRODEOのサウンド作りにいかされているようです。
GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン NEXT BOX HDDD英国編〈上〉
著者:川上 稔 イラスト:さとやす(TENKY)
よーし、行こうぜ皆! 舞台は英国、中世の記録の中だ!
よーし、行こうぜ皆! 境界線上のホライゾンNEXT BOX《英国編》!
末世を解決した俺達が向かう次の舞台は久しぶりの英国、中世の記録の中だ! 誰がアーサー王を襲名するか争ってるところに、毎度ー! 俺達でえす! 騒ぎを派手にしに来ました!
……点蔵、メアリ、お前らの出番だ! 持ち味出して行こうぜ皆! さあ、俺が英国にデカい顔するには、どうしたらいいんだ?
ふたたび始まったホライゾンと俺達の物語、これまで付き合ってくれた皆、これから付き合ってみようって皆、そしてまたやり直そうかって皆、一緒に行こうぜ!
著者:川上 稔 イラスト:さとやす(TENKY)
よーし、行こうぜ皆! 舞台は英国、中世の記録の中だ!
よーし、行こうぜ皆! 境界線上のホライゾンNEXT BOX《英国編》!
末世を解決した俺達が向かう次の舞台は久しぶりの英国、中世の記録の中だ! 誰がアーサー王を襲名するか争ってるところに、毎度ー! 俺達でえす! 騒ぎを派手にしに来ました!
……点蔵、メアリ、お前らの出番だ! 持ち味出して行こうぜ皆! さあ、俺が英国にデカい顔するには、どうしたらいいんだ?
ふたたび始まったホライゾンと俺達の物語、これまで付き合ってくれた皆、これから付き合ってみようって皆、そしてまたやり直そうかって皆、一緒に行こうぜ!
#往復書簡#
片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡8
夜中の2時、愛猫を追って暗い地下室に向かう階段で
片寄から「大人とは?」について尋ねられていた小竹は、王道の質問に満を持して応えようとしていたが、好事魔多し。アクシデントに巻き込まれた。季節を先取りするカイダン……。
拝啓 片寄涼太様
まずは、ちょっとしたカイダン話を。
君も来訪したことがあるので知っていると思うが、我が家には暗い地下室がある。
数日前のことであった。夜中の2時に目が覚めトイレに行こうとした私は、一階から地下に行くドア(何日も開けていない)がほんの少し開いているのに気づいた。「空子(ソラコ、愛猫)が地下に行ってしまったのでは」と、心配になり、恐る恐る地下室へ行くドアを開き、真っ暗な地下への階段へ踏み出そうとしたその時私は……、
「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!」
あろうことか階段の一番上から一番下まで(全12段)を転げ落ちてしまったのである。とっさに「落ちるもんか!」と、体をくるっと回転させるなどという余計な悪あがきをしたせいで、正面からではなく背中からド、ド、ドーッと。ゴン!バキッ!ドスッ!! と自分の体のあちこちをぶつけながら。途中で「これ、死ぬかもな」と走馬灯を見始めそうになった時、落下が終わり、小さく「ウッ」と声を漏らし私の体は静止した。
ほんの数秒間の出来事だったにも関わらず、体のあちこちに激痛を覚え、頭からはダラダラと血が流れていた。しばし錯乱状態に陥り、体を起こしてみると、何とか歩ける。途方に暮れながらも、とりあえず私はトイレに行った。
鏡を見たら顔面血だらけでホラーだったので、トイレットペーパーで顔を拭き、ばっさりと切れている側頭部にトイペを押し当て、ついでにしっかり用を足し(漏らさなくて本当に良かった)、めちゃくちゃ動揺していたので、気持ちを落ち着かせるために電子タバコで一服してから(傍らに空子がちょこんと座っていた)よろよろと事故現場に戻り、ところどころに付着している血痕をアルコール除菌ティッシュで拭いた(はい、私はちょっと潔癖症なんです)。
そして、右腕が全く動かないし、頭からの流血も止まらないので、「かったるいなあ」と思いつつ自分で救急車を呼び、病院へと運ばれた。
検査の結果、右肩を骨折、左足の指にヒビ、左側頭部の打撲、他にも体のあちこちを捻挫・打撲。病院を出たときには夜はすっかり明けて、ひるむくらい眩しい青空が広がっていた。
タクシーがなかなか(数十分)来なかったため、救急外来の入口付近にぼーっと立ちすくんでいたら、大きなガラスに映った自分の姿が見えた。頭には血が滲んだ包帯、腕には三角巾、遠目でもわかるくらいくっきりと手足に青痣や内出血。絵に描いたような満身創痍。今までの人生でこんな大怪我をしたことがなかったので、要らない自己顕示欲と露悪趣味から、私はスマホで自分の体のあちこちを撮影しました。
根がふざけているせいでしょうか、体の心配をするよりも、見たことのない悲惨な自分の姿を面白がってしまったのである。だって、ハロウィンでよく見かけるゾンビみたいな姿だったんですもの。これ、もし死んでいたら、「まあ、顔だけはなんの損傷もなくて……」と葬儀に参列してくれた人たちが目頭を熱くするよ、ホント。
「夢は叶う」とは断言できないけれど
と、自分の転落事故のことを書いていたら、君からの質問に答えるのを失念するところだった。そもそも救急病院の当直医に、「念のため一日入院しますか?」と言われ、「いいえ」と言い(だって面倒くさいから)、「出血が止まらないといけないので頭の傷をホッチキスで止めますか?」には、「嫌です」と答え(だって怖いから)、「2、3日は入浴を控えてくださいね」と念を押されたのに、帰宅してすぐにシャワーを浴びた私(だって潔癖症だから)に「大人」の定義を偉そうに語る資格があるのだろうか?
しかし、年齢的には立派な大人である私から涼太に言えることがあるとすれば、大人とは、「確固たる覚悟を持って何かを背負ったり守ったりできる人」だと思う。脅すわけではないが、まだ二十代の君はこれからますます見たくないものを見て知りたくないことを知り、その先で「覚悟」が決まる。
迷って我慢して妥協して無理をして、手放したくないものをたくさん手放しながら、背負うべき大切なものを手に入れていく。若かりし頃の葛藤やジレンマは、大人になったときに絶対に君の糧となっている。私の経験上、「あきらめなければ夢は叶う」とは断言できないけれど、頑張っていれば絶対に成果は出る。そして夢にも思わなかったような素晴らしいことが予期せぬタイミングで起こったりもする。過ぎていく日常の中で自分のアンテナを張り巡らせて、常に自分と周りを見て、正しい距離感で人と接していれば、「大人になるって悪くない」ときっと心から実感するようになる。ちなみに私は、なんの覚悟も持たずに、何も背負っていない大人が大嫌いだ。
……って、階段から落ちたスットコドッコイエピソードの後に言っても説得力に欠けるが、この文章を書きながら「居場所を見つけられずに砂を噛むような思いばかりしていた二十代の自分には絶対に戻りたくない」「大人になってよかった」と、思いのほか今の自分の幸せを君に再確認させてもらえた。満身創痍だけどな。サンキュー。
敬具
p1 8年前に書いた私の初めての小説「空に住む」が映画になりました。原作とは内容が異なるところがかなりありますが、とても素敵な映画です。是非!!
p2 ここ数年、外食はそんなに好きではなくなっているのですが、友人の経営するレストランを久しぶりに訪れたときのこのデザートに、「外食ってありがたいんだ」と、妙にしみじみしました
片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡8
夜中の2時、愛猫を追って暗い地下室に向かう階段で
片寄から「大人とは?」について尋ねられていた小竹は、王道の質問に満を持して応えようとしていたが、好事魔多し。アクシデントに巻き込まれた。季節を先取りするカイダン……。
拝啓 片寄涼太様
まずは、ちょっとしたカイダン話を。
君も来訪したことがあるので知っていると思うが、我が家には暗い地下室がある。
数日前のことであった。夜中の2時に目が覚めトイレに行こうとした私は、一階から地下に行くドア(何日も開けていない)がほんの少し開いているのに気づいた。「空子(ソラコ、愛猫)が地下に行ってしまったのでは」と、心配になり、恐る恐る地下室へ行くドアを開き、真っ暗な地下への階段へ踏み出そうとしたその時私は……、
「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!」
あろうことか階段の一番上から一番下まで(全12段)を転げ落ちてしまったのである。とっさに「落ちるもんか!」と、体をくるっと回転させるなどという余計な悪あがきをしたせいで、正面からではなく背中からド、ド、ドーッと。ゴン!バキッ!ドスッ!! と自分の体のあちこちをぶつけながら。途中で「これ、死ぬかもな」と走馬灯を見始めそうになった時、落下が終わり、小さく「ウッ」と声を漏らし私の体は静止した。
ほんの数秒間の出来事だったにも関わらず、体のあちこちに激痛を覚え、頭からはダラダラと血が流れていた。しばし錯乱状態に陥り、体を起こしてみると、何とか歩ける。途方に暮れながらも、とりあえず私はトイレに行った。
鏡を見たら顔面血だらけでホラーだったので、トイレットペーパーで顔を拭き、ばっさりと切れている側頭部にトイペを押し当て、ついでにしっかり用を足し(漏らさなくて本当に良かった)、めちゃくちゃ動揺していたので、気持ちを落ち着かせるために電子タバコで一服してから(傍らに空子がちょこんと座っていた)よろよろと事故現場に戻り、ところどころに付着している血痕をアルコール除菌ティッシュで拭いた(はい、私はちょっと潔癖症なんです)。
そして、右腕が全く動かないし、頭からの流血も止まらないので、「かったるいなあ」と思いつつ自分で救急車を呼び、病院へと運ばれた。
検査の結果、右肩を骨折、左足の指にヒビ、左側頭部の打撲、他にも体のあちこちを捻挫・打撲。病院を出たときには夜はすっかり明けて、ひるむくらい眩しい青空が広がっていた。
タクシーがなかなか(数十分)来なかったため、救急外来の入口付近にぼーっと立ちすくんでいたら、大きなガラスに映った自分の姿が見えた。頭には血が滲んだ包帯、腕には三角巾、遠目でもわかるくらいくっきりと手足に青痣や内出血。絵に描いたような満身創痍。今までの人生でこんな大怪我をしたことがなかったので、要らない自己顕示欲と露悪趣味から、私はスマホで自分の体のあちこちを撮影しました。
根がふざけているせいでしょうか、体の心配をするよりも、見たことのない悲惨な自分の姿を面白がってしまったのである。だって、ハロウィンでよく見かけるゾンビみたいな姿だったんですもの。これ、もし死んでいたら、「まあ、顔だけはなんの損傷もなくて……」と葬儀に参列してくれた人たちが目頭を熱くするよ、ホント。
「夢は叶う」とは断言できないけれど
と、自分の転落事故のことを書いていたら、君からの質問に答えるのを失念するところだった。そもそも救急病院の当直医に、「念のため一日入院しますか?」と言われ、「いいえ」と言い(だって面倒くさいから)、「出血が止まらないといけないので頭の傷をホッチキスで止めますか?」には、「嫌です」と答え(だって怖いから)、「2、3日は入浴を控えてくださいね」と念を押されたのに、帰宅してすぐにシャワーを浴びた私(だって潔癖症だから)に「大人」の定義を偉そうに語る資格があるのだろうか?
しかし、年齢的には立派な大人である私から涼太に言えることがあるとすれば、大人とは、「確固たる覚悟を持って何かを背負ったり守ったりできる人」だと思う。脅すわけではないが、まだ二十代の君はこれからますます見たくないものを見て知りたくないことを知り、その先で「覚悟」が決まる。
迷って我慢して妥協して無理をして、手放したくないものをたくさん手放しながら、背負うべき大切なものを手に入れていく。若かりし頃の葛藤やジレンマは、大人になったときに絶対に君の糧となっている。私の経験上、「あきらめなければ夢は叶う」とは断言できないけれど、頑張っていれば絶対に成果は出る。そして夢にも思わなかったような素晴らしいことが予期せぬタイミングで起こったりもする。過ぎていく日常の中で自分のアンテナを張り巡らせて、常に自分と周りを見て、正しい距離感で人と接していれば、「大人になるって悪くない」ときっと心から実感するようになる。ちなみに私は、なんの覚悟も持たずに、何も背負っていない大人が大嫌いだ。
……って、階段から落ちたスットコドッコイエピソードの後に言っても説得力に欠けるが、この文章を書きながら「居場所を見つけられずに砂を噛むような思いばかりしていた二十代の自分には絶対に戻りたくない」「大人になってよかった」と、思いのほか今の自分の幸せを君に再確認させてもらえた。満身創痍だけどな。サンキュー。
敬具
p1 8年前に書いた私の初めての小説「空に住む」が映画になりました。原作とは内容が異なるところがかなりありますが、とても素敵な映画です。是非!!
p2 ここ数年、外食はそんなに好きではなくなっているのですが、友人の経営するレストランを久しぶりに訪れたときのこのデザートに、「外食ってありがたいんだ」と、妙にしみじみしました
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