没忍住把《love song》整首翻了。
我偷偷藏起来替我cp掉眼泪。
また、間違えた,
又是、背道而驰
これで何度目の愛だ?
这是第几次的爱呢?
もう、わからないくらいに溺れている,
已经溺死其中,无法察觉了
ただのわがままなら,
仅仅只是放任自流的话
これでやめるから,
这样就无法继续了
もう一度、壊れて 私のために,
再一次、崩解零落,仍旧是我
柔らかい肌で雨が踊る,
雨滴在柔软的肌肤起舞中
結末の色はグレイ、ありふれていたんだって,
终结的色彩灰白一片,事情就是这样
それぞれの暮らしの中に煙る,
在各自的生活中迷惘不清
願い込めて、歌うように,
如同吟唱一般道出的祈愿
揺れる瞳の奥、何を見つめていたの?
摇曳的眼瞳深处,你到底在看着什么?
ねえ、間違えていたのはどこから?
到底、到底是从哪里开始了分歧?
また、夢を見た
难道一切都是梦吗?
それもまた夢の中?
一直,都如在梦中
もう、わからないくらいに憶えている
一直一直,被想要清醒而出的噩梦缠身了
あれもこれも違うなら,
如果一切都已经颠倒错置
すべてを隠した、嘘の裏側で,
我就在谎言的里侧
あなたを待っている,
隐藏着所有,等待着你
生ぬるい風が肌を撫でる,
温热的风在肌肤带过
羽根を休めた鳥のさえずりを聞く,
听到了飞鸟收整羽翼的声音
目障りなほど、幸せがちらついて,
愈加盲目,幸福越是耀眼
戻れなくなる前に、声が遠くなる前に,
在声音渐远,在无法回头之前
ただ、許すだけ
仅仅、不过是宽恕
あとは、許されるだけ,
接下来,也就只余下被宽恕
それだけを望んでしまった、それだけを,
仅仅只是渴望着如此结果、仅仅是宽恕
愛された分なら、ちゃんと返すから,
如果是被你所付出的爱的话、我会好好回应你
もう一度、愛して ただ私だけを,
再一次,再一次,仅仅是爱上就行
傷つけてしまうたび、綻んでいく答えが,
愈加伤害,愈加绽开的回答——
窓辺をつく、雨のように降る,
紧贴窗边、如雨坠下
汚れていくのは私だけでいいから,
如此零落泥泞,仅我便好
夜へと向から列車が来る,
驶出长夜的列车到来
ただ、ひとつだけ,
仅仅、我一人如此
きっとただ、ひとつだけ,
无法改变、徒留一人
憶えていた、愛の全部,
爱之余音,浮现心头
ただ、あなただけ,
仍旧,仍旧是你
ずっと ただ、あなただけ,
我心匪石、仍旧余你
また、夢を見た
难道一切都是梦吗?
それもまた夢の中?
一直,都如在梦中
もう、わからないくらいに憶えている
一直一直,被想要清醒而出的噩梦缠身了
あれもこれも違うなら,
如果一切都已经颠倒错置
すべてを隠した、嘘の裏側で,
我就在谎言的里侧
あなたを待っている,
隐藏着所有,等待着你
また、間違えた,
又是、背道而驰
これで何度目の愛だ?
这是第几次的爱呢?
もう、わからないくらいに溺れている,
已经溺死其中,无法察觉了
ただのわがままでも、嘘でもいいから,
仅仅是放任不管也行,道出谎言也好
もう一度、壊れて 私のために,
再次就好、崩解零落,为了我的余音
もう一度、壊れて 私のために,
再次就好、破镜难圆,为了我的余音
もう一度、殺して 私のために。
再次就好、将其扼杀,为了我的余音
我偷偷藏起来替我cp掉眼泪。
また、間違えた,
又是、背道而驰
これで何度目の愛だ?
这是第几次的爱呢?
もう、わからないくらいに溺れている,
已经溺死其中,无法察觉了
ただのわがままなら,
仅仅只是放任自流的话
これでやめるから,
这样就无法继续了
もう一度、壊れて 私のために,
再一次、崩解零落,仍旧是我
柔らかい肌で雨が踊る,
雨滴在柔软的肌肤起舞中
結末の色はグレイ、ありふれていたんだって,
终结的色彩灰白一片,事情就是这样
それぞれの暮らしの中に煙る,
在各自的生活中迷惘不清
願い込めて、歌うように,
如同吟唱一般道出的祈愿
揺れる瞳の奥、何を見つめていたの?
摇曳的眼瞳深处,你到底在看着什么?
ねえ、間違えていたのはどこから?
到底、到底是从哪里开始了分歧?
また、夢を見た
难道一切都是梦吗?
それもまた夢の中?
一直,都如在梦中
もう、わからないくらいに憶えている
一直一直,被想要清醒而出的噩梦缠身了
あれもこれも違うなら,
如果一切都已经颠倒错置
すべてを隠した、嘘の裏側で,
我就在谎言的里侧
あなたを待っている,
隐藏着所有,等待着你
生ぬるい風が肌を撫でる,
温热的风在肌肤带过
羽根を休めた鳥のさえずりを聞く,
听到了飞鸟收整羽翼的声音
目障りなほど、幸せがちらついて,
愈加盲目,幸福越是耀眼
戻れなくなる前に、声が遠くなる前に,
在声音渐远,在无法回头之前
ただ、許すだけ
仅仅、不过是宽恕
あとは、許されるだけ,
接下来,也就只余下被宽恕
それだけを望んでしまった、それだけを,
仅仅只是渴望着如此结果、仅仅是宽恕
愛された分なら、ちゃんと返すから,
如果是被你所付出的爱的话、我会好好回应你
もう一度、愛して ただ私だけを,
再一次,再一次,仅仅是爱上就行
傷つけてしまうたび、綻んでいく答えが,
愈加伤害,愈加绽开的回答——
窓辺をつく、雨のように降る,
紧贴窗边、如雨坠下
汚れていくのは私だけでいいから,
如此零落泥泞,仅我便好
夜へと向から列車が来る,
驶出长夜的列车到来
ただ、ひとつだけ,
仅仅、我一人如此
きっとただ、ひとつだけ,
无法改变、徒留一人
憶えていた、愛の全部,
爱之余音,浮现心头
ただ、あなただけ,
仍旧,仍旧是你
ずっと ただ、あなただけ,
我心匪石、仍旧余你
また、夢を見た
难道一切都是梦吗?
それもまた夢の中?
一直,都如在梦中
もう、わからないくらいに憶えている
一直一直,被想要清醒而出的噩梦缠身了
あれもこれも違うなら,
如果一切都已经颠倒错置
すべてを隠した、嘘の裏側で,
我就在谎言的里侧
あなたを待っている,
隐藏着所有,等待着你
また、間違えた,
又是、背道而驰
これで何度目の愛だ?
这是第几次的爱呢?
もう、わからないくらいに溺れている,
已经溺死其中,无法察觉了
ただのわがままでも、嘘でもいいから,
仅仅是放任不管也行,道出谎言也好
もう一度、壊れて 私のために,
再次就好、崩解零落,为了我的余音
もう一度、壊れて 私のために,
再次就好、破镜难圆,为了我的余音
もう一度、殺して 私のために。
再次就好、将其扼杀,为了我的余音
Ko酱(以丰冈市鸟的东方白罐为原型的吉祥物)
出生地:丰冈市
喜欢的食物:鱼、青蛙、蚱蜢等生物
最喜欢的地方:稻田、湿地
特殊技能:空中翱翔
优点:翅膀大(翼展2米!),一跳就能飞得很远。
Ko酱的梦想:希望能够与大家成为朋友
O酱(以生存于丰冈市的两栖爬行动物大鲵为原型的角色)
出生地:丰冈市
最喜欢的食物:鱼、螃蟹等在眼前经过的生物
注:一般情况,自己不怎么主动活动。
最喜欢的地方:美丽的河流
爱好:慢慢地游泳
特技:永远微笑。但一旦咬住,就不会放手!
O酱的梦想:希望和大家一起在美丽的河里游泳
所有信息引自丰冈市网站
(https://t.cn/A6TrTJos)
#吉祥物##日本##可爱##旅游##旅行##海外##外国##生活##东方白罐##大鲵##丰冈市##萌#
***********************************************
コーちゃん(市の鳥コウノトリから生まれたキャラクター)
出身地:豊岡市
好きな食べ物:お魚、カエル、バッタなどの生きもの
好きな場所:田んぼ、湿地
特技:大空を飛ぶこと
長所:ツバサが大きい(翼長2メートル!)ので、ひとっ飛びで遠くへ行けること
コーちゃんの夢:コウノトリとみんなが友達になれますように
オーちゃん(市の両生類オオサンショウオから生まれたキャラクター)
プロフィール
出身地:豊岡市
好きな食べ物:お魚、カニなど目の前を通る生きもの
注:自分からはあんまり動かないんです
好きな場所:きれいな川
趣味:ゆっくり泳ぐこと
特技:いつも笑顔なところ。でも、かみついたら放さない!
オーちゃんの夢:きれいな川でみんなと一緒に泳ぎたい
いずれも豊岡市のホームページから引用
(https://t.cn/A6TrTJos)
出生地:丰冈市
喜欢的食物:鱼、青蛙、蚱蜢等生物
最喜欢的地方:稻田、湿地
特殊技能:空中翱翔
优点:翅膀大(翼展2米!),一跳就能飞得很远。
Ko酱的梦想:希望能够与大家成为朋友
O酱(以生存于丰冈市的两栖爬行动物大鲵为原型的角色)
出生地:丰冈市
最喜欢的食物:鱼、螃蟹等在眼前经过的生物
注:一般情况,自己不怎么主动活动。
最喜欢的地方:美丽的河流
爱好:慢慢地游泳
特技:永远微笑。但一旦咬住,就不会放手!
O酱的梦想:希望和大家一起在美丽的河里游泳
所有信息引自丰冈市网站
(https://t.cn/A6TrTJos)
#吉祥物##日本##可爱##旅游##旅行##海外##外国##生活##东方白罐##大鲵##丰冈市##萌#
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コーちゃん(市の鳥コウノトリから生まれたキャラクター)
出身地:豊岡市
好きな食べ物:お魚、カエル、バッタなどの生きもの
好きな場所:田んぼ、湿地
特技:大空を飛ぶこと
長所:ツバサが大きい(翼長2メートル!)ので、ひとっ飛びで遠くへ行けること
コーちゃんの夢:コウノトリとみんなが友達になれますように
オーちゃん(市の両生類オオサンショウオから生まれたキャラクター)
プロフィール
出身地:豊岡市
好きな食べ物:お魚、カニなど目の前を通る生きもの
注:自分からはあんまり動かないんです
好きな場所:きれいな川
趣味:ゆっくり泳ぐこと
特技:いつも笑顔なところ。でも、かみついたら放さない!
オーちゃんの夢:きれいな川でみんなと一緒に泳ぎたい
いずれも豊岡市のホームページから引用
(https://t.cn/A6TrTJos)
泥棒
夏目漱石
寝ようと思って次の間へ出ると、炬燵こたつの臭においがぷんとした。厠かわやの帰りに、火が強過ぎるようだから、気をつけなくてはいけないと妻さいに注意して、自分の部屋へ引取った。もう十一時を過ぎている。床の中の夢は常のごとく安らかであった。寒い割に風も吹かず、半鐘はんしょうの音も耳に応こたえなかった。熟睡が時の世界を盛もり潰つぶしたように正体を失った。
すると忽然こつぜんとして、女の泣声で眼が覚さめた。聞けばもよと云う下女の声である。この下女は驚いて狼狽うろたえるといつでも泣声を出す。この間家うちの赤ん坊を湯に入れた時、赤ん坊が湯気ゆけに上あがって、引きつけたといって五分ばかり泣声を出した。自分がこの下女の異様な声を聞いたのは、それが始めてである。啜すすり上あげるようにして早口に物を云う。訴えるような、口説くどくような、詫わびを入れるような、情人じょうじんの死を悲しむような――とうてい普通の驚愕きょうがくの場合に出る、鋭くって短い感投詞かんとうしの調子ではない。
自分は今云う通りこの異様の声で、眼が覚めた。声はたしかに妻さいの寝ている、次の部屋から出る。同時に襖ふすまを洩もれて赤い火がさっと暗い書斎に射した。今開ける瞼まぶたの裏に、この光が届くや否や自分は火事だと合点がってんして飛び起きた。そうして、突然いきなり隔へだての唐紙からかみをがらりと開けた。
その時自分は顛覆返ひっくりかえった炬燵こたつを想像していた。焦こげた蒲団ふとんを想像していた。漲みなぎる煙と、燃える畳たたみとを想像していた。ところが開けて見ると、洋灯ランプは例のごとく点ともっている。妻と子供は常の通り寝ている。炬燵こたつは宵よいの位地にちゃんとある。すべてが、寝る前に見た時と同じである。平和である。暖かである。ただ下女だけが泣いている。
下女は妻の蒲団の裾すそを抑おさえるようにして早口に物を云う。妻は眼を覚まして、ぱちぱちさせるばかりで別に起きる様子もない。自分は何事が起ったのかほとんど判じかねて、敷居際しきいぎわに突立つったったまま、ぼんやり部屋の中を見回みまわした。途端とたんに下女の泣声のうちに、泥棒という二字が出た。それが自分の耳に這入はいるや否や、すべてが解決されたように自分はたちまち妻の部屋を大股おおまたに横切って、次つぎの間まに飛び出しながら、何だ――と怒鳴どなりつけた。けれども飛び出した次の部屋は真暗である。続く台所の雨戸が一枚外はずれて、美しい月の光が部屋の入口まで射し込んでいる。自分は真夜中に人の住居すまいの奥を照らす月影を見て、おのずから寒いと感じた。素足すあしのまま板の間へ出て台所の流元ながしもとまで来て見ると、四辺あたりは寂しんとしている。表を覗のぞくと月ばかりである。自分は、戸口から一歩も外へ出る気にならなかった。
引き返して、妻の所へ来て、泥棒は逃げた、安心しろ、何も窃とられやしない、と云った。妻はこの時ようやく起き上っていた。何も云わずに洋灯を持って暗い部屋まで出て来て、箪笥たんすの前に翳かざした。観音開かんのんびらきが取とり外はずされている。抽斗ひきだしが明けたままになっている。妻は自分の顔を見て、やっぱり窃られたんですと云った。自分もようやく泥棒が窃った後で逃げたんだと気がついた。何だか急に馬鹿馬鹿しくなった。片方を見ると、泣いて起しに来た下女の蒲団が取ってある。その枕元にもう一つ箪笥がある。その箪笥の上にまた用箪笥が乗っている。暮の事なので医者の薬礼やくれいその他がこの内に這入っているのだそうだ。妻に調べさせるとこっちの方は元の通りだと云う。下女が泣いて縁側えんがわの方から飛び出したので、泥棒もやむをえず仕事の中途で逃げたのかも知れない。
そのうち、ほかの部屋に寝ていたものもみんな起きて来た。そうしてみんないろいろな事を云う。もう少し前に小用こように起きたのにとか、今夜は寝つかれないで、二時頃までは眼が冴さえていたのにとか、ことごとく残念そうである。そのなかで、十とおになる長女は、泥棒が台所から這入はいったのも、泥棒がみしみし縁側えんがわを歩いたのも、すっかり知っていると云った。あらまあとお房ふささんが驚いている。お房さんは十八で、長女と同じ部屋に寝る親類の娘である。自分はまた床へ這入はいって寝た。
明くる日はこの騒動で、例よりは少し遅く起きた。顔を洗って、朝食あさめしをやっていると、台所で下女が泥棒の足痕あしあとを見つけたとか、見つけないとか騒いでいる。面倒めんどうだから書斎へ引き取った。引き取って十分も経たったかと思うと、玄関で頼むと云う声がした。勇ましい声である。台所の方へ通じないようだから、自分で取次に出て見たら、巡査が格子こうしの前に立っていた。泥棒が這入ったそうですねと笑っている。戸締とじまりは好くしてあったのですかと聞くから、いや、どうもあまり好くありませんと答えた。じゃ仕方がない、締しまりが悪いとどこからでも這入りますよ、一枚一枚雨戸へ釘くぎを差さなくちゃいけませんと注意する。自分ははあはあと返事をしておいた。この巡査に遇あってから、悪いものは、泥棒じゃなくって、不取締ふとりしまりな主人であるような心持になった。
巡査は台所へ廻った。そこで妻さいを捉つらまえて、紛失ふんじつした物を手帳に書き付けている。繻珍しゅちんの丸帯が一本ですね、――丸帯と云うのは何ですか、丸帯と書いておけば解るですか、そう、それでは繻珍の丸帯が一本と、それから……
下女がにやにや笑っている。この巡査は丸帯も腹合はらあわせもいっこう知らない。すこぶる単簡たんかんな面白い巡査である。やがて紛失の目録を十点ばかり書き上げてその下に価格を記入して、すると〆しめて百五十円になりますねと念を押して帰って行った。
自分はこの時始めて、何を窃とられたかを明瞭めいりょうに知った。失なくなったものは十点、ことごとく帯である。昨夜ゆうべ這入ったのは帯泥棒であった。御正月を眼前に控ひかえた妻は異いな顔をしている。子供が三箇日さんがにちにも着物を着換える事ができないのだそうだ。仕方がない。
昼過には刑事が来た。座敷へ上あがっていろいろ見ている。桶おけの中に蝋燭ろうそくでも立てて仕事をしやしないかと云って、台所の小桶こおけまで検しらべていた。まあ御茶でもおあがんなさいと云って、日当りの好い茶の間へ坐らせて話をした。
泥棒はたいてい下谷、浅草辺あたりから電車でやって来て、明くる日の朝また電車で帰るのだそうだ。たいていは捉つかまらないものだそうだ。捉まえると刑事の方が損になるものだそうだ。泥棒を電車に乗せると電車賃が損になる。裁判に出ると、弁当代が損になる。機密費きみつひは警視庁が半分取ってしまうのだそうだ。余りを各警察へ割りふるのだそうだ。牛込には刑事がたった三四人しかいないのだそうだ――警察の力ならたいていの事はできる者と信じていた自分は、はなはだ心細い気がした。話をして聞かせる刑事も心細い顔をしていた。
出入でいりのものを呼んで戸締りを直そうと思ったら生憎あやにく、暮で用が立て込んでいて来られない。そのうちに夜になった。仕方がないから、元の通りにしておいて寝る。みんな気味が悪そうである。自分もけっして好い心持ではない。泥棒は各自勝手に取締とりしまるべきものであると警察から宣告されたと一般だからである。
それでも昨日きのうの今日きょうだから、まあ大丈夫だろうと、気を楽に持って枕に就ついた。するとまた夜中に妻さいから起された。さっきから、台所の方ががたがた云っている。気味がわるいから起きて見て下さいと云う。なるほどがたがたいう。妻はもう泥棒が這入はいったような顔をしている。
自分はそっと床を出た。忍び足に妻の部屋を横切って、隔へだての襖ふすまの傍そばまでくると、次の間では下女が鼾いびきをかいている。自分はできるだけ静かに襖を開けた。そうして、真暗な部屋の中に一人立った。ごとりごとりと云う音がする。たしかに台所の入口である。暗いなかを影の動くように三歩みあしほど音のする方へ近ちかづくと、もう部屋の出口である。障子しょうじが立っている。そとはすぐ板敷になる。自分は障子に身を寄せて、暗がりで耳を立てた。やがて、ごとりと云った。しばらくしてまたごとりと云った。自分はこの怪しい音を約四五遍聞いた。そうして、これは板敷の左にある、戸棚とだなの奥から出るに違ないという事をたしかめた。たちまち普通の歩調と、尋常の所作しょさをして、妻の部屋へ帰って来た。鼠ねずみが何か噛かじっているんだ、安心しろと云うと、妻はそうですかとありがたそうな返事をした。それからは二人とも落ちついて寝てしまった。
朝になってまた顔を洗って、茶の間へ来ると、妻が鼠の噛った鰹節かつぶしを、膳ぜんの前へ出して、昨夜ゆうべのはこれですよと説明した。自分ははあなるほどと、一晩中無惨むざんにやられた鰹節を眺めていた。すると妻は、あなたついでに鼠を追って、鰹節おかかをしまって下されば好いのにと少し不平がましく云った。自分もそうすれば好かったとこの時始めて気がついた。
夏目漱石
寝ようと思って次の間へ出ると、炬燵こたつの臭においがぷんとした。厠かわやの帰りに、火が強過ぎるようだから、気をつけなくてはいけないと妻さいに注意して、自分の部屋へ引取った。もう十一時を過ぎている。床の中の夢は常のごとく安らかであった。寒い割に風も吹かず、半鐘はんしょうの音も耳に応こたえなかった。熟睡が時の世界を盛もり潰つぶしたように正体を失った。
すると忽然こつぜんとして、女の泣声で眼が覚さめた。聞けばもよと云う下女の声である。この下女は驚いて狼狽うろたえるといつでも泣声を出す。この間家うちの赤ん坊を湯に入れた時、赤ん坊が湯気ゆけに上あがって、引きつけたといって五分ばかり泣声を出した。自分がこの下女の異様な声を聞いたのは、それが始めてである。啜すすり上あげるようにして早口に物を云う。訴えるような、口説くどくような、詫わびを入れるような、情人じょうじんの死を悲しむような――とうてい普通の驚愕きょうがくの場合に出る、鋭くって短い感投詞かんとうしの調子ではない。
自分は今云う通りこの異様の声で、眼が覚めた。声はたしかに妻さいの寝ている、次の部屋から出る。同時に襖ふすまを洩もれて赤い火がさっと暗い書斎に射した。今開ける瞼まぶたの裏に、この光が届くや否や自分は火事だと合点がってんして飛び起きた。そうして、突然いきなり隔へだての唐紙からかみをがらりと開けた。
その時自分は顛覆返ひっくりかえった炬燵こたつを想像していた。焦こげた蒲団ふとんを想像していた。漲みなぎる煙と、燃える畳たたみとを想像していた。ところが開けて見ると、洋灯ランプは例のごとく点ともっている。妻と子供は常の通り寝ている。炬燵こたつは宵よいの位地にちゃんとある。すべてが、寝る前に見た時と同じである。平和である。暖かである。ただ下女だけが泣いている。
下女は妻の蒲団の裾すそを抑おさえるようにして早口に物を云う。妻は眼を覚まして、ぱちぱちさせるばかりで別に起きる様子もない。自分は何事が起ったのかほとんど判じかねて、敷居際しきいぎわに突立つったったまま、ぼんやり部屋の中を見回みまわした。途端とたんに下女の泣声のうちに、泥棒という二字が出た。それが自分の耳に這入はいるや否や、すべてが解決されたように自分はたちまち妻の部屋を大股おおまたに横切って、次つぎの間まに飛び出しながら、何だ――と怒鳴どなりつけた。けれども飛び出した次の部屋は真暗である。続く台所の雨戸が一枚外はずれて、美しい月の光が部屋の入口まで射し込んでいる。自分は真夜中に人の住居すまいの奥を照らす月影を見て、おのずから寒いと感じた。素足すあしのまま板の間へ出て台所の流元ながしもとまで来て見ると、四辺あたりは寂しんとしている。表を覗のぞくと月ばかりである。自分は、戸口から一歩も外へ出る気にならなかった。
引き返して、妻の所へ来て、泥棒は逃げた、安心しろ、何も窃とられやしない、と云った。妻はこの時ようやく起き上っていた。何も云わずに洋灯を持って暗い部屋まで出て来て、箪笥たんすの前に翳かざした。観音開かんのんびらきが取とり外はずされている。抽斗ひきだしが明けたままになっている。妻は自分の顔を見て、やっぱり窃られたんですと云った。自分もようやく泥棒が窃った後で逃げたんだと気がついた。何だか急に馬鹿馬鹿しくなった。片方を見ると、泣いて起しに来た下女の蒲団が取ってある。その枕元にもう一つ箪笥がある。その箪笥の上にまた用箪笥が乗っている。暮の事なので医者の薬礼やくれいその他がこの内に這入っているのだそうだ。妻に調べさせるとこっちの方は元の通りだと云う。下女が泣いて縁側えんがわの方から飛び出したので、泥棒もやむをえず仕事の中途で逃げたのかも知れない。
そのうち、ほかの部屋に寝ていたものもみんな起きて来た。そうしてみんないろいろな事を云う。もう少し前に小用こように起きたのにとか、今夜は寝つかれないで、二時頃までは眼が冴さえていたのにとか、ことごとく残念そうである。そのなかで、十とおになる長女は、泥棒が台所から這入はいったのも、泥棒がみしみし縁側えんがわを歩いたのも、すっかり知っていると云った。あらまあとお房ふささんが驚いている。お房さんは十八で、長女と同じ部屋に寝る親類の娘である。自分はまた床へ這入はいって寝た。
明くる日はこの騒動で、例よりは少し遅く起きた。顔を洗って、朝食あさめしをやっていると、台所で下女が泥棒の足痕あしあとを見つけたとか、見つけないとか騒いでいる。面倒めんどうだから書斎へ引き取った。引き取って十分も経たったかと思うと、玄関で頼むと云う声がした。勇ましい声である。台所の方へ通じないようだから、自分で取次に出て見たら、巡査が格子こうしの前に立っていた。泥棒が這入ったそうですねと笑っている。戸締とじまりは好くしてあったのですかと聞くから、いや、どうもあまり好くありませんと答えた。じゃ仕方がない、締しまりが悪いとどこからでも這入りますよ、一枚一枚雨戸へ釘くぎを差さなくちゃいけませんと注意する。自分ははあはあと返事をしておいた。この巡査に遇あってから、悪いものは、泥棒じゃなくって、不取締ふとりしまりな主人であるような心持になった。
巡査は台所へ廻った。そこで妻さいを捉つらまえて、紛失ふんじつした物を手帳に書き付けている。繻珍しゅちんの丸帯が一本ですね、――丸帯と云うのは何ですか、丸帯と書いておけば解るですか、そう、それでは繻珍の丸帯が一本と、それから……
下女がにやにや笑っている。この巡査は丸帯も腹合はらあわせもいっこう知らない。すこぶる単簡たんかんな面白い巡査である。やがて紛失の目録を十点ばかり書き上げてその下に価格を記入して、すると〆しめて百五十円になりますねと念を押して帰って行った。
自分はこの時始めて、何を窃とられたかを明瞭めいりょうに知った。失なくなったものは十点、ことごとく帯である。昨夜ゆうべ這入ったのは帯泥棒であった。御正月を眼前に控ひかえた妻は異いな顔をしている。子供が三箇日さんがにちにも着物を着換える事ができないのだそうだ。仕方がない。
昼過には刑事が来た。座敷へ上あがっていろいろ見ている。桶おけの中に蝋燭ろうそくでも立てて仕事をしやしないかと云って、台所の小桶こおけまで検しらべていた。まあ御茶でもおあがんなさいと云って、日当りの好い茶の間へ坐らせて話をした。
泥棒はたいてい下谷、浅草辺あたりから電車でやって来て、明くる日の朝また電車で帰るのだそうだ。たいていは捉つかまらないものだそうだ。捉まえると刑事の方が損になるものだそうだ。泥棒を電車に乗せると電車賃が損になる。裁判に出ると、弁当代が損になる。機密費きみつひは警視庁が半分取ってしまうのだそうだ。余りを各警察へ割りふるのだそうだ。牛込には刑事がたった三四人しかいないのだそうだ――警察の力ならたいていの事はできる者と信じていた自分は、はなはだ心細い気がした。話をして聞かせる刑事も心細い顔をしていた。
出入でいりのものを呼んで戸締りを直そうと思ったら生憎あやにく、暮で用が立て込んでいて来られない。そのうちに夜になった。仕方がないから、元の通りにしておいて寝る。みんな気味が悪そうである。自分もけっして好い心持ではない。泥棒は各自勝手に取締とりしまるべきものであると警察から宣告されたと一般だからである。
それでも昨日きのうの今日きょうだから、まあ大丈夫だろうと、気を楽に持って枕に就ついた。するとまた夜中に妻さいから起された。さっきから、台所の方ががたがた云っている。気味がわるいから起きて見て下さいと云う。なるほどがたがたいう。妻はもう泥棒が這入はいったような顔をしている。
自分はそっと床を出た。忍び足に妻の部屋を横切って、隔へだての襖ふすまの傍そばまでくると、次の間では下女が鼾いびきをかいている。自分はできるだけ静かに襖を開けた。そうして、真暗な部屋の中に一人立った。ごとりごとりと云う音がする。たしかに台所の入口である。暗いなかを影の動くように三歩みあしほど音のする方へ近ちかづくと、もう部屋の出口である。障子しょうじが立っている。そとはすぐ板敷になる。自分は障子に身を寄せて、暗がりで耳を立てた。やがて、ごとりと云った。しばらくしてまたごとりと云った。自分はこの怪しい音を約四五遍聞いた。そうして、これは板敷の左にある、戸棚とだなの奥から出るに違ないという事をたしかめた。たちまち普通の歩調と、尋常の所作しょさをして、妻の部屋へ帰って来た。鼠ねずみが何か噛かじっているんだ、安心しろと云うと、妻はそうですかとありがたそうな返事をした。それからは二人とも落ちついて寝てしまった。
朝になってまた顔を洗って、茶の間へ来ると、妻が鼠の噛った鰹節かつぶしを、膳ぜんの前へ出して、昨夜ゆうべのはこれですよと説明した。自分ははあなるほどと、一晩中無惨むざんにやられた鰹節を眺めていた。すると妻は、あなたついでに鼠を追って、鰹節おかかをしまって下されば好いのにと少し不平がましく云った。自分もそうすれば好かったとこの時始めて気がついた。
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