#藤谷太辅#
品格溢れるスポーツカー“SL 63”に藤ヶ谷太輔が共鳴
藤ヶ谷さんにとって外観は重要だそうで、現在愛用するメルセデスに対しても、大人の所有物としての悦楽に浸ることもしばしばだという。
「駐車場に向かってクルマに乗りに行くその瞬間に、クルマの顔を見るだけでもグッとテンションが上がります。用もないのに愛車の写真を撮ってみたりして。いつ撮影しても変わらないはずなのに、なんか今日はいい顔してる!とか言ってニヤついていますよ(笑)」
一方で、「インテリアも当然、随所に丁寧な仕上げが見て取れますが、包み込まれるようなシートの座り心地なんかは、本当にリラックスできますよね」と“大人らしい品格”と評した居住性にも触れ、ホスピタリティを存分に満喫したようだ。
スポーツカーとしての走りとラグジュアリーなセンス。まさに本モデルが体現する世界観を体感した藤ヶ谷さん。
「世界中にファンがいるメルセデスですから、新型を出すときのプレッシャーは尋常ではないと思うんです。特に、名車としてのステイタスがあるSLシリーズとなれば、なおさらでしょう。それでも、ブレることのないブランドの芯が感じられる高いクオリティで仕上げてくるわけですからね」
物作りにたずさわり、その困難を知る藤ヶ谷さんだからこそ、多大なるリスペクトを表していたのは印象的だった。
軸がブレない大人にフィットするSL
自身もメルセデスを乗り継いできたオーナーで、いつかは「SL」にと考えている模様。メルセデス愛も人一倍強いのにも理由がある。
「メルセデスは自分のなかでは絶対的な存在で、子供の頃からの憧れでした。乗ったからこそわかる物作りへのこだわりも強く感じます。
身の丈以上のものを手に入れて自分を発奮させるって、よく言うじゃないですか。デビューした24歳で初めて購入したメルセデスに9年間乗って、今は別の車種に乗り替えていますが、それでもメルセデス一筋。自慢したいとか、ステイタスを表現したいとかではなく、自分を昂らせたいという感覚です。
自分の好きな時間に、自分の好きなクルマに乗ってどこかに行く。すると、気持ちよさと同時に、“もうちょい頑張れよ”って支えてもらっているような感覚もあるんです」
そんな彼のカーライフに迫ると、とりわけ一人のドライブは自身にとっても大切な時間なのだという。
「みんなでワイワイとドライブするのも楽しいですが、ひとりでのドライブも結構するんです。仕事が立て込んでいるときなど、ふらっと夜に湘南とかの海辺に行って、缶コーヒー一本飲んで帰ってくる。この間に考え事をしたり、悩んでいることがあれば、整理したりもできる。また、いいクルマに触れながら、“俺ももっとやらなきゃ”って気を引き締めることもあります」
「デニムの世界もクルマと同様に奥が深くて。メルセデスもそうですが、長い歴史のあるものって、常にユーザーの心を勝ち取っているものですよね。しかもその歴史のなかでさまざまな出来事もある。デニムもクルマも、変わらないところがありながら、時代のなかで大きく変えてきたところもある。その挑戦によって生まれた進化の過程なども、自分には非常に興味深い。ブランドが長く続いているのは信頼の証。これまで相当戦い抜いてきたんだろうなと」
「好きなものに囲まれて生きていたいという思いが強いんです。好きなものや、憧れのものを手に入れるためなら、仕事も頑張れますから」
自身の「好き」を追求しながら、さまざまなことに挑戦したいという藤ヶ谷さん。
「近年、自分の個性を汲んでいただいたうえで指名される仕事も多いのですが、『自分のこだわりを極めた証』のようにも感じています。好きを続けるのは、ブレていないことの表れ。これが結局は説得力に繋がってくるんだと思います。好きでもないのに、流行しているから、という理由でその流れに乗るのは、自分らしくないと感じています。だから、あえて流行の逆を行ってみたり、天邪鬼なことも考えたりもします。自分らしくありながら、みなさんに喜んでもらえるのはうれしい限りです」
これからの藤ヶ谷太輔さんについて、最後に聞いてみた。
「将来のことを何度考えてもたどり着く結論は、やはりグループのメンバーの大切さです。長年、共に歩んできたメンバーは自分にとって特別な存在。グループ活動でも、新たな挑戦をしていきたい。そして、自分自身ではインスタグラムを開設したので、自分の『好き』を積極的に発信していきたい」
さまざまな時代の流れのなかにあっても、好きを原動力に、好きなものに囲まれて自然体でいることの大事さを語る藤ヶ谷さん。
挑戦し、進化を続ける“SL”と触れ合い、未来を見据える。その先には、きっとメルセデスと同じく、ブレることのない藤ヶ谷太輔さんの姿があり続けるのだろう。
品格溢れるスポーツカー“SL 63”に藤ヶ谷太輔が共鳴
藤ヶ谷さんにとって外観は重要だそうで、現在愛用するメルセデスに対しても、大人の所有物としての悦楽に浸ることもしばしばだという。
「駐車場に向かってクルマに乗りに行くその瞬間に、クルマの顔を見るだけでもグッとテンションが上がります。用もないのに愛車の写真を撮ってみたりして。いつ撮影しても変わらないはずなのに、なんか今日はいい顔してる!とか言ってニヤついていますよ(笑)」
一方で、「インテリアも当然、随所に丁寧な仕上げが見て取れますが、包み込まれるようなシートの座り心地なんかは、本当にリラックスできますよね」と“大人らしい品格”と評した居住性にも触れ、ホスピタリティを存分に満喫したようだ。
スポーツカーとしての走りとラグジュアリーなセンス。まさに本モデルが体現する世界観を体感した藤ヶ谷さん。
「世界中にファンがいるメルセデスですから、新型を出すときのプレッシャーは尋常ではないと思うんです。特に、名車としてのステイタスがあるSLシリーズとなれば、なおさらでしょう。それでも、ブレることのないブランドの芯が感じられる高いクオリティで仕上げてくるわけですからね」
物作りにたずさわり、その困難を知る藤ヶ谷さんだからこそ、多大なるリスペクトを表していたのは印象的だった。
軸がブレない大人にフィットするSL
自身もメルセデスを乗り継いできたオーナーで、いつかは「SL」にと考えている模様。メルセデス愛も人一倍強いのにも理由がある。
「メルセデスは自分のなかでは絶対的な存在で、子供の頃からの憧れでした。乗ったからこそわかる物作りへのこだわりも強く感じます。
身の丈以上のものを手に入れて自分を発奮させるって、よく言うじゃないですか。デビューした24歳で初めて購入したメルセデスに9年間乗って、今は別の車種に乗り替えていますが、それでもメルセデス一筋。自慢したいとか、ステイタスを表現したいとかではなく、自分を昂らせたいという感覚です。
自分の好きな時間に、自分の好きなクルマに乗ってどこかに行く。すると、気持ちよさと同時に、“もうちょい頑張れよ”って支えてもらっているような感覚もあるんです」
そんな彼のカーライフに迫ると、とりわけ一人のドライブは自身にとっても大切な時間なのだという。
「みんなでワイワイとドライブするのも楽しいですが、ひとりでのドライブも結構するんです。仕事が立て込んでいるときなど、ふらっと夜に湘南とかの海辺に行って、缶コーヒー一本飲んで帰ってくる。この間に考え事をしたり、悩んでいることがあれば、整理したりもできる。また、いいクルマに触れながら、“俺ももっとやらなきゃ”って気を引き締めることもあります」
「デニムの世界もクルマと同様に奥が深くて。メルセデスもそうですが、長い歴史のあるものって、常にユーザーの心を勝ち取っているものですよね。しかもその歴史のなかでさまざまな出来事もある。デニムもクルマも、変わらないところがありながら、時代のなかで大きく変えてきたところもある。その挑戦によって生まれた進化の過程なども、自分には非常に興味深い。ブランドが長く続いているのは信頼の証。これまで相当戦い抜いてきたんだろうなと」
「好きなものに囲まれて生きていたいという思いが強いんです。好きなものや、憧れのものを手に入れるためなら、仕事も頑張れますから」
自身の「好き」を追求しながら、さまざまなことに挑戦したいという藤ヶ谷さん。
「近年、自分の個性を汲んでいただいたうえで指名される仕事も多いのですが、『自分のこだわりを極めた証』のようにも感じています。好きを続けるのは、ブレていないことの表れ。これが結局は説得力に繋がってくるんだと思います。好きでもないのに、流行しているから、という理由でその流れに乗るのは、自分らしくないと感じています。だから、あえて流行の逆を行ってみたり、天邪鬼なことも考えたりもします。自分らしくありながら、みなさんに喜んでもらえるのはうれしい限りです」
これからの藤ヶ谷太輔さんについて、最後に聞いてみた。
「将来のことを何度考えてもたどり着く結論は、やはりグループのメンバーの大切さです。長年、共に歩んできたメンバーは自分にとって特別な存在。グループ活動でも、新たな挑戦をしていきたい。そして、自分自身ではインスタグラムを開設したので、自分の『好き』を積極的に発信していきたい」
さまざまな時代の流れのなかにあっても、好きを原動力に、好きなものに囲まれて自然体でいることの大事さを語る藤ヶ谷さん。
挑戦し、進化を続ける“SL”と触れ合い、未来を見据える。その先には、きっとメルセデスと同じく、ブレることのない藤ヶ谷太輔さんの姿があり続けるのだろう。
#犬饲贵丈[超话]#
ドラマ『絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男 2024』全話あらすじ!新場面写真解禁!
第1話
【VS接触】
突然身体を鍛え始めるモブ(犬飼貴丈)。なぜか?それは、このBL世界において、転びそうになったところを助けられるといった偶然の接触が恋の着火点となるという鉄則を知っているから。そんな事態を避けるべくトレーニングに励むモブだったが、避けがたい接触のシチュエーションが訪れて…。
【VSハロウィン】
ハロウィンパーティへと赴いたモブは、そこで繰り広げられる男たちのコスプレ合戦にこのBL世界の厳しさと儚さを垣間見るのだった。そんなモブの目の前に、完璧なコスプレの赤ずきんが現われ、そのかわいらしさに思わず目を奪われるが…。
第2話
【VS匂い】
今朝も警察犬並みの嗅覚を働かせ、匂いだけで朝食のメニューを全て当ててしまうモブ。大学では同じシャンプーの香りを振りまくクラスメイトたちから、恋の“匂わせ”を感じ取る。そう、匂いとはこのBL世界において、恋を生み出す重要な要素なのである。だが、そんなモブ自身が匂いをきっかけに恋のフラグに引きずり込まれる事態が…。
【VS年の差レンアイ】
大学の学食のスタッフさえもイケオジであるのが、このBがLする世界。今日もそんな恋のフラグを華麗にスルーするモブだったが、帰り道の途中で泣いている女子中学生…いや、かわいらしい男子中学生に遭遇! 逆パターンの年の差レンアイのフラグに身構えるが…
第3話
【VS告白】
年の差BLフラグを巧みに回避したはずのモブだったが、そんな彼の前に突然、男子高校生・旗野(世古口凌)が現われ「好きです」と告白する。モブの必死のはぐらかし作戦にも1ミリも動じることなく旗野はモブに「俺のこと覚えてないですか?」と問い、8年前の忘れられない思い出を語り始める——。
【VSキューピッド】
旗野の告白を何とか回避するため、BL世界の法則にのっとって「恋のキューピッド作戦」を発動させることにしたモブ。綾人(ゆうたろう)が他の友人らと一緒に旗野を家に連れてきたタイミングで、旗野と他の友人をくっつけるべくあれこれと画策するのだが…。
第4話
【VSコンプライアンス】
「二人で話したいことがある」とモブを呼び出した旗野。自身が未成年であるという“コンプライアンス”の問題で、モブが逮捕されてしまうのではないかという心配からモブへの告白を自ら保留し「3年後にまた告白する」と告げて走り去るのだった…。
【VS学園祭】
綾人の高校の学園祭を訪れたモブ。男女共学であるにもかかわらず、BがLする世界の鉄則として、舞台上では男たちによる定番の演劇「シンデレラ」が上演されていた。てっきり弟の綾人と、その彼氏・東條(塩野瑛久)が王子とシンデレラを演じるものだと思い、カメラを片手に出番を待つモブであったが…。
第5話
【VSなれそめ】
雨の日をきっかけに付き合うことになったカップル、飲み会帰りに酔った勢いで関係を結び、そのまま付き合うことになったカップルなど、愛し合う2人のなれそめはいろいろ。モブは、何気なく綾人に東條と付き合うことになったきっかけを尋ねるが、そこには驚きのドラマが…。
【VS助っ人】
「ちょっと頼まれてくれる?」——そんな“助っ人”のお願いはBLの始まり。この世界の鉄則を熟知するモブは存在感を消して、助っ人として声を掛けられることを回避していたが、なぜかある撮影現場のエキストラをお願いされてしまう。しかも、現場で旗野と再会してしまい…。
第6話
【VS撮影】
思わぬ形での再会を果たしたモブと旗野。さらに主演俳優に起きたアクシデントによって急遽、2人は主役として恋人未満の友達という関係を演じることに。モブからの突然のメインへの昇格、しかも相手が旗野ということに戸惑うモブだったが…。
【VSフォーリンラブ】
撮影を通じて少しだけ距離が縮まったかに見えたモブと旗野だったが、そんな2人の前に海外留学から一時帰国した菊池(伊藤あさひ)が突然現れ、モブを中心としたまさかの三角関係が勃発する! 果たしてモブは、この人生最大のBLフラグを回避することができるのか——?
出演:犬飼貴丈
ゆうたろう 伊藤あさひ / 塩野瑛久 / 和田颯(特別出演)世古口凌 富永勇也
(第1話)小林希大 溝口雄大 大津夕陽 八神慶仁郎 緑川青真 黒条奏斗 伊藤尚史
(第2話)大川航 吉川康太 中村嘉惟人 太田将熙 鬼倉龍大 宮内巽 古賀瑠
(第3話)宗像隼司 KOH 瀬名陽斗 (第4話)堀海登 関隼汰 荒井啓志
(第5話)百瀬拓実 鈴々木響 渡辺優哉 チャンス大城
(第5・6話)弓削湊
主題歌:GENIC「New Game!!」
原作:紺吉『絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男』(新潮社刊)
監督:本田隆一、青木達也
脚本:川崎いづみ (※崎はたつさき)
音楽:小山絵里奈
企画制作:Amazing Entertainment / 制作プロダクション:ファインエンターテイメント
製作協力:よしもとブロードエンタテインメント / 製作著作:FANY Studio
4月23日(火)12時よりLemino(レミノ)にて独占配信開始
全6話 ※第1話無料、第2話~第6話配信開始から3か月間無料
ドラマ『絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男 2024』全話あらすじ!新場面写真解禁!
第1話
【VS接触】
突然身体を鍛え始めるモブ(犬飼貴丈)。なぜか?それは、このBL世界において、転びそうになったところを助けられるといった偶然の接触が恋の着火点となるという鉄則を知っているから。そんな事態を避けるべくトレーニングに励むモブだったが、避けがたい接触のシチュエーションが訪れて…。
【VSハロウィン】
ハロウィンパーティへと赴いたモブは、そこで繰り広げられる男たちのコスプレ合戦にこのBL世界の厳しさと儚さを垣間見るのだった。そんなモブの目の前に、完璧なコスプレの赤ずきんが現われ、そのかわいらしさに思わず目を奪われるが…。
第2話
【VS匂い】
今朝も警察犬並みの嗅覚を働かせ、匂いだけで朝食のメニューを全て当ててしまうモブ。大学では同じシャンプーの香りを振りまくクラスメイトたちから、恋の“匂わせ”を感じ取る。そう、匂いとはこのBL世界において、恋を生み出す重要な要素なのである。だが、そんなモブ自身が匂いをきっかけに恋のフラグに引きずり込まれる事態が…。
【VS年の差レンアイ】
大学の学食のスタッフさえもイケオジであるのが、このBがLする世界。今日もそんな恋のフラグを華麗にスルーするモブだったが、帰り道の途中で泣いている女子中学生…いや、かわいらしい男子中学生に遭遇! 逆パターンの年の差レンアイのフラグに身構えるが…
第3話
【VS告白】
年の差BLフラグを巧みに回避したはずのモブだったが、そんな彼の前に突然、男子高校生・旗野(世古口凌)が現われ「好きです」と告白する。モブの必死のはぐらかし作戦にも1ミリも動じることなく旗野はモブに「俺のこと覚えてないですか?」と問い、8年前の忘れられない思い出を語り始める——。
【VSキューピッド】
旗野の告白を何とか回避するため、BL世界の法則にのっとって「恋のキューピッド作戦」を発動させることにしたモブ。綾人(ゆうたろう)が他の友人らと一緒に旗野を家に連れてきたタイミングで、旗野と他の友人をくっつけるべくあれこれと画策するのだが…。
第4話
【VSコンプライアンス】
「二人で話したいことがある」とモブを呼び出した旗野。自身が未成年であるという“コンプライアンス”の問題で、モブが逮捕されてしまうのではないかという心配からモブへの告白を自ら保留し「3年後にまた告白する」と告げて走り去るのだった…。
【VS学園祭】
綾人の高校の学園祭を訪れたモブ。男女共学であるにもかかわらず、BがLする世界の鉄則として、舞台上では男たちによる定番の演劇「シンデレラ」が上演されていた。てっきり弟の綾人と、その彼氏・東條(塩野瑛久)が王子とシンデレラを演じるものだと思い、カメラを片手に出番を待つモブであったが…。
第5話
【VSなれそめ】
雨の日をきっかけに付き合うことになったカップル、飲み会帰りに酔った勢いで関係を結び、そのまま付き合うことになったカップルなど、愛し合う2人のなれそめはいろいろ。モブは、何気なく綾人に東條と付き合うことになったきっかけを尋ねるが、そこには驚きのドラマが…。
【VS助っ人】
「ちょっと頼まれてくれる?」——そんな“助っ人”のお願いはBLの始まり。この世界の鉄則を熟知するモブは存在感を消して、助っ人として声を掛けられることを回避していたが、なぜかある撮影現場のエキストラをお願いされてしまう。しかも、現場で旗野と再会してしまい…。
第6話
【VS撮影】
思わぬ形での再会を果たしたモブと旗野。さらに主演俳優に起きたアクシデントによって急遽、2人は主役として恋人未満の友達という関係を演じることに。モブからの突然のメインへの昇格、しかも相手が旗野ということに戸惑うモブだったが…。
【VSフォーリンラブ】
撮影を通じて少しだけ距離が縮まったかに見えたモブと旗野だったが、そんな2人の前に海外留学から一時帰国した菊池(伊藤あさひ)が突然現れ、モブを中心としたまさかの三角関係が勃発する! 果たしてモブは、この人生最大のBLフラグを回避することができるのか——?
出演:犬飼貴丈
ゆうたろう 伊藤あさひ / 塩野瑛久 / 和田颯(特別出演)世古口凌 富永勇也
(第1話)小林希大 溝口雄大 大津夕陽 八神慶仁郎 緑川青真 黒条奏斗 伊藤尚史
(第2話)大川航 吉川康太 中村嘉惟人 太田将熙 鬼倉龍大 宮内巽 古賀瑠
(第3話)宗像隼司 KOH 瀬名陽斗 (第4話)堀海登 関隼汰 荒井啓志
(第5話)百瀬拓実 鈴々木響 渡辺優哉 チャンス大城
(第5・6話)弓削湊
主題歌:GENIC「New Game!!」
原作:紺吉『絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男』(新潮社刊)
監督:本田隆一、青木達也
脚本:川崎いづみ (※崎はたつさき)
音楽:小山絵里奈
企画制作:Amazing Entertainment / 制作プロダクション:ファインエンターテイメント
製作協力:よしもとブロードエンタテインメント / 製作著作:FANY Studio
4月23日(火)12時よりLemino(レミノ)にて独占配信開始
全6話 ※第1話無料、第2話~第6話配信開始から3か月間無料
D坂の殺人事件(一)
江戸川乱歩
(上)事実
それは九月初旬のある蒸し暑い晩のことであった。私は、D坂の大通りの中程にある、白梅軒はくばいけんという、行きつけのカフェで、冷しコーヒーを啜すすっていた。当時私は、学校を出たばかりで、まだこれという職業もなく、下宿屋にゴロゴロして本でも読んでいるか、それに飽ると、当てどもなく散歩に出て、あまり費用のかからぬカフェ廻りをやる位が、毎日の日課だった。この白梅軒というのは、下宿屋から近くもあり、どこへ散歩するにも、必ずその前を通る様な位置にあったので、随したがって一番よく出入した訳であったが、私という男は悪い癖で、カフェに入るとどうも長尻ながっちりになる。それも、元来食慾の少い方なので、一つは嚢中のうちゅうの乏しいせいもあってだが、洋食一皿注文するでなく、安いコーヒーを二杯も三杯もお代りして、一時間も二時間もじっとしているのだ。そうかといって、別段、ウエトレスに思召おぼしめしがあったり、からかったりする訳ではない。まあ、下宿より何となく派手で、居心地がいいのだろう。私はその晩も、例によって、一杯の冷しコーヒーを十分もかかって飲みながら、いつもの往来に面したテーブルに陣取って、ボンヤリ窓の外を眺めていた。
さて、この白梅軒のあるD坂というのは、以前菊人形きくにんぎょうの名所だった所で、狭かった通りが、市区改正で取拡げられ、何間なんげん道路とかいう大通になって間もなくだから、まだ大通の両側に所々空地などもあって、今よりずっと淋しかった時分の話だ。大通を越して白梅軒の丁度真向うに、一軒の古本屋がある。実は私は、先程から、そこの店先を眺めていたのだ。みすぼらしい場末ばすえの古本屋で、別段眺める程の景色でもないのだが、私には一寸ちょっと特別の興味があった。というのは、私が近頃この白梅軒で知合になった一人の妙な男があって、名前は明智小五郎あけちこごろうというのだが、話をして見ると如何いかにも変り者で、それで頭がよさ相で、私の惚れ込んだことには、探偵小説好なのだが、その男の幼馴染の女が今ではこの古本屋の女房になっているという事を、この前、彼から聞いていたからだった。二三度本を買って覚えている所によれば、この古本屋の細君というのが、却々なかなかの美人で、どこがどういうではないが、何となく官能的に男を引きつける様な所があるのだ。彼女は夜はいつでも店番をしているのだから、今晩もいるに違いないと、店中を、といっても二間半間口の手狭てぜまな店だけれど、探して見たが、誰れもいない。いずれそのうちに出て来るのだろうと、私はじっと目で待っていたものだ。
だが、女房は却々出て来ない。で、いい加減面倒臭くなって、隣の時計屋へ目を移そうとしている時であった。私はふと店と奥の間との境に閉めてある障子の格子戸がピッシャリ閉るのを見つけた。――その障子は、専門家の方では無窓むそうと称するもので、普通、紙をはるべき中央の部分が、こまかい縦の二重の格子になっていて、それが開閉出来るのだ――ハテ変なこともあるものだ。古本屋などというものは、万引され易い商売だから、仮令たとい店に番をしていなくても、奥に人がいて、障子のすきまなどから、じっと見張っているものなのに、そのすき見の箇所を塞ふさいで了しまうとはおかしい、寒い時分なら兎とも角かく、九月になったばかりのこんな蒸し暑い晩だのに、第一あの障子が閉切ってあるのから変だ。そんな風に色々考えて見ると、古本屋の奥の間に何事かあり相で、私は目を移す気にはなれなかった。
古本屋の細君といえば、ある時、このカフェのウエトレス達が、妙な噂をしているのを聞いたことがある。何でも、銭湯で出逢うお神かみさんや娘達の棚卸たなおろしの続きらしかったが、「古本屋のお神さんは、あんな綺麗きれいな人だけれど、裸体はだかになると、身体中傷だらけだ、叩かれたり抓つねられたりした痕あとに違いないわ。別に夫婦仲が悪くもない様だのに、おかしいわねえ」すると別の女がそれを受けて喋るのだ。「あの並びの蕎麦屋そばやの旭屋あさひやのお神さんだって、よく傷をしているわ。あれもどうも叩かれた傷に違いないわ」……で、この、噂話が何を意味するか、私は深くも気に止めないで、ただ亭主が邪険なのだろう位に考えたことだが、読者諸君、それが却々そうではなかったのだ。一寸した事柄だが、この物語全体に大きな関係を持っていることが、後になって分った。
それは兎も角、そうして、私は三十分程も同じ所を見詰めていた。虫が知らすとでも云うのか、何だかこう、傍見わきみをしているすきに何事か起り相で、どうも外へ目を向けられなかったのだ。其時、先程一寸名前の出た明智小五郎が、いつもの荒い棒縞ぼうじまの浴衣ゆかたを着て、変に肩を振る歩き方で、窓の外を通りかかった。彼は私に気づくと会釈えしゃくして中へ入って来たが、冷しコーヒーを命じて置いて、私と同じ様に窓の方を向いて、私の隣に腰をかけた。そして、私が一つの所を見詰めているのに気づくと、彼はその私の視線をたどって、同じく向うの古本屋を眺めた。しかも、不思議なことには、彼も亦また如何にも興味ありげに、少しも目をそらさないで、その方を凝視し出したのである。
私達は、そうして、申合せた様に同じ場所を眺めながら、色々の無駄話を取交した。その時私達の間にどんな話題が話されたか、今ではもう忘れてもいるし、それに、この物語には余り関係のないことだから、略するけれど、それが、犯罪や探偵に関したものであったことは確かだ。試みに見本を一つ取出して見ると、
「絶対に発見されない犯罪というのは不可能でしょうか。僕は随分可能性があると思うのですがね。例えば、谷崎潤一郎の『途上』ですね。ああした犯罪は先ず発見されることはありませんよ。尤もっとも、あの小説では、探偵が発見したことになってますけれど、あれは作者のすばらしい想像力が作り出したことですからね」と明智。
「イヤ、僕はそうは思いませんよ。実際問題としてなら兎も角、理論的に云いって、探偵の出来ない犯罪なんてありませんよ。唯、現在の警察に『途上』に出て来る様な偉い探偵がいない丈ですよ」と私。
ざっとこう云った風なのだ。だが、ある瞬間、二人は云い合せた様に、黙り込んで了った。さっきから話しながらも目をそらさないでいた向うの古本屋に、ある面白い事件が発生していたのだ。
「君も気づいている様ですね」
と私が囁くと、彼は即座に答えた。
「本泥坊でしょう。どうも変ですね。僕も此処ここへ入って来た時から、見ていたんですよ。これで四人目ですね」
「君が来てからまだ三十分にもなりませんが、三十分に四人も、少しおかしいですね。僕は君の来る前からあすこを見ていたんですよ。一時間程前にね、あの障子があるでしょう。あれの格子の様になった所が、閉るのを見たんですが、それからずっと注意していたのです」
「家の人が出て行ったのじゃないのですか」
「それが、あの障子は一度も開かなかったのですよ。出て行ったとすれば裏口からでしょうが、……三十分も人がいないなんて確かに変ですよ。どうです。行って見ようじゃありませんか」
「そうですね。家の中に別状ないとしても、外で何かあったのかも知れませんからね」
私はこれが犯罪事件ででもあって呉れれば面白いと思いながらカフェを出た。明智とても同じ思いに違いなかった。彼も少からず興奮しているのだ。
古本屋はよくある型で、店全体土間になっていて、正面と左右に天井まで届く様な本棚を取付け、その腰の所が本を並べる為の台になっている。土間の中央には、島の様に、これも本を並べたり積上げたりする為の、長方形の台が置いてある。そして、正面の本棚の右の方が三尺許ばかりあいていて奥の部屋との通路になり、先に云った一枚の障子が立ててある。いつもは、この障子の前の半畳程の畳敷の所に、主人か、細君がチョコンと坐って番をしているのだ。
明智と私とは、その畳敷の所まで行って、大声に呼んで見たけれど、何の返事もない。果して誰もいないらしい。私は障子を少し開けて、奥の間を覗いて見ると、中は電燈が消えて真暗だが、どうやら、人間らしいものが、部屋の隅に倒れている様子だ。不審に思ってもう一度声をかけたが、返事をしない。
「構わない、上って見ようじゃありませんか」
そこで、二人はドカドカ奥の間へ上り込んで行った。明智の手で電燈のスイッチがひねられた。そのとたん、私達は同時に「アッ」と声を立てた。明るくなった部屋の片隅には、女の死骸が横わっているのだ。
「ここの細君ですね」やっと私が云った。「首を絞められている様ではありませんか」
明智は側へ寄って死体を検しらべていたが、「とても蘇生そせいの見込はありませんよ。早く警察へ知らせなきゃ。僕、自動電話まで行って来ましょう。君、番をしてて下さい。近所へはまだ知らせない方がいいでしょう。手掛りを消して了ってはいけないから」
彼はこう命令的に云い残して、半町許りの所にある自動電話へ飛んで行った。
平常ふだんから、犯罪だ探偵だと、議論丈は却々なかなか一人前にやってのける私だが、さて実際に打ぶっつかったのは初めてだ。手のつけ様がない。私は、ただ、まじまじと部屋の様子を眺めている外はなかった。
部屋は一間切りの六畳で、奥の方は、右一間は幅の狭い縁側をへだてて、二坪許りの庭と便所があり、庭の向うは板塀になっている。――夏のことで、開けぱなしだから、すっかり、見通しなのだ、――左半間は開き戸で、その奥に二畳敷程の板の間があり裏口に接して狭い流し場が見え、そこの腰高障子は閉っている。向って右側は、四枚の襖が閉っていて、中は二階への階段と物入場になっているらしい。ごくありふれた安長屋の間取だ。
死骸は、左側の壁寄りに、店の間の方を頭にして倒れている。私は、なるべく兇行当時の模様を乱すまいとして、一つは気味も悪かったので、死骸の側へ近寄らない様にしていた。でも、狭い部屋のことであり、見まいとしても、自然その方に目が行くのだ。女は荒い中形模様の湯衣ゆかたを着て、殆ど仰向きに倒れている。併し、着物が膝の上の方までまくれて、股ももがむき出しになっている位で、別に抵抗した様子はない。首の所は、よくは分らぬが、どうやら、絞しめられた痕きずが紫色になっているらしい。
表の大通りには往来が絶えない。声高に話し合って、カラカラと日和下駄ひよりげたを引きずって行くのや、酒に酔って流行唄はやりうたをどなって行くのや、至極天下泰平なことだ。そして、障子一重の家の中には、一人の女が惨殺されて横わっている。何という皮肉だ。私は妙にセンティメンタルになって、呆然と佇たたずんでいた。
「すぐ来る相ですよ」
明智が息を切って帰って来た。
「あ、そう」
私は何だか口を利くのも大儀たいぎになっていた。二人は長い間、一言も云わないで顔を見合せていた。
江戸川乱歩
(上)事実
それは九月初旬のある蒸し暑い晩のことであった。私は、D坂の大通りの中程にある、白梅軒はくばいけんという、行きつけのカフェで、冷しコーヒーを啜すすっていた。当時私は、学校を出たばかりで、まだこれという職業もなく、下宿屋にゴロゴロして本でも読んでいるか、それに飽ると、当てどもなく散歩に出て、あまり費用のかからぬカフェ廻りをやる位が、毎日の日課だった。この白梅軒というのは、下宿屋から近くもあり、どこへ散歩するにも、必ずその前を通る様な位置にあったので、随したがって一番よく出入した訳であったが、私という男は悪い癖で、カフェに入るとどうも長尻ながっちりになる。それも、元来食慾の少い方なので、一つは嚢中のうちゅうの乏しいせいもあってだが、洋食一皿注文するでなく、安いコーヒーを二杯も三杯もお代りして、一時間も二時間もじっとしているのだ。そうかといって、別段、ウエトレスに思召おぼしめしがあったり、からかったりする訳ではない。まあ、下宿より何となく派手で、居心地がいいのだろう。私はその晩も、例によって、一杯の冷しコーヒーを十分もかかって飲みながら、いつもの往来に面したテーブルに陣取って、ボンヤリ窓の外を眺めていた。
さて、この白梅軒のあるD坂というのは、以前菊人形きくにんぎょうの名所だった所で、狭かった通りが、市区改正で取拡げられ、何間なんげん道路とかいう大通になって間もなくだから、まだ大通の両側に所々空地などもあって、今よりずっと淋しかった時分の話だ。大通を越して白梅軒の丁度真向うに、一軒の古本屋がある。実は私は、先程から、そこの店先を眺めていたのだ。みすぼらしい場末ばすえの古本屋で、別段眺める程の景色でもないのだが、私には一寸ちょっと特別の興味があった。というのは、私が近頃この白梅軒で知合になった一人の妙な男があって、名前は明智小五郎あけちこごろうというのだが、話をして見ると如何いかにも変り者で、それで頭がよさ相で、私の惚れ込んだことには、探偵小説好なのだが、その男の幼馴染の女が今ではこの古本屋の女房になっているという事を、この前、彼から聞いていたからだった。二三度本を買って覚えている所によれば、この古本屋の細君というのが、却々なかなかの美人で、どこがどういうではないが、何となく官能的に男を引きつける様な所があるのだ。彼女は夜はいつでも店番をしているのだから、今晩もいるに違いないと、店中を、といっても二間半間口の手狭てぜまな店だけれど、探して見たが、誰れもいない。いずれそのうちに出て来るのだろうと、私はじっと目で待っていたものだ。
だが、女房は却々出て来ない。で、いい加減面倒臭くなって、隣の時計屋へ目を移そうとしている時であった。私はふと店と奥の間との境に閉めてある障子の格子戸がピッシャリ閉るのを見つけた。――その障子は、専門家の方では無窓むそうと称するもので、普通、紙をはるべき中央の部分が、こまかい縦の二重の格子になっていて、それが開閉出来るのだ――ハテ変なこともあるものだ。古本屋などというものは、万引され易い商売だから、仮令たとい店に番をしていなくても、奥に人がいて、障子のすきまなどから、じっと見張っているものなのに、そのすき見の箇所を塞ふさいで了しまうとはおかしい、寒い時分なら兎とも角かく、九月になったばかりのこんな蒸し暑い晩だのに、第一あの障子が閉切ってあるのから変だ。そんな風に色々考えて見ると、古本屋の奥の間に何事かあり相で、私は目を移す気にはなれなかった。
古本屋の細君といえば、ある時、このカフェのウエトレス達が、妙な噂をしているのを聞いたことがある。何でも、銭湯で出逢うお神かみさんや娘達の棚卸たなおろしの続きらしかったが、「古本屋のお神さんは、あんな綺麗きれいな人だけれど、裸体はだかになると、身体中傷だらけだ、叩かれたり抓つねられたりした痕あとに違いないわ。別に夫婦仲が悪くもない様だのに、おかしいわねえ」すると別の女がそれを受けて喋るのだ。「あの並びの蕎麦屋そばやの旭屋あさひやのお神さんだって、よく傷をしているわ。あれもどうも叩かれた傷に違いないわ」……で、この、噂話が何を意味するか、私は深くも気に止めないで、ただ亭主が邪険なのだろう位に考えたことだが、読者諸君、それが却々そうではなかったのだ。一寸した事柄だが、この物語全体に大きな関係を持っていることが、後になって分った。
それは兎も角、そうして、私は三十分程も同じ所を見詰めていた。虫が知らすとでも云うのか、何だかこう、傍見わきみをしているすきに何事か起り相で、どうも外へ目を向けられなかったのだ。其時、先程一寸名前の出た明智小五郎が、いつもの荒い棒縞ぼうじまの浴衣ゆかたを着て、変に肩を振る歩き方で、窓の外を通りかかった。彼は私に気づくと会釈えしゃくして中へ入って来たが、冷しコーヒーを命じて置いて、私と同じ様に窓の方を向いて、私の隣に腰をかけた。そして、私が一つの所を見詰めているのに気づくと、彼はその私の視線をたどって、同じく向うの古本屋を眺めた。しかも、不思議なことには、彼も亦また如何にも興味ありげに、少しも目をそらさないで、その方を凝視し出したのである。
私達は、そうして、申合せた様に同じ場所を眺めながら、色々の無駄話を取交した。その時私達の間にどんな話題が話されたか、今ではもう忘れてもいるし、それに、この物語には余り関係のないことだから、略するけれど、それが、犯罪や探偵に関したものであったことは確かだ。試みに見本を一つ取出して見ると、
「絶対に発見されない犯罪というのは不可能でしょうか。僕は随分可能性があると思うのですがね。例えば、谷崎潤一郎の『途上』ですね。ああした犯罪は先ず発見されることはありませんよ。尤もっとも、あの小説では、探偵が発見したことになってますけれど、あれは作者のすばらしい想像力が作り出したことですからね」と明智。
「イヤ、僕はそうは思いませんよ。実際問題としてなら兎も角、理論的に云いって、探偵の出来ない犯罪なんてありませんよ。唯、現在の警察に『途上』に出て来る様な偉い探偵がいない丈ですよ」と私。
ざっとこう云った風なのだ。だが、ある瞬間、二人は云い合せた様に、黙り込んで了った。さっきから話しながらも目をそらさないでいた向うの古本屋に、ある面白い事件が発生していたのだ。
「君も気づいている様ですね」
と私が囁くと、彼は即座に答えた。
「本泥坊でしょう。どうも変ですね。僕も此処ここへ入って来た時から、見ていたんですよ。これで四人目ですね」
「君が来てからまだ三十分にもなりませんが、三十分に四人も、少しおかしいですね。僕は君の来る前からあすこを見ていたんですよ。一時間程前にね、あの障子があるでしょう。あれの格子の様になった所が、閉るのを見たんですが、それからずっと注意していたのです」
「家の人が出て行ったのじゃないのですか」
「それが、あの障子は一度も開かなかったのですよ。出て行ったとすれば裏口からでしょうが、……三十分も人がいないなんて確かに変ですよ。どうです。行って見ようじゃありませんか」
「そうですね。家の中に別状ないとしても、外で何かあったのかも知れませんからね」
私はこれが犯罪事件ででもあって呉れれば面白いと思いながらカフェを出た。明智とても同じ思いに違いなかった。彼も少からず興奮しているのだ。
古本屋はよくある型で、店全体土間になっていて、正面と左右に天井まで届く様な本棚を取付け、その腰の所が本を並べる為の台になっている。土間の中央には、島の様に、これも本を並べたり積上げたりする為の、長方形の台が置いてある。そして、正面の本棚の右の方が三尺許ばかりあいていて奥の部屋との通路になり、先に云った一枚の障子が立ててある。いつもは、この障子の前の半畳程の畳敷の所に、主人か、細君がチョコンと坐って番をしているのだ。
明智と私とは、その畳敷の所まで行って、大声に呼んで見たけれど、何の返事もない。果して誰もいないらしい。私は障子を少し開けて、奥の間を覗いて見ると、中は電燈が消えて真暗だが、どうやら、人間らしいものが、部屋の隅に倒れている様子だ。不審に思ってもう一度声をかけたが、返事をしない。
「構わない、上って見ようじゃありませんか」
そこで、二人はドカドカ奥の間へ上り込んで行った。明智の手で電燈のスイッチがひねられた。そのとたん、私達は同時に「アッ」と声を立てた。明るくなった部屋の片隅には、女の死骸が横わっているのだ。
「ここの細君ですね」やっと私が云った。「首を絞められている様ではありませんか」
明智は側へ寄って死体を検しらべていたが、「とても蘇生そせいの見込はありませんよ。早く警察へ知らせなきゃ。僕、自動電話まで行って来ましょう。君、番をしてて下さい。近所へはまだ知らせない方がいいでしょう。手掛りを消して了ってはいけないから」
彼はこう命令的に云い残して、半町許りの所にある自動電話へ飛んで行った。
平常ふだんから、犯罪だ探偵だと、議論丈は却々なかなか一人前にやってのける私だが、さて実際に打ぶっつかったのは初めてだ。手のつけ様がない。私は、ただ、まじまじと部屋の様子を眺めている外はなかった。
部屋は一間切りの六畳で、奥の方は、右一間は幅の狭い縁側をへだてて、二坪許りの庭と便所があり、庭の向うは板塀になっている。――夏のことで、開けぱなしだから、すっかり、見通しなのだ、――左半間は開き戸で、その奥に二畳敷程の板の間があり裏口に接して狭い流し場が見え、そこの腰高障子は閉っている。向って右側は、四枚の襖が閉っていて、中は二階への階段と物入場になっているらしい。ごくありふれた安長屋の間取だ。
死骸は、左側の壁寄りに、店の間の方を頭にして倒れている。私は、なるべく兇行当時の模様を乱すまいとして、一つは気味も悪かったので、死骸の側へ近寄らない様にしていた。でも、狭い部屋のことであり、見まいとしても、自然その方に目が行くのだ。女は荒い中形模様の湯衣ゆかたを着て、殆ど仰向きに倒れている。併し、着物が膝の上の方までまくれて、股ももがむき出しになっている位で、別に抵抗した様子はない。首の所は、よくは分らぬが、どうやら、絞しめられた痕きずが紫色になっているらしい。
表の大通りには往来が絶えない。声高に話し合って、カラカラと日和下駄ひよりげたを引きずって行くのや、酒に酔って流行唄はやりうたをどなって行くのや、至極天下泰平なことだ。そして、障子一重の家の中には、一人の女が惨殺されて横わっている。何という皮肉だ。私は妙にセンティメンタルになって、呆然と佇たたずんでいた。
「すぐ来る相ですよ」
明智が息を切って帰って来た。
「あ、そう」
私は何だか口を利くのも大儀たいぎになっていた。二人は長い間、一言も云わないで顔を見合せていた。
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