中田顕史郎さんhttps://t.cn/A6TXhc9u
配信もあと1週間ほど。
ぜひご覧くださいネ。
自分周りの裏話を少し続けます。
リハはめっちゃ大事だなんですけど、リハできないところこそ生ドラでもあるわけで。放送上はルヴァンのシーンが終わったら、サプライズゲストと衣装チェンジした藤原くんが偶然出会うわけですが。
でも裏目線だと、その10分前に初めて4階でみやぞんさんとご挨拶。ホント驚いたなあ、しかも赤い!
挨拶もそこそこに、みやぞんさんは柱の影に。
下の階で松也さんが電話に叫んでるのが聞こえハマケンさんが下から到着、小川親子がのぼってきて、僕らの一連に突入!なのです。
柱の影からガン見しているみやぞんさん、だんだん体ごと出てくるみやぞんさん。そっちにあんまり気を取られてる場合じゃない90秒でルヴァンCMをやり切らねばならない我々。ホナミさんたちがカメラの向こうに去ると、一拍おいて矢崎が!いったい何を着てくるのか!?
JKだ!前回のシンガロングが「猫」だったので、今回は「犬」かな?という予想が外れたと思いつつ、カメラにうつっているので、ハマケンさんとルヴァンの箱をもってアドリブを続ける。でも、みやぞんさんが全然階段へと降りていかない!リハでは、藤原くんが誘うと、
代役の人たちはすぐに大階段に降りていったのですが、そこは生ドラ。想定外。その場で漫才が始まりそうな感じ。僕は思わず心で笑っていたけど、とにかく強引に下に連れ去ろうと頑張る丈くん。
ハマケンさんの座り位置は、二人が見えそうで見えない位置なので、
音声さんが我々の声はオフにしてるのを確信しつつ、小さな声で「丈くん、JKです。」と伝えると「マジ?」っていう反応。いずれにせよ着替え四択どれでも、足出てるから「屋上寒いねん!」と言ってたなあーと思ってると、とうとう、みやぞんさんを階下につれてく矢崎。
そう、矢崎はここからリハは代役のみ実際は本番一発な相手役が連続、最後に出番はここだけ!なクローク受付が待ってるシーンに突入。要するに台本の構造上、矢崎に圧をかけて爪痕を残そうとするテンション高い側と進行スピードを落とさないぞ!の戦いなわけです。
ある意味、自分たちでハードルをあげて大変だーって言ってるわけですが、それがアガリスクの冨坂流。それが生ドラ!。
攻める三人、防ぐ藤原、みんなガンバレ。
しかもあとでわかったことですが、まさにこのタイミングで、あの事件が!
まだ見てない方にはアレなんですけど、そう、反省会で語られる小手さんのシャッター閉まってる!事件が発生してたのでした。
監督やカメラマンは丈くんとみやぞんさんをカメラで追っかけつつも、イヤホンに「小手さん館内入れません!」という報告が。ひー。
配信もあと1週間ほど。
ぜひご覧くださいネ。
自分周りの裏話を少し続けます。
リハはめっちゃ大事だなんですけど、リハできないところこそ生ドラでもあるわけで。放送上はルヴァンのシーンが終わったら、サプライズゲストと衣装チェンジした藤原くんが偶然出会うわけですが。
でも裏目線だと、その10分前に初めて4階でみやぞんさんとご挨拶。ホント驚いたなあ、しかも赤い!
挨拶もそこそこに、みやぞんさんは柱の影に。
下の階で松也さんが電話に叫んでるのが聞こえハマケンさんが下から到着、小川親子がのぼってきて、僕らの一連に突入!なのです。
柱の影からガン見しているみやぞんさん、だんだん体ごと出てくるみやぞんさん。そっちにあんまり気を取られてる場合じゃない90秒でルヴァンCMをやり切らねばならない我々。ホナミさんたちがカメラの向こうに去ると、一拍おいて矢崎が!いったい何を着てくるのか!?
JKだ!前回のシンガロングが「猫」だったので、今回は「犬」かな?という予想が外れたと思いつつ、カメラにうつっているので、ハマケンさんとルヴァンの箱をもってアドリブを続ける。でも、みやぞんさんが全然階段へと降りていかない!リハでは、藤原くんが誘うと、
代役の人たちはすぐに大階段に降りていったのですが、そこは生ドラ。想定外。その場で漫才が始まりそうな感じ。僕は思わず心で笑っていたけど、とにかく強引に下に連れ去ろうと頑張る丈くん。
ハマケンさんの座り位置は、二人が見えそうで見えない位置なので、
音声さんが我々の声はオフにしてるのを確信しつつ、小さな声で「丈くん、JKです。」と伝えると「マジ?」っていう反応。いずれにせよ着替え四択どれでも、足出てるから「屋上寒いねん!」と言ってたなあーと思ってると、とうとう、みやぞんさんを階下につれてく矢崎。
そう、矢崎はここからリハは代役のみ実際は本番一発な相手役が連続、最後に出番はここだけ!なクローク受付が待ってるシーンに突入。要するに台本の構造上、矢崎に圧をかけて爪痕を残そうとするテンション高い側と進行スピードを落とさないぞ!の戦いなわけです。
ある意味、自分たちでハードルをあげて大変だーって言ってるわけですが、それがアガリスクの冨坂流。それが生ドラ!。
攻める三人、防ぐ藤原、みんなガンバレ。
しかもあとでわかったことですが、まさにこのタイミングで、あの事件が!
まだ見てない方にはアレなんですけど、そう、反省会で語られる小手さんのシャッター閉まってる!事件が発生してたのでした。
監督やカメラマンは丈くんとみやぞんさんをカメラで追っかけつつも、イヤホンに「小手さん館内入れません!」という報告が。ひー。
王成(上)
蒲松齢
田中貢太郎訳
王成おうせいは平原へいげんの世家きゅうかの生れであったが、いたって懶なまけ者であったから、日に日に零落れいらくして家は僅か数間のあばら屋をあますのみとなり、細君と乱麻らんまを編んで作った牛衣ぎゅういの中に寝るというようなみすぼらしい生活をしていたが、細君が小言をいうので困っていた。それは夏の燃えるような暑い時であった。その村に周しゅうという家の庭園があって、牆へいは頽くずれ家は破れて、ただ一つの亭あずまやのみが残っていたが、涼しいので村の人達がたくさんそこへ泊りにいった。王成もその一人であった。
ある朝のことであった。寝ていた村の人達は皆帰っていったが、懶け者の王成一人は陽が高く昇るまで寝ていて起き、それでまだぐすぐすしていて帰ろうとすると、草の根もとに金の釵かんざしが一つ光っていた。王成が拾って視ると細かな文字を鐫ほってあった。それは儀賓府造ぎひんふぞうという文字であった。王成の祖父は衡府こうふ儀賓、すなわち衡王の婿となっていたので、家に残っている品物の中にその印のある物が多かった。そこで王成は釵を持ってためらっていると、一人の老婆が来て、
「もしか、この辺あたりに釵は落ちていやしなかったかね。」
といった。王成は貧乏はしても頑固な正直者であったから、すぐ出して渡した。
「これですか。」
老婆はひどく喜んだ。「お前さんは正直者だ。感心な男だ、お蔭でたすかったよ。これは幾等いくらもしないものだが、先の夫の形見かたみでね。」
王成は儀賓府造の印のある品物を遺のこした夫という人の素性が知りたかった。
「あなたの夫というのは、どうした方です。」
と問うた。すると老婆が答えた。
「もとの儀賓の王柬之おうかんしだよ。」
王成は驚いていった。
「それは私のお祖父さんですよ。どうしてあなたに遇ったのでしょう。」
老婆もまた驚いていった。
「ではお前さんは、王柬之の孫だね。私は狐仙こせんだよ。百年前、お前さんのお祖父じいさんに可愛がられてたが、お祖父さんが没なくなったので、私もとうとう身を隠してしまった。それがここを通って釵をおとして、お前さんの手に入ったというのも、天命じゃないかね。」
王成も祖父に狐妻のあったということを聞いていたので、老婆の言葉を信用した。
「そうですよ、天命ですよ、では、これから私の家へいってくれませんか。
というと老婆はそのまま随ついて来た。王成はそこで細君を呼んであわした。細君の頭髪は蓬のように乱れて、顔色は青いうえに薄黒みを帯びていた。老婆はそれを見て、
「あァあァ、王柬之の子孫がこんなにまで貧乏になったのか。」
と歎息してふりかえった。そこに敗れた竈かまどはあったが、火を焚たいた痕あとも見えなかった。老婆はいった。
「こんなことで、どうして生きてゆかれる。」
そこで細君は細かに貧乏の状態を話して泣きじゃくりした。老婆は彼かの釵かんざしを細君にやって、
「それを質に入れてお米を買うがいい。」
といいつけて、帰りしたくをして、
「三日したらまた来るよ。」
といった。王成はそれをおし留とどめた。
「どうか家にいてくださいよ。」
老婆は、
「お前さんは、一人のお神さんとさえくらしていくことができないじゃないかね。私が一緒になって、じっとしていちゃなお困るじゃないかね。」
といってとうとういってしまった。王成はその後で、細君に老婆が人間でなくて狐仙であるということを話した。細君は顔色を変えて怖おそれた。王成は老婆に義侠心ぎきょうしんのあることを説明して、姑しゅうとめとして事つかえなければならないといったので、細君も承知した。
三日目になって果して老婆が来た。老婆は数枚の金を出して、粟と麦を一石せきずつ買わせ、夜は細君と一緒の寝台に寝た。細君[#「細君」は底本では「組君」]は初めは懼おそれたが、老婆が自分を可愛がってくれる心が解ったので、それからは疑い懼れぬようになった。
翌日になって老婆は王成に話していった。
「お前さんは惰なまけてばかりいちゃいけない。小生業こあきないでもしたらどうだね、坐ってたべていちゃだめだよ。」
王成は、
「商売をしようと思っても、もとでがありませんから。」
といった。すると老婆は、
「お前さんのお祖父さんのおった時は、お金は使いしだいであったが、私は世の中の人でないから、そんな物は入用がないし、べつにもらったことはなかったが、それでも化粧料としてもらったのが積って四十両になって、それがそのまま残っている。貯えて置いても入用がないから、その金で葛布かたびらを買って、すぐ都へいくなら、すこしはもうけがあるだろう。」
といった。王成は老婆の言葉に従って、老婆から金をもらい、その金で五十余端の葛布を買って帰って来た。老婆は、
「これから仕度をして、すぐ出かけるがいい。六日目か七日目には、北京へ往き着くよ。」
といって、その後で、
「一生懸命にやらなくちゃいけないよ。懶なまけちゃいけないよ。それにうんと急いで、ゆるゆるしていちゃだめだよ。一日おくれたらもう後悔してもだめだ。」
と注意した。王成は承知して品物を嚢ふくろに入れて出発したが、途中で雨に遇って、着物も履物はきものもびしょ濡れになった。王成は平生苦労をしたことがないから弱ってしまった。そこで暫く休むつもりで旅館へ入ったが、雨はますます強くざあざあと降りだして夜になってもやまなかった。簷のきを見ると縄のような雨だれがかかっている。仕方しかたなしに一泊して朝になってみると雨はやんでいたが、路のぬかりがひどくて、旅人達は脛すねまで入って往来していた。王成はそれにも弱って待っていると、午ひるになって路がやっと乾いた。そこで出発しようとしていると断きれていた雲がまた合って、また大雨になった。王成は仕方なしにまた一晩泊って翌日出発した。そして北京に近くなって人の噂を聞くと、葛布の価ねがあがったというので、心のうちに喜んで北京へ入って旅館へいった。旅館の主人は王成の荷物を見て、
「しまったなあ。二、三日早かったら、うんともうけるところだったが。」
といって惜おしんだ。それは南方との交通が始まったばかりの時で、葛布が来てもたくさん来なかったうえに、市中の富豪で買う者がたくさんあったので、価が非常にあがって平生と較べて三倍ほどになっていた。それが王成の着く前日になってたくさん着荷があったので、価が急にさがって、後から葛布を持って来た者は皆失望していた。旅館の主人はそのことを王成に話した。王成は失望してふさぎこんでしまった。
翌日になって葛布の着荷がますます多く、価もますますさがった。王成は利益がないので売らずにぐずぐずしているうちに十日あまり経ったので、葛布の価はますますさがり、一方旅館の滞在費用もかさんで来たので、ますます煩悶はんもんした。旅館の主人が見かねて、
「置けば置くほど損をするから、今のうちに売ってしまって、何か他の工夫をしたらいいじゃないかね。」
といって勧めた。王成もその言葉に従って売ったが、十余両の損をした。そして手ぶらになって翌朝は早く起きて帰ろうと思って、金入かねいれを啓あけて見ると入れてあった金が亡くなっていた。驚いて旅館の主人に告げたが、主人もどうすることもできなかった。同宿していた男が、
「訴えて主人から払わしたらいいだろう。」
といって勧めた。王成は歎息して、
「これは運命だ。主人の知ったことじゃない。」
といって従わなかった。主人はそれを聞いて王成を徳として五両の金を贈って帰そうとした。しかし王成は老婆にあわす顔がないので帰ってもいけない。じっとしていられないので外へ出たり室の中にいたりして煩悶していた。ある日外出して鶉うずらを闘わして賭かけをしている者を見た。その賭には一賭に数千金をかける者があった。鶉の価を訊きいてみると一羽が百文以上であった。王成は忽たちまちその鶉の売買を思いついた。そこで金を計算してみるとどうかこうか出来そうであるから主人に相談した。
「鶉のかいだしをやりたいと思いますが。」
主人も、
「それはいい、すぐおやりなさい。」
といって勧すすめ、そのうえ王成を当分ただで置くといった。王成は喜んで出かけていって、鶉を買えるだけ買って篭かごに入れて帰って来た。主人は喜んでいった。
「それはよかった。ではすぐ売るがいいだろう。」
夜になって大雨になって明け方まで降り続いたが、夜が明けたころには路の上に水が出て河のようになった。そのうえ雨がまだやまなかった。王成は雨の晴れるのを待っていたが、その雨は二、三日も続いて更にやみそうにもなかった。王成は鶉を心配して起たっていって篭の中を見た。鶉はたくさん死んでいた。王成は大いに困ったがさてどうにもしようがなかった。翌日になると鶉は大半死んで僅かに二、三羽しか生きていなかった。それを一つの篭へ入れて飼ってあったが、翌日いって窺のぞいた時には、また死んで一羽だけ残っていた。王成はそこでそれを主人に知らして、おぼえず涙を流した。
「私はなんという不運な男でしょう。」
主人も王成のために口惜くやしがってくれたがどうすることもできない。王成はもう金がなくなってしまったので、故郷へ帰ろうにも帰れない。いっそ死んでしまおうと思いだした。主人は慰めて、
「まァ、そう力を落したものじゃない。またいい事も廻めぐって来る。」
といって一緒にいって生き残った鶉を見ていたが、
「この鶉は豪つよい奴かもわからないよ。他の鶉の皆死んだのは、それが殺したかもわからない。お前さんは暇なんだから、やってみたらどうだね。もし良い鳥だったら、賭で生計くらしがたつよ。」
といった。王成は主人に教えられたように鶉を馴ならした。鶉ははや馴れて来た。そこで主人が持って街頭へ出て、酒や料理を賭けて闘わしてみるとなかなか強いので皆勝った。主人は自分のことのように喜んで、金を王成にやって、またその辺の若いものと賭をやらしたが、三たび賭けて三たび勝った。
王成は半年ばかりの間に賭で二十金の貯蓄ができたので、心がますます慰められ、鶉を自分の命のように大事にした。その頃某なにがしという鶉の好きな王があって、正月十五日の上元じょうげんの節にあうごとに、民間の鶉を飼っている者を呼んで、それを闘わさした。旅館の主人は成に向って、
「お前さんはすぐ大金持ちになれるが、それを取るか取らないかはお前さんの運しだいだ。」
といって、そこで鶉好きの王の話をして聞かせ、王成を案内して一緒にいったが、みちみち注意して、
「もし負けたならほうほうの体ていで帰るばかりさ。もし、万一お前さんの鶉が勝ったなら、王がきっと買うというから、お前さんはすぐ承知しちゃいけないよ。もしたって売れといったら、わっちの首を見るがいいよ。それでわっちの首がうなずいたら、承知をするがいいよ。」
といった。王成はうなずいた。
「ああ、そうしよう。」
そこで王の屋敷へいってみると鶉を持った人達が内庭にあふれていた。そして、暫くして王が御殿に出ると近侍きんじの者がいった。
「鶉を闘わせたい願いのある者は、登ってまいれ。」
すると一人の男が鶉を持って登っていった。王は侍臣じしんに命じて自分の飼鳥を放たした。その男もまた自分の飼鳥を放した。その鶉と鶉はちょっと蹴けりあったかと思うと、もう男の鶉が負けてしまった。王は心地よさそうに笑った。続いて二、三人登っていったが、皆王の鶉のために負けてしまった。旅館の主人は王成にいった。
「今だ。」
二人は一緒に登っていった。王は王成の手にした鶉を見て、
蒲松齢
田中貢太郎訳
王成おうせいは平原へいげんの世家きゅうかの生れであったが、いたって懶なまけ者であったから、日に日に零落れいらくして家は僅か数間のあばら屋をあますのみとなり、細君と乱麻らんまを編んで作った牛衣ぎゅういの中に寝るというようなみすぼらしい生活をしていたが、細君が小言をいうので困っていた。それは夏の燃えるような暑い時であった。その村に周しゅうという家の庭園があって、牆へいは頽くずれ家は破れて、ただ一つの亭あずまやのみが残っていたが、涼しいので村の人達がたくさんそこへ泊りにいった。王成もその一人であった。
ある朝のことであった。寝ていた村の人達は皆帰っていったが、懶け者の王成一人は陽が高く昇るまで寝ていて起き、それでまだぐすぐすしていて帰ろうとすると、草の根もとに金の釵かんざしが一つ光っていた。王成が拾って視ると細かな文字を鐫ほってあった。それは儀賓府造ぎひんふぞうという文字であった。王成の祖父は衡府こうふ儀賓、すなわち衡王の婿となっていたので、家に残っている品物の中にその印のある物が多かった。そこで王成は釵を持ってためらっていると、一人の老婆が来て、
「もしか、この辺あたりに釵は落ちていやしなかったかね。」
といった。王成は貧乏はしても頑固な正直者であったから、すぐ出して渡した。
「これですか。」
老婆はひどく喜んだ。「お前さんは正直者だ。感心な男だ、お蔭でたすかったよ。これは幾等いくらもしないものだが、先の夫の形見かたみでね。」
王成は儀賓府造の印のある品物を遺のこした夫という人の素性が知りたかった。
「あなたの夫というのは、どうした方です。」
と問うた。すると老婆が答えた。
「もとの儀賓の王柬之おうかんしだよ。」
王成は驚いていった。
「それは私のお祖父さんですよ。どうしてあなたに遇ったのでしょう。」
老婆もまた驚いていった。
「ではお前さんは、王柬之の孫だね。私は狐仙こせんだよ。百年前、お前さんのお祖父じいさんに可愛がられてたが、お祖父さんが没なくなったので、私もとうとう身を隠してしまった。それがここを通って釵をおとして、お前さんの手に入ったというのも、天命じゃないかね。」
王成も祖父に狐妻のあったということを聞いていたので、老婆の言葉を信用した。
「そうですよ、天命ですよ、では、これから私の家へいってくれませんか。
というと老婆はそのまま随ついて来た。王成はそこで細君を呼んであわした。細君の頭髪は蓬のように乱れて、顔色は青いうえに薄黒みを帯びていた。老婆はそれを見て、
「あァあァ、王柬之の子孫がこんなにまで貧乏になったのか。」
と歎息してふりかえった。そこに敗れた竈かまどはあったが、火を焚たいた痕あとも見えなかった。老婆はいった。
「こんなことで、どうして生きてゆかれる。」
そこで細君は細かに貧乏の状態を話して泣きじゃくりした。老婆は彼かの釵かんざしを細君にやって、
「それを質に入れてお米を買うがいい。」
といいつけて、帰りしたくをして、
「三日したらまた来るよ。」
といった。王成はそれをおし留とどめた。
「どうか家にいてくださいよ。」
老婆は、
「お前さんは、一人のお神さんとさえくらしていくことができないじゃないかね。私が一緒になって、じっとしていちゃなお困るじゃないかね。」
といってとうとういってしまった。王成はその後で、細君に老婆が人間でなくて狐仙であるということを話した。細君は顔色を変えて怖おそれた。王成は老婆に義侠心ぎきょうしんのあることを説明して、姑しゅうとめとして事つかえなければならないといったので、細君も承知した。
三日目になって果して老婆が来た。老婆は数枚の金を出して、粟と麦を一石せきずつ買わせ、夜は細君と一緒の寝台に寝た。細君[#「細君」は底本では「組君」]は初めは懼おそれたが、老婆が自分を可愛がってくれる心が解ったので、それからは疑い懼れぬようになった。
翌日になって老婆は王成に話していった。
「お前さんは惰なまけてばかりいちゃいけない。小生業こあきないでもしたらどうだね、坐ってたべていちゃだめだよ。」
王成は、
「商売をしようと思っても、もとでがありませんから。」
といった。すると老婆は、
「お前さんのお祖父さんのおった時は、お金は使いしだいであったが、私は世の中の人でないから、そんな物は入用がないし、べつにもらったことはなかったが、それでも化粧料としてもらったのが積って四十両になって、それがそのまま残っている。貯えて置いても入用がないから、その金で葛布かたびらを買って、すぐ都へいくなら、すこしはもうけがあるだろう。」
といった。王成は老婆の言葉に従って、老婆から金をもらい、その金で五十余端の葛布を買って帰って来た。老婆は、
「これから仕度をして、すぐ出かけるがいい。六日目か七日目には、北京へ往き着くよ。」
といって、その後で、
「一生懸命にやらなくちゃいけないよ。懶なまけちゃいけないよ。それにうんと急いで、ゆるゆるしていちゃだめだよ。一日おくれたらもう後悔してもだめだ。」
と注意した。王成は承知して品物を嚢ふくろに入れて出発したが、途中で雨に遇って、着物も履物はきものもびしょ濡れになった。王成は平生苦労をしたことがないから弱ってしまった。そこで暫く休むつもりで旅館へ入ったが、雨はますます強くざあざあと降りだして夜になってもやまなかった。簷のきを見ると縄のような雨だれがかかっている。仕方しかたなしに一泊して朝になってみると雨はやんでいたが、路のぬかりがひどくて、旅人達は脛すねまで入って往来していた。王成はそれにも弱って待っていると、午ひるになって路がやっと乾いた。そこで出発しようとしていると断きれていた雲がまた合って、また大雨になった。王成は仕方なしにまた一晩泊って翌日出発した。そして北京に近くなって人の噂を聞くと、葛布の価ねがあがったというので、心のうちに喜んで北京へ入って旅館へいった。旅館の主人は王成の荷物を見て、
「しまったなあ。二、三日早かったら、うんともうけるところだったが。」
といって惜おしんだ。それは南方との交通が始まったばかりの時で、葛布が来てもたくさん来なかったうえに、市中の富豪で買う者がたくさんあったので、価が非常にあがって平生と較べて三倍ほどになっていた。それが王成の着く前日になってたくさん着荷があったので、価が急にさがって、後から葛布を持って来た者は皆失望していた。旅館の主人はそのことを王成に話した。王成は失望してふさぎこんでしまった。
翌日になって葛布の着荷がますます多く、価もますますさがった。王成は利益がないので売らずにぐずぐずしているうちに十日あまり経ったので、葛布の価はますますさがり、一方旅館の滞在費用もかさんで来たので、ますます煩悶はんもんした。旅館の主人が見かねて、
「置けば置くほど損をするから、今のうちに売ってしまって、何か他の工夫をしたらいいじゃないかね。」
といって勧めた。王成もその言葉に従って売ったが、十余両の損をした。そして手ぶらになって翌朝は早く起きて帰ろうと思って、金入かねいれを啓あけて見ると入れてあった金が亡くなっていた。驚いて旅館の主人に告げたが、主人もどうすることもできなかった。同宿していた男が、
「訴えて主人から払わしたらいいだろう。」
といって勧めた。王成は歎息して、
「これは運命だ。主人の知ったことじゃない。」
といって従わなかった。主人はそれを聞いて王成を徳として五両の金を贈って帰そうとした。しかし王成は老婆にあわす顔がないので帰ってもいけない。じっとしていられないので外へ出たり室の中にいたりして煩悶していた。ある日外出して鶉うずらを闘わして賭かけをしている者を見た。その賭には一賭に数千金をかける者があった。鶉の価を訊きいてみると一羽が百文以上であった。王成は忽たちまちその鶉の売買を思いついた。そこで金を計算してみるとどうかこうか出来そうであるから主人に相談した。
「鶉のかいだしをやりたいと思いますが。」
主人も、
「それはいい、すぐおやりなさい。」
といって勧すすめ、そのうえ王成を当分ただで置くといった。王成は喜んで出かけていって、鶉を買えるだけ買って篭かごに入れて帰って来た。主人は喜んでいった。
「それはよかった。ではすぐ売るがいいだろう。」
夜になって大雨になって明け方まで降り続いたが、夜が明けたころには路の上に水が出て河のようになった。そのうえ雨がまだやまなかった。王成は雨の晴れるのを待っていたが、その雨は二、三日も続いて更にやみそうにもなかった。王成は鶉を心配して起たっていって篭の中を見た。鶉はたくさん死んでいた。王成は大いに困ったがさてどうにもしようがなかった。翌日になると鶉は大半死んで僅かに二、三羽しか生きていなかった。それを一つの篭へ入れて飼ってあったが、翌日いって窺のぞいた時には、また死んで一羽だけ残っていた。王成はそこでそれを主人に知らして、おぼえず涙を流した。
「私はなんという不運な男でしょう。」
主人も王成のために口惜くやしがってくれたがどうすることもできない。王成はもう金がなくなってしまったので、故郷へ帰ろうにも帰れない。いっそ死んでしまおうと思いだした。主人は慰めて、
「まァ、そう力を落したものじゃない。またいい事も廻めぐって来る。」
といって一緒にいって生き残った鶉を見ていたが、
「この鶉は豪つよい奴かもわからないよ。他の鶉の皆死んだのは、それが殺したかもわからない。お前さんは暇なんだから、やってみたらどうだね。もし良い鳥だったら、賭で生計くらしがたつよ。」
といった。王成は主人に教えられたように鶉を馴ならした。鶉ははや馴れて来た。そこで主人が持って街頭へ出て、酒や料理を賭けて闘わしてみるとなかなか強いので皆勝った。主人は自分のことのように喜んで、金を王成にやって、またその辺の若いものと賭をやらしたが、三たび賭けて三たび勝った。
王成は半年ばかりの間に賭で二十金の貯蓄ができたので、心がますます慰められ、鶉を自分の命のように大事にした。その頃某なにがしという鶉の好きな王があって、正月十五日の上元じょうげんの節にあうごとに、民間の鶉を飼っている者を呼んで、それを闘わさした。旅館の主人は成に向って、
「お前さんはすぐ大金持ちになれるが、それを取るか取らないかはお前さんの運しだいだ。」
といって、そこで鶉好きの王の話をして聞かせ、王成を案内して一緒にいったが、みちみち注意して、
「もし負けたならほうほうの体ていで帰るばかりさ。もし、万一お前さんの鶉が勝ったなら、王がきっと買うというから、お前さんはすぐ承知しちゃいけないよ。もしたって売れといったら、わっちの首を見るがいいよ。それでわっちの首がうなずいたら、承知をするがいいよ。」
といった。王成はうなずいた。
「ああ、そうしよう。」
そこで王の屋敷へいってみると鶉を持った人達が内庭にあふれていた。そして、暫くして王が御殿に出ると近侍きんじの者がいった。
「鶉を闘わせたい願いのある者は、登ってまいれ。」
すると一人の男が鶉を持って登っていった。王は侍臣じしんに命じて自分の飼鳥を放たした。その男もまた自分の飼鳥を放した。その鶉と鶉はちょっと蹴けりあったかと思うと、もう男の鶉が負けてしまった。王は心地よさそうに笑った。続いて二、三人登っていったが、皆王の鶉のために負けてしまった。旅館の主人は王成にいった。
「今だ。」
二人は一緒に登っていった。王は王成の手にした鶉を見て、
#日语##日本综艺#
「ホンマでっかTV」2024年4月3日放送分「名医が教える!ぐっすり快眠法SP」(二本立て)を見ました。私のような睡眠の質が低い人には最適な回だと思います。まあ私の場合は質が最低すぎてちょっとやそっとでは改善できませんけどね。
さてまず紹介したいのは、節約家の日本人ですら夏と冬の「エアコンつけっぱなし」を推奨していることですね。私も昔はタイマーで4時ぐらいに切るようにはしていたけど、数年前からはつけっぱに変えて朝頃の寝苦しさを消すことに成功しています(なお睡眠の質低いけど)。節電したい人は、ぜひまずスマホの使用頻度を下げることから始めてください。
次に快眠のためには、寝る前にコップ1杯の水を飲むといいそうです。私は毎晩夜中に起きてトイレに行くので、親からは寝る前に水を飲むなと言われたりしますが、なんと飲むほうが正解でした。また睡眠中の換気(二酸化炭素の排出)も重要らしいが、これも毎晩トイレに行っている(ドアを開ける)お陰で自然と出来ています(なお睡眠の質低いけど)。補足として、寝る前に水ではなくホットミルクを飲むという俗説もあるが、それは「気持ちがほっとする」という昔ながらのシャレから来た勘違いであることを明言されましたのでご注意ください。
あと別の回でも語ったことがあるが、昼の仮眠はホント大事だったりします。午後2時までの間に20分(30分を超えないように)寝ることがベストになります。なんなら今日本では、社員に昼の仮眠用部屋を設けている企業もあるそうです。
今回は1時間半SPとうことで、豪華なことに実演/実験VTRも多数用意されてて、見ててとても楽しめる回となっております。特に文章では説明しづらいいびきを改善するトレーニング/治療法については詳しく説明されているので、いびきに悩まされている方にとってはぜひ見て欲しい回ですね。
「ホンマでっかTV」2024年4月3日放送分「名医が教える!ぐっすり快眠法SP」(二本立て)を見ました。私のような睡眠の質が低い人には最適な回だと思います。まあ私の場合は質が最低すぎてちょっとやそっとでは改善できませんけどね。
さてまず紹介したいのは、節約家の日本人ですら夏と冬の「エアコンつけっぱなし」を推奨していることですね。私も昔はタイマーで4時ぐらいに切るようにはしていたけど、数年前からはつけっぱに変えて朝頃の寝苦しさを消すことに成功しています(なお睡眠の質低いけど)。節電したい人は、ぜひまずスマホの使用頻度を下げることから始めてください。
次に快眠のためには、寝る前にコップ1杯の水を飲むといいそうです。私は毎晩夜中に起きてトイレに行くので、親からは寝る前に水を飲むなと言われたりしますが、なんと飲むほうが正解でした。また睡眠中の換気(二酸化炭素の排出)も重要らしいが、これも毎晩トイレに行っている(ドアを開ける)お陰で自然と出来ています(なお睡眠の質低いけど)。補足として、寝る前に水ではなくホットミルクを飲むという俗説もあるが、それは「気持ちがほっとする」という昔ながらのシャレから来た勘違いであることを明言されましたのでご注意ください。
あと別の回でも語ったことがあるが、昼の仮眠はホント大事だったりします。午後2時までの間に20分(30分を超えないように)寝ることがベストになります。なんなら今日本では、社員に昼の仮眠用部屋を設けている企業もあるそうです。
今回は1時間半SPとうことで、豪華なことに実演/実験VTRも多数用意されてて、見ててとても楽しめる回となっております。特に文章では説明しづらいいびきを改善するトレーニング/治療法については詳しく説明されているので、いびきに悩まされている方にとってはぜひ見て欲しい回ですね。
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