#紫萱阁[超话]#
【遇见,是上天赐给的缘】
窗外寒风凛冽,窗内寂静和祥,转眼已是冬季。我蜗居在一处安静的角落,以一种最安逸的姿态,悠闲地单曲循环一首伤感的曲子,静候生命的轮回。
时光如此短暂,只在一思一忖间,便将近深夜,我却将美好光阴都交给了一颗善感的心,固执地不愿睡去,宁愿一个人孤独地聆听夜的声音,任由此刻心痛的感觉将我湮灭,放纵这一回。其实不想说,我想你。其实只是不愿说,怕说了,会从此万劫不复,怕说了,会失去会心碎,怕说了,我再不是我自己。想象我可以在一个落日晚霞的黄昏,与你牵手走在一个落红铺径的街角,附你耳畔,轻声说我想你,尽管这么近那么远,我依然想你,用我最真的心将你收藏在我最深的思恋里,不舍离弃。因为爱,我笔下深深浅浅的深情爱意都是为你而轻描淡写,因为爱,书中平平仄仄的诗情画意都是为你而轻吟浅唱。再一次回顾了我为你写下的诗篇,情到深处,自然笔下生花,心中有爱,心中有你,我心就此定格成永恒。
因为爱,想起,心中便有融融的暖。因为爱,没有理由,没有目的,这样爱了,如此而已。默然相爱,寂静喜欢,见或不见,此情依然。 https://t.cn/8kZ7NRv
【遇见,是上天赐给的缘】
窗外寒风凛冽,窗内寂静和祥,转眼已是冬季。我蜗居在一处安静的角落,以一种最安逸的姿态,悠闲地单曲循环一首伤感的曲子,静候生命的轮回。
时光如此短暂,只在一思一忖间,便将近深夜,我却将美好光阴都交给了一颗善感的心,固执地不愿睡去,宁愿一个人孤独地聆听夜的声音,任由此刻心痛的感觉将我湮灭,放纵这一回。其实不想说,我想你。其实只是不愿说,怕说了,会从此万劫不复,怕说了,会失去会心碎,怕说了,我再不是我自己。想象我可以在一个落日晚霞的黄昏,与你牵手走在一个落红铺径的街角,附你耳畔,轻声说我想你,尽管这么近那么远,我依然想你,用我最真的心将你收藏在我最深的思恋里,不舍离弃。因为爱,我笔下深深浅浅的深情爱意都是为你而轻描淡写,因为爱,书中平平仄仄的诗情画意都是为你而轻吟浅唱。再一次回顾了我为你写下的诗篇,情到深处,自然笔下生花,心中有爱,心中有你,我心就此定格成永恒。
因为爱,想起,心中便有融融的暖。因为爱,没有理由,没有目的,这样爱了,如此而已。默然相爱,寂静喜欢,见或不见,此情依然。 https://t.cn/8kZ7NRv
琵琶引
唐 · 白居易
浔阳江头夜送客,枫叶荻花秋瑟瑟。主人下马客在船,举酒欲饮无管弦。醉不成欢惨将别,别时茫茫江浸月。
忽闻水上琵琶声,主人忘归客不发。寻声暗问弹者谁,琵琶声停欲语迟。移船相近邀相见,添酒回灯重开宴。千呼万唤始出来,犹抱琵琶半遮面。转轴拨弦三两声,未成曲调先有情。弦弦掩抑声声思,似诉平生不得志。低眉信手续续弹,说尽心中无限事。轻拢慢捻抹复挑,初为《霓裳》后《六幺》。大弦嘈嘈如急雨,小弦切切如私语。嘈嘈切切错杂弹,大珠小珠落玉盘。间关莺语花底滑,幽咽泉流冰下难。冰泉冷涩弦凝绝,凝绝不通声暂歇。别有幽愁暗恨生,此时无声胜有声。银瓶乍破水浆迸,铁骑突出刀枪鸣。曲终收拨当心画,四弦一声如裂帛。东船西舫悄无言,唯见江心秋月白。
沉吟放拨插弦中,整顿衣裳起敛容。自言本是京城女,家在虾蟆陵下住。十三学得琵琶成,名属教坊第一部。曲罢曾教善才服,妆成每被秋娘妒。五陵年少争缠头,一曲红绡不知数。钿头银篦击节碎,血色罗裙翻酒污。今年欢笑复明年,秋月春风等闲度。弟走从军阿姨死,暮去朝来颜色故。门前冷落鞍马稀,老大嫁作商人妇。商人重利轻别离,前月浮梁买茶去。去来江口守空船,绕船月明江水寒。夜深忽梦少年事,梦啼妆泪红阑干。
我闻琵琶已叹息,又闻此语重唧唧。同是天涯沦落人,相逢何必曾相识!我从去年辞帝京,谪居卧病浔阳城。浔阳地僻无音乐,终岁不闻丝竹声。住近湓江地低湿,黄芦苦竹绕宅生。其间旦暮闻何物?杜鹃啼血猿哀鸣。春江花朝秋月夜,往往取酒还独倾。岂无山歌与村笛?呕哑嘲哳难为听。今夜闻君琵琶语,如听仙乐耳暂明。莫辞更坐弹一曲,为君翻作《琵琶行》。感我此言良久立,却坐促弦弦转急。凄凄不似向前声,满座重闻皆掩泣。座中泣下谁最多?江州司马青衫湿。
情感人物愤懑唐诗三百首写人高中古诗乐府地名浔阳数字
译文全译逐句
秋夜我到浔阳江头送一位归客,冷风吹着枫叶和芦花秋声瑟瑟。我和客人下马在船上饯别设宴,举起酒杯要饮却无助兴的音乐。酒喝得不痛快更伤心将要分别,临别时夜茫茫江水倒映着明月。忽听得江面上传来琵琶清脆声;我忘却了回归客人也不想动身。寻着声源探问弹琵琶的是何人?琵琶停了许久却迟迟没有动静。我们移船靠近邀请她出来相见;叫下人添酒回灯重新摆起酒宴。千呼万唤她才缓缓地走出来,怀里还抱着琵琶半遮着脸面。转紧琴轴拨动琴弦试弹了几声;尚未成曲调那形态就非常有情。弦弦凄楚悲切声音隐含着沉思;似乎在诉说着她平生的不得志;她低着头随手连续地弹个不停;用琴声把心中无限的往事说尽。轻轻地拢,慢慢地捻,一会儿抹,一会儿挑。初弹《霓裳羽衣曲》接着再弹《六幺》。大弦浑宏悠长嘈嘈如暴风骤雨;小弦和缓幽细切切如有人私语。嘈嘈声切切声互为交错地弹奏;就像大珠小珠一串串掉落玉盘。琵琶声一会儿像花底下宛转流畅的鸟鸣声,一会儿又像水在冰下流动受阻艰涩低沉、呜咽断续的声音。好像水泉冷涩琵琶声开始凝结,凝结而不通畅声音渐渐地中断。像另有一种愁思幽恨暗暗滋生;此时闷闷无声却比有声更动人。突然间好像银瓶撞破水浆四溅;又好像铁甲骑兵厮杀刀枪齐鸣。一曲终了她对准琴弦中心划拨;四弦一声轰鸣好像撕裂了布帛。东船西舫人们都静悄悄地聆听;只见江心之中映着白白秋月影。她沉吟着收起拨片插在琴弦中;整顿衣裳依然显出庄重的颜容。她说我原是京城负有盛名的歌女;老家住在长安城东南的虾蟆陵。弹奏琵琶技艺十三岁就已学成;教坊乐团第一队中列有我姓名。每曲弹罢都令艺术大师们叹服;每次妆成都被同行歌妓们嫉妒。京都豪富子弟争先恐后来献彩;弹完一曲收来的红绡不知其数。钿头银篦打节拍常常断裂粉碎;红色罗裙被酒渍染污也不后悔。年复一年都在欢笑打闹中度过;秋去春来美好的时光白白消磨。兄弟从军老鸨死家道已经破败;暮去朝来我也渐渐地年老色衰。门前车马减少光顾者落落稀稀;青春已逝我只得嫁给商人为妻。商人重利不重情常常轻易别离;上个月他去浮梁做茶叶的生意。他去了留下我在江口孤守空船;秋月与我作伴绕舱的秋水凄寒。更深夜阑常梦少年时作乐狂欢;梦中哭醒涕泪纵横污损了粉颜。我听琵琶的悲泣早已摇头叹息;又听到她这番诉说更叫我悲凄。我们俩同是天涯沦落的可悲人;今日相逢何必问是否曾经相识!自从去年我离开繁华长安京城;被贬居住在浔阳江畔常常卧病。浔阳这地方荒凉偏僻没有音乐;一年到头听不到管弦的乐器声。住在湓江这个低洼潮湿的地方;第宅周围黄芦和苦竹缭绕丛生。在这里早晚能听到的是什么呢?尽是杜鹃猿猴那些悲凄的哀鸣。春江花朝秋江月夜那样好光景;也无可奈何常常取酒独酌独饮。难道这里就没有山歌和村笛吗?只是那音调嘶哑粗涩实在难听。今晚我听你弹奏琵琶诉说衷情,就像听到仙乐眼也亮来耳也明。请你不要推辞坐下来再弹一曲;我要为你创作一首新诗《琵琶行》。被我的话所感动她站立了好久;回身坐下再转紧琴弦拨出急声。凄凄切切不再像刚才那种声音;在座的人重听都掩面哭泣不停。要问在座之中谁流的眼泪最多?我江州司马泪水湿透青衫衣襟!
唐 · 白居易
浔阳江头夜送客,枫叶荻花秋瑟瑟。主人下马客在船,举酒欲饮无管弦。醉不成欢惨将别,别时茫茫江浸月。
忽闻水上琵琶声,主人忘归客不发。寻声暗问弹者谁,琵琶声停欲语迟。移船相近邀相见,添酒回灯重开宴。千呼万唤始出来,犹抱琵琶半遮面。转轴拨弦三两声,未成曲调先有情。弦弦掩抑声声思,似诉平生不得志。低眉信手续续弹,说尽心中无限事。轻拢慢捻抹复挑,初为《霓裳》后《六幺》。大弦嘈嘈如急雨,小弦切切如私语。嘈嘈切切错杂弹,大珠小珠落玉盘。间关莺语花底滑,幽咽泉流冰下难。冰泉冷涩弦凝绝,凝绝不通声暂歇。别有幽愁暗恨生,此时无声胜有声。银瓶乍破水浆迸,铁骑突出刀枪鸣。曲终收拨当心画,四弦一声如裂帛。东船西舫悄无言,唯见江心秋月白。
沉吟放拨插弦中,整顿衣裳起敛容。自言本是京城女,家在虾蟆陵下住。十三学得琵琶成,名属教坊第一部。曲罢曾教善才服,妆成每被秋娘妒。五陵年少争缠头,一曲红绡不知数。钿头银篦击节碎,血色罗裙翻酒污。今年欢笑复明年,秋月春风等闲度。弟走从军阿姨死,暮去朝来颜色故。门前冷落鞍马稀,老大嫁作商人妇。商人重利轻别离,前月浮梁买茶去。去来江口守空船,绕船月明江水寒。夜深忽梦少年事,梦啼妆泪红阑干。
我闻琵琶已叹息,又闻此语重唧唧。同是天涯沦落人,相逢何必曾相识!我从去年辞帝京,谪居卧病浔阳城。浔阳地僻无音乐,终岁不闻丝竹声。住近湓江地低湿,黄芦苦竹绕宅生。其间旦暮闻何物?杜鹃啼血猿哀鸣。春江花朝秋月夜,往往取酒还独倾。岂无山歌与村笛?呕哑嘲哳难为听。今夜闻君琵琶语,如听仙乐耳暂明。莫辞更坐弹一曲,为君翻作《琵琶行》。感我此言良久立,却坐促弦弦转急。凄凄不似向前声,满座重闻皆掩泣。座中泣下谁最多?江州司马青衫湿。
情感人物愤懑唐诗三百首写人高中古诗乐府地名浔阳数字
译文全译逐句
秋夜我到浔阳江头送一位归客,冷风吹着枫叶和芦花秋声瑟瑟。我和客人下马在船上饯别设宴,举起酒杯要饮却无助兴的音乐。酒喝得不痛快更伤心将要分别,临别时夜茫茫江水倒映着明月。忽听得江面上传来琵琶清脆声;我忘却了回归客人也不想动身。寻着声源探问弹琵琶的是何人?琵琶停了许久却迟迟没有动静。我们移船靠近邀请她出来相见;叫下人添酒回灯重新摆起酒宴。千呼万唤她才缓缓地走出来,怀里还抱着琵琶半遮着脸面。转紧琴轴拨动琴弦试弹了几声;尚未成曲调那形态就非常有情。弦弦凄楚悲切声音隐含着沉思;似乎在诉说着她平生的不得志;她低着头随手连续地弹个不停;用琴声把心中无限的往事说尽。轻轻地拢,慢慢地捻,一会儿抹,一会儿挑。初弹《霓裳羽衣曲》接着再弹《六幺》。大弦浑宏悠长嘈嘈如暴风骤雨;小弦和缓幽细切切如有人私语。嘈嘈声切切声互为交错地弹奏;就像大珠小珠一串串掉落玉盘。琵琶声一会儿像花底下宛转流畅的鸟鸣声,一会儿又像水在冰下流动受阻艰涩低沉、呜咽断续的声音。好像水泉冷涩琵琶声开始凝结,凝结而不通畅声音渐渐地中断。像另有一种愁思幽恨暗暗滋生;此时闷闷无声却比有声更动人。突然间好像银瓶撞破水浆四溅;又好像铁甲骑兵厮杀刀枪齐鸣。一曲终了她对准琴弦中心划拨;四弦一声轰鸣好像撕裂了布帛。东船西舫人们都静悄悄地聆听;只见江心之中映着白白秋月影。她沉吟着收起拨片插在琴弦中;整顿衣裳依然显出庄重的颜容。她说我原是京城负有盛名的歌女;老家住在长安城东南的虾蟆陵。弹奏琵琶技艺十三岁就已学成;教坊乐团第一队中列有我姓名。每曲弹罢都令艺术大师们叹服;每次妆成都被同行歌妓们嫉妒。京都豪富子弟争先恐后来献彩;弹完一曲收来的红绡不知其数。钿头银篦打节拍常常断裂粉碎;红色罗裙被酒渍染污也不后悔。年复一年都在欢笑打闹中度过;秋去春来美好的时光白白消磨。兄弟从军老鸨死家道已经破败;暮去朝来我也渐渐地年老色衰。门前车马减少光顾者落落稀稀;青春已逝我只得嫁给商人为妻。商人重利不重情常常轻易别离;上个月他去浮梁做茶叶的生意。他去了留下我在江口孤守空船;秋月与我作伴绕舱的秋水凄寒。更深夜阑常梦少年时作乐狂欢;梦中哭醒涕泪纵横污损了粉颜。我听琵琶的悲泣早已摇头叹息;又听到她这番诉说更叫我悲凄。我们俩同是天涯沦落的可悲人;今日相逢何必问是否曾经相识!自从去年我离开繁华长安京城;被贬居住在浔阳江畔常常卧病。浔阳这地方荒凉偏僻没有音乐;一年到头听不到管弦的乐器声。住在湓江这个低洼潮湿的地方;第宅周围黄芦和苦竹缭绕丛生。在这里早晚能听到的是什么呢?尽是杜鹃猿猴那些悲凄的哀鸣。春江花朝秋江月夜那样好光景;也无可奈何常常取酒独酌独饮。难道这里就没有山歌和村笛吗?只是那音调嘶哑粗涩实在难听。今晚我听你弹奏琵琶诉说衷情,就像听到仙乐眼也亮来耳也明。请你不要推辞坐下来再弹一曲;我要为你创作一首新诗《琵琶行》。被我的话所感动她站立了好久;回身坐下再转紧琴弦拨出急声。凄凄切切不再像刚才那种声音;在座的人重听都掩面哭泣不停。要问在座之中谁流的眼泪最多?我江州司马泪水湿透青衫衣襟!
『ピオフィオーレの晩鐘 -Episodio1926-』官网更新了短篇故事。
Prequel6:Dante Falzone
遅くまで続いた会食を終え、屋敷に帰り着いた頃には日付が変わっていた。
正直に言えば、議員連中と牽制し合うより、屋敷で彼女と食事するほうがずっと楽しい。
許されるなら彼女の部屋を訪ね、寝顔だけでも見たいところだが――
(……今夜はまだ休めそうにないな)
執務室の机には、書類が山と積まれていた。
(うちのアンダーボスは有能だ。
俺が直接確認する必要のないものは、先に処理しているはず)
彼は俺の倍近い物量をこなしているのではないか。
「…………」
そう考えると、弱音を吐かずに書類に向き合うべきなのは理解できた。
たとえ、ちらりと見えた契約書の文面が、英語で埋め尽くされていたとしても、だ。
(……長引くかもしれないな……)
空が白む前には終わらせたい。
溜め息を吐きながら執務机に向かうと、不意にドアがノックされた。
もしかして、と微かな期待に胸が高鳴る。
だが、それも一瞬のこと。
入室の許可を求める声もなく、そして俺が何か言うより早くドアが開いた。
……彼女ならそんなことはしない。
というか。
非常時はともかく、このファルツォーネでそんな真似をする人間はひとりしかいない。
「お疲れ様、ダンテ。今日は遅かったね」
ニコラ・フランチェスカ。
ファルツォーネ・ファミリーのアンダーボスであり、カポの右腕。
俺にとっては兄のような存在。
(……当然だ。彼女はとっくに寝ているだろう)
無言の俺を見返し、ニコラはくすくすと笑った。
「ああ、ごめんね? 君が見たかったのは、僕の顔じゃないよね」
「……何も言っていないだろう、俺は」
昔から『冷徹』『鉄面皮』と評されることもある俺は、心情が表に出にくい人間だと思う。
だが、幼い頃からの付き合いだからか、ニコラにはこうして簡単に顔色を読まれてしまう。
「本題に入るけど、新しい法案の草稿を手に入れた。
近々議会に提出される」
「……またか」
差し出された文書を受け取り、さっと目を通す。
このところファシスト党は次々と、自らに都合のいい法律を作っている。
今回も同じだ。
「……これで、またマフィアが生きにくい世の中になるな」
呆れ混じりに呟くと、ニコラが苦笑した。
「シチリアが可哀想になるよ。すっかり目の敵にされている。
大衆は知事の味方だしね」
現政権は国民の支持を得ており、不満を持つ者はごく一部に限られる。
パレルモ知事など、もはやドゥーチェ――ムッソリーニに次ぐ人気っぷりだ。
「次の標的は間違いなくここだろうな。
引き続き、政府の動きには注視してくれ」
「了解。まあ、政府が本格的に仕掛けてくる前に、
地盤を安定させられたのは良かったよ」
「……確かにな」
去年――1925年のあの事件の最中に。
もし政府が本格的なブルローネマフィア撲滅に乗り出していたら。
今頃、ファルツォーネの血は途絶えていたかもしれない。
涼しい顔をしている従兄を見据え、俺は続ける。
「幸い、頭を失った老鼠は息をしていないに等しい。
うちとヴィスコンティの関係も良好だ」
ギルバートとは頻繁に情報交換を行っている。
顔を合わせるのは主にカジノの特別室。
あのディレットーレが姿を消して以来、多少使い勝手は悪くなったが、
内密の会合には今も適した場所だ。
「血の粛清以降、久々にブルローネが安定期を迎えたとも言える」
「5年、いや、もう6年前か……。あっという間だったね」
先代――俺の父が死に、俺がカポを継いだ。
ブルローネマフィアの三竦みの構図ができたのは、ちょうどあの頃だ。
それからは安定とは程遠い、緊張の日々を送ってきた。
「あ、そうそう。これ、届いていたよ」
ニコラがついでのように差し出してきたのは、一通の手紙。
ナイフで封を切り、その場で中身を確かめる。
「……なるほど」
「招待状?」
「ああ。市長の再選を祝うパーティーを開くらしい。
マウロの招待なら行かないわけにはいかないな」
ブルローネ市長、アレッサンドロ・マウロ。
彼はマフィアに好意的な政治家のひとりだ。
俺たちファミリーの存在がこの街にどう作用しているか、その重要性をよく理解している。
(……彼女を誘ってみよう)
パートナー同伴での出席が望ましい催し。
市長主催なら身元の確かな者が集まるだろうし、何より明るい話題の場だ。
そこまで堅苦しく思わず、楽しんでもらえるかもしれない。
(せっかくだから、新しいドレスを贈るのはどうだろう。
仕立て屋を呼んで……)
今回は柔らかい生地にしてもらおう。
流行りのデザインを取り入れるにしても、彼女に似合うものにしたい。
そう、たとえば、踊るとふわりとなびくような――
「ダンテ?」
「! ……し、仕事に戻る」
「それがいいよ。楽しみは後に取っておいて」
表情には出していないはずだが、何故かまた見透かされた気がする。
(明日の朝、彼女を誘おう)
ドレスを用意すると言えば、喜んでくれるだろうか?
(……そうだといい)
彼女の笑顔を思い浮かべると、深夜の執務さえ苦にはならない。
Prequel6:Dante Falzone
遅くまで続いた会食を終え、屋敷に帰り着いた頃には日付が変わっていた。
正直に言えば、議員連中と牽制し合うより、屋敷で彼女と食事するほうがずっと楽しい。
許されるなら彼女の部屋を訪ね、寝顔だけでも見たいところだが――
(……今夜はまだ休めそうにないな)
執務室の机には、書類が山と積まれていた。
(うちのアンダーボスは有能だ。
俺が直接確認する必要のないものは、先に処理しているはず)
彼は俺の倍近い物量をこなしているのではないか。
「…………」
そう考えると、弱音を吐かずに書類に向き合うべきなのは理解できた。
たとえ、ちらりと見えた契約書の文面が、英語で埋め尽くされていたとしても、だ。
(……長引くかもしれないな……)
空が白む前には終わらせたい。
溜め息を吐きながら執務机に向かうと、不意にドアがノックされた。
もしかして、と微かな期待に胸が高鳴る。
だが、それも一瞬のこと。
入室の許可を求める声もなく、そして俺が何か言うより早くドアが開いた。
……彼女ならそんなことはしない。
というか。
非常時はともかく、このファルツォーネでそんな真似をする人間はひとりしかいない。
「お疲れ様、ダンテ。今日は遅かったね」
ニコラ・フランチェスカ。
ファルツォーネ・ファミリーのアンダーボスであり、カポの右腕。
俺にとっては兄のような存在。
(……当然だ。彼女はとっくに寝ているだろう)
無言の俺を見返し、ニコラはくすくすと笑った。
「ああ、ごめんね? 君が見たかったのは、僕の顔じゃないよね」
「……何も言っていないだろう、俺は」
昔から『冷徹』『鉄面皮』と評されることもある俺は、心情が表に出にくい人間だと思う。
だが、幼い頃からの付き合いだからか、ニコラにはこうして簡単に顔色を読まれてしまう。
「本題に入るけど、新しい法案の草稿を手に入れた。
近々議会に提出される」
「……またか」
差し出された文書を受け取り、さっと目を通す。
このところファシスト党は次々と、自らに都合のいい法律を作っている。
今回も同じだ。
「……これで、またマフィアが生きにくい世の中になるな」
呆れ混じりに呟くと、ニコラが苦笑した。
「シチリアが可哀想になるよ。すっかり目の敵にされている。
大衆は知事の味方だしね」
現政権は国民の支持を得ており、不満を持つ者はごく一部に限られる。
パレルモ知事など、もはやドゥーチェ――ムッソリーニに次ぐ人気っぷりだ。
「次の標的は間違いなくここだろうな。
引き続き、政府の動きには注視してくれ」
「了解。まあ、政府が本格的に仕掛けてくる前に、
地盤を安定させられたのは良かったよ」
「……確かにな」
去年――1925年のあの事件の最中に。
もし政府が本格的なブルローネマフィア撲滅に乗り出していたら。
今頃、ファルツォーネの血は途絶えていたかもしれない。
涼しい顔をしている従兄を見据え、俺は続ける。
「幸い、頭を失った老鼠は息をしていないに等しい。
うちとヴィスコンティの関係も良好だ」
ギルバートとは頻繁に情報交換を行っている。
顔を合わせるのは主にカジノの特別室。
あのディレットーレが姿を消して以来、多少使い勝手は悪くなったが、
内密の会合には今も適した場所だ。
「血の粛清以降、久々にブルローネが安定期を迎えたとも言える」
「5年、いや、もう6年前か……。あっという間だったね」
先代――俺の父が死に、俺がカポを継いだ。
ブルローネマフィアの三竦みの構図ができたのは、ちょうどあの頃だ。
それからは安定とは程遠い、緊張の日々を送ってきた。
「あ、そうそう。これ、届いていたよ」
ニコラがついでのように差し出してきたのは、一通の手紙。
ナイフで封を切り、その場で中身を確かめる。
「……なるほど」
「招待状?」
「ああ。市長の再選を祝うパーティーを開くらしい。
マウロの招待なら行かないわけにはいかないな」
ブルローネ市長、アレッサンドロ・マウロ。
彼はマフィアに好意的な政治家のひとりだ。
俺たちファミリーの存在がこの街にどう作用しているか、その重要性をよく理解している。
(……彼女を誘ってみよう)
パートナー同伴での出席が望ましい催し。
市長主催なら身元の確かな者が集まるだろうし、何より明るい話題の場だ。
そこまで堅苦しく思わず、楽しんでもらえるかもしれない。
(せっかくだから、新しいドレスを贈るのはどうだろう。
仕立て屋を呼んで……)
今回は柔らかい生地にしてもらおう。
流行りのデザインを取り入れるにしても、彼女に似合うものにしたい。
そう、たとえば、踊るとふわりとなびくような――
「ダンテ?」
「! ……し、仕事に戻る」
「それがいいよ。楽しみは後に取っておいて」
表情には出していないはずだが、何故かまた見透かされた気がする。
(明日の朝、彼女を誘おう)
ドレスを用意すると言えば、喜んでくれるだろうか?
(……そうだといい)
彼女の笑顔を思い浮かべると、深夜の執務さえ苦にはならない。
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