観客に「重力」「落下」を感じさせる『閃光のハサウェイ』のMSバトル | アニメージュプラスhttps://t.cn/A6fZxoo1
現在大ヒットを記録中のガンダムシリーズ最新作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』。CGディレクター・藤江智洋さんのインタビュー後編では、これまでの作品と比べて格段にCGの比重が高くなったという『閃光のハサウェイ』の現場で、どんな新しい試みが行われたのか。また、村瀬修功監督からの高い要求をいかにクリアしていったかが明らかにされていく。
――本作の制作にあたって、CG面での新たなチャレンジなどはありましたか?
藤江 むしろこれまで『機動戦士ガンダムUC』『機動戦士ガンダムNT』と積み重ねて来たノウハウの集大成になればいいな、と思っていました。『閃光のハサウェイ』3部作が作られていく中で、またいろいろと進化することができるのではないかと期待しています。そういう意味での新しい取り組みとしては、シーンによって機体の色替えを行う方法でしょうか。
――それは具体的にどういうことを?
藤江 そもそも村瀬監督は世界観の色の明るさから色相まで細かく吟味する方で、「夜間だから青黒くすればいい」というレベルでは納得しません。同じ夜の風景でも街頭の真下、さらにそこから1メートル離れたところといった、光や色の細かい変化にもこだわるので、それに合わせてどんどん色を変えていかなければならない。
その作業はこれまでの作品ではシーンごとにCGモデルの色設定をコツコツと替える変換作業をやっていたのですが、今回はシーン別に全身の色替えをまとめた画像(テクスチャー)を作り、その画像を差し替えるだけで色味を変えられるようにしました。その結果、1カット内で細かく色変化が必要な場合でも、色替えを即時に対応できるようになりました。
――その色彩シートはどのくらい用意されたのですか。
藤江 Ξガンダムだけで20数枚、メッサーはもっと多いパターンを作りました。それこそビーム・ライフルから放たれるビームの色によっても機体の色が変わるので、負担が少ない形でそれに対応できるようにした感じですね。
――モビルスーツのルックも、手描き作画のものとほぼ違和感ない印象でした。
藤江 セル調と言われる3D表現に関しては、今までだと質感表現を足してリッチな方向に持っていこうとしていましたが、今回はそうした処理はやらず、塗りだけで表現しています。もしそれが映像としてリッチに見えているならば、ライティングによる影付けを丁寧にやれたことで、形状の情報量を陰影で表現できたからだと思います。結果的にうまくまとまったので、格好良く言えばですが(笑)。
あと、セルルックで特徴となるアウトライン、作画で言う実線に関しても、今回はなるべく「作画さんが描いたらこれくらいだろう」というレベルを狙って作りました。人間の手では省略するような細かい描き込みの実線が画面に出てしまうとやはりCGっぽく見えてしまうし、線が多いと逆に黒くつぶれて形状が分からなくなってしまう。そういう意味では、線の量はすごく気にしました。線をどこまで減らしていけるかチャレンジしているような感じでもあります。これは業務というよりも趣味に近いですけれど(笑)。
――これまでの作品のCGでは、メカ作画の方がラフ原画を描かれて、それに合わせてCGモデルを動かすという作業をされていましたが、今回はその方式を取られていないそうですね。
藤江 そうですね。CGスタッフがコンテに合わせてラフ原画や叩き台を作る、実写でいうプリヴィズ(スタッフが共有する映像イメージを作る手法)をやっている感じです。村瀬監督も3DCGソフトを使っていたのですが、そこにはコンテを作った際のカメラの動きやアングルなどの情報も残っているので、それを活用してカットを作ることもありました。
村瀬監督は「スピードは時速何キロで」「上空〇〇メートルの高さで戦わせて」みたいな細かい指示は出されても、表現に関してはこちらに自由度を与えていただきましたし、いいものができればそちらを採用する形で内容を組み直してくれました。そこは、すごくありがたかったですね。
――増尾隆幸さんの担当されたCGパートに関しての感想は、いかがでしょうか。
藤江 海の液体表現や、カメラマップで動かす背景など面倒をみていただきましたが、贅沢な画になっていますよね、本当に素晴らしいです。作業的にはこちらでもイメージできる部分もあるのですが、ところどころの仕上がりで「これはどうやって作ったのだろう」と驚かされる部分が多くて。単純にソフトの機能を使っただけではなくて、増尾さんだからできる、もうひとつ上の画作りによってそんな光る部分が出ているのではないかと思います。
――では、CGディレクターの立場から、本作の見どころを教えてください。
藤江 ガンダム同士の戦い……は勿論皆さんが注目するところだと思うのですが、冒頭のハウンゼン356便が飛んでいるシーンや、メッサーが上空を滑空して降りてくるシーンなど、今回は本当に多くのシーンがCGで作られていますが、おそらく観客の皆さんは何の違和感もなくゴージャスなセルアニメのように感じられると思います。そういう意味ではまさに全編が見どころですし、「何かすごいものを観た」と感じていただけるのではないかと。
あとは、地上でのMS戦の見せ方ですね。『UC』『NT』は宇宙空間が主戦場だったので比較的自由に動き回っていましたが、今回は重力があるので常に「上」と「下」があるわけです。そこを意識してアニメーターさんがカットを作ってくれていて、画として上下方向がしっかりわかりますし、観ている方が自分も重力に引っ張られて落ちていることを感じられるような画になっているんじゃないかと思います。それに対して、メインである2機のガンダムは、重力下でも好き勝手に飛び回ることができる。そういう機体の技術的な差異を出すことが村瀬監督の狙いでしたし、アニメーターと密にやり取りをしてその表現を模索しましたので、そこも意識して観てもらえると嬉しいですね。
――作品全体の感想に関してはいかがですか?
藤江 大人向けの作品ですよね。といっても「ガンダム好きな大人向け」という意味ではなく、普通の大人が観て満足できるという意味です。「ガンダム」と聞くだけで眉をひそめるような人でも楽しめる、重厚なSF映画に仕上がっているのではないかなと思います。今までもいろんな作品に関わらせていただきましたが、劇場用作品を本気で作ることはこういうことなんだ、とあらためて学ばせていただきました。
――アニメと実写の境界に立つ映像演出になっているところも必見ですね。
藤江 リアルな映像のテイストに持って行くならどうしても実写に近づきますし、CGもフォトリアルな方向でいきたくなるのですが、あえてそこを作画アニメのテイストや世界観で表現している、ギリギリのバランスがいいのかなと思いますね。増尾さんも「実写(のような見せ方)にはしたくない」とおっしゃっていましたし、手描きの美術背景が動いているような不思議な画でありながら世界観とか作風がリアルに迫る感じでした。僕らが手がけたMS描写もそのラインを狙ったつもりです。村瀬監督は音響や映像が最高スペックの劇場で観ることを前提に作っていますので、ぜひ映画館で、できればドルビーシネマで観ていただくことをお勧めします。
現在大ヒットを記録中のガンダムシリーズ最新作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』。CGディレクター・藤江智洋さんのインタビュー後編では、これまでの作品と比べて格段にCGの比重が高くなったという『閃光のハサウェイ』の現場で、どんな新しい試みが行われたのか。また、村瀬修功監督からの高い要求をいかにクリアしていったかが明らかにされていく。
――本作の制作にあたって、CG面での新たなチャレンジなどはありましたか?
藤江 むしろこれまで『機動戦士ガンダムUC』『機動戦士ガンダムNT』と積み重ねて来たノウハウの集大成になればいいな、と思っていました。『閃光のハサウェイ』3部作が作られていく中で、またいろいろと進化することができるのではないかと期待しています。そういう意味での新しい取り組みとしては、シーンによって機体の色替えを行う方法でしょうか。
――それは具体的にどういうことを?
藤江 そもそも村瀬監督は世界観の色の明るさから色相まで細かく吟味する方で、「夜間だから青黒くすればいい」というレベルでは納得しません。同じ夜の風景でも街頭の真下、さらにそこから1メートル離れたところといった、光や色の細かい変化にもこだわるので、それに合わせてどんどん色を変えていかなければならない。
その作業はこれまでの作品ではシーンごとにCGモデルの色設定をコツコツと替える変換作業をやっていたのですが、今回はシーン別に全身の色替えをまとめた画像(テクスチャー)を作り、その画像を差し替えるだけで色味を変えられるようにしました。その結果、1カット内で細かく色変化が必要な場合でも、色替えを即時に対応できるようになりました。
――その色彩シートはどのくらい用意されたのですか。
藤江 Ξガンダムだけで20数枚、メッサーはもっと多いパターンを作りました。それこそビーム・ライフルから放たれるビームの色によっても機体の色が変わるので、負担が少ない形でそれに対応できるようにした感じですね。
――モビルスーツのルックも、手描き作画のものとほぼ違和感ない印象でした。
藤江 セル調と言われる3D表現に関しては、今までだと質感表現を足してリッチな方向に持っていこうとしていましたが、今回はそうした処理はやらず、塗りだけで表現しています。もしそれが映像としてリッチに見えているならば、ライティングによる影付けを丁寧にやれたことで、形状の情報量を陰影で表現できたからだと思います。結果的にうまくまとまったので、格好良く言えばですが(笑)。
あと、セルルックで特徴となるアウトライン、作画で言う実線に関しても、今回はなるべく「作画さんが描いたらこれくらいだろう」というレベルを狙って作りました。人間の手では省略するような細かい描き込みの実線が画面に出てしまうとやはりCGっぽく見えてしまうし、線が多いと逆に黒くつぶれて形状が分からなくなってしまう。そういう意味では、線の量はすごく気にしました。線をどこまで減らしていけるかチャレンジしているような感じでもあります。これは業務というよりも趣味に近いですけれど(笑)。
――これまでの作品のCGでは、メカ作画の方がラフ原画を描かれて、それに合わせてCGモデルを動かすという作業をされていましたが、今回はその方式を取られていないそうですね。
藤江 そうですね。CGスタッフがコンテに合わせてラフ原画や叩き台を作る、実写でいうプリヴィズ(スタッフが共有する映像イメージを作る手法)をやっている感じです。村瀬監督も3DCGソフトを使っていたのですが、そこにはコンテを作った際のカメラの動きやアングルなどの情報も残っているので、それを活用してカットを作ることもありました。
村瀬監督は「スピードは時速何キロで」「上空〇〇メートルの高さで戦わせて」みたいな細かい指示は出されても、表現に関してはこちらに自由度を与えていただきましたし、いいものができればそちらを採用する形で内容を組み直してくれました。そこは、すごくありがたかったですね。
――増尾隆幸さんの担当されたCGパートに関しての感想は、いかがでしょうか。
藤江 海の液体表現や、カメラマップで動かす背景など面倒をみていただきましたが、贅沢な画になっていますよね、本当に素晴らしいです。作業的にはこちらでもイメージできる部分もあるのですが、ところどころの仕上がりで「これはどうやって作ったのだろう」と驚かされる部分が多くて。単純にソフトの機能を使っただけではなくて、増尾さんだからできる、もうひとつ上の画作りによってそんな光る部分が出ているのではないかと思います。
――では、CGディレクターの立場から、本作の見どころを教えてください。
藤江 ガンダム同士の戦い……は勿論皆さんが注目するところだと思うのですが、冒頭のハウンゼン356便が飛んでいるシーンや、メッサーが上空を滑空して降りてくるシーンなど、今回は本当に多くのシーンがCGで作られていますが、おそらく観客の皆さんは何の違和感もなくゴージャスなセルアニメのように感じられると思います。そういう意味ではまさに全編が見どころですし、「何かすごいものを観た」と感じていただけるのではないかと。
あとは、地上でのMS戦の見せ方ですね。『UC』『NT』は宇宙空間が主戦場だったので比較的自由に動き回っていましたが、今回は重力があるので常に「上」と「下」があるわけです。そこを意識してアニメーターさんがカットを作ってくれていて、画として上下方向がしっかりわかりますし、観ている方が自分も重力に引っ張られて落ちていることを感じられるような画になっているんじゃないかと思います。それに対して、メインである2機のガンダムは、重力下でも好き勝手に飛び回ることができる。そういう機体の技術的な差異を出すことが村瀬監督の狙いでしたし、アニメーターと密にやり取りをしてその表現を模索しましたので、そこも意識して観てもらえると嬉しいですね。
――作品全体の感想に関してはいかがですか?
藤江 大人向けの作品ですよね。といっても「ガンダム好きな大人向け」という意味ではなく、普通の大人が観て満足できるという意味です。「ガンダム」と聞くだけで眉をひそめるような人でも楽しめる、重厚なSF映画に仕上がっているのではないかなと思います。今までもいろんな作品に関わらせていただきましたが、劇場用作品を本気で作ることはこういうことなんだ、とあらためて学ばせていただきました。
――アニメと実写の境界に立つ映像演出になっているところも必見ですね。
藤江 リアルな映像のテイストに持って行くならどうしても実写に近づきますし、CGもフォトリアルな方向でいきたくなるのですが、あえてそこを作画アニメのテイストや世界観で表現している、ギリギリのバランスがいいのかなと思いますね。増尾さんも「実写(のような見せ方)にはしたくない」とおっしゃっていましたし、手描きの美術背景が動いているような不思議な画でありながら世界観とか作風がリアルに迫る感じでした。僕らが手がけたMS描写もそのラインを狙ったつもりです。村瀬監督は音響や映像が最高スペックの劇場で観ることを前提に作っていますので、ぜひ映画館で、できればドルビーシネマで観ていただくことをお勧めします。
《请回答1988》是我心中本世纪最好看的剧,没有之一,豆瓣上9.7的高分亦无人超越!
一部平凡甚至有些唠叨的韩剧,一下子逆时光而行就把人抓回了过去,明明讲的是昨天的韩国,却成了全世界的回忆杀,简单框架下每一个细节道具都做足功课,每一个人物都演技精准的刻画出了那个时代人们的青涩质朴,孩子们成长的烦恼,爸爸们中年的无奈,欧巴桑们顶着卷发坐在胡同里边洗菜边八卦着家长里短,发出魔性的嘎嘎笑声...让人能够感受到创作者是真心的眷恋和怀念着那个并不富裕却充满欢笑的时代。这部昨天的韩国之所以能够在中国备受追捧,恰恰是满足了人们对成长的不舍。
如果你也喜欢1988,那我们就是好朋友了
#请回答1988#
一部平凡甚至有些唠叨的韩剧,一下子逆时光而行就把人抓回了过去,明明讲的是昨天的韩国,却成了全世界的回忆杀,简单框架下每一个细节道具都做足功课,每一个人物都演技精准的刻画出了那个时代人们的青涩质朴,孩子们成长的烦恼,爸爸们中年的无奈,欧巴桑们顶着卷发坐在胡同里边洗菜边八卦着家长里短,发出魔性的嘎嘎笑声...让人能够感受到创作者是真心的眷恋和怀念着那个并不富裕却充满欢笑的时代。这部昨天的韩国之所以能够在中国备受追捧,恰恰是满足了人们对成长的不舍。
如果你也喜欢1988,那我们就是好朋友了
#请回答1988#
这篇小形P的采访挺好的,文字量不算大但简明扼要地把方方面面几个要点谈了。如果觉得近期闪哈相关访谈太多一时看不过来的话,可以先看这篇+walker+那篇。
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』PDが語る「最新映像への挑戦」https://t.cn/A6VBwwOB
――『閃光のハサウェイ』は小説の印象では映像化が難しいように感じていたのですが、今回の企画はどのように成立していったのでしょうか?
小形 僕自身、中学生の時に観た『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』、その後に読んだ小説の『閃光のハサウェイ』でショックを受けていましたので、以前から「どこかで映像化ができたらいいな」ということは考えていました。実現に向けて大きく動いたきっかけは『機動戦士ガンダムUC』ですね。ファンの皆さんのおかげで大ヒットしたことから「宇宙世紀に対してもう一度スポットライトを当てよう」という流れになったわけです。『UC』の後の時代を描く『機動戦士ガンダムNT』を作ったあと、そこよりさらに未来の『機動戦士ガンダムF91』までの歴史の間を埋める宇宙世紀0105年の物語として設定されていた『閃光のハサウェイ』を制作することは、自然なことだと思えました。
――映像への没入感が意識された『閃光のハサウェイ』の演出の方向性に関しては、どのように決められていったのでしょうか?
小形 主観に近いカメラワークなどは、監督の村瀬(修功)さんの方針であり、そうした意図から映像設計されたものだと思います。もうちょっとアニメ的な作り方もあったと思いますが、僕らとしては『閃光のハサウェイ』の監督を村瀬さんにお願いした時点で、スタッフィング・映像も含めて、実写的な没入感の高い映像を作る方向に舵を切ったという感じです。
――作品を観て、ガンダム作品として新たなテイストを感じる仕上りになっている、と感じました。
小形 村瀬さんが監督をするとこうなる、ということなんだと思います。制作現場ではかなり新しいことに挑戦しているんですが、最もチャレンジングな試みと言えば作画に関してですね。『UC』『NT』まではキャラクターにしてもモビルスーツにしても手描きがメインで、そこにプラスする形で3DCGを使うという進め方が主流でした。しかし『閃光のハサウェイ』は逆で、全てにわたって3Dメインで構成されていて、必要な箇所でプラス手描きになっています。これまでのような画面作りや映像の目指す方向性をガラリと変えるには、ちょうどいいタイミングだったと思います。
――それは「ガンダム40周年記念作品」という部分を意識されたから、ですか?
小形 40周年という冠に対しては特に意識していなかったのですが、「2021年」という時代を意識した作品バランスにしています。現在、『ガンダムビルドリアル』という実写配信ドラマがあり、ハリウッドで実写映画が企画されている。さらに、横浜で実物大ガンダムが動いているわけですから、そうした世の中で見せる最新のガンダム映像という部分は意識しています。
『UC』では手描きのメカクションは、スタッフのアイデアを含めてある程度やり尽くした感じがあるんです。そこから縮小再生産をしていくのかと言われれば、そうではないと思っているので、やはり映像的なアプローチは変えていかなければならない。ガンダム作品を観る人たちが、国内だけでなく、グローバルに広がっていくという考え方をちゃんと持った上で、映像企画をしたというイメージです。
――映像が海外ドラマのようなソリッドさを感じさせる仕上がりになっているのも、やはり国内だけでなく、外向きにどう見せていくかが重要だったということですね。
小形 そうですね。海外への打ち出しは初めから考えていました。スタッフィングも村瀬さんを始め、キャラクターを描くにあたってpablo uchidaさん、恩田尚之さんもその方向にむいていると思って集めたという感じはあります。村瀬さんによる実写的な方向性に加えて、uchidaさんにはイメージボードをたくさん描いてもらって、それを再現する方向で画面を作っていきました。そういう意味では、映像の見え方に関しては村瀬さんだけでなく、uchidaさんのテイストが影響を与えています。
――音響に関してもかなり意欲的な試みに挑まれている印象があります。
小形 劇場をメインの視聴環境として考えて、制作当初からドルビーアトモスの音響効果を取り入れたアニメーション作品になっています。
これまでの宇宙世紀ガンダムシリーズは、『機動戦士ガンダム』を担当していたフィズサウンドの流れをくむ音響効果が主流で、皆さんが聴き慣れているモビルスーツの起動音、またビームライフルの音など「ガンダムの音」を担っていましたが、本作では劇中で描かれるモビルスーツの性能・設定もガラリと変わるタイミングだったので、新たな音を模索するために音響演出を笠松広司さんにお願いしました。
笠松さんは最新技術を駆使しながら、フィズサウンド系の音をリスペクトした上で違和感どころか、さらなる高揚感すら感じる音を作り上げていただきました。ビーム発射音なども素晴らしく、良い仕上がりになったのではないかと思っています。
――各所のさまざまな新たな試みが、『閃光のハサウェイ』という作品の中でうまく融合させることができたのですね。
小形 そうですね。いいフィルムになることは途中で確信していたんですが、最後のドルビーアトモスによる音が入ったことで、ビジュアル・音響体験において「本当に新しいものが出来た」と実感することができました。
『閃光のハサウェイ』PDが明かすMS・キャスト・映像へのこだわり https://t.cn/A6VBZzTg
――メカデザインは、カトキハジメさんや山根公利さんといった、ガンダムシリーズでお馴染みの方が担当されています。
小形 登場するモビルスーツには小説のデザインが存在しているので、それを料理する作業はやはりカトキさんが一番上手いと思い、力をお借りしました。あとは、村瀬さんとの相性が良く、方向性を理解してくれる方を集めたという感じです。
デザインの方向性としては、ペーネロペーが正当なガンダムの系譜の機体で、Ξガンダムはそれに対抗する存在のような見え方になってほしいという方針のもと、調整していきました。
――『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』における、ガンダム試作1号機と試作2号機の関係性に近いということですね。
小形 そうです。なので、Ξガンダムはハッキリと異形さがわかるシルエットにしてもらっています。カラーリングに関しても、ゲーム版で描かれたものではなく、小説の雰囲気に寄せて白を基調としたものにしました。
――モビルスーツの表現に関しても、新しい試みを取り入れているのでしょうか。
小形 ダバオ市街の空襲で公園を逃げ回るシチュエーション以外のモビルスーツ描写は、基本的に3Dをベースにしています。うちのスタッフは手描きでの見せ方が得意なんですが、ペーネロペーとΞガンダムがミノフスキー・フライトで重力下でも自由に飛び回る設定であること、また村瀬さんが3Dだからこそできるライティングを狙いたいという判断もありました。背景もカメラマップ(2Dの画像素材を使い、立体的な奥行きと動きを感じさせる映像へ変換する)という技法を使うことで、実写的なカメラワークが実現します。
――では、今作で最も注目してほしいシーンはどこですか?
小形 やはり空襲シーンですね。今回最大の見せ場だと思っていますし、だからこそこれをどう作るかが一番のポイントでした。村瀬さんだからこそのフィルムになっていることがよくわかる場面に仕上がっています。
キャラクターとメカを絡ませての地上での戦闘描写は、煩雑な作業が重なるので本来ならばまずやれなくて、少なくともTVシリーズでは絶対にできないです。しかし今回は、上空から降りてくるメカと地上の人の動きがしっかりとリンクした空間的な演出がうまく表現できたと思います。
――特にあの場面は、ドルビーアトモスによる立体音響が効果的でした。
小形 本作のドルビーシネマ体験の印象は、クリストファー・ノーランの作品をIMAXで観た時の感覚に近いかもしれませんね。村瀬さん自身、ノーラン作品や『007』シリーズなどのハリウッド作品にインスパイアを受けているところが多いと思います。
――込められた情報量があまりに多く、何度でもリピート鑑賞してしまいたくなる作品だと思うのですが、そこもあえて狙っていますか。
小形 ガンダムシリーズの構造が、そういう設計になっているんじゃないでしょうか。そもそも、富野(由悠季)さんの映像の構成は1回で全部わかるようにはできていないじゃないですか。映像を観てすごい情報量含めてショックを受けて、あとで冷静になったとき「あの表現にはこんな意味があるんじゃないのか?」と想像させる余地を持っているのが特徴だと思うんです。『閃光のハサウェイ』も、そういう意味では正統的なガンダム作品の系譜の上にある作品ではないかと。
――キャスティングに関しては、どのような狙いが?
小形 映像同様に実写のような生っぽさ、そしてギギを中心に25歳になったハサウェイ、それよりも大人な感じのケネスというキャラクターバランスが何よりも重要でした。
特にハサウェイは今の二十代が持つ弱さや心の揺れといった部分が欲しかったので、小野賢章さんにお願いしました。芝居の方向性もカッコよさだけではないものを求めて、小野さんにはたくさんのテイクを重ねていただきましたね。ハサウェイ率いるマフティーという組織も、軍隊というよりもサークルの延長線上に生まれた若い起業家の小さな会社という感じですし、周りを固めた役者さんたちにもそこを意識して演じてもらいました。
――ギギ役の上田麗奈さんの演技は、クェス役の川村万梨阿さんに似ていると話題ですが、そこは狙ったキャスティングだったのでしょうか?
小形 僕自身はそこに気付いていなかったですね。SNSなどで予告編を観た方の「そっくりだ」という意見を目にして、「そうなのか」と。それはおそらく、富野さんのセリフの印象が強かったのではないかと思います。
ギギに関しては、クェスとララァが混じったようなキャラクターという印象があります。大人を翻弄する強いところもあれば、逆に少女っぽい時もある。その振り幅をしっかり演じてほしくて、上田さんを選びました。
――では、ケネス役に諏訪部順一さんが選ばれた理由は?
小形 ケネスという人物像を演じるのは、意外に難しいと思います。一見軽妙で大人なキャラクターではありますが、その裏には軍人としての側面が隠されている。それを上手く演じてくれるのが諏訪部さんだと思いました。例えばギギと最初に会話する場面などは、演じ方によっては、あまりよくない印象に取られてしまうかもしれない。でも、諏訪部さんの演技では品が保たれますよね。そこも実に素晴らしいと思いました。
――今までうかがってきた『閃光のハサウェイ』の試みは、今後の作品づくりのスタンダードになっていくと思われますか?
小形 しばらくは現状のものとの並行状態が続くと思います。今後もデジタル技術はどんどん導入されていくと思いますが、『閃光のハサウェイ』でのやり方が正解であるかどうか、まだ判断はつきませんので……アニメ制作にまつわる諸問題に対するひとつの解決方であるとは思いますが、かかったコストと時間は膨大でしたし、それを普通の作品に落とし込むにはまだ時間がかかると思いますので。
――公開延期が重なりましたが、やっと公開の時を迎えました。最後に、楽しみに待っていたファンの皆さんにメッセージをお願いします。
小形 この作品は、本当に劇場で観ていただくために作りました。まず通常上映のバージョンを観ていただいてから、ドルビーシネマ・4DX版を体験していただければ、その違いを十分に楽しむこともできます。コロナの状況が心配なので、皆さん無理をなさらず、万全の感染対策をして劇場に足を運んでいただければと思っています。
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』PDが語る「最新映像への挑戦」https://t.cn/A6VBwwOB
――『閃光のハサウェイ』は小説の印象では映像化が難しいように感じていたのですが、今回の企画はどのように成立していったのでしょうか?
小形 僕自身、中学生の時に観た『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』、その後に読んだ小説の『閃光のハサウェイ』でショックを受けていましたので、以前から「どこかで映像化ができたらいいな」ということは考えていました。実現に向けて大きく動いたきっかけは『機動戦士ガンダムUC』ですね。ファンの皆さんのおかげで大ヒットしたことから「宇宙世紀に対してもう一度スポットライトを当てよう」という流れになったわけです。『UC』の後の時代を描く『機動戦士ガンダムNT』を作ったあと、そこよりさらに未来の『機動戦士ガンダムF91』までの歴史の間を埋める宇宙世紀0105年の物語として設定されていた『閃光のハサウェイ』を制作することは、自然なことだと思えました。
――映像への没入感が意識された『閃光のハサウェイ』の演出の方向性に関しては、どのように決められていったのでしょうか?
小形 主観に近いカメラワークなどは、監督の村瀬(修功)さんの方針であり、そうした意図から映像設計されたものだと思います。もうちょっとアニメ的な作り方もあったと思いますが、僕らとしては『閃光のハサウェイ』の監督を村瀬さんにお願いした時点で、スタッフィング・映像も含めて、実写的な没入感の高い映像を作る方向に舵を切ったという感じです。
――作品を観て、ガンダム作品として新たなテイストを感じる仕上りになっている、と感じました。
小形 村瀬さんが監督をするとこうなる、ということなんだと思います。制作現場ではかなり新しいことに挑戦しているんですが、最もチャレンジングな試みと言えば作画に関してですね。『UC』『NT』まではキャラクターにしてもモビルスーツにしても手描きがメインで、そこにプラスする形で3DCGを使うという進め方が主流でした。しかし『閃光のハサウェイ』は逆で、全てにわたって3Dメインで構成されていて、必要な箇所でプラス手描きになっています。これまでのような画面作りや映像の目指す方向性をガラリと変えるには、ちょうどいいタイミングだったと思います。
――それは「ガンダム40周年記念作品」という部分を意識されたから、ですか?
小形 40周年という冠に対しては特に意識していなかったのですが、「2021年」という時代を意識した作品バランスにしています。現在、『ガンダムビルドリアル』という実写配信ドラマがあり、ハリウッドで実写映画が企画されている。さらに、横浜で実物大ガンダムが動いているわけですから、そうした世の中で見せる最新のガンダム映像という部分は意識しています。
『UC』では手描きのメカクションは、スタッフのアイデアを含めてある程度やり尽くした感じがあるんです。そこから縮小再生産をしていくのかと言われれば、そうではないと思っているので、やはり映像的なアプローチは変えていかなければならない。ガンダム作品を観る人たちが、国内だけでなく、グローバルに広がっていくという考え方をちゃんと持った上で、映像企画をしたというイメージです。
――映像が海外ドラマのようなソリッドさを感じさせる仕上がりになっているのも、やはり国内だけでなく、外向きにどう見せていくかが重要だったということですね。
小形 そうですね。海外への打ち出しは初めから考えていました。スタッフィングも村瀬さんを始め、キャラクターを描くにあたってpablo uchidaさん、恩田尚之さんもその方向にむいていると思って集めたという感じはあります。村瀬さんによる実写的な方向性に加えて、uchidaさんにはイメージボードをたくさん描いてもらって、それを再現する方向で画面を作っていきました。そういう意味では、映像の見え方に関しては村瀬さんだけでなく、uchidaさんのテイストが影響を与えています。
――音響に関してもかなり意欲的な試みに挑まれている印象があります。
小形 劇場をメインの視聴環境として考えて、制作当初からドルビーアトモスの音響効果を取り入れたアニメーション作品になっています。
これまでの宇宙世紀ガンダムシリーズは、『機動戦士ガンダム』を担当していたフィズサウンドの流れをくむ音響効果が主流で、皆さんが聴き慣れているモビルスーツの起動音、またビームライフルの音など「ガンダムの音」を担っていましたが、本作では劇中で描かれるモビルスーツの性能・設定もガラリと変わるタイミングだったので、新たな音を模索するために音響演出を笠松広司さんにお願いしました。
笠松さんは最新技術を駆使しながら、フィズサウンド系の音をリスペクトした上で違和感どころか、さらなる高揚感すら感じる音を作り上げていただきました。ビーム発射音なども素晴らしく、良い仕上がりになったのではないかと思っています。
――各所のさまざまな新たな試みが、『閃光のハサウェイ』という作品の中でうまく融合させることができたのですね。
小形 そうですね。いいフィルムになることは途中で確信していたんですが、最後のドルビーアトモスによる音が入ったことで、ビジュアル・音響体験において「本当に新しいものが出来た」と実感することができました。
『閃光のハサウェイ』PDが明かすMS・キャスト・映像へのこだわり https://t.cn/A6VBZzTg
――メカデザインは、カトキハジメさんや山根公利さんといった、ガンダムシリーズでお馴染みの方が担当されています。
小形 登場するモビルスーツには小説のデザインが存在しているので、それを料理する作業はやはりカトキさんが一番上手いと思い、力をお借りしました。あとは、村瀬さんとの相性が良く、方向性を理解してくれる方を集めたという感じです。
デザインの方向性としては、ペーネロペーが正当なガンダムの系譜の機体で、Ξガンダムはそれに対抗する存在のような見え方になってほしいという方針のもと、調整していきました。
――『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』における、ガンダム試作1号機と試作2号機の関係性に近いということですね。
小形 そうです。なので、Ξガンダムはハッキリと異形さがわかるシルエットにしてもらっています。カラーリングに関しても、ゲーム版で描かれたものではなく、小説の雰囲気に寄せて白を基調としたものにしました。
――モビルスーツの表現に関しても、新しい試みを取り入れているのでしょうか。
小形 ダバオ市街の空襲で公園を逃げ回るシチュエーション以外のモビルスーツ描写は、基本的に3Dをベースにしています。うちのスタッフは手描きでの見せ方が得意なんですが、ペーネロペーとΞガンダムがミノフスキー・フライトで重力下でも自由に飛び回る設定であること、また村瀬さんが3Dだからこそできるライティングを狙いたいという判断もありました。背景もカメラマップ(2Dの画像素材を使い、立体的な奥行きと動きを感じさせる映像へ変換する)という技法を使うことで、実写的なカメラワークが実現します。
――では、今作で最も注目してほしいシーンはどこですか?
小形 やはり空襲シーンですね。今回最大の見せ場だと思っていますし、だからこそこれをどう作るかが一番のポイントでした。村瀬さんだからこそのフィルムになっていることがよくわかる場面に仕上がっています。
キャラクターとメカを絡ませての地上での戦闘描写は、煩雑な作業が重なるので本来ならばまずやれなくて、少なくともTVシリーズでは絶対にできないです。しかし今回は、上空から降りてくるメカと地上の人の動きがしっかりとリンクした空間的な演出がうまく表現できたと思います。
――特にあの場面は、ドルビーアトモスによる立体音響が効果的でした。
小形 本作のドルビーシネマ体験の印象は、クリストファー・ノーランの作品をIMAXで観た時の感覚に近いかもしれませんね。村瀬さん自身、ノーラン作品や『007』シリーズなどのハリウッド作品にインスパイアを受けているところが多いと思います。
――込められた情報量があまりに多く、何度でもリピート鑑賞してしまいたくなる作品だと思うのですが、そこもあえて狙っていますか。
小形 ガンダムシリーズの構造が、そういう設計になっているんじゃないでしょうか。そもそも、富野(由悠季)さんの映像の構成は1回で全部わかるようにはできていないじゃないですか。映像を観てすごい情報量含めてショックを受けて、あとで冷静になったとき「あの表現にはこんな意味があるんじゃないのか?」と想像させる余地を持っているのが特徴だと思うんです。『閃光のハサウェイ』も、そういう意味では正統的なガンダム作品の系譜の上にある作品ではないかと。
――キャスティングに関しては、どのような狙いが?
小形 映像同様に実写のような生っぽさ、そしてギギを中心に25歳になったハサウェイ、それよりも大人な感じのケネスというキャラクターバランスが何よりも重要でした。
特にハサウェイは今の二十代が持つ弱さや心の揺れといった部分が欲しかったので、小野賢章さんにお願いしました。芝居の方向性もカッコよさだけではないものを求めて、小野さんにはたくさんのテイクを重ねていただきましたね。ハサウェイ率いるマフティーという組織も、軍隊というよりもサークルの延長線上に生まれた若い起業家の小さな会社という感じですし、周りを固めた役者さんたちにもそこを意識して演じてもらいました。
――ギギ役の上田麗奈さんの演技は、クェス役の川村万梨阿さんに似ていると話題ですが、そこは狙ったキャスティングだったのでしょうか?
小形 僕自身はそこに気付いていなかったですね。SNSなどで予告編を観た方の「そっくりだ」という意見を目にして、「そうなのか」と。それはおそらく、富野さんのセリフの印象が強かったのではないかと思います。
ギギに関しては、クェスとララァが混じったようなキャラクターという印象があります。大人を翻弄する強いところもあれば、逆に少女っぽい時もある。その振り幅をしっかり演じてほしくて、上田さんを選びました。
――では、ケネス役に諏訪部順一さんが選ばれた理由は?
小形 ケネスという人物像を演じるのは、意外に難しいと思います。一見軽妙で大人なキャラクターではありますが、その裏には軍人としての側面が隠されている。それを上手く演じてくれるのが諏訪部さんだと思いました。例えばギギと最初に会話する場面などは、演じ方によっては、あまりよくない印象に取られてしまうかもしれない。でも、諏訪部さんの演技では品が保たれますよね。そこも実に素晴らしいと思いました。
――今までうかがってきた『閃光のハサウェイ』の試みは、今後の作品づくりのスタンダードになっていくと思われますか?
小形 しばらくは現状のものとの並行状態が続くと思います。今後もデジタル技術はどんどん導入されていくと思いますが、『閃光のハサウェイ』でのやり方が正解であるかどうか、まだ判断はつきませんので……アニメ制作にまつわる諸問題に対するひとつの解決方であるとは思いますが、かかったコストと時間は膨大でしたし、それを普通の作品に落とし込むにはまだ時間がかかると思いますので。
――公開延期が重なりましたが、やっと公開の時を迎えました。最後に、楽しみに待っていたファンの皆さんにメッセージをお願いします。
小形 この作品は、本当に劇場で観ていただくために作りました。まず通常上映のバージョンを観ていただいてから、ドルビーシネマ・4DX版を体験していただければ、その違いを十分に楽しむこともできます。コロナの状況が心配なので、皆さん無理をなさらず、万全の感染対策をして劇場に足を運んでいただければと思っています。
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