『近松心中物語』出演・松田龍平「そろそろ親父と同い年になっちゃうので…」
「なんというか…感覚的なことなんですけど、今まで僕が出演させてもらった長塚さんの舞台は、装置を使わずに身ひとつで作る、といった感じの舞台でしたね。体と声を使って、演奏して。シンプルなんですけど、昔からあったであろう芝居の形というか、骨組みがしっかりしている気がして。観客にどう見せたら伝わるか、みたいなところは長塚さんに見てもらって、僕自身は、役と向き合うことに没頭させてもらうという、贅沢な時間でしたね。もちろんシンプルになる分、役者が埋めなくてはならないところは大きくなるわけで、大変さもピカイチだから、楽しみな気持ちと不安な気持ちに挟まれてました。終わってみれば、長塚さんの演出、楽しかったな…みたいな(笑)」
胸を軽く叩きながら「本当の思いはここにあって。それが観る人に伝わるかってことに集中できるから、自分には居心地がいいのかもしれない」とも。今回は共演に、以前も長塚作品で共演した田中哲司さんと、親同士の交流を通じて幼い頃からよく知る石橋静河さんが名を連ねる。
「哲司さんは包容力が半端ないですね。人生相談とかしたくなりますよ(笑)。本番で台詞が飛んでも助けてくれそうな安心感があるので、その安心感に包まれすぎないように頑張らないとですね。静河はめちゃめちゃまっすぐで素敵なレディです。久々に会うと嬉しくてハグしたくなっちゃうんですけど、『やだ!』って断られてます(苦笑)」
松田さんは、その石橋さんと夫婦の役。石橋さん演じるお亀は、恋焦がれる旦那の与兵衛がひょんなことから窮地に陥ったことを知り、共に心中しようと持ちかける。
「それまでの与兵衛は、自分の不甲斐なさを盾にお亀と別れたかったんじゃないかと思うんです。家からも離れて乞食になって自由に生きるのもいいなと。でも、お亀が死のうとした時に“お前が死ぬなら一人で死なせはしない”という男気というか、愛はあるんですよね。これから台詞を頭に入れて稽古で芝居を交わすなかで、どんな気持ちになっていくのか気になります。静河の芝居を目の前にしたら、辛くて、ほんと、どうしようもない気持ちになりそうですね。楽しみです」
どこかとらえどころがなく、肩の力が抜けた印象を抱いていた。それだけに、松田さんの演技に対して語られるまっすぐな言葉の数々に少し驚かされる。
「もう、そろそろ親父と同い年になっちゃうので、どうしようかなと。今まで俳優を続けてきたなかで、僕の指針になっていましたから。ほんとに、新たに面白いことにもっと敏感にならないとですよね。それでも、自分ひとりでバランスを保つのはなかなか難しいですから、皆と一緒に作品を作る機会をいただいて感謝してます」
だからなのか、映像でも舞台でも、“役を演じる”のではなく“役としてそこに居る”と思わせる俳優だ。
「もっと役に酔いたいですね、もっと役と話さないとだし。役として居ながら、それができるようになれたら楽しいだろうな」
※『anan』2021年9月1日号より。
「なんというか…感覚的なことなんですけど、今まで僕が出演させてもらった長塚さんの舞台は、装置を使わずに身ひとつで作る、といった感じの舞台でしたね。体と声を使って、演奏して。シンプルなんですけど、昔からあったであろう芝居の形というか、骨組みがしっかりしている気がして。観客にどう見せたら伝わるか、みたいなところは長塚さんに見てもらって、僕自身は、役と向き合うことに没頭させてもらうという、贅沢な時間でしたね。もちろんシンプルになる分、役者が埋めなくてはならないところは大きくなるわけで、大変さもピカイチだから、楽しみな気持ちと不安な気持ちに挟まれてました。終わってみれば、長塚さんの演出、楽しかったな…みたいな(笑)」
胸を軽く叩きながら「本当の思いはここにあって。それが観る人に伝わるかってことに集中できるから、自分には居心地がいいのかもしれない」とも。今回は共演に、以前も長塚作品で共演した田中哲司さんと、親同士の交流を通じて幼い頃からよく知る石橋静河さんが名を連ねる。
「哲司さんは包容力が半端ないですね。人生相談とかしたくなりますよ(笑)。本番で台詞が飛んでも助けてくれそうな安心感があるので、その安心感に包まれすぎないように頑張らないとですね。静河はめちゃめちゃまっすぐで素敵なレディです。久々に会うと嬉しくてハグしたくなっちゃうんですけど、『やだ!』って断られてます(苦笑)」
松田さんは、その石橋さんと夫婦の役。石橋さん演じるお亀は、恋焦がれる旦那の与兵衛がひょんなことから窮地に陥ったことを知り、共に心中しようと持ちかける。
「それまでの与兵衛は、自分の不甲斐なさを盾にお亀と別れたかったんじゃないかと思うんです。家からも離れて乞食になって自由に生きるのもいいなと。でも、お亀が死のうとした時に“お前が死ぬなら一人で死なせはしない”という男気というか、愛はあるんですよね。これから台詞を頭に入れて稽古で芝居を交わすなかで、どんな気持ちになっていくのか気になります。静河の芝居を目の前にしたら、辛くて、ほんと、どうしようもない気持ちになりそうですね。楽しみです」
どこかとらえどころがなく、肩の力が抜けた印象を抱いていた。それだけに、松田さんの演技に対して語られるまっすぐな言葉の数々に少し驚かされる。
「もう、そろそろ親父と同い年になっちゃうので、どうしようかなと。今まで俳優を続けてきたなかで、僕の指針になっていましたから。ほんとに、新たに面白いことにもっと敏感にならないとですよね。それでも、自分ひとりでバランスを保つのはなかなか難しいですから、皆と一緒に作品を作る機会をいただいて感謝してます」
だからなのか、映像でも舞台でも、“役を演じる”のではなく“役としてそこに居る”と思わせる俳優だ。
「もっと役に酔いたいですね、もっと役と話さないとだし。役として居ながら、それができるようになれたら楽しいだろうな」
※『anan』2021年9月1日号より。
#日剧收视率# EX木9#紧急审讯室#第4季第6话收视10.9,收视推移14.7_13.4_9.1_10.1_12.0_10.9。
2021年7月朝日电视台 木曜21:00~紧急审讯室4
演员:天海祐希、田中哲司、速水重道、铃木浩介、工藤阿须加、冢地武雅、池田成志、田传、小日向文世、中村静香、生岛勇辉等
脚本:井上 由美子
主題歌:绿黄色社会「LITMUS」
2021年7月朝日电视台 木曜21:00~紧急审讯室4
演员:天海祐希、田中哲司、速水重道、铃木浩介、工藤阿须加、冢地武雅、池田成志、田传、小日向文世、中村静香、生岛勇辉等
脚本:井上 由美子
主題歌:绿黄色社会「LITMUS」
松田龍平と石橋静河が心中に向かう切ない夫婦役に
KAAT神奈川芸術劇場の新芸術監督に就任した長塚圭史が、メインシーズンの幕開けに選んだのは『近松心中物語』。境遇の異なるふた組の恋愛模様を描いた秋元松代の代表作で、亀屋忠兵衛と遊女梅川を田中哲司と笹本玲奈が、傘屋与兵衛と妻のお亀を松田龍平と石橋静河が演じる。そこで松田と石橋に話を訊いた。
長塚の演出作品への参加は、今回で3度目となる松田。長塚との作品づくりについて、「心の動き、感情ってものをすごく大切にされている方ですよね。その人の情報や置かれている状況を整理した上で、ハートでセリフを言うってことを信じている。きっかけとなるアイデアもたくさんもらえるので、毎回助かっています」とその魅力を語る。
石橋と長塚はこれが初の顔合わせ。稽古開始からまだ1週間とのことだが、「長塚さんの中で、なにか感覚的な世界が見えているのかな、というのはすごく感じます。理屈よりも、『なんかもっとわー!っと見えて欲しい』みたいなことをよくおっしゃるので(笑)。私自身、舞台で大事なのはそういうエネルギーだと思うので、毎日すごくワクワクしています」と期待を寄せる。
タイトルにもあるように、本作で描かれるのは、ふた組の男女が心中に至るまでの顛末。「ただ同じ心中にでも、それぞれまったくトーンが違うと思います」とは松田。石橋も「忠兵衛と梅川、与兵衛とお亀で全然空気感が違うので、それが面白く出たらいいですよね」と続ける。その違いについて、「忠兵衛と梅川はひと目惚れで恋に落ちますが、与兵衛とお亀は幼馴染で夫婦。その温度差は大きいと思います」と松田が理由を挙げると、石橋は「忠兵衛と梅川は生きているうちにふたりが盛り上がっていくさまが描かれますが、与兵衛とお亀は逆。それがすごく切ないんです」と分析。すると松田から「とにかくお亀が切ないんですよ! 辛い!」と、お亀への熱い想いが溢れた。
その一方で松田からはこんな言葉も。「心中物語ということで暗いイメージが先行してしまう気もするんですが、実は明るさと暗さの塩梅がすごく素敵な作品。当時を想像出来るような世界観など、総合的に楽しんでもらえると思います」。石橋も「単に何百年前の話というのではなく、今と同じように一生懸命暮らしていた人がいる。それって、今のこの苦しい状況に縛りつけられてしまっている人たちにとっても力になると思いますし、このわー!っていう気持ちを楽しんでもらえたらと思います(笑)」と語った。
KAAT神奈川芸術劇場の新芸術監督に就任した長塚圭史が、メインシーズンの幕開けに選んだのは『近松心中物語』。境遇の異なるふた組の恋愛模様を描いた秋元松代の代表作で、亀屋忠兵衛と遊女梅川を田中哲司と笹本玲奈が、傘屋与兵衛と妻のお亀を松田龍平と石橋静河が演じる。そこで松田と石橋に話を訊いた。
長塚の演出作品への参加は、今回で3度目となる松田。長塚との作品づくりについて、「心の動き、感情ってものをすごく大切にされている方ですよね。その人の情報や置かれている状況を整理した上で、ハートでセリフを言うってことを信じている。きっかけとなるアイデアもたくさんもらえるので、毎回助かっています」とその魅力を語る。
石橋と長塚はこれが初の顔合わせ。稽古開始からまだ1週間とのことだが、「長塚さんの中で、なにか感覚的な世界が見えているのかな、というのはすごく感じます。理屈よりも、『なんかもっとわー!っと見えて欲しい』みたいなことをよくおっしゃるので(笑)。私自身、舞台で大事なのはそういうエネルギーだと思うので、毎日すごくワクワクしています」と期待を寄せる。
タイトルにもあるように、本作で描かれるのは、ふた組の男女が心中に至るまでの顛末。「ただ同じ心中にでも、それぞれまったくトーンが違うと思います」とは松田。石橋も「忠兵衛と梅川、与兵衛とお亀で全然空気感が違うので、それが面白く出たらいいですよね」と続ける。その違いについて、「忠兵衛と梅川はひと目惚れで恋に落ちますが、与兵衛とお亀は幼馴染で夫婦。その温度差は大きいと思います」と松田が理由を挙げると、石橋は「忠兵衛と梅川は生きているうちにふたりが盛り上がっていくさまが描かれますが、与兵衛とお亀は逆。それがすごく切ないんです」と分析。すると松田から「とにかくお亀が切ないんですよ! 辛い!」と、お亀への熱い想いが溢れた。
その一方で松田からはこんな言葉も。「心中物語ということで暗いイメージが先行してしまう気もするんですが、実は明るさと暗さの塩梅がすごく素敵な作品。当時を想像出来るような世界観など、総合的に楽しんでもらえると思います」。石橋も「単に何百年前の話というのではなく、今と同じように一生懸命暮らしていた人がいる。それって、今のこの苦しい状況に縛りつけられてしまっている人たちにとっても力になると思いますし、このわー!っていう気持ちを楽しんでもらえたらと思います(笑)」と語った。
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