往復書簡19
片寄の考える「天職」とは?
片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡
2020年11月29日掲載
GENERATIONSデビュー8周年のお祝いケーキ
GENERATIONSがデビュー8周年を迎えました。短かったような、物凄く長かったような8年間でした。支えて下さる方々に感謝をして、多くの人々に愛されるグループを目指して引き続き邁進したいと思います。スタッフさんからのお祝いケーキには毎年愛を感じます。(他の写真を見る)
片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡19
公立高校の音楽教師をする父の過ごし方を通じ、片寄は「天職」とは何かについて考える。そしてその先にあるかもしれない「夢」についても……。
拝啓 小竹正人さま
小竹さんの留学時期のお話、楽しく拝読させて頂きました。そして、小竹さんの夢については、確かにそんなに期待をしていたわけではありませんでした。
「生涯、作詞家でいることが夢だ」なんてそんなことは言わないであろうと思っていたので。(笑)
そこでふと思ったのですが、いわゆる《天職》とはなんなのでしょうか。
実際に夢にみた仕事を職にしている方はどれくらいの数いるのでしょう。
そもそも、夢見た仕事を実際に自分の職にできることが、天職であるとは限らない。
逆もしかりで、全く想像もつかなかった仕事をし始めて、結果周りから天職だと言われるほどの結果を残すことだってあると思います。
僕は自分の仕事を、天職だなあと思えたことは今のところは思い当たることがほとんどありません。
それは仕事が嫌だとかそういうことではなく、もちろんたくさんのやりがいは感じるし、感動もいただいているけれど、これは自分が天から与えられた運命的な仕事なんだな…と感じられるような実感はないからです。
では天職と呼べる仕事とはいったいなんなのか。
例えば僕の父親は公立高校の音楽の教師をしています。
公務員として毎週月曜から金曜日まで出勤するのはもちろん、土日も部活動やその他の授業の準備などでほぼ毎日、仕事に行っている姿を子どもの頃から見てきました。
その姿を見て母が小学校高学年くらいの僕に言うのです。
『お父さんはお仕事が好きだから』
この言葉は母の口から何度か聞いたことがあって、それは本当にそう思っているときもあれば、多少違った意味合いも込められているように感じるときもありました。
メンバーにプレゼントされたお花
先日、レギュラー番組にて2時間生放送がありました。ゲストにEXILE TAKAHIROさんがいらして下さり、サプライズでメンバー全員にお花をプレゼントして頂きました。自宅の頂きものエリアで一際存在感を放っています。(他の写真を見る)
自分も歳を重ね、仕事を始めるようになって、あの頃の父の姿がふとしたときに頭に浮かびます。
そしてたまに実家に帰ったりしたときに、お酒を酌み交わしながら仕事について話す父の姿を見てよく思うのです。
父は仕事が好きなんだろうなあと。かれこれ30年以上続けてきている仕事は、父にとって天職だったのではないかと、僕はそう思っています。
ゆえに天職というのは、長く続けられた仕事で、かつ誰かに「それがあなたの天職だ」と思ってもらえる仕事なのかもしれないと思います。決して自分でそう思うものではなく。
小竹さんの人生を変えたお話には到底及びませんが、これを読んだ方が自分にとっての天職って…と少しでも考えてみる入り口になればなあと思います。
前回の小竹さんのメッセージに「夢をすぐにあきらめる癖がついて」と書かれていましたが、僕はこれからももっともっと、夢を見続けたいです。
小さな夢から大きな夢まで、全力で抱いて叶えられるよう突っ走っていきたい。小竹さんの平穏無事な日常も、それが続いていくといいなあと願えば、それは夢に変わるのではないでしょうか。
いまの世の中が少し暗い雰囲気だからこそ、どんな小さなことでもそれを夢に変えてみたい。仕方ないんだからとか諦めるしかないから、じゃなくて…なんとなくそう思います。
片寄涼太
敬具
片寄の考える「天職」とは?
片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡
2020年11月29日掲載
GENERATIONSデビュー8周年のお祝いケーキ
GENERATIONSがデビュー8周年を迎えました。短かったような、物凄く長かったような8年間でした。支えて下さる方々に感謝をして、多くの人々に愛されるグループを目指して引き続き邁進したいと思います。スタッフさんからのお祝いケーキには毎年愛を感じます。(他の写真を見る)
片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡19
公立高校の音楽教師をする父の過ごし方を通じ、片寄は「天職」とは何かについて考える。そしてその先にあるかもしれない「夢」についても……。
拝啓 小竹正人さま
小竹さんの留学時期のお話、楽しく拝読させて頂きました。そして、小竹さんの夢については、確かにそんなに期待をしていたわけではありませんでした。
「生涯、作詞家でいることが夢だ」なんてそんなことは言わないであろうと思っていたので。(笑)
そこでふと思ったのですが、いわゆる《天職》とはなんなのでしょうか。
実際に夢にみた仕事を職にしている方はどれくらいの数いるのでしょう。
そもそも、夢見た仕事を実際に自分の職にできることが、天職であるとは限らない。
逆もしかりで、全く想像もつかなかった仕事をし始めて、結果周りから天職だと言われるほどの結果を残すことだってあると思います。
僕は自分の仕事を、天職だなあと思えたことは今のところは思い当たることがほとんどありません。
それは仕事が嫌だとかそういうことではなく、もちろんたくさんのやりがいは感じるし、感動もいただいているけれど、これは自分が天から与えられた運命的な仕事なんだな…と感じられるような実感はないからです。
では天職と呼べる仕事とはいったいなんなのか。
例えば僕の父親は公立高校の音楽の教師をしています。
公務員として毎週月曜から金曜日まで出勤するのはもちろん、土日も部活動やその他の授業の準備などでほぼ毎日、仕事に行っている姿を子どもの頃から見てきました。
その姿を見て母が小学校高学年くらいの僕に言うのです。
『お父さんはお仕事が好きだから』
この言葉は母の口から何度か聞いたことがあって、それは本当にそう思っているときもあれば、多少違った意味合いも込められているように感じるときもありました。
メンバーにプレゼントされたお花
先日、レギュラー番組にて2時間生放送がありました。ゲストにEXILE TAKAHIROさんがいらして下さり、サプライズでメンバー全員にお花をプレゼントして頂きました。自宅の頂きものエリアで一際存在感を放っています。(他の写真を見る)
自分も歳を重ね、仕事を始めるようになって、あの頃の父の姿がふとしたときに頭に浮かびます。
そしてたまに実家に帰ったりしたときに、お酒を酌み交わしながら仕事について話す父の姿を見てよく思うのです。
父は仕事が好きなんだろうなあと。かれこれ30年以上続けてきている仕事は、父にとって天職だったのではないかと、僕はそう思っています。
ゆえに天職というのは、長く続けられた仕事で、かつ誰かに「それがあなたの天職だ」と思ってもらえる仕事なのかもしれないと思います。決して自分でそう思うものではなく。
小竹さんの人生を変えたお話には到底及びませんが、これを読んだ方が自分にとっての天職って…と少しでも考えてみる入り口になればなあと思います。
前回の小竹さんのメッセージに「夢をすぐにあきらめる癖がついて」と書かれていましたが、僕はこれからももっともっと、夢を見続けたいです。
小さな夢から大きな夢まで、全力で抱いて叶えられるよう突っ走っていきたい。小竹さんの平穏無事な日常も、それが続いていくといいなあと願えば、それは夢に変わるのではないでしょうか。
いまの世の中が少し暗い雰囲気だからこそ、どんな小さなことでもそれを夢に変えてみたい。仕方ないんだからとか諦めるしかないから、じゃなくて…なんとなくそう思います。
片寄涼太
敬具
#往復書簡#
片寄の考える「天職」とは?
片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡19
公立高校の音楽教師をする父の過ごし方を通じ、片寄は「天職」とは何かについて考える。そしてその先にあるかもしれない「夢」についても……。
***
拝啓 小竹正人さま
小竹さんの留学時期のお話、楽しく拝読させて頂きました。そして、小竹さんの夢については、確かにそんなに期待をしていたわけではありませんでした。
「生涯、作詞家でいることが夢だ」なんてそんなことは言わないであろうと思っていたので。(笑)
そこでふと思ったのですが、いわゆる《天職》とはなんなのでしょうか。
実際に夢にみた仕事を職にしている方はどれくらいの数いるのでしょう。
そもそも、夢見た仕事を実際に自分の職にできることが、天職であるとは限らない。
逆もしかりで、全く想像もつかなかった仕事をし始めて、結果周りから天職だと言われるほどの結果を残すことだってあると思います。
僕は自分の仕事を、天職だなあと思えたことは今のところは思い当たることがほとんどありません。
それは仕事が嫌だとかそういうことではなく、もちろんたくさんのやりがいは感じるし、感動もいただいているけれど、これは自分が天から与えられた運命的な仕事なんだな…と感じられるような実感はないからです。
では天職と呼べる仕事とはいったいなんなのか。
例えば僕の父親は公立高校の音楽の教師をしています。
公務員として毎週月曜から金曜日まで出勤するのはもちろん、土日も部活動やその他の授業の準備などでほぼ毎日、仕事に行っている姿を子どもの頃から見てきました。
その姿を見て母が小学校高学年くらいの僕に言うのです。
『お父さんはお仕事が好きだから』
この言葉は母の口から何度か聞いたことがあって、それは本当にそう思っているときもあれば、多少違った意味合いも込められているように感じるときもありました。
自分も歳を重ね、仕事を始めるようになって、あの頃の父の姿がふとしたときに頭に浮かびます。
そしてたまに実家に帰ったりしたときに、お酒を酌み交わしながら仕事について話す父の姿を見てよく思うのです。
父は仕事が好きなんだろうなあと。かれこれ30年以上続けてきている仕事は、父にとって天職だったのではないかと、僕はそう思っています。
ゆえに天職というのは、長く続けられた仕事で、かつ誰かに「それがあなたの天職だ」と思ってもらえる仕事なのかもしれないと思います。決して自分でそう思うものではなく。
小竹さんの人生を変えたお話には到底及びませんが、これを読んだ方が自分にとっての天職って…と少しでも考えてみる入り口になればなあと思います。
前回の小竹さんのメッセージに「夢をすぐにあきらめる癖がついて」と書かれていましたが、僕はこれからももっともっと、夢を見続けたいです。
小さな夢から大きな夢まで、全力で抱いて叶えられるよう突っ走っていきたい。小竹さんの平穏無事な日常も、それが続いていくといいなあと願えば、それは夢に変わるのではないでしょうか。
いまの世の中が少し暗い雰囲気だからこそ、どんな小さなことでもそれを夢に変えてみたい。仕方ないんだからとか諦めるしかないから、じゃなくて…なんとなくそう思います。
片寄涼太
p1 GENERATIONSがデビュー8周年を迎えました。短かったような、物凄く長かったような8年間でした。支えて下さる方々に感謝をして、多くの人々に愛されるグループを目指して引き続き邁進したいと思います。スタッフさんからのお祝いケーキには毎年愛を感じます。
p2 先日、レギュラー番組にて2時間生放送がありました。ゲストにEXILE TAKAHIROさんがいらして下さり、サプライズでメンバー全員にお花をプレゼントして頂きました。自宅の頂きものエリアで一際存在感を放っています。
原文链接https://t.cn/A6Gd6j1U
片寄の考える「天職」とは?
片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡19
公立高校の音楽教師をする父の過ごし方を通じ、片寄は「天職」とは何かについて考える。そしてその先にあるかもしれない「夢」についても……。
***
拝啓 小竹正人さま
小竹さんの留学時期のお話、楽しく拝読させて頂きました。そして、小竹さんの夢については、確かにそんなに期待をしていたわけではありませんでした。
「生涯、作詞家でいることが夢だ」なんてそんなことは言わないであろうと思っていたので。(笑)
そこでふと思ったのですが、いわゆる《天職》とはなんなのでしょうか。
実際に夢にみた仕事を職にしている方はどれくらいの数いるのでしょう。
そもそも、夢見た仕事を実際に自分の職にできることが、天職であるとは限らない。
逆もしかりで、全く想像もつかなかった仕事をし始めて、結果周りから天職だと言われるほどの結果を残すことだってあると思います。
僕は自分の仕事を、天職だなあと思えたことは今のところは思い当たることがほとんどありません。
それは仕事が嫌だとかそういうことではなく、もちろんたくさんのやりがいは感じるし、感動もいただいているけれど、これは自分が天から与えられた運命的な仕事なんだな…と感じられるような実感はないからです。
では天職と呼べる仕事とはいったいなんなのか。
例えば僕の父親は公立高校の音楽の教師をしています。
公務員として毎週月曜から金曜日まで出勤するのはもちろん、土日も部活動やその他の授業の準備などでほぼ毎日、仕事に行っている姿を子どもの頃から見てきました。
その姿を見て母が小学校高学年くらいの僕に言うのです。
『お父さんはお仕事が好きだから』
この言葉は母の口から何度か聞いたことがあって、それは本当にそう思っているときもあれば、多少違った意味合いも込められているように感じるときもありました。
自分も歳を重ね、仕事を始めるようになって、あの頃の父の姿がふとしたときに頭に浮かびます。
そしてたまに実家に帰ったりしたときに、お酒を酌み交わしながら仕事について話す父の姿を見てよく思うのです。
父は仕事が好きなんだろうなあと。かれこれ30年以上続けてきている仕事は、父にとって天職だったのではないかと、僕はそう思っています。
ゆえに天職というのは、長く続けられた仕事で、かつ誰かに「それがあなたの天職だ」と思ってもらえる仕事なのかもしれないと思います。決して自分でそう思うものではなく。
小竹さんの人生を変えたお話には到底及びませんが、これを読んだ方が自分にとっての天職って…と少しでも考えてみる入り口になればなあと思います。
前回の小竹さんのメッセージに「夢をすぐにあきらめる癖がついて」と書かれていましたが、僕はこれからももっともっと、夢を見続けたいです。
小さな夢から大きな夢まで、全力で抱いて叶えられるよう突っ走っていきたい。小竹さんの平穏無事な日常も、それが続いていくといいなあと願えば、それは夢に変わるのではないでしょうか。
いまの世の中が少し暗い雰囲気だからこそ、どんな小さなことでもそれを夢に変えてみたい。仕方ないんだからとか諦めるしかないから、じゃなくて…なんとなくそう思います。
片寄涼太
p1 GENERATIONSがデビュー8周年を迎えました。短かったような、物凄く長かったような8年間でした。支えて下さる方々に感謝をして、多くの人々に愛されるグループを目指して引き続き邁進したいと思います。スタッフさんからのお祝いケーキには毎年愛を感じます。
p2 先日、レギュラー番組にて2時間生放送がありました。ゲストにEXILE TAKAHIROさんがいらして下さり、サプライズでメンバー全員にお花をプレゼントして頂きました。自宅の頂きものエリアで一際存在感を放っています。
原文链接https://t.cn/A6Gd6j1U
往復書簡5
片寄涼太を構成する大切な書物から…《経験に与える意味によって自らを決定する》とは
片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡
2020年8月23日掲載
今週もアートに浸った日からの一コマ。南依岐さんの初の大きな個展を西武百貨店にて。まだまだどれも素敵に感じるけど、いつかは少し目利きのできるような目を養っていきたい(他の写真を見る)
片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡5
片寄自身、トレンドに前のめりになるタイプではなく、運命なら自然にめぐり合うだろうという考え方の持ち主のようだ。今回のテーマは読書。“遅読”派の彼はあるベストセラーの名を口にする。
小竹正人様
TikTokが流行っているらしいです。小竹さんは知っていますか?世界中でムーブメントになっているらしく…グループのメンバーも「時代に後れをとった!」と自らを“おじさん扱い”しながら興味を持ってその世界に入っていこうとしているみたいでした。
自分はあまり気が乗らなくて……。流行っている“らしい”なんて言ったのはそのせいです。「興味を持つものに対してはその時がくるまで無理に触れる必要はないのではないか」と思うんですよね。自分にとって本当に必要なものなら“その時”が来ると思うし、必要がなければ来ないかもしれないし。前回のやり取りのテーマでもあった“SNS”の類にも入るものかもしれないですし、うまく付き合えたらいいなあ~と思った出来事でした。
さて、素敵なお返事をありがとうございます。
小竹さんからの回答、つまり、“言葉の運転初心者”の方達に対して「本を読んでください」というメッセージは、自分が10代の頃、実際に小竹さんから頂いた言葉でもありました。文学や知性を大切にしたほうがいい――。そんな助言をしてくれるのは、あの頃もいまも小竹さんが唯一だったように思います。コロナ禍で小竹さんは韓国ドラマだけでなく、読書に割く時間もあったのでしょうか。
僕もこのコロナ禍で本はいくつか読みましたが専ら“遅読”派でして。今回新潮さんでこの往復書簡をやりとりするにあたって、担当のAさんからオススメ本もたくさん教えて頂きました。魅力的なものばかりで、じっくり僕の血肉となった暁にはこの欄で触れて行けたらと思っています。
先日のゲリラ豪雨のあとの東京の空。綺麗な空が大好きでよく撮ってしまいます。。雲によって影が出来るからこそ、光の美しさが引き立つように思います(他の写真を見る)
ひとまず、僕の大切な一冊について。それは、2013年に出版され、200万部を超える大ベストセラーとなった『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社)です。その中で、いまの自分を形成する大事な思想のひとつになっている一節を紹介しておきましょう。
〈いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗の原因でもない。我々は自分の経験によるショックーーいわゆるトラウマーーに苦しむのではなく、経験の中から目的にかなうものを見つけ出す。自分の経験によって決定されるのではなく、経験に与える意味によって自らを決定するのである〉
要するに、「自分自身が何かしらの理由づけをすることで、何かを拒否したりトラウマを作ってしまったりする」と指摘しているわけですね。この一節を折に触れて呟いたりして、前向きに一歩踏み出す勇気をもらっています。
さまざまなカタチで人がストレスを受け、苦しんでいるということも、コロナ禍の《人と直接会わない時間》を経て感じた方が少なくないのではないかと思います。トラウマや否定的な発想は、自分の決めつけが生んでいるものだと考えて、このやりとりを覗き見している読者さまが、新しい自分の一面を発見するきっかけになることを願って。
小竹さんにとって、“人生の師”や"心の友"と呼べる本や作品はありますか?
敬具
片寄涼太を構成する大切な書物から…《経験に与える意味によって自らを決定する》とは
片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡
2020年8月23日掲載
今週もアートに浸った日からの一コマ。南依岐さんの初の大きな個展を西武百貨店にて。まだまだどれも素敵に感じるけど、いつかは少し目利きのできるような目を養っていきたい(他の写真を見る)
片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡5
片寄自身、トレンドに前のめりになるタイプではなく、運命なら自然にめぐり合うだろうという考え方の持ち主のようだ。今回のテーマは読書。“遅読”派の彼はあるベストセラーの名を口にする。
小竹正人様
TikTokが流行っているらしいです。小竹さんは知っていますか?世界中でムーブメントになっているらしく…グループのメンバーも「時代に後れをとった!」と自らを“おじさん扱い”しながら興味を持ってその世界に入っていこうとしているみたいでした。
自分はあまり気が乗らなくて……。流行っている“らしい”なんて言ったのはそのせいです。「興味を持つものに対してはその時がくるまで無理に触れる必要はないのではないか」と思うんですよね。自分にとって本当に必要なものなら“その時”が来ると思うし、必要がなければ来ないかもしれないし。前回のやり取りのテーマでもあった“SNS”の類にも入るものかもしれないですし、うまく付き合えたらいいなあ~と思った出来事でした。
さて、素敵なお返事をありがとうございます。
小竹さんからの回答、つまり、“言葉の運転初心者”の方達に対して「本を読んでください」というメッセージは、自分が10代の頃、実際に小竹さんから頂いた言葉でもありました。文学や知性を大切にしたほうがいい――。そんな助言をしてくれるのは、あの頃もいまも小竹さんが唯一だったように思います。コロナ禍で小竹さんは韓国ドラマだけでなく、読書に割く時間もあったのでしょうか。
僕もこのコロナ禍で本はいくつか読みましたが専ら“遅読”派でして。今回新潮さんでこの往復書簡をやりとりするにあたって、担当のAさんからオススメ本もたくさん教えて頂きました。魅力的なものばかりで、じっくり僕の血肉となった暁にはこの欄で触れて行けたらと思っています。
先日のゲリラ豪雨のあとの東京の空。綺麗な空が大好きでよく撮ってしまいます。。雲によって影が出来るからこそ、光の美しさが引き立つように思います(他の写真を見る)
ひとまず、僕の大切な一冊について。それは、2013年に出版され、200万部を超える大ベストセラーとなった『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社)です。その中で、いまの自分を形成する大事な思想のひとつになっている一節を紹介しておきましょう。
〈いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗の原因でもない。我々は自分の経験によるショックーーいわゆるトラウマーーに苦しむのではなく、経験の中から目的にかなうものを見つけ出す。自分の経験によって決定されるのではなく、経験に与える意味によって自らを決定するのである〉
要するに、「自分自身が何かしらの理由づけをすることで、何かを拒否したりトラウマを作ってしまったりする」と指摘しているわけですね。この一節を折に触れて呟いたりして、前向きに一歩踏み出す勇気をもらっています。
さまざまなカタチで人がストレスを受け、苦しんでいるということも、コロナ禍の《人と直接会わない時間》を経て感じた方が少なくないのではないかと思います。トラウマや否定的な発想は、自分の決めつけが生んでいるものだと考えて、このやりとりを覗き見している読者さまが、新しい自分の一面を発見するきっかけになることを願って。
小竹さんにとって、“人生の師”や"心の友"と呼べる本や作品はありますか?
敬具
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