浏览了一遍收藏,觉得个人最喜欢的妹伏五还是这篇,每次看这段都会爽到那种:包含了年下方被当作小孩子的不满,青春期的反抗,永远活在心里的白月光,攻方与路人女性发生关系,当面尖锐的语言试探,明明想拥抱却变成伤害,互相慰藉,没有结果的初恋。最后高专入学时窗外随风飞舞的樱花也很美。………我真是个口味传统又狗血的女人。
「……先生、一つ聞いてもいいですか」
「珍しいね、恵が僕に聞くなんて」
いいよ、一つでも二つでも、と悟はウィンクして告げた。
「今日も含めて、俺がくだらないことで呼び出されても何で怒らなかったんですか。先生も忙しいのに」
すると悟はははは、と笑った。
「くだらないことってわかってるなら上出来だよ、恵」
「……他人を殴ったら普通怒るでしょう」
「恵には殴るだけの理由があるんだろ?君はそういう意味ではまっとうだから」
悟は続けた。
「……まぁ僕も、恵くらいの年はもっとめちゃくちゃだったしねぇ」
「それって、俺がやってるってことって想定内ってことですか」
恵は内心苛立つ。何をしても彼の心には届かなかかった、そんな失望すらあった。
「じゃぁもう一つ、先生に言わなきゃいけないことがあるんです」
悟は、ふーん、何?と言って目を細めた。背後のベッドに腰かけて長い足を組む。
まるで余裕だ。
それに、じわりと手のひらに汗がにじむ。
本当はこれを言うつもりはなかった。でももう引っ込みがつかない。
「去年のクリスマス、先生は俺の家に来なかったですよね」
「……そうだっけ?」
悟はとぼけた。
「俺はあの日…」
「…………」
じっと悟は恵を見ていた。応接室で感じたものとは違うプレッシャーがある。
恵は頬が熱くなるのを感じた。
「女の子と寝ました」
その恵の告白に悟は極めて冷静に、まるで教科書を読み上げるように呟いた。
「……セックスしたってこと?」
「はい」
恵がうなずくと、悟は微笑んだ。
「ふーん……こういう時は脱童貞おめでとう、とか言うべき?」
「……知りませんよ」
恵はぎゅっと手を握った。やっぱり、期待なんてするんじゃなかった。
動揺とか、嫉妬とか、そんなもの、この人の中にはない。
応接室では誰かもわからない人間にあれだけのことをしたのに、恵には冷静そのものだ。
悟は恵の心をよそに尋ねた。
「で?その子と付き合うの?」
「……そのつもりはないです、もう二度と会うこともないんで」
すると悟は大仰に肩をすくめる。
「恵、それは男として、あんまりよくないんじゃないの。ヤリ逃げっていうやつでしょ」
「……相手だって、同じです。学校のOGであまりよく知らない人だから。誘われたからそうしただけです」
「……恵、あのさ」
言いかけて悟は言葉を切った。そのまましばらく黙っていた。
「何ですか?」
恵が焦れて聞くと、悟はようやく顔を上げた。
「……好きじゃないのにしたの?何のために?」
「変ですか?そういうことに興味を持つのは。……俺、もう小学生じゃないんですよ」
恵は自分の心に嘘をついていることがわかっていた。行為のさなか、体は熱くなったけど、心はどんどん冷たくなった。
本当は興味なんてなかった。一人で過ごすクリスマスが耐えられなかっただけだ。
寂しさを見つめると、嫌でも自分の気持ちに向き合うことになる。
悟はゆらりと立ち上がった。
「……それ、本音?」
「…………」
悟の六眼がきらめく。彼の瞳は全てを見通すと言われているが、心の中までは見ることはできない。
しかし、その視線に問われているような気がして恵は目を伏せた。
「……恵。自分の気持ちを確かめるために、他人を利用しちゃだめだ」
子供をいさめる様な悟の言葉に、恵はかっと頭に血が上った。
図星だった。
「アンタ、よくそんなこと言えますね」
恵は立ち上がった。勢いがつきすぎて椅子がガシャンと後ろに倒れた。
悟はあーあ、と言って身を屈めてそれを起こした。
その白い頭を恵は見下ろしていた。悟はゆっくりと起き上がる。
それに、恵はさらにイライラする。
「……今日も、ずっと変だった。あんな、『普通の』人間を試すようなこと。いや去年のクリスマスからおかしくないですか、何があったんですか」
恵は早口にまくしたてた。本当はこんな風に聞きたかったんじゃない。
もっと落ち着いて、悟の話を聞きたいと思っていた。
でもできない、俺が子供だから。それとも。
「恵……」
すると悟は不意に笑った。恵は苛立ちに眉間にしわを寄せる。
「うん、ごめん……僕、本当に疲れてるんだね」
「疲れてるって……何に」
「……それは言えない」
「どうして」
「機密情報」
それに、あまり気持ちのいい話でもないから、と悟はぽつりと付け足した。
悟の顔が暗い。こんな表情を見るのは初めてだった。
恵の視線を避けるように、五条は背を向けてもう一度ベッドに寝そべった。
脱力した長い手足がだらんと外に垂れる。
「恵はどう思ってるか知らないけど、僕は君に結構救われてきたと思ってるんだけどね」
「……それ、どういう意味ですか」
散々からかわれてきた恵はちょっと警戒した。
すると悟は目を伏せた。
「小さい恵を抱っこすると柔らかくてあったかかったなぁって」
「……何ですかそれ、抱き枕的存在ってことですか」
「ふふ、もうさすがに抱っこさせてくれないだろ?」
悟は薄目を開けて、誘うように恵を見上げた。
そういうのはずるい、と恵は思う。
恵の心より先に、ベッドに足が向かう。
膝を折って悟に近づいた。
「先生……」
近づいた手は、弾かれることはなかった。
彼の術式はほぼ無意識に発動している。
昔は時々弾かれてることもあった。特に悟が不機嫌な時は。
まるで猫みたいに、彼が許した時にしか触れられない。
そして触れることができた日は、許されている。そう思うと幼い恵は心ひそかに嬉しかった。
悟の白い頬に触れた。暖房の効いた部屋でもそれはひやりとしていた。
「……抱きしめてもいいですか」
恵が問いかけると悟はまいったなぁと苦笑する。
「……鈍いね、非童貞の癖に」
憎まれ口を叩く悟の体を恵は抱きしめた。
悟は耳元で、クリスマス一人にしてごめん、と呟いた。
「……先生、一つ聞いてもいいですか」
「珍しいね、恵が僕に聞くなんて」
いいよ、一つでも二つでも、と悟はウィンクして告げた。
「今日も含めて、俺がくだらないことで呼び出されても何で怒らなかったんですか。先生も忙しいのに」
すると悟はははは、と笑った。
「くだらないことってわかってるなら上出来だよ、恵」
「……他人を殴ったら普通怒るでしょう」
「恵には殴るだけの理由があるんだろ?君はそういう意味ではまっとうだから」
悟は続けた。
「……まぁ僕も、恵くらいの年はもっとめちゃくちゃだったしねぇ」
「それって、俺がやってるってことって想定内ってことですか」
恵は内心苛立つ。何をしても彼の心には届かなかかった、そんな失望すらあった。
「じゃぁもう一つ、先生に言わなきゃいけないことがあるんです」
悟は、ふーん、何?と言って目を細めた。背後のベッドに腰かけて長い足を組む。
まるで余裕だ。
それに、じわりと手のひらに汗がにじむ。
本当はこれを言うつもりはなかった。でももう引っ込みがつかない。
「去年のクリスマス、先生は俺の家に来なかったですよね」
「……そうだっけ?」
悟はとぼけた。
「俺はあの日…」
「…………」
じっと悟は恵を見ていた。応接室で感じたものとは違うプレッシャーがある。
恵は頬が熱くなるのを感じた。
「女の子と寝ました」
その恵の告白に悟は極めて冷静に、まるで教科書を読み上げるように呟いた。
「……セックスしたってこと?」
「はい」
恵がうなずくと、悟は微笑んだ。
「ふーん……こういう時は脱童貞おめでとう、とか言うべき?」
「……知りませんよ」
恵はぎゅっと手を握った。やっぱり、期待なんてするんじゃなかった。
動揺とか、嫉妬とか、そんなもの、この人の中にはない。
応接室では誰かもわからない人間にあれだけのことをしたのに、恵には冷静そのものだ。
悟は恵の心をよそに尋ねた。
「で?その子と付き合うの?」
「……そのつもりはないです、もう二度と会うこともないんで」
すると悟は大仰に肩をすくめる。
「恵、それは男として、あんまりよくないんじゃないの。ヤリ逃げっていうやつでしょ」
「……相手だって、同じです。学校のOGであまりよく知らない人だから。誘われたからそうしただけです」
「……恵、あのさ」
言いかけて悟は言葉を切った。そのまましばらく黙っていた。
「何ですか?」
恵が焦れて聞くと、悟はようやく顔を上げた。
「……好きじゃないのにしたの?何のために?」
「変ですか?そういうことに興味を持つのは。……俺、もう小学生じゃないんですよ」
恵は自分の心に嘘をついていることがわかっていた。行為のさなか、体は熱くなったけど、心はどんどん冷たくなった。
本当は興味なんてなかった。一人で過ごすクリスマスが耐えられなかっただけだ。
寂しさを見つめると、嫌でも自分の気持ちに向き合うことになる。
悟はゆらりと立ち上がった。
「……それ、本音?」
「…………」
悟の六眼がきらめく。彼の瞳は全てを見通すと言われているが、心の中までは見ることはできない。
しかし、その視線に問われているような気がして恵は目を伏せた。
「……恵。自分の気持ちを確かめるために、他人を利用しちゃだめだ」
子供をいさめる様な悟の言葉に、恵はかっと頭に血が上った。
図星だった。
「アンタ、よくそんなこと言えますね」
恵は立ち上がった。勢いがつきすぎて椅子がガシャンと後ろに倒れた。
悟はあーあ、と言って身を屈めてそれを起こした。
その白い頭を恵は見下ろしていた。悟はゆっくりと起き上がる。
それに、恵はさらにイライラする。
「……今日も、ずっと変だった。あんな、『普通の』人間を試すようなこと。いや去年のクリスマスからおかしくないですか、何があったんですか」
恵は早口にまくしたてた。本当はこんな風に聞きたかったんじゃない。
もっと落ち着いて、悟の話を聞きたいと思っていた。
でもできない、俺が子供だから。それとも。
「恵……」
すると悟は不意に笑った。恵は苛立ちに眉間にしわを寄せる。
「うん、ごめん……僕、本当に疲れてるんだね」
「疲れてるって……何に」
「……それは言えない」
「どうして」
「機密情報」
それに、あまり気持ちのいい話でもないから、と悟はぽつりと付け足した。
悟の顔が暗い。こんな表情を見るのは初めてだった。
恵の視線を避けるように、五条は背を向けてもう一度ベッドに寝そべった。
脱力した長い手足がだらんと外に垂れる。
「恵はどう思ってるか知らないけど、僕は君に結構救われてきたと思ってるんだけどね」
「……それ、どういう意味ですか」
散々からかわれてきた恵はちょっと警戒した。
すると悟は目を伏せた。
「小さい恵を抱っこすると柔らかくてあったかかったなぁって」
「……何ですかそれ、抱き枕的存在ってことですか」
「ふふ、もうさすがに抱っこさせてくれないだろ?」
悟は薄目を開けて、誘うように恵を見上げた。
そういうのはずるい、と恵は思う。
恵の心より先に、ベッドに足が向かう。
膝を折って悟に近づいた。
「先生……」
近づいた手は、弾かれることはなかった。
彼の術式はほぼ無意識に発動している。
昔は時々弾かれてることもあった。特に悟が不機嫌な時は。
まるで猫みたいに、彼が許した時にしか触れられない。
そして触れることができた日は、許されている。そう思うと幼い恵は心ひそかに嬉しかった。
悟の白い頬に触れた。暖房の効いた部屋でもそれはひやりとしていた。
「……抱きしめてもいいですか」
恵が問いかけると悟はまいったなぁと苦笑する。
「……鈍いね、非童貞の癖に」
憎まれ口を叩く悟の体を恵は抱きしめた。
悟は耳元で、クリスマス一人にしてごめん、と呟いた。
#往復書簡#
片寄の「強さや聡明さ」が滲み出てきたのに対し…
片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡22
コロナ禍の中で始まったこの連載。小竹のパートは今回が今年最後となる。小竹と親しい小泉今日子や妻夫木聡の両氏は、片寄の文章や人柄を評価しているようだ。
***
拝啓 片寄涼太様
この往復書簡、外部からの評判は私には入ってこないが(以前ここで書いた通りエゴサーチを封印したので)、私の友人・知人、同じ事務所のアーティスト・スタッフの中には毎週読んでくれている人がたくさんいる。
「カイダン」の話を書いたときには驚くほど多くの人が私の怪我の心配をしてくれたし、粉瘤(ふんりゅう)手術のことを書いたあとはやたらとみんなが私の左耳のあたりを見るようになった気が。
メールで感想を送ってくれたり、会った際に「往復書簡、毎週楽しみにしています」と言ってくれたりする人が後を絶たない。クールに「どうも」などと対応する私ではあるが、内心パヤパヤと浮かれている。
小泉今日子氏は「片寄さんの文章は安定感がある」と言っていたし、妻夫木聡氏は「片寄くんはいい子だねえ。滲み出てるねえ」と感心していたよ。
あれ? 私の書いたものに関する感想はないんかーい!? と大声でツッコミたいところだが、往復書簡の相手に指名させてもらった君が褒められるのは私としても嬉しい限り。
こういう公の場で文章を書くってさ、私の場合はそれが本業だから当然1から10まで自分で書くが、君のようなアーティストや俳優の場合は、事前にインタビューを受けて、そこからさもその人が書いたようにライターや編集者が文章を起こすのが当たり前。
だが、君は毎回毎回しっかりと自分自身で文章を書いて締め切りを守っている。私は君からの手紙を受け取るたびにそのことに感心するし、「え、涼太、もう返事を書いてきやがった」と、新たに私に課された締め切りにプロらしからぬ当惑をおぼえたりする。それにしても涼太くん、またまた糧が増えるね。
で、子供の頃の私の話。今振り返ると私は、口の中で飴玉をずっと転がしているようなとても恵まれた(甘すぎるくらいの)環境でのほほーんと幼少期を過ごしていた。もっぱらの心配事は「お父さんが死んだらどうしよう」「お母さんが死んだらどうしよう」で、寝る前にそのことを考えてベソをかくような子供だった。
ああそうか、今も健在の、根は陽気なのに不必要に悲しいことばかり考える癖は幼少期にはすでに培われていたんだ。
そのくせ、「もしもこの世界に生息している人間が私一人だけだったら」と空想するのが大好きだった。サバイバルや自給自足の知識など、必要不可欠なことは他にいくらでもあるのに、何故か私はその空想上で「一人で生きていくためにまずは料理ができなきゃ話にならない」と、かなり幼い頃から料理に興味を抱き、今じゃそれは立派な特技になっている。
ああそうか、「ひとりでいたい願望」(言い換えると「孤独好き」)も料理への探求心も幼少期にはすでに芽生えていたのだな。
君みたいに映画「トゥルーマン・ショー」の世界に入り込んでしまったような錯覚に怯える賢さは私にはなかったかなあ。
君が利発的で冒険心に溢れるキラキラとした子供だったのは、今の君を見ていて容易に想像できる。そして私は、他の子供たちとは毛色の違う変な妄想癖があり、それに一喜一憂しながらもすぐまた別の妄想をするスライムみたいなどろどろダラーッとした子供だった。
いじめや素行不良とは縁がなかったが、妄想癖が強すぎるゆえにとても嘘つきな子供で、自分も他人も傷つかないが得もしない不可解な嘘ばっかりついていた私……。
年齢が親子ほど離れている君とのこの連載、回を重ねるごとにお互いの考え方の年齢差や温度差が出ていてめちゃめちゃ面白いなあと感じていたのだが、正直に書けば書くほど、君は強さや聡明さが滲み出てきたのに対し(たとえるなら原石が磨かれていくような?)、私はどうしようもなく間抜けで怠惰なところや情けない過去がむきだしになってきている(たとえるならメッキが剥がれていくような?)のは気のせいか?
さて、前回の君の書簡の文末での質問、「これは運命に導かれたと思うこと」だが、かなりある。それどころか、自分にとって大切な出会いや出来事はすべて運命に導かれたからこそだと思う。
ただし、運命に導かれるためには、条件があるとも思う。努力や実力だけでは補えない「運」と「タイミング」を持っていること。そして運命を手繰り寄せられるような自分なりの「個性」があること(個性は人生の武器なので)。
君に近しいところで言うと、EXILE HIROさんとの出会いはまさしく運命に導かれたのだと思う。私は、あんなに魅力的な男を他に知らない。
いろんな「すごい人」に出会わせてもらった人生だったが、後にも先にもHIROさんほど人間力が高い男はついぞ私の前に現れてこなかった。
作詞家・小竹正人を巧みに(実力以上に)プロデュースしてもらい、いつからか家族の一員のようになり、そしてHIROさんの子供は、私の人生の最愛で最後の生きがいになっている。これを「運命に導かれた」と言わずに何と言う?
小竹正人
p1 私の作詞家人生はE-girls(とFlower)なしでは語れない。数えきれない苦楽を共にした愛弟子で同志だった。伶菜、晴美、希、楓、夏恋、さーちん、ユリちゃん、アンナ、乃々華、柚、そして杏奈、ありがとう。これからも頑張れ!ますます輝け!
p2 片寄×小竹の往復書簡、私の手紙は今回が2020年のラストになります。読んでくださっている皆さま、Merry×Merry X'mas★!!良い年をお迎えください。そして来年もこの連載をぜひぜひお楽しみください
片寄の「強さや聡明さ」が滲み出てきたのに対し…
片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡22
コロナ禍の中で始まったこの連載。小竹のパートは今回が今年最後となる。小竹と親しい小泉今日子や妻夫木聡の両氏は、片寄の文章や人柄を評価しているようだ。
***
拝啓 片寄涼太様
この往復書簡、外部からの評判は私には入ってこないが(以前ここで書いた通りエゴサーチを封印したので)、私の友人・知人、同じ事務所のアーティスト・スタッフの中には毎週読んでくれている人がたくさんいる。
「カイダン」の話を書いたときには驚くほど多くの人が私の怪我の心配をしてくれたし、粉瘤(ふんりゅう)手術のことを書いたあとはやたらとみんなが私の左耳のあたりを見るようになった気が。
メールで感想を送ってくれたり、会った際に「往復書簡、毎週楽しみにしています」と言ってくれたりする人が後を絶たない。クールに「どうも」などと対応する私ではあるが、内心パヤパヤと浮かれている。
小泉今日子氏は「片寄さんの文章は安定感がある」と言っていたし、妻夫木聡氏は「片寄くんはいい子だねえ。滲み出てるねえ」と感心していたよ。
あれ? 私の書いたものに関する感想はないんかーい!? と大声でツッコミたいところだが、往復書簡の相手に指名させてもらった君が褒められるのは私としても嬉しい限り。
こういう公の場で文章を書くってさ、私の場合はそれが本業だから当然1から10まで自分で書くが、君のようなアーティストや俳優の場合は、事前にインタビューを受けて、そこからさもその人が書いたようにライターや編集者が文章を起こすのが当たり前。
だが、君は毎回毎回しっかりと自分自身で文章を書いて締め切りを守っている。私は君からの手紙を受け取るたびにそのことに感心するし、「え、涼太、もう返事を書いてきやがった」と、新たに私に課された締め切りにプロらしからぬ当惑をおぼえたりする。それにしても涼太くん、またまた糧が増えるね。
で、子供の頃の私の話。今振り返ると私は、口の中で飴玉をずっと転がしているようなとても恵まれた(甘すぎるくらいの)環境でのほほーんと幼少期を過ごしていた。もっぱらの心配事は「お父さんが死んだらどうしよう」「お母さんが死んだらどうしよう」で、寝る前にそのことを考えてベソをかくような子供だった。
ああそうか、今も健在の、根は陽気なのに不必要に悲しいことばかり考える癖は幼少期にはすでに培われていたんだ。
そのくせ、「もしもこの世界に生息している人間が私一人だけだったら」と空想するのが大好きだった。サバイバルや自給自足の知識など、必要不可欠なことは他にいくらでもあるのに、何故か私はその空想上で「一人で生きていくためにまずは料理ができなきゃ話にならない」と、かなり幼い頃から料理に興味を抱き、今じゃそれは立派な特技になっている。
ああそうか、「ひとりでいたい願望」(言い換えると「孤独好き」)も料理への探求心も幼少期にはすでに芽生えていたのだな。
君みたいに映画「トゥルーマン・ショー」の世界に入り込んでしまったような錯覚に怯える賢さは私にはなかったかなあ。
君が利発的で冒険心に溢れるキラキラとした子供だったのは、今の君を見ていて容易に想像できる。そして私は、他の子供たちとは毛色の違う変な妄想癖があり、それに一喜一憂しながらもすぐまた別の妄想をするスライムみたいなどろどろダラーッとした子供だった。
いじめや素行不良とは縁がなかったが、妄想癖が強すぎるゆえにとても嘘つきな子供で、自分も他人も傷つかないが得もしない不可解な嘘ばっかりついていた私……。
年齢が親子ほど離れている君とのこの連載、回を重ねるごとにお互いの考え方の年齢差や温度差が出ていてめちゃめちゃ面白いなあと感じていたのだが、正直に書けば書くほど、君は強さや聡明さが滲み出てきたのに対し(たとえるなら原石が磨かれていくような?)、私はどうしようもなく間抜けで怠惰なところや情けない過去がむきだしになってきている(たとえるならメッキが剥がれていくような?)のは気のせいか?
さて、前回の君の書簡の文末での質問、「これは運命に導かれたと思うこと」だが、かなりある。それどころか、自分にとって大切な出会いや出来事はすべて運命に導かれたからこそだと思う。
ただし、運命に導かれるためには、条件があるとも思う。努力や実力だけでは補えない「運」と「タイミング」を持っていること。そして運命を手繰り寄せられるような自分なりの「個性」があること(個性は人生の武器なので)。
君に近しいところで言うと、EXILE HIROさんとの出会いはまさしく運命に導かれたのだと思う。私は、あんなに魅力的な男を他に知らない。
いろんな「すごい人」に出会わせてもらった人生だったが、後にも先にもHIROさんほど人間力が高い男はついぞ私の前に現れてこなかった。
作詞家・小竹正人を巧みに(実力以上に)プロデュースしてもらい、いつからか家族の一員のようになり、そしてHIROさんの子供は、私の人生の最愛で最後の生きがいになっている。これを「運命に導かれた」と言わずに何と言う?
小竹正人
p1 私の作詞家人生はE-girls(とFlower)なしでは語れない。数えきれない苦楽を共にした愛弟子で同志だった。伶菜、晴美、希、楓、夏恋、さーちん、ユリちゃん、アンナ、乃々華、柚、そして杏奈、ありがとう。これからも頑張れ!ますます輝け!
p2 片寄×小竹の往復書簡、私の手紙は今回が2020年のラストになります。読んでくださっている皆さま、Merry×Merry X'mas★!!良い年をお迎えください。そして来年もこの連載をぜひぜひお楽しみください
壽花(花咲く)還暦記念制作に寄せて
●「枯れ木に花を咲かせましょう・・・」いのちの正体とは?
はなさかじいさん
むかしむかし、ある山里に心優しい老夫婦が住んでいました。そして隣には、欲張りで乱暴な老夫婦が住んでいました。
あるとき、優しい夫婦は傷ついた子犬を見つけて連れ帰ると、わが子のように大切に育てることにしました。
ある日のことです。犬は畑の土を掘りながら「ここ掘れワンワン」。
驚いたおじいさんが犬に従い畑を掘ると、大判・小判がざっくざく。それを見ていた欲張り爺さんは、犬を連れ去ります。
「ここ掘れワンワン」。指し示した場所から出てきたのは、期待はずれのガラクタばかり。怒りのあまり欲張り爺さんは、犬を殺してしまいました。
悲しみにくれる夫婦は、死んだ犬を引き取って庭に埋めて墓をつくり、雨風から墓を守るため、傍らに木を植えました。木は短い年月で大木に成長し、すると夢に犬が現れてその木を伐り倒して臼と杵を作るようにと言います。
お爺さんが言葉どおりに臼と杵を作り、それで餅をつくと、またまた金銀財宝があらわれました。それを知った隣の老夫婦は再び臼を借り受けるものの、出てくるのは今度もガラクタばかり。
怒りのあま斧で臼と杵を打ち割って薪にして燃やしてしまいました。
優しい老夫婦は灰を返してもらって大事に供養しようとしたところ、再び犬が夢に出てきて、桜の枯れ木に灰を撒いてほしいと頼むのです。
その言葉に従ったところ桜の花が満開になり・・・・
さて。ポチ(犬)はいったいどこに行ったのでしょう。
ポチと呼ばれていた「いのち」とは、いったいなんでしょうか。
いっときポチであった存在が、大木を育て(大木となり)、また、大木は臼と杵に姿を変え、臼と杵が灰に変わったあと、満開の桜となって・・・。
いのちは形を変えながらいのちを継いでいます。次のいのちをより大きく咲かせているのです。不思議な力、不思議な働き・・・。
●いのちを信じる
所詮、死んでいく「いのち」。いずれ「灰」になる「いのち」・・・そうでしょうか。
消えていく、滅していくという、肉体のことをいまいちど、考えてみましょう。
私たちの身体はおよそ10の23乗個の原子でできています。死んで火葬され灰となると、灰にふくまれた原子はときとともに気流に乗って、地球全体!にひろがっていきます。
そうして地球全体に広がった「わたし」を、だれかが呼吸にして取り込みます。
同じように、私たちも生きている間に、だれか(無数の!)のからだを(かたちは変わっても)必ず取り込んでいるのです。
さようなら。
別れをつげたはずの「わたし」が、見知らぬ国の見知らぬ人々の中に生きていく・・・。
「死」とは、そもそも、なんでしょうか。私たちが作り出したひとつの考え方かもしれません。手に余るものとして、私たちは「死」と名付けましたが、見方(意識)を変えれば、根源から「いのち」への考え方も変わってきます。
●魂を助けるのが肉体のお役目
お話にあるように、一人(花咲爺さん)は優しく、愛にあふれ、もうひとり(意地悪爺さん)は、心が狭く身勝手であるというとき、どちらが「進化」した人間でしょう。
私たちが、「人間の進化」というとき、それは愛の方向を指し示しています。魂です。
肉体は魂の器である。
あるいは・・・肉体は魂の楽器である。
ただ「魂」を介してのみ成長することができます。そのために、魂を具現化できるように、見えない「魂」を見えるものとして助けるために、肉体が与えられました。
肉体は有限です。いつかは、滅する宿命にあります。逆説的ですが、肉体が有限であることによって、魂は永遠なものとなります。肉体があるがゆえの苦しみが、魂を成長させ、わたしたちの「いのち」の働きに気づかせてくれます。制約である、束縛であるはずのものを、超えるものとして生まれてきたことに・・・。
人間がこの世界の頂点に立っているという思いは、ちっぽけなおごりです。わたしというものの存在を考えたとき、時空を何十億年もさかのぼらねばなりません。宇宙開闢からここまで累々と続いてきたいのちの歴史の、ひとつの結び目なのですから。
不思議のいのちの大きな世界に生かされている。その世界には有限も無限もありません。循環があり、働きがあり、お役目があるだけです。
私が生きているのではない。いのちが生きているのです。
見知らぬ人に会いたいと思う。遠い国に思いを寄せる。
風の声に耳を澄ませ、花びらにそっと触れる。星のまたたきに心ときめく。そして、世界に「優しくあれ」と願う。
みんな、みんな、いのちの働きによるのです。
●どんな現実を創造したいですか?
魂の具現化のために肉体を与えられた私たちはどの瞬間にも、私たちは「選択」を迫られています。人生は、選択の積み重ねです。調和の達成へ平安な世の中へと向かうのか、不和や破壊の道へと進むのか。すべては魂の選択です。
どんな現実を創造したいのですか?
どんな世界を夢見ていますか?
愛と思いやりに満ちた世界は、幻の桃源郷ではありません。私たちは、いのちを働かせ、魂を成長させることで、未来につなぐ理想の国を創ることができる存在です。
愛と思いやりの世界を望むなら、私自身が、愛と思いやりの人になることです。世界は、そんなシンプルな仕組みで成り立っています。
さあ、枯れ木に花を咲かせましょう https://t.cn/RU1yilv
●「枯れ木に花を咲かせましょう・・・」いのちの正体とは?
はなさかじいさん
むかしむかし、ある山里に心優しい老夫婦が住んでいました。そして隣には、欲張りで乱暴な老夫婦が住んでいました。
あるとき、優しい夫婦は傷ついた子犬を見つけて連れ帰ると、わが子のように大切に育てることにしました。
ある日のことです。犬は畑の土を掘りながら「ここ掘れワンワン」。
驚いたおじいさんが犬に従い畑を掘ると、大判・小判がざっくざく。それを見ていた欲張り爺さんは、犬を連れ去ります。
「ここ掘れワンワン」。指し示した場所から出てきたのは、期待はずれのガラクタばかり。怒りのあまり欲張り爺さんは、犬を殺してしまいました。
悲しみにくれる夫婦は、死んだ犬を引き取って庭に埋めて墓をつくり、雨風から墓を守るため、傍らに木を植えました。木は短い年月で大木に成長し、すると夢に犬が現れてその木を伐り倒して臼と杵を作るようにと言います。
お爺さんが言葉どおりに臼と杵を作り、それで餅をつくと、またまた金銀財宝があらわれました。それを知った隣の老夫婦は再び臼を借り受けるものの、出てくるのは今度もガラクタばかり。
怒りのあま斧で臼と杵を打ち割って薪にして燃やしてしまいました。
優しい老夫婦は灰を返してもらって大事に供養しようとしたところ、再び犬が夢に出てきて、桜の枯れ木に灰を撒いてほしいと頼むのです。
その言葉に従ったところ桜の花が満開になり・・・・
さて。ポチ(犬)はいったいどこに行ったのでしょう。
ポチと呼ばれていた「いのち」とは、いったいなんでしょうか。
いっときポチであった存在が、大木を育て(大木となり)、また、大木は臼と杵に姿を変え、臼と杵が灰に変わったあと、満開の桜となって・・・。
いのちは形を変えながらいのちを継いでいます。次のいのちをより大きく咲かせているのです。不思議な力、不思議な働き・・・。
●いのちを信じる
所詮、死んでいく「いのち」。いずれ「灰」になる「いのち」・・・そうでしょうか。
消えていく、滅していくという、肉体のことをいまいちど、考えてみましょう。
私たちの身体はおよそ10の23乗個の原子でできています。死んで火葬され灰となると、灰にふくまれた原子はときとともに気流に乗って、地球全体!にひろがっていきます。
そうして地球全体に広がった「わたし」を、だれかが呼吸にして取り込みます。
同じように、私たちも生きている間に、だれか(無数の!)のからだを(かたちは変わっても)必ず取り込んでいるのです。
さようなら。
別れをつげたはずの「わたし」が、見知らぬ国の見知らぬ人々の中に生きていく・・・。
「死」とは、そもそも、なんでしょうか。私たちが作り出したひとつの考え方かもしれません。手に余るものとして、私たちは「死」と名付けましたが、見方(意識)を変えれば、根源から「いのち」への考え方も変わってきます。
●魂を助けるのが肉体のお役目
お話にあるように、一人(花咲爺さん)は優しく、愛にあふれ、もうひとり(意地悪爺さん)は、心が狭く身勝手であるというとき、どちらが「進化」した人間でしょう。
私たちが、「人間の進化」というとき、それは愛の方向を指し示しています。魂です。
肉体は魂の器である。
あるいは・・・肉体は魂の楽器である。
ただ「魂」を介してのみ成長することができます。そのために、魂を具現化できるように、見えない「魂」を見えるものとして助けるために、肉体が与えられました。
肉体は有限です。いつかは、滅する宿命にあります。逆説的ですが、肉体が有限であることによって、魂は永遠なものとなります。肉体があるがゆえの苦しみが、魂を成長させ、わたしたちの「いのち」の働きに気づかせてくれます。制約である、束縛であるはずのものを、超えるものとして生まれてきたことに・・・。
人間がこの世界の頂点に立っているという思いは、ちっぽけなおごりです。わたしというものの存在を考えたとき、時空を何十億年もさかのぼらねばなりません。宇宙開闢からここまで累々と続いてきたいのちの歴史の、ひとつの結び目なのですから。
不思議のいのちの大きな世界に生かされている。その世界には有限も無限もありません。循環があり、働きがあり、お役目があるだけです。
私が生きているのではない。いのちが生きているのです。
見知らぬ人に会いたいと思う。遠い国に思いを寄せる。
風の声に耳を澄ませ、花びらにそっと触れる。星のまたたきに心ときめく。そして、世界に「優しくあれ」と願う。
みんな、みんな、いのちの働きによるのです。
●どんな現実を創造したいですか?
魂の具現化のために肉体を与えられた私たちはどの瞬間にも、私たちは「選択」を迫られています。人生は、選択の積み重ねです。調和の達成へ平安な世の中へと向かうのか、不和や破壊の道へと進むのか。すべては魂の選択です。
どんな現実を創造したいのですか?
どんな世界を夢見ていますか?
愛と思いやりに満ちた世界は、幻の桃源郷ではありません。私たちは、いのちを働かせ、魂を成長させることで、未来につなぐ理想の国を創ることができる存在です。
愛と思いやりの世界を望むなら、私自身が、愛と思いやりの人になることです。世界は、そんなシンプルな仕組みで成り立っています。
さあ、枯れ木に花を咲かせましょう https://t.cn/RU1yilv
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