威 尼 斯 圣 马 可 大 教 堂 外 墙 有 一 角 是 四 位 罗 马 皇 帝 的 浮 雕 , 被 称 为 “ 四 帝 像 ” 。 一 直 以 来 , 人 们 认 为 这 些 人 物 表 现 的 是 “ 四 帝 共 治 ” 中 的 两 位 正 皇 帝 奥 古 斯 都 和 两 位 副 皇 帝 凯 撒 , 很 多 历 史 书 也 把 这 座 浮 雕 的 照 片 作 为 “ 四 帝 共 治 ” 的 图 注 。 “ 四 帝 共 治 ” 是 戴 克 里 先 皇 帝 在 2 9 3 年 建 立 的 一 个 权 力 分 享 系 统 , 建 立 了 一 对 正 副 组 合 来 分 别 统 治 东 部 帝 国 和 西 部 帝 国 。 这 个 制 度 只 持 续 了 2 0 年 。
但 实 际 上 , 我 们 根 本 无 法 确 定 雕 塑 所 表 现 的 具 体 统 治 者 。 与 早 期 罗 马 皇 帝 的 肖 像 画 不 同 , 四 帝 的 形 象 并 不 逼 真 。 没 有 可 识 别 的 特 征 , 服 装 和 人 物 毫 无 个 性 可 言 。 每 一 对 都 在 拥 抱 , 一 个 蓄 须 , 一 个 剃 得 干 干 净 净 。 有 可 能 长 胡 子 的 人 是 奥 古 斯 都 , 而 凯 撒 则 是 光 脸 , 但 这 只 是 象 征 他 们 的 相 对 年 龄 和 等 级 , 而 不 是 现 实 。 还 有 可 能 雕 像 实 际 上 是 四 帝 共 治 结 束 后 才 做 的 , 表 现 的 是 君 士 坦 丁 的 三 个 儿 子 ( 君 士 坦 丁 二 世 、 君 士 坦 提 乌 斯 二 世 、 君 士 坦 斯 ) 以 及 他 的 侄 子 达 尔 马 提 乌 斯 , 他 们 都 拥 有 凯 撒 的 地 位 。
可 以 肯 定 的 是 , 这 座 雕 像 起 先 并 不 属 于 威 尼 斯 , 它 肯 定 是 在 第 四 次 十 字 军 东 征 期 间 , 1 2 0 4 年 君 士 坦 丁 堡 被 洗 劫 之 后 被 运 回 城 市 的 , 不 过 确 切 的 出 处 一 直 存 在 争 议 。 没 有 任 何 同 时 代 的 编 年 史 明 确 提 到 过 “ 四 帝 像 ” 。 1 4 世 纪 的 资 料 中 记 载 了 威 尼 斯 从 君 士 坦 丁 堡 掠 夺 的 大 理 石 和 斑 岩 石 碑 , 但 也 没 有 提 到 雕 塑 。 还 有 人 提 出 , 1 2 5 8 年 威 尼 斯 击 败 热 那 亚 后 , 曾 经 掠 夺 过 热 那 亚 控 制 的 阿 克 , “ 四 帝 像 ” 可 能 是 那 时 的 战 利 品 。
一 些 历 史 学 家 认 为 , 1 2 5 8 年 的 日 期 是 对 的 , 但 它 指 的 是 “ 四 帝 像 ” 抵 达 威 尼 斯 , 而 不 是 从 阿 克 的 热 那 亚 城 堡 掠 夺 的 时 间 。 根 据 这 一 理 论 , 从 1 2 0 4 年 十 字 军 占 领 君 士 坦 丁 堡 到 1 2 6 1 年 米 哈 伊 尔 八 世 领 导 拜 占 庭 帝 国 复 辟 , 在 短 暂 的 拉 丁 帝 国 时 期 , “ 四 帝 像 ” 一 直 在 君 士 坦 丁 堡 。 当 拉 丁 帝 国 的 局 势 开 始 变 得 岌 岌 可 危 , “ 四 帝 像 ” 和 其 他 战 利 品 才 被 送 到 了 威 尼 斯 , 并 与 在 阿 克 击 败 热 那 亚 人 的 舰 队 前 后 同 时 抵 达 。
威 尼 斯 当 地 导 游 可 能 会 向 你 介 绍 一 个 更 加 流 行 的 传 说 , 不 涉 及 这 些 沉 重 的 历 史 , 根 据 这 个 版 本 的 故 事 , 雕 塑 曾 经 是 四 个 小 偷 , 他 们 在 试 图 偷 窃 大 教 堂 的 财 宝 时 被 圣 马 可 本 人 抓 住 。 他 们 因 其 罪 行 而 被 钉 在 存 放 宝 藏 的 墙 上 , 以 永 远 守 护 它 。
1 9 6 5 年 , 土 耳 其 和 德 国 联 合 在 伊 斯 坦 布 尔 的 博 德 鲁 姆 清 真 寺 进 行 了 一 次 考 古 发 掘 , 这 座 清 真 寺 1 0 世 纪 时 是 一 座 教 堂 , 名 为 没 药 教 堂 ( M y r e l a i o n ) 。 当 时 发 现 了 一 块 位 于 长 方 形 基 座 上 的 斑 岩 脚 后 跟 碎 片 , 它 似 乎 与 “ 四 帝 像 ” 很 吻 合 , 第 四 个 人 像 正 好 缺 少 了 最 初 的 脚 和 底 座 。 没 药 教 堂 原 本 建 于 一 座 5 世 纪 的 圆 形 大 厅 之 上 , 紧 挨 着 君 士 坦 丁 统 治 时 期 建 造 的 与 皇 室 崇 拜 有 关 的 神 庙 卡 比 托 利 乌 姆 ( C a p i t o l i u m ) 。 卡 比 托 利 乌 姆 也 被 称 为 非 拉 铁 非 ( P h i l a d e l p h i o n ) , 即 以 君 士 坦 丁 的 儿 子 们 而 得 名 的 “ 兄 弟 之 爱 ” 神 庙 。
这 很 可 能 是 “ 四 帝 像 ” 的 来 源 , 每 一 对 浮 雕 都 会 装 饰 在 神 庙 主 入 口 门 廊 的 一 根 巨 大 的 斑 岩 柱 上 。 这 座 建 筑 甚 至 可 能 就 因 为 “ 四 帝 像 ” 而 被 称 为 非 拉 铁 非 , 被 认 定 是 君 士 坦 丁 的 子 侄 , 不 管 这 是 否 是 最 初 的 意 图 , 由 于 他 们 拥 抱 在 一 起 , 他 们 被 看 作 是 兄 弟 之 爱 的 代 表 。
2 0 1 3 年 , 圣 马 可 行 政 长 官 制 作 了 威 尼 斯 “ 四 帝 像 ” 和 伊 斯 坦 布 尔 发 现 的 脚 的 精 确 复 制 品 。 两 者 完 美 地 结 合 在 一 起 。 此 外 , 还 对 用 于 制 作 雕 塑 和 脚 碎 片 的 斑 岩 进 行 了 科 学 分 析 。 结 果 证 实 , 两 者 使 用 的 材 料 确 实 出 自 同 一 块 石 头 。 至 此 , 证 据 已 确 凿 无 疑 , “ 四 帝 像 ” 与 四 帝 共 治 很 有 可 能 毫 无 关 系 , 而 普 遍 认 为 它 是 从 君 士 坦 丁 堡 掠 夺 来 的 假 设 , 得 到 了 明 证 。
但 实 际 上 , 我 们 根 本 无 法 确 定 雕 塑 所 表 现 的 具 体 统 治 者 。 与 早 期 罗 马 皇 帝 的 肖 像 画 不 同 , 四 帝 的 形 象 并 不 逼 真 。 没 有 可 识 别 的 特 征 , 服 装 和 人 物 毫 无 个 性 可 言 。 每 一 对 都 在 拥 抱 , 一 个 蓄 须 , 一 个 剃 得 干 干 净 净 。 有 可 能 长 胡 子 的 人 是 奥 古 斯 都 , 而 凯 撒 则 是 光 脸 , 但 这 只 是 象 征 他 们 的 相 对 年 龄 和 等 级 , 而 不 是 现 实 。 还 有 可 能 雕 像 实 际 上 是 四 帝 共 治 结 束 后 才 做 的 , 表 现 的 是 君 士 坦 丁 的 三 个 儿 子 ( 君 士 坦 丁 二 世 、 君 士 坦 提 乌 斯 二 世 、 君 士 坦 斯 ) 以 及 他 的 侄 子 达 尔 马 提 乌 斯 , 他 们 都 拥 有 凯 撒 的 地 位 。
可 以 肯 定 的 是 , 这 座 雕 像 起 先 并 不 属 于 威 尼 斯 , 它 肯 定 是 在 第 四 次 十 字 军 东 征 期 间 , 1 2 0 4 年 君 士 坦 丁 堡 被 洗 劫 之 后 被 运 回 城 市 的 , 不 过 确 切 的 出 处 一 直 存 在 争 议 。 没 有 任 何 同 时 代 的 编 年 史 明 确 提 到 过 “ 四 帝 像 ” 。 1 4 世 纪 的 资 料 中 记 载 了 威 尼 斯 从 君 士 坦 丁 堡 掠 夺 的 大 理 石 和 斑 岩 石 碑 , 但 也 没 有 提 到 雕 塑 。 还 有 人 提 出 , 1 2 5 8 年 威 尼 斯 击 败 热 那 亚 后 , 曾 经 掠 夺 过 热 那 亚 控 制 的 阿 克 , “ 四 帝 像 ” 可 能 是 那 时 的 战 利 品 。
一 些 历 史 学 家 认 为 , 1 2 5 8 年 的 日 期 是 对 的 , 但 它 指 的 是 “ 四 帝 像 ” 抵 达 威 尼 斯 , 而 不 是 从 阿 克 的 热 那 亚 城 堡 掠 夺 的 时 间 。 根 据 这 一 理 论 , 从 1 2 0 4 年 十 字 军 占 领 君 士 坦 丁 堡 到 1 2 6 1 年 米 哈 伊 尔 八 世 领 导 拜 占 庭 帝 国 复 辟 , 在 短 暂 的 拉 丁 帝 国 时 期 , “ 四 帝 像 ” 一 直 在 君 士 坦 丁 堡 。 当 拉 丁 帝 国 的 局 势 开 始 变 得 岌 岌 可 危 , “ 四 帝 像 ” 和 其 他 战 利 品 才 被 送 到 了 威 尼 斯 , 并 与 在 阿 克 击 败 热 那 亚 人 的 舰 队 前 后 同 时 抵 达 。
威 尼 斯 当 地 导 游 可 能 会 向 你 介 绍 一 个 更 加 流 行 的 传 说 , 不 涉 及 这 些 沉 重 的 历 史 , 根 据 这 个 版 本 的 故 事 , 雕 塑 曾 经 是 四 个 小 偷 , 他 们 在 试 图 偷 窃 大 教 堂 的 财 宝 时 被 圣 马 可 本 人 抓 住 。 他 们 因 其 罪 行 而 被 钉 在 存 放 宝 藏 的 墙 上 , 以 永 远 守 护 它 。
1 9 6 5 年 , 土 耳 其 和 德 国 联 合 在 伊 斯 坦 布 尔 的 博 德 鲁 姆 清 真 寺 进 行 了 一 次 考 古 发 掘 , 这 座 清 真 寺 1 0 世 纪 时 是 一 座 教 堂 , 名 为 没 药 教 堂 ( M y r e l a i o n ) 。 当 时 发 现 了 一 块 位 于 长 方 形 基 座 上 的 斑 岩 脚 后 跟 碎 片 , 它 似 乎 与 “ 四 帝 像 ” 很 吻 合 , 第 四 个 人 像 正 好 缺 少 了 最 初 的 脚 和 底 座 。 没 药 教 堂 原 本 建 于 一 座 5 世 纪 的 圆 形 大 厅 之 上 , 紧 挨 着 君 士 坦 丁 统 治 时 期 建 造 的 与 皇 室 崇 拜 有 关 的 神 庙 卡 比 托 利 乌 姆 ( C a p i t o l i u m ) 。 卡 比 托 利 乌 姆 也 被 称 为 非 拉 铁 非 ( P h i l a d e l p h i o n ) , 即 以 君 士 坦 丁 的 儿 子 们 而 得 名 的 “ 兄 弟 之 爱 ” 神 庙 。
这 很 可 能 是 “ 四 帝 像 ” 的 来 源 , 每 一 对 浮 雕 都 会 装 饰 在 神 庙 主 入 口 门 廊 的 一 根 巨 大 的 斑 岩 柱 上 。 这 座 建 筑 甚 至 可 能 就 因 为 “ 四 帝 像 ” 而 被 称 为 非 拉 铁 非 , 被 认 定 是 君 士 坦 丁 的 子 侄 , 不 管 这 是 否 是 最 初 的 意 图 , 由 于 他 们 拥 抱 在 一 起 , 他 们 被 看 作 是 兄 弟 之 爱 的 代 表 。
2 0 1 3 年 , 圣 马 可 行 政 长 官 制 作 了 威 尼 斯 “ 四 帝 像 ” 和 伊 斯 坦 布 尔 发 现 的 脚 的 精 确 复 制 品 。 两 者 完 美 地 结 合 在 一 起 。 此 外 , 还 对 用 于 制 作 雕 塑 和 脚 碎 片 的 斑 岩 进 行 了 科 学 分 析 。 结 果 证 实 , 两 者 使 用 的 材 料 确 实 出 自 同 一 块 石 头 。 至 此 , 证 据 已 确 凿 无 疑 , “ 四 帝 像 ” 与 四 帝 共 治 很 有 可 能 毫 无 关 系 , 而 普 遍 认 为 它 是 从 君 士 坦 丁 堡 掠 夺 来 的 假 设 , 得 到 了 明 证 。
堂本光一&佐藤勝利、2作同時製作の大変さやメリットを語る 『Endless SHOCK』本編撮影&会見レポート
2022/4/6
https://t.cn/A66TinR8
2000年の初演から堂本光一主演で公演が行われ、国内のミュージカル単独主演記録を更新し続けている『SHOCK』シリーズ。2020年、新型コロナウイルスの影響によって一部公演が中止になったが、作中で提示される“Show must go on”を体現するようにさまざまな挑戦を行い、感染防止を念頭においたスピンオフ公演『Endless SHOCK -Eternal-』を上演した。2022年も引き続き『-Eternal-』公演を開催するほか、帝国劇場での公演に先駆け、『Endless SHOCK』本編の配信も行われる。本編撮影の様子が公開され、作・構成・演出・主演の堂本光一、帝国劇場公演でライバル役を務める佐藤勝利(Sexy Zone)による会見が行われた。
――『Endless SHOCK』本編を演じてみて、いかがでしたか?
堂本光一:コロナ禍で中止になり、映画の撮影をして以来なので、本編は2年ぶり。やっぱりキツイなと思いました(笑)。4月10日からはスピンオフである『-Eternal-』が始まります。二つ同時進行なので、勝利は本当に大変でしょうね。今回は時間や物理的な問題でフライングは以前の映像との組み合わせで配信。だから今回一番キツいのは殺陣ですね。
佐藤勝利:もちろん大変ですが、光一くんが「2本やるのは演出の一環でもある」と仰っていて、それをひしひしと感じています。劇場で上演するのは『-Eternal-』ですが、スピンオフということもあり、本編を経験していないと感じられない感情もあります。そして、稽古がコウイチとショウリという役にリンクしていると感じるんです。「なんで光一くん、2本同時にやるんだろう?こんなキツい稽古するんだろう?」とか(笑)。
堂本:「ミスするのはお前のせいなんだよ!」って。全部俺のせい(笑)。
佐藤:いやいや(笑)。2本やることですごく育てていただいたし、『Endless SHOCK』の世界に入らせていただいた感覚がありますね。
――勝利さんにとっては憧れの舞台だと思いますが、観るのと出るのではやはり違いますか?
堂本:やるより観てた方がいいだろ(笑)?
佐藤:制作会見でも言いましたが、『SHOCK』は僕が初めて観たエンタメ作品で、僕の人生を変えた作品なんです。観客として光一くんを真正面から見ていたのに、今はライバルとして背中を見る立ち位置になって、すごく感慨深いです。観ている方が体力的には楽ですけど、やるのはまた別の楽しさがあります。光一くんに色々なアドバイスをいただいたので、形にしていけるように頑張りたいです。
堂本:公演期間が長いので、その中で一緒に色々な発見をできたらと思っています。勝利は本当に、真面目すぎるくらい真面目。本来なら、稽古の後に食事に行ってお酒も飲みながら色々な話をして関係性を育みたいけど今はまだできない。公演期間中に、もっと色々な一面を知れたらいいですね。
――ライバルが歌う新曲『MOVE ON』に関してはどんな思いがあるでしょうか。
佐藤:これまではライバルを演じるキャストに合わせた曲でしたが、今回から『MOVE ON』を定番化していくと聞き、スタートを任される緊張がありました。この曲は、ライバルの気持ちがすごく表されている曲です。歌詞にもあるように「声を枯らすくらい」感情を込めないといけないので難しい。でも、この曲もそれ以外の部分も、光一くんがつきっきりで稽古してくださいました。そのおかげで、ライバルというキャラクターが完成したと思います。
――配信となると、編集ができるのでこだわりも出てくるかと思います。
堂本:そうは言っても時間がないんですよ。生の舞台ならではのリアルも感じていただきたいので、技術的に止めなきゃいけない部分以外はなるべく止めずにやっています。今日1日で本編を全て撮って、9日の配信に向けて編集すると同時に10日からの公演に向けたセットの変更や場当たりが始まる。スタッフもキャストもてんやわんやです。本当に申し訳ない! 誰がこんなことやろうって言い出したんだろうね。
佐藤:座長です(笑)!
堂本:(笑)。『SHOCK』は歴史があるので、稽古場でも色々な話が出るんです。初演の時はゲネプロが終わったのが開演の45分前で、セットの転換などを考えて30分押してスタートしたいと言ったらジャニーさんが「そんなのダメに決まってるじゃない!」って怒ったとか(笑)。
佐藤:ジャニーさんらしいですね(笑)。光一くんもジャニーさんのDNAを受け継いでますよね。
堂本:追い込まれないとダメなんですよ(笑)。
佐藤:でも僕も、稽古をしてるうちに追い込まれるのが快感になってきました(笑)。
堂本:こっちの世界に来たね!いいと思う!
――改めて、本編の配信や公演を楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。
佐藤:僕が初めて観た『SHOCK』の世界に入らせていただくことになりました。誠心誠意、全力でライバルという役に向き合い、コウイチを追い越すくらいの気持ちで演じます。まずは配信で本編を観ていただき、劇場に来られる方には生の舞台の迫力を楽しんでほしいと思います。
堂本:4月10日より、ここ帝国劇場で『Endless SHOCK -Eternal-』がスタートします。9日からスタートする本編の配信を観ていただけたら、スピンオフである『-Eternal-』もより楽しんでいただけると思います。今の世の中は目を覆いたくなったり耳を塞ぎたくなったりすることも多いですが、少しでも心を軽くできるエンターテインメントを届けたいと思います。ぜひよろしくお願いします。
メディアに公開されたのは、ライバルがコウイチに不満をぶつけることでカンパニーの亀裂が深まるシーンから、その後のショーステージまでの一幕後半部分。
主演を務める堂本光一は演技・パフォーマンスともにさすがの安定感でカンパニーを牽引。コウイチの台詞や態度には、コロナ禍においてもエンターテインメントの可能性を模索し、情熱と柔軟さを持って挑戦を続けてきたからこその説得力があり、胸を締め付けられる。会見では「Japanesque Showは少し短くした」という話も出ていたが、美しいダンスや殺陣は迫力満点で見応えも十分。
対する佐藤勝利は、全力で主人公にぶつかるライバルを好演。勢いと初々しさのある佇まいが魅力的だ。コウイチの「もっと高みを目指してほしい」という言葉に親心のような愛情が感じられ、新鮮な魅力がある。脇を固めるキャスト陣も、2作同時進行で稽古を進めたとは思えないキレのあるパフォーマンスを見せている。『SHOCK』シリーズ常連のふぉ~ゆ~越岡裕貴・松崎祐介やオーナー役・前田美波里、2020年から継続して出演している高田翔はもちろん、初参加の原嘉孝の演技も光っている。リカ役の綺咲愛里の華やかさ、大東立樹や今村隼人のキレのあるダンスや殺陣、様々な役を演じて作品の世界を支えるアンサンブルキャストの活躍も見逃せない。
また、一日での撮影というハードスケジュールながら、キャスト・スタッフともに疲れや気の緩みは一切感じさせない。だが、配信用カメラ・メディア共に撮影がストップしている間、キャスト陣は集中力を保ったままリラックスした雰囲気に。ステージ上に残っていた高田が「松崎さんです!」と紹介をはじめ、松崎が客席に向かって元気に手を振ってアピールするなど和気あいあいとした様子も見受けられ、カンパニーの仲の良さが伺えた。
本編を観たことがない方はもちろん、観たことがある方も新鮮な気持ちで楽しめるのではないかと思える、2022年版『Endless SHOCK』。無観客配信は公演開幕の前日、9日19時よりスタート。4月・5月にかけて行われる『-Eternal-』の公演に合わせて見逃し配信も行われる。
取材・文・撮影=吉田沙奈
2022/4/6
https://t.cn/A66TinR8
2000年の初演から堂本光一主演で公演が行われ、国内のミュージカル単独主演記録を更新し続けている『SHOCK』シリーズ。2020年、新型コロナウイルスの影響によって一部公演が中止になったが、作中で提示される“Show must go on”を体現するようにさまざまな挑戦を行い、感染防止を念頭においたスピンオフ公演『Endless SHOCK -Eternal-』を上演した。2022年も引き続き『-Eternal-』公演を開催するほか、帝国劇場での公演に先駆け、『Endless SHOCK』本編の配信も行われる。本編撮影の様子が公開され、作・構成・演出・主演の堂本光一、帝国劇場公演でライバル役を務める佐藤勝利(Sexy Zone)による会見が行われた。
――『Endless SHOCK』本編を演じてみて、いかがでしたか?
堂本光一:コロナ禍で中止になり、映画の撮影をして以来なので、本編は2年ぶり。やっぱりキツイなと思いました(笑)。4月10日からはスピンオフである『-Eternal-』が始まります。二つ同時進行なので、勝利は本当に大変でしょうね。今回は時間や物理的な問題でフライングは以前の映像との組み合わせで配信。だから今回一番キツいのは殺陣ですね。
佐藤勝利:もちろん大変ですが、光一くんが「2本やるのは演出の一環でもある」と仰っていて、それをひしひしと感じています。劇場で上演するのは『-Eternal-』ですが、スピンオフということもあり、本編を経験していないと感じられない感情もあります。そして、稽古がコウイチとショウリという役にリンクしていると感じるんです。「なんで光一くん、2本同時にやるんだろう?こんなキツい稽古するんだろう?」とか(笑)。
堂本:「ミスするのはお前のせいなんだよ!」って。全部俺のせい(笑)。
佐藤:いやいや(笑)。2本やることですごく育てていただいたし、『Endless SHOCK』の世界に入らせていただいた感覚がありますね。
――勝利さんにとっては憧れの舞台だと思いますが、観るのと出るのではやはり違いますか?
堂本:やるより観てた方がいいだろ(笑)?
佐藤:制作会見でも言いましたが、『SHOCK』は僕が初めて観たエンタメ作品で、僕の人生を変えた作品なんです。観客として光一くんを真正面から見ていたのに、今はライバルとして背中を見る立ち位置になって、すごく感慨深いです。観ている方が体力的には楽ですけど、やるのはまた別の楽しさがあります。光一くんに色々なアドバイスをいただいたので、形にしていけるように頑張りたいです。
堂本:公演期間が長いので、その中で一緒に色々な発見をできたらと思っています。勝利は本当に、真面目すぎるくらい真面目。本来なら、稽古の後に食事に行ってお酒も飲みながら色々な話をして関係性を育みたいけど今はまだできない。公演期間中に、もっと色々な一面を知れたらいいですね。
――ライバルが歌う新曲『MOVE ON』に関してはどんな思いがあるでしょうか。
佐藤:これまではライバルを演じるキャストに合わせた曲でしたが、今回から『MOVE ON』を定番化していくと聞き、スタートを任される緊張がありました。この曲は、ライバルの気持ちがすごく表されている曲です。歌詞にもあるように「声を枯らすくらい」感情を込めないといけないので難しい。でも、この曲もそれ以外の部分も、光一くんがつきっきりで稽古してくださいました。そのおかげで、ライバルというキャラクターが完成したと思います。
――配信となると、編集ができるのでこだわりも出てくるかと思います。
堂本:そうは言っても時間がないんですよ。生の舞台ならではのリアルも感じていただきたいので、技術的に止めなきゃいけない部分以外はなるべく止めずにやっています。今日1日で本編を全て撮って、9日の配信に向けて編集すると同時に10日からの公演に向けたセットの変更や場当たりが始まる。スタッフもキャストもてんやわんやです。本当に申し訳ない! 誰がこんなことやろうって言い出したんだろうね。
佐藤:座長です(笑)!
堂本:(笑)。『SHOCK』は歴史があるので、稽古場でも色々な話が出るんです。初演の時はゲネプロが終わったのが開演の45分前で、セットの転換などを考えて30分押してスタートしたいと言ったらジャニーさんが「そんなのダメに決まってるじゃない!」って怒ったとか(笑)。
佐藤:ジャニーさんらしいですね(笑)。光一くんもジャニーさんのDNAを受け継いでますよね。
堂本:追い込まれないとダメなんですよ(笑)。
佐藤:でも僕も、稽古をしてるうちに追い込まれるのが快感になってきました(笑)。
堂本:こっちの世界に来たね!いいと思う!
――改めて、本編の配信や公演を楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。
佐藤:僕が初めて観た『SHOCK』の世界に入らせていただくことになりました。誠心誠意、全力でライバルという役に向き合い、コウイチを追い越すくらいの気持ちで演じます。まずは配信で本編を観ていただき、劇場に来られる方には生の舞台の迫力を楽しんでほしいと思います。
堂本:4月10日より、ここ帝国劇場で『Endless SHOCK -Eternal-』がスタートします。9日からスタートする本編の配信を観ていただけたら、スピンオフである『-Eternal-』もより楽しんでいただけると思います。今の世の中は目を覆いたくなったり耳を塞ぎたくなったりすることも多いですが、少しでも心を軽くできるエンターテインメントを届けたいと思います。ぜひよろしくお願いします。
メディアに公開されたのは、ライバルがコウイチに不満をぶつけることでカンパニーの亀裂が深まるシーンから、その後のショーステージまでの一幕後半部分。
主演を務める堂本光一は演技・パフォーマンスともにさすがの安定感でカンパニーを牽引。コウイチの台詞や態度には、コロナ禍においてもエンターテインメントの可能性を模索し、情熱と柔軟さを持って挑戦を続けてきたからこその説得力があり、胸を締め付けられる。会見では「Japanesque Showは少し短くした」という話も出ていたが、美しいダンスや殺陣は迫力満点で見応えも十分。
対する佐藤勝利は、全力で主人公にぶつかるライバルを好演。勢いと初々しさのある佇まいが魅力的だ。コウイチの「もっと高みを目指してほしい」という言葉に親心のような愛情が感じられ、新鮮な魅力がある。脇を固めるキャスト陣も、2作同時進行で稽古を進めたとは思えないキレのあるパフォーマンスを見せている。『SHOCK』シリーズ常連のふぉ~ゆ~越岡裕貴・松崎祐介やオーナー役・前田美波里、2020年から継続して出演している高田翔はもちろん、初参加の原嘉孝の演技も光っている。リカ役の綺咲愛里の華やかさ、大東立樹や今村隼人のキレのあるダンスや殺陣、様々な役を演じて作品の世界を支えるアンサンブルキャストの活躍も見逃せない。
また、一日での撮影というハードスケジュールながら、キャスト・スタッフともに疲れや気の緩みは一切感じさせない。だが、配信用カメラ・メディア共に撮影がストップしている間、キャスト陣は集中力を保ったままリラックスした雰囲気に。ステージ上に残っていた高田が「松崎さんです!」と紹介をはじめ、松崎が客席に向かって元気に手を振ってアピールするなど和気あいあいとした様子も見受けられ、カンパニーの仲の良さが伺えた。
本編を観たことがない方はもちろん、観たことがある方も新鮮な気持ちで楽しめるのではないかと思える、2022年版『Endless SHOCK』。無観客配信は公演開幕の前日、9日19時よりスタート。4月・5月にかけて行われる『-Eternal-』の公演に合わせて見逃し配信も行われる。
取材・文・撮影=吉田沙奈
【中村屋酒店の兄弟】
たった1行のセリフに隠された感情 藤原季節が23歳新人監督から気付かされたこと
昨年、「くれなずめ」「明日の食卓」「空白」「のさりの島」など映画に出演、ドラマでも活躍する藤原季節(29)。本作の映画「中村屋酒店の兄弟」(白磯大知監督)は第30回東京学生映画祭でグランプリなどを受賞し、撮影から3年たっての劇場公開が決まった。監督からオファーを受けた当初、「出演をお断りした」と明かす。そのワケは?
映画「中村屋酒店の兄弟」、オファー当初は「出演をお断りした」
昨年、「くれなずめ」「明日の食卓」「空白」「のさりの島」など映画に出演、ドラマでも活躍する藤原季節(29)。本作の映画「中村屋酒店の兄弟」(白磯大知監督)は第30回東京学生映画祭でグランプリなどを受賞し、撮影から3年たっての劇場公開が決まった。監督からオファーを受けた当初、「出演をお断りした」と明かす。そのワケは?(取材・文=平辻哲也)
同作は昨今、なくなりつつある酒店を舞台に、親からの店を継いだ兄・弘文(長尾卓磨)と東京からワケあって帰ってきた弟・和馬(藤原)を描く45分の中編。兄弟の近くて遠い距離感を絶妙に描き、第13回田辺・弁慶映画祭TBSラジオ賞、第30回東京学生映画祭グランプリ、第11回下北沢映画祭観客賞などを受賞。この快挙に、W主演の長尾が劇場公開へと動き、3月4日、東京・シネクイントでのレイトショー先行公開、同18日からの全国17館での順次公開が決まった。
「長尾さんをはじめとしたみなさんの努力の積み重ねですね。今だからこそ、誰かの心に届くかもしれない。その可能性を感じてくれた人が積み重なって全国まで行けたんだと思います」
しかし、3年前は劇場公開など思いもよらないことだった。監督は17歳から俳優活動し、独学で脚本を学んだという当時23歳の白磯大知。スタッフも映画未経験という自主映画だった。
「共通の知人を介してオファーを頂きました。最初は『この作品の面白さを理解することができません』とお断りしました。この脚本は、何も激しいことは起こらない。当時は何を撮りたいかつかめなかったんですよ。今思えば、安易な考えだったし、監督の白磯君に敬意をちゃんと払っていなかったんですよね。自分の未熟さですけども」
その後、一度も会わずに断ったことが脳裏に引っかかり、改めて渋谷のカフェで監督との時間を作ってもらった。「そこで白磯君がどういうことを描きたいかっていうことを丁寧に教えてくれたんですが、人となりがとても魅力的だった。『兄弟の距離感を描きたい』という言葉を聞いて、その場でもう一度読み直しました。そうしたら、たった1行のセリフにたくさんの語られてない感情が隠れているんだと気づき、僕にとってチャレンジになるのでやらせてください、とお願いしたんです」。
北海道札幌市出身、19歳で上京「最初から俳優をやるつもりで東京に出てきた」
劇中では、微妙なすれ違いの感情が描かれる。「トークイベントのゲストに来てくれた村上虹郎君が『褒めてばかりでもつまらないので、思ったことを言います。兄弟が楽しすぎる気がした』と言ってくれたんですね。その事をずっと考えました。それで分かったのは、楽しんでいるんじゃなくて、楽しんでいるふりをしているんだな、ということ。その裏にはきっと語られてない感情がたくさんあって、家族や兄弟としゃべっている時の自分も、何かを演じているんだなってことです。そんなことがちょっとずつ見えてきました」。
妹と姉がいるそうで、和馬の気持ちには「自分にも思い当たる節がありますね。気恥ずかしさだったり、東京で好き勝手やっていることの後ろめたさ、それをカモフラージュするためにちょっと明るく話してみたり……」。
自身は北海道札幌市出身。実家を飛び出したことも共通点。19歳の時に大学進学を機に上京したのだ。「最初から俳優をやるつもりで東京に出てきたんです。正確には大学には入学しているんですけど、3か月も通っていませんね……。なので、親には入学金の無駄遣いをさせてしまいました。泣いてましたね。だから、東京と実家で安息の地を探している和馬の気持ちは分かる部分もありました。実家に帰っても、どこかで何かを演じなきゃならない。自分の居場所を彼も探していたんだと思います」。
2013年に本格的に俳優活動をスタートし、以降、映画、ドラマ、舞台でキャリアを積み上げてきた。20年に第42回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を、21年には、第13回TAMA映画賞最優秀新進男優賞を授賞した。
今は、居場所を見つけられたのではないか。「確かに、カメラの前での居場所はできたように思えます。でも、僕ら俳優は、現実に帰ってこなきゃいけないですから。現実の世の中で生活をして生きていかなきゃいけないわけで、その居場所は自分自身でもう1回見つけないといけないと思っています」。
「中村屋酒店の兄弟」はいろんな気付きを与えてくれた作品になった。特に教えてくれたのは兄役の長尾だ。「スタッフは映画が初めての人が多く、不慣れな部分もあったんですけども、長尾さんは最後まで一つも文句を言わなかったんです。だから、僕も何も言わないようにしたんです。そうしたら、3日目から、スタッフが“段取りファースト”から“お芝居ファースト”に変わっていった。それは、僕たちの意識が伝わったんだと思います。はっきり伝えるっていうのは、自分の気持ちを伝えたいだけで、コミュニケーションって、そういうことだけではないんだと思いました」。
出演後は新たな関係性も生まれている。「長尾さんとは全然似ていないんですけど、映画を見ていると、兄弟に見えてくるから不思議ですね。日常生活でも、長男・長尾さん、次男・僕、三男・白磯君の三兄弟みたいな感じなんです。頻繁に連絡を取ったり、お酒を飲んだりするわけじゃないけど、久々に会うことができたら、みんなで近況報告を恥じらいながらする。そんな関係ができあがりました」。
コロナ禍となり自宅で映画鑑賞「インディーズ、メジャーに関わらず必要なもの」
映画は自身の原点だ。「(コロナ禍で)自宅での時間が増えると、大作ばかり観ていました。大好きなアル・パチーノの出演作とかを見ていましたが、先日は、インディーズ映画を見て、衝撃を受けました。『フタリノセカイ』(公開中)というトランスジェンダーの男性とシスジェンダーの女性カップルの話で、2人には子供が作れない。そこである決断をするシーンがあるんですけども、幸せにはあらゆるカタチがあっていいんだという希望の描き方に感動しました。そんな体験をすると、インディーズ、メジャーに関わらず、映画体験は必要なものだと改めて実感しました」。
藤原もそんな体験を与えられるような新しい映画との出会いを求めている。「新しい何かに出会うときって、自分を解体しないと出会えないんじゃないかな、と思っています。常に自分を疑ってみたり、自分は間違っているかもしれないと考え続けて、誰かが書いたセリフを言ってみた時に出会えるような気がします。そんな破壊と再生の旅を続けたいと思っています」。
「中村屋酒店の兄弟」は佳作というべき小作だが、藤原にとってはターニングポイントになったようだ。
たった1行のセリフに隠された感情 藤原季節が23歳新人監督から気付かされたこと
昨年、「くれなずめ」「明日の食卓」「空白」「のさりの島」など映画に出演、ドラマでも活躍する藤原季節(29)。本作の映画「中村屋酒店の兄弟」(白磯大知監督)は第30回東京学生映画祭でグランプリなどを受賞し、撮影から3年たっての劇場公開が決まった。監督からオファーを受けた当初、「出演をお断りした」と明かす。そのワケは?
映画「中村屋酒店の兄弟」、オファー当初は「出演をお断りした」
昨年、「くれなずめ」「明日の食卓」「空白」「のさりの島」など映画に出演、ドラマでも活躍する藤原季節(29)。本作の映画「中村屋酒店の兄弟」(白磯大知監督)は第30回東京学生映画祭でグランプリなどを受賞し、撮影から3年たっての劇場公開が決まった。監督からオファーを受けた当初、「出演をお断りした」と明かす。そのワケは?(取材・文=平辻哲也)
同作は昨今、なくなりつつある酒店を舞台に、親からの店を継いだ兄・弘文(長尾卓磨)と東京からワケあって帰ってきた弟・和馬(藤原)を描く45分の中編。兄弟の近くて遠い距離感を絶妙に描き、第13回田辺・弁慶映画祭TBSラジオ賞、第30回東京学生映画祭グランプリ、第11回下北沢映画祭観客賞などを受賞。この快挙に、W主演の長尾が劇場公開へと動き、3月4日、東京・シネクイントでのレイトショー先行公開、同18日からの全国17館での順次公開が決まった。
「長尾さんをはじめとしたみなさんの努力の積み重ねですね。今だからこそ、誰かの心に届くかもしれない。その可能性を感じてくれた人が積み重なって全国まで行けたんだと思います」
しかし、3年前は劇場公開など思いもよらないことだった。監督は17歳から俳優活動し、独学で脚本を学んだという当時23歳の白磯大知。スタッフも映画未経験という自主映画だった。
「共通の知人を介してオファーを頂きました。最初は『この作品の面白さを理解することができません』とお断りしました。この脚本は、何も激しいことは起こらない。当時は何を撮りたいかつかめなかったんですよ。今思えば、安易な考えだったし、監督の白磯君に敬意をちゃんと払っていなかったんですよね。自分の未熟さですけども」
その後、一度も会わずに断ったことが脳裏に引っかかり、改めて渋谷のカフェで監督との時間を作ってもらった。「そこで白磯君がどういうことを描きたいかっていうことを丁寧に教えてくれたんですが、人となりがとても魅力的だった。『兄弟の距離感を描きたい』という言葉を聞いて、その場でもう一度読み直しました。そうしたら、たった1行のセリフにたくさんの語られてない感情が隠れているんだと気づき、僕にとってチャレンジになるのでやらせてください、とお願いしたんです」。
北海道札幌市出身、19歳で上京「最初から俳優をやるつもりで東京に出てきた」
劇中では、微妙なすれ違いの感情が描かれる。「トークイベントのゲストに来てくれた村上虹郎君が『褒めてばかりでもつまらないので、思ったことを言います。兄弟が楽しすぎる気がした』と言ってくれたんですね。その事をずっと考えました。それで分かったのは、楽しんでいるんじゃなくて、楽しんでいるふりをしているんだな、ということ。その裏にはきっと語られてない感情がたくさんあって、家族や兄弟としゃべっている時の自分も、何かを演じているんだなってことです。そんなことがちょっとずつ見えてきました」。
妹と姉がいるそうで、和馬の気持ちには「自分にも思い当たる節がありますね。気恥ずかしさだったり、東京で好き勝手やっていることの後ろめたさ、それをカモフラージュするためにちょっと明るく話してみたり……」。
自身は北海道札幌市出身。実家を飛び出したことも共通点。19歳の時に大学進学を機に上京したのだ。「最初から俳優をやるつもりで東京に出てきたんです。正確には大学には入学しているんですけど、3か月も通っていませんね……。なので、親には入学金の無駄遣いをさせてしまいました。泣いてましたね。だから、東京と実家で安息の地を探している和馬の気持ちは分かる部分もありました。実家に帰っても、どこかで何かを演じなきゃならない。自分の居場所を彼も探していたんだと思います」。
2013年に本格的に俳優活動をスタートし、以降、映画、ドラマ、舞台でキャリアを積み上げてきた。20年に第42回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を、21年には、第13回TAMA映画賞最優秀新進男優賞を授賞した。
今は、居場所を見つけられたのではないか。「確かに、カメラの前での居場所はできたように思えます。でも、僕ら俳優は、現実に帰ってこなきゃいけないですから。現実の世の中で生活をして生きていかなきゃいけないわけで、その居場所は自分自身でもう1回見つけないといけないと思っています」。
「中村屋酒店の兄弟」はいろんな気付きを与えてくれた作品になった。特に教えてくれたのは兄役の長尾だ。「スタッフは映画が初めての人が多く、不慣れな部分もあったんですけども、長尾さんは最後まで一つも文句を言わなかったんです。だから、僕も何も言わないようにしたんです。そうしたら、3日目から、スタッフが“段取りファースト”から“お芝居ファースト”に変わっていった。それは、僕たちの意識が伝わったんだと思います。はっきり伝えるっていうのは、自分の気持ちを伝えたいだけで、コミュニケーションって、そういうことだけではないんだと思いました」。
出演後は新たな関係性も生まれている。「長尾さんとは全然似ていないんですけど、映画を見ていると、兄弟に見えてくるから不思議ですね。日常生活でも、長男・長尾さん、次男・僕、三男・白磯君の三兄弟みたいな感じなんです。頻繁に連絡を取ったり、お酒を飲んだりするわけじゃないけど、久々に会うことができたら、みんなで近況報告を恥じらいながらする。そんな関係ができあがりました」。
コロナ禍となり自宅で映画鑑賞「インディーズ、メジャーに関わらず必要なもの」
映画は自身の原点だ。「(コロナ禍で)自宅での時間が増えると、大作ばかり観ていました。大好きなアル・パチーノの出演作とかを見ていましたが、先日は、インディーズ映画を見て、衝撃を受けました。『フタリノセカイ』(公開中)というトランスジェンダーの男性とシスジェンダーの女性カップルの話で、2人には子供が作れない。そこである決断をするシーンがあるんですけども、幸せにはあらゆるカタチがあっていいんだという希望の描き方に感動しました。そんな体験をすると、インディーズ、メジャーに関わらず、映画体験は必要なものだと改めて実感しました」。
藤原もそんな体験を与えられるような新しい映画との出会いを求めている。「新しい何かに出会うときって、自分を解体しないと出会えないんじゃないかな、と思っています。常に自分を疑ってみたり、自分は間違っているかもしれないと考え続けて、誰かが書いたセリフを言ってみた時に出会えるような気がします。そんな破壊と再生の旅を続けたいと思っています」。
「中村屋酒店の兄弟」は佳作というべき小作だが、藤原にとってはターニングポイントになったようだ。
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