『にっかり青江 篝火講談~夏虫の戯れ~』
「交わりは軽薄な者と結ぶ事なかれ。」
そんな戒めで終わる物語がかつてあった。軽薄なモノには価値がない。それは同意するけど、羨ましくもあるね。だって僕は、君に強く握られたり、撫でられたりはしても、結果、切ることしかできない。鍔迫りの痛み、押し込む圧、刃こぼれさせる興奮はあっても、交わりとはどういう感触なのか、知ることができないからね。
(トントン)おやおや、お出ましだね。
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、フフフフ…うん、良い子だ。綺麗な景色だよ。
「丑三つ」時というのかい?死人が騒ぐそうだ。なぜその刻に集うのか、昼、日向の陽光の中で恨みがましく現れたらいいじゃないか。太陽と月光、僕の刀身(からだ)に反射し、その魂を照らされることに違いはないのにね。
ところで、「人魂(ヒトダマ)」と「幽霊」の違いを知ってるかい?姿があるものと、魂のままの炎…フフ。成仏できずに、彷徨えば彷徨うほどに形を無くしてゆく、と思うだろう?逆なんだ。この世にしがみつき、念が深く、ドス黒くなればなるほど、かつての姿、こうでありたかった輪郭がはっきりとしてくるらしい。つまりね、人魂はまだ純粋な存在ってことさ。女性に触れたことのない青年のようにね。欲望が単純で、幼く、愚かで!
(唄)
ひ、ふ、み、よ!
さて、何を語ろうか。
さてさて何を聞きたいかな?
綺麗な景色に魅せられて、
うっかり口走るかもしれないね。
うっかり!うっかり!
うっかり!うっかり!
にっかり…
播磨国に学者がいたんだ。名前は左門と言ってね。ある日、左門は行き倒れの旅人を助けたんだ。看病の甲斐あってね、旅人は回復し、自らの身の上を語ったのさ。
「私は、出雲国の出身で、宗右衛門と申す者。主の命で近江国へ向かっていた最中に、主家は攻め滅ぼされ、路頭に迷い、病を経て、もはやこれまでと覚悟を決めていたところで、こうして貴方に命を救われた。この御恩には一生をかけて報いたい。」
二人は意気投合してね。ついには義兄弟の契りを結んだんだ。宗右衛門が兄で、左門が弟。しばらくの間、二人は一緒に暮らしたのさ。
花が散り、季節は夏に流れたある日、宗右衛門は言った。
「主家が滅びたとはいえ、出雲の様子が気になる。一度様子を見に行きたい。」
「分かりました、兄上。ではお戻りはいつになりましょう。」
宗右衛門は不安そうに見つめる左門に向かって、「心配するな。秋を過ぎることはないよ」と微笑んだんだ。
左門は食い下がり、「秋はいつになりましょう。約束をして頂きたい!」
宗右衛門は答えた。「重陽の節句。九月九日に必ず帰る」、とね。
そうして宗右衛門は出雲に帰っていたのさ。
日々は過ぎ、野菊が咲き、九月になった。約束の九日。左門はいつもより早く起きて掃除をし、白菊を生けて、宗右衛門の帰りを待った。その日は雲ひとつない青空が広がっていた。太陽が中天にかかる。が、待ち人は来ない。やがて日は落ち、気がつけば月だけが左門を照らしていた。そのうち月までもが山の端に隠れ、諦めかけて家の中へ入ろうとしたその時…
(トントン)
黒い影が立っていた。(暗転)よ~く見ると、それは宗右衛門だったのさ。左門は踊りそうになる心を抑え、宗右衛門を家の中へ招き入れた。宗右衛門は頷くばかりで何も言わない。左門は酒や料理で宗右衛門をもてなそうとしたが、宗右衛門はそれらの物にも手をつけず、ただただ黙っていた。長い沈黙の後に、ようやく宗右衛門が語り出した。
「左門よ。私はもうこの世の者ではないのだ。出雲の地で、私は囚われの身となった。逃れる術はない。約束の日は刻一刻と迫ってくる。左門との約束を違えるわけにはいけない。悩み苦しんだ末に、はたと気がついた!魂ならば、千里の道をも超えられる!約束を果たしに来たんだ。菊の節句の約束。自害をして、風に乗ってね…」
二人の目から涙が溢れた。宗右衛門が「今が永訣の時」と呟き、姿が見えなくなった。左門は声を立てずに泣き続けたってわけさ。
(唄)
渦を巻くように 輪を描けば
さながら一輪の菊
咲き乱れよ 散り乱れよ
菊花輪舞クルクル回る
菊花輪舞チリチリ散り
咲き乱れよ 散り乱れよ
咲き誇れよ 散るその時まで
(トントン)
お名残惜しゅうはございますが、丁度時間と相成りました。
(唄)
綺麗な景色に魅せられて、
うっかり喋り過ぎたようだね。
うっかり!うっかり!
うっかり!うっかり!
にっかり…
僕はにっかり青江。触れられぬものを恐るよりも、この身に障るものの毒をゆっくり味わいながら、惜別の喜びに身を任せるよ。
「夏虫の 身をいたづらに なすことも ひとつ思ひに よりてなりけり」
うん、僕はそう思うよ。
「交わりは軽薄な者と結ぶ事なかれ。」
そんな戒めで終わる物語がかつてあった。軽薄なモノには価値がない。それは同意するけど、羨ましくもあるね。だって僕は、君に強く握られたり、撫でられたりはしても、結果、切ることしかできない。鍔迫りの痛み、押し込む圧、刃こぼれさせる興奮はあっても、交わりとはどういう感触なのか、知ることができないからね。
(トントン)おやおや、お出ましだね。
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、フフフフ…うん、良い子だ。綺麗な景色だよ。
「丑三つ」時というのかい?死人が騒ぐそうだ。なぜその刻に集うのか、昼、日向の陽光の中で恨みがましく現れたらいいじゃないか。太陽と月光、僕の刀身(からだ)に反射し、その魂を照らされることに違いはないのにね。
ところで、「人魂(ヒトダマ)」と「幽霊」の違いを知ってるかい?姿があるものと、魂のままの炎…フフ。成仏できずに、彷徨えば彷徨うほどに形を無くしてゆく、と思うだろう?逆なんだ。この世にしがみつき、念が深く、ドス黒くなればなるほど、かつての姿、こうでありたかった輪郭がはっきりとしてくるらしい。つまりね、人魂はまだ純粋な存在ってことさ。女性に触れたことのない青年のようにね。欲望が単純で、幼く、愚かで!
(唄)
ひ、ふ、み、よ!
さて、何を語ろうか。
さてさて何を聞きたいかな?
綺麗な景色に魅せられて、
うっかり口走るかもしれないね。
うっかり!うっかり!
うっかり!うっかり!
にっかり…
播磨国に学者がいたんだ。名前は左門と言ってね。ある日、左門は行き倒れの旅人を助けたんだ。看病の甲斐あってね、旅人は回復し、自らの身の上を語ったのさ。
「私は、出雲国の出身で、宗右衛門と申す者。主の命で近江国へ向かっていた最中に、主家は攻め滅ぼされ、路頭に迷い、病を経て、もはやこれまでと覚悟を決めていたところで、こうして貴方に命を救われた。この御恩には一生をかけて報いたい。」
二人は意気投合してね。ついには義兄弟の契りを結んだんだ。宗右衛門が兄で、左門が弟。しばらくの間、二人は一緒に暮らしたのさ。
花が散り、季節は夏に流れたある日、宗右衛門は言った。
「主家が滅びたとはいえ、出雲の様子が気になる。一度様子を見に行きたい。」
「分かりました、兄上。ではお戻りはいつになりましょう。」
宗右衛門は不安そうに見つめる左門に向かって、「心配するな。秋を過ぎることはないよ」と微笑んだんだ。
左門は食い下がり、「秋はいつになりましょう。約束をして頂きたい!」
宗右衛門は答えた。「重陽の節句。九月九日に必ず帰る」、とね。
そうして宗右衛門は出雲に帰っていたのさ。
日々は過ぎ、野菊が咲き、九月になった。約束の九日。左門はいつもより早く起きて掃除をし、白菊を生けて、宗右衛門の帰りを待った。その日は雲ひとつない青空が広がっていた。太陽が中天にかかる。が、待ち人は来ない。やがて日は落ち、気がつけば月だけが左門を照らしていた。そのうち月までもが山の端に隠れ、諦めかけて家の中へ入ろうとしたその時…
(トントン)
黒い影が立っていた。(暗転)よ~く見ると、それは宗右衛門だったのさ。左門は踊りそうになる心を抑え、宗右衛門を家の中へ招き入れた。宗右衛門は頷くばかりで何も言わない。左門は酒や料理で宗右衛門をもてなそうとしたが、宗右衛門はそれらの物にも手をつけず、ただただ黙っていた。長い沈黙の後に、ようやく宗右衛門が語り出した。
「左門よ。私はもうこの世の者ではないのだ。出雲の地で、私は囚われの身となった。逃れる術はない。約束の日は刻一刻と迫ってくる。左門との約束を違えるわけにはいけない。悩み苦しんだ末に、はたと気がついた!魂ならば、千里の道をも超えられる!約束を果たしに来たんだ。菊の節句の約束。自害をして、風に乗ってね…」
二人の目から涙が溢れた。宗右衛門が「今が永訣の時」と呟き、姿が見えなくなった。左門は声を立てずに泣き続けたってわけさ。
(唄)
渦を巻くように 輪を描けば
さながら一輪の菊
咲き乱れよ 散り乱れよ
菊花輪舞クルクル回る
菊花輪舞チリチリ散り
咲き乱れよ 散り乱れよ
咲き誇れよ 散るその時まで
(トントン)
お名残惜しゅうはございますが、丁度時間と相成りました。
(唄)
綺麗な景色に魅せられて、
うっかり喋り過ぎたようだね。
うっかり!うっかり!
うっかり!うっかり!
にっかり…
僕はにっかり青江。触れられぬものを恐るよりも、この身に障るものの毒をゆっくり味わいながら、惜別の喜びに身を任せるよ。
「夏虫の 身をいたづらに なすことも ひとつ思ひに よりてなりけり」
うん、僕はそう思うよ。
连续2日在涩谷举行的毕业演唱会,20周年马拉松的终点,和Beyond Imagination呼应的曲目单,开场的第一首是应季的《うす桃色の季節》,听上去有点忧伤。《The rule of the universe》和10多年前完全不同英语发音,超自如地发挥。《光をあつめて》一直被忽略的三连发单曲之一,现场听了歌词,也非常契合当天的主题,“还记得第一次相遇的时刻吗?一起度过的时光都是我的宝物”。《音の旅人》加了背景效果音,一如既往大神曲。结尾的《夢の途中》和Beyond Imagination的结尾一样,是终点,也是新的开始!我永远在追逐梦想的旅途中~~~
あめ玉(1)※分5次讲解#日本小学生国语教科书#
【音読用】加油念10遍!
あめ玉(だま)
春(はる)のあたたかい日(ひ)のこと、わたし舟(ぶね)に二人(ふたり)の小(ちい)さな子(こ)どもを連(つ)れた女(おんな)の旅人(たびびと)が乗(の)りました。
舟(ふね)が出(で)ようとすると、
「おうい、ちょっと待(ま)ってくれ。」と、土手(どて)の向(む)こうから手(て)をふりながら、さむらいが一人(ひとり)走(はし)ってきて、舟(ふね)に飛(と)びこみました。
【中文】
一个温暖的春日,一位远行的女人带着两个年幼的孩子,搭上了渡船。
当渡船快要开走的时候,河堤那边跑过来一个武士,只见他一边朝这边跑,一边挥手高喊:
“喂,等等我!”
武士跳上了渡船。
【教科書下方】在笔记本上写一遍!把自己的答案也写一遍试试!
▶︎いつごろの話だろう。
時代は。
季節は。
▶︎場所はどこだろう。
▶︎登場人物はだれだろう。
【教科書下方 中文】
▶︎是什么时候的故事?
时代是?
季节是?
▶︎在什么地方?
▶︎登场人物是谁?
【本日五年生の単語帳】
1、わたし舟(ぶね):渡船。人を、川などの向こう岸に運ぶための舟。
2、連(つ)れた→連れる:带着
3、〜とすると:就要~的时候
4、土手(どて):河堤,堤坝。
5、さむらい(侍):武士
【音読用】加油念10遍!
あめ玉(だま)
春(はる)のあたたかい日(ひ)のこと、わたし舟(ぶね)に二人(ふたり)の小(ちい)さな子(こ)どもを連(つ)れた女(おんな)の旅人(たびびと)が乗(の)りました。
舟(ふね)が出(で)ようとすると、
「おうい、ちょっと待(ま)ってくれ。」と、土手(どて)の向(む)こうから手(て)をふりながら、さむらいが一人(ひとり)走(はし)ってきて、舟(ふね)に飛(と)びこみました。
【中文】
一个温暖的春日,一位远行的女人带着两个年幼的孩子,搭上了渡船。
当渡船快要开走的时候,河堤那边跑过来一个武士,只见他一边朝这边跑,一边挥手高喊:
“喂,等等我!”
武士跳上了渡船。
【教科書下方】在笔记本上写一遍!把自己的答案也写一遍试试!
▶︎いつごろの話だろう。
時代は。
季節は。
▶︎場所はどこだろう。
▶︎登場人物はだれだろう。
【教科書下方 中文】
▶︎是什么时候的故事?
时代是?
季节是?
▶︎在什么地方?
▶︎登场人物是谁?
【本日五年生の単語帳】
1、わたし舟(ぶね):渡船。人を、川などの向こう岸に運ぶための舟。
2、連(つ)れた→連れる:带着
3、〜とすると:就要~的时候
4、土手(どて):河堤,堤坝。
5、さむらい(侍):武士
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