#健康要有文化素養 & 健康要有哲學頭腦#
第3回 東と西の養生訓
公開日:2023年10月14日 09時00分
更新日:2023年11月 7日 13時12分
森 望
福岡国際医療福祉大学医療学部教授、長崎大学名誉教授
週末の健康ウォーク
大府の長寿研から長崎を経て、今私は、福岡の大学で医療人の卵たちに解剖、生理、薬理などを教えながら「老い」を考えている。老いの科学を整理して書くこともあれば、自らの老いに向き合うこともある。自宅から浜辺が近い。玄界灘に面した小さなビーチがある。若い頃、米国のカリフォルニアで10年を過ごしたが、サンタモニカやニューポートビーチを思い起こさせてくれる。福岡の浜辺は北縁だが、それでも夏の陽光はまぶしい。左には、昔、井上陽水が片想いの恋心を唄った能古島が浮かぶ。右には、以前はJALだったが、今はHiltonとなった瀟洒なホテルがある。その先はソフトバンクホークスの本拠地PayPayドームだ。その脇を東へ行くと西公園の小高い丘に上がる。春は桜の名所で丘の上には黒田長政を祀った光雲神社がある。その裏手から海を見渡せば、万葉の時代にも江戸時代にもあった景色がそのままそこにある。古くは荒津山とか荒戸山と呼ばれたところで、遣唐使を見送ったのも朝鮮出兵を出したのも、また元寇を迎え討ったのもここである。その西公園の麓には、黒田藩の儒学者、貝原益軒の旧居跡がある。晩年の80歳を過ぎて著した健康指南書『養生訓』(1712年)を書いたのもここだったのだろう。そこから15分ほど行くと金龍寺という禅寺があるが、その境内に益軒の墓がある。夫人の東軒と並んで、いかにも仲睦まじい平穏な人生が偲ばれる。
越し方は一夜ばかりの心地して 八十路(やそじ)あまりの夢をみしかな
(貝原益軒辞世の句 享年83)
そこから西へ、西新の商店街を抜けると、地下鉄の駅から通称「サザエさん通り」とよばれる街路がある。福岡の著名な進学校や私立大学のキャンパスを横目に浜辺をめざす。途中、昔、ここにいた長谷川町子が「サザエさん」の漫画を生み出した場所がある。今は大通りだが、昔はそこが浜辺だった。カツオ、ワカメ、イクラ、マスオ、サザエ、そしてフネさんも波平さんもみなここからの発想だ。東京の世田谷にもサザエさん通りがあるそうだが、福岡市民としてはこちらが本拠だと思いたい。その先にはサッカー少年たちの元気な声が響く中央公園があって、じきにスタート地点に戻る。
Gelukkig Gezond!
長崎の大学を「定年」で退く少し前にオランダに行ったことがある。北部の古都フローニンゲンの大学の博物館で「Gelukkig Gezond!」と題した展覧会があった。オランダ語で「元気で長生き!」の意だ。医学史の教授のリナ・ノエフが中心に企画したもので、会場を案内しながら、リナが1冊の本をくれた。蘭語と英語が併記された解説本である。帰りの飛行機でそれを見返しながら、これは一般向けにいい本になると直感した。定年の整理の雑務でバタバタしながら、それを日本語に訳してみた。長年、老化研究に没頭して、専門領域ではそれなりに名が知られていても、本を出そうとすると壁が厚い。一般には全くの無名で、どの出版社にも「持ち込み原稿お断り!」の原則があるのだ。以前の『寿命遺伝子』の時は出版社に認めてもらうのに5年かかった。こちらの訳本は何とか2年で潜り抜けたが、それでも3、4社と交渉を重ねた。幸い原書房の編集部長がすぐに価値を認めてくれて、出版に漕ぎ着けた。『老いと健康の文化史:西洋式養生訓のあゆみ』(原書房)として上梓した。
本の帯にはこうある。「人は、逃れられない『老い』にどのように向き合ってきたのか、そして『健康』の維持のために何をしてきたのか。古代ギリシャ・ローマ時代から現代のアンチ・エイジングに至るまで多彩な図版とともに俯瞰する一冊!」。その通りだ。副題にあるとおり、西洋での『養生訓』、その思想の変遷を俯瞰する本になっている。そこには、西洋で脈々と受け継がれたヒポクラテスとガレノスの知恵があった。
東と西の養生訓
貝原益軒の『養生訓』には西洋医学の知識はほとんどない。益軒は若い頃、京都で学問を積んだが、その折、長崎で蘭医学を学んだ向井元升にも接した。だが、益軒の思想に蘭学はない。あえていえば中国の『本草綱目』に範を得た『大和本草』、つまり生薬の知恵と儒学の精神性は影響している。
西洋での養生訓は、先の『老いと健康の文化史』に詳しいが、その養生の源流は遠くギリシャ時代のヒポクラテスの思想にある。しかし、それが「健康学」として整理されたのは、中世イタリアの『サレルノの養生訓』やルネッサンスに至る前のトレチェントの『健康全書』にある。いろいろな形でのこれらの写本が、後々も、貝原益軒の『養生訓』のようにベストセラーになった。
老いの蘭学
日本では蘭学というと『解体新書』で西洋医学がわかったと思われ(誤解され)ている。だが、そこには人体骨格と臓器の解説があるだけで、当時のオランダ医学の実情については何も書かれていない。アムステルダムやライデンでの当時の本来の「蘭医学」の在りようについては、別の知識が必要だった。それは、前回紹介した『寿命遺伝子』と今回の『老いと健康の文化史』と同時期に出版にこぎつけた『オランダ絵画にみる解剖学:阿蘭陀外科医の源流をたどる』(東京大学出版会)に詳しい。これも拙訳だが、面白い本だと思っている。慣れない蘭書の翻訳努力、これは現代の蘭学の一人芝居だ。老化研究者から研究の場を奪われても、何とか生き延びようと苦悩し模索する老いがここにある。
図、老いの蘭学:西洋式養生訓とオランダ外科医の解剖学教育の歴史的変遷を表す図。
図 老いの蘭学:西洋式養生訓と阿蘭陀外科医の解剖学教育の歴史的変遷をたどる
著者
もりのぞむ氏の写真。
森 望(もり のぞむ)
1953年生まれ。福岡国際医療福祉大学医療学部教授、長崎大学名誉教授。1976年東京大学薬学部卒業、薬学博士。1979年東邦大学薬学部助手、1984年米国COH研究所、1986年カリフォルニア工科大学研究員、1990年米国南カリフォルニア大学(USC)・アンドラス老年学研究所助教授、1996年国立長寿医療研究センター分子遺伝学研究部長、2004年長崎大学医学部第一解剖教授、2019年より現職。『寿命遺伝子』(講談社ブルーバックス)、『老いと健康の文化史(翻訳)』(原書房)、『老いと寿のはざまで』(日本橋出版)など著書多数。
第3回 東と西の養生訓
公開日:2023年10月14日 09時00分
更新日:2023年11月 7日 13時12分
森 望
福岡国際医療福祉大学医療学部教授、長崎大学名誉教授
週末の健康ウォーク
大府の長寿研から長崎を経て、今私は、福岡の大学で医療人の卵たちに解剖、生理、薬理などを教えながら「老い」を考えている。老いの科学を整理して書くこともあれば、自らの老いに向き合うこともある。自宅から浜辺が近い。玄界灘に面した小さなビーチがある。若い頃、米国のカリフォルニアで10年を過ごしたが、サンタモニカやニューポートビーチを思い起こさせてくれる。福岡の浜辺は北縁だが、それでも夏の陽光はまぶしい。左には、昔、井上陽水が片想いの恋心を唄った能古島が浮かぶ。右には、以前はJALだったが、今はHiltonとなった瀟洒なホテルがある。その先はソフトバンクホークスの本拠地PayPayドームだ。その脇を東へ行くと西公園の小高い丘に上がる。春は桜の名所で丘の上には黒田長政を祀った光雲神社がある。その裏手から海を見渡せば、万葉の時代にも江戸時代にもあった景色がそのままそこにある。古くは荒津山とか荒戸山と呼ばれたところで、遣唐使を見送ったのも朝鮮出兵を出したのも、また元寇を迎え討ったのもここである。その西公園の麓には、黒田藩の儒学者、貝原益軒の旧居跡がある。晩年の80歳を過ぎて著した健康指南書『養生訓』(1712年)を書いたのもここだったのだろう。そこから15分ほど行くと金龍寺という禅寺があるが、その境内に益軒の墓がある。夫人の東軒と並んで、いかにも仲睦まじい平穏な人生が偲ばれる。
越し方は一夜ばかりの心地して 八十路(やそじ)あまりの夢をみしかな
(貝原益軒辞世の句 享年83)
そこから西へ、西新の商店街を抜けると、地下鉄の駅から通称「サザエさん通り」とよばれる街路がある。福岡の著名な進学校や私立大学のキャンパスを横目に浜辺をめざす。途中、昔、ここにいた長谷川町子が「サザエさん」の漫画を生み出した場所がある。今は大通りだが、昔はそこが浜辺だった。カツオ、ワカメ、イクラ、マスオ、サザエ、そしてフネさんも波平さんもみなここからの発想だ。東京の世田谷にもサザエさん通りがあるそうだが、福岡市民としてはこちらが本拠だと思いたい。その先にはサッカー少年たちの元気な声が響く中央公園があって、じきにスタート地点に戻る。
Gelukkig Gezond!
長崎の大学を「定年」で退く少し前にオランダに行ったことがある。北部の古都フローニンゲンの大学の博物館で「Gelukkig Gezond!」と題した展覧会があった。オランダ語で「元気で長生き!」の意だ。医学史の教授のリナ・ノエフが中心に企画したもので、会場を案内しながら、リナが1冊の本をくれた。蘭語と英語が併記された解説本である。帰りの飛行機でそれを見返しながら、これは一般向けにいい本になると直感した。定年の整理の雑務でバタバタしながら、それを日本語に訳してみた。長年、老化研究に没頭して、専門領域ではそれなりに名が知られていても、本を出そうとすると壁が厚い。一般には全くの無名で、どの出版社にも「持ち込み原稿お断り!」の原則があるのだ。以前の『寿命遺伝子』の時は出版社に認めてもらうのに5年かかった。こちらの訳本は何とか2年で潜り抜けたが、それでも3、4社と交渉を重ねた。幸い原書房の編集部長がすぐに価値を認めてくれて、出版に漕ぎ着けた。『老いと健康の文化史:西洋式養生訓のあゆみ』(原書房)として上梓した。
本の帯にはこうある。「人は、逃れられない『老い』にどのように向き合ってきたのか、そして『健康』の維持のために何をしてきたのか。古代ギリシャ・ローマ時代から現代のアンチ・エイジングに至るまで多彩な図版とともに俯瞰する一冊!」。その通りだ。副題にあるとおり、西洋での『養生訓』、その思想の変遷を俯瞰する本になっている。そこには、西洋で脈々と受け継がれたヒポクラテスとガレノスの知恵があった。
東と西の養生訓
貝原益軒の『養生訓』には西洋医学の知識はほとんどない。益軒は若い頃、京都で学問を積んだが、その折、長崎で蘭医学を学んだ向井元升にも接した。だが、益軒の思想に蘭学はない。あえていえば中国の『本草綱目』に範を得た『大和本草』、つまり生薬の知恵と儒学の精神性は影響している。
西洋での養生訓は、先の『老いと健康の文化史』に詳しいが、その養生の源流は遠くギリシャ時代のヒポクラテスの思想にある。しかし、それが「健康学」として整理されたのは、中世イタリアの『サレルノの養生訓』やルネッサンスに至る前のトレチェントの『健康全書』にある。いろいろな形でのこれらの写本が、後々も、貝原益軒の『養生訓』のようにベストセラーになった。
老いの蘭学
日本では蘭学というと『解体新書』で西洋医学がわかったと思われ(誤解され)ている。だが、そこには人体骨格と臓器の解説があるだけで、当時のオランダ医学の実情については何も書かれていない。アムステルダムやライデンでの当時の本来の「蘭医学」の在りようについては、別の知識が必要だった。それは、前回紹介した『寿命遺伝子』と今回の『老いと健康の文化史』と同時期に出版にこぎつけた『オランダ絵画にみる解剖学:阿蘭陀外科医の源流をたどる』(東京大学出版会)に詳しい。これも拙訳だが、面白い本だと思っている。慣れない蘭書の翻訳努力、これは現代の蘭学の一人芝居だ。老化研究者から研究の場を奪われても、何とか生き延びようと苦悩し模索する老いがここにある。
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求合作模特,免费拍摄胶片,照片精修全送。
本人毕业于日本写真专门学校,从事摄影5年多了,一直都在拍商业片,最近想拍一些胶片人像的样片,有意的可以私信我。
限定5组。
一次拍摄135胶卷,36张,精修最少9张,看出片情况,好的可以免费多修。
前提:需认真对待每一次拍摄,礼貌问询,互相尊重。
要求:长相清秀,五官端正,身材匀称,笑容甜美或
自带气质,需要提前发我无滤镜的照片,对自己颜值不自信的可以绕道,我不找只活在滤镜里的人,最好发我
模卡,可接受各种动作,我也不会要求特别过分,最多也就躺地上或近泥坑等为了拍摄效果做一些比较累的动作,不要有被害安想症,我不是坏人,需要不矫情,都互勉还矫情的话,对不起我受不了,请你绕道。
风格:需要提前进行沟通,如果你有想拍的风格,那我会很欢迎,我也会按照长相及身材推荐可以拍的风格,并且提供一些样品进行参考,一般我互勉会拍没有
拍过的风格或地方,这是为了准备自己的作品样片。
六服装,道具和妆造:需要模特准备,我可以推荐,但是需要摸特自己准备好。
门票及场地费:AA或模特承担
成片:作品双方均可用于在各平台发布宣传,如果涉及隐私,需提前沟通。
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风格:需要提前进行沟通,如果你有想拍的风格,那我会很欢迎,我也会按照长相及身材推荐可以拍的风格,并且提供一些样品进行参考,一般我互勉会拍没有
拍过的风格或地方,这是为了准备自己的作品样片。
六服装,道具和妆造:需要模特准备,我可以推荐,但是需要摸特自己准备好。
门票及场地费:AA或模特承担
成片:作品双方均可用于在各平台发布宣传,如果涉及隐私,需提前沟通。
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トマトまるごとまるわかり!
もっと食べたくなるトマト トマトまるごとまるわかり!
私たちにとって、もっとも身近な野菜のひとつである、トマト。しかし、意外に知らないこともたくさんありそうです。今回は、トマトの種類や歴史などの基礎知識を学んでいきましょう。
監 修 | 千葉大学特任教授 中野明正
プロが教えます。トマトの最新トレンド
Profile
2002年、東京シティ青果(株)入社。事務職を経てせり人となり、関東近県のこだわり野菜の担当を約8年間務める。6年前からは営業推進部で企画開発などに携わる。
東京シティ青果(株)
公式サイトはこちら
外部リンク
ミニトマトが増加傾向
「近年のトマトのトレンドに関して一番大きなトピックと言えば、ミニトマトがトマトの主流になったことでしょうね」と語るのは、豊洲市場の青果卸売を担う東京シティ青果(株)の吉野智子さん。昔はトマトと言えば大玉トマトでしたが、1980年代にミニトマトが登場すると、切らずに食べられる手軽さや見た目のかわいらしさが受け、お弁当の彩りなどに使われて消費が伸びていきました。「それでも15年ぐらい前は、市場の取扱額は大玉7に対しミニ3といった割合だったのですが、そこから急激に伸びて、今は大玉4.5のミニ5.5。ついに大玉を逆転しました」
北海道の長万部町と東京理科大学が協力して栽培するブランドミニトマト「エンリッチミニトマト」。「高糖度ミニと呼ばれるタイプの、ミニのなかでも美味しいトマトです」(吉野さん)
人気が高いフルーツトマト
新しい品種が次々に登場しているトマト。「味だけでなく、割れにくさや育てやすさなど、さまざまな観点で改良されています。ただ甘いものが比較的喜ばれるので、基本的には糖度を上げる傾向がありますね」。そのため、栽培方法の工夫で果物並みに糖度を高めたフルーツトマトは人気が高いそうです。「また一時的にヒットしたことで記憶に新しいのは、黄色や緑などのトマト。5年ほど前にミニトマトのビュッフェが流行した時、赤色以外の彩りもほしいということで、カラフルなトマトの需要が高まりました」
茨城県筑西市のKEKグループ(協和施設園芸協同組合)が手がける「スーパーフルーツトマト」。「フルーツトマトは中玉トマトが多いが、これは大玉品種でフルーツトマトに挑戦したものです」(吉野さん)
品種よりも旬の産地を選ぼう
しかしおいしいトマトを食べたいなら、「品種よりも産地で選んだほうがよい」と吉野さんは語ります。「トマトに限らず、野菜は旬の時期の、鮮度のよいものに勝るものはありません。出始めから少し経ったころが一番おいしく、出荷時期の終わりごろになると味も落ちてきます。例外はありますが、基本的にトマトの産地は桜前線のように南から北へ移動していきます。時期に応じてその時、旬の産地のものを選ぶようにすれば、間違いないですよ」
愛知県豊橋市のブランドミニトマト「あまえぎみ」。写真のクレアオレンジを始め、グリーン、チョコなど7種類ある。「カラフルなトマトは彩り重視のものが多いのですが、ここのトマトはおいしさも両立しています」(吉野さん)
火を入れることでもっとおいしくなる
今後トマトの世界はどう変わっていくのでしょうか。「品種ではなく食べ方の話になりますが、トマトの加熱調理がもっと広まれば、もっとトマトを食べてもらえるようになると思います。世界的に見ると、トマトを生で食べるのはむしろ少数派。また火を入れたほうが断然おいしい。これは調理用トマトはもちろん、現在生食用として売られているトマトでも同じです。トマトはサラダだけじゃないということをアピールしていきたいですね」
いろいろあります。トマトの種類
トマトの分類法
私たちがトマトと聞いて思い浮かべるのは、ぽってり丸く、赤系の色をしたトマト。しかし世界中には細長いもの、深いひだを持つものなど、さまざまなトマトがあります。その数はなんと1万種類以上!日本で品種登録されているものだけでも300種類を超えますが、大きく分類すると、大きさ(重さ)と色でそれぞれ3タイプに分けることができます。ただしトマトの大きさは栽培方法によって変わるので、厳密な規格はなく、おおよその目安です。
大きさによる分類
大玉トマト
100グラム以上のもの。日本では桃色系の色が一般的で、代表的な品種として「桃太郎」「麗容」「りんか409」などがあります。
中玉(ミディ)トマト
30グラムから60グラム程度のもの。大玉トマトとミニトマトの中間の、食べきりサイズのトマトです。「フルティカ」「ルネッサンス」などが有名。
ミニトマト
10グラムから30グラム程度のもの。チェリートマトとも呼ばれます。「千果(ちか)」「アイコ」などが有名。また果実の大きさが直径1センチほどの超小粒の品種は、さらにマイクロトマトに分類されます。
色による分類
桃色(ピンク)系トマト:果皮が比較的薄く透明なため、桃色に見えるもの。甘味に富み、酸味やトマト臭が少なく、サラダなどの生食用に利用されるタイプ。
赤色系トマト:果皮が比較的厚く赤色なため、濃く鮮やかな赤色に見えるもの。酸味と甘味が強く、主に加工用としてジュースやケチャップ、缶詰用に使われることが多い。
その他:桃色系、赤色系以外の色のトマトです。黄色やオレンジの他、熟しても緑色のままのものも。また2色のまだら模様が入ったものもあります。
その他の分類
加工用トマト
生食用トマトに対し、ジュースやケチャップの他、ホールトマトなどの缶詰に使用される赤色系トマトのこと。果皮が固く、果肉が厚めで水分が少ないため貯蔵性に優れ、ヘタがきれいに取れる点も加工向きとされます。酸味が強いため生食には向きませんが、加熱することで甘味やうま味が引き立ちます。また生食用トマトよりリコピン(リコペン)を始めとする栄養を多く含んでいます。
加工用トマト/生食用トマト
フルーツトマト
品種に関わらず、与える水や肥料を抑えたり、塩分の多い土壌を活かすなどの工夫によって甘味を引き出したトマト。普通のトマトの糖度が3度から5度なのに対し、フルーツトマトの糖度は8度から9度以上と果物並みの高さがあります。群馬県のブリックスナイン、静岡県を中心としたアメーラ、高知県の徳谷トマトなど、ブランド化されているものも多いです。
おしり部分から放射状に延びる白い線は「スターマーク」といって、甘くおいしいトマトの目印。フルーツトマトはスターマークがくっきりと現れています。
近年再評価されつつある「ファーストトマト」
1980年代まで日本のトマトの主流だった桃色系大玉トマト。先が尖っていて、果皮が薄いのが特徴ですが、そのために傷みやすい面もあります。「桃太郎」など、丸くて日持ちがよく、育てやすい品種が登場すると、主役の座を奪われてしまいました。しかしほのかな酸味と甘味に根強い人気があり、近年はその味わいが見直されています。
子室数が多く、種のまわりのゼリー状部分が少ないため、果肉部分がしっかりしています。
トマトの主要産地Best5
トマトの栽培に適した温度は昼間が25度から30度、夜は10度から15度で、強い日光と大きな昼夜温度差を好みます。代表的な夏野菜で、露地栽培のみだった昔は夏しか収穫できませんでしたが、現在はハウス栽培の普及によって周年出荷が可能になっています。周年出荷されるトマトは、冬春トマト(12月から6月にかけて)と夏秋トマト(7月から11月にかけて)に大きく分けることができます。冬春トマトは熊本県、愛知県、栃木県、夏秋トマトは北海道や茨城県、福島県などを中心に生産されています。熊本県が生産量ナンバーワンの理由は、1年を通じて温暖で日射量が多く、かつ海沿いの平野部から阿蘇の高原まで地形が多彩で、1年を通じて安定的に出荷できるからだと考えられます。
トマトまるごとまるわかり!
もっと食べたくなるトマト トマトまるごとまるわかり!
私たちにとって、もっとも身近な野菜のひとつである、トマト。しかし、意外に知らないこともたくさんありそうです。今回は、トマトの種類や歴史などの基礎知識を学んでいきましょう。
監 修 | 千葉大学特任教授 中野明正
プロが教えます。トマトの最新トレンド
Profile
2002年、東京シティ青果(株)入社。事務職を経てせり人となり、関東近県のこだわり野菜の担当を約8年間務める。6年前からは営業推進部で企画開発などに携わる。
東京シティ青果(株)
公式サイトはこちら
外部リンク
ミニトマトが増加傾向
「近年のトマトのトレンドに関して一番大きなトピックと言えば、ミニトマトがトマトの主流になったことでしょうね」と語るのは、豊洲市場の青果卸売を担う東京シティ青果(株)の吉野智子さん。昔はトマトと言えば大玉トマトでしたが、1980年代にミニトマトが登場すると、切らずに食べられる手軽さや見た目のかわいらしさが受け、お弁当の彩りなどに使われて消費が伸びていきました。「それでも15年ぐらい前は、市場の取扱額は大玉7に対しミニ3といった割合だったのですが、そこから急激に伸びて、今は大玉4.5のミニ5.5。ついに大玉を逆転しました」
北海道の長万部町と東京理科大学が協力して栽培するブランドミニトマト「エンリッチミニトマト」。「高糖度ミニと呼ばれるタイプの、ミニのなかでも美味しいトマトです」(吉野さん)
人気が高いフルーツトマト
新しい品種が次々に登場しているトマト。「味だけでなく、割れにくさや育てやすさなど、さまざまな観点で改良されています。ただ甘いものが比較的喜ばれるので、基本的には糖度を上げる傾向がありますね」。そのため、栽培方法の工夫で果物並みに糖度を高めたフルーツトマトは人気が高いそうです。「また一時的にヒットしたことで記憶に新しいのは、黄色や緑などのトマト。5年ほど前にミニトマトのビュッフェが流行した時、赤色以外の彩りもほしいということで、カラフルなトマトの需要が高まりました」
茨城県筑西市のKEKグループ(協和施設園芸協同組合)が手がける「スーパーフルーツトマト」。「フルーツトマトは中玉トマトが多いが、これは大玉品種でフルーツトマトに挑戦したものです」(吉野さん)
品種よりも旬の産地を選ぼう
しかしおいしいトマトを食べたいなら、「品種よりも産地で選んだほうがよい」と吉野さんは語ります。「トマトに限らず、野菜は旬の時期の、鮮度のよいものに勝るものはありません。出始めから少し経ったころが一番おいしく、出荷時期の終わりごろになると味も落ちてきます。例外はありますが、基本的にトマトの産地は桜前線のように南から北へ移動していきます。時期に応じてその時、旬の産地のものを選ぶようにすれば、間違いないですよ」
愛知県豊橋市のブランドミニトマト「あまえぎみ」。写真のクレアオレンジを始め、グリーン、チョコなど7種類ある。「カラフルなトマトは彩り重視のものが多いのですが、ここのトマトはおいしさも両立しています」(吉野さん)
火を入れることでもっとおいしくなる
今後トマトの世界はどう変わっていくのでしょうか。「品種ではなく食べ方の話になりますが、トマトの加熱調理がもっと広まれば、もっとトマトを食べてもらえるようになると思います。世界的に見ると、トマトを生で食べるのはむしろ少数派。また火を入れたほうが断然おいしい。これは調理用トマトはもちろん、現在生食用として売られているトマトでも同じです。トマトはサラダだけじゃないということをアピールしていきたいですね」
いろいろあります。トマトの種類
トマトの分類法
私たちがトマトと聞いて思い浮かべるのは、ぽってり丸く、赤系の色をしたトマト。しかし世界中には細長いもの、深いひだを持つものなど、さまざまなトマトがあります。その数はなんと1万種類以上!日本で品種登録されているものだけでも300種類を超えますが、大きく分類すると、大きさ(重さ)と色でそれぞれ3タイプに分けることができます。ただしトマトの大きさは栽培方法によって変わるので、厳密な規格はなく、おおよその目安です。
大きさによる分類
大玉トマト
100グラム以上のもの。日本では桃色系の色が一般的で、代表的な品種として「桃太郎」「麗容」「りんか409」などがあります。
中玉(ミディ)トマト
30グラムから60グラム程度のもの。大玉トマトとミニトマトの中間の、食べきりサイズのトマトです。「フルティカ」「ルネッサンス」などが有名。
ミニトマト
10グラムから30グラム程度のもの。チェリートマトとも呼ばれます。「千果(ちか)」「アイコ」などが有名。また果実の大きさが直径1センチほどの超小粒の品種は、さらにマイクロトマトに分類されます。
色による分類
桃色(ピンク)系トマト:果皮が比較的薄く透明なため、桃色に見えるもの。甘味に富み、酸味やトマト臭が少なく、サラダなどの生食用に利用されるタイプ。
赤色系トマト:果皮が比較的厚く赤色なため、濃く鮮やかな赤色に見えるもの。酸味と甘味が強く、主に加工用としてジュースやケチャップ、缶詰用に使われることが多い。
その他:桃色系、赤色系以外の色のトマトです。黄色やオレンジの他、熟しても緑色のままのものも。また2色のまだら模様が入ったものもあります。
その他の分類
加工用トマト
生食用トマトに対し、ジュースやケチャップの他、ホールトマトなどの缶詰に使用される赤色系トマトのこと。果皮が固く、果肉が厚めで水分が少ないため貯蔵性に優れ、ヘタがきれいに取れる点も加工向きとされます。酸味が強いため生食には向きませんが、加熱することで甘味やうま味が引き立ちます。また生食用トマトよりリコピン(リコペン)を始めとする栄養を多く含んでいます。
加工用トマト/生食用トマト
フルーツトマト
品種に関わらず、与える水や肥料を抑えたり、塩分の多い土壌を活かすなどの工夫によって甘味を引き出したトマト。普通のトマトの糖度が3度から5度なのに対し、フルーツトマトの糖度は8度から9度以上と果物並みの高さがあります。群馬県のブリックスナイン、静岡県を中心としたアメーラ、高知県の徳谷トマトなど、ブランド化されているものも多いです。
おしり部分から放射状に延びる白い線は「スターマーク」といって、甘くおいしいトマトの目印。フルーツトマトはスターマークがくっきりと現れています。
近年再評価されつつある「ファーストトマト」
1980年代まで日本のトマトの主流だった桃色系大玉トマト。先が尖っていて、果皮が薄いのが特徴ですが、そのために傷みやすい面もあります。「桃太郎」など、丸くて日持ちがよく、育てやすい品種が登場すると、主役の座を奪われてしまいました。しかしほのかな酸味と甘味に根強い人気があり、近年はその味わいが見直されています。
子室数が多く、種のまわりのゼリー状部分が少ないため、果肉部分がしっかりしています。
トマトの主要産地Best5
トマトの栽培に適した温度は昼間が25度から30度、夜は10度から15度で、強い日光と大きな昼夜温度差を好みます。代表的な夏野菜で、露地栽培のみだった昔は夏しか収穫できませんでしたが、現在はハウス栽培の普及によって周年出荷が可能になっています。周年出荷されるトマトは、冬春トマト(12月から6月にかけて)と夏秋トマト(7月から11月にかけて)に大きく分けることができます。冬春トマトは熊本県、愛知県、栃木県、夏秋トマトは北海道や茨城県、福島県などを中心に生産されています。熊本県が生産量ナンバーワンの理由は、1年を通じて温暖で日射量が多く、かつ海沿いの平野部から阿蘇の高原まで地形が多彩で、1年を通じて安定的に出荷できるからだと考えられます。
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