続黄梁(上)
田中貢太郎
福建の曾孝廉そうこうれんが、第一等の成績で礼部の試験に及第した時、やはりその試験に及第して新たに官吏になった二三の者と郊外に遊びに往ったが、毘廬禅院びろぜんいんに一人の星者うらないしゃが泊っているということを聞いたので、いっしょに往ってその室へやへ入った。星者は曾の気位の高いのを見ておべっかをつかった。曾は扇を揺うごかしながら微笑して聞いた。
「宰相になる運命があるのかないのか」
星者は容かたちを正して、
「二十年したら太平の宰相となります」
と言った。曾はひどく悦よろこんで、気位がますます高くなった。
その帰りに小雨に値あうた。曾はそこで仲間といっしょに旁かたわらの寺へ入って雨を避けた。寺の中には一人の老僧がいたが、目の奥深い鼻の高い僧で、蒲団の上に坐ったなりに傲慢な顔をして礼もしなかった。一行は手をあげて礼をして、榻だいにあがってめいめいに話したが、皆曾が宰相になれると言われたことを祝った。曾の心はひどく高ぶって、仲間に指をさして言った。
「僕が宰相になったなら、張兄を南方の巡撫にし、中表いとこを参軍にしよう、我家うちの年よりの僕げなんは小千把しょうせんはになるさ、僕の望みもそれで足れりだ」
一座は大笑いをした。俄かにざあざあと降る雨の音が聞えてきた。曾はくたびれたので榻ねだいの間に寝た。二人の使者が天子の手ずから書いた詔みことのりを持ってきたが、それには曾太師を召して国計を決すとしてあった。曾は得意になって大急ぎで入朝した。
天子は曾に席をすすめさして、温かみのある言葉で何かとおたずねになったが、やや暫くして、曾に三品ほん以下の官は、意のままに任免することをお許しになり、宰相の着ける蟒衣ぼういと玉帯ぎょくたいに添えて名馬をくだされた。曾はそこで蟒衣を被き、玉帯を着け、お辞儀をして天子の前をさがって家へ帰ったが、そこは旧もとの自分の住宅でなかった。絵を画いた棟、彫刻をほどこした榱たるき、それは壮麗の極を窮めたものであった。曾も自分で何のためににわかにこんな身分になったかということが解らなかった。そして、髯をひねりながら小さな声で人を呼ぶと、その返事が雷のように高く響いた。
俄かに公卿から海から獲れた珍しい物を贈ってきた。傴僂せむしのように体を屈めてむやみにお辞儀をする者が家の中に一ぱいになった。参朝すると六卿がうやまいあわてて、屣はきものをあべこべに穿はいて出て迎えた。侍郎じろうの人達とはちょっと挨拶して話をした。そして、それ以下の者には頷いてみせるのみであった。
晋国の巡撫から十人の女の楽人を餽おくってきた。それは皆美しい女であったが、そのうちでも嫋嫋じょうじょうという女と仙仙という女がわけて美しかった。二人はもっとも曾に寵愛せられた。曾はもう衣冠束帯して朝廷にも往かずに、毎日酒宴さかもりを催していた。ある日曾は、自分が賤しかった時、村の紳縉王子良しんしんおうしりょうという者の世話になったことを思いだして、自分は今こんなに栄達しているが、渠かれはまだ官途につまずいていて昇進しないから、一つ引きたててやらなくてはならないと思って、翌朝上疏じょうそして王を諫議大夫に推薦し、そこで天子の諭旨を奉じて、たちどころに引きあげて用いた。また郭太僕かくたいぼくがかつて自分をにらみつけたことを思いだして、そこで、呂給諫ろきゅうかん、及び侍御の陳昌たちを呼んで謀はかりごとを授けたが、翌日になると郭太僕を弾劾した上書が彼方此方から出てきた。曾はそこで天子の旨を奉じて郭太僕の官職を削った。そして恩も怨みも返してしまって、頗る快い気もちであった。
ある時郊外を通っていると、酔っぱらいが来て車に突きあたった。そこで人をやって縛って京兆尹けいちょういんに渡した。京兆尹は獄卒に命じて杖で敲たたいて殺さした。付近の人びとは皆勢いに畏れて上等の産物を献上した。それから曾は非常に富裕になった。
間もなく嫋嫋と仙仙が前後してなくなった。曾は朝夕二人のことを追想していたが、不意に憶いだしたことがあった。それは昔東隣の女を見て美しかったので、いつも妾にしたいと思ったが、財力が弱くておもうとおりにならないことであった。曾はそこで今こそその思いをとげることができると思って、頭だった数人の僕げなんをやって、無理にその家へ金をやった。女はすぐ籐の輿に乗って曾の許もとへ来た。それは昔見た時と較べて一段の艶を増していた。曾はもう自分が望んでいたことでその望みの達しられないものはなかった。
数年したところで、朝廷の官吏の中に窃ひそかに曾の専横を非議する者があるようであったが、しかし、それぞれ自分のことを考えて口に出すものはなかった。曾もまたおもいあがって、それに注意しなかった。龍図学士包りゅうとがくしほうという者があって上疏した。その略には、
「窃におもんみるに曾某は、もと一飲賭の無頼、市井の小人、一言の合、栄、聖眷せいけんを膺うけ、父は紫し、児は朱しゅ、恩寵極まりなし。躯からだを捐すて頂を糜びし、もって万一に報ずるを思わず、かえって胸臆きょうおくを恣ほしいままにし、擅ほしいままに威福を作なす。死すべきの罪、髪を擢ぬきて数えがたし。朝廷の名器、居おきて奇貨をなし、肥瘠ひそうを量欠りょうけつして、価の重軽をなす。因って公卿将士、尽く門下に奔走す。估計夤縁こけいいんえん、儼げんとして負販ふはんの如く、息を仰ぎ塵を望む、算数すべからず。或は傑士賢臣、肯うなずいて阿附あふせざる有あれば、軽ければ則すなわち之を間散かんさんに置き、重ければ則ち褫うばいてもって氓みんを編す。甚しきは且つ一臂袒ひたんせざれば、輒すなわち鹿馬の奸に迕あいて、遠く豺狼ひょうろうの地に竄ざんせられ、朝士之がために寒心す。また且つ平民の膏腴こうゆ、肆ほしいままに貪食するに任す。良家の女子、強いて禽妝きんしょうを委して、※気冤氛れいきえんふん[#「さんずい+診のつくり」、184-16]、暗く天日無し。奴僕どぼく一たび到れば、則ち守令顔を承うけ、書函一たび投ずれば、則ち司院法を枉まぐ。或は廝養しようの児、瓜葛かかつの親有れば則ち伝に乗じ、風行雷動す。地方の供給稍やや遅くして、馬上の鞭撻立所に至る。人民を荼毒とどくし、官府を奴隷にし、扈従臨むところ野に青草無し。而して某方まさに炎々赫赫、寵を怙たのみて悔ゆるなく、召対しょうたい方まさに闕下けつかに承け、萋斐せいひ輒すなわち君前に進む。委蛇いい才わずかに公より退けば、笙歌已に後苑に起る。声色狗馬せいしょくくば、昼夜荒淫、国計民生、念慮に存ずるなし。世上寧むしろ此の宰相有らんや。内外駭訛がいか、人情洶々きょうきょう、若し急に斧※ふしつ[#「金+質」、185-5]の誅を加えずんば、勢必ず操莽そうぼうの禍を醸成せん。臣夙夜しんしゅくや祗つつしみ懼れ、敢て寧処ねいしょせず。
上奏は終った。曾はそれを聞いて顫えあがった。それはちょうど冰水ひょうすいを飲んだように。しかし幸いに天子は心にゆとりのある方であったから、宮中に留め置いて発表しなかった。継いで吏部戸部礼部兵部刑部工部の給事中、各道の監察御吏、及び九卿が、それぞれ曾の罪悪を上奏弾劾した。
そこで昨日まで門口に来てお辞儀をして、曾をかりの父親と呼んでいたような者も、顔をそむけるようになった。朝廷では天子の旨を奉じて曾の家を没収して、曾を雲南軍に往かせることにした。曾の子の任は平陽の太守であったが、もう人をやって吟味をさしてあった。曾は家を没収せられ雲南軍にやられるということを聞かされて驚きおそれていると、やがて数十人の剣を帯び戈ほこを操った武士が来て、そのまま内寝いまへ入って曾の衣冠を褫はいで、妻といっしょに縛った。みるみるうちに数人の人夫が財宝を庭に出しはじめた。金銀銭紙幣数百万、真珠瑪瑙めのうの類数百斛ひゃくこく、幕まく、簾すだれ、榻類これまた数千事。そして児こどもの襁褓おむつや女の※くつ[#「焉」の「正」に代えて「臼」、186-4]などは庭や階段にちらばって見えた。曾は一いちそれを見て悲しみもだえた。また不意に一人の者が曾の愛していた美しい妾を掠奪して往った。妾は髪をふりみだして啼いていた。もうその玉のような姿もよる所がなくなって、悲しみの火が心を焼くようであるが、どうすることもできないと思ったのか、憤りを含めながら敢て何も言わなかった。
みるみるうちに楼閣も倉庫も、一様に封印してしまった。護送の役人は曾を怒鳴りつけておったてた。夫婦は羅うすものの裾をひきずりながら出たが、泣くこともできなかった。曾は歩くのが苦しいので悪い車でも手に入れて乗ろうとしたがそれもできなかった。
すこし往ったところで、妻は足が弱ってつまずきそうになった。曾は時どき片手を出して引いてやった。またすこし往くと自分もまたつかれてしまった。前方むこうを見ると高い山が半天にそそりたっていた。曾はとてもその山を越えることができないと思った。曾は妻と向きあって泣いた。しかし、護送の役人がこわい目をして見にきて、すこしも足を停めることをゆるさなかった。その時、夕陽がもう入っていたが、泊る所がないので、しかたなしに跛びっこをひきながら往った。山の腰にまで往った頃、妻の力が尽きてしまって、路ばたに坐って泣きだした。曾もまた足を停めて休んだ。護送の役人に怒鳴られながら。と、たちまちたくさんの人声が騒がしく聞えてきた。それは盗賊の群で、手に手に刀を持って襲いかかってきた。護送の役人はひどく驚いて逃げてしまった。曾はひざまずいて言った。
「わしは左遷せられて往くところだ、何もない、宥ゆるしてくれ」
盗賊は目をぎらぎらと光らして言った。
「俺達は、きさまに無実の罪をおわされたものだ、きさまの頭をもらいにきたのだ、他にほしい物はないのだ」
曾は怒鳴った。
「わしは罪を持っておるが、それでも朝廷の大臣だ、盗賊のぶんざいで何をする」
盗賊もまた怒って巨きな斧で曾の首を斬った。頭は地の上に堕ちてその音が聞えた。曾は驚くと共に疑うた。そこへ二疋の鬼おにが来て、曾の両手を背に縛っておったてて往った。
数時間して一つの都へ入った。そして、間もなく宮殿へ往った。宮殿の上には一人の醜い形をした王がいて、几つくえに憑よりかかって罪を決めていた。曾は這うようにして前へ出て往った。王は書類に目をやって、わずかに数行見ると、ひどく怒って言った。
「これは君を欺き国を誤るの罪だ、油鼎ゆていに置くがいい」
たくさんの鬼達がそれについて叫んだが、その声は雷のようであった。そこで一疋の巨きな鬼が来て曾をひっつかんで階下へ往った。そこに大きな鼎かなえがあって、高さが七尺ばかり、四囲ぐるりに炭火を燃やして、その足を真紅に焼いてあった。曾はおそろしくて哀れみを乞うて泣いた。逃げようとしても逃げることはできなかった。鬼は左の手をもって髪をつかみ、右の手で踝くるぶしを握って、鼎の中へ投げこんだ。曾の物のかたまりのような小さな体は、油の波の中に浮き沈みした。皮も肉も焦やけただれて、痛みが心にこたえた。沸きたった油は口に入って、肺腑を烹にられるようであった。一思いに死のうと思っても、どうしても死ぬることができなかった。ほぼ食事をする位の時間が経つと、鬼は巨きな叉さすまたで曾を取り出して、また堂の下へ置いた。王はまた書類をしらべて怒って言った。
田中貢太郎
福建の曾孝廉そうこうれんが、第一等の成績で礼部の試験に及第した時、やはりその試験に及第して新たに官吏になった二三の者と郊外に遊びに往ったが、毘廬禅院びろぜんいんに一人の星者うらないしゃが泊っているということを聞いたので、いっしょに往ってその室へやへ入った。星者は曾の気位の高いのを見ておべっかをつかった。曾は扇を揺うごかしながら微笑して聞いた。
「宰相になる運命があるのかないのか」
星者は容かたちを正して、
「二十年したら太平の宰相となります」
と言った。曾はひどく悦よろこんで、気位がますます高くなった。
その帰りに小雨に値あうた。曾はそこで仲間といっしょに旁かたわらの寺へ入って雨を避けた。寺の中には一人の老僧がいたが、目の奥深い鼻の高い僧で、蒲団の上に坐ったなりに傲慢な顔をして礼もしなかった。一行は手をあげて礼をして、榻だいにあがってめいめいに話したが、皆曾が宰相になれると言われたことを祝った。曾の心はひどく高ぶって、仲間に指をさして言った。
「僕が宰相になったなら、張兄を南方の巡撫にし、中表いとこを参軍にしよう、我家うちの年よりの僕げなんは小千把しょうせんはになるさ、僕の望みもそれで足れりだ」
一座は大笑いをした。俄かにざあざあと降る雨の音が聞えてきた。曾はくたびれたので榻ねだいの間に寝た。二人の使者が天子の手ずから書いた詔みことのりを持ってきたが、それには曾太師を召して国計を決すとしてあった。曾は得意になって大急ぎで入朝した。
天子は曾に席をすすめさして、温かみのある言葉で何かとおたずねになったが、やや暫くして、曾に三品ほん以下の官は、意のままに任免することをお許しになり、宰相の着ける蟒衣ぼういと玉帯ぎょくたいに添えて名馬をくだされた。曾はそこで蟒衣を被き、玉帯を着け、お辞儀をして天子の前をさがって家へ帰ったが、そこは旧もとの自分の住宅でなかった。絵を画いた棟、彫刻をほどこした榱たるき、それは壮麗の極を窮めたものであった。曾も自分で何のためににわかにこんな身分になったかということが解らなかった。そして、髯をひねりながら小さな声で人を呼ぶと、その返事が雷のように高く響いた。
俄かに公卿から海から獲れた珍しい物を贈ってきた。傴僂せむしのように体を屈めてむやみにお辞儀をする者が家の中に一ぱいになった。参朝すると六卿がうやまいあわてて、屣はきものをあべこべに穿はいて出て迎えた。侍郎じろうの人達とはちょっと挨拶して話をした。そして、それ以下の者には頷いてみせるのみであった。
晋国の巡撫から十人の女の楽人を餽おくってきた。それは皆美しい女であったが、そのうちでも嫋嫋じょうじょうという女と仙仙という女がわけて美しかった。二人はもっとも曾に寵愛せられた。曾はもう衣冠束帯して朝廷にも往かずに、毎日酒宴さかもりを催していた。ある日曾は、自分が賤しかった時、村の紳縉王子良しんしんおうしりょうという者の世話になったことを思いだして、自分は今こんなに栄達しているが、渠かれはまだ官途につまずいていて昇進しないから、一つ引きたててやらなくてはならないと思って、翌朝上疏じょうそして王を諫議大夫に推薦し、そこで天子の諭旨を奉じて、たちどころに引きあげて用いた。また郭太僕かくたいぼくがかつて自分をにらみつけたことを思いだして、そこで、呂給諫ろきゅうかん、及び侍御の陳昌たちを呼んで謀はかりごとを授けたが、翌日になると郭太僕を弾劾した上書が彼方此方から出てきた。曾はそこで天子の旨を奉じて郭太僕の官職を削った。そして恩も怨みも返してしまって、頗る快い気もちであった。
ある時郊外を通っていると、酔っぱらいが来て車に突きあたった。そこで人をやって縛って京兆尹けいちょういんに渡した。京兆尹は獄卒に命じて杖で敲たたいて殺さした。付近の人びとは皆勢いに畏れて上等の産物を献上した。それから曾は非常に富裕になった。
間もなく嫋嫋と仙仙が前後してなくなった。曾は朝夕二人のことを追想していたが、不意に憶いだしたことがあった。それは昔東隣の女を見て美しかったので、いつも妾にしたいと思ったが、財力が弱くておもうとおりにならないことであった。曾はそこで今こそその思いをとげることができると思って、頭だった数人の僕げなんをやって、無理にその家へ金をやった。女はすぐ籐の輿に乗って曾の許もとへ来た。それは昔見た時と較べて一段の艶を増していた。曾はもう自分が望んでいたことでその望みの達しられないものはなかった。
数年したところで、朝廷の官吏の中に窃ひそかに曾の専横を非議する者があるようであったが、しかし、それぞれ自分のことを考えて口に出すものはなかった。曾もまたおもいあがって、それに注意しなかった。龍図学士包りゅうとがくしほうという者があって上疏した。その略には、
「窃におもんみるに曾某は、もと一飲賭の無頼、市井の小人、一言の合、栄、聖眷せいけんを膺うけ、父は紫し、児は朱しゅ、恩寵極まりなし。躯からだを捐すて頂を糜びし、もって万一に報ずるを思わず、かえって胸臆きょうおくを恣ほしいままにし、擅ほしいままに威福を作なす。死すべきの罪、髪を擢ぬきて数えがたし。朝廷の名器、居おきて奇貨をなし、肥瘠ひそうを量欠りょうけつして、価の重軽をなす。因って公卿将士、尽く門下に奔走す。估計夤縁こけいいんえん、儼げんとして負販ふはんの如く、息を仰ぎ塵を望む、算数すべからず。或は傑士賢臣、肯うなずいて阿附あふせざる有あれば、軽ければ則すなわち之を間散かんさんに置き、重ければ則ち褫うばいてもって氓みんを編す。甚しきは且つ一臂袒ひたんせざれば、輒すなわち鹿馬の奸に迕あいて、遠く豺狼ひょうろうの地に竄ざんせられ、朝士之がために寒心す。また且つ平民の膏腴こうゆ、肆ほしいままに貪食するに任す。良家の女子、強いて禽妝きんしょうを委して、※気冤氛れいきえんふん[#「さんずい+診のつくり」、184-16]、暗く天日無し。奴僕どぼく一たび到れば、則ち守令顔を承うけ、書函一たび投ずれば、則ち司院法を枉まぐ。或は廝養しようの児、瓜葛かかつの親有れば則ち伝に乗じ、風行雷動す。地方の供給稍やや遅くして、馬上の鞭撻立所に至る。人民を荼毒とどくし、官府を奴隷にし、扈従臨むところ野に青草無し。而して某方まさに炎々赫赫、寵を怙たのみて悔ゆるなく、召対しょうたい方まさに闕下けつかに承け、萋斐せいひ輒すなわち君前に進む。委蛇いい才わずかに公より退けば、笙歌已に後苑に起る。声色狗馬せいしょくくば、昼夜荒淫、国計民生、念慮に存ずるなし。世上寧むしろ此の宰相有らんや。内外駭訛がいか、人情洶々きょうきょう、若し急に斧※ふしつ[#「金+質」、185-5]の誅を加えずんば、勢必ず操莽そうぼうの禍を醸成せん。臣夙夜しんしゅくや祗つつしみ懼れ、敢て寧処ねいしょせず。
上奏は終った。曾はそれを聞いて顫えあがった。それはちょうど冰水ひょうすいを飲んだように。しかし幸いに天子は心にゆとりのある方であったから、宮中に留め置いて発表しなかった。継いで吏部戸部礼部兵部刑部工部の給事中、各道の監察御吏、及び九卿が、それぞれ曾の罪悪を上奏弾劾した。
そこで昨日まで門口に来てお辞儀をして、曾をかりの父親と呼んでいたような者も、顔をそむけるようになった。朝廷では天子の旨を奉じて曾の家を没収して、曾を雲南軍に往かせることにした。曾の子の任は平陽の太守であったが、もう人をやって吟味をさしてあった。曾は家を没収せられ雲南軍にやられるということを聞かされて驚きおそれていると、やがて数十人の剣を帯び戈ほこを操った武士が来て、そのまま内寝いまへ入って曾の衣冠を褫はいで、妻といっしょに縛った。みるみるうちに数人の人夫が財宝を庭に出しはじめた。金銀銭紙幣数百万、真珠瑪瑙めのうの類数百斛ひゃくこく、幕まく、簾すだれ、榻類これまた数千事。そして児こどもの襁褓おむつや女の※くつ[#「焉」の「正」に代えて「臼」、186-4]などは庭や階段にちらばって見えた。曾は一いちそれを見て悲しみもだえた。また不意に一人の者が曾の愛していた美しい妾を掠奪して往った。妾は髪をふりみだして啼いていた。もうその玉のような姿もよる所がなくなって、悲しみの火が心を焼くようであるが、どうすることもできないと思ったのか、憤りを含めながら敢て何も言わなかった。
みるみるうちに楼閣も倉庫も、一様に封印してしまった。護送の役人は曾を怒鳴りつけておったてた。夫婦は羅うすものの裾をひきずりながら出たが、泣くこともできなかった。曾は歩くのが苦しいので悪い車でも手に入れて乗ろうとしたがそれもできなかった。
すこし往ったところで、妻は足が弱ってつまずきそうになった。曾は時どき片手を出して引いてやった。またすこし往くと自分もまたつかれてしまった。前方むこうを見ると高い山が半天にそそりたっていた。曾はとてもその山を越えることができないと思った。曾は妻と向きあって泣いた。しかし、護送の役人がこわい目をして見にきて、すこしも足を停めることをゆるさなかった。その時、夕陽がもう入っていたが、泊る所がないので、しかたなしに跛びっこをひきながら往った。山の腰にまで往った頃、妻の力が尽きてしまって、路ばたに坐って泣きだした。曾もまた足を停めて休んだ。護送の役人に怒鳴られながら。と、たちまちたくさんの人声が騒がしく聞えてきた。それは盗賊の群で、手に手に刀を持って襲いかかってきた。護送の役人はひどく驚いて逃げてしまった。曾はひざまずいて言った。
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盗賊は目をぎらぎらと光らして言った。
「俺達は、きさまに無実の罪をおわされたものだ、きさまの頭をもらいにきたのだ、他にほしい物はないのだ」
曾は怒鳴った。
「わしは罪を持っておるが、それでも朝廷の大臣だ、盗賊のぶんざいで何をする」
盗賊もまた怒って巨きな斧で曾の首を斬った。頭は地の上に堕ちてその音が聞えた。曾は驚くと共に疑うた。そこへ二疋の鬼おにが来て、曾の両手を背に縛っておったてて往った。
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「これは君を欺き国を誤るの罪だ、油鼎ゆていに置くがいい」
たくさんの鬼達がそれについて叫んだが、その声は雷のようであった。そこで一疋の巨きな鬼が来て曾をひっつかんで階下へ往った。そこに大きな鼎かなえがあって、高さが七尺ばかり、四囲ぐるりに炭火を燃やして、その足を真紅に焼いてあった。曾はおそろしくて哀れみを乞うて泣いた。逃げようとしても逃げることはできなかった。鬼は左の手をもって髪をつかみ、右の手で踝くるぶしを握って、鼎の中へ投げこんだ。曾の物のかたまりのような小さな体は、油の波の中に浮き沈みした。皮も肉も焦やけただれて、痛みが心にこたえた。沸きたった油は口に入って、肺腑を烹にられるようであった。一思いに死のうと思っても、どうしても死ぬることができなかった。ほぼ食事をする位の時間が経つと、鬼は巨きな叉さすまたで曾を取り出して、また堂の下へ置いた。王はまた書類をしらべて怒って言った。
2019.11.05
こんにちは☀️
遅くなりました、、初めてのライブ配大丈夫でしょうか。上手に話せないのですが私は、皆さんと少し交流することができた楽しい時間になりました!少しずつ皆さんに知って頂けれたら嬉しいです!
そして、実は友達に韓国の方に連れて行ってもらいました!
初めてです。良かったなと思う場所を回ったので、ぜひ☺️ご飯はネリムソン参鶏湯! https://t.cn/A6T1Xu7p
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【日本招聘】动漫电商公司项目经理,PM,电商
◆ 基础信息
所属行业:国際貿易 流通・小売
招聘职位:项目经理,PM,电商
招聘人数:1人
工作时间:日勤
工作天数:每周5天
雇佣形式:正社员
◆ 工作地点:東京千代田区神田須田町2丁目7-1BIZCORE 2階
◆ 工作内容
■ 募集背景
事業拡大のため、プロジェクト管理者が募集中。
近年連続増収増益と業績も好調です。会社はこれから更に拡大していくフェーズにあり、早期に参画いただくことで組織を作っていく重要なポジションを担う事も可能です。
■ プロジェクト:
日本小売企業の海外展開支援サービス」において、出店システムを自社開発しており、そのプロジェクト推進を主導していただく役割をお任せいたします。
■主な業務内容
・出店プロジェクト推進、実行支援
・ユーザー調査、競合調査
・社内エキスパート、各社パートナーとの連携
・商品価値向上、売上向上に向けたプロジェクトのリード
■ 社風
・会社として人柄を重視しており、一緒に気持ち良く働けるメンバーが集まっています
・全社的にフラットな関係性が出来ており、社長とも気軽にコミュニケーションがとれる環境です
待遇:
交通费支給。
周休2天,有給、リフレッシュ休暇あり。
各种福利完备。
提供签证。
「環境」
朝遅め(10時~19時)
残業なし
週5日
土日休み
きれいなオフィス
服装自由・カジュアル可
女性比率高め
英語力不要
従業員数160名(正社員:50人)
平均年齢30歳
応募の流れ: 简历➡️面试1~2次➡️合格通知
此岗位仅面向日本本土
◆ 任职要求
■ 求める経験・資質
・EC、物流のいずれかのシステム開発、業務知識がある方
・顧客との交渉能力のある方
・システム開発PMの実務経験 5年以上
・日本語ビジネスレベル、また日本語能力N1以上
・年収:400万円~800万円
#offer##日本就职# #日本[超话]#
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