「日本一のお兄ちゃんをもう一度見たい」大阪桐蔭→慶應大キャプテン福井章吾が妹と目指す“春秋連覇”《4年前の後悔とは?》
2017年のセンバツを制した大阪桐蔭高校。そして今春、全日本大学野球選手権を制した慶應義塾大学。4年という月日が経っても、歓喜の輪の中心には主将・福井章吾がいた。
「彼が率いるチームはいつもひとつにまとまっていて強い」
甲子園で抱いた思いが、神宮での歓喜を見てよみがえってきた。
◇◇◇
「主将となったこの春の優勝は、部員165人分の達成感を感じましたし、これまで支えてくれた家族や指導者の方々に恩返しができました」
今季の慶大が掲げたスローガンは『繋勝~Giving Back~』。そのチーム理念の通り、監督・選手・スタッフが互いに信頼し合えたことが勝因だと、福井は何度も強調する。
堀井哲也監督が常日頃から部員たちに伝える「チームの勝利に対してどんな働きをしたかが大事。たとえ4打数ノーヒットでもチームの勝利に貢献できればいい」という教えが、福井はもちろん、陰でチームを支えるアナリストらにも浸透。天皇杯を争う東京六大学リーグや、大学日本一を決める全日本大学野球選手権でも誰一人としてフォア・ザ・チームの精神を忘れることはなかった。
大阪桐蔭→慶大野球部は史上初
いまや、春秋連覇を視野に入れるチームを牽引する福井だが、当初は自らの意思で慶大を志望していたわけではなかったという。大阪桐蔭時代の恩師・西谷浩一監督に勧められ、慶大の関係者と話したことが福井の考えを大きく変えた。
東京六大学野球や早慶戦について勉強していくうちに、同校の教えにある『独立自尊の精神』が「ひとつのことに捉われず、いろいろなことにチャレンジすることで、一度きりの人生がより面白くなる」という自身の考え方にマッチしていると気づいた。「慶應で野球をやってみたい」という思いは次第に強くなり、2度のAO入試の末に合格切符を掴んだ。
少し意外だが、錚々たるOBを輩出する大阪桐蔭としては初のルートである。
大学1年春からベンチ入りを果たした福井はそこから3年半で逞しく成長。堀井監督に「福井(章吾)の成長が、そのままチームの躍進に繋がった」と言われるほどの存在になった。
「もともとの性格からリーダーの役割を果たしていける生粋のリーダー。チームを引っ張る立場であることを負担に感じるどころか、『自分の力を発揮する場所だ』『自分のステージだ』とでもいうかのように、前向きな気持ちでやっている」(堀井監督)
監督が感じる課題を察し、自ら提案してくることも多いと堀井監督は感心する。そればかりか、選手に一番伝わりやすいベストタイミングを狙ってチームに浸透させていくという。
さらに大学3年春から正ポジションの座についたキャッチャーとしても、そのキャプテンシーをグラウンドの上で遺憾無く発揮する。ピンチの場面でも堂々としたボディランゲージとポジティブな声掛けでナインをまとめ、得点圏にランナーを背負いそうなシーンでは果敢に盗塁を刺す。緊迫した場面で打席に入る時には、応援のリズムに合わせた打撃動作を見せたこともあり、楽しむ余裕すら見せつける。どんな時も動じない強心臓は、大阪桐蔭時代からずっと変わらない。
「それこそ自分軸ではなくチーム軸という考え方です。前日にバッティングピッチャーをやってくれた同級生の顔や、徹夜してデータをとってくれたデータ班の顔、いつもサポートしてくれている監督やスタッフ、家族の顔を思い出したりすると、ちょっとやそっとのことでは引けないというか、そこで何かを体現したいという気持ちになります。それが前面的に出る気持ちの強さなのかなと思います」(福井)
また、「野球に対する勉強量が多く、相手の心理やベンチの心理を吸収する姿勢がものすごく高い」(堀井監督)と、捕手として投手の力を最大限に引き出す能力にも磨きがかかった。打者として重要な場面で結果を残せる勝負強さも、地道な積み重ねで培ってきた。
アナリストになった妹・みなみ
そんな福井にとって、今年は心強い“味方“が増えた。妹・みなみ(1年)が慶大に入学し、アナリストとして野球部に加わったのだ。
センバツの21世紀枠を目指していた北野高校の野球部でマネージャーを務めたみなみは、スポーツ推薦枠のない慶大が、全国の強者が揃う東京六大学リーグで戦う姿に共感し、サポートしたいという気持ちを強く抱いたという。
「マネージャーとしてもっと選手の役に立ちたかった、という感覚のまま終わらせずに、大学でもまた野球部に貢献できたらいいなと思いました。兄が近くにいたことで、アナリストという仕事も知れたので、もう一度やってみようかなと」
春の優勝は「兄がセンバツで優勝した時と同じく、夢のような気分でした」と特別な思いを抱いたが、それ以上に兄がまとめるチームの姿に魅せられている。
「慶大野球部には200人弱の部員がいますが、プレーはもちろん、人としてのレベルがすごく高いと感じました。何をするにも、いろいろな人から『ありがとう』という言葉が飛んできますし、誰に挨拶をしても笑顔で返してくれます。当たり前のようですごく大事なことをみなさんが徹底されている姿を見て『それは強いよね』と思いました」
まだアナリストとして慣れない作業も多いが、だからこそ、自分の時間を削ってでも「チームの勝利のために」と数字を追う日々を続けている。
「データは選手のためにあるので、私たちアナリストがデータを出すことで自己満足するのではなく、選手を優先に考えて行動したいと思います」
現在は基本的な投打成績に加え、打者の貢献度を測るQAB(クオリティー・アット・バット)や得点期待値、投手が3球で追い込んだ確率などのデータを扱う。最終学年になった時には、野球経験者が揃うデータ班が提出するような、より試合に直結する数値を扱える存在になりたいと抱負も教えてくれた。
兄妹で目指す“春秋連覇”
妹とともに戦うことになったとはいえ、福井にとって今シーズンが大学ラストイヤーとなる。つまり、みなみと同じ時間を共有できるのもこの秋まで。明治神宮野球大会を制して実現する“春秋連覇”への思いは一層、高まっている。
「妹と一緒に戦う野球はこの秋が最後なので、アイツに『おつかれさま』と言ってもらえるよう頑張りたいです。今年のチームのテーマである『一戦必勝』を念頭に、『1試合ずつ強くなるぞ』という気持ちで戦い、結果的に連覇に繋げられたらいいなと思います」
そんな兄の思いを妹はしっかりと受け止めている。
「兄は私の中で一番カッコイイ野球選手。1打席、1イニングでも長く兄の野球をしている姿を近くで見ていたいです。大学に入るまでは『頑張ってね』と言葉で伝えることしかできませんでしたが、今は同じチームにいるので役に立つことができるはずです」
実は、みなみには忘れられない思い出がある。
4年前の夏、家族とともに大阪桐蔭で春夏連覇を目指す兄を応援するため甲子園へ足を運んでいた。しかし、高校受験を控えていたみなみは、3回戦の仙台育英戦を前に塾へ行くために甲子園を離れた。勝利を信じて疑わなかったがゆえの行動だったが、結果はまさかのサヨナラ負け。
大阪桐蔭が敗れたことも悲しかったが、何より最後の試合を現地で応援できなかったことへの後悔が、みなみの心にはずっと残っている。
「笑って学生野球を終わってほしいと思いますし、日本一のお兄ちゃんをもう一度見たいです。そのためにも私はチームのために自分の役割を果たしたいです」
兄妹が力を合わせて“連覇”を目指す秋。その戦いは9月18日から始まる。
2017年のセンバツを制した大阪桐蔭高校。そして今春、全日本大学野球選手権を制した慶應義塾大学。4年という月日が経っても、歓喜の輪の中心には主将・福井章吾がいた。
「彼が率いるチームはいつもひとつにまとまっていて強い」
甲子園で抱いた思いが、神宮での歓喜を見てよみがえってきた。
◇◇◇
「主将となったこの春の優勝は、部員165人分の達成感を感じましたし、これまで支えてくれた家族や指導者の方々に恩返しができました」
今季の慶大が掲げたスローガンは『繋勝~Giving Back~』。そのチーム理念の通り、監督・選手・スタッフが互いに信頼し合えたことが勝因だと、福井は何度も強調する。
堀井哲也監督が常日頃から部員たちに伝える「チームの勝利に対してどんな働きをしたかが大事。たとえ4打数ノーヒットでもチームの勝利に貢献できればいい」という教えが、福井はもちろん、陰でチームを支えるアナリストらにも浸透。天皇杯を争う東京六大学リーグや、大学日本一を決める全日本大学野球選手権でも誰一人としてフォア・ザ・チームの精神を忘れることはなかった。
大阪桐蔭→慶大野球部は史上初
いまや、春秋連覇を視野に入れるチームを牽引する福井だが、当初は自らの意思で慶大を志望していたわけではなかったという。大阪桐蔭時代の恩師・西谷浩一監督に勧められ、慶大の関係者と話したことが福井の考えを大きく変えた。
東京六大学野球や早慶戦について勉強していくうちに、同校の教えにある『独立自尊の精神』が「ひとつのことに捉われず、いろいろなことにチャレンジすることで、一度きりの人生がより面白くなる」という自身の考え方にマッチしていると気づいた。「慶應で野球をやってみたい」という思いは次第に強くなり、2度のAO入試の末に合格切符を掴んだ。
少し意外だが、錚々たるOBを輩出する大阪桐蔭としては初のルートである。
大学1年春からベンチ入りを果たした福井はそこから3年半で逞しく成長。堀井監督に「福井(章吾)の成長が、そのままチームの躍進に繋がった」と言われるほどの存在になった。
「もともとの性格からリーダーの役割を果たしていける生粋のリーダー。チームを引っ張る立場であることを負担に感じるどころか、『自分の力を発揮する場所だ』『自分のステージだ』とでもいうかのように、前向きな気持ちでやっている」(堀井監督)
監督が感じる課題を察し、自ら提案してくることも多いと堀井監督は感心する。そればかりか、選手に一番伝わりやすいベストタイミングを狙ってチームに浸透させていくという。
さらに大学3年春から正ポジションの座についたキャッチャーとしても、そのキャプテンシーをグラウンドの上で遺憾無く発揮する。ピンチの場面でも堂々としたボディランゲージとポジティブな声掛けでナインをまとめ、得点圏にランナーを背負いそうなシーンでは果敢に盗塁を刺す。緊迫した場面で打席に入る時には、応援のリズムに合わせた打撃動作を見せたこともあり、楽しむ余裕すら見せつける。どんな時も動じない強心臓は、大阪桐蔭時代からずっと変わらない。
「それこそ自分軸ではなくチーム軸という考え方です。前日にバッティングピッチャーをやってくれた同級生の顔や、徹夜してデータをとってくれたデータ班の顔、いつもサポートしてくれている監督やスタッフ、家族の顔を思い出したりすると、ちょっとやそっとのことでは引けないというか、そこで何かを体現したいという気持ちになります。それが前面的に出る気持ちの強さなのかなと思います」(福井)
また、「野球に対する勉強量が多く、相手の心理やベンチの心理を吸収する姿勢がものすごく高い」(堀井監督)と、捕手として投手の力を最大限に引き出す能力にも磨きがかかった。打者として重要な場面で結果を残せる勝負強さも、地道な積み重ねで培ってきた。
アナリストになった妹・みなみ
そんな福井にとって、今年は心強い“味方“が増えた。妹・みなみ(1年)が慶大に入学し、アナリストとして野球部に加わったのだ。
センバツの21世紀枠を目指していた北野高校の野球部でマネージャーを務めたみなみは、スポーツ推薦枠のない慶大が、全国の強者が揃う東京六大学リーグで戦う姿に共感し、サポートしたいという気持ちを強く抱いたという。
「マネージャーとしてもっと選手の役に立ちたかった、という感覚のまま終わらせずに、大学でもまた野球部に貢献できたらいいなと思いました。兄が近くにいたことで、アナリストという仕事も知れたので、もう一度やってみようかなと」
春の優勝は「兄がセンバツで優勝した時と同じく、夢のような気分でした」と特別な思いを抱いたが、それ以上に兄がまとめるチームの姿に魅せられている。
「慶大野球部には200人弱の部員がいますが、プレーはもちろん、人としてのレベルがすごく高いと感じました。何をするにも、いろいろな人から『ありがとう』という言葉が飛んできますし、誰に挨拶をしても笑顔で返してくれます。当たり前のようですごく大事なことをみなさんが徹底されている姿を見て『それは強いよね』と思いました」
まだアナリストとして慣れない作業も多いが、だからこそ、自分の時間を削ってでも「チームの勝利のために」と数字を追う日々を続けている。
「データは選手のためにあるので、私たちアナリストがデータを出すことで自己満足するのではなく、選手を優先に考えて行動したいと思います」
現在は基本的な投打成績に加え、打者の貢献度を測るQAB(クオリティー・アット・バット)や得点期待値、投手が3球で追い込んだ確率などのデータを扱う。最終学年になった時には、野球経験者が揃うデータ班が提出するような、より試合に直結する数値を扱える存在になりたいと抱負も教えてくれた。
兄妹で目指す“春秋連覇”
妹とともに戦うことになったとはいえ、福井にとって今シーズンが大学ラストイヤーとなる。つまり、みなみと同じ時間を共有できるのもこの秋まで。明治神宮野球大会を制して実現する“春秋連覇”への思いは一層、高まっている。
「妹と一緒に戦う野球はこの秋が最後なので、アイツに『おつかれさま』と言ってもらえるよう頑張りたいです。今年のチームのテーマである『一戦必勝』を念頭に、『1試合ずつ強くなるぞ』という気持ちで戦い、結果的に連覇に繋げられたらいいなと思います」
そんな兄の思いを妹はしっかりと受け止めている。
「兄は私の中で一番カッコイイ野球選手。1打席、1イニングでも長く兄の野球をしている姿を近くで見ていたいです。大学に入るまでは『頑張ってね』と言葉で伝えることしかできませんでしたが、今は同じチームにいるので役に立つことができるはずです」
実は、みなみには忘れられない思い出がある。
4年前の夏、家族とともに大阪桐蔭で春夏連覇を目指す兄を応援するため甲子園へ足を運んでいた。しかし、高校受験を控えていたみなみは、3回戦の仙台育英戦を前に塾へ行くために甲子園を離れた。勝利を信じて疑わなかったがゆえの行動だったが、結果はまさかのサヨナラ負け。
大阪桐蔭が敗れたことも悲しかったが、何より最後の試合を現地で応援できなかったことへの後悔が、みなみの心にはずっと残っている。
「笑って学生野球を終わってほしいと思いますし、日本一のお兄ちゃんをもう一度見たいです。そのためにも私はチームのために自分の役割を果たしたいです」
兄妹が力を合わせて“連覇”を目指す秋。その戦いは9月18日から始まる。
『始まりは君の空』
はじめまして、Utaです!
このブログではラブライブ!スーパースター!!にて活躍するスクールアイドルグループLiella!の楽曲を歌詞の面から考察しています。
素人考察であること、また「歌詞で表現されていることと、”歌で”表現されていることは別」を前提にしており、当ブログでは主に歌詞を中心に考察をすすめていきます。
(アニメも大好きなので、ときどきは映像や歌い手にフィーチャーすることもあるかもです)
↓My Hatena Blog (in japanese)↓
https://t.cn/A6I0C2VD
では、第1回Liella!歌詞考察「始まりは君の空」
作詞:畑亜貴 作曲:兼松衆
いやぁ、名曲ですね! ですよね!
衣装も宇宙服を連想させるようなデザインで、MV後半で脱ぎ去るシーンも含めてかわいらしいです。この宇宙モチーフはテレビアニメOPシングルの楽曲へと引き継がれている点も注目ポイントですね。
さて。本作、畑亜貴さんの作詞の魅力が余すところなく発揮されていて、Liella!のファーストシングルにふさわしい楽曲に仕上がっています。
畑亜貴さん・・・・・・いいですよねぇ。
いったい何人の共同名義なのだろうか、畑亜貴という人物は本当のところ実態が存在しない概念なのではないかと疑いたくもなるものです。
自分はAqoursからラブライブに入った人間なのですが、ふりかえってみると「勇気はどこに?君の胸に!」や「WBNW」に代表されるエモーショナルな歌詞をきっかけにドはまりしたように思えます。
それくらい畑亜貴さんの歌詞には心を動かす力があるんですね。
↓ここからが本題↓
さっそく歌詞の構成について分析していきましょう!
まずこの歌詞の最も情緒深いポイントはなんといってもここ、サビの部分です。
抜粋して引用しますね。
始まりは君の空
空に描くのはどんな どんな夢か教えて
(中略)
始まれば君の空
未来への道が どこかに隠れているかも
きっとあるよ あるんだ だから確かめにいこう
手を繋いでおけば 怖くない!
さて、お気づきでしょうか。
『手を繋いでおけば怖くない』つまりこの歌詞には最低でも2人の登場人物がいることがわかります。
(Liella!は現在5人のメンバーで構成されていますが、ここでは歌詞で描写されている部分のみに注目して2人としております)
それを踏まえて歌詞全体を登場人物AとBにパート分けしていくとこうです。
人物A
なにか目覚めそうだよ
まだ名もないキモチが
違う明日を見たがってる
人物B
動き出したくなったら
あとは勇気ときっかけ
ほら一歩目を一緒に飛ぼうよ
(中略)
信じようよ自分のチカラを
あくまで私個人の考察ではありますが、この歌詞のほとんどは登場人物BがAを励ます言葉で構成されています。
胸のなかに生まれた『名もないキモチ』(これアニメ1話のタイトル)に気が付いたAを「ほら一歩目を一緒に飛ぼうよ 冒険したっていいんじゃないかな」と誘っているんですね。そしてサビに続きます。ここで再び人物Aが登場し、このように人物Bに問いかけます。
人物A
始まりは君の空
空に描くのはどんな どんな夢か教えて
この歌詞に脚注を加えるとこうなります。
人物AからBへ
(夢を描いた)始まり(きっかけ)は君の空
(ぼくも夢を描きたいんだ)
空に描くのはどんな どんな夢か教えて
これに対しBはこう返します。
人物BからAへ
星に願う前に 語り合ってみようよ
トキメキを分かち合いたいよ
そしてこう続きます。ここがほんっっっとに好きで好きで、このブログを立ち上げたきっかけになる最重要ワードが来ます。
人物BからAへ
(夢が)始まれば(それは)君の空
未来への道が ・・・・・・ きっとあるよ あるんだ
だから確かめに行こう
手を繋いでおけば 怖くない!
Bの描いた夢(空)に憧れたA自身ではまだ気付けていないけれど、始まれば(始まった夢は)君の空なんですよ。
やばくないですか?やばいですよね。この歌詞、ふたりの語り合いなんだってことに気づくと一気に見え方が変わります。
登場人物Aのパートは上記のとおりわずかなのもポイントで、そのエモみ深さは2番以降の歌詞により強く現れます。
まずは2番のパート分けから。
といっても、構造は1番とまるきり同じです。
人物A
いま自分のなかの
まだ名もない気持ちを
大事にしたいって思ってる
人物B
初めての高まりを
君も感じてるのかな
・・・・・・
信じようよ 夢見るチカラを
このようにパートを分解してみると、語り合いの構図が見えやすくなります。
そして、2番サビにて再び大きな盛り上がりがやってきます。
人物A
始まりたい僕の夢
君へ伝えよう 聞いて 聞いてほしくなったよ
星の光よりも小さい輝きだけど
いつか大きくなる気がして
(以降は1番のサビの繰り返しです※落ちサビの伊達ちゃんソロパート”どんな どんな夢か教えて”の歌唱、声の伸びが素晴らしい!)
Aのなかにあった「名もないキモチ」と夢が、2番のサビで小さくても星のように輝きはじめます。情緒の高まりすごくない!?
Liella!がどんなグループなのか、コンセプトがはっきりと描かれています。
Liella!のファーストシングルとしてこれ以上ないほどふさわしい楽曲ですね。
『始まりは君の空』で描かれている人物Aについての描写はここまでです。
これを下敷きにアニメOP「START!! True dreams」の歌詞を読むと、もうやばすぎで感情のバロメーター振り切れそうだし、そこからさらに「私のSymphony」も聴くんですよ。やばさの三乗ですよね。もうきらっきらです。
これらの二曲については次回以降の記事にて解説を進めていきます。
2020/07/27(追記)↓
改めて楽曲を聴き込んでいたところ、スクールアイドルグループLiella!として『始まりは君の空』の 歌詞解釈もやりたくなったので追記します。
↑↑の記事本文で考察したのは歌詞を中心としたものですが、楽曲全体となると演者の歌声や楽器の演奏など解釈できる部分の幅がぐっと広がります。
例えば落ちサビ前のピアノパートが『START!! True dreams』でもよく似た形で使われている(ような気がする)等、違った角度から見えてくるものもたくさんあります。
というわけで、Liella!としての『始まりは君の空』について感じたことを少し取り上げていきましょう。
Liella!というグループの曲として考えると、歌詞全体が聞き手であるあなたに向けた「一歩目を一緒に飛ぼうよ」というメッセージが一貫していることがわかります。
あれ? 自分で考察した「登場人物AとB」云々と矛盾してないですか? と思われるかもしれませんが、歌詞で表現されていることを歌で表現する際に再解釈していることから差異が生じるのだと思っています。
というのも、この曲が「聞き手であるあなたに向けた歌」と考えると一か所だけ謎が生じるからです。
この部分、「始まりは君の空」「始まれば君の空」ですね。君=聞き手だとすると意味がちょっと通じにくくなります。
とはいえ、全体でとらえてみれば十分に”聞き手であるあなたへ向けた歌”として成り立っているので、色々な魅力の詰まった曲だということが再確認できるかと思います。
上記を踏まえ、歌詞を再解釈していきましょう。例によって歌詞全文を乗せると著作権的にあれなので、省略を含めつつ引用します。
なにか目覚めそうだよ
まだ名もないキモチが
違う明日を見たがってる
このパートではLiella!のメンバーそれぞれの心情が「まだ名もないキモチ」と「違う明日(新しい夢)を見たがってる」と表現されています。
動き出したくなったら
あとは勇気ときっかけ
ほら 一歩目を一緒に飛ぼうよ
この部分では出だしの歌詞にある「違う明日を見たがって」いるキモチを共有したLiella!のそれぞれが「ほら 一歩目を一緒に飛ぼう」と踏み出す様子が目に浮かんできます。
挑戦することだって五人で手を繋いでおけば、怖くない!
(ファンのみんなと一緒に手を繋いでおけば、踏み出す一歩目も怖くない!)
そうしてサビの部分を読み解くとまた違った解釈が生まれてきます。
星に願う前に 語り合ってみようよ
トキメキを分かち合いたいよ
この箇所です。
メンバーそれぞれが星空の下で各々の夢を語り合う様子が、情緒深いメロディと歌詞で紡がれていますね。
きっと胸に溢れるトキメキできらきらした瞳で語っているのではないでしょうか。想像すると胸が熱くなってきます。
そして同時に聞き手であるあなたに対しても、トキメキを分かち合おうよと誘っている歌詞でもあります。
そう考えてみると『始まりは君の空』の歌詞は様々な意味を重ねた多重構造を孕んでいることが見えてきます。さすが、畑亜貴。強い。
さらに面白いのがアニメーションMVの衣装が宇宙服を意識していることです。
スーパースターという名前からしてちょっと宇宙っぽい(ギャラクシー?)ですもんね。
つまり、「踏み出す一歩目」の意味を「宇宙への挑戦」という壮大な概念が支えることで歌詞と楽曲の世界観に広大さを付与しているということです。
やばくない? 考えれば考えるほどこの楽曲がどれほど練られた1stシングルなのかを痛感します。ほんとLiella!の始まりの曲としてこれほどふさわしいものはありませんね。
μ`sとAqoursでは1stシングルの楽曲がテレビアニメでも登場していましたが、アニメのスーパースター!!でも『始まりは君の空』を聴けるときが来るでしょうか。
ラブライブ!のステージで披露するとかだったら最高ですね。
初めての高まりを
君も感じてるのかな
感じてます!もう全力で高まってます!
未来への道が (中略)
きっとあるよ あるんだ だから確かめに行こう
このパート、『Dreaming energy』にある
行こう 行こうよ!
もっと大好きだけを追いかけ
飛び出そうよ
にも通じるところがあって好きなんですよ。Dreaming~のサビ、かわいらしくていいですよね!
と、横道にそれましたが『始まりは君の空』はLiella!の楽曲としてもいかに優れているかの解説でした。
ということで『始まりは君の空』については以上です。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
それでは、また次回お会いしましょう!
Twitter始めました!良かったらフォローよろしくお願いします!
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(繰り返しますが当ブログで行っているのは歌詞中心の考察です。歌唱やアニメーションを含めた全体の考察とは角度が異なるため解釈はこれに限らないことを注釈します)
はじめまして、Utaです!
このブログではラブライブ!スーパースター!!にて活躍するスクールアイドルグループLiella!の楽曲を歌詞の面から考察しています。
素人考察であること、また「歌詞で表現されていることと、”歌で”表現されていることは別」を前提にしており、当ブログでは主に歌詞を中心に考察をすすめていきます。
(アニメも大好きなので、ときどきは映像や歌い手にフィーチャーすることもあるかもです)
↓My Hatena Blog (in japanese)↓
https://t.cn/A6I0C2VD
では、第1回Liella!歌詞考察「始まりは君の空」
作詞:畑亜貴 作曲:兼松衆
いやぁ、名曲ですね! ですよね!
衣装も宇宙服を連想させるようなデザインで、MV後半で脱ぎ去るシーンも含めてかわいらしいです。この宇宙モチーフはテレビアニメOPシングルの楽曲へと引き継がれている点も注目ポイントですね。
さて。本作、畑亜貴さんの作詞の魅力が余すところなく発揮されていて、Liella!のファーストシングルにふさわしい楽曲に仕上がっています。
畑亜貴さん・・・・・・いいですよねぇ。
いったい何人の共同名義なのだろうか、畑亜貴という人物は本当のところ実態が存在しない概念なのではないかと疑いたくもなるものです。
自分はAqoursからラブライブに入った人間なのですが、ふりかえってみると「勇気はどこに?君の胸に!」や「WBNW」に代表されるエモーショナルな歌詞をきっかけにドはまりしたように思えます。
それくらい畑亜貴さんの歌詞には心を動かす力があるんですね。
↓ここからが本題↓
さっそく歌詞の構成について分析していきましょう!
まずこの歌詞の最も情緒深いポイントはなんといってもここ、サビの部分です。
抜粋して引用しますね。
始まりは君の空
空に描くのはどんな どんな夢か教えて
(中略)
始まれば君の空
未来への道が どこかに隠れているかも
きっとあるよ あるんだ だから確かめにいこう
手を繋いでおけば 怖くない!
さて、お気づきでしょうか。
『手を繋いでおけば怖くない』つまりこの歌詞には最低でも2人の登場人物がいることがわかります。
(Liella!は現在5人のメンバーで構成されていますが、ここでは歌詞で描写されている部分のみに注目して2人としております)
それを踏まえて歌詞全体を登場人物AとBにパート分けしていくとこうです。
人物A
なにか目覚めそうだよ
まだ名もないキモチが
違う明日を見たがってる
人物B
動き出したくなったら
あとは勇気ときっかけ
ほら一歩目を一緒に飛ぼうよ
(中略)
信じようよ自分のチカラを
あくまで私個人の考察ではありますが、この歌詞のほとんどは登場人物BがAを励ます言葉で構成されています。
胸のなかに生まれた『名もないキモチ』(これアニメ1話のタイトル)に気が付いたAを「ほら一歩目を一緒に飛ぼうよ 冒険したっていいんじゃないかな」と誘っているんですね。そしてサビに続きます。ここで再び人物Aが登場し、このように人物Bに問いかけます。
人物A
始まりは君の空
空に描くのはどんな どんな夢か教えて
この歌詞に脚注を加えるとこうなります。
人物AからBへ
(夢を描いた)始まり(きっかけ)は君の空
(ぼくも夢を描きたいんだ)
空に描くのはどんな どんな夢か教えて
これに対しBはこう返します。
人物BからAへ
星に願う前に 語り合ってみようよ
トキメキを分かち合いたいよ
そしてこう続きます。ここがほんっっっとに好きで好きで、このブログを立ち上げたきっかけになる最重要ワードが来ます。
人物BからAへ
(夢が)始まれば(それは)君の空
未来への道が ・・・・・・ きっとあるよ あるんだ
だから確かめに行こう
手を繋いでおけば 怖くない!
Bの描いた夢(空)に憧れたA自身ではまだ気付けていないけれど、始まれば(始まった夢は)君の空なんですよ。
やばくないですか?やばいですよね。この歌詞、ふたりの語り合いなんだってことに気づくと一気に見え方が変わります。
登場人物Aのパートは上記のとおりわずかなのもポイントで、そのエモみ深さは2番以降の歌詞により強く現れます。
まずは2番のパート分けから。
といっても、構造は1番とまるきり同じです。
人物A
いま自分のなかの
まだ名もない気持ちを
大事にしたいって思ってる
人物B
初めての高まりを
君も感じてるのかな
・・・・・・
信じようよ 夢見るチカラを
このようにパートを分解してみると、語り合いの構図が見えやすくなります。
そして、2番サビにて再び大きな盛り上がりがやってきます。
人物A
始まりたい僕の夢
君へ伝えよう 聞いて 聞いてほしくなったよ
星の光よりも小さい輝きだけど
いつか大きくなる気がして
(以降は1番のサビの繰り返しです※落ちサビの伊達ちゃんソロパート”どんな どんな夢か教えて”の歌唱、声の伸びが素晴らしい!)
Aのなかにあった「名もないキモチ」と夢が、2番のサビで小さくても星のように輝きはじめます。情緒の高まりすごくない!?
Liella!がどんなグループなのか、コンセプトがはっきりと描かれています。
Liella!のファーストシングルとしてこれ以上ないほどふさわしい楽曲ですね。
『始まりは君の空』で描かれている人物Aについての描写はここまでです。
これを下敷きにアニメOP「START!! True dreams」の歌詞を読むと、もうやばすぎで感情のバロメーター振り切れそうだし、そこからさらに「私のSymphony」も聴くんですよ。やばさの三乗ですよね。もうきらっきらです。
これらの二曲については次回以降の記事にて解説を進めていきます。
2020/07/27(追記)↓
改めて楽曲を聴き込んでいたところ、スクールアイドルグループLiella!として『始まりは君の空』の 歌詞解釈もやりたくなったので追記します。
↑↑の記事本文で考察したのは歌詞を中心としたものですが、楽曲全体となると演者の歌声や楽器の演奏など解釈できる部分の幅がぐっと広がります。
例えば落ちサビ前のピアノパートが『START!! True dreams』でもよく似た形で使われている(ような気がする)等、違った角度から見えてくるものもたくさんあります。
というわけで、Liella!としての『始まりは君の空』について感じたことを少し取り上げていきましょう。
Liella!というグループの曲として考えると、歌詞全体が聞き手であるあなたに向けた「一歩目を一緒に飛ぼうよ」というメッセージが一貫していることがわかります。
あれ? 自分で考察した「登場人物AとB」云々と矛盾してないですか? と思われるかもしれませんが、歌詞で表現されていることを歌で表現する際に再解釈していることから差異が生じるのだと思っています。
というのも、この曲が「聞き手であるあなたに向けた歌」と考えると一か所だけ謎が生じるからです。
この部分、「始まりは君の空」「始まれば君の空」ですね。君=聞き手だとすると意味がちょっと通じにくくなります。
とはいえ、全体でとらえてみれば十分に”聞き手であるあなたへ向けた歌”として成り立っているので、色々な魅力の詰まった曲だということが再確認できるかと思います。
上記を踏まえ、歌詞を再解釈していきましょう。例によって歌詞全文を乗せると著作権的にあれなので、省略を含めつつ引用します。
なにか目覚めそうだよ
まだ名もないキモチが
違う明日を見たがってる
このパートではLiella!のメンバーそれぞれの心情が「まだ名もないキモチ」と「違う明日(新しい夢)を見たがってる」と表現されています。
動き出したくなったら
あとは勇気ときっかけ
ほら 一歩目を一緒に飛ぼうよ
この部分では出だしの歌詞にある「違う明日を見たがって」いるキモチを共有したLiella!のそれぞれが「ほら 一歩目を一緒に飛ぼう」と踏み出す様子が目に浮かんできます。
挑戦することだって五人で手を繋いでおけば、怖くない!
(ファンのみんなと一緒に手を繋いでおけば、踏み出す一歩目も怖くない!)
そうしてサビの部分を読み解くとまた違った解釈が生まれてきます。
星に願う前に 語り合ってみようよ
トキメキを分かち合いたいよ
この箇所です。
メンバーそれぞれが星空の下で各々の夢を語り合う様子が、情緒深いメロディと歌詞で紡がれていますね。
きっと胸に溢れるトキメキできらきらした瞳で語っているのではないでしょうか。想像すると胸が熱くなってきます。
そして同時に聞き手であるあなたに対しても、トキメキを分かち合おうよと誘っている歌詞でもあります。
そう考えてみると『始まりは君の空』の歌詞は様々な意味を重ねた多重構造を孕んでいることが見えてきます。さすが、畑亜貴。強い。
さらに面白いのがアニメーションMVの衣装が宇宙服を意識していることです。
スーパースターという名前からしてちょっと宇宙っぽい(ギャラクシー?)ですもんね。
つまり、「踏み出す一歩目」の意味を「宇宙への挑戦」という壮大な概念が支えることで歌詞と楽曲の世界観に広大さを付与しているということです。
やばくない? 考えれば考えるほどこの楽曲がどれほど練られた1stシングルなのかを痛感します。ほんとLiella!の始まりの曲としてこれほどふさわしいものはありませんね。
μ`sとAqoursでは1stシングルの楽曲がテレビアニメでも登場していましたが、アニメのスーパースター!!でも『始まりは君の空』を聴けるときが来るでしょうか。
ラブライブ!のステージで披露するとかだったら最高ですね。
初めての高まりを
君も感じてるのかな
感じてます!もう全力で高まってます!
未来への道が (中略)
きっとあるよ あるんだ だから確かめに行こう
このパート、『Dreaming energy』にある
行こう 行こうよ!
もっと大好きだけを追いかけ
飛び出そうよ
にも通じるところがあって好きなんですよ。Dreaming~のサビ、かわいらしくていいですよね!
と、横道にそれましたが『始まりは君の空』はLiella!の楽曲としてもいかに優れているかの解説でした。
ということで『始まりは君の空』については以上です。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
それでは、また次回お会いしましょう!
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(繰り返しますが当ブログで行っているのは歌詞中心の考察です。歌唱やアニメーションを含めた全体の考察とは角度が異なるため解釈はこれに限らないことを注釈します)
田中哲司×松田龍平が挑む伝説の舞台。ふた組の恋が今に何を響かせるか 『近松心中物語』キャストインタビュー【前編:忠兵衛&与兵衛】
初演は、42年前の1979年。戦後を代表する劇作家・秋元松代が、近松門左衛門の『冥途の飛脚』をベースに創作し、蜷川幸雄の演出で千回を超える上演が重ねられて、演劇界の金字塔と評された。その『近松心中物語』が、長塚圭史の演出で新たに立ち上がる。描かれるのは、境遇の違うふた組の男女の、心中へと追い詰められていく恋物語だ。今回はまず、その男側のふたりが登場。遊女・梅川を愛する忠兵衛役の田中哲司と、心中に憧れる妻・お亀に寄り添う与平衛役の松田龍平が、男の胸の内や、名作に挑む思いを語った。
哲司さんとの共演は「逆に警戒しています(笑)」(松田)
──舞台では、長塚圭史さん演出の『冒した者』(2013年)で共演経験のあるおふたりですが、お互いにどんな印象をお持ちですか。
田中 これはあくまでも僕の感覚なんですけど、役とか芝居へのアプローチの仕方が、僕とは全然違うところからくるなと思ったんです。芝居で絡んでみて気づいたのですが、独特のものがあってとても刺激になります。なので当時、ふたりで向かい合って座って長いセリフのやりとりをしたのが、すごく楽しかったんですよ。僕はあまりしゃべってなかったです(笑)。ほぼ龍平くんがしゃべってました。だから今回は、忠兵衛が与平衛に、梅川の身請けの手付金を借りに行くシーンでふたりでしゃべるので、そこが楽しみですね。
松田 『冒した者』ほんと楽しかったなぁ。あの舞台は今も自分の中に大きく残ってますね。哲司さんの佇まいとか、雰囲気に救われていました。実は、最後の通し稽古の途中、ふたりで向かいあってるシーンで、セリフが飛んじゃったんですけど、その時もめちゃくちゃスムーズに助けてもらって。
田中 そんなことあった? ちゃんと助けられた?
松田 はい(笑)。サラッと助けてもらったのを覚えてます。だから今回もまた助けてもらえるという安心感で、逆に、またセリフが出てこないみたいなことが起きるんじゃないかと思って、警戒してます(笑)。
「与平衛が龍平くんなので安心」(田中)
──前回共演されたのが三好十郎さんの戯曲で日本の名作でしたが、今回も伝説の舞台と言われているような名作ですね。
田中 この『近松心中物語』は、ニナガワカンパニーにいた僕にとっては、本当に敷居が高い作品です。本番の舞台を観たことはないのですが、やっぱり大きな存在なんですよね。しかも、その忠兵衛役をやるので、心して挑まねばならないなと思っています。ただ、与平衛が龍平くんなので安心であったりもします。ちょっと気弱な遊び人で、人に流される与平衛っていうのがすでに見えてくるので。今は、「よし、そっちは大丈夫だ、あとはこっちが頑張ればいい」という感じになれています。
松田 たくさんの人に愛されてる作品ですから、プレッシャーはありますが、面白くなるに違いないという期待を胸に、これから皆さんと作っていけたらと思っています。ただ、哲司さんが演じる忠兵衛の年齢が20代だって聞いて、大丈夫かなって、さっき話していたんですけど(笑)。
田中 (笑)。それを圭史くんに聞いて、そうか、若いから心中できるんだよな、若い命が散っていくから悲しいんだよなと思えるんです。当初それが頭になかったから、このまま稽古に入ってたら危ないところでした。だから、若さゆえっていうところを、動きとか感情の揺れで、ちゃんと出さなきゃいけないなと思いますね。それこそ歌舞伎でも有名な“封印切”のシーンなんかは、はっちゃけてウワーッと。
松田 オジサンが無理しちゃってる感じに見えないようにしないと(笑)。
田中 心中へ追い詰められる悲壮感にちゃんとつながるように演じなければと思っています。片や龍平くんの与平衛とお亀には、本当に笑える面白いシーンもあるよね。
松田 与平衛とお亀では温度差が面白いですよね。お亀は、与兵衛のことが好きで仕方ないと言う感じで、与兵衛は色々うんざりしちゃって、乞食にでもなって、自由に暮らすのも良いかもと思っていて。ふたりが心中に向かっていくところも、お亀のロマンチックモードに、なんとかついていってる感じで(笑)。 与平衛は心優しい真っ直ぐな男なんですけど、後先考えず「わかった」と言ってしまうんです。与兵衛は間違ったことはしていないように思うんだけど、なんか、ずれちゃってて。その感じがすごく魅力的なんですよ。
──ちなみに、それぞれのお相手となる、梅川役の笹本玲奈さん、お亀役の石橋静河さんの印象は?
田中 笹本さんは『ピーターパン』の主演でデビューされていて芸歴が長いですし。ミュージカル畑の方だから、どういう感じの芝居でこられるのか、ワクワクしてます。やっぱり思わぬものがきたほうが、予定調和よりも全然楽しいですからね。ふたりでどんなものが作れるか、本当に楽しみにしています。
松田 僕は石橋さんのことは、親の繋がりもあって小さい頃から知ってるんです。お亀と与兵衛も幼なじみなので、繋がるところがあるのは面白いですし、お芝居するのが楽しみです。
描かれていることは、今の時代とまったく変わらない(田中)
──身請けのお金が工面できない忠兵衛と、忠兵衛にお金を貸せる与平衛。この物語にはそうした境遇の違いが様々にあって、それを今の格差や貧富の問題につながるものとして描きたいと長塚さんはおっしゃっています。おふたりは、今にどんなものが届く芝居になると思われますか。
田中 ここに描かれていることは、今の時代とまったく変わらないですよね。忠兵衛は、何百両何千両のお金を扱う仕事をしていながら給料は少なくて、女のために使い込みを働いてしまう。だから、若さもそうですけど、遊女になるしかなかった梅川も含め、貧しいっていうことは強調して出していかないといけないなと思いますね。
松田 でも、現代で「心中」っていう言葉を聞くと、家族で無理心中。みたいなイメージがありますけど、この時代に、自由に恋愛をすることが出来なかった男女にとって「心中」は最後のチャンスだったのかもしれないですね。心中にポジティブ、みたいな(笑)。哲司さんは「心中」どうですか?
田中 絶対できない。だから、与平衛の感じはすごくわかります。お客さんも与平衛に共感する人が多いんじゃないかな。でも、龍平くんは、お亀の心臓を突かないといけない。そんなの一発で上手くいかないよね。
松田 なかなか死ねないみたいな(笑)。それ、芝居でやってみますか?
田中 稽古でやってみる価値はあるかも。笑いにならない程度に。
松田 圭史さんにすぐ「それいらないな」って言われそう(笑)。
──その長塚さんの演出は、いかがですか。
田中 厳しくもありやさしくもあり。
松田 圭史さんは鋭いんですよね、芝居してる時の気持ちが全部バレちゃう感じで。そうなると油断できないし、遅刻も出来ないし、話を聞いてないと怒られるからなー。
田中 そりゃそうでしょ(笑)。
松田 でも、今回嬉しいですね。これまで圭史さんとやった2作は、セットが椅子ばかりだったから(笑)。『冒した者』は音楽もなくて、すごい緊張感の中で芝居してたし。『イーハトーボの劇列車』は汽車の音を役者が奏でたり。今回はみんなで楽器で盛り上がったり、色々装置もあって。
田中 音楽もあるよ。それもスチャダラパーさんが作ってくれる音楽が。
松田 もうね、本当にありがたいです(笑)。
圭史さんの舞台をやると、また一歩踏み出すきっかけをもらえる(松田)
──松田さんにとって舞台出演は今回が5作目で、そのうちの3作が長塚さん演出の作品になりますが、舞台に出るときは何か決め手となるポイントがあるんでしょうか。
松田 舞台は大変ですよね。稽古を重ねて、本番が始まったら何があっても最後まで止まらないし。ちゃんとやり切れるのか、ビビっちゃいますね(笑)。でも、なんだかんだ、これはやらないと勿体ないぞっていう、そういう絶妙なタイミングで、いつも長塚さんに声をかけてもらってる気がしてます。
田中 しかも龍平くん、圭史くんの中でも大変な作品ばかりやってるよね。
松田 そうなんですね(笑)。でも、ほんと、稽古から本番にかけて、夢中になって。舞台を終えると、なんだか一歩踏み出せるような感じがあって。
──一方田中さんは、数え切れないほど舞台に出ておられます。その中でも、この作品はどんな存在になりそうでしょうか。
田中 僕も龍平くんと似たような、「これキツイなぁ。でもやるしかないよな」みたいなところはあります。
松田 ありますね。
田中 特に圭史くんは、大変な作品をやるときに声をかけてくれるので、ちょっと追い込まれる感じになるんですよね。『浮標』(2011年、12年、16年)も『冒した者』もそうでしたけど、その都度、この年齢になってもこういうことをクリアしなきゃいけないのかっていう気持ちになる。でも、これでまた大きくなれたらいいな、自信になればいいなと思ってやっています。だから今回も、あの忠兵衛をやれたんだ、55歳で20代の忠兵衛をやれたんだって(笑)、また自信になったらいいなと思っています。
初演は、42年前の1979年。戦後を代表する劇作家・秋元松代が、近松門左衛門の『冥途の飛脚』をベースに創作し、蜷川幸雄の演出で千回を超える上演が重ねられて、演劇界の金字塔と評された。その『近松心中物語』が、長塚圭史の演出で新たに立ち上がる。描かれるのは、境遇の違うふた組の男女の、心中へと追い詰められていく恋物語だ。今回はまず、その男側のふたりが登場。遊女・梅川を愛する忠兵衛役の田中哲司と、心中に憧れる妻・お亀に寄り添う与平衛役の松田龍平が、男の胸の内や、名作に挑む思いを語った。
哲司さんとの共演は「逆に警戒しています(笑)」(松田)
──舞台では、長塚圭史さん演出の『冒した者』(2013年)で共演経験のあるおふたりですが、お互いにどんな印象をお持ちですか。
田中 これはあくまでも僕の感覚なんですけど、役とか芝居へのアプローチの仕方が、僕とは全然違うところからくるなと思ったんです。芝居で絡んでみて気づいたのですが、独特のものがあってとても刺激になります。なので当時、ふたりで向かい合って座って長いセリフのやりとりをしたのが、すごく楽しかったんですよ。僕はあまりしゃべってなかったです(笑)。ほぼ龍平くんがしゃべってました。だから今回は、忠兵衛が与平衛に、梅川の身請けの手付金を借りに行くシーンでふたりでしゃべるので、そこが楽しみですね。
松田 『冒した者』ほんと楽しかったなぁ。あの舞台は今も自分の中に大きく残ってますね。哲司さんの佇まいとか、雰囲気に救われていました。実は、最後の通し稽古の途中、ふたりで向かいあってるシーンで、セリフが飛んじゃったんですけど、その時もめちゃくちゃスムーズに助けてもらって。
田中 そんなことあった? ちゃんと助けられた?
松田 はい(笑)。サラッと助けてもらったのを覚えてます。だから今回もまた助けてもらえるという安心感で、逆に、またセリフが出てこないみたいなことが起きるんじゃないかと思って、警戒してます(笑)。
「与平衛が龍平くんなので安心」(田中)
──前回共演されたのが三好十郎さんの戯曲で日本の名作でしたが、今回も伝説の舞台と言われているような名作ですね。
田中 この『近松心中物語』は、ニナガワカンパニーにいた僕にとっては、本当に敷居が高い作品です。本番の舞台を観たことはないのですが、やっぱり大きな存在なんですよね。しかも、その忠兵衛役をやるので、心して挑まねばならないなと思っています。ただ、与平衛が龍平くんなので安心であったりもします。ちょっと気弱な遊び人で、人に流される与平衛っていうのがすでに見えてくるので。今は、「よし、そっちは大丈夫だ、あとはこっちが頑張ればいい」という感じになれています。
松田 たくさんの人に愛されてる作品ですから、プレッシャーはありますが、面白くなるに違いないという期待を胸に、これから皆さんと作っていけたらと思っています。ただ、哲司さんが演じる忠兵衛の年齢が20代だって聞いて、大丈夫かなって、さっき話していたんですけど(笑)。
田中 (笑)。それを圭史くんに聞いて、そうか、若いから心中できるんだよな、若い命が散っていくから悲しいんだよなと思えるんです。当初それが頭になかったから、このまま稽古に入ってたら危ないところでした。だから、若さゆえっていうところを、動きとか感情の揺れで、ちゃんと出さなきゃいけないなと思いますね。それこそ歌舞伎でも有名な“封印切”のシーンなんかは、はっちゃけてウワーッと。
松田 オジサンが無理しちゃってる感じに見えないようにしないと(笑)。
田中 心中へ追い詰められる悲壮感にちゃんとつながるように演じなければと思っています。片や龍平くんの与平衛とお亀には、本当に笑える面白いシーンもあるよね。
松田 与平衛とお亀では温度差が面白いですよね。お亀は、与兵衛のことが好きで仕方ないと言う感じで、与兵衛は色々うんざりしちゃって、乞食にでもなって、自由に暮らすのも良いかもと思っていて。ふたりが心中に向かっていくところも、お亀のロマンチックモードに、なんとかついていってる感じで(笑)。 与平衛は心優しい真っ直ぐな男なんですけど、後先考えず「わかった」と言ってしまうんです。与兵衛は間違ったことはしていないように思うんだけど、なんか、ずれちゃってて。その感じがすごく魅力的なんですよ。
──ちなみに、それぞれのお相手となる、梅川役の笹本玲奈さん、お亀役の石橋静河さんの印象は?
田中 笹本さんは『ピーターパン』の主演でデビューされていて芸歴が長いですし。ミュージカル畑の方だから、どういう感じの芝居でこられるのか、ワクワクしてます。やっぱり思わぬものがきたほうが、予定調和よりも全然楽しいですからね。ふたりでどんなものが作れるか、本当に楽しみにしています。
松田 僕は石橋さんのことは、親の繋がりもあって小さい頃から知ってるんです。お亀と与兵衛も幼なじみなので、繋がるところがあるのは面白いですし、お芝居するのが楽しみです。
描かれていることは、今の時代とまったく変わらない(田中)
──身請けのお金が工面できない忠兵衛と、忠兵衛にお金を貸せる与平衛。この物語にはそうした境遇の違いが様々にあって、それを今の格差や貧富の問題につながるものとして描きたいと長塚さんはおっしゃっています。おふたりは、今にどんなものが届く芝居になると思われますか。
田中 ここに描かれていることは、今の時代とまったく変わらないですよね。忠兵衛は、何百両何千両のお金を扱う仕事をしていながら給料は少なくて、女のために使い込みを働いてしまう。だから、若さもそうですけど、遊女になるしかなかった梅川も含め、貧しいっていうことは強調して出していかないといけないなと思いますね。
松田 でも、現代で「心中」っていう言葉を聞くと、家族で無理心中。みたいなイメージがありますけど、この時代に、自由に恋愛をすることが出来なかった男女にとって「心中」は最後のチャンスだったのかもしれないですね。心中にポジティブ、みたいな(笑)。哲司さんは「心中」どうですか?
田中 絶対できない。だから、与平衛の感じはすごくわかります。お客さんも与平衛に共感する人が多いんじゃないかな。でも、龍平くんは、お亀の心臓を突かないといけない。そんなの一発で上手くいかないよね。
松田 なかなか死ねないみたいな(笑)。それ、芝居でやってみますか?
田中 稽古でやってみる価値はあるかも。笑いにならない程度に。
松田 圭史さんにすぐ「それいらないな」って言われそう(笑)。
──その長塚さんの演出は、いかがですか。
田中 厳しくもありやさしくもあり。
松田 圭史さんは鋭いんですよね、芝居してる時の気持ちが全部バレちゃう感じで。そうなると油断できないし、遅刻も出来ないし、話を聞いてないと怒られるからなー。
田中 そりゃそうでしょ(笑)。
松田 でも、今回嬉しいですね。これまで圭史さんとやった2作は、セットが椅子ばかりだったから(笑)。『冒した者』は音楽もなくて、すごい緊張感の中で芝居してたし。『イーハトーボの劇列車』は汽車の音を役者が奏でたり。今回はみんなで楽器で盛り上がったり、色々装置もあって。
田中 音楽もあるよ。それもスチャダラパーさんが作ってくれる音楽が。
松田 もうね、本当にありがたいです(笑)。
圭史さんの舞台をやると、また一歩踏み出すきっかけをもらえる(松田)
──松田さんにとって舞台出演は今回が5作目で、そのうちの3作が長塚さん演出の作品になりますが、舞台に出るときは何か決め手となるポイントがあるんでしょうか。
松田 舞台は大変ですよね。稽古を重ねて、本番が始まったら何があっても最後まで止まらないし。ちゃんとやり切れるのか、ビビっちゃいますね(笑)。でも、なんだかんだ、これはやらないと勿体ないぞっていう、そういう絶妙なタイミングで、いつも長塚さんに声をかけてもらってる気がしてます。
田中 しかも龍平くん、圭史くんの中でも大変な作品ばかりやってるよね。
松田 そうなんですね(笑)。でも、ほんと、稽古から本番にかけて、夢中になって。舞台を終えると、なんだか一歩踏み出せるような感じがあって。
──一方田中さんは、数え切れないほど舞台に出ておられます。その中でも、この作品はどんな存在になりそうでしょうか。
田中 僕も龍平くんと似たような、「これキツイなぁ。でもやるしかないよな」みたいなところはあります。
松田 ありますね。
田中 特に圭史くんは、大変な作品をやるときに声をかけてくれるので、ちょっと追い込まれる感じになるんですよね。『浮標』(2011年、12年、16年)も『冒した者』もそうでしたけど、その都度、この年齢になってもこういうことをクリアしなきゃいけないのかっていう気持ちになる。でも、これでまた大きくなれたらいいな、自信になればいいなと思ってやっています。だから今回も、あの忠兵衛をやれたんだ、55歳で20代の忠兵衛をやれたんだって(笑)、また自信になったらいいなと思っています。
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