(九鬼周造全集第 5 巻,P238) 九鬼は己の運命と人生を心から許し、それら全てを

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5.運命愛による個物の救済
では、『偶然性の問題』以降の論考ではどのように考えることによって、実存の問題に答
えを与えたのだろうか。端的に述べると、九鬼は実存がこの世に存在する明確な理由は無
いという答えを得たのである。（自分が生まれて存在することも事実であり、その存在の根
拠がないこともまた、どうしようもない、揺るがない事実なのだ。）
本当の意味で個物は実存の無根拠性、非必然性の問題を解決することなどできないが、
この問題が解決しない以上、個物の救済という目的も達成できないということになる。だ
が、九鬼は偶然性の問題が本当の意味で解決できないとしつつも、個物の救済を諦めたわ
けではなかった。彼は一離接肢である原始偶然という運命（実存の無根拠性、非必然性の
問題）を愛する（受け入れる）ことが、唯一個物がこの問題に恐怖しながら生きることか
ら逃れる手段であると考えた。それこそが運命愛の思想である。
しかし、なぜ九鬼は運命愛の思想を解決の代替案として提示したのだろうか。それを考
えるには九鬼自身が己の人生をどのように省みたのかを見ていく必要がある。そこで九鬼
の思想の根幹ともなっている複雑な幼少時代、その時期を形成した主たる根源である岡倉
天心を軸に九鬼の気持ちの変遷を辿っていく。なぜなら、岡倉は九鬼の母とスキャンダルを起こし、母を悲惨な運命に追いやった張本人であり、九鬼から見れば己の家庭と人生を
滅茶苦茶にした全ての元凶といっても過言ではない人物だからである。
未発表随筆「根岸」、「岡倉覚三氏の思出」を読むと、幼い頃の九鬼は岡倉に対し好意を
抱いていたことが覗われるが、岡倉のしていたことを理解できる青年の年頃になると、逆
に憎しみのような強い負の感情を持つようになっていた。だが、三十路を過ぎて大人にな
った時分では岡倉に対する負の感情が九鬼の中で薄まっており、四十路を過ぎてからの九
鬼の岡倉に対する気持ちにはもはや負の感情など感じられず、ただ純粋に岡倉に対して尊
敬の念を抱いていた。
やがて私の父も死に、母も死んだ。今では私は岡倉氏に對しては殆どまじり氣のない
尊敬の念だけを有つてゐる。思出のすべてが美しい。明りも美しい。蔭も美しい。誰
れも惡いのではない。すべてが詩のやうに美しい。(九鬼周造全集第 5 巻,P238)
九鬼は己の運命と人生を心から許し、それら全てを美しいと感じている。直接的に愛し
いとは書かれていないが、美しいという語が繰り返されていることを考えると、愛しさを
感じていると取っても差し支えないであろう。
要するに、ここに書かれているのは九鬼が運命愛の境地に達したときの心境である。九
鬼はきっとこの境地に至ることによって、ようやく本当の意味で自身の人生を踏み出すこ
とができるようになったのではないか。そして、九鬼自身がこう考えることによって救わ
れたからこそ、他の個物の救済においても運命愛の思想を説き、それを解決の代替案とし
たのではないだろうか。
実存の無根拠性、非必然性の問題は我々個物が実存する限りにおいて、この先どのよう
に時代が移り変わろうとも永遠に不変の問題であり、かつこの問題に本当の意味での解決
策は望めないだろう。しかし、九鬼はこの深い問いを真正面から考え続け、代替案さえ提
示してみせた。九鬼の偶然性に関する思索もまた、この先どのように時代が移り変わろう
とも永遠に不変の思索として、全ての個物に遍く降り注ぐ慈雨であり、光明であると私は
考える。
6.参考文献一覧
『九鬼周造全集第二巻』（岩波書店、1980 年）
『九鬼周造全集第三巻』（岩波書店、1981 年）
『九鬼周造全集第五巻』（岩波書店、1981 年）
坂部恵、『不在の歌―九鬼周造の世界―』（TBS ブリタニカ、1990 年）
田中久文、『九鬼周造―偶然と自然―』（ぺりかん社、1992 年）
坂部恵・藤田正勝・鷲田清一編、『九鬼周造の世界』（ミネルヴァ書房、2002 年）
嶺秀樹、『ハイデッガーと日本の哲学』（ミネルヴァ書房、2002 年）
小浜善信、『九鬼周造の哲学―漂泊の魂―』（昭和堂、2006 年）

【每周新书】唐宋传奇集
作者：鲁迅校录
出版社：朝华出版社

【作者简介】
鲁迅（1881－1936），原名周樟寿，后改名周树人，浙江绍兴会稽县人，中国现代伟大的无产阶级文学家、思想家和革命家。鲁迅的作品主要以小说、杂文为主，代表作有：小说集《呐喊》《彷徨》《故事新编》等；散文集《朝花夕拾》；散文诗集《野草》；杂文集《坟》《热风》《华盖集》《华盖集续编》《南腔北调集》《三闲集》《二心集》《而已集》《且介亭杂文》等。

【内容简介】
唐宋单篇文言小说选集。鲁迅校录。共二册，共收四十余篇传奇文。上册据一九二七年上海北新书局刊本影印，下册据一九二八年上海北新书局刊本影印。八卷，卷首有序例，卷末有考证性札记，总题为《稗边小缀》。卷首序例有言：因有感于明清人汇编古代小说“妄制篇目，改题撰人”的弊病，乃“发意匡正”，继《古小说钩沉》之后编集此书。据编者“唐文从宽，宋代则颇加抉择”的选录原则，前五卷为唐代作品，第六卷为年代难以确考的作品，后二卷为宋代作品，总计四十五篇。所录作品，内容广泛，多为名篇，如《离魂记》、《枕中记》、《柳毅传》、《长恨传》、《虬髯客传》、《李师师外传》等。

【新书试读】

旬余，郑子还城。崁见之喜，迎问曰：“任子无恙乎?”郑子玄然对曰：“殁矣。”崟闻之亦恸，相持于室，尽哀。徐问疾故。答曰：“为犬所害。”崟曰：·“犬虽猛，安能害人?”答曰：“非人。”崟骇曰：“非人，何者?”郑子方述本末。崟惊讶叹息不能已。明日，命驾与郑子俱适马嵬，发瘗视之，长恸而归。追思前事，唯衣不自制，与人颇异焉。其后郑子为总监使，家甚富，有枥马十余匹。年六十五，卒。
　　大历中，沈既济居钟陵，尝与崟游，屡言其事，故最详悉。后崟为殿中侍御史，兼陇州刺史，遂殁而不返。
　　嗟乎，异物之情也有人焉!遇暴不失节，徇人以至死，虽今妇人，有不如者矣。惜郑生非精人，徒悦其色而不征其情性。向使渊识之士，必能揉变化之理，察神人之际，著文章之美，传要妙之情，不止于赏玩风态而已。惜哉!
　　建中二年，既济自左拾遗于金吴。将军裴冀，京兆少尹孙成，户部郎中崔需，右拾遗陆淳，皆适居东南，自秦徂吴，水陆同道。时前拾遗朱放，因旅游而随焉。浮颍涉淮，方舟沿流，昼宴夜话，各征其异说。众君子闻任氏之事，共深叹骇，因请既济传之，以志异云。沈既济撰。
　　
　　生久镇外藩，结好中国，贵门豪族，靡不是洽。自罢郡还国，出入无恒，交游宾从，威福日盛。王意疑惮之。时有国人上表云：“玄象谪见，国有大恐。都邑迁徙，宗庙崩坏。衅起他族，事在萧墙。”时议以生侈僭之应也。遂夺生侍卫，禁生游从，处之私第。生自恃守郡多年，曾无败政，流言怨悖，郁郁不乐。王亦知之。因命生曰；“姻亲二十余年，不幸小女天枉，不得与君子偕老，良用痛伤。”夫人因留孙自鞠育之。又谓生曰：“卿离家多时，可暂归本里，一见亲族。诸孙留此，无以为念。后三年，当令迎卿。”生曰：“此乃家矣，何更归焉?”王笑曰：“卿本人间，家非在此。”生忽若惽睡，瞢然久之，方乃发悟前事，遂流涕请还。王顾左右以送生。生再拜而去，复见前二紫衣使者从焉。至大户外，见所乘车甚劣，左右亲使御仆，遂无一人，心甚叹异。
　　生上车，行可数里，复出大城。宛是昔年东来之途，山川原野，依然如旧。所送二使者，甚无威势。生逾怏怏。生问使者曰：“广陵郡何时可到?”二使讴歌自若，久乃答曰：“少顷即至。”俄出一穴，见本里闾巷，不改往日，潜然自悲，不觉流涕。二使者引生下车，入其门，升其阶，己身卧于堂东庑之下。生甚惊畏，不敢前近。二使因大呼生之姓名数声，生遂发寤如初。见家之僮仆拥篲于庭，二客濯足于榻，斜日未隐于西垣，余樽尚湛于东牖。梦中倏忽，若度一世矣。生感念嗟叹，遂呼二客而语之。惊骇，因与生出外，寻槐下穴。生指曰：“此即梦中所惊入处。”二客将谓狐狸木媚之所为祟。遂命仆夫荷斤斧，断拥肿，折查枿，寻穴究源。旁可袤丈。有大穴，根洞然明朗，可容一榻。上有积土壤以为城郭台殿之状。有蚁数斛，隐聚其中。中有小台，其色若丹，二大蚁处之，素翼朱首，长可三寸。左右大蚁数十辅之，诸蚁不敢近。此其王矣。即槐安国都也。又穷一穴，直上南枝可四丈，宛转方中，亦有土城小楼，群蚁亦处其中，即生所领南柯郡也。又一穴：西去二丈，磅礴空圬，嵌宫异状。中有一腐龟壳，大如斗。积雨浸润，小草丛生，繁茂翳荟，掩映振壳，即生所猎灵龟山也。又穷一穴：东去丈余，古根盘屈，若龙虺之状。中有小土壤，高尺余，即生所葬妻盘龙冈之墓也。追想前事，感叹于怀，披阅穷迹，皆符所梦。不欲二客坏之，遽令掩塞如旧。
　　是夕，风雨暴发。旦视其穴，遂失群蚁，莫知所去。故先言“国有大恐，都邑迁徙”。此其验矣。复念檀萝征伐之事，又请二客访迹于外。宅东一里有古涸涧，侧有大檀树一株，藤萝拥织，上不见日。旁有小穴，亦有群蚁隐聚其间。檀萝之国，岂非此耶。嗟乎!蚁之灵异，犹不可穷，况山藏木伏之大者所变化乎?时生酒徒周弁、田子华并居六合县，不与生过从旬日矣。生遽遣家僮疾往候之。周生暴疾已逝，田子华亦寝疾于床。生感南柯之浮虚，悟人世之倏忽，遂栖心道门，绝弃酒色。后三年，岁在丁丑，亦终于家。时年四十七，将符宿契之限矣。
　　公佐贞元十八年秋八月，自吴之洛，暂?白淮浦，偶觌淳于生棼，询访遗迹，翻覆再三，事皆摭实，辄编录成传，以资好事。虽稽神语怪，事涉非经，而窃位著生，冀将为戒。后之君子，幸以南柯为偶然，无以名位骄于天壤间云。
　　前华州参军李肇赞曰：贵极禄位，权倾国都，达人视此，蚁聚何殊!
　　
　　元和十年，亚之以记室从陇西公军泾州。而长安中贤士，皆来客之。五月十八日，陇西公与客期，宴于东池便馆。既坐，陇西公曰：“余少从邢凤游，得记其异，请语之。”客曰：“愿备听。”陇西公曰：“凤帅家子，无他能。后寓居长安平康里南，以钱百万质得故豪家洞门曲房之第，即其寝而昼偃。梦一美人，自西楹来，环步从容，执卷且吟。为古妆，而高鬟长眉，衣方领，绣带修绅，被广袖之襦。风大说曰：‘丽者何自而临我哉?’美人笑曰：‘此妾家也。而君容妾宇下，焉有自邪?’凤曰：‘愿示其书之目。’美人曰：‘妾好诗，而常缀此。’风曰：‘丽人幸少留，得观览。’于是美人授诗，坐西床。凤发卷，示其首篇，题之曰《春阳曲》，才四句。其后他篇，皆累数十句。美人曰：‘君必欲传之，无令过一篇。’凤即起，从东庑下几上取彩笺，传《春阳曲》。其词曰：‘长安少女踏春阳，何处春阳不断肠!舞袖弓弯浑忘却，罗衣空换九秋霜。’凤卒诗，谓曰：‘何谓弓弯?’曰：‘昔年父母使妾斅此舞。’美人乃起，整衣张袖，舞数拍，为弓弯以示凤。既罢，美人泫然良久，即辞去。凤曰：‘愿复少留。’须臾间，竟去。凤亦觉，昏然忘有所记。及更衣，于襟袖得其词，惊视复省所梦。事在贞元中。后凤为余言如是。”是日，监军使与宾府郡佐，及宴客陇西独孤铉，范阳卢简辞，常山张又新，武功苏涤，皆叹息曰：“可记1”故亚之退而著录。
　　明日，客有后至者，渤海高允中，京兆韦谅，晋昌唐炎，广汉李玛，吴兴姚合，洎亚之，复集于明玉泉，因出所著以示之。于是姚合曰：“吾友王炎者，元和初，夕梦游吴，侍吴王久。闻宫中出辇，鸣笳箫击鼓，言葬西施。王悼悲不止，立诏词客作挽歌。炎遂应教，诗曰：‘西望吴王国，云书凤字牌。连江起珠帐，择水葬金钗。满地红心草，三层碧玉阶。春风无处所，凄恨不胜怀。’词进，王甚嘉之。及寤，能记其事。炎，本太原人也。”
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