猫はいい、犬はいい、人は悪い。
　猫や犬はこの世界で生きている。彼らの生存理由は純粋で、生きるためである。犬や猫が生きるために必要なのは、あまり引っ付き合うことではなく、彼らの生活をより快適なものにするために必要な、あるいはせいぜい良い出産だけである。私は彼らの言葉を理解することはできないが、彼らがお互いに傷をつくのは身体的な衝突に限られているように思える。
　人は何故この世に生きているのだろうか。人はいつも傷つけ合う。このような傷つけあっては肢体だけでなく、言葉や心理的なものでもある。そして人達は傷つくことで成長する。挫折を味わい、自ら終止符を打つことを選ぶ人もいるけれど、そして残したままの者は強くなり、何も恐れなくなる。多大の危機にあっても平静を保つことができるようになり、多大の不平の中にあっても涙を止めることができるようになる。それがいわゆるヒーローだ。
　どれだけの人がヒーローになり、どれだけの人が遠ざかるのか、私には知る由もない。私は空の星を見ると、おそらく星がその答えを教えてくれるのだろう。地球上では極小の光の点としてしか見ることができないが、この「光の点」に比べて宇宙の中の人間とは何だろう？私たちは普段、物事の表面しか見ていないから、地球に立っていても惑星の大きさを知る訳がないのと同じだ。私たちはその人たちを見るだけで、その人たちが耐えてきた痛み、経験してきたことは見ない。本当に目の当たりにして、この苦痛に耐えられる人がどれだけいるだろうか。自分の歩んた道を見ると、考え込んでいる。私は勇敢な人間ではないが、これだけのことに耐えてきたのだ。真っ暗な夜空で、いつまでも眠っている......それが良いかな。
　"終わりを書こうか？"
　千切れた自分を抱きしめ、分裂し崩れる記憶を拾う。わがままを許してください、甘い夢に溺れてたい。次があるなら、輪廻転生だと思って。笑って。
　"かつて、ヒーローになりたかった..."
　来世、猫になろう

波音で消されちゃった
はっきりと聞かせろって
わざとらしい海原
100回以上の失敗は
ダーウィンさんも感涙の
ユニークな進化の礎
あの日のことは忘れないよ
しずくの小惑星の真ん中で
流れるまんま 流されたら
抗おうか 美しい鰭で
壊れる夜もあったけれど
自分でいられるように
びっくらこいた展開に
よろめく足を踏ん張って
冷たい水を一口
心配性の限界は
超えてるけれどこうやって
コツをつかんで生きて来た
秘密守ってくれてありがとうね
もう遠慮せんで放っても大丈夫
流れるまんま 流されたら
出し抜こうか 美しい鰭で
離される時も見失わず
君を想えるように
強がるポーズは そういつまでも
続けられない わかってるけれど
優しくなった世界をまだ
描いていきたいから
流れるまんま 流されたら
抗おうか 美しい鰭で
壊れる夜もあったけれど
自分でいられるように

—美しい鰭 (美丽的鱼鳍) 

何も無い場所だけれど　ここにしか咲かない花がある
心にくくりつけた荷物を　静かに降ろせる場所
空の色映し出した　瑠璃色の海　遥かから聞こえる
あなたの笑い声は　よく聴けば　波の音でした

寂しさ隠せずにいるなら　一人になればいい
囁くほどの声で呼んでいるのは　いつも同じ名前

あの優しかった場所は　今でも　変わらずに　僕を待ってくれていますか？
最後まで笑顔で(笑顔で)　何度も振り返り(手を振り)
遠ざかる姿に　唇　噛み締めた
今はこみ上げる　寂寞(せきばく)の思いに　潤んだ世界を拭ってくれる
指先を待っている

影が教えてくれるのは　そこにある悲しみだけじゃない
うつむく顔を上げて振り返れば　そこにある光に気付くだろう

同じ数の出会いと別れ　でも割り切れなくて
余るほどの想い出を　いつまでも　胸に咲かせながら

雨上がりの道は　泥濘(ぬか)るむけれど　今ここに　生きている証を刻むよ
どうかこの涙を(この涙を)　しおれかけの花に(心に)
喜びの彼方で　もう一度　咲けるように
願いは海風に吹かれて　大空へ　やがて小さな　虹をわたるよ
いつの日か　その足で

ここにしか咲かない花　ここにしか吹かない風
ここでしか聴けない歌　ここでしか見えないもの
ここにしか咲かない花　ここにしか吹かない風

あの優しかった場所は　今でも　変わらずに　僕を待ってくれていますか？
ふいにこみ上げる(こみ上げる)　寂寞の想いに(想いに)
潤んだ世界を拭ってくれる
雨上がりの道は　泥濘るむけれど　今ここに　生きている証を刻むよ
いつかこの涙も(この涙も)　寂寞の想いも(想いも)
忘れ去られそうな時代の傷跡も
燦然(さんぜん)と輝く　あけもどろの中に　風が運んで　星にかわる
そんな日を　待っている