『義母と娘のブルース2020年謹賀新年スペシャル』の話を聞いて
素直に嬉しかったです。私自身、同じ作品、同じ組でもう一度集まることが初めてだったので、連続ドラマで一緒に駆け抜けた皆さんと再会できたのは、胸にくるものがありましたし、またそこから新しいものをつくり、さらに強い信頼関係ができたような気がするので、以前とは違う居心地の良さを感じています。
自分にとって、いいものばかり与えていただいたドラマでした。私の人生を変えたと言っても過言ではないくらいです。この作品を観て私を「みゆきちゃん」と呼んでいただいて、一気に自分が広がった作品でした。こうやってまた帰ってきて、改めてこの作品がたくさんの方に愛されているなと実感したとともに、本当に嬉しかったです。
ストーリーは?
今回は、宮本家にある事件がおきます。「ベーカリー麦田」の前にぽつんと一人赤ちゃんが置かれている…という状況から物語が始まります。
「この子は誰の子だ?」という騒動から、亜希子さんとすれ違いながら、わかり合えない壁を一生懸命に越えていこうとする姿に、台本を読んで私はぐっときました。親子のつながりの素晴らしさを教えてくれるお話になっています。
ご自身の経験で家族に驚かされたこと
「来年からメキシコに住むことになります」と報告を受けたときはとても驚きました(笑)。私は小学校1〜3年生まで、メキシコに住んでいたんですけど、まだ幼稚園生だったので「どこ?」って思っていましたが、一番の衝撃でした。でも、小さい頃はそういう環境に飛び込んでいける力があるじゃないですか。今報告を受けるよりも、動揺はしなかったんじゃないかなと思います。この経験は、お芝居する上でも、いろんなものを想像することに役立っていますし、地理の教科書でしか写真を見ることがないようなところを、小さい頃からこの目で見ていたので、想像力をそのときに養えたかなと思います。
久々にみゆきを演じて
語尾のほわっとした感じや、元気で明るく跳ねている感じを久々に演じて懐かしいなと思いました。キャストのみなさんとお芝居をして、その関係の中にみゆきの”役割”があるので、周りのキャストのみなさんのお芝居あってのみゆきが演じることができています。
(連続ドラマから)1年後のお話ですが、監督からは「すごく成長していなくていいから。一年前のみゆきちゃんのままで」と言われました。けれど、大学に進学して、一人暮らしも始め環境も変わったので、みゆき自身に大きな変化はないけれど、ちょっとの時の経過を大事にしながら演じています。
このドラマで苦労したこと
ハードなロケの日がありまして…。道路を挟んで向こう側の大樹くんにずっと叫んでいるシーンがありました。私のいる側から撮るときも、私は走りながら叫んでいたのですが、大樹くん側の撮影に移っても叫んでいて…トータル7時間くらい叫んでいました(笑)。大声でけっこうキワドイことを叫んでいたので、恥ずかしかったのですが、「やるしかない!」の一心でした。テストで抑えられたらよかったんですけど、(道路を挟んでいて)車が通っているので、声が届かなくって、最初から全力でやっていました。
今回のドラマには、赤ちゃんが登場しますが
赤ちゃんとの共演は大変ですが、一番の癒しでもあるので、この現場を一番動かしている人物は、赤ちゃんのような気がしています。スタッフのみなさんが、赤ちゃんを癒すために一生懸命に「いないいないばあ」をしていたりする姿が微笑ましかったです。本当に大変ですけど、一番癒される存在です。自分が抱っこしているときに泣いちゃったら、私も必死になるんですけど、やっぱり何しててもかわいい!
この作品を撮影している間、街で見かける赤ちゃんを抱っこしているお母さんを見る目が変わってきました。「自分も昔はこうだったのかなあ」と思うと、「母は偉大だな」と思いますし、自分がお母さんになったらどうしてあげられるのか…と考えてしまいますね。
もちろん、かわいいという感情だけではやっていけないですし、その先のことまで考えるのはすごく大変なことだと思うので、30歳前半で人として熟したくらいに、赤ちゃんを育てられたらいいなと思います(笑)。
ドラマに出てくれた赤ちゃんのお母さんの話を聞くと、抱っこしていたら腱鞘炎になってしまったらしく、「痛みを止めながら抱っこしているんです」と話を聞いて、改めて子育ては本当に大変だなと思いました。
抱っこしている姿がしっかりされていました
本当ですか!試行錯誤です!(インタビュー時撮影していた)このシーンは、ずっと泣かれてしまって、心が折れたんですけど…一緒にいる時間が増えて行く中で、腕の中で眠ってくれたりして、嬉しかったんです。だけど、一番関係ができてきた頃に撮影が終わってしまうんですよね…。なので、残りの撮影も大事にしたいなと思っています。
あやし方の対策
絶対に泣き止む歌がありまして…反町隆史さんの「POISON〜言いたい事も言えないこんな世の中は」という、ロックな音楽を赤ちゃんに聞かせると、なぜか必ず泣き止むんです。なので撮影現場では、ずっとその曲が流れています。この曲を流すと本当に99%くらいで泣き止んでくれるので、『ぎぼむす』の現場がすごくロックな感じになっていました(笑)。
みゆきと赤ちゃん
みゆきはきっと「自分も捨てられていてもおかしくない立場だった」と思ってるんですよ。こうやって違う人の元に行って、その人がお母さんになるということが当たり前ではないということが、みゆきもわかっているので、(ベーカリー麦田の前にいた)この子を大事にしてあげたいという気持ちが、人一番強いのではないかなと思います。
義母・亜希子を演じる綾瀬はるかさんと再びお会いして
大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」でご一緒していますが、お会いすることはありませんでした。けれど綾瀬さんは、私が泳いでるところをテレビ越しに応援してくださっていたそうで、それを綾瀬さんから聞いたとき「お母さんありがとう!」って、泣きそうになりました(笑)。嬉しいご縁だなと思います。
綾瀬さんは、疲れた顔を見せず、どんなときも現場を明るくしてくださる方。私もお母さんとして頼りがいがあります。本当に素敵な方です。
一方で、役の入り方がすごい。普段の綾瀬さんは柔らかい方で、ぽかぽかしていますが、亜希子さんはその真逆。その役に入られる瞬間を毎シーン間近で見られていることが、自分の財産になるなと思っています。
亜希子さんとしてリアクションしているものが、まったく嘘になっていなくて、ちゃんと亜希子さんとして生まれている感情を、私もみゆきとしてきちんと受け取れたらいいなと思います。
麦田を演じる佐藤健さん
「麦田さん好きだなあ〜」と改めて思いました(笑)。
人懐っこさもあり、何を考えているかわからないところも好きです。
佐藤さんも役への入り方がすごい。普段、お話をすることはありますが、どちらかというと寡黙な方なので、役への入り方がすごいなあと思います。
今回、お風呂上がりの麦田のタオルがズルって落ちるシーンが完璧で。タオルが落ちた後、私の目線がひゅって下にいくんですけど…どういう顔をしたらいいかわからなかった(照)。あのシーンは、麦田さんらしいシーンだなと思います。
大樹とみゆきの関係
大樹を演じている井之脇海さんとは、何回か共演させていただいていて、すごく信頼関係もできているので、たわいもない話もさせていただいている仲です。
監督とも「今回の2人はどんな関係なんだろう」と話していて、触れていいような触れちゃいけないような関係なのかな?と思ったら、受験生だからみゆきは大樹を応援して、支えている存在だと聞いたので、2人の関係は高校から変わらないまま延長して、ほっこりしている関係らしいです(笑)。私も台本を読みながらこの2人はいい関係だなと思っています。けれど、今回は『ぎぼむす』らしからぬドキドキシーンもちょっとあったりして、乞うご期待です!
視聴者の方にメッセージ
宮本みゆき役の上白石萌歌です。
あの『義母と娘のブルース』がお正月に帰ってきます!
みなさんに届いたらいいなと思っていた、親子との絆や、血のつながりをこえた大きな愛が描けていると思うので、ご家族みなさんで来年の1月2日よる9時からぜひお楽しみください!
https://t.cn/RrqM5vC
素直に嬉しかったです。私自身、同じ作品、同じ組でもう一度集まることが初めてだったので、連続ドラマで一緒に駆け抜けた皆さんと再会できたのは、胸にくるものがありましたし、またそこから新しいものをつくり、さらに強い信頼関係ができたような気がするので、以前とは違う居心地の良さを感じています。
自分にとって、いいものばかり与えていただいたドラマでした。私の人生を変えたと言っても過言ではないくらいです。この作品を観て私を「みゆきちゃん」と呼んでいただいて、一気に自分が広がった作品でした。こうやってまた帰ってきて、改めてこの作品がたくさんの方に愛されているなと実感したとともに、本当に嬉しかったです。
ストーリーは?
今回は、宮本家にある事件がおきます。「ベーカリー麦田」の前にぽつんと一人赤ちゃんが置かれている…という状況から物語が始まります。
「この子は誰の子だ?」という騒動から、亜希子さんとすれ違いながら、わかり合えない壁を一生懸命に越えていこうとする姿に、台本を読んで私はぐっときました。親子のつながりの素晴らしさを教えてくれるお話になっています。
ご自身の経験で家族に驚かされたこと
「来年からメキシコに住むことになります」と報告を受けたときはとても驚きました(笑)。私は小学校1〜3年生まで、メキシコに住んでいたんですけど、まだ幼稚園生だったので「どこ?」って思っていましたが、一番の衝撃でした。でも、小さい頃はそういう環境に飛び込んでいける力があるじゃないですか。今報告を受けるよりも、動揺はしなかったんじゃないかなと思います。この経験は、お芝居する上でも、いろんなものを想像することに役立っていますし、地理の教科書でしか写真を見ることがないようなところを、小さい頃からこの目で見ていたので、想像力をそのときに養えたかなと思います。
久々にみゆきを演じて
語尾のほわっとした感じや、元気で明るく跳ねている感じを久々に演じて懐かしいなと思いました。キャストのみなさんとお芝居をして、その関係の中にみゆきの”役割”があるので、周りのキャストのみなさんのお芝居あってのみゆきが演じることができています。
(連続ドラマから)1年後のお話ですが、監督からは「すごく成長していなくていいから。一年前のみゆきちゃんのままで」と言われました。けれど、大学に進学して、一人暮らしも始め環境も変わったので、みゆき自身に大きな変化はないけれど、ちょっとの時の経過を大事にしながら演じています。
このドラマで苦労したこと
ハードなロケの日がありまして…。道路を挟んで向こう側の大樹くんにずっと叫んでいるシーンがありました。私のいる側から撮るときも、私は走りながら叫んでいたのですが、大樹くん側の撮影に移っても叫んでいて…トータル7時間くらい叫んでいました(笑)。大声でけっこうキワドイことを叫んでいたので、恥ずかしかったのですが、「やるしかない!」の一心でした。テストで抑えられたらよかったんですけど、(道路を挟んでいて)車が通っているので、声が届かなくって、最初から全力でやっていました。
今回のドラマには、赤ちゃんが登場しますが
赤ちゃんとの共演は大変ですが、一番の癒しでもあるので、この現場を一番動かしている人物は、赤ちゃんのような気がしています。スタッフのみなさんが、赤ちゃんを癒すために一生懸命に「いないいないばあ」をしていたりする姿が微笑ましかったです。本当に大変ですけど、一番癒される存在です。自分が抱っこしているときに泣いちゃったら、私も必死になるんですけど、やっぱり何しててもかわいい!
この作品を撮影している間、街で見かける赤ちゃんを抱っこしているお母さんを見る目が変わってきました。「自分も昔はこうだったのかなあ」と思うと、「母は偉大だな」と思いますし、自分がお母さんになったらどうしてあげられるのか…と考えてしまいますね。
もちろん、かわいいという感情だけではやっていけないですし、その先のことまで考えるのはすごく大変なことだと思うので、30歳前半で人として熟したくらいに、赤ちゃんを育てられたらいいなと思います(笑)。
ドラマに出てくれた赤ちゃんのお母さんの話を聞くと、抱っこしていたら腱鞘炎になってしまったらしく、「痛みを止めながら抱っこしているんです」と話を聞いて、改めて子育ては本当に大変だなと思いました。
抱っこしている姿がしっかりされていました
本当ですか!試行錯誤です!(インタビュー時撮影していた)このシーンは、ずっと泣かれてしまって、心が折れたんですけど…一緒にいる時間が増えて行く中で、腕の中で眠ってくれたりして、嬉しかったんです。だけど、一番関係ができてきた頃に撮影が終わってしまうんですよね…。なので、残りの撮影も大事にしたいなと思っています。
あやし方の対策
絶対に泣き止む歌がありまして…反町隆史さんの「POISON〜言いたい事も言えないこんな世の中は」という、ロックな音楽を赤ちゃんに聞かせると、なぜか必ず泣き止むんです。なので撮影現場では、ずっとその曲が流れています。この曲を流すと本当に99%くらいで泣き止んでくれるので、『ぎぼむす』の現場がすごくロックな感じになっていました(笑)。
みゆきと赤ちゃん
みゆきはきっと「自分も捨てられていてもおかしくない立場だった」と思ってるんですよ。こうやって違う人の元に行って、その人がお母さんになるということが当たり前ではないということが、みゆきもわかっているので、(ベーカリー麦田の前にいた)この子を大事にしてあげたいという気持ちが、人一番強いのではないかなと思います。
義母・亜希子を演じる綾瀬はるかさんと再びお会いして
大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」でご一緒していますが、お会いすることはありませんでした。けれど綾瀬さんは、私が泳いでるところをテレビ越しに応援してくださっていたそうで、それを綾瀬さんから聞いたとき「お母さんありがとう!」って、泣きそうになりました(笑)。嬉しいご縁だなと思います。
綾瀬さんは、疲れた顔を見せず、どんなときも現場を明るくしてくださる方。私もお母さんとして頼りがいがあります。本当に素敵な方です。
一方で、役の入り方がすごい。普段の綾瀬さんは柔らかい方で、ぽかぽかしていますが、亜希子さんはその真逆。その役に入られる瞬間を毎シーン間近で見られていることが、自分の財産になるなと思っています。
亜希子さんとしてリアクションしているものが、まったく嘘になっていなくて、ちゃんと亜希子さんとして生まれている感情を、私もみゆきとしてきちんと受け取れたらいいなと思います。
麦田を演じる佐藤健さん
「麦田さん好きだなあ〜」と改めて思いました(笑)。
人懐っこさもあり、何を考えているかわからないところも好きです。
佐藤さんも役への入り方がすごい。普段、お話をすることはありますが、どちらかというと寡黙な方なので、役への入り方がすごいなあと思います。
今回、お風呂上がりの麦田のタオルがズルって落ちるシーンが完璧で。タオルが落ちた後、私の目線がひゅって下にいくんですけど…どういう顔をしたらいいかわからなかった(照)。あのシーンは、麦田さんらしいシーンだなと思います。
大樹とみゆきの関係
大樹を演じている井之脇海さんとは、何回か共演させていただいていて、すごく信頼関係もできているので、たわいもない話もさせていただいている仲です。
監督とも「今回の2人はどんな関係なんだろう」と話していて、触れていいような触れちゃいけないような関係なのかな?と思ったら、受験生だからみゆきは大樹を応援して、支えている存在だと聞いたので、2人の関係は高校から変わらないまま延長して、ほっこりしている関係らしいです(笑)。私も台本を読みながらこの2人はいい関係だなと思っています。けれど、今回は『ぎぼむす』らしからぬドキドキシーンもちょっとあったりして、乞うご期待です!
視聴者の方にメッセージ
宮本みゆき役の上白石萌歌です。
あの『義母と娘のブルース』がお正月に帰ってきます!
みなさんに届いたらいいなと思っていた、親子との絆や、血のつながりをこえた大きな愛が描けていると思うので、ご家族みなさんで来年の1月2日よる9時からぜひお楽しみください!
https://t.cn/RrqM5vC
翻到自己7年前写的信,我…我以前怎么这么能写(还是很感动的[二哈])
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十年後の私へ、
親愛なる女の子、拝啓。お元気ですか。
いつからかもう忘れましたが、私は毎年の7月7日、いつも来年の7月7日の私に手紙を送ります。長くない365日の後、自分はどこで何をしているのか、だいたい読めます。例えば、昨年の手紙はまだ届いていないけど、多分「今日本にいますか」のような文が書いてあるでしょう。そして今年の手紙はまだ書いていないけど、多分「大学院に、入れましたか。車の運転ができるようになりましたか」と言う内容でしょう。
でも、今回は違います。十年後にいるあなたは、私にとってはあまりにも遠い存在です。
あなたのすべてを、私は分かりませんでした。
今読んでいるあなたは、もう■■歳になったのでしょう。十年前にいたあなたにとっては、■■歳というのはずいぶん後のことでした。そのようなものすごく遠い未来がやってきた時、十年の次の十年を過ごした時、あなたはどう思っているのでしょう。
今、どこにいますか。
今、何をしていますか。
今、幸せですか。
十年前のあなたはどういう風に泣いたり笑ったりをしていたのか、まだ覚えていますか。もう忘れてしまったかもしれないと思うから、ここに書きます。私の思い、私の喜びと悲しみ、今すぐあなたに伝えたいです。
十年前の私は、夢を見ていました。最初の一番大きいな願いは、日本に行くということでした。それを実現してから、次の次の望みも現れてきました。
「自分のバイトで貯めたお金で、お父さんとお母さんを日本に旅行させてあげたかった。」
「北海道、中国の島根と四国の高知に行きたかった。」
「故郷を離れても、やはり自分の部屋が欲しかった。」
「立ち居振る舞いが落ち着いている明るい人になりたかった。」
「幸せになりたかった。」
今の私には将来はどうなるとか全然分かりませんでした。でも今のあなたは、すでにそれらの夢の続きを読んでいるのでしょう。
親愛なる女の子、あなたを知りたかったです。
今見ているもの、今出会う人、まだ傍にいてくれますか。
お父さんとお母さんはお元気ですか。見守ってくれる人がいますか。
生まれてからの大親友と、まだ一緒に語り合ったり、笑い合ったりしていますか。
今好きな江戸の昔からの風景、東山魁夷の静寂な青、冷たい宇治抹茶ラテ、軽井沢の味噌くるみ、まだはまっていますか。
ずっと見たかった富良野のラベンダーが咲く紫の原、青葉若葉の日の光、桜満開の森の下、もう見えましたか。
星の王子様の五億の鈴、小さな王子と同じ小さな薔薇の神話、夜空に煌めいている無数の星の輝き、その美しさをまだ信じていますか。
14歳の時から読んでいた「HUNTER×HUNTER」、もう終わりましたか。キルアの笑顔が、大好きでした。最後には、あの子はどうなりましたか。
今のただ一つの曲を聴いただけで20分泣ける自分が、まだいますか。
そして、今見ていた夢は、果たして叶いましたか。
日野祭り、望むとおりに行けましたか。アメリカの友人、その後再会することができましたか。志望の大学院、順調に入れましたか。
聞きたいことが山ほどありました。
しかし、一番聞きたいことではありませんでした。
親愛なる女の子、あなたに一番聞きたいことは。
「今、夢を見ていますか。」
実は、私はね、願った夢を全部叶えなくてもいいと思います。
私にとっては時間は無限ではありません。私の力も、無限ではありません。涙は笑顔とともに、失敗する事は成功する事とともに、この短い人生の一部になりました。
それでも、結局夢は叶わなかったとしても、私は後悔をしません。あなたはあなたでありますから、あなたの強さと弱さを知っていますから、後悔はしません。
あなたなら、きっと自分の夢を最後まで頑張っていましたと、私は信じていました。
親愛なる女の子、私はそれでもいいです。
ただ、夢という名のものを、忘れないでください。
私はよく聞きました。卒業すると、社会人になると、人は若い頃の情熱や思いを失っていくって。大人になると、年を取ると、だんだん青春時代の信念と夢を忘れていくって。鋭利な角のある石を、つるつるにして真ん丸のようにするみたいに。
私は、それだけはほしくなかったです。
とても偉そうな一人前にならなくてもいい、そんなに出世できなくてもいい。
夢さえあれば、また頑張り続けますから、また前に進めますから。だから。
次の十年も、次の次の十年も、こうして願っています。
どうか、夢を見続けていますように。
親愛なる女の子。私は夢を見ていました。
あなたは、何の夢を見ていますか。
十年前のあなた
2012年6月14日
東京、紫陽花が咲き始めた梅雨の日に
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十年後の私へ、
親愛なる女の子、拝啓。お元気ですか。
いつからかもう忘れましたが、私は毎年の7月7日、いつも来年の7月7日の私に手紙を送ります。長くない365日の後、自分はどこで何をしているのか、だいたい読めます。例えば、昨年の手紙はまだ届いていないけど、多分「今日本にいますか」のような文が書いてあるでしょう。そして今年の手紙はまだ書いていないけど、多分「大学院に、入れましたか。車の運転ができるようになりましたか」と言う内容でしょう。
でも、今回は違います。十年後にいるあなたは、私にとってはあまりにも遠い存在です。
あなたのすべてを、私は分かりませんでした。
今読んでいるあなたは、もう■■歳になったのでしょう。十年前にいたあなたにとっては、■■歳というのはずいぶん後のことでした。そのようなものすごく遠い未来がやってきた時、十年の次の十年を過ごした時、あなたはどう思っているのでしょう。
今、どこにいますか。
今、何をしていますか。
今、幸せですか。
十年前のあなたはどういう風に泣いたり笑ったりをしていたのか、まだ覚えていますか。もう忘れてしまったかもしれないと思うから、ここに書きます。私の思い、私の喜びと悲しみ、今すぐあなたに伝えたいです。
十年前の私は、夢を見ていました。最初の一番大きいな願いは、日本に行くということでした。それを実現してから、次の次の望みも現れてきました。
「自分のバイトで貯めたお金で、お父さんとお母さんを日本に旅行させてあげたかった。」
「北海道、中国の島根と四国の高知に行きたかった。」
「故郷を離れても、やはり自分の部屋が欲しかった。」
「立ち居振る舞いが落ち着いている明るい人になりたかった。」
「幸せになりたかった。」
今の私には将来はどうなるとか全然分かりませんでした。でも今のあなたは、すでにそれらの夢の続きを読んでいるのでしょう。
親愛なる女の子、あなたを知りたかったです。
今見ているもの、今出会う人、まだ傍にいてくれますか。
お父さんとお母さんはお元気ですか。見守ってくれる人がいますか。
生まれてからの大親友と、まだ一緒に語り合ったり、笑い合ったりしていますか。
今好きな江戸の昔からの風景、東山魁夷の静寂な青、冷たい宇治抹茶ラテ、軽井沢の味噌くるみ、まだはまっていますか。
ずっと見たかった富良野のラベンダーが咲く紫の原、青葉若葉の日の光、桜満開の森の下、もう見えましたか。
星の王子様の五億の鈴、小さな王子と同じ小さな薔薇の神話、夜空に煌めいている無数の星の輝き、その美しさをまだ信じていますか。
14歳の時から読んでいた「HUNTER×HUNTER」、もう終わりましたか。キルアの笑顔が、大好きでした。最後には、あの子はどうなりましたか。
今のただ一つの曲を聴いただけで20分泣ける自分が、まだいますか。
そして、今見ていた夢は、果たして叶いましたか。
日野祭り、望むとおりに行けましたか。アメリカの友人、その後再会することができましたか。志望の大学院、順調に入れましたか。
聞きたいことが山ほどありました。
しかし、一番聞きたいことではありませんでした。
親愛なる女の子、あなたに一番聞きたいことは。
「今、夢を見ていますか。」
実は、私はね、願った夢を全部叶えなくてもいいと思います。
私にとっては時間は無限ではありません。私の力も、無限ではありません。涙は笑顔とともに、失敗する事は成功する事とともに、この短い人生の一部になりました。
それでも、結局夢は叶わなかったとしても、私は後悔をしません。あなたはあなたでありますから、あなたの強さと弱さを知っていますから、後悔はしません。
あなたなら、きっと自分の夢を最後まで頑張っていましたと、私は信じていました。
親愛なる女の子、私はそれでもいいです。
ただ、夢という名のものを、忘れないでください。
私はよく聞きました。卒業すると、社会人になると、人は若い頃の情熱や思いを失っていくって。大人になると、年を取ると、だんだん青春時代の信念と夢を忘れていくって。鋭利な角のある石を、つるつるにして真ん丸のようにするみたいに。
私は、それだけはほしくなかったです。
とても偉そうな一人前にならなくてもいい、そんなに出世できなくてもいい。
夢さえあれば、また頑張り続けますから、また前に進めますから。だから。
次の十年も、次の次の十年も、こうして願っています。
どうか、夢を見続けていますように。
親愛なる女の子。私は夢を見ていました。
あなたは、何の夢を見ていますか。
十年前のあなた
2012年6月14日
東京、紫陽花が咲き始めた梅雨の日に
中二社终于倒闭了https://t.cn/EfrsJmJ[允悲]
『 ソフトウェア制作終了のお知らせ 』
minoriは2019年1月25日の『その日の獣には、』の発売を区切りにソフトウェア制作を終了することにしました。
それに伴い、現行の制作チームは解散し、ソフトウェアのダウンロード販売、サポート業務などの一部を除き、ほとんどの業務も終了する予定です。
まずは、ユーザー様、流通様、ショップ様、各雑誌媒体様、他、minoriに関わって頂きました皆々様、今まで長きに渡り多大なるご支援、本当にありがとうございました。感謝いたします。
制作終了を決めた理由はいくつかあります。
まず1つ目は、お客様とのお約束を守ることが出来なかったからです。信頼関係というものは、長い年月をかけ己の行動によって作られていくもので、崩すも同じく己の行動によるものです。そして、残念ながら(例えどのような理由があったとしても)、我々は発売日を公知にした後に変更するという失態を犯しました。これに対するペナルティは受けるべきですし、約束(契約)というものは、それほどに重いものだと思っています。
2つ目は「自分たちが作りたい(または作ることができる)もの」と「みなさんが欲しいもの」の乖離を感じており、どちらかが無理をして合わせることはお互いにとって不幸でしかないからです。作品制作というものは、己の欲求を満たしていくものであると同時に、こと商業においては、お客様のニーズに応えていくものでもあります。「我々が作りたいもの」を欲して頂けるお客様が居るに違いないというのが、そもそもminoriのコンセプトだったわけですが、日に日に「求められる」ことが大きくなっていき(これは当たり前のことなのですが)、多様性を維持することがここ数年特に難しくなりました。そして、我々は「求められる」作品を作れるほど器用ではないということです。
3つ目は、このタイミングであれば、現在所属しているスタッフたちが、どこか他の場所で活躍できるチャンスがあるのではないかとも思ったからです。minoriという場所で得たものを他の場所で還元していくことは社会的に大事なことと捉えていますし、他の文化と融合させていくことが、発展的使命かと思います。
そして、4つ目。minoriというブランドは、創設から現在までに関わってきた全てのスタッフたちの血と汗と涙と努力によって作られてきました。そのポリシーを曲げてまで存在し続けることは、過去から積み上げてきた何か大切なものを崩す気がします。よくスクラップ&ビルドとは言いますし、社会においては非常に重要なことではありますが、それによって出来上がる新たなチームはminoriという名を冠する必要はありません。
以上が、制作休止に至る主な理由となります。
ですが、心残りとなることもあります。
いくつかの案件はここで以降の開発を諦めることになってしまい、お客様の前に出すことが(恐らく)できなくなりました。本当に申し訳なく思います。ですが、今の我々にはそれを実現する能力も環境も情熱も既に持ちえません。そのような状態で、何らかの方法で皆様の前にお出ししたとしても「クオリティを維持する」という最低の条件を満たすことができませんし、それは過去にそのプロジェクトに関わったスタッフたちへの冒涜でしかありません。
また、業界振興との思いで続けてきた電気外祭りも、道半ばで終了となります。なんとか本年の開催ができないかと色々模索したのですが、与えられた時間内で引き受け先を探すことができませんでした。
力足らず本当に大変申し訳なく思いますが、ご理解頂ければ幸いです。
思い返してみると、2000年冬のブランド創設、2007年の独立、2012年の倒産危機と苦難の連続だった記憶が蘇ってきます。
それでもなお、ここまでやって来れたのは、やはり「よかった」と言って頂き、応援して頂けたファンの皆様のおかげです。その皆様の励ましに応えられるよう「どうしたら、このゲームはもっと面白くなるのだろうか?」という問いかけを続けた結果を作品として世の中に残すことができたという点、本当に感謝しかありません。
また、今まで私を信じてついてきてくれたスタッフの皆さん。ダメでどうしようもない社長でありプロデューサーであり監督だったと思うのですが、たくさんたくさん皆さんに支えてもらいました。皆さんとともに歩んだ時間こそが私の人生における宝物です。本当に素晴らしい人たちに恵まれたと思っています。ここで感謝の意を述べさせてください。ありがとうございます。そして出世した暁には、ぜひ私を部下に迎えてください。その際は身を粉にして働く所存です。よろしくお願いします。
そして、美少女ゲーム業界のみなさん。皆様の作られる作品には常に刺激を受けていました。minoriという小さなメーカーに対し多大なるご指導ご鞭撻を頂いたこと、御礼を申し上げます。今度は(恐らく)ユーザーの立場でプレイさせて頂くことになります。どうぞお体に気をつけて、良い作品を世に送り出してください。楽しみに待っております。
このように、語りだすとキリが無いほどたくさんのことが出てきそうですが、今はここまで。残りはそっと胸にしまっておこうと思います。いつか、この18年が思い出になったとき、ゆっくりとひとつずつ紡いで、涙を流さず言葉にできれば、それが幸せというものなのかもしれません。
結局、長くなってしまいましたが、これまでminoriを18年間支えて頂きました皆様、本当にありがとうございました。海よりも深く感謝いたします。
現行のminoriという制作チームはなくなりますが、チームを離れる個々はこれからも存在し続けます。また、どこかで皆様の人生と交差した際は、何卒よろしくお願いします。
「これにて『minoriの作品制作』、終幕!」
2019年2月28日
株式会社ミノリ
代表取締役 酒井 伸和(a.k.a. nbkz)
『 ソフトウェア制作終了のお知らせ 』
minoriは2019年1月25日の『その日の獣には、』の発売を区切りにソフトウェア制作を終了することにしました。
それに伴い、現行の制作チームは解散し、ソフトウェアのダウンロード販売、サポート業務などの一部を除き、ほとんどの業務も終了する予定です。
まずは、ユーザー様、流通様、ショップ様、各雑誌媒体様、他、minoriに関わって頂きました皆々様、今まで長きに渡り多大なるご支援、本当にありがとうございました。感謝いたします。
制作終了を決めた理由はいくつかあります。
まず1つ目は、お客様とのお約束を守ることが出来なかったからです。信頼関係というものは、長い年月をかけ己の行動によって作られていくもので、崩すも同じく己の行動によるものです。そして、残念ながら(例えどのような理由があったとしても)、我々は発売日を公知にした後に変更するという失態を犯しました。これに対するペナルティは受けるべきですし、約束(契約)というものは、それほどに重いものだと思っています。
2つ目は「自分たちが作りたい(または作ることができる)もの」と「みなさんが欲しいもの」の乖離を感じており、どちらかが無理をして合わせることはお互いにとって不幸でしかないからです。作品制作というものは、己の欲求を満たしていくものであると同時に、こと商業においては、お客様のニーズに応えていくものでもあります。「我々が作りたいもの」を欲して頂けるお客様が居るに違いないというのが、そもそもminoriのコンセプトだったわけですが、日に日に「求められる」ことが大きくなっていき(これは当たり前のことなのですが)、多様性を維持することがここ数年特に難しくなりました。そして、我々は「求められる」作品を作れるほど器用ではないということです。
3つ目は、このタイミングであれば、現在所属しているスタッフたちが、どこか他の場所で活躍できるチャンスがあるのではないかとも思ったからです。minoriという場所で得たものを他の場所で還元していくことは社会的に大事なことと捉えていますし、他の文化と融合させていくことが、発展的使命かと思います。
そして、4つ目。minoriというブランドは、創設から現在までに関わってきた全てのスタッフたちの血と汗と涙と努力によって作られてきました。そのポリシーを曲げてまで存在し続けることは、過去から積み上げてきた何か大切なものを崩す気がします。よくスクラップ&ビルドとは言いますし、社会においては非常に重要なことではありますが、それによって出来上がる新たなチームはminoriという名を冠する必要はありません。
以上が、制作休止に至る主な理由となります。
ですが、心残りとなることもあります。
いくつかの案件はここで以降の開発を諦めることになってしまい、お客様の前に出すことが(恐らく)できなくなりました。本当に申し訳なく思います。ですが、今の我々にはそれを実現する能力も環境も情熱も既に持ちえません。そのような状態で、何らかの方法で皆様の前にお出ししたとしても「クオリティを維持する」という最低の条件を満たすことができませんし、それは過去にそのプロジェクトに関わったスタッフたちへの冒涜でしかありません。
また、業界振興との思いで続けてきた電気外祭りも、道半ばで終了となります。なんとか本年の開催ができないかと色々模索したのですが、与えられた時間内で引き受け先を探すことができませんでした。
力足らず本当に大変申し訳なく思いますが、ご理解頂ければ幸いです。
思い返してみると、2000年冬のブランド創設、2007年の独立、2012年の倒産危機と苦難の連続だった記憶が蘇ってきます。
それでもなお、ここまでやって来れたのは、やはり「よかった」と言って頂き、応援して頂けたファンの皆様のおかげです。その皆様の励ましに応えられるよう「どうしたら、このゲームはもっと面白くなるのだろうか?」という問いかけを続けた結果を作品として世の中に残すことができたという点、本当に感謝しかありません。
また、今まで私を信じてついてきてくれたスタッフの皆さん。ダメでどうしようもない社長でありプロデューサーであり監督だったと思うのですが、たくさんたくさん皆さんに支えてもらいました。皆さんとともに歩んだ時間こそが私の人生における宝物です。本当に素晴らしい人たちに恵まれたと思っています。ここで感謝の意を述べさせてください。ありがとうございます。そして出世した暁には、ぜひ私を部下に迎えてください。その際は身を粉にして働く所存です。よろしくお願いします。
そして、美少女ゲーム業界のみなさん。皆様の作られる作品には常に刺激を受けていました。minoriという小さなメーカーに対し多大なるご指導ご鞭撻を頂いたこと、御礼を申し上げます。今度は(恐らく)ユーザーの立場でプレイさせて頂くことになります。どうぞお体に気をつけて、良い作品を世に送り出してください。楽しみに待っております。
このように、語りだすとキリが無いほどたくさんのことが出てきそうですが、今はここまで。残りはそっと胸にしまっておこうと思います。いつか、この18年が思い出になったとき、ゆっくりとひとつずつ紡いで、涙を流さず言葉にできれば、それが幸せというものなのかもしれません。
結局、長くなってしまいましたが、これまでminoriを18年間支えて頂きました皆様、本当にありがとうございました。海よりも深く感謝いたします。
現行のminoriという制作チームはなくなりますが、チームを離れる個々はこれからも存在し続けます。また、どこかで皆様の人生と交差した際は、何卒よろしくお願いします。
「これにて『minoriの作品制作』、終幕!」
2019年2月28日
株式会社ミノリ
代表取締役 酒井 伸和(a.k.a. nbkz)
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